南極物語（映画）のあらすじまとめ！実話の真相や生き延びた犬のその後は？

日本映画「南極物語」はフジテレビが制作し1983年(昭和58年)に公開され、高倉健さん、渡瀬恒彦さん、夏目雅子さん、萩野目慶子さんらが出演しました。日本国内では1200万人を動員し61億円の配給収入をあげる大ヒット作となりました。これは当時の日本の歴代最高成績1位を記録し、1997年にアニメ映画「もののけ姫」が公開されるまでこの記録は破られませんでした。現在も日本映画の歴代興行収入第7位を記録しています。

南極物語は、その後もアメリカでディズニーがリメイク版を公開したり、2011年は木村拓哉さん主演でドラマ化されたりと度々話題になっています。南極物語で犬係だった2人の隊員の苦悩や、犬達の感動の実話から生まれた「南極物語」のあらすじや犬達のその後について迫っていきます。

昭和31年(1956年)南極観測隊第1次越冬隊が南極観測船「宗谷」に乗って南極へ向かいました。南極にある昭和基地で潮田暁（高倉健）、越智健二郎（渡瀬恒彦）を含む11人の隊員と15匹の樺太犬が約1年以上に渡る南極生活していました。

彼らはボツンヌーテンの標高を計測し、地質を調査するという任務を与えられていました。15匹の樺太犬と共に無事にボツンヌーテンを登り、任務を果たした彼らは、昭和基地で次の越冬隊と引継ぎ交代するために第2次越冬隊が来るのを待っていました。しかし、悪天候によって第2次越冬隊を乗せた船「宗谷」は南極へ近づくことができません。第1次越冬隊は撤退を命じられますが、犬達を連れていくことは許されません。

潮田達はやむを得ず、撤退するために15頭の樺太犬を昭和基地に置き去りにします。しかし結局、長期にわたる悪天候のため第2次越冬隊は南極への上陸、越冬を断念します。もともと第2次越冬隊が来る予定だったので、潮田達は南極を離れる際、犬達に鎖をつけたまま置いていっていました。

日本に帰国すると、犬係だった潮田は犬達を置き去りにしてきてしまったことを悔やみ、樺太犬の飼い主達のところへ謝罪の旅に出ます。リキの飼い主だった少女は激しく叱責します。潮田が謝罪の旅をしていることを聞いた越智は潮田を探し、2人は再開します。潮田は越智に「犬達をこの手で殺してやればよかった」と後悔します。

南極に残された犬達はなんとか鎖から脱出しようとします。最初に鎖から自由になったのはアンコでした。次にジャック、リキ、ジロ、シロが鎖から抜け出します。

クマ、タロも鎖から解放され、最後にはデリーが鎖を切って自由になりました。15匹の犬のうち無事に8匹は鎖から脱出しますが、基地にあった餌を全て食べつくしてしまった犬達は食べ物を求めて南極をさまよいます。氷の中の小魚を食べようとして海の中に落ちてしまった犬もいました。食べるものがない過酷な状況で犬達は生き延びようとします。

シロは氷河から転落しながらもなんとか潮田達と登ったボツンヌーテンへ行き、そのまま死んでしまいます。犬の中でリーダー的な存在だったリキはシャチに襲われるタロとジロを守って、自らが歩くことができずに亡くなってしまいます。アンコは流氷にのったまま流されてしまい、そのまま命を落とします。このように1匹1匹と次第に犬達の数は少なくなっていきます。鎖から抜け出せなかった7匹の犬は餓死してしまいました。

日本に帰国した潮田と越智は置き去りにした犬達のことが忘れられず、第3次越冬隊が結成されることを知り再び南極へ行くことを決心します。ヘリコプターで昭和基地へ行くとそこには鎖から脱出できずに餓死した犬達の姿がありました。彼らの無残な姿に2人は言葉を失います。オーロラを見て狂ったように走り、流氷にのってしまったジャックの死体も見つかりました。

しかし、それだけではありませんでした。2人の目に映ったのは2匹の犬の姿でした。タロとジロは過酷な環境の中、辛うじて生き延びていました。潮田の声に2匹は反応し駆け寄りました。南極物語では、潮田と越智はタロとジロと奇跡の再開を遂げたのです。

映画「南極物語」のストーリーは1958年に起きた犬ぞり用の犬達を観測隊が昭和基地に置き去りにした出来事を基にしています。1956年に53人の南極観測隊が22頭の樺太犬とともに南極へ出発し、そのうちの11人が南極の昭和基地で過ごしました。

