2018年10月17日公開
2018年10月17日更新
共喰いのあらすじネタバレ!傑作と言われる映画の評判や結末・感想も【菅田将暉】
映画『共喰い』は、世界的映画監督・青山真治と芥川賞作家・田中慎弥の衝撃のコラボレーションによって生まれた映画で様々な評価や感想を読んだ話題の作品です。今大人気の俳優・菅田将暉が主演を務め、人間の性と暴力、深い闇が描かれています。本記事では、映画『共喰い』のあらすじやキャストをネタバレ紹介していきます。また、傑作と言われている映画『共喰い』の評判や結末もご紹介していきますので、ぜひご覧ください!
目次
共喰いのあらすじをネタバレ!映画が傑作と言われる理由について迫る!
映画『共喰い』は、2013年に公開し、菅田将暉主演の性と暴力を描いた傑作という感想が多い映画として話題となりました。本記事では、映画『共喰い』の映画情報のネタバレや菅田将暉や光石研などの豪華キャストのネタバレ紹介、傑作という感想の多いストーリーのあらすじネタバレ、そして、結末のあらすじや感想などのネタバレ紹介していきます!
出典: https://eiga.com
また、原作情報や映画の評価と感想、映画と原作の違いも合わせてネタバレしていきますので、ぜひご覧ください!
共喰いとは?
「共喰い」とは、2013年に公開された青山真治監督による日本映画です。『EUREKA ユリイカ』でカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞、『東京家族』でロカルノ国際映画祭金豹賞審査員特別賞を受賞し、日本を代表する映画監督として世界でも名高い青山真治と芥川賞を受賞した作家である田中慎弥がタッグ組み、菅田将暉を主演として映画化されました。
映画版共喰いの主演キャストを紹介!菅田将暉が主人公役!
映画『共喰い』のあらすじの前に、菅田将暉をはじめとする映画『共喰い』のキャストについてネタバレ紹介していきます!性と暴力を扱った話題の問題作は、傑作という感想が多い作品です。19歳の菅田将暉の等身大の演技やその他のキャスト陣の熱演にも必見となりますので、映画やあらすじを観る前にぜひご覧ください!
菅田将暉/篠垣遠馬役
本作の主人公である篠垣遠馬役は、今話題の若手俳優・菅田将暉が務めました。菅田将暉は、1993年生まれで大阪府出身の日本の俳優です。また、俳優業だけでなく歌手としても活動しているマルチな芸能人です。本作映画『共喰い』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した他、2017年度には『キセキ‐あの日のソビト‐』や『帝一の國』、『火花』、『あゝ、荒野』などで数々の賞を受賞しています。
菅田将暉は、2017年にauのCM曲として起用された「見たこともない景色」でソロ歌手としてデビューを果たしました。その後、「呼吸」や「さよならエレジー」、「ロングホープ・フィリア」など2018年現在までに4枚のシングルを発売しています。
そんな大人気俳優・菅田将暉が演じるのは17歳の少年・篠垣遠馬です。遠馬は、父の円とその愛人の琴子と3人で川辺の一軒家で暮らしています。父の円は、女性関係にだらしなく、性行為の時に女性に暴力をふるうという性癖を持っていました。遠馬には千種という恋人がいますが、自分も父のように暴力をふるう人間なのではないかと恐怖を感じています。
菅田将暉は今回の役について、「19歳の夏のあの頃の僕にしかできない遠馬」であったと語っています。また本作で初挑戦した濡れ場について菅田将暉は、「性描写はめちゃくちゃ緊張しました。遠馬もそうだったんだろうなって思います。現場で作っていく中には、菅田将暉の緊張みたいなものを含めて、画面に映ったら良いなあと。それが狙いというより、希望でした。それが出ていて良かったです。」と話しています。
光石研/篠垣円(まどか)役
遠馬の父親・篠原円(まどか)役を演じるのは、『アウトレージ』や『あぜ道のダンディ』で有名な俳優・光石研です。篠原円は、この後のあらすじでも何度も登場する遠馬の父親で、女性なだらしなく暴力的な性癖を持っています。
田中裕子/篠垣仁子(じんこ)役
遠馬の実母・仁子(仁子)役を演じたのは、『天城越え』や『Woman』で有名な日本を代表する女優・田中裕子です。仁子は戦争で左腕をなくし、川辺の魚やを営んでいます。遠馬の父・円と結婚しましたが彼の暴力をうけ遠馬を置いて家を出ました。
木下美咲/千種(ちぐさ)役
遠馬の恋人の千種(ちぐさ)役を演じるのは、女優・木下美咲です。彼女は映画やドラマ、舞台で活躍する女性で、『GANTZ』や『きみはペット』、『ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック』に出演しました。
篠原友希子/琴子役
遠馬の父・円の愛人の琴子役を演じたのは、女優・篠原友希子です。現在は篠原ゆき子と改めています。監督の青山真治は彼女の映画『共喰い』出演に関して、「彼女は劇団ボツドールの芝居で観ていていいなと思っていたら、別の場所で会う機会があって、僕のほうから声をかけて出てもらったんです。」と語っています。
映画版共喰いのあらすじをネタバレ紹介!
