2018年07月06日公開
2018年07月06日更新
アウトレイジの加瀬亮演じるインテリヤクザ石原とは?名シーンを画像で紹介
北野武監督作品「アウトレイジ」シリーズで俳優の加瀬亮はインテリヤクザと周囲に呼ばれている石原なる人物を演じました。「アウトレイジ」は全員悪人を謳い文句にした作品で、英語も流暢に話せる頭脳を持ちながらもやはりヤクザとして働いている石原を加瀬亮が切れ気味なキレ者として演じました。「アウトレイジ」なるヤクザの世界でどのように這い登り、生き残り、そうして死んでいくのか。加瀬亮の魅力を名シーンと共に紹介します。
目次
アウトレイジのインテリヤクザ?加瀬亮が演じる石原とは?
「アウトレイジ」シリーズのインテリヤクザの石原を演じた加瀬亮ですが、果たして石原とはどういうタイプの「アウトレイジ(悪人)」だったのでしょうか。この章では石原なるインテリヤクザと呼ばれる人間とそれを演じた加瀬亮を紹介します。
アウトレイジとは?
映画アウトレイジについて
映画「アウトレイジ」とは北野武の映画作品になります。シリーズで「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」「アウトレイジ 最終章」と三部作で作られました。発表されたのは其々2010年に「アウトレイジ」2012年に「アウトレイジ ビヨンド」、2017年に「アウトレイジ 最終章」になります。暴力がテーマの映画ですが、暴力自体が北野武による解釈によって描かれているので、観客には分かりにくい部分があります。
アウトレイジのあらすじ
そこで分かりやすく「アウトレイジ」のあらすじを追っていきます。この映画は関東一円を支配する山王会を舞台に描かれています。山王会の会長は自らの傘下にいる池元組が麻薬を扱う村瀬組と兄弟杯を交わしていることに不快感をあらわにしていました。そこで村瀬組に制裁を加える為、自分の部下に池元組と村瀬組の仲を悪くさせることを指示します。
暴力がお笑いのような瞬発力で起きる映画
池元組にも村瀬組と争うよう指示が出ますが、村瀬組とは表立って争いたくない池元組は自らの配下の大友組に村瀬組を制裁を与えることを命令します。この時の暴力描写こそが「アウトレイジ」の本領です。その悪ふざけ感がたけし軍団がテレビ番組で身体をはって笑いを取っていた「スーパージョッキー」の「ガンバルマン」や「お笑いウルトラテレビ」にも似たある種暴力的描写が笑いに繋がる奇妙なニュアンスを観客に齎すのです。
アウトレイジはビートたけしのラディアルな表現欲求から生まれた
ビートたけしは笑いにラディカルな表現を求め、「北野ファン倶楽部」というTV番組を作っていました。また「ビートたけしの絶対見ちゃいけないTV」という番組では、規制が入るであろうエロスや下ネタなどもふんだんに盛り込んだ過激さを売りにしたテレビ番組を放映しています。「アウトレイジ」にも暴力描写の中で「このような表現がアリなのか。」と呆気に取られる表現が盛り込まれているのが特徴です。
加瀬亮演じる石原は大友組の金庫番だった
村瀬組を解散させることに成功した大友組はそのまま大友組のシマを事実上継承することになりました。その大友組の金庫番に石原がいました。この石原が加瀬亮です。彼は英語が話せることを良いことに、海外の在日大使を美人局をすることで脅し、大使館内にカジノを作らせました。そうしてその収益を大友組の収益として大友組のシノギは莫大なものになっていくのです。
村瀬組は麻薬を売っていた
しかし村瀬は大友組に内緒で麻薬を売っていました。池元は大友に村瀬を殺害を指示しますが、この行為を口実に大友を破門しようとします。そうして池本は自分で指示したのにも関わらずに大友を破門しました。当然怒りをあらわにする大友。大友は自らの指を詰めることで破門に関して許しを請うが、関内は「破門は池本が勝手に行った」と池本を切り捨ててしまいます。
大友組の部下は皆殺しされる