翌年、第2次越冬隊が南極に向かいますが、悪天候が原因で基地にたどりつけず第1次越冬隊は帰国することになります。犬ぞりのためなどで連れてきた犬達を連れて帰ることはできず、南極に置き去りにします。第1次越冬隊が帰国するとき犬達は野生化や共食いをしないようにと鎖につながれたままでした。

奇跡の生還を果たした樺太犬の兄弟タロとジロは食べ物も少ない極寒の地で一体なぜ生き延びることができたのでしょうか。まず1つ目の理由として寒さに強かったということがあげられます。樺太犬が南極観測隊の調査犬として連れてこられたのは体が丈夫で寒さに強いからと言われています。特にタロとジロは年齢が若く、体力があったので寒さの厳しいところでも生き延びれたのでしょう。

２つ目の理由として、食べ物を自力で得ていたからということがあげられます。食料不足が続く環境の中で共食いが心配されていましたが、基地の近くでは犬達が共食いをした痕跡はありませんでした。消化しきれなかった小エビや魚が混ざっているアザラシの糞や野生のペンギンを狩って食べていたようです。

野生の動物を狩ったり、食料を隠して貯蔵したりするなど生活し続ける手段を本能的に身に着けて生き延びたそうです。また、ソ連隊が犬達に餌を与えていたという説もあります。犬達が置き去りにされた後、ソ連が飛行機の給油のため昭和基地に立ち寄り、その時に犬を発見し餌を与えていた可能性がありました。

潮田（高倉健）のモデルとなった菊池徹は実際には第3次隊には参加していませんでした。越智（渡瀬恒彦）のモデルとなった北村泰一のみが南極で犬達と再会しています。しかし、劇中では潮田と越智の両者が第3次越冬隊に参加し南極でタロジロ兄弟と再会しています。

第3次越冬隊として昭和基地へ行った北村は樺太犬2匹を目撃しますが、犬係だった北村にもこの2匹の名前が判別できませんでした。恐る恐る犬に近づきますが、犬達は警戒してしまいます。北村は「クマ？」「モク？」と名前を呼んでいきますが反応はありません。

しかし、「タロ？」と呼んだ瞬間、片方の犬の尻尾が揺れ動きました。「タロなのか？」ともう一度呼びかけると、今度は尻尾を大きく振ったのです。ではもう片方の犬はジロかもしれないと思った北村はもう1匹に「ジロなのか？」の呼びかけます。すると、犬は片足をあげて反応しました。これはジロの癖でした。生き残っていたのはタロとジロだと判明しました。

犬達は全部で15匹いました。そのうち7匹は鎖につながれたまま餓死してしまいました。発見時、体重は生きていた頃の半分にまで減少しており、胃の中からはビニールの切れ端と糸くずが見つかりました。鎖から脱出することができた犬の8匹のうちタロとジロ以外の6匹は消息不明でした。

南極物語のその後、タロは1961年に日本に帰国します。9年間、札幌市の北海道大学植物園で生活し、1970年に14歳で亡くなります。ジロはそのまま昭和基地に残り調査犬として活動しますが、翌年の1960年、第4次越冬中に5歳の若さで病死してしまいました。

南極物語の2匹の奇跡の生還は日本中に感動を呼び、2匹をたたえる歌「タロー・ジローのカラフト犬」が作られたり、15頭の樺太犬記念像が立てられたりと一大南極物語ブームとなりました。現在、南極物語の2匹の姿は剥製として保存され、タロの剥製は北海道大学植物園で、ジロの剥製は国立博物館に残されています。

映画「南極物語」のあらすじや犬達のその後について紹介してきました。奇跡の実話を基に作られた「南極物語」は今でも多くの人に衝撃と感動を与えています。南極物語は、過酷な状況の中で、必死に生きようとする犬達の姿はいつ見ても胸をうたれます。生き延びた2匹の犬、タロとジロは剥製として現在もその姿を残し、これから先もこの南極物語のストーリーは色あせることはないでしょう。

南極物語はディズニーがリメイク版が公開したり日本でもドラマ化されたりしているので、どのようにアレンジされているかなど作品を見比べてみるのも面白いでしょう。南極物語はどれも実話を基に作られている作品ですが、あらすじの細かい部分は少し違っているかもしれません。