ここまで映画『共喰い』の菅田将暉をはじめとするキャストのネタバレ紹介していきましたが、ここからは映画『共喰い』の傑作という感想の多いストーリーのあらすじのネタバレをしていきます。
現在の遠馬が過去を語る
「俺が17の時、親父が死んだ。」という現在の遠馬の語りから物語はスタートします。時代は昭和63年、昭和が終わる1年前の暑い夏。篠山遠馬は山口県下関市に住む高校生でした。そのあたりは“川辺”と呼ばれており、文字通り、川沿いの町です。遠馬はバスで学校から帰ると、その川沿いを通って母親の営む鮮魚店に行きました。
母は、遠馬に「今帰りね?誕生日やね。コーラ飲んでくか?」と言いますが、遠馬は貰わず、母は「ほんならまたおいで。」と言って遠馬を見送ります。母親は仁子という名前で、左腕の手首から先がありませんでした。戦争中空襲にあい、焼けて崩れた家の破片の下敷きになったのでした。「火の海じゃった。手ひとつと引き換えに命拾うた。」と言いました。
仁子には、戦争が終わって知り合って結婚を考えた相手がいました。その男の母親が「まさか手のない子が生まれてくるんやなかろうね。」と言ったので、仁子は右手で母親の口をこじ開け、左腕の先を咥えさせて「あんたのその舌、胃袋まで押し込んでやろうか?」と言ったそうです。
仁子は、両親とも空襲で死んでしまったため川辺の魚屋に住み込みました。川辺は、海岸や駅のそばとは違って戦後の開発から取り残されていました。そして、しばらくの間貧乏をしのぐつもりで集まってきた人たちが、そのまま居ついてしまった、という土地になっていました。仁子は、そんな居ついてしまった男のひとり、10歳年下の篠垣円と夏祭りで知り合って結婚しました。
「年のいった、手のない女を嫁にしようという男が現れるなんて、思ってもみなかった。」と言っていました。しかし、結婚してから、円(遠馬の父親)が女性に関してはいろいろあるということ、そしてセックスの時に殴りつけることを知りました。父親は仁子が妊娠している間は殴りませんでした。その代わり、他の女のところを渡り歩きました。
遠馬の不安
遠馬が生まれて1年もたつとまた殴り始めたので、仁子は魚屋で一人暮らしを始めました。遠馬が仁子に「なんで俺を連れていなんかった?」と聞くと、「あんたはあの男のタネやけね。」と言いました。そして、出ていくときに本当はおなかに子どもがいたが、「あの男の子はあんたで十分だ。」と思い、病院でひっかきだしてもらったと明かします。
魚屋からの帰り道、いつもいる「アパートの女」がベランダにいたため、父親が別のところにいると遠馬はわかりました。その女がベランダにいないときは、父親か別の男が来ている証拠でした。女性は身体を売ることで生計を立てているようでした。遠馬は、道を通る時いつも「アパートの女」がいるか確認していました。
遠馬は急いだ様子で神社の境内へと向かいます。そこで恋人の千種にあいます。彼女とは、お互いにとっての初めてのセックスは遠馬の誕生日まで取っておく約束でしたが、その約束はすぐに破られました。遠馬は、「誕生日祝い」と言って神社にある蔵で千種と体を重ねます。
遠馬は千種とセックスをしたあと「こんなんでえんか?」といいます。遠馬は、自分はとにかくセックスが好きなだけで父親と同じなのではないかと考えてしまうのです。千種は、「まーくんは殴ったりせんやん。」と言いますが、遠馬は「殴ってから気が付いても遅い。」と、自分がいつが千種を殴ってしまうのではないかと不安を感じています。
遠馬は、父親とその恋人の琴子と暮らしていました。家に帰ると琴子が「デートやったん?」と言ったため、円は遠馬に彼女がいることを知りました。円は「わしももういっぺん若いのと……。」といって出ていきました。「アパートの女」のところへ行ったのだろうかと遠馬は思いました。
