2019年07月11日公開
2019年07月11日更新
ゴールデンボーイのあらすじ結末ネタバレ!感想や評価・原作と映画の違いを比較検証
1998年に公開された鬼才ブライアン・シンガー監督のサスペンス映画「ゴールデンボーイ」。「グリーンマイル」などで知られるスティーヴン・キングの同名小説を原作とした本作は、ナチ戦犯で今は隠遁生活を続ける老人と感受性の豊かな秀才少年との危険な交流を描く問題作となっています。これからゴールデンボーイの結末までのあらすじをネタバレで、そして映画を観た方や読者の感想や評価、さらには原作と映画の違いの比較検証まで情報をまとめてお届けします!
目次
ゴールデンボーイとは?
ゴールデンボーイの映画作品情報
1998年に公開されたブライアン・シンガー監督のサスペンス映画「ゴールデンボーイ」。そのあらすじや結末ネタバレに入る前に、ゴールデンボーイの作品情報を紹介します。
ゴールデンボーイの概要
「ゴールデンボーイ」(原題:Apt Pupil)は、1998年にアメリカで制作されたサスペンス映画です。「グリーンマイル」などで知られるスティーヴン・キングの同名小説を原作としています。以下に制作スタッフを紹介します。
- 監督:ブライアン・シンガー
- 脚本:ブランドン・ボイス(本作でデビュー)
- 制作:ジェーン・ハンシャー、ドン・マーフィ
- 撮影:ニュートン・トーマス・シーゲル
- 音楽:ジョン・オットマン
- 衣裳:ルイス・ミンゲンバック
- 美術:リチャード・フーヴァー
出演は、主人公トッド役に「マイ・フレンド・フォーエバー」のブラッド・レンフロ、ナチ戦犯クルト・ドゥサンダー 役には「X-メン」マグニートー役で有名なイアン・マッケラン。そのほか「ロングタイム・コンパニオン」でゲイの男性を演じたブルース・デイヴィソン、「ハッピィブルー」のデイヴィッド・シュワイマー、「ラリー・フリント」のヤン・トリスカなど豪華共演陣が名を連ねます。
学校の授業でホロコーストについて学んだ少年トッド。ナチスの残虐行為に関心を抱き図書館で書物を手に取り調べ上げます。ある日潜伏するナチ戦犯の老人とバスの中で偶然合い彼との交流が始まります。自身の内面に潜む邪悪さに目覚めていく少年の心の動きを描いたサスペンスとなっています。
ゴールデンボーイの予告編動画
続いて、ブライアン・シンガー監督の映画「ゴールデンボーイ」の予告編動画をご覧いただきましょう。残念ながら日本語字幕はありませんが、ナチ戦犯との出会いを通じて少年の心に起きる変化が、ブライアン・シンガー監督の創り出す映像を通じて表現されているのではないでしょうか?
映画監督はブライアン・シンガー
映画ゴールデンボーイの監督を務めたのは、1965年9月17日にアメリカ/ニューヨークで生まれたブライアン・シンガーです。若い頃から8ミリ映画を制作していたブライアン・シンガーは、1993年「パブリック・アクセス」で監督デビューを果たすと共に、サンダンス映画祭審査員グランプリに輝きます。その後ブライアン・シンガーは、2000年「X-メン」続く2003年の「X-MEN2」で人気監督の仲間入りを果たします。
一方テレビシリーズでブライアン・シンガーは、世界的な人気ドラマとなった「Dr. HOUSEドクター・ハウス」の制作総指揮を務めたことで有名です。そのほか、2006年の映画「スーパーマン リターンズ」、2008年ヒトラー暗殺計画を扱った「ワルキューレ」、2018年にはロックバンド「クイーン」の伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」の制作を手掛けるなどブライアン・シンガーは数々の話題作を提供しています。
ゴールデンボーイのあらすじ結末ネタバレ
あらすじネタバレ①老人との出会い
ここからは、ゴールデンボーイのあらすじを結末までネタバレで紹介します。映画の舞台はロサンジェルス郊外の住宅地。スポーツ万能な秀才の高校生トッド・ボウデンは、授業で第二次大戦中にナチス・ヒトラーが行ったホロコースト(大虐殺)のことを知り、図書館でその実態を調べます。
