イングロリアス・バスターズの映画批評レビュー!キャストやあらすじも解説

イングロリアス・バスターズは2009年8月に公開された、クエンティン・タランティーノ監督の戦争映画です。第二次世界大戦時のフランスを舞台に、ナチスに家族を虐殺された一人の少女の復讐劇と、それに関わる連合国の特殊部隊やナチス狩りの「バスターズ」の活躍を映画いています。このイングロリアス・バスターズのキャストやあらすじ、そして見どころなど、徹底的に紹介していきます。

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目次

  1. イングロリアス・バスターズの映画の評価は?あらすじやキャストも紹介
  2. イングロリアス・バスターズとは?
  3. イングロリアス・バスターズはどんな映画?あらすじを紹介
  4. イングロリアス・バスターズの映画キャストを紹介!
  5. イングロリアス・バスターズの映画の評価は?レビューを紹介
  6. イングロリアス・バスターズについてのまとめ

イングロリアス・バスターズの映画の評価は?あらすじやキャストも紹介

クエンティン・タランティーノ監督の映画は非常にコアなファンも多く、万人受けするものではないものの、その独特の世界観には多くの観客が引き込まれるといわれています。そのクエンティン・タランティーノ監督最高傑作ともいわれる『イングロリアス・バスターズ』の魅力について、あらすじやキャストの含め、徹底的に紹介します。

イングロリアス・バスターズとは?

イングロリアス・バスターズとは、2009年8月21日に、全米で3,165の映画館で公開され、3,805万ドルをたたき出した、第二次世界大戦を背景とした長編映画です。監督は『パルプ・フィクション』『キル・ビル』などで有名なクエンティン・タランティーノ。キャストはブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロランらが出演しています。

クエンティン・タランティーノ監督の作風は、脚本、キャストも含め「趣味でやりたいことをやりたいようにやる」などとも言われています。確かにこの『イングロリアス・バスターズ』は戦争映画というカテゴリには収まらず、どちらかというと第二次世界大戦を背景としたエンターテイメント、娯楽映画に近いという評価を受けています。

『イングロリアス・バスターズ』の最終的な興行成績は全世界で3億ドル以上となり、第82回アカデミー賞では8部門でノミネートされたほか、さまざまな映画賞を受賞しています。また日本含む世界の多くの評論家からは肯定的な評価を得ており、日本人好きしそうなキャストでもあったのですが、日本においては過激な暴力描写などを理由に、あまり興行が振るいませんでした。

イングロリアス・バスターズはどんな映画?あらすじを紹介

『イングロリアス・バスターズ』は大きく5つの章に分かれています。今回はその5つの章それぞれについて、あらすじを紹介していきます。

あらすじ:第一章『その昔…ナチ占領下のフランスで』

イングロリアス・バスターズは第二次世界大戦中のフランスを舞台に、様々な立場の登場人物の思惑が入り乱れる、全部で五部の章で構成される156分もの大作です。第一部は、ドイツ占領下のフランスの田園地帯。酪農家のラパディット家に匿われているユダヤ人のドレフュス一家を虐殺する話です。

『イングロリアス・バスターズ』は、第二次世界大戦中ナチス占領下のフランスで、ユダヤハンター・ランダ大佐に家族を虐殺されたユダヤ人女性ショシャナの復讐劇に、ブラッド・ピット演じる『バスターズ』のレイン中尉やイギリスの極秘部隊が絡む映画です。

尋問のさなか、ラパディットはとうとうドレフュス一家が床下にいることを吐いてしまうのですが、それを知ったランダ大佐は部下に床板越しにマシンガンを撃ち込み、皆殺しにしてしまいます。しかしそのような中、ドレフュス一家の娘、ショシャナだけは無事生き残り、逃げ出すことに成功します。

ランダ大佐は逃げるショシャナの背中にピストルを向けますが、一人くらい逃げても構わないと、引き金を引く代わりに別れの言葉を叫びます。

あらすじ:第二章『名誉なき野郎ども』

第二章はアメリカのアルド・レイン中尉率いるナチス狩りの特殊部隊『バスターズ』の残虐非道ぶりが披露される話です。レイン中尉は8人の部下の前で「市民に紛れ、敵地奥深くに潜入し、ナチを殺せ」とニヤリとするのです。そして実際にとんでもない残虐非道ぶりを披露してくれます。