父親と琴子
琴子は、遠馬の誕生日祝いでステーキを焼いてケーキを用意していました。円は出ていってしまったため2人で食べました。琴子は、海に近い飲み屋街で働いている35歳で、1年ほど前に遠馬の家に来ました。それほど酒に強くもない円が、身に通い詰めて口説いたのでした。
琴子の目や頬の周りには時々痣ができました。遠馬が「なんでわかれんの?親父が怖いけえ?」と聞くと、琴子は「うちの身体がすごいええんて。殴ったらもっとようなるんて。」といって笑います。遠馬にはひどく頭の悪い女に見えました。
円は、遠馬が小さいころからよくわからない仕事をしていました。外国人を含めたいろいろな人から電話がかかってきて、どう見ても普通の会社員には見えない人たちが家に訪ねてきました。また、倉庫も家の中もガラクタであふれかえっていました。
ある晩、物音がして起きた遠馬がその物音のほうへ行くと、蚊帳の中で円と琴子がセックスをしていました。円は、最中にとても恐ろしい形相で琴子の頭をつかみ何度も平手打ちしたり首を絞めたりしていました。その様子を遠馬はずっとのぞいていました。そして、琴子とセックスをしたいという欲求に駆られていました。
明日から夏休みという日に、円は遠馬に夕方から一緒にウナギ釣りをしようと約束します。遠馬は日中、いつものように千種に会ってセックスをしますが、千種はまだ行為を気持ちいいと感じることができない様子で、遠馬は落ち込みます。家に帰ると円がいませんでした。
すると琴子が「疑うとるんよ。」といいます。円は店に来る若い客と琴子の中を疑い琴子の周囲を嗅ぎまわっていて、今は家にいないということでした。遠馬は思はず「ほんとなん?」と聞き返しました。すると琴子に、円が疑っていることなのか自分に他の男がいることなのかと聞き返され、後者だと答えます。琴子は否定し、「何よまーくんまで。バカやないの?」と言い笑います。
円がいなかったため、遠馬は一人でウナギ釣りに出かけました。仁子が営む魚屋の側の川には、裁いた魚の骨や皮を求めてウナギが集まりました。遠馬は、円とウナギを釣ることに付き合えば仁子を含め家族3人でいられると言います。
遠馬は円が加工して作る針を使ってウナギ釣りを始めました。ウナギを待っている間仁子が作ってくれた魚の丼を食べます。仁子は円に何かあったんだろうかと言います。よくない目をしていたと。遠馬は、円が仁子のところに泊まる時は殴るのかと聞きます。そんなとき、ウナギが竿にかかりました。
仁子は釣れたウナギをクーラーボックスに入れました。仁子は先ほどの質問を思い出し、円が自分のもとに泊まることは無くなったと言います。女ではなくなった自分には何もしないが、琴子は大変だろうと。そして、遠馬に煙草を勧めますが断られ、「あんたはあいつに似ちょるけえ、吸わんのね。」と言います。
結局ウナギは1匹しかつれないまま夜になってしまいました。仁子は魚をさばく時に左手に専用の義手をつけていました。しかし、作ってくれたところはもうなくなっていて、色々と手は尽くしたがそろそろ限界で、今度壊れたら普通の義手にしようと思っていると明かします。
専用の義手がなくなるということは仕事ができなくなるということです。仁子は、思い切って人を雇うか誰かに店を譲るかと言い、「あんた、(魚屋を)せん?」と藤間に問います。遠馬はその問いには答えず、明日ウナギを取りに来ると言って帰ります。
琴子の妊娠
琴子は遠馬に、妊娠したことを報告しました。生むつもりだが承知してくれるかと聞きます。遠馬は呆然とし、「なんでそんなこと俺に聞かんといけんの?」と言い、魚屋にウナギを取りに行くと言い捨てて出ていきます。
遠馬の暴力性