そんな折、バスの中でナチ戦犯クルト・ドゥサンダーによく似た人物を目撃します。その後、彼の住まいを突き止めたトッドは、アーサー・デンカーと名を変え暮らしている老人宅を訪ねます。
あらすじネタバレ②老人の正体
トッドの突然の訪問は、イスラエル政府発行の手配写真と老人の人相を照合した上でのことでした。一人寂しく暮らすデンカーは、かつてアウシュビッツ収容所で副所長をつとめていたナチ犯のドゥサンダー当人だったのです。
初対面の少年に正体を見破られ動揺するドゥサンダーに、トッドは決して口外しないから、彼がアウシュビッツで行った虐殺の数々を話してほしいと頼みます。拒み続けるドゥサンダーでしたが、毎日のように訪ねて来てはせがむトッドに気持ちが揺らいでいきます。
あらすじネタバレ③成績の低下
ナチスのことが頭から離れないトッドは勉強にも身が入らず成績はガタ落ちします。学校のカウンセラー、エド・フレンチは、トッドの両親を学校に呼び出します。ところが3者面談当日、トッドがカウンセリング室に入ると、そこにはドゥサンダーの姿がありました。
彼はトッドの祖父に成りすまして出席できない両親に代わりやって来たのでした。そして、フレンチから学期末試験でトッドがオールAを取れば不問にするという条件を引き出します。ドゥサンダーはトッドに猛勉強を強制し、トッドは見事オールAの成績を上げました。
一方でドゥサンダーはトッドが彼に殺意を抱き始めたのを感じ、トッドに釘を刺します。ふたりの事を記した手紙を銀行の貸金庫に預けてあり、自分に何かあれば公開されるよう手を打ったと言うのです。
ある日、ドゥサンダーは自分をつけてきた浮浪者のアーチーを家に入れます。隙を見てナイフで脅すとアーチーは地下室に転落、ところがドゥサンダー自身も心臓発作で倒れてしまいます。必死の思いでドゥサンダーはトッドを呼び出し、トッドはアーチーにとどめを刺すよう命じます。トッドはスコップでアーチーを殺害、死体を埋めてから救急車を呼びました。
あらすじネタバレ④老人の自決
病室に見舞いに来たトッドにドゥサンダーは貸金庫の手紙の件は嘘だったと告げます。ところが、想像もしないことが起こります。同室の隣のベッドにアウシュビッツの生存者クレイマーが居たのです。彼はすぐさまドゥサンダーを当局に告発、イスラエル政府関係者ワイスコップとFBI捜査官のリッチラーがやって来てドゥサンダーに体調が回復次第連行する旨を伝えました。
一方、トッドは首席で高校を卒業します。ところがトッドの両親と会ったフレンチは、かつて面談に同席した老人がトッドの祖父ではないことを悟ります。後日新聞でその老人がドゥサンダーだったと知ったフレンチは、トッドに問いただします。
しかしトッドは、成績を良くする代わりに性的関係を求められたと吹聴すると言ってフレンチを脅します。その頃病院ではドゥサンダーが自ら命を断ちました。優秀な教え子に全てを託して…。以上が映画ゴールデンボーイの結末までのネタバレあらすじでした。
ゴールデンボーイの原作と映画の違い
原作と映画の違い①アンディ・デュフレーン
次にゴールデンボーイの原作本と映画の違いについて解説します。最初は原作にはあるのに映画では割愛されたエピソードです。原作本では、トッドにドゥサンダーが昔話をする場面でアンディ・デュフレーンという人物が登場します。
アンディ・デュフレーンとは、スティーヴン・キングの小説を原作とした映画「ショーシャンクの空に」の主人公です。小説では、アンディがドゥサンダーに投資アドバイスをしていたという件(くだり)があります。ゴールデンボーイのデンカーとショーシャンクの主人公が繋がっていたことになるのです。
原作と映画の違い②トッドがラストで狂う
次に、原作と映画の違いは結末のあらすじにもありました。映画では、結末でトッドとデンカーの関係に気付いたカウンセラーをトッドが脅迫して他言できないようにします。ところが原作小説の結末では、トッドがフレンチを手にかけてしまうのです。
