2019年04月17日公開
2019年04月17日更新
映画『ハッピーエンド』は日本の事件がきっかけ?謎シーンの真相は?
ミヒャエル・ハネケ監督の最新の映画となる「ハッピーエンド」は、日本で起こった実際の事件をモチーフにした映画であると言われています。今回はそんなハッピーエンドという映画について、ネタバレを多大に含めたあらすじや感想などについてもまとめてご紹介します。更に映画に関する謎のシーンも解説していくので、ネタバレ解説を知って映画を鑑賞した後には人におすすめしたくなる映画でもあるかもしれません。
目次
ミヒャエル・ハネケの最新映画『ハッピーエンド』とは?
家族というものを主題として扱う事の多いミヒャエル・ハネケの映画ですが、そんなミヒャエル・ハネケの制作した「ハッピーエンド」という最新映画もまた、家族というものについて考えさせられる映画となっています。今回はそんなハッピーエンドというおすすめ映画について、あらすじをネタバレ込みでご紹介していくと共に、日本で起こった事件が関係しているという映画の内容について詳しくご紹介します。
映画『ハッピーエンド』の基本情報
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ミヒャエル・ハネケの制作する最新の映画「ハッピーエンド」は2017年に制作された映画で、とある秘密を抱えた家族のお話を描いた映画となっています。舞台となるのは多くの難民が暮らしているフランス北部の町ですが、映画の中で主人公となるのは裕福な家族です。日本の事件も影響した映画なので、実在の事件をモチーフにした映画が好きであるという人にもおすすめできる作品かもしれません。
映画『ハッピーエンド』の予告編
映画ハッピーエンドのネタバレ無しの予告編動画を観てみると、序盤から裕福な家族の暮らしの様子が窺えます。ミヒャエル・ハネケという監督の作る映画が好きだという人も、ミヒャエル・ハネケをまだ知らないという人もきっと夢中になって鑑賞する事ができる最新映画となっている筈です。ヒューマンドラマを好んで観るという人には特におすすめと言える映画かもしれません。ネタバレを知った後でも楽しめます。
映画『ハッピーエンド』は『愛、アムール』の続編?
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ミヒャエル・ハネケ監督の制作した映画の中に、「愛、アムール」という映画があります。ハッピーエンドでは、愛、アムールの設定をそのままの形で引き継いだ登場人物の姿を見る事ができます。ただしハッピーエンドは続編として制作された映画ではなく、あくまでもミヒャエル・ハネケ監督が愛、アムールで使用していた設定を好んでいた為に、最新作でも同様の設定が使用される形となっただけであるそうです。
おすすめ映画『ハッピーエンド』のあらすじネタバレ!
続いては最新映画のハッピーエンドについて、ネタバレを含めたあらすじをご紹介します。タイトルだけを見るとハッピーな映画が好きな人におすすめしてしまいそうな作品ですが、ネタバレを知ると誰彼構わずはおすすめできない映画かもしれません。まだハッピーエンドという映画を観た事がないという人は、ネタバレだらけとなっているので閲覧にはくれぐれもご注意ください。
あらすじ①家族として迎えられるエヴ
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13歳の少女エヴは、母親が倒れて入院した為に別居していた父親の元で生活をする事となりました。父親は新しい家族を持っており、祖父や姉家族も共に暮らしています。姉アンヌとその息子は建設会社の経営をしていましたが、エヴがやってきた日に崩落事故を起こしてしまいました。二人は喧嘩が絶えなくなり、その一方でエヴの父トマは家族に愛情を注いでいるものの、チャットを利用して女性と卑猥な会話をしている事がわかります。
あらすじ②家長ジョルジュの自殺未遂
ある日祖父ジョルジュが行方不明になり、前日の晩に車で追突事故を起こしていた事がわかります。車椅子生活となったジョルジュは周囲の人物に拳銃の準備を頼みますが、聞き入れて貰えません。そんな中で迎えたジョルジュの誕生日パーティーでは、終始和やかな雰囲気とはいかずぎくしゃくとした空気が漂っていました。そんな時、エヴの母親が昏睡状態のまま命を落としてしまったと知らされ、エヴはトマに引き取られる事となります。
あらすじ③エヴの自殺未遂とジョルジュの告白
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トマが女性とチャットをしている事を知っていたエヴは、現在の妻や自分までもを捨てるのではと不安を抱えます。トマはその想像を否定してくれましたが、エヴは薬の過剰摂取によって自殺未遂を起こします。そんなエヴに対して秘密を打ち明けてくれたのはジョルジュでした。ジョルジュは介護生活の末に、愛する妻を自らの手にかけていました。エヴもまた過去に同級生を毒殺しようとした経験がありました。
