2018年08月07日公開
2018年08月07日更新
ITの映画評価まとめ!1990版と2017版との違い・比較や感想をネタバレ
ITの映画評価などをまとめました。IT(イット)は2017年にアメリカで公開され、ホラー映画史に残るほどの大ヒットを記録しました。原作は、スティーヴン・キングのホラー小説『IT』です。過去にも1990年に映像化され話題を呼びましたが、今回の2017年版はどのような点が違っているのか、比較していきます。また、映画を見た人の評価・感想はどうだったのか、といった気になるところを少々ネタバレを交えながらご紹介していきます。
目次
IT(映画)の評価は?1990年版と2017年版の違いも徹底調査!
ITの2017年版は公開前から大変な注目を集め、アメリカで予告編動画が解禁されると、24時間でなんと1億9700万回も再生されました。また興行収入は、『エクソシスト』や『シックスセンス』を抜き去り、全米ホラー映画史上No.1である3億2,748万ドルという驚異の記録を樹立しました。以下は日本語版の予告編動画です。
そんな大ヒットしたITですが、評価や感想も気になるところです。映画評論家の町山智浩さんは、以下の動画でITについて「胸がいっぱいになる」と好評価されています。ネット上の感想を見ても、好意的なものが多いです。ただ、「青春を感じて感動した」「子供たちの絆が素晴らしかった」など、ホラー映画らしからぬ感想が多数見受けられるのは何故なのでしょうか?その謎については、後ほど詳しく迫っていきます。
ITは1990年にテレビシリーズとして一度映像化されていることもあり、1990年版と2017年版とでどう違うのか、という点も気になるところです。以下の画像は、1990年版の製品パッケージです。
まず大きな違いとしてあげられるのは、物語の構成です。1990年版は、少年時代の恐怖体験を回想する前編と、大人になった主人公らが再び恐怖に直面する後編という構成です。これに対して2017年版は、大人になった彼らのシーンはなく、全編を通じて少年少女たちの姿が描かれています。この構成の違いもあって、2017年版はホラー映画としてだけでなく、「子供たちが困難に立ち向かう青春映画」としても高い評価を受けました。
そしてもう一つの大きな違いは、進化を遂げた映像技術と特殊メイクによる恐怖感あふれる映像です。ネットの感想としても、CGの出来栄えやスタイリッシュなピエロのメイクを評価する声が多かったです。上の画像は2017年版の製品パッケージですが、パッケージを見比べただけでも、ビジュアル面が非常に洗練されているのが分かります。
IT(映画)とは?
ここで、「IT」という映画の基本情報を見ていきましょう。ITは、2017年に公開されたアンディ・ムスキエティ監督によるアメリカのホラー映画です。邦題は『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』。アンディ・ムスキエティ監督はアルゼンチン出身で、ホラー映画『MAMA』などの作品で知られています。ITの原作は、1986年に発表されたスティーヴン・キングのホラー小説『IT-イット』です。
ITは、恐怖心の化身のような殺人ピエロと、それに立ち向かう人々の戦いを描いた物語です。本作の敵であるピエロ、ペニーワイズは作品中の世界で27年ごとに出現するという設定ですが、現実世界でも27年ぶりに映画としてリメイクされました。日本国内での公開は、2017年11月3日でした。R-15指定があり、15歳未満は視聴できません。
クリエイティブな活動には敬意を払いますが、これはダメです。
イタズラの主は、私たちが恐怖にふるえながら、この風船を排水口から取り除いたことを知っておいてください。
そして、もう二度と同じようなイタズラはしないでいただきたい。
何をいっているのか分からない人は『IT』で検索して、映画のトレーラーを確認してください。
その際は、部屋を明るくして、音量も小さくして、友人や同僚と一緒に見ることをおすすめします。
ITにまつわる話として、この映画が公開されてからピエロを怖がる「道化恐怖症」を訴える人が現れた、というエピソードは有名です。また、アメリカで排水溝にペニーワイズが持っているような赤い風船をくくりつけるというイタズラに対して警察が以下のような警告文を出したという、まるで嘘のような本当のエピソードなども知られています。
IT(映画)2017年版のあらすじをざっくり紹介!