結末直前でカウンセラーのフレンチがトッドの嘘を追求するところまでは同じですが、その直後にトッドはフレンチをライフルで撃ち殺してしまいます。そして、遂にトッドの邪悪な感情が爆発します。フレンチを殺害したトッドは、手にライフルと400発の銃弾を持ったまま高速道路へと向かいます。その後のシーンは描かれていませんが、読者は陰惨で狂気に満ちた結末を予感することでしょう。
ゴールデンボーイの主な登場人物とキャスト
トッド・ボーデン役/ブラッド・レンフロ
学校の授業で第二次大戦中にナチスが行ったホロコーストについて学んだ、どこにでもいるような秀才のトッド。そんな主人公トッドを演じたのは、アメリカ/テネシー州出身の俳優ブラッド・レンフロ(1982年7月25日-2008年1月15日)です。
ブラッドは、1994年公開の映画「依頼人」のオーディションで主役に選ばれデビューを飾ります。その後本作にも主演、東京国際映画祭で最優秀男優賞を受賞します。さらには「BULLY ブリー」や「マイ・フレンド・フォーエバー」、「17セブンティーン」でも主演を務めるなど華々しい活躍を見せますが、ヘロインの過剰摂取が原因で2008年1月15日25歳という若さでこの世を去りました。
クルト・ドゥサンダー役/イアン・マッケラン
アーサー・デンカーは一人寂しく暮らす老人。しかし、元ナチス将校だったことをバラすとトッドに脅され、ナチスが強制収容所でユダヤ人に行った残虐行為を生々しく語り始める。そんなナチ戦犯の老人アーサー・デンカーを演じたのは、1939年5月25日イングランド出身の俳優イアン・マッケランです。
イアン・マッケランはイギリスを代表する俳優のひとりです。ケンブリッジ大学卒業後は舞台役者として活躍します。転機となったのは1981年の「アマデウス」ブロードウェイ公演で、トニー賞演劇部門の男優賞に輝きます。
映画では1998年「ゴッド・アンド・モンスター」や2001年「ロード・オブ・ザ・リング」のガンダルフ役ででアカデミー主演男優賞にノミネートされました。また、2000年~2006年のテレビシリーズ「X-MEN」ではマグニートーを演じるなど精力的に活動しています。
エドワード・フレンチ役/デヴィッド・シュワイマー
トッドの通う高校のカウンセラー、エドワード・フレンチを演じるのは、1966年11月2日ニューヨーク生まれの俳優デヴィッド・シュワイマーです。彼はテレビシリーズ「フレンズ」の大学教授ロス役で一躍有名になりました。
高校で演劇クラスを受講、その後ノースウェスタン大学に進んだ後、学友と劇団「Lookingglass Theatre Company」を設立します。劇団では俳優から監督・脚本までこなしました。1994年テレビドラマ「フレンズ」で人気を博します。また、デヴィッド・シュワイマーは監督としても活躍、2007年には映画「ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ」を監督しました。
ゴールデンボーイに関する感想や評価
思春期の病的な狂気!
映画「ゴールデンボーイ」特集の締めとして、ゴールデンボーイに関する感想や評価を紹介します。最初の感想・評価は、初見ではなく久しぶりに観たという方です。
「ゴールデンボーイ」
— Synovu (@synovu) January 28, 2019
ナチスに強い関心を持つ秀才の少年が、ナチスの残党を見つけ…。久しぶりに観た。実際に起こり得る題材のキング原作は、『クジョー』にしても映像に向かない事が多いけど、思春期の病的な好奇心と盲進、消える事のない狂気がうねりまくる。やっぱ好きだ。#ゴールデンボーイ
映像化が困難ななスティーヴン・キングの原作を見事に映画化し、思春期の病的な好奇心や盲進、そして消える事のない狂気がうねりまくっているのに改めて心を揺すぶられたと言います。一度は観ておきたい映画と言えるのかも知れません。
原作こそキングの世界!
