ハッピーボイス・キラーのあらすじと感想は？映画のラストもネタバレ考察

精神病をわずらう主人公の妄想と現実世界を、明るくポップに描いた映画「ハッピーボイス・キラー」は、従来のシリアルキラー作品にはない、マイルドな描写とハッピーエンドが特徴の異色の作品です。以下では、映画「ハッピーボイス・キラー」のネタバレを交えたあらすじやラストの意味の考察、気になる感想や評価について紹介します。

精神的な病による影響で、他人には聞こえない「声」に翻弄され、次々と殺人を犯してしまう孤独な青年の運命を描いた映画「ハッピーボイス・キラー」は、イラン出身の女流監督マルジャン・サトラピの作品です。漫画家としても活動していた異色の経歴を持つ監督による本作品は、精神病を患う主人公の妄想を明るくポップに描いた異色のコメディ作品とも言われています。

映画「ハッピーボイス・キラー」のラスト間近で流れた明るいエンディング曲や、ハッピーエンドな終わり方から、多くの賛否両論が飛び交う一方で、主人公の苦悩や知られざる過去を通じて、倫理的な事柄について考えさせられる奥の深い映画作品とも考察させられています。

以下は、映画「ハッピーボイス・キラー」の主要キャストと演じた役名です。

• ライアン・レイノルズ（ジュリー・ヒックマン役）
• ジェマ・アータートン（フィオナ役）
• アナ・ケンドリック（リサ役）
• ジャッキー・ウィーヴァ―（ウォーレン博士）

精神病を患う青年の苦悩を描いた映画「ハッピーボイス・キラー」は予告編動画のように、重苦しいサスペンス作品とは異なり、主人公・ジェリーにしか見えない妄想を明るくポップに描いた作品です。一見、ホラー映画のように思えてしまう描写がありますが、ホラー作品が苦手な方でも無理なく楽しめる明るいタッチが映画「ハッピーボイス・キラー」の特徴です。

精神病から来る幻聴に悩む青年ジェリー・ヒックマンとペットたちとの会話などを、コミカルに映し出した映画「ハッピーボイス・キラー」は、自分にしか聞こえない他人の声に惑わされた主人公の葛藤がみどころです。以下では、映画「ハッピーボイス・キラー」のあらすじをネタバレを交えて紹介します。

アメリカの片田舎・ミルトンに住む青年ジェリー・ヒックマン（ライアン・レイノルズ）は、地元のバスタブ工場で働く、青年です。彼は、少年時代に起こった出来事により孤独な生活を送っていました。そして、自宅で飼育しているペット2匹と会話が出来る秘密を持っており、優しい犬・ボスコと、いじわるな猫・Mr.ウィスカーズの言葉が理解できると信じ込んでいました。

実は、ジェリーは精神病を病んでおり、他人には聞こえない「声」が聞こえる症状を発しており、ペット2匹との会話は、周囲の人間から見れば幻聴にしか見えませんでした。また、ジェリーは、裁判所が任命した精神科医ウォーレン博士の助けを借りながら、まっとうな道に進もうと日々奮闘するも、医師から処方された薬をほとんど服用することはなく、幻聴も日々悪化していました。

ある日、工場の社長から年に一度のパーティー開催が知らされ、ジェリーも新人要員としてパーティーの仕切り役に抜擢され、同時に、彼が好意を抱く女性・フィオナもその担当に加わっていることを知り、ジェリーは有頂天になります。パーティー打ち合わせでもフィオナに必死にアタックするジェリーでしたが、経理係の間では、ジェリーの過去について耳を疑うような噂がもたらされていました。

フィオナと仲良くなるきっかけを掴み、浮かれるジェリーの耳元に彼を警告する声が聞こえました。そして、経理係にて、ジェリーの良からぬ噂を聞いていたフィオナは、そして、ジェリーに約束を取り付けられることを避けるためデスクに隠れ、代わりに同僚のリサがジェリーからの伝言を渡されます。しかし、約束の日は、別の用事が埋まっていたため、フィオナは彼の留守電に断りの電話を入れます。