子供だけを狙った連続殺人事件
1988年、アメリカのデリーでは、子供だけを狙った連続殺人事件が起こっていました。そんな中、ビルの弟ジョージーも遊びに出かけたきり行方不明になってしまいます。弟の死を受け入れられないビルは、世間からつまはじきにされている少年少女らと共に「ルーザーズ(負け犬)クラブ」を結成し、彼らと力を合わせて連続殺人事件の謎に挑みます。
ルーザーズクラブの面々は、差別・いじめ・虐待などを受け、心に傷を持った者ばかりでした。彼らは、交流を通じて互いに絆を深めていきます。しかしやがて彼らは、恐怖を感じる体験とともにピエロのような怪物を目にするようになります。
奇怪なピエロ「ペニーワイズ」
そんなルーザーズクラブの面々に容赦なく襲いかかるのが、奇怪なピエロのような格好をした「ペニーワイズ」です。ペニーワイズは基本的に子供にしか見えない怪物で、27年ごとにデリーに現れて子供たちを襲います。ペニーワイズは恐怖心を抱いた子供が好物なので、あの手この手で子供たちを怯えさせようとします。
子供たちが恐怖を感じる姿に変身し、鋭い牙で襲いかかってくるペニーワイズ。周りの大人たちの協力が得られない中、ルーザーズクラブの面々は、怪物に立ち向かうべく奮闘します。果たして彼らは、力を合わせてこの怪物に、自分自身の中にある恐怖心に、打ち勝つことはできるのでしょうか?
IT(映画)2017年版の登場人物・キャスト
ペニーワイズを演じたのはビル・スカルスガルド
ITで敵役のペニーワイズを演じたビル・スカルスガルドは、1990年生まれのスウェーデン出身の俳優です。彼の父・兄・弟も俳優として活動されており、妹はモデルという芸能ファミリーの中で育ちました。彼は192cmの長身で、ピエロのメイクをしていない素顔はこんなにも端正な方です。
ビル・スカルスガルドは、2010年にはラブコメ映画『シンプル・シモン』で主演をつとめ、第46回ゴールデン・ビートル賞の主演男優賞にノミネートされています。2016年にはアクション映画『ダイバージェントFINAL』で、ハリウッドデビューを果たしています。ラブコメ・アクション・ホラーと、様々な役柄を演じ分ける演技の幅に定評がある俳優さんです。以下の動画では、ITの監督やキャストが彼の演技を絶賛しています。
「ルーザーズクラブ」の子役たちも熱演!
そんなペニーワイズに立ち向かう「ルーザーズクラブ」の子役たちも負けてはいません。主役のビル・デンブロウを演じたジェイデン・リーバハーは、若いながらも『ヴィンセントが教えてくれたこと』や『ミッドナイト・スペシャル』など多数の映画に出演している実力派俳優です。
その他の子役たちも、ペニーワイズに怯えるシーンなどで迫真の演技を見せています。しかしそれもそのはず、アンディ・ムスキエティ監督は、子役のリアルな反応を引き出すため撮影ギリギリまでピエロを見せないようにしていました。しかし、撮影が終わればとても和気あいあいとしていました。以下の動画では、子役たちが一緒になってダンスを踊る微笑ましい光景が見られます。
IT(映画)2017年版を見た人の評価や感想は?
IT(映画)の評価:子供たちの絆が素晴らしかった!