ゴールデンボーイに関する感想や評価、続いては映画もいいけど原作派という方です。衝撃的な内容のジェームズ・キング作品の中でも、このゴールデンボーイは特別だといいます。何度読んでも飽きずたまらない気持ちになると言いますから、寝る前に読むのは注意した方が良いのかも知れません。
うおーー!なんか急にゴールデンボーイ読みたいわぁーーー!!たまに来る発作。衝動。これは映画もいいけど原作派だわ。最近寝る前読んでる本とかえようかしら。なんだかこの小説はキングの中でも何度読んでも飽きないのよね。たまらない気持ちになるのよ。#スティーヴンキング #ゴールデンボーイ pic.twitter.com/EvpFYSVCji
— 座り (@maa_suwari) February 6, 2017
人間の邪悪な一面を描いた怖い映画!
ゴールデンボーイに関する感想や評価、今度は本作を人間の恐ろしい本能を描いた怖い映画と評する方です。封印していたホロコーストの記憶を取り戻した老人が、好奇心旺盛で頭脳明晰な少年をナチ思想に洗脳していく恐ろしい物語なのです。
ゴールデンボーイ
— ハランベック (@ksZpsezG9HWCLBS) August 25, 2018
ナチスの戦犯の老人と少年の危険な交流を描くサスペンスドラマだ。
封印した大虐殺の記憶が少しずつ老人を、"過去"に戻していく…。そして少年もナチスの思想に洗脳されて…。
開き始めた地獄の扉は戻らない。人間の恐ろしい本能を描いた怖い映画だ。#1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/fmdCLTKmCk
セリフじゃなくて画で語る!
映画ゴールデンボーイに関する感想や評価、続いては、セリフじゃなくて画で語るトコが良いと本作を評価する方です。普通の人が見逃しがちなシーンに注目しています。
スティーヴン・キング原作の映画『ゴールデンボーイ』を今更初観。監督がブライアン・シンガーだったんですねコレ。セリフじゃなくて画で語るトコが良くて、特に病院での隣の患者の演技と演出が凄い。最後のシーンのバスケボールをダムダムしてるの、最初の方のあのシーンとの対、殺戮者の遺伝子継承。
— 上田宏 (@UEDAsensei) October 24, 2017
特に、病室でドゥサンダーの隣のベッドに横たわる患者の演技と演出が凄いと言います。またラストシーンでのバスケボールが最初の方のシーンと対になっていて殺戮者の遺伝子の継承を表現しているということでした。
ゾッとするラストの凄みがなくなっている!
映画ゴールデンボーイに関する感想や評価、最後は映画では原作にあったラストの凄みがなくなっていると言う方です。原作の後半を支配していた残虐さは後退し、トッドの変貌とドゥサンダーの蘇りの描写に凄みが亡くなっていたと嘆いています。
ゴールデンボーイ。スティーブンキングの原作が気に入って鑑賞。途中まではイメージ通りですごく面白かったけど、後半原作の残虐さがなく、トッドの変貌とドゥサンダーの蘇りがよく描かれて無くて残念。原作ではゾッとするような余韻が残るラストだったのに、映画ではそれがない。原作通りが良かった! pic.twitter.com/2RAfPwOoFg
— Movielover (@miyagumpshrimp) January 27, 2018
映像化の1つの限界点なのか、それとも意図してそうした脚色、演出を加えたのか、観る人それぞれが感じるべき問題なのかも知れません。
ゴールデンボーイのネタバレまとめ
ここまでブライアン・シンガー監督の映画ゴールデンボーイを特集し、あらすじや結末ネタバレから観た方、読者の感想や評価、さらには原作小説と映画の違いを比較検証しお届けしてきました。
原作と映画の違いでは、大きく二つのポイントがありました。一つは原作にはあったのに映画では削られてしまったもの。それは、アンディ・デュフレーンという人物です。彼は同じくスティーヴン・キングの小説を原作とする「ショーシャンクの空に」の主人公で、ドゥサンダーに投資アドバイスをする人物のとして登場、2つの小説が繋がっていると言う面白い演出でした。
もう一つはラストの部分。映画では真実を追求するフレンチをトッドが脅すに止めていますが、原作ではライフル銃で撃ち殺してしまうのです。一度観た方でもこうした情報を得てからご覧になると、また違ったゴールデンボーイの世界が開けてくるかも知れません。