そうして大友は池本を殺害します。一方で池本組も大友組も邪魔だった関内は、二つに組が抗争するよう仕掛けます。そこで池元組若頭・小沢は指示通り、大友組の組員たちを殺害していきます。一見人のよさそうな小沢も、やはりヤクザであり殺し方には余念がなく「アウトレイジ」ならではのユニークな殺害方法を次々と実行していきます。小沢に部下を皆殺しにされた大友は悪徳マル暴・片岡刑事による説得で刑務所に入る決意します。
加藤もトップになることを企んでいた
大友が刑務所に入ることで山王会内部の抗争は終わったのですが、もともと抗争自体が山王会が起こした紛争でした。小沢は会長に挨拶に伺うのですが、加藤にその場で射殺をされてしまいます。さらに加藤は会長の関内も射殺をして、その拳銃を小沢に持たせます。実は加藤こそ自らが会長になる機会をうかがっていたのでした。
加瀬亮演じる石原は山王会の金庫番になった
刑務所に入り、安全を確保した大友でしたが、先に服役していた木村に刺されてしまいます。加藤は山王会に新会長に就任して、大友を裏切った石原は加藤の側近になり「山王会の金庫番」として名をはせていました。そうして大友が殺害されたニュースが山王会に流れるのでした。
このように「アウトレイジ」には物語的なものは殆どありません。ただ北野武監督が思いついた暴力描写をいかにユーモラスに尚且つ意味ありげに表現するかに特化した映画です。そのため続編の「アウトレイジ ビヨンド」も「アウトレイジ 最終章」も同じように暴力描写に終始して物語や筋書きのようなものは殆ど存在しません。さらにキャラクターも存在しません。ただの暴力映画、それが「アウトレイジ」なのです。
加瀬亮演じる石原が出演したのはアウトレイジとアウトレイジビヨンド
加瀬亮が演じた石原が登場したのは「アウトレイジ」と「アウトレイジ ビヨンド」になります。石原は英語を流暢に話せるのが自慢のいわゆるインテリヤクザというキャラクターを与えられています。「アウトレイジ」シリーズでは一見、頭の切れるキャラクターとして描かれていて、実際「アウトレイジ」の最後では山王会の側近にまで成り上がっています。
加瀬亮演じる石原はインテリ・ヤクザ
しかし「アウトレイジ ビヨンド」の石原は、自分が暴力の標的になると、慌てふためき周囲に当たり散らす肝の小さな弱いキャラクターを露わにします。「インテリだけど暴力にも強い」キャラクターかと思いきや、「インテリでやっぱり暴力には弱い」という非常にありきたりなキャラクターでした。ただ石原は暴力団に所属しています。
加瀬亮は石原をインテリならではの弱者として表現した
これだけ暴力に弱い石原が、金庫番という形で山王会の会長の側近にまで上り詰めるのは並大抵の努力では無かったでしょう。周囲に指示をする能力はありますが、暴力にさらされると簡単に自分の上役さえ裏切る石原の弱さは、現代的なヤクザ像というよりも、その小利口さは石原も結局、他の弱いヤクザと同じであったという安堵感と物足りなさを感じさせます。
石原演じる加瀬亮は暴力を持たないインテリが暴力の中で戦う姿を演じた
結局、石原も暴力に駆逐されますが、それは石原のインテリジェンスが否定されたのではありません。何故ならこの世界では全ての人間が頂上に立つため、他人を蹴落とそうとするからです。その暴力の渦中で石原はインテリジェンスを武器にして、戦っていました。このことから「アウトレイジ」は暴力描写に徹しながらも、「アウトレイジ」という世界自体に対する一種のアンチテーゼとして機能してるのです。
アウトレイジはただの暴力映画?
「アウトレイジ」が否定しようとしていたのは、頂上に上るために人を平気で裏切ることや人を殺害することです。そうして暴力に一見意味があるヤクザの世界を描き、尚且つ暴力描写をユーモラスにサドの作品群のように妄想的に描くことで、妄想や暴力自体には意味もなく、ただの暴力であることを暗示しています。「アウトレイジ」の有効性はここにあるのです。
アウトレイジのインテリヤクザと呼ばれる石原ってどんな人物?