しかし、フィオナからの留守電を確認しなかったジェリーは、約束していた中華料理のレストランの前で待ち続けていました。一方、フィオナは、同僚たちとカラオケを楽しみ、帰路につくころには、大雨が降りしきっていました。そこへ、帰宅途中のジェリーの車がフィオナの前に止まります。

思わぬチャンスがジェリーの元に訪れ、彼はずぶ濡れのフィオナを車に誘い込むことに成功します。片思いの女性との会話に、ジェリーの気分はすっかり弾んでいく一方、運転が劣ろかになり始めてしまいます。そして、不注意からシカと衝突事故を起こしてしまいます。

ジェリーの不注意によって引き起こされた衝突事故で、車のフロントガラスにシカが突き刺さってしまいます。すると、ジェリーの耳元に「殺してくれ」という、シカの声が聞こえ始めます。シカの声を信じ込んだジェリーは、ナイフを取り出すと、シカの喉元を切り裂いてしまいます。ジェリーの光景に驚いたフィオナは、慌てて車から飛び出します。

誤解を解こうとフィオナを追いかけたジェリーは、弾みでフィオナの腹部に刺し傷を負わせてしまいます。しかし、ジェリーは、必死に謝りながらフィオナを刺し続け殺害してしまいます。自宅に帰ると、ペット二匹が表れ、犬のボスコは警察に自首することを進め、猫のMr.ウィスカーズは彼の賞賛します。ジェリーは思い悩んだ末、翌日、フィオナの遺体を回収しました。

フィオナの遺体を自宅に運びこんだジェリーは、彼女の遺体を細かく切断し、タッパーに詰め込みました。そして、胴体から切り離した首は、傷つけることなく、冷蔵庫に保管されました。ひとまず証拠隠蔽できたことにほっとしたのもつかの間、生首になったフィオナがジェリーに話かけてきました。そして、ジェリーに薬を飲むように要求し、幻覚から覚めた彼は、自身が置かれた現状に驚きます。

薬を飲んだことで幻覚から覚めたことに気付かなかったジェリーは、処方された薬を全て捨ててしまい、長い眠りに付きます。そして、いつもの幻覚症状が現れたことに安心したジェリーは、何事もなかったのように工場で働く一方、生首となったフィオナは、彼に友達を要求します。

殺すつもりは全くなかったと、生首のフィオナに弁解するジェリーは、この光景を誰かに見られてないかという恐怖感に襲われます。そこでジェリーは、万が一、生首のフィオナとの会話を誰かに見られたら、その人間も殺害することを、猫のMr.ウィスカーズに言い渡されます。

そして、ジェリーの様子を見に訪れたフィオナの同僚・リサを殺害、次にフィオナとリサの姿が見えなくなっため、ジェリーの自宅を訪れたアリソンという女性もジェリーによって殺害され、彼女2人の遺体は、フィオナと同様に、遺体は細かく切断・生首は冷蔵庫で保管されることとなりました。

ドライブ中に起こったシカとの衝突事故をきっかけに、3人の女性を殺害、生首を冷蔵庫に保管しながら彼女と会話をする日々を送ります。ジュリーの猟奇的な犯行に犬のボスコは失望し、猫のMr.ウィスダ―ズは、彼の犯行を褒めたたえ、更なる快楽追求に彼を陥れようとします。

しかし、自分が行った犯行や、自宅に訪れた全ての人を殺害することに歯止めが効かなくなったことに恐怖心を覚えたジュリーは、次第に物から発せられる声・幻聴に悩まされ続けて行きます。そして、ジュリーは、状況を打破するべく、カウンセラーの診察を受けると同時に、ウォーレン博士を自宅に誘拐します。

誘拐されたウォーレン博士はジュリーによって拘束され、ジュリーは、彼女にフィオナを連れ出そうと冷蔵庫に向かい始めます。しかし、血だらけのテーブルに、ペット2匹の汚物が一面に広がるジェリーの異常な生活にウォーレン博士は、驚きを隠せませんでした。そんなウォーレン博士の絶叫をよそに、ジェリーは、例のフィオナを彼女の前に連れてきました。