遠馬は千種を蔵に呼び寄せ、無理やり彼女を抱こうとします。抵抗する千種に「子供出来るのが怖いんか?子供出来たら原からひっかきだすんか?」と言って押さえつけます。そして、倒れこんだ彼女の首を絞めようとしてしまいます。千種は抵抗し遠馬の腕から逃れますが、それでも「入れさせてくれ。」という遠馬に呆れ、出ていきます。
その後、遠馬は仁子とのもとへウナギを取りに行きます。そ仁子は、恐ろしげな眼をして円と同じ目をしている、もうちょっと自分寄りに産めばよかったが手遅れだと言います。そして遠馬は、琴子が妊娠したことを報告しました。仁子は、無事に生まれてくるかわからないが、琴子もこれでしばらくは殴られんくなるだろうと言い、「あの男の血を引くのは、あんた一人で十分ちゃ。」と言ってウナギを渡します。
遠馬がウナギを持ち帰ると、円は喜んで食べます。しかし、ウナギが釣れた川は綺麗ではないことを遠馬も琴子も知っていたため2人は食べません。その夜遠馬は、一人風呂場で千種や琴子のことを思い出しながら自慰をします。
遠馬は千種に会いたいと電話で告げますが千種は断ります。「首絞めたことを許してくれとはいわんから、するだけしてくれんか?がんばって痛うないようにするけえ。」というと、「あんた、死んでくれん?」と電話を切られます。
仁子のもとに借りていた鍋を返しにいくと、千種と会っていないことを聞かれます。2人の間に何かあったことを感づいた仁子は、「あんた、殴ったんやあるまいね。」と遠馬に言います。そして、自分は初めて最中に殴られた後本気で円を殺そうと思ったといいました。また、自分が気持ちよくなりたいがためにセックスの時に暴力をふるう円の恐ろしげな眼と、ここのところの遠馬の目が同じであると注意しました。
遠馬は琴子に「ちょっとええ?」と呼ばれます。琴子は神妙な面持ちで、出ていくことにしたと遠馬に明かします。遠馬以外には話していないと言います。今までさんざんやられてきたから、最後まではなにもされないうちに出ていきたいと。
「父親や仁子さんのようにずっと川辺にへばりついて生きていくのは嫌だ。琴子さんのように川辺から出ていきたい。出ていくなら千種も一緒だ。でもそんな先のことより、今、千種とセックスしたい。殴っても殴らなくても、セックスがしたい。」と遠馬は毎日悶々とした性欲に悩まされていました。
遠馬は「アパートの女」のところへ行きました。遠馬は女性にに「金は親父からもろうたらええ。」というと、女性は「安う言うちょってあげるけえね。お父さんほどめちゃくちゃやなかったけえ。」と言いました。
千種との約束
街が祭りに活気だっている中、子どもたちが遠馬のもとへ千種を連れていきます。そして、会いたかったといいます。千種はなぐられたことを「今度やったら殺す。それでええやん。」と言いますが、遠馬は殴らない自信はなく「俺はあの親父の息子ぞ。」と言って断ります。しかし千種は「明後日、社でまっとおけえ。」と言って帰ります。
千種と入れ替えに、円が帰ってきます。円は琴子の膨らんだ腹を優しくなで、やはり妊娠中だからか暴力は振るっていないようです。そして、琴子が出ていく日になりました。遠馬は琴子から出ていくことを告げられた時に、「親父が一番馬鹿やけど、琴子さんと仁子さんも馬鹿やとずっと思いよった。こんな殴るような男となしかち。ほやけど、馬鹿やないのう。ちゃんと逃げる気になったんやけえ。」といいました。
遠馬は、父親を止められなかった自分のほうが馬鹿だと自身を責めます。それに対し琴子は、どんなに嫌なことがあっても自分と自分の親のことを馬鹿と言うのはよくない、それならこの家を出ていったほうがましかもしれないと、泣いている遠馬の手を握ります。
