2018年08月20日公開
2018年08月20日更新
容疑者Xの献身のネタバレトリック解説!傑作と言われる理由や石神について考察
大人気ガリレオシリーズの劇場版「容疑者Xの献身」のあらすじとトリックのネタバレや、石神についてご紹介していきます。「容疑者Xの献身」のあらすじと天才数学者石神の驚異のトリックをネタバレ解説します。また「容疑者Xの献身」が傑作と言われる理由や、容疑者Xである石神という人物、視聴者がなぜ石神に惹かれるのか、石神がどんな犠牲を払ってでも守りたかったものについて考察していきます。
目次
容疑者Xの献身のネタバレトリックを解説!
今回は大人気フジテレビ系列の連速ドラマ、ガリレオシリーズの劇場版「容疑者Xの献身」について、あらすじやトリックをネタバレ解説していきます。事件の概要あらすじや天才数学者である石神が愛する人のために計画した完璧な計画と、それを解く湯川学の天才数学者と天才物理学者の対決どうぞ、お楽しみください。その天才的で驚異的なトリックをあらすじと共にご紹介していきます。
また、石神という人物や、視聴者がなぜ石神に惹かれるのか、石神が最後まで守りたかったものについてもご紹介していきます。まずは「容疑者Xの献身」の献身とは?ガリレオシリーズとは何か?についてご紹介していきます。
容疑者Xの献身とは?
「容疑者Xの献身」の原作は2005年に発売された東野圭吾さんの小説です。「容疑者Xの献身」は、第6回本格ミステリ大賞、第134回直木三十五賞を受賞しました。さらに「容疑者Xの献身」は『本格ミステリ・ベスト10 2006年版』『このミステリーがすごい!2006』『2005年「週刊文春」ミステリベスト10』でそれそれ1位に輝きました。この他にも、のちに2つの賞を受賞し、五冠となった作品です。
今回紹介する映画「容疑者Xの献身」は、2007年にフジテレビ系列で放送されたテレビドラマの「ガリレオ」の第1シーズンの劇場版として、2008年10月4日に公開されました。主な出演者は、ガリレオこと湯川学役の福山雅治さん、湯川に難事件を持ってくる刑事役の柴咲コウさん、湯川の大学からの友人の刑事役の北村一輝さん、そして今回の物語のある意味主人公の2人、花岡靖子役の松雪泰子さん、石神哲哉役の堤真一さんです。
ガリレオシリーズ!
テレビドラマ「ガリレオ」は、2007年に第1シーズン、2013年に第2シーズンが放送されました。他にも2008年に『ガリレオΦ(エピソードゼロ)』2013年に『ガリレオXX(ダブルエックス)内海薫最後の事件愚弄ぶ(もてあそぶ)』が放送されました。福山雅治さん演じる主人公の湯川学は、帝都大学理工学部物理学科准教授です。天才的な頭脳で難事件を解決に導き、警察に協力しています。
湯川学は少し変わっているところがあり、周りから「変人ガリレオ」と言われますが、独身で若い准教授、天才的な頭脳、どんなスポーツもできる運動神経、長身に端正な顔立ちから、女子学生から凄くモテます。口癖は「全ての現象には必ず理由がある」「実に面白い」などです。ドラマでの見せ場は、事件の謎が解けた時に黒板や地面、さらにはパトカーの窓など、数式を所構わず書き始めるところです。
原作者の東野圭吾
出身大学は大阪府立大学工学部電気工学科。卒業後は現在のデンソーに就職。理系街道を歩んできた彼でしたが、高校生のころから推理小説を書いており、就職後も仕事の合間に推理小説を書き、江戸川乱歩賞に応募していました。その後『秘密』で、第31回江戸川乱歩賞を受賞し、翌年に職場を退職、専業作家に。その後は、ヒット作を連発し、人気作家になりました。代表作は「秘密」「百夜行」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」などです。
容疑者Xの献身のあらすじをネタバレ!
これまで、原作やドラマでのガリレオシリーズ、原作者の東野圭吾さんについて紹介してきました。ここからは「容疑者Xの献身」のあらすじをネタバレ解説していきます。今回の「容疑者Xの献身」での主人公と言ってもいい石神哲哉と花岡靖子についてもご紹介していきます。
花岡靖子と事件の概要、殺害に気づいた石神!