あらすじ④海に沈みゆくジョルジュ
海辺のレストランでアンヌの婚約パーティーが開かれていました。しかし母と子の衝突によって険悪なムードも漂い、ジョルジュはその場を離れたいとエヴに頼んで、二人は海へと向かいます。やがてジョルジュの指示で傍を離れたエヴは、自ら海へ向かって車椅子を進めるジョルジュの姿を動画で撮影していました。海に沈んでいくジョルジュに気付いたトマやアンヌは慌てて駆け出し、エヴはその姿を撮り続けていました。
ミヒャエル・ハネケが語る映画『ハッピーエンド』
映画のタイトルとは異なり決してハッピーエンドとは言い難い結末を迎えた「ハッピーエンド」という作品ですが、続いてはハッピーエンドを制作したミヒャエル・ハネケ監督の、ハッピーエンドという映画に対する思いについてをネタバレ込みでご紹介します。ミヒャエル・ハネケ監督は一体どの様な気持ちで最新作となる映画を制作したのか、それを知ったら映画に対する見方が少し変わってくる事もあるかもしれません。
映画監督ミヒャエル・ハネケとは
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生年月日:1942年3月23日(現在77歳)
出身:ドイツ国 ミュンヘン
職業:映画監督、脚本家、舞台演出家
代表作:「ファニーゲーム」「ピアニスト」「白いリボン」
『ハッピーエンド』の制作は日本の事件がきっかけ?
ミヒャエル・ハネケがハッピーエンドという映画を制作したのは、日本の女子高生による、タリウムを使用した母親の薬殺未遂事件が影響していたのだそうです。これは2005年に日本で起こった事件で、映画の中でも「母親に毒を盛った」と告白する様なシーンが使用されています。更に映画の中で、エヴは「I♡JAPAN」と書かれたTシャツを着用しており、監督が確かに日本の事件を意識している事がわかります。
これらの事から監督自身だけではなく、映画の中でエヴが日本で起こった事件に影響を受けて、女子高生の起こした事件を真似しているのではないかとの考察も見られました。日本の事件に影響を受けたミヒャエル・ハネケ監督は、そこまで考えてエヴにそういった服を着用させていたのかもしれません。
『ハッピーエンド』を通して伝えたいこと
ミヒャエル・ハネケ監督がハッピーエンドという映画を通じて伝えたいのは、人間関係の希薄さに対する問題提起なのではないかと考えられます。家族は同じ屋根の下で暮らしていながら互いに関心を持たず、家族の抱える秘密についても知る事すらしようとしていません。それに対して抱える本音は全てSNSにぶつけているという点からも、映画を通じて現代の人々が抱える問題に向き合う事を促しているのかもしれません。
映画『ハッピーエンド』の謎のシーンを解説
ハッピーエンドという映画には、普通に観ていると何故その様になったのか?といった疑問を抱くシーンがいくつか登場します。続いてはそんな謎のシーンについて、ネタバレと共に解説をご紹介します。一度映画を観ただけでは理解する事ができなかったという人も、解説を読んだ上で改めて映画を観てみるとその場面に込められた真の意味を理解する事ができるかもしれないので、解説を見てもう一度映画を観るのもおすすめです。
前置き『ハッピーエンド』の人物関係
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映画ハッピーエンドに登場する人々は、主にエヴの父親であるトマと親族、更にその周囲の人々で構成されています。離婚して別居している父親のトマと新たな妻、トマの姉とその息子、トマの父親であるジョルジュという家族構成の中にエヴが新たに加わります。更に家には使用人がおり、トマの不倫相手や姉の経営する会社の問題に関わってくる人物などが登場してきます。人間関係を把握して映画を観るのがおすすめです。
解説①ジョルジュの不可解な行動
映画の中で、夜中に一人で車に乗ったジョルジュが黒人の青年に何かを話しかけている場面が登場します。特に映画の中で解説はされなかった部分ですが、実はこの時ジョルジュは自殺を考えていました。その為に黒人の青年に対して、自殺をする為の銃を買って欲しいと頼んでいたのです。結局銃を買ってもらう事はできず、この後ジョルジュは事故を起こして車椅子生活を送る事となってしまいました。
解説②ピエールの奇行の原因
映画の中で、ピエールが突然殴られる場面が登場します。前触れなく暴力を受けた事に驚いた人もいたかもしれませんが、ピエールは何故か反撃に出ようとはしませんでした。実はこの時の相手はピエールと母親の建設会社が起こした事故の被害者家族であり、ピエールは謝罪の為に被害者宅を訪れていたのです。しかし相手家族を怒らせてしまい、反撃するわけにもいかずに殴られ続ける事となってしまったのです。