そして円が、雨のため祭りから変えって着ました。円は、遠馬が「アパートの女」のところに言ったことを知っていました。そしてそのことを嬉しそうに話します。遠馬はそんな円に琴子が出ていったこと明かします。遠馬は「仁子さん殴って、琴子さん、アパ―トの人。今まで何人殴ってきたんか。」と円を叱咤すると、円は「わしの子ども持ち逃げしやがって。」と琴子を探しに行きます。
遠馬が琴子のことを告げ口したのは、おなかの子どもと自分の意思だけで川辺から逃げ出していった琴子がうらやましかったからです。そして、誰もいなくなった部屋で呆然としていると、子どもたちが雨の中走ってきて、遠馬に必死に何かを伝えようとします。「ごめん、まーくんのお父さんが……。」何か危険を感じた遠馬は家を飛び出していきます。
映画版共喰いの結末をネタバレ紹介!
ここからは先ほどまでの映画『共喰い』のあらすじに続いて、様々な評価や感想を呼んだ映画の結末についてネタバレ紹介していきます!
不穏な事態
子どもたちから話を聞いた遠馬は、急いで家を出ます。すると円に会いました。円は、琴子がどこを探してもいないといいます。遠馬は、「千種は?千種はどうしたんじゃ。社で何しとったんか!」と必死に問いただします。円は笑って、琴子を探していたら千種がいた、我慢できないときは誰にでもあるだろう?といいます。円は千種を無理やり強姦したのでした。それも、他の女たちと同じように殴りながら。
遠馬は急いで神社に向かいます。そこにはぐったりと倒れている千種の姿がありました。千種は「罰が当たったんかねえ。神輿蔵でしよったけえ。」といいます。遠馬は、自分が来てたら......と後悔します。そして、「俺のせいやない?俺自身がやったんじゃ」と言い、円を殺すと出ていこうとします。千種は、止めないが立てないから助けてと言い、遠馬は円を抱きしめます。
事情を知った仁子
遠馬は千種を預けるべく、仁子のもとへ向かいました。その間も円は、琴子を捜し歩きます。仁子は、さっきあの男が琴子を探しに来た、またあの目をしていたといいます。遠馬は仁子に「俺が社に行きゃよかった。」と言い、そして事の全容を話しました。「うちが最初に何とかするべきやったね。あんたには無理よ。殴られたことなかろうがえ。」と言って包丁をもって出ていきます。
仁子は千種に遠馬のことを頼むと言い、「もう大丈夫じゃけね。あんたもこの子も、琴子さんも琴子さんの腹の子も。」と、雨の中円のもとへと向かいます。千種は追いかけようとする遠馬を「止めんってゆうたじゃろ。殺してくれるんならだれでもええんやけ。」と止めます。遠馬は、俺は自分でする代わりに父親と母親を見殺しにする卑怯者だといい、千種を交番へ預け、仁子と円のもとへ急ぎます。
遠馬が仁子を見つけたころには、すでに2人はもみ合っていました。そして仁子は、自分の義手を円の腹に突き刺しました。円は苦しみながら川の中に入っていきます。遠馬が急いで仁子のもとへ行くと仁子は「終わったよ。死にゃせんよ。」とだけ言い歩いていきました。
朝方、仁子が神社で座っていると、刑事が二人、円の殺害容疑で任意同行すると言ってきました。仁子は素直についていきます。仁子が捕まっている中、遠馬は仁子の魚やの手伝いをしにいきます。そこにはいつもあった仁子の義手はもうありませんでした。
遠馬は仁子も面会に行きます。義手がなくなってすっきりしたという仁子は以前と同じ口調で「あんた、せん?」とききます。遠馬はそれには答えず「差し入れできるみたいやけど。」とききます。そして「あの人」のことを淡々と話します。あの人とは円のことでしょう。そして恩赦があるため、判決までは生きていてほしいと言います。「あの人が始めた戦争でこうなったんじゃき、そのくらいはしてもらわんと。」と。