「容疑者Xの献身」のある意味主人公的存在の一人、花岡靖子です。花岡靖子は結婚を二度しており、現在は弁当屋を営みながら、中学生の美里と二人暮らしのシングルマザーです。そんな彼女のもとに、別れた二番目の夫、富樫慎二がやってきます。富樫慎二は別れた後でもさんざん、花岡親子に付きまとっていました。富樫慎二にうんざりしていた花岡親子は、勢いで富樫慎二をコタツのコードで絞殺してしまいます。
今回のある意味主人公的存在のもう一人、石神哲哉です。帝都大学のときの湯川学の同期で、湯川も認めるほどの数学の天才です。大学時代は将来は大学に残り、数学の研究をしていくつもりでしたが、家庭の事情でそれは叶わず、現在は高校で数学教師をしています。石神は花岡親子の隣に住んでおり、毎朝花岡靖子の営む弁当屋でお弁当を買って出勤します。
ある夜、石神は隣の花岡靖子の部屋から、尋常じゃないほどの物音がすることに気づきます。石神は隣の部屋に行き、花岡親子が富樫慎二を殺してしまったことを知ります。これからどうしたらいいのか、困り果てた花岡親子に石神は知恵を授けます。その後、顔をつぶされ、指紋を焼かれた全裸の他殺体が発見されます。警察は現場の状況から、すぐにその遺体は富樫慎二のものと分かりました。
警察と湯川学からの追及!
富樫慎二の殺害事件で真っ先に疑われたのは、元妻の花岡靖子です。しかし、花岡靖子には完璧にアリバイがありました。実は石神が公衆電話から指示を出し、花岡靖子と美里がそれを忠実に守ることで、花岡親子は警察の捜査をかわすことができていたのです。ある日、花岡靖子はどうして自分たちを助けてくれるのかを石神に聞きます。石神は「あなたの弁当屋で弁当を買えなくなると僕は困りますから」と答えるだけでした。
富樫慎二の殺害事件の捜査は行き詰まり、警察は今までも捜査協力をしてきた帝都大学の天才物理学者、湯川学に今回も捜査協力を頼みました。湯川は事件のことを警察に聞き、大学時代の同期の石神と久々に親交を温めようと会いに行きます。湯川は石神と接触し、わずかなきっかけから石神が富樫慎二の事件に深くかかわっていると見て疑い始める。
石神は警察と湯川学からの追及に、このままでは湯川に真実にたどり着かれてしまうと考えました。とうとう石神は、自分が富樫慎二を殺した、と自首します。次に石神が立てた完璧な計画、トリックのあらすじをネタバレ解説していきます。
容疑者Xの献身のネタバレトリックを解説!
上記のあらすじから、誰もが花岡靖子の代わりに石神哲哉が自首をしたと考えるでしょう。しかし、事件はそんな単純なものではありませんでした。次に「容疑者Xの献身」のネタバレトリックを解説していきます。
天才数学者、石神の驚きのトリック
富樫慎二を殺害したにも関わらず、なぜ花岡靖子には完璧なアリバイがあったのでしょうか?天才数学者の石神は花岡靖子の富樫慎二殺害現場を見て、殺害自体をごまかすのは厳しく、この状況では完ぺきなアリバイを作るのも難しい。それなら犯行時刻をずらし、完璧なアリバイを作ればいいと考えました。そのために石神は、富樫慎二殺害の翌日に何の関係もないホームレスを殺害し、顔と指紋を消してアリバイ工作に利用するのでした。
一方、石神は本物の富樫の遺体を秘密裏に川底に沈めました。富樫慎二殺害の翌日に殺されたホームレスの遺体を、富樫慎二だと思い込む警察は1日ズレた日のアリバイを花岡靖子に尋ねました。その日の花岡親子は石神に言われ、完璧なアリバイを作っていました。こういった事情を知らない花岡親子は、なぜ警察は1日後のアリバイを聞いてくるのかと思いつつ、石神の助言に忠実に従っていました。
天才、石神が考えたのはアリバイトリックに見せかけた、死体のすり替えトリックだったのです。そんな完璧な石神の計画に想定外の人物が現れます。ガリレオこと湯川学です。湯川に事件の真実をすべて解き明かされるのを恐れた石神は、花岡靖子と美里を守るために「自分が富樫慎二を殺害した」として自首します。こうすれば、富樫慎二殺害事件の捜査は終わり、たとえ富樫慎二の本物の遺体が発見されても、花岡親子を守れるからです。
湯川はこの石神の冷酷で完璧で合理的な計画を全て見抜いていました。石神が逮捕された際、警察の友人に無理を言って、湯川は石神に接見しに行き、自分の推理を話しに行きます。当然、石神は認めません。最後に湯川はどうして彼女にそこまで尽くすのか石神に問いました。石神は答えずに接見の部屋を出ていきました。
ラストはどうなるの?