解説③スマホカメラやSNSアプリが頻出する理由
ハッピーエンドという映画の中には、何度もスマホのカメラやSNSアプリといったものが登場します。これは現代社会における問題提起にもなっており、誰よりも身近な家族にすら打ち明ける事のできない本音を、SNSを通じて赤の他人には発信する事ができるといった不可思議な状況を表しているのです。実際に監督のミヒャエル・ハネケは映画の為に、facebookにアカウントを作成して取材を行っていたのだそうです。
解説④移民問題がテーマなのに移民が登場しない理由
映画ハッピーエンドは移民問題をテーマとした作品ですが、劇中では移民に関する問題が明確に取り上げられる事はありません。これに対してミヒャエル・ハネケ監督は、映像化をする際には自分自身で体験し感じた事を基に映画を作るというこだわりを持っている為に、自分自身で体験した事のない移民については映像化していないと話していました。そういったこだわりを持つからこそ素晴らしい映画が生まれているのかもしれません。
解説⑤”ハッピーエンド”だった部分
ハッピーエンドという映画は、決して万人がハッピーエンドであると思う結末を迎えてはいない筈です。この事に対してミヒャエル・ハネケ監督は、映画のタイトルと内容の矛盾点についてを観客に考えて欲しかったのではないかと考えられます。更に一般的に捉えればハッピーエンドではない映画も、登場人物であり死を望んでいたジョルジュやエヴにとっては、ハッピーエンドにも捉えられる結末となっています。
どの様な視点で映画を鑑賞するかによって捉え方や感想が異なってくるハッピーエンドですが、映画のストーリーをそのまま受け止めてしまうのではなく、与えられた情報から能動的に考えて感想を導き出していく事も必要なのかもしれません。ハッピーエンドという言葉の意味を考えながらの鑑賞というのもおすすめです。
映画『ハッピーエンド』のキャスト
ミヒャエル・ハネケ監督の最新映画ハッピーエンドは、とても考えさせられる内容の映画であった事がわかります。続いてはそんなハッピーエンドに出演しているキャストについても順番にご紹介します。キャストのリアルな演技によって物語に深みの増しているハッピーエンドという映画ですが、気になるキャストがいれば他にどの様な映画に出演してるのか調べてみるというのもおすすめです。
キャスト①エヴ/ファンティーヌ・アルドゥアン
生年月日:2005年
出身:ベルギー ムスクロン
身長:不明
職業:女優
出演作品:「アラジン 新たなる冒険」「少女ファニーと運命の旅」
キャスト②ジョルジュ・ロラン/ジャン=ルイ・トランティニャン
生年月日:1930年12月11日(現在88歳)
出身:フランス ヴォクリューズ県
身長:172cm
職業:俳優
出演作品:「消される男」「殺しが静かにやって来る」「トリコロール/赤の愛」
キャスト③アンヌ・ロラン/イザベル・ユペール
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生年月日:1953年3月16日(現在66歳)
出身:フランス パリ
身長:160cm
職業:女優
出演作品:「主婦マリーがしたこと」「沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇」「8人の女たち」
キャスト④トマ・ロラン/マチュー・カソヴィッツ
生年月日:1967年8月31日(現在51歳)
出身:フランス パリ
身長:177cm
職業:映画監督、俳優
出演作品:「アサシンズ」「ホロコースト -アドルフ・ヒトラーの洗礼-」「マリー、もうひとつの人生」
キャスト⑤ピエール・ロラン/フランツ・ロゴフスキ
生年月日:1986年2月2日(現在33歳)
出身:ドイツ
身長:178cm
職業:俳優
出演作品:「ヴィクトリア」「未来を乗り越えた男」「希望の灯り」
キャスト⑥ローレンス/トビー・ジョーンズ
生年月日:1967年9月7日(現在51歳)
出身:イングランド オックスフォード
身長:165cm
職業:俳優
出演作品:「ハリー・ポッターと秘密の部屋」「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」「裏切りのサーカス」
キャスト⑦アナイス/ローラ・ファーリンデン
生年月日:1984年
出身:ベルギー
身長:不明
職業:女優
出演作品:「神様メール」「ハッピーエンド」
映画『ハッピーエンド』に関する感想や評価
ミヒャエル・ハネケ監督の最新映画ハッピーエンドですが、難しい内容である為に実際に観た人はどの様な感想を抱いたのか、といった点も気になるのではないでしょうか?続いては映画を観た人の感想についても少しだけご紹介します。感想や評価というのは人によって違いがありますが、日本であった実際の事件にも影響を受けている本作は、一体どの様な感想を持たれているのでしょうか?