さて「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」に登場したインテリヤクザ・石原なる男は一体どのような人物なのでしょうか。眼鏡を掛けた優男風であり、その神経質そうな風貌と、流暢に英語を話せる知性。そうして暴力に対する耐性の無さ。そんな石原を紹介します。
加瀬亮演じる石原は山王会池元組内大友組組員の一人
加瀬亮演じる石原は山王会池元組内大友組組員の一員であり、その中でも金庫番を担当しています。またヤクザの中でも非常に現代的な考え方をしています。その考え方から海外の在日大使を美人局で脅し、大使館内に闇カジノを経営するといった倫理性の無さが垣間見えます。さらにその収益も吸い上げ莫大なシノギを達成することで、自分の実力を山王会内でアピールをすることに余念がありません。
加瀬亮演じる石原は英語も流暢に話せるインテリタイプ
さらに石原は英語も流暢に話せるインテリでもありました。石原はかつて大学に通っていたか海外に住んでいたかどうかまでは分かりません。それは「アウトレイジ」の中では登場人物は平気で嘘をつくからです。物語の筋が見えにくいのもそのせいで、映画内事実として起こった出来事しか「アウトレイジ」内では真実はなく、さらに映画内で起こった出来事さえも平気で覆るのが「アウトレイジ」の世界なのです。
加瀬亮演じる石原は観客の妄想を描き出した
ですから、本当は石原が英語を喋れなかったとしても、なんら不思議はありません。裏側で毎日英語の勉強をしていたとしても不思議はないでしょう。多分加瀬亮は英語を話せると思えますが、その観客が知っている客観的事実さえも平気で覆るのも「アウトレイジ」の特徴であり暴力描写が妄想・空想的にかじられるのもそのせいです。
アウトレイジは物語が連続しない映画
ですから「アウトレイジ」の世界では、首を斬られたり、日本刀で斬られたり、拳銃で撃たれたりしなければ「彼らは本当に死んだのだろうのか。大友でさえ『アウトレイジ』で刺されたのに『アウトレイジ ビヨンド』では生きていることになっているし。」と疑えます。そうして映画同士も実は連続していない世界としても捉えられます。それはまるでコミックなニュアンスを観客に持たせられるのが「アウトレイジ」になります。
暴力と芸の狭間で
この世界観は北野武が漫才師としてボードヴィル芸を行っていたことから培われた感性なのでしょう。もともと舞台出身だからこそ、その場の瞬発力がものを言います。ストーリー展開にもどこかざっくばらんな所を持ち合わせながらも、リアリティを失わないのは、北野武自身が「アウトレイジ」のストーリーを楽しみながらも仕方がないなぁ、とあきれていて、傍観者の部分があるからではないでしょうか。
アウトレイジの石原を演じたのは加瀬亮!
他のヤクザとは異なる役を熱演した加瀬亮!
そんな「アウトレイジ」でクレイジーな世界観のなかで石原を演じたのは加瀬亮です。加瀬亮は一見優男タイプで暴力を振るいそうには見えません。「アウトレイジ」には三浦友和も出演していて、一見人が良さそうな人間が実は全員悪人(そもそもヤクザを演じているわけですから)というのも「アウトレイジ」という映画のアピール要素になっています。
加瀬亮が映画俳優を志させたのはジョン・カサヴェテス!
加瀬亮が演じた石原は他のヤクザとは違って、殆ど暴力を振るわず、言葉使いも冷静です。その異様な存在感を演じたのが加瀬亮なのですが、もともと加瀬亮を映画の世界に導いたのは、アメリカ・インディペンデント系の父とも呼ばれている、ジョン・カサヴェテス監督の「こわれゆく女」だったそうです。
ジョン・カサヴェテス監督は映画の中に今まで表現されえなかった空気感や世界観を表現した監督でもあり「グロリア」や「オープニング・ナイト」「アメリカの影」によって、所謂ハリウッド的な美男美女を俳優に起用せずに、映画ならではの演じること自体をテーマにしたリアリティを実験的作風を駆使して表現した監督です。
加瀬亮は本当に英語を流暢に話せる!