それでは、IT(映画)2017年版を実際に見た人は、どのような評価や感想を持ったのでしょうか?まず、Twitterやブログでは、以下のような評価が最も多く見受けられました。
IT、怪物がバシバシ出てくるホーンテッドハウスムービーとしても質・量的に申し分なく、また少年少女達が絆を深め、怪物退治を通じトラウマを克服するジュブナイル冒険譚としてものめり込めるイイ映画なので、「なんかピエロの恐いやつ!」位しか知らない人もリメイク版を期に見て欲しいですね。
— でるた (@delta0401) March 21, 2018
このように、ホラー映画でありながら子供たちが絆を深めて立ち向かって成長する様に感動した、面白かったという感想が非常に多かったです。ペニーワイズ=恐怖心の象徴なので、ペニーワイズに立ち向かうということは、自分の中にある恐怖心に打ち勝とうとすることでもあります。
念願のIT観ましたあぁぁぁ😆
— 📽あんず🎬🌈 💜 🌈 (@kodaka8181) July 29, 2018
ホラー映画だと謳っておきながら、箱を開けたら超爽やかな青春ストーリーでびっくり😲
後味は怖かったというよりも、青春独特のキラキラしたイメージが強く残ってて、見終わったら何故か元気出た😆✨
もの凄く大好物な話ですね...😋💓
2も観なきゃ...てか円盤欲しい💸💸💸 pic.twitter.com/JfF9xeGAY0
こちらの方も、ITの感想として「爽やかな青春ストーリー」と表現されています。グロテスクで後味が悪いものになりがちなホラー映画の中では、異質とも言えます。また、絆・青春・冒険などのイメージから、多くの方が「ある映画」との共通点を指摘しています。
ところがどうだろう、少年時代に設定を絞ったことが奏功し、物語は“ジュブナイルもの”の直球的な面白さをズンズンと放っているではないか。身内の失踪や学校でのいじめ、親からのDVなどそれぞれ問題を抱えた子らが団結し、人間の弱みに付け入る怪物に対して勇気を振り絞り、自分たちを苛む存在を克服しようとする。こうしたイニシエーション展開が強靭なバネとなり、本作はキング原作の高い難度を超え、ホラー版「スタンド・バイ・ミー」とでもいうべき境地へと立つのだ。
その映画とは、『スタンドバイミー』です。ITと同じスティーブンキング原作の『スタンドバイミー』は、少年たちのひと夏の冒険を描いた映画作品です。他にも、冒険映画の『グーニーズ』のようだった、との感想も多く寄せられていました。ITというホラー映画が、多くの人に淡い青春を描いた名作を思い起こさせるというのは、この映画が持つ多様な魅力を証明しています。
IT(映画)は怖い?それとも怖くない?
子供たちの絆が素晴らしい青春映画とはいっても、ITはR-15指定のホラー映画です。一体どのくらい怖いのか?という点も気になります。ネットの感想としては、「怖い派」と「怖くない派」が五分五分くらいに見受けられました。以下でそれぞれの感想を見ていきましょう。
映画 IT イット
— Japan D. Yamamura (@sakiyama384) November 8, 2017
誰もが感じたことのあるような不安や不気味な感覚が多数盛り込まれています。見ていると何度も驚かされるし、相当怖いです。最初から最後までバッチリ楽しめる作品になっていますよ。
こちらは「怖い派」のご感想です。確かに怖さの種類としては、単純な暴力・残酷描写というよりも、不安や不気味な感覚に訴えかけてくる部分が多いです。しかし、それがハラハラドキドキにつながって面白かった!という感想が多く見受けられました。
It観てきました✨
— kensuke🎥 (@chanshibu1995) November 3, 2017
凄く綺麗にリメイクされていましたね😋
精神的にくるホラー映画でした笑
僕は怖くなかったですが、先輩がビクついていて面白かったです😅
追われる系が怖い人は苦手かもしれません。
意外とグロさもしっかりありました。 pic.twitter.com/CLBLhkBYZx
上記のツイートにもあるとおり、R-15指定なだけあって、一部グロテスクな描写もあります。なお冒頭から衝撃的なシーンがあるので、心の準備はしておいた方が良いでしょう。
新IT見たけれど演出やCGの秀逸さにペニーワイズのやたらお上品な服装やなんかのせいで全然怖くない、ジュブナイルとしての出来がすごい良くてひと夏の冒険感にむしろ心が踊る作品だった。結構エンターテインメントな映画や
— アニマのもめん (@mo_menM93R) July 26, 2018
こちらは「怖くない派」のご感想です。怖くないという方は、「青春映画としての出来が良いので、怖さはあまり気にならなかった」という感想が大勢を占めていました。他にも「ペニーワイズのコミカルな動きにはむしろ笑ってしまった」なんて少数意見もありました。
上記の動画では、ITの全米公開日である「2017年9月8日」の数字を足すと27になる等、ITには「27」という数字にまつわる奇妙な一致があることを語っておられます。この奇妙な一致はスタッフが意図したものなのか、それとも?などと考えてみるのも、オカルト的な怖さがあって面白いかもしれません。
IT(映画)1990年版・2017年版の違いを比較!
