ダンケルクは評価・感想が分かれる?つまらないと言われる理由や海外の反応は?

2017年に公開されたクリストファー・ノーラン監督の映画『ダンケルク』は、アカデミー賞では8部門にノミネート、3部門を受賞するなど、海外では絶賛されています。しかし、実際に映画を観た人の評価や感想は様々で、絶賛する意見がある一方で、「つまらない」という声もあります。そこで、『ダンケルク』のあらすじや歴史的な背景と合わせて、評価や感想でつまらないと言われている理由や、海外の反応などを紹介していきます。

ダンケルクは評価・感想が分かれる?つまらないと言われる理由や海外の反応は?のイメージ

目次

  1. ダンケルクの評価・感想まとめ!つまらないと言われる理由や海外の反応も紹介!
  2. ダンケルクはどんな作品?
  3. ダンケルクのあらすじ
  4. ダンケルクの評価・感想まとめ!つまらないとの声も?
  5. ダンケルクの評価・感想まとめ!海外編!
  6. ダンケルクのキャストを紹介!
  7. ダンケルクの評価・感想は賛否両論!ぜひ作品を見てみよう!

ダンケルクの評価・感想まとめ!つまらないと言われる理由や海外の反応も紹介!

話題の映画ダンケルク

映画『ダンケルク』は、2017年に公開されました。イギリス、オランダ、フランス、アメリカの4ヵ国合作の戦争映画です。第90回アカデミー賞では8部門にノミネート、編集賞・録音賞・音響編集賞を受賞しました。

海外では高評価を得ていますが、日本ではダンケルクを観た鑑賞や評価は人それぞれで、意見が分かれているようです。「最高」と評価する一方で「つまらない」という感想も持つ人もいます。高評価から「つまらない」まで、一体なぜこんなにも評価や感想が分かれているのでしょうか。

そこで、ダンケルクのあらすじを紹介しながら、「つまらない」と言われている理由について解説していきます。また、海外での反応やダンケルクのキャスト、物語の歴史的背景などにも触れていきます。一度観てつまらないと思ってしまった人も必見です。

ダンケルクはどんな作品?

ダンケルクは史実をもとに作られた戦争映画

ダンケルクは、海外で実際に起こった出来事を元に作られた作品です。ダンケルクはフランスの地名で、フランス本土の最北端でベルギーの国境からは10キロの地点に位置しています。ル・アーブル、マルセイユに次ぐ第3の港湾都市です。

1939年9月1日にナチス・ドイツはポーランドに侵攻し勝利を収め、「まやかし戦争」とも呼ばれる睨み合いの期間を経て、1940年5月10日突如としてオランダ・ベルギー・ルクセンブルクへ侵攻を開始します。これらを破った後、5月17日に北フランスへとドイツ軍は侵攻してきました。

当時のドイツ軍は戦車や航空機を駆使した電撃戦を展開していました。機動力の高い新戦法によって、フランス軍とイギリス軍を中心とした連合軍はダンケルクに追い詰められました。そこには英仏40万人の将兵たちがいました。

イギリスの首相ウィンストン・チャーチルは兵を救うべく、救出作戦が発動されました。この作戦はダイナモ(発電機)がある海軍指揮所でチャーチルが海軍中将バートラム・ラムゼイから作戦概要を説明された事から「ダイナモ作戦」や「ダンケルク大撤退」とも呼ばれています。

9日間で860隻もの船舶が手配され、その中には遊覧船や貨物船や漁船といった民間の船までも徴用され、浜から兵士を救出していきました。小さな船たちの奇跡はイギリス国民の心に深く刻まれると共に、士気高揚に繋がりました。この時の出来事を描いたのがダンケルクという映画の背景にあります。

ダンケルクの監督はクリストファー・ノーラン

監督はクリストファー・ノーランで、代表作には『メメント』や『インセプション』などがあり、『ダークナイト』は全米興行収入第2位、世界興行収入第4位と大ヒットし、『バットマンビギンズ』『ダークナイトライジング』と合わせて「ダークナイトトリロジー」とも呼ばれています。