主人公ジェリー・ヒックマンが抱える精神的な苦悩は、彼自身も歯止めをかけることが出来ない悲惨な状況を引き起こしてしまいます。以下では、映画「ハッピーボイス・キラー」のあらすじラストをネタバレを交えて紹介します。

ジェリーの異常な行動は、彼の自宅を訪れた会社の人間によって警察の耳にも入りました。そして、パトカーのサイレンが自宅に近づくにつれ、ジェリーはその場から逃げる準備を始めていました。警察が自宅に侵入した時には、既にその場から離れていたが、誤ってガス管を破壊してしまい、ジェリーの家は炎に包まれてしまいます。

炎に包まれる自宅を見たジェリーは、ようやく自分にしか聞こえない他人の「声」の正体を理解します。これまで、共に生活してきたペット犬のボスコ、猫のMr.ウィスカーズの会話、そして、車のフロントに突き刺さったシカの声や、フィオナの生首から聞こえてきた声が、自分の心の声から発せられていたことに気が付きます。

自身の思い込みから、引き起こした一連の事件は、彼に正気と大きな罪悪感を与えました。そして、会話ができるジュリーのペット2匹の声も、それぞれ自身の善と悪の声が、具現化されていたことに気が付きます。最期に、犬のボスコこと彼の善の声を聞い入れたジェリーは、逃げることをやめ、床にふせながら静かに死を待ちます。

映画「ハッピーボイス・キラー」は、精神病を患う主人公の苦悩を描いた作品でありながら、映画ラストでは、悲しくも、幸せな気分にもさせてくれる不思議な感覚を見る人に与えてくれます。以下では、映画「ハッピーボイス・キラー」のラストや謎をネタバレを交えて考察します。

異常精神からシリアル・キラーとなった青年の苦悩と最期を描いた映画「ハッピーボイス・キラー」は、他のサスペンス作品にはない、悲しいけれど、ハッピーにも感じさせてくれるラストが魅力の作品です。主人公・ジュリーが作中で行った犯行は、決して許されるものではありませんでしたが、彼の過去やおかれた状況を思えば、映画「ハッピーボイス・キラー」のラストが、ハッピーエンドに納得するでしょう。

映画「ハッピーボイス・キラー」ラスト間近で流れる曲は、「Sing a happy Song The Voices」で、主演のライアン・レイノルズら主要キャストによる明るいテンポの曲です。映画では、苦悩の多い人生を送ったジュリーでしたが、せめて空想の世界だけでも、幸せに過ごしてほしいという想いを感じさせるラストだったと考察できます。

ここまで、映画「ハッピーボイス・キラー」のネタバレを交えたあらすじやラストの意味の考察などを紹介しました。以下では、異色のシリアルキラー作品として知られる映画「ハッピーボイス・キラー」の気になる感想や評価を紹介します。

他のホラー作品に見られる直接的な描写がなく、怖いモノが苦手な方でも楽しめる明るく楽しい作品として高い評価を得る映画「ハッピーボイス・キラー」。場面によっては、過激とも捉えかねない描写も映し出されますが、ポップをコンセプトに制作された映画なので、ホラー映画特有の生々しさがマイルドに映し出された作品だとも考察されます。

主人公の孤独や壮絶な最期に流れるポップで明るいエンディングが特徴の映画「ハッピーボイス・キラー」は、映画ラストの主人公の悲壮感とエンディング曲の明るい調子のギャップの大きさに思わず涙したとの感想が多く見られます。映画ラストで見せたギャップは、視聴者に大切なメッセージを与えているとも考察されます。

異色の作品として知られる映画「ハッピーボイス・キラー」は、従来のホラー、シリアルキラー作品にはない、ポップでマイルドな描写が特徴の、明るく楽しい映画作品として人気を高める一方、直接的で過激な描写が特徴のシリアルキラー作品が好きな方の間では、物足りなさを感じさせる感想も見られます。

映画「ハッピーボイス・キラー」のネタバレを交えたあらすじやラストの意味の考察、気になる感想や評価について紹介しました。従来のホラー映画にはない、ポップで明るく、マイルドな描写が特徴の異色の映画「ハッピーボイス・キラー」は、怖いモノが苦手な方にもおすすめな作品です。