湯川は自分の推理を花岡靖子にも話しました。親しい刑事の内海薫以外の警察には伏せていた事件の真実です。それを聞いた花岡靖子は石神が自分たち親子のためにしてくれたことに驚き、心を打たれます。
花岡靖子は石神のもとへ行きます。そして、石神の姿を見つけ、自分たちだけ幸せになるわけにはいかない、自分も一緒に罪を償う、ごめんなさい、と告げました。花岡靖子の罪の告白は、石神が花岡親子のためにしてきたすべての行為を無駄にしてしまいました。そんな花岡靖子に石神は「どうして?」と言いました。そして、石神は泣きながら吠えるように叫びました。普段感情を見せない旧友のそんな姿に湯川もやるせなくなりました。
石神の涙にはどんな意味があったのでしょうか?自分が何を犠牲にしてでも幸せになってほしかった花岡靖子の幸せが叶わなくなったことに対してというのが大きいでしょう。ラストで、湯川と内海刑事が事件のことを話しているとき内海は石神は花岡靖子に生かされていたのだと呟きました。石神にとって、花岡靖子という存在は、どんなことをしてでも守りたい、幸せになってほしいと、見返りなく愛せるほど石神のすべてでした。
容疑者Xの献身が傑作と言われる理由は?
最近は小説やテレビでヒットした作品は軒並み劇場版になり、小説やテレビのあらすじを追うだけで終わるような内容の映画が多いです。しかし、そんな映画版が多い中で「容疑者Xの献身」は何十年先も残る傑作と言われています。何回も繰り返して観る人も多いそうです。なぜ「容疑者Xの献身」は傑作と言われるのでしょうか?
テレビ版の作り方じゃない!
「容疑者Xの献身」はただのガリレオの劇場版の域を超えています。まず、タイトルが「劇場版ガリレオ」ではなく「容疑者Xの献身」です。また、その作り方もドラマ版とは異なっています。「変人ガリレオ」こと湯川学が謎が解けた時に黒板や地面、パトカーの窓などに数式を書くという見せ場が「容疑者Xの献身」ではありませんでした。実質物語の主人公は容疑者Xである石神と、石神が献身的に守る花岡靖子でした。
原作ではない雪山のシーン
映画「容疑者Xの献身」では、石神と湯川学が雪山に登るシーンがあります。これは原作にはありません。湯川は石神を疑い始め、石神も薄々それに感づいています。あるとき、石神は湯川に一緒に山に行こうと誘います。山小屋で石神と湯川は語らい、湯川が石神のことを友達というが、石神は自分に友達はいないと言います。その後、吹雪く山を登る途中で、石神は湯川を置いてスタスタ先へ進み、湯川を置き去りにしようとします。
後で石神は引き返し、湯川を助けに来ますが、このシーンがあることで、石神というキャラクターに深みが出て「容疑者Xの献身」はよりドラマチックになったと言われています。このように、原作やドラマにはない、映画ならではの良さを引き出した「容疑者Xの献身」がこの先何十年も残る傑作と言われる所以です。
容疑者Xの献身の堤真一が演じる石神について考察!