続けて観た映画。「ハッピーエンド」(ミヒャエル・ハネケ監督)。甘い?タイトルが何とも皮肉な感じもする。カンヌ受賞作なので一筋縄ではいかないだろうと思いましたが、私はとても楽しめました。ダークなユーモアも含めつつのアンサンブル劇。エヴ役の子が美しかったです。 pic.twitter.com/IIbywzJwwZ
— megnag (@meg_gracie) January 5, 2019
映画を鑑賞してみると、ハッピーエンドというタイトルの皮肉さが伝わってくるといった感想も見受けられました。更に本作で家族の中に加わる事となる娘役のエヴを演じたキャストの美しさに対する感想も多かった様です。
ハネケ監督『ハッピーエンド』観た。全然ハッピーエンドじゃないじゃん!問題ありすぎ。不穏すぎ。映画としてはめちゃ上手いなあ〜と思った。行き交う車の音しかしないとか、犬がバフバフ吠えてる音しかしないシーンとか、「う〜ん、やっぱ上手いなあー」と思った。13歳の女の子エヴが可愛かった♡ pic.twitter.com/F9j4v34AhK
— ちびえもん (@chiibeesnow) July 15, 2018
ミヒャエル・ハネケ監督の手腕を評価する感想もありました。全てを説明しながら進んでいく映画ではなく、映画の中に散りばめられている要素を観客が拾い上げながら想像する必要のあるシーンもあり、受け身で鑑賞していられる映画ではないのかもしれません。こちらもエヴの可愛さを褒める感想がありました。
「ハッピーエンド」みた。この映画に「HAPPY END」というタイトルをつけるハネケさんのセンスのよさ。どこかできいたことある話だなと思ったら、やはり日本の実際の事件がインスピレーションになっているとのこと。祖父の部屋を訪れるエヴのTシャツが気になってしょうがなかったけど、そういうことか。
— ききsava (@kikisava) May 10, 2018
映画を鑑賞しながら、監督の仕掛けた要素に気付いた感想もありました。知らずに観ていると気付かない人も多いかもしれませんが、実際に日本で起こった事件を知っていて映画を鑑賞した人は、モチーフとなった事件がある事に気付いた人も多かったかもしれません。ハッピーエンドというタイトルに対する皮肉を評価した感想も少なくありません。
映画『ハッピーエンド』についてまとめ
ミヒャエル・ハネケ監督の最新作となる映画ハッピーエンドについて、ネタバレを含めたあらすじから感想までをご紹介しましたが、これまでハッピーエンドという映画を知らなかったという人でも、興味を持つ事ができたのではないでしょうか?万人におすすめできる映画ではないかもしれませんが、タイトルに騙されてハッピーエンドで終わる映画であると思い込んで観てしまうと、衝撃を受ける映画でもあるかもしれません。
今年77歳であるミヒャエル・ハネケ監督は、本作が監督として最後の映画になるのではないかとの噂もあります。数々の名作を生みだし続けているミヒャエル・ハネケ監督ですが、最新作となるハッピーエンドという映画が面白かったと感じた人は、是非ミヒャエル・ハネケ監督の他の作品も鑑賞してみる事をおすすめします。