①ペニーワイズのイメージ
それでは、ITの1990年版と2017年版はどう違うのかという点について、物語の鍵を握る「ペニーワイズ」と「無関係な大人たち」の2つに焦点を絞って、詳しく比較していきます。
#映画まみれの夏 #夏に見たい映画 夏でなくてもホラー映画みてるけど
— GENもち (@SPlum33) July 31, 2018
IT イット
リメイクの後編も待ち遠しい
古い方の、無邪気に見える笑顔で排水溝から顔を出しているという非日常感がより恐怖を誘う。愛嬌があるから余計に怖いんだよな
(左元祖、右リメイク) pic.twitter.com/QpYkeVxSLh
ITという映画のシンボルとも言うべき、ペニーワイズ。恐ろしくもどこか憎めないところもあるこの怪物のイメージは、どのような違いがあるのでしょうか?まずは、下記ツイートの画像をご覧ください。左が1990年版、右が2017年版のペニーワイズです。服装や髪形、表情などがかなり変わっていることが分かります。
1990年版のペニーワイズを演じたのは、イギリス出身のティム・カリーという俳優さんです。滑稽でおどけたイメージのビジュアルですが、それによって一層不気味さが増しています。1990年版は、IT原作者がペニーワイズのモデルにしたとされる、ピエロに扮した実在の連続殺人者ジョン・ゲイシーのイメージを色濃く反映しています。下の画像は、ジョン・ゲイシーが描いたピエロの絵画です。
それに対して2017年版のペニーワイズは、不気味さの中にもスタイリッシュな格好良さがあり、どことなくティム・バートン作品に通ずるものがあります。2017年版を演じたビル・スカルスガルドは、監督から「表情に狂気が宿っていた」と言わしめるほどの迫真の演技でした。2017年版のペニーワイズは、最新映像技術の効果もあり、より激しく迫力のあるイメージに仕上がっています。
②無関心な大人たち
『IT/それが見えたら終わり』がNetflixで配信されてたので観た。ホラー映画でもあるが青春映画でもあり、陰鬱な雰囲気はあまり感じなかった。正直、ペニー・ワイズより大人たちの方が生々しくて怖かった。 pic.twitter.com/nFS8ShrAzN
— Rorschach(ろーるしゃっは) (@WM_Rorschach) July 28, 2018
また、ペニーワイズが巻き起こす惨劇に対して周りの大人たちがあまりにも無関心で不気味だ、という感想も多く見受けられます。1990年版でも同様の演出はありましたが、2017年版ではよりこの点が強調されていることで、映画全体としての怖さ・不気味さが増しています。下記ツイートのように、ペニーワイズよりもむしろ大人たちの方が怖い、という感想もありました。
しかし、ここまで大人たちが無関心である理由は何なのでしょうか?ネットでは「ペニーワイズが大人たちを操っているのでは?」と解釈する方もおられましたが、このあたりは実際に見てみて推測するのも面白そうですね。下記の動画では原作者自ら、「怪物の存在を信じるのは子供だけだから、あの怪物と戦えるのは子供たちだけだ」と解説されています。
IT(映画)の評価や感想をまとめてみた
ここまでITについて書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?この映画には、ホラー映画の枠に収まらない魅力がたくさん詰まっています。それではあらためて、この映画の評価や感想をまとめていきます。
ITの特徴は、まず何といっても子供たちの絆が素晴らしい青春映画としての面があるところです。この映画の評価としては「力を合わせて困難に立ち向かう子供たちの姿に感動できて、かつ冒険にハラハラドキドキできた」という感想が最も多かったです。その意味では、ホラー映画としては珍しい作品と言えるでしょう。
しかしホラー映画の観点から見て怖くないのかと言えば、そこも心配ありません。怖いか怖くないかの口コミ評価は五分五分といったところですが、感覚に訴えかけてくるような怖さと迫力ある映像表現により、ホラーの刺激に飢えた人を満足させるに足りる恐ろしさに仕上がっています。
[映画ニュース] チビるほど怖い!? 「IT」監督、第2章は「大人用オムツをはいてきて」 https://t.co/l3ASwEHUwl pic.twitter.com/OdDbKbWMDB
— 映画.com「M:I」最新作を応援中 (@eigacom) May 3, 2018
最後となりますが、上記ツイートのとおり、ITの映画続編が2019年公開予定と報道されています。監督は続編について、「前作よりはるかに怖いから、映画館には大人用のオムツをはいていかなきゃダメだよ」と挑戦的なコメントをされています。2017年版のITをまだ見ていない方は、予習という意味でも、ぜひ一度見てみることをオススメします。