遠馬はもう川辺には戻らないつもりで、船で琴子のもとへ向かった。琴子はご飯食べたらアパートで待ってていいます。遠馬は琴子のアパートへ向かいました。そこには生まれてくる赤ちゃんのためのものが買ってありました。琴子はアパ―トに帰ってくると、遠馬の入っている布団にはいり、「うちとしたかったんじゃろ?まーくんは殴らんよね。」といい、遠馬は服を脱いで琴子にまたがります。
大きくなったおなかを触り、することに躊躇している遠馬は「弟か妹をつつくんかと思うと……。」といいます。すると琴子は笑って、おなかの子どもは円の子どもではないということを明かします。子どもがいたら殴らないと仁子に聞いたと。琴子は「お父さん見たいに殴らんとだめなら、手加減してくれるんならええよ。」と言い、遠馬は迷いますが、琴子のおなかの子どもが動き、殴ることはありませんでした。
川辺に帰り魚屋へ行くと、そこには魚をさばく千種の姿がありました。千種は「お帰り。」とだけ言い、以前の仁子と同じようにさばいた魚で丼を作り、遠馬に食べさせました。その晩、2人は一緒に寝ていますが、遠馬は千種の首を絞めようとしてしまいます。
千種は「殺されるんと手縛られるんとどっちがええ?あんたの手はうちを殴るためにあるん?うちを可愛がるためにあるんやないん?」といい、遠馬は手を縛られたまま、2人はセックスをします。そして年が明けて昭和が終わりました。昭和64年1月7日午前6時33分満潮に近い時間でした。
映画版共喰いが傑作と話題に!その理由や感想も紹介
ここまで映画『共喰い』の菅田将暉をはじめとするキャストのネタバレ紹介や傑作という感想の多いストーリーのあらすじのネタバレ紹介をしていきました!ここからは、映画『共喰い』がなぜ傑作という感想か多いのか、その理由や感想もあらすじに続いてネタバレ紹介していきます!
女性たちの強さが高評価!
映画『共喰い』は、菅田将暉演じる遠馬自身やその周りを渦巻く性と暴力がテーマとして描かれていますが、映画を最後まで見た後に「女性たちの強さ」が見えてくる作品でもあります。本作に登場する主な女性たちは、田中裕子演じる遠馬の母親・仁子と木下美咲演じる遠馬の恋人・千種、そして篠原ゆき子演じる円の愛人・琴子です。この女性たちの、暴力で虐げられながらも強く生きる姿がとても魅力的に描かれています。
『共喰い』
— soze (@soze07862079) May 11, 2018
生まれ育った町を流れる川と自分の中に流れる忌むべき血に怯えながら多感な時期を迎えた主人公に菅田将暉の繊細な演技が上手く嵌った良作。
ひたむきな強さを見せる女性陣に導かれるように成長していく未来が垣間見えたり見えなかったり。
一つの時代が幕を閉じるラストも意味深くて好き。 pic.twitter.com/FiBFlsnXI6
あらすじにもある様に、仁子は、第二次世界大戦の時代を生き、片腕をなくすという壮絶な過去を経験しています。そして、一度結婚を考えた男性は破談になり、年を取ってやっと結婚した男性は女にだらしがなく、セックスの最中に暴力をふるうという異常な性癖をもっていました。
仁子は家を出るも、遠くへは行かず同じ川辺の魚に住みました。円の妻であることはやめましたが、遠馬の父親では居続けたのです。そして、様々な女性を殴り、遠馬の恋人にまで暴力をふるった円を、最後は自分の手で殺しました。仁子は円の暴力から離れ、遠馬からも離れましたが、刑に処されることになっても、円の妻としてか遠馬の母としてか、自分の手でけじめをつけました。
映画「共喰い」内覧試写。田中慎弥の芥川賞受賞作を青山真治が映画化。川からのぼる臭気、雨の湿った臭い、粘つく汗と精液…鼻を、皮膚を刺す映画だった。ベテランはもちろんだけど、菅田将暉、木下美咲、篠原友希子ほか、若い役者たちがみんないい。唸った。夏公開。