ここまで、「容疑者Xの献身」のあらすじや、「容疑者Xの献身」がいかに傑作かについてネタバレ解説してきました。そこで、天才数学者、石神という人物が何を思い、何をしてきたのかを見てきました。石神の献身的な愛に心を動かされたという人もかなり多いそうです。ここでは、石神という人物がなぜ、そこまで視聴者の心を動かしたのかについて解説していきます。
数学の天才
石神哲哉は天才物理学者の湯川学が本物の天才だと認めるほどの数学の天才です。そんな石神が特に熱を持っているのは、四色問題です。四色問題は隣り合う領域は必ず同じ色にならないように塗るには四色で十分なのかという数学の問題で、すでにコンピュータで証明されています。しかし、石神はその答えを美しくないものとして、大学時代から人の手での証明に挑んでいました。
容疑者Xの献身 観終わった…
— チャッピィ&はるか (@haruka12281994) March 19, 2016
何度見ても泣ける
1番好きな台詞が「隣り同士が同じ色になってはいけない」
初めて観た時は四色問題の事だと思ったけど、何回目かでこの台詞は隣の花岡靖子(または石神自身)の事なのではないかと思ったら涙が止まらなくなってしまった
そんな数学の天才、石神は湯川と部屋で飲んだ時に数学はどこでもできると言っており、石神は留置所の中でさえも目を輝かせながら天井のシミとシミをつないで、四色問題を解いていました。そんな石神の姿に心を打たれた視聴者も多かったそうです。
石神は感情移入しやすい!
湯川と17年ぶりに再会し、石神は君はいつまでも若々しいなと言います。これで湯川に疑われ始めたのですが、この言葉に共感できる視聴者は多いのではないでしょうか?湯川学は長身でイケメン、頭が良くて、スポーツ万能、若くして帝都大学の准教授で、女にモテモテです。完璧な湯川と比べ、石神は恋愛経験に乏しく、モテない、口下手で感情表現も下手、教え子になめられている高校教師、白髪交じりで常に下を向いて歩いています。
二人とも天才的な頭脳を持ちながら、こんなに差がある石神のほうが湯川よりも感情移入しやすい人が多いのではないでしょうか。不器用に人を愛する石神は人間臭さく、視聴者に親近感を抱かせました。そして石神という「容疑者X」の献身に触れて、「容疑者Xの献身」の映画を見た人はみんな石神の虜になってしまうのです。
石神の花岡親子への深い想い
石神はなぜ、ここまで花岡靖子と娘の美里を愛したのでしょうか。それは物語の最後のほうの回想シーンから分かります。石神は過去に自殺未遂をしています。現在の自分の人生にあきれ果てた石神はアパートの自室で自殺の準備をしていました。そこに、アパートの隣の部屋に引っ越してきた花岡靖子と美里が引っ越しのあいさつにやってきます。
二人と少し挨拶をかわし、窓を開けると隣の部屋の二人の笑い声が聞こえてくる毎日。ただそれだけでも孤独な石神にとっては、この二人の存在が生きる希望になります。だから、この二人が富樫慎二殺害で困り果てていた時、何かをしてあげたい、この二人の幸せを守りたいと思ったのでした。人に興味を持たなかった石神がここまで人を愛しました。ここで、内海刑事の「石神は花岡靖子に生かされていた」という言葉が活きてきます。
こちらは、2008年に「容疑者Xの献身」の主題歌として、福山雅治さんと柴咲コウさんのコラボユニット「KOH+」の「最愛」です。福山雅治さん作詞作曲で柴咲コウさんが歌を担当しています。映画のラストで石神の深い愛情と献身に気づいた視聴者が映画の余韻に浸っているときに、この歌が流れてきます。「容疑者Xの献身」の内容を鏡に映したような歌で、涙を流す人が大勢いたそうです。
容疑者Xの献身のネタバレトリックまとめ!
いかがでしたか?「容疑者Xの献身」のあらすじやトリックをネタバレ解説してきました。天才数学者石神という人間に惹かれ親近感を抱き、その深い献身的な愛に心打たれた方も多いのではないでしょうか?「容疑者Xの献身」は原作の小説やドラマにはない映画版のスケールで、その物語をドラマチックに表現しています。実際に「容疑者Xの献身」を観て、石神の献身的な愛に涙する方も多いのではないでしょうか?