『バスターズ』の面々は、捕虜は取らないという方針のもと、ドイツ将校を次々と拷問を加えたうえで殺害します。しかもレイン中尉の祖先の慣わしに倣って、全員でドイツ軍兵の頭皮を削ぐのです。また唯一の生き残りのドイツ兵のに対しては、額に一生消えないハーケンクロイツの傷を刻み混みます。軍服を脱いでもナチスであることが分かるようにするためです。

あらすじ:第3章『パリにおけるドイツの宵』

第三章では、第一章で生き残ったショシャナの話が戻ります。ランダ大佐から逃げ延びた彼女は、亡くなった叔父夫婦から映画館を引き継ぎ、館主エマニュエルという名を名乗り、従業員のマルセルとともに働いていました。そこに、ショシャナに想いを寄せるドイツ軍将校フレデリック・ツォラー一等兵が声をかけてきます。

後日、ショシャナはナチスの宣伝大臣であるヨーゼフ・ゲッベルスに無理やり引き合わせれ、ショシュナの経営する映画館でプレミアム上映会の実施を打診されます。それは以前ショシャナに声をかけてきたフレデリック一等兵がを題材にしたプロパガンダ映画だったのです。そして、そのビストロでの会食の場に、ショシャナの家族を皆殺しにしたランダ大佐が現れ、ショシャナは戦慄します。

ランダ大佐はショシャナの生い立ちや劇場について尋問してきます。最終的には、ランダ大佐は映画館の館主エマニュエルがショシャナであることに気づかなかったのですが、ショシャナは相当消耗してしまいます。しかし、そのナチス高官が集う上映会を利用し、彼らを皆殺しにする計画を立てるのです。

あらすじ:第四章『映画館作戦』

一方、ナチスの高官が一堂に会するこの映画の上映会の情報はイギリス軍もキャッチしており、スパイ女優ブリジット・フォン・ハマーシュマルクと『バスターズ』と手を組んで、プレミアム上映会を爆破する計画を立てます。スパイ女優ブリジットとはフランスの田舎町にあるバーで落ち合う予定だったのですが、運の悪いことにそのバーには、子どもが生まれたドイツ軍兵士とそれを祝う仲間たちが集っていました。

ブリジットはドイツ軍兵士から息子の誕生祝にとサインをせがまれます。そのような中、映画館爆破の任務を任されたアーチー・ヒコックス中尉は、ドイツ語の発音がおかしいと疑われてしまい、最後には飲み物を頼む仕草(ドイツ人とイギリス人では「数字の3」を指で表す仕草が違う)でばれてしまい、バーのマスターやウェイトレスを巻き込んだ銃撃戦となってしまいます。

最終的にはスパイ女優のブリジットが生き残り、レイン中尉に「このプレミアム上映会にはヒトラー相当も出席する」という重要な情報を伝えます。またレイン中尉とともに上映会に向かうこととなります。一方、銃撃戦のあったバーを捜索したランダ大佐は、ハイヒールとブリジットのサイン入りハンカチを発見します。

あらすじ:第五章『巨大な顔の逆襲』

最終章です。プレミアム上映会には続々とナチス高官が集まってきますが、そんな中、警備にあたるランダ大佐は会場に来たブリジットのお供をする『バスターズ』の面々にイタリア語で話しかけます。『バスターズ』の面々は流暢なイタリア語を話せません。疑いを強めたランダ大佐はブリジットを別室に連れ出し、バーで見つけたハイヒールを履かせ、銃撃戦の一味であることを確信したランダ大佐はブリジットを殺害します。

さらにロビーで待つレイン中尉と外で待機していたレイン中尉の部下を逮捕し、無線でレイン中尉の上官と交渉、劇場に残る『バスターズ』のドニーとオマーにナチス高官を殺させる代わりに、自身を好待遇で亡命させる約束を取付けます。そして、アメリカ軍の基地まで捕虜として、レイン中尉に連れていかれるのでした。