— 門間雄介 (@yusukemonma) January 28, 2013
千種は、1度殴られて遠馬の内にある恐怖を感じて遠馬から離れますが、最終的には遠馬を父親のようにはしないように手綱を握る人物となります。彼女は、円に強姦された後、身も心も傷ついているはずなのに、平常心でいました。そして、遠馬には止めないと言いつつも、遠馬が円を殺してしまうのを2度止めました。
円に襲われたトラウマも、遠馬に暴力を振るわれた恐怖も心の中に残りつつも、最終的には千種は遠馬のそばにいます。そして、遠馬の性欲との暴力のバランスを保たせました。彼女は、遠馬の弱さをも包み込む覚悟と愛を持っていました。
琴子は、子どもができたことで身一つで円のもとから逃げ出す勇気を持ちました。それは遠馬がうらやましがり、嫉妬するほどでした。そして、円のもとにいて遠馬と暮らすうちに、1度も感情を荒げたり不満をぶつけたりしなかったのも彼女です。自分の身を守るために言葉にしなかっとしても、最終的に出ていったことをみると、決して自分を見失ってはいませんでした。
「共喰い」は役者の顔がとにかく凄い事になってます。演技自体も素晴らしいのですが、演技を越えて露呈してしまう、あるいは現前する表情はもはや直視を許さないというか…。主要5人みな素晴らしいのですが、「東京公園」の三浦春馬くんとはまったく異質…あるいは同様に、菅田将暉くんが怖かった。
— RYO_MASUDA (@idgodard) January 28, 2013
どの女性も暴力のあるセックスによって虐げられ、あるいは捕われていましたが、男性には決して侵食されることのない強さを持っていました。それが結果的に、遠馬にも円にも影響を及ぼすことになるのです。
原作にないラスト!
映画『共喰い』は、原作のラストとは違う終わり方で、このラストにはさまざまな感想があります。また、後述するように原作者も感想を語っています。原作では、千種が円に暴行されそれを知った仁子が円を殺害し、遠馬が逮捕された仁子と面会をする場面で終わっていまが、その後の、映画の拘置所で遠馬と仁子が話すシーンや、遠馬と琴子が会うシーン、遠馬と千種が体を重ねるシーンは原作にはなく監督と脚本家によるオリジナルです。
共喰いの原作は小説!
映画『共喰い』は同名小説を原作とした映画です。ここではあらすじや結末に続いて原作がどのような小説なのかご紹介していきます。ここまでの菅田将暉をはじめとするキャストのネタバレ紹介や傑作という感想の多いストーリーのあらすじのネタバレ、そして映画と合わせて、原作も是非一度ご覧になってみてください!
原作小説は芥川賞を受賞!
映画『共喰い』の原作は、2012年に発売された田中慎弥の同名短編小説『共喰い』(集英社)です。同年に第146回芥川賞に選ばれました。本作の「共喰い」他、「第三紀層の魚」が収録されています。「共喰い」と「第三紀層の魚」はともに”父性”ともいうべきものがテーマになっています。
あらすじに続いてご紹介した映画のラストについて田中慎弥は、「私はあえて女性を描き切る手前でストンと終わらせたけれども、もし続きがあるとすればああいうラストだったのかもしれない。女性が単に虐げられた存在として終わるのではなく、きちんと人間として生きていき部分を描いていた。原作と違うという感想を持つ人も多いらしいけれど、映画で原作と同じことをやる必要はない。違って当たり前なんです。」と語っています。
映画共喰いのあらすじと結末をネタバレ紹介まとめ!
本記事では、映画『共喰い』のあらすじと結末のネタバレ紹介や映画の感想をご紹介していきましたがいかがでしたでしょうか?繊細な表現