海外だけではなく、日本でもノーラン監督のファンは多くいます。IMAXを長編映画で初めて使用した監督としても知られ、CGも極力使わない事や、デジタルカメラではなくフィルムカメラを使って撮影をしているなど、映像への強いこだわりを持っています。今作のダンケルクにもそのこだわりか随所に現れています。

ダンケルクのあらすじ

海岸に追い詰められた英仏軍

人気のない街を6人の兵士が歩いています。空からは無数のビラが降っています。それは「包囲した。降伏せよ」と書かれていて、ナチスが戦意喪失させるために撒いたビラでした。主人公トミーは、降り注いでいるビラを何枚か集めて、ベルトを緩めて用を足そうとしていました。

その時、銃声が鳴り響きます。兵士たちはその場から急いで逃げ出します。しかし、1人1人を銃撃に倒れ、生きて身を隠せたのはトミーだけでした。反撃しようとしますが銃は弾詰まりを起こします。その間にも銃撃は止みません。何とか弾詰まりは解消できましたが、ドイツ軍の攻撃は激しく、トミーは銃を棄てて走り去ります。

塀を超えると再び銃撃が待っていましたが、それは連合軍でした。イギリス兵である事を伝え、連合軍兵士がいる土嚢を超えました。そこでもドイツ軍の追撃が待っており、トミーは走って逃げます。銃声から遠ざかると、正面には海が見えました。

海岸にはドイツ軍に追い詰められ、救出を待つ兵士たちが列を作っていました。トミーは海岸で無口な兵士ギブソンと出会います。彼は兵士の死体を埋めていて、トミーが近付いた時には足だけが砂浜から出ていました。

トミーは短そうな列に並ぼうとしますが、「近衛連隊の列だ」と言われて列から追い出されてしまいます。どの列も長く、救出まではまだまだ時間がかかりそうです。その時、トミーの目には負傷兵を運ぶ担架が映りました。

1週間前の防波堤

『防波堤』と『1週間』のテロップが現れます。これは救出作戦の1週間前という事を表しています。『ダンケルク』では、陸・海・空の3つの視点で物語が進行していきますが、それぞれに進む時間は異なります。

空からエンジン音が響きます。ドイツの戦闘機メッサーシュミットです。列は乱れ、兵士たちは逃げまどいます。中には地上からライフルで反撃する者もいました。爆弾が投下されたのを見て、一斉にその場に伏せます。トミーも耳を塞いで伏せました。爆弾によって砂が舞い上がります。着弾点はどんどんトミーに近付いてきます。

トミーのすぐ近くにいた兵士は吹き飛ばされましたが、爆撃はそこで止み、トミーは砂を被っただけで済みました。戦闘機が去っていくと、兵士たちは起き上がりました。起き上がってこない兵士は、さきほどの爆撃で死亡していました。列に並び直しますが、ある兵士が「空軍は何やってるんだよ!」と叫びました。

負傷者を運ぶトミー

さきほどの爆撃で負傷者を運ぶ兵士も何人か犠牲になり、運ばれなくなった担架がありました。ギブソンと協力して、担架を運びます。負傷兵は優先的に船に乗れるため、早く脱出できる、と考えました。

防波堤ではイギリス軍とフランス軍が揉めていました。停泊しているのはイギリスの船でフランス兵は乗せられない、とイギリス兵は怒鳴っています。船は出港準備を始めます。トミーたちはやっと防波堤に着いたところでした。兵士たちをかき分けて、何とか船に乗り込もうとします。

ドイツ軍の爆撃は続き、大きな水しぶきが上がります。出港準備は続いています。トミーは船へと急ぎますが、防波堤には爆撃で大きな穴ができていました。薄い木の板を渡し、その上を一気に走り抜け、ギリギリの所で船に乗り込む事ができましたが、定員オーバーのためトミーとギブソンは船を降ろされてしまいます。

しかしギブソンは防波堤と船の隙間に隠れて、何としてでも船に乗り込もうとします。防波堤の下に隠れていた事で上官の会話を耳にします。表向きは「共に撤退を」と言っていますが、実際にはイギリス軍のみを救おうとしています。その数は3万から4万5000人で、ダンケルクにいる40万人にはとても届きません。

すると、また空からエンジン音がしてきました。桟橋には機銃が撃ち込まれ、爆弾で兵士が吹き飛ばされ、隠れているトミーたちの近くでも着弾し、危険に晒されます。そして、爆撃によって船が沈没していきます。兵士が次々に脱出する中、トミーは船と桟橋に挟まれそうになっていたアレックスを救います。

桟橋の下には多くの兵士が泳いで渡ってきました。別の船に乗るため、トミーとギブソンは一度海に入り、体を濡らします。ようやく船に乗る事ができました。防波堤から遠ざかっていきます。沖にいる大型船に乗り、トミーとアレックスは簡単な食事にありつく事ができましたが、ギブソンは甲板にいました。

日が沈み、ギブソンが甲板から見たダンケルクは至る所から煙が上がっていました。船が動き出し、船内の兵士からは歓声が上がりますが、ギブソンは甲板で怯えていました。真っ暗な海からは「助けてくれ」「乗せてくれ」という兵士たちの声がします。

ギブソンが海を見ると、水しぶきを上げて何かが接近していました。魚雷です。船を直撃し、船内に海水が流れ込みます。船が傾きます。ギブソンは真っ先に逃げようとしますが、船内に通じるドアを開けてから海に飛び込みます。

船の中では多くの兵士がもがき苦しんでいました。一気に流れ込んだ海水によってパニック状態となりました。出入り口も閉ざされていました。絶体絶命の中、トミーの目に光が差し込んできました。トミーとアレックスは光に向かって泳ぎます。多く兵士が溺れ死んでいく中、2人は何とか脱出する事ができました。

1日前の海

イギリスの港では、海軍が民間の船に協力の要請をしていました。その中の遊覧船の1つが海でのメインストーリーの舞台となります。船長のドーソンと息子のピーターが船から余計な荷物を降ろして救命胴衣を運び込んでいます。

そこへピーターの友人のジョージが走ってやってきました。「海峡を越えてダンケルクで何人か乗せる」とピーターは言いましたが、救命胴衣は何十着もありました。ジョージは不安そうにその救命胴衣の山を眺めていました。

救命胴衣を積み込んでいると、隣に停泊していた船に海軍兵が乗り込んできました。隣の船は、軍に徴用されたようでした。ドーソンは船を出港させます。海軍に船を貸さず、自分たちでダンケルクへと向かう決断をしました。ジョージも船に乗り込み、救助へ向かいました。

ダンケルクへ向かう途中、ドーソンは前方に戦闘機の残骸を見つけました。その上には兵士もいました。ロープを投げて兵士を助けますが、ひどく怯えていました。Uボートを恐れて船室に入ろうともしません。ジョージが紅茶を差し出しますが手で払い落してしまうほど、戦闘のショックは激しいようでした。

乗っている船がダンケルクへ向かうと知ると、「イギリスへ引き返せ」とドーソンと口論になります。それでもドーソンは進路を変えません。無理矢理舵を奪おうとした兵士を止めに入ったジョージは突き飛ばされ、後頭部を強打しました。

症状はどんどん悪くなっていきます。「学校では落ちこぼれたけど、新聞に載るような事をやってみせる」とジョージはピーターに語ります。手当をしましたが、ジョージは重症でした。ドーソンの船の前方には掃海艇と、ハインケルの姿がありました。

1時間前の空

ダンケルクへ向かうイギリスの戦闘機スピットファイアの姿がありました。燃料の残りに気を遣いながら、帰投できるだけの燃料を残すように、隊長からの指示がありました。ファリアとコリンズ率いる3機のスピットファイアは、味方救援のためにダンケルクへと急ぎます。

「カレーのほうが本土から近い」と漏らすファリアですが、「カレーは敵に狙われている」と隊長に言われます。実際の歴史でも、カレーにはイギリス軍がドイツ軍に包囲されていました。3機の戦闘機が向かう先には大きな煙が上がっていました。

途中メッサ―シュミットとの空中戦が始まりました。戦闘機を1機撃破した事を隊長機に告げますが、応答がありません。ファリアとコリンズは隊長機の行方を捜しますが、海の上に浮かぶ戦闘機を発見し、隊長機である事が分かりました。周囲にはパラシュートも見えません。

位置を記録すると、ファリアとコリンズは飛び続けます。残りの燃料を確認しようとしましたが、ファリア機の燃料計は先ほどの戦闘によって破損していました。コリンズ機の残り燃料を聞きながらファリアは自機の燃料を確認していきます。2人は引き返さずにダンケルクへと向かいます。

ドイツの爆撃機ハインケルと護衛のメッサーシュミットを発見しました。掃海艇への爆撃を阻止するため、戦闘に入ります。ドイツ機を2機撃破する事に成功しましたが、コリンズ機が撃墜されました。海面へ胴体着陸し、コリンズは無事でしたが、ファリアは正確な燃料の残りが分からなくなりました。

メッサ―シュミットを撃破した時、目の前に爆撃機がいました。しかし、燃料の残りはあまりありません。引き返すか戦うか、ファリアは迷った末に戦う事を選びました。エンジンの出力を上げます。もう引き返す事はできません。

再びダンケルクへ戻されたトミーたち

トミーたちは海岸に戻されてしまいました。ギブソンとアレックスも一緒に海岸を眺めていました。小型のボートで脱出しようとして失敗する兵士や、命を絶つために海へ入る兵士もいました。海岸には遺体が流れ着いています。疲労と絶望で3人はまともに動く事ができません。

そこへ足早に移動している高地連隊を発見し、合流します。彼らは座礁している船に向かっていました。潮が満ちれば船が浮くため、船で待機しようとしていました。3時間後には潮が満ちる、と考えていましたが、潮の流れが変わっていて、満潮は6時間後である事を彼らは知りませんでした。

船の中で待っていると、甲板を歩く足音がしました。銃を構えて警戒します。足音の正体は船の持ち主のオランダ人でした。商船隊で、助けにきましたがドイツ兵が怖くて丘に隠れて船が浮くのを待っていたのです。その時、銃声がしました。船体に穴が開きました。そして潮が満ちてきて、穴から海水が流れ込んできました。

船の中では仲間割れが起き、喋らないギブソンがドイツのスパイとして疑われました。ギブソンはフランス人でした。イギリスが優先的に救出されるため、イギリス兵の服を奪っただけでした。船は沖へ出る事ができましたが、浸水のため船を捨てて脱出します。トミーとアレックスは脱出する事ができましたが、ギブソンは逃げ遅れて命を落とします。

コリンズの救出とジョージの死

ハインケル爆撃機を迎撃するため、掃海艇では戦闘態勢に入っています。そこへ、2機のスピットファイアがやってきました。ファリアとコリンズの機体です。ピーターは祈りながら、2機の様子を見上げています。スピットファイアの活躍によって、ハインケルは被弾し逃げていきます。

ピーターは煙の上がったスピットファイアを発見します。コリンズ機です。パイロットが脱出したかどうか、パラシュートを確認するようにドーソンは言います。しかし、パラシュートはでませんでした。機体は着水しました。

無事に着水したコリンズでしたが、衝撃によってハッチが開きません。海水はどんどん流れ込んできます。ですが、ドーソンの船がやってきて、ピーターがガラスを叩き割り、間一髪のところでコリンズは救出されました。コリンズはジョージの容態を見ますが「処置は正しい」としか言えません。

クライマックスの脱出作戦

海岸には多くの民間の船が集まってきました。遊覧船や漁船などの船を見た時、ダンケルクは歓声に包まれました。その中にはドーソンの船の姿もありました。ドーソンの前方に横倒しになって沈没しかけている船がありました。海には人がいて、船からは重油が流れ出しています。兵士を救っているうちに、ジョージは息を引き取っていました。

沈む商船から脱出したトミーは泳いで近くの船に移動しますが、目の前の船は爆撃を受けます。耳を塞ぎ、海中に潜ったトミーが再び海面に顔を出すと、体には重油がまとわりついていました。爆撃機が旋回して戻ってきます。

空中ではファリアのスピットファイアが爆撃機の後ろを取りました。機銃によって、爆撃機から煙が出てきました。しかし、海には重油が流れています。このまま墜落すれば油に引火してしまいます。コリンズはドーソンに船を出すように指示します。

コリンズの判断によって炎を避ける事ができました。ピーターは最後に救出しようとした兵士の手を掴んでいました。引き上げると、それはトミーでした。「やっと帰れる」と言ったトミーの表情には喜びが浮かんでいました。

海岸にたどり着いたファリア機の燃料が切れ、プロペラが止まりました。しかしまだ1機ドイツ機が残っていました。攻撃のために急降下する戦闘機を、ファリアは撃破しました。ドーソンの船にもメッサ―シュミットが攻撃を仕掛けてきますが、ギリギリのところで避けて難を逃れます。

陸・海・空それぞれの結末

燃料の尽きたファリア機はダンケルクの浜辺に着陸します。スピットファイアに火をつけて燃やすと、やってきたドイツ兵に捕まりました。その後、ファリアがどうなったのかは分かりません。

ピーターは新聞社を訪れました。ジョージの事を記事にしてもらうためです。後の新聞で、ジョージは「ダンケルクの英雄」として讃えられました。夢だった新聞にジョージがようやく載りました。

イギリスへ着いたドーソンの船は、港で兵士を降ろします。列車へ向かう兵士たちは俯いていました。彼らにとって、ダンケルクの戦いは単なる敗走でしかありませんでした。負けて帰ってきた兵士を国民は非難するだとう、と不安に駆られていました。しかし、駅に着いた兵士たちを待っていたのは国民からの歓迎でした。

ダンケルクの評価・感想まとめ!つまらないとの声も?

評価や感想は人それぞれ

ダンケルクは、人によって評価や感想にばらつきがあるようで、高評価があるかと思えば「つまらない」といった低評価まであります。海外ではアカデミー賞で3部門受賞と絶賛する声が多いのですが、日本ではそうではありません。では、どんなところが評価を分けるのでしょうか。

ここからは主に「つまらない」と言われている原因を挙げていきながら、その理由をいくつかピックアップしていきます。

全体的にセリフが少なく感情移入しづらい

映画全体を通してセリフは少な目です。キャラクターそれぞれの個性も最低限に留められています。そのため感情移入がしづらくてつまらない、といった意見もあります。登場人物の背景ストーリーなども描かれておらず、「どうして故郷に帰りたいのか」と言った部分が曖昧です。

セリフや人物の描写が少ないため、戦闘映画にある「生死をかけた人間ドラマ」といった要素が薄く、そこを期待している人にはつまらないと思われてしまうようです。キャラクターの背景などは、こちらで想像しなければならないため、人によっては高評価になり、つまらないという低評価にも結びつくのかもしれません。

しかし、この作品が群像劇として描かれており、特定の登場人物だけをピックアップしていません。群像劇としての演出にはなりますが、そのため感情移入ができなかったり、印象に残らなかったり、つまらないという感想を持ってしまう原因でもあるようです。

3つの視点の時間軸の違いが分かりづらい

作品は「陸の兵士」「民間の船」「空のパイロット」の3つの視点から描かれています。それぞれの視点からダンケルクの救出を描いているのですが、同時進行しているわけではありません。陸なら1週間、海なら1日、空なら1時間と経過する時間が異なりますが、まるで同時進行しているように細かく場面が切り替わります。

最終的には3つの視点が重なり、物語のクライマックスを迎えるのですが、視点が頻繁に切り替わるため集中力が途切れたり、混乱したりするようです。ダンケルクの救出に向かっていく様は感動できるのですが、時間軸の違いが不親切な作りと捉えられてしまい、つまらなく感じてしまうようです。

戦闘シーンの偏り

陸での戦闘シーンはほとんどありません。序盤でトミーが銃撃されるものの敵兵の姿も見えず、海岸に着いてからは航空機からの爆撃がほとんどです。戦争映画でこれだけ戦闘シーンがないのは珍しいと言えます。

実際にダンケルクの戦いにおいて、ドイツ軍は連合軍の本格的な反攻作戦を警戒し、戦車部隊を温存させて、英仏軍をダンケルクに足止めしていました。この時攻撃しなかった理由の1つにヘルマン・ゲーリングがヒトラーに電話で「空軍だけで十分」と豪語した事が挙げられています。

しかしダンケルクの近くに航空基地を持っていなかったドイツ空軍はスピットファイアと十分に戦えず、さらには砂浜がクッションのように爆撃の威力を失わせた事によって、ドイツ軍は思い通りに攻撃できませんでした。

見えないドイツ兵から襲われる恐怖とダンケルクの歴史的背景が、映画のような演出になったようです。これも評価が分かれる所で、感想も様々です。空軍のドッグファイトシーンを絶賛する評価がある一方で、空軍シーンは必要なのか、といった感想もあります。激しい戦闘シーンを期待してしまうと、つまらなく思ってしまうのかもしれません。

ダンケルクの評価・感想まとめ!海外編!

映像が美しく迫力満点!

日本国内と違い、海外ではダンケルクは非常に高い評価を得ています。海外での評価の1つに「映像の美しさ」が挙げられます。ノーラン監督の映像のこだわりは今作でも発揮されており、今作でもIMAXカメラによる撮影が行われています。そのため、通常の劇場では上下がどうしてもカットされてしまいます。

またノーラン監督はCGを極力使わないため、実際の軍艦で撮影が行われ、空中戦でも実際のスピットファイアが使われています。そのため非常に臨場感のあるリアルな映像が撮れています。海外でもこのリアルな映像が評価されています。

海外ではダンケルクの戦いから生き残った元兵士たちがワールドプレミアに招かれ、自分たちの経験が正確に描かれていると、感想が寄せられていました。「まるであの場所に戻ったようだ」とも語られており、登場人物にセリフが少ないのも、とてもリアルだったと評価されています。

予備知識の有無で評価が変わる

海外では「ダンケルク大撤退」は戦時中の有名なエピソードとして広く知られています。現在でも、イギリス国民が団結して逆境を克服しなければならない、という時のフレーズとして「ダンケルクスピリット」が使われているほど、海外でダンケルクの出来事は深く根付いています。

ダンケルクの撤退によって、フランスは抵抗する力を失い、ドイツに降伏しました。イギリスもこの作戦によって、戦車や火砲などの兵器の大半を放棄せざるを得なくなり、救出された兵士がほぼ丸腰で帰還した事で、深刻な兵器不足に陥りました。

しかし、民間船も用いた救出作戦は国民の士気を大いに高め、兵士を救出した事による人的資源も失わずに済みました。結果、後のノルマンディー上陸作戦などにおける反攻作戦の成功に結び付くなど、海外でダンケルク大撤退は歴史的に見ても重要な出来事です。

ダンケルクの出来事は、海外では有名ですが日本では正直ほとんど知られていません。さらには映画本編で歴史的背景などはまったく解説されていないため、予備知識の有無によって評価や感想は全く異なるようです。予備知識無しで観てしまうと、ストーリーについていけないまま終わってつまらない、といった評価を持ってしまいます。

ダンケルクのキャストを紹介!

トミー役:フィン・ホワイトヘッド

ダンケルクの主人公であるトミー役を演じたのは、フィン・ホワイトヘッドです。1997年生まれのイギリス人俳優で、2016年にTVドラマでデビューしたばかりの若手です。この映画の公開2年前までコーヒーショップでアルバイトをしていました。

ノーラン監督は若い兵士たちの役を20歳前後の俳優にしたいと考えました。40代の俳優に20歳の役を演じさせたくない、と思っていたようです。新人俳優ならではの新鮮な演技と、セリフが少ないながらも表情で演技をする役どころが印象的でした。

今作が映画デビュー作となったフィン・ホワイトヘッドは、これからの活躍が非常に注目される俳優の1人と言えそうです。

アレックス役:ハリー・スタイルズ

トミーに救われる兵士アレックス役は、ボーイズバンド「ワン・ダイレクション」のハリー・スタイルズです。世界的には有名なスターですが、ハリーも俳優デビューは今作からです。

トミー役のフィンとは映画を通して親友になったそうで、ダンケルクのプロモーションでは、2人でインタビューに答える姿が見られました。フィンは「映画デビューが1人じゃなくてよかった」と語っているように、映画デビューという共通点のおかげで親密になれたようです。

ファリア役:トム・ハーディ

ダンケルクにはベテラン俳優も多く登場します。その中の1人がトム・ハーディです。劇中ではスピットファイアのパイロットであるファリア役を演じました。劇中ではマスクに顔を覆われている場面が多い役柄でしたが、存在感のある演技が印象的でした。

ノーラン監督の作品にはよく出演しており、『インセプション』のイームス役で注目を集め、『ダークナイトライジング』ではベインを演じ、その存在感を示しました。ノーラン監督作品以外としては『マッドマックス怒りのデス・ロード』では主役のマックスを演じている事でも有名です。

ボルトン海軍中佐役:ケネス・ブラナー

現場で脱出作戦を指揮するボルトン海軍中佐役は、ケネス・ブラナーが演じています。シェイクスピア俳優としても有名で、「ローレンス・オリヴィエの再来」とも呼ばれています。会話の中で物語を背景を説明するようなポジションで、民間船がダンケルクにやっていた時の表情は印象的でした。

ケネス・ブラナーは『ハリ・ポッターと秘密の部屋』でギルデロイ・ロックハートを演じています。また監督としても活躍しており、『マイティ・ソー』では監督を、『オリエント急行殺人事件』では監督と主演のエルキュール・ポワロを演じています。

ダンケルクの評価・感想は賛否両論!ぜひ作品を見てみよう!

『ダンケルク』は体験する映画

ダンケルクは見る人によって評価や感想が変わる作品です。劇中での説明は最低限しかなく、やや分かりづらい作りになっていて、普通の映画と同じ見方をしてしまうと、つまらないと感じてしまいます。また、海外に比べて日本ではダンケルク大撤退は馴染みがないため、余計に分からないままになってしまう場合があります。

「つまらない」と感想を持ってしまった方も、ダンケルク大撤退が史実である、という事を知っていると、映画の感想が変わってきます。そして、何よりもダンケルクは「観る映画」ではなく「体験する映画」とも言える内容になっています。一度見て「つまらない」と思ってしまった人も、もう一度見直してみてはいかがでしょうか。

特に、劇中ではほとんど語られていないダンケルク大撤退の予備知識があるだけでも、評価は変わってきます。海外での評価の違いや、予備知識を得た上でもう一度映画を見直してみると、もしかしたら「つまらない」と思っていた感想が変わってくるかもしれません。

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