一方、映画上映のさなかフレデリック一等兵は、仕事中のショシャナの様子を見に映写室に向かいます。復讐劇はじまりの時間まで何とか映写室から出て行ってもらおうとするも、しつこいフレデリックはなかなか出て行かず、最終的には彼の背中を銃で撃ち殺害します。辛うじて息をしているフレデリック一等兵ですが、ショシャナが気になってが近づいたところを、最後の力を振り絞った銃撃で殺害します。

ところで映画が上映されているホールでは、映画の途中でショシャナの顔が大画面に映し出されます。セットするフィルムをあらかじめ編集しておいたのです。スクリーンに大きく映し出されたショシャナは「観客はこれからユダヤ人に殺される」と伝え、それを合図に、映画館の従業員マルセルが出入り口に鍵をかけ、スクリーン背後に積まれたフィルムに火を放ちます。

同時に、ドニーとオマーはバルコニーの席に移動して、ヒトラーを始めドイツ高官や観客をマシンガンで次々に射殺していき、最後は爆弾が爆発してそこにいた全員死亡します。最後に、ランダ大佐を伴って米軍支配地域までたどり着いたレイン中尉ですが、その場でランダ大佐の通信兵を殺害、頭皮を削ぐよう部下に命じ、ランダ大佐の額にハーケンクロイツを刻みます。

イングロリアス・バスターズの映画キャストを紹介!

主演はブラッド・ピット!残忍なバスターズ「アルド・レイン中尉」

ここでは『イングロリアス・バスターズ』の個性的なキャストの一部を紹介してまいります。すべてを紹介することはできませんが、このほかにも非常に多くの魅力的な登場人物がいます。

タランティーノ監督が長年一緒に仕事をしたいと言っていたそうで、『イングロリアス・バスターズ』にてやっとその念願がかなったとのことです。ちなみにこの映画でのブラッド・ピットは、ややあごがしゃくれ気味との評判があります。

味のあるナチス親衛隊大佐を演じるクリストフ・ヴァルツ

『イングロリアス・バスターズ』の要の人物、ランダ大佐をクリストフ・ヴァルツが演じています。もともと、ランダ大佐にはレオナルド・ディカプリオが起用される予定だったそうですが、今考えるとクリストフ以上にランダ大佐にはまったキャストは他にはいなかったでしょう。

ナチスに復讐を誓うユダヤ人映画館主をメラニー・ロランが熱演!

惨殺されたユダヤ人家族の生き残りとなり、ナチスのプロパガンダ映画上映中にナチス高官を一網打尽にする計画を立てます。最後の狂ったように笑う彼女の顔や声にぞくっとする人は少なくなかったようです。

イングロリアス・バスターズの映画の評価は?レビューを紹介

『イングロリアス・バスターズ』はタランティーノ監督の最高傑作!

『イングロリアス・バスターズ』は第二次世界大戦のナチスにまつわる話で、タランティーノ監督にとっては初の歴史ものになります。こういった歴史ものの映画は数多くありますが、戦争の歴史を大きく変えてしまった映画は数えるほどしかありませんが、この映画は間違いなくそのうちの一つです。何故なら、この映画ではナチスの総統アドルフ・ヒトラーが作中で死亡し、他ナチスの高官たちも一網打尽にされてしまうのです。

そもそも、この『イングロリアス・バスターズ』について、『戦争映画』にカテゴリしていいかどうかも意見が分かれるところです。それどころか『第二次世界大戦にかこつけたスラッシャー映画』『戦争を舞台にしたエンターテイメント』などと評価されています。たまたま戦争映画に興味があったというだけで、戦争の本質を描こうとは微塵も思っていない、監督がやりたい放題やっているだけの映画、とすら言われています。

タランティーノ監督の映画の特徴として、延々とおしゃべりが続くというものがあります。時にはそれがダレてしまい、観客を置き去りにしてしまうこともあるのですが、『イングロリアス・バスターズ』に限って言うとそれは全くの間違いで、高い評価を得ています。長い会話を観ている中で、登場人物たちの何とも言えぬピリピリとした緊張感がびっしりと伝わってくるのです。

例えば第一章の、ナチスハンター・ランダ大佐とユダヤ人一家をかくまっているラパディットとの会話シーンです。表面上は穏やかに会話を進めていますが、ランダ大佐は巧みな話術で、徐々にラパディットを追い詰めていきます。そしてその緊張が頂点に達したとき、匿われていたユダヤ人一家、ドレフュス家はナチス兵士の銃撃によって殺されてしまうのです。

こういった長い、張り詰めた会話シーンで引っ張れるだけ引っ張り、そして爆発させるといった緩急のつけ方は各章の随所に見られますが、それによって観客は思わず引き込まれてしまう、このパターンがこの映画では非常に評価されているのです。

これだけは見逃せない、ランダ大佐の魅力

『イングロリアス・バスターズ』ではキャストが非常に魅力的で、特に『ユダヤハンター』の悪名を持つランダ大佐を演じるクリストフ・ヴァルツは大変いい味を出していると、高い評価を得ています。実際にアカデミー賞をはじめゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、カンヌ国際映画祭など様々な舞台で受賞していることも、その評価を証明しています。

どのようなキャラクターかと言うと、例えば、プレミアム上映会にレイン中尉率いるバスターズがイタリア人として紛れ込んだ際に、ランダ大佐は彼らを疑い流暢なイタリア語で質問を投げかけ、バスターズをおろおろとさせます。そのバスターズを小ばかにしたやり取りは、思わずプッと笑いがこみ上げて来るのですが、そのバスターズを追い詰める様は非常に鮮やかなのです。

また『ユダヤハンター』であるけれども、残忍な性格というわけではないですし(残忍さで言ったらブラッド・ピット演じるレイン中尉の方がよほど外道です)、ユダヤが憎いというわけでもありません。またヒトラーに心酔しているようにも見えません。ただ自分の能力を信じ、その高さに酔っている、彼はそんな男なのです。

プレミアム上映会が襲撃されることを察知し、ナチスが危ういと分かったその瞬間に、自分がどうすれば生き残ることができるかを冷静に計算します。すなわち、ナチス高官たちを売るのです。しかもその見返りに、自分の命は元より、地位の保証、年金、終戦の立役者としての勲章、土地付き一戸建てなど、思いつく限りの交換条件を引き出します。

そしてその役をユーモアたっぷりに、時にコミカルに演じて見せたクリストフ・ヴァルツは、この映画で一気に評価を上げ、その名を轟かせました。

イングロリアス・バスターズとは?

第二章「イングロリアス・バスターズ」で初めてアルド・レイン中尉が登場しますが、この「イングロリアス・バスターズ」とは「名誉なき野郎ども」「腐ったやつら」といった意味です。名誉などなにもない、狂ったやつら、ということです。

そもそもこの映画には「イングロリアス・バスターズ」が数多く登場します。この中の一番は、やはりアルド・レイン中尉とその仲間たちバスターズの面々でしょう。確かに彼らの殺しまくっているのはユダヤ人を大量虐殺したナチスの兵士たちであり、レイン中尉達がどれだけ残酷な方法で彼らを虐殺しても、そこまで観客の正義感は逆なでされないかもしれません。

通常、第二次世界大戦を背景に、連合国軍、ナチス、ユダヤ人とくれば、それぞれ正義、悪、そして被害者という具合に役割が決まっています。しかしこの映画はその固定観念にあえて反するような配役を行い、観客が想像するストーリーを完全にひっくり返したのです。人間性とは国や人種などの属性によって規定されるものではない、各々のあり方だということをまざまざと見せつけられる映画と言えるでしょう。

イングロリアス・バスターズについてのまとめ

いかがでしたでしょうか。『イングロリアス・バスターズ』をあらすじからキャスト、その評価までを紹介してまいりました。延々と続く緊張感を失わない会話、無駄にスタイリッシュな殺戮シーン、そして派手な物語展開、まさにタランティーノ監督の集大成というべき156分間で、高い評価もうなずけます。もしタランティーノ監督の映画を観ようと思うなら、是非まずはこの『イングロリアス・バスターズ』ご覧いただくといいでしょう。

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