実際加瀬亮は父親の仕事の都合で、7歳から都合7年間、海外で暮らしていた経験があるそうです。その経験が英語を流暢に話すこと自体を不自然なく演じることが出来たのでしょう。オダギリジョーやあの押尾学もオーディションに参加したそうですが、加瀬亮は舞台でも英語で挨拶するなど行っていたこともあり、英語自体に殆ど抵抗が無かったのが「アウトレイジ」に起用された一助にもなったのでしょう。
加瀬亮演じる石原の切れ者ぶりが好評!
「アウトレイジ」において加瀬亮が演じる石原は暴力を殆ど振るわず、自分も暴力の渦に中ではなかなか巻き込まれずに生き延びます。その姿と冷静であり冷酷な演技の質が非常に高く、北野監督の予想を上回る出来だった為、出演シーンがだんだんと増えていったそうです。そうして加瀬亮の最後の姿はピッチングマシーンの玉の餌食になる永遠に暴力に中に居続けることになります。
加瀬亮の代表作それでもボクはやってない
また、加瀬亮の英語は、実際に同時通訳をする仕事をしている人の目から見ても完璧だそうです。さらに加瀬亮は『それでもボクはやってない』では犯罪加害者にされてしまう役を演じています。その弱者ぶりと「アウトレイジ」における切れ者ぶりの幅広さは驚くべき役者としての器の大きさです。また加瀬亮は商社の社長の息子でもあったそうです。
加瀬亮と戸田恵梨香が共演したSPEC
出典: https://eiga.com
さらに加瀬亮は「SPEC」というスペックホルダーという超能力者を扱う公安の警察官を演じてもいました。坊主頭で厳つい雰囲気は「それでもボクはやってない」や「アウトレイジ」のヤクザとも違ったアクション俳優の雰囲気を出しています。加瀬亮は他にも「3月のライオン」や「重力ピエロ」等に出演しています。
北野監督作品には加瀬亮や三浦友和がラブコールを上げて出演していた
「アウトレイジ」は世界のキタノの映画作品ということで、出演者から次々とラブコールがあったそうです。加瀬亮や出演者たちが嬉々として、「アウトレイジ」という暴力映画に出演することをテレビで宣伝する姿は、どこか微笑ましいものがありました。それはテレビや映画、お笑いの世界等芸能の世界で生きる人々や俳優たちから、海外にアピールできる作品を作り続ける監督に対する敬意を感じられるからです。
アウトレイジの石原の名シーンを画像とともに紹介!
そこで「アウトレイジ」および「アウトレイジ ビヨンド」の石原演じる加瀬亮の名シーンを画像と共にご紹介したします。冷酷な顔から最後の感情爆発の顔まで「アウトレイジ」の加瀬亮の顔面の演技が魅力の映画です。またピッチングマシーンの前で見せる加瀬亮の顔は必見です!
一気にどん底へ叩き落とされた石原を加瀬亮が熱演!
ピッチングマシーンの前で神妙な顔をする石原を演じる加瀬亮の顔は必見です!俳優のセリフの約半分は「バカヤロー」「コノヤロー」で彩られるであろう「アウトレイジ」だからこそ、表情のちょっとしたニュアンスから登場キャラクターが裏側では実は何かを考えていたり、実は何にも考えていなかったりという裏読みを可能にしています。加瀬亮演じる石原も相手を威圧する顔を作りながらも神経質な雰囲気を醸し出しています。
暴力の恐ろしさを感じさせる加瀬亮
突然切れる加瀬亮演じる石原。普段は頭脳を駆使することで相手を陥れることには慣れているのに、自分が暴力のなかにいることは慣れていないので、その暴力に対しては周囲に当たり散らすことしかできません。普段から駆使する頭脳も全く役に立たなくなっています。暴力性に彩られながら一番恐ろしさを体感したのは加瀬亮演じる石原だったのかもしれません。
アウトレイジでは、加瀬亮が一味違うヤクザをクールに演じていた!
今回「アウトレイジ」及び「アウトレイジ ビヨンド」で加瀬亮は周囲とは一味違ったインテリ・ヤクザをクールに演じていたことを紹介しました。その過激な暴力の世界で生き残るためにあらゆる手段を使う姿は感動的でもあります。今後も加瀬亮の活躍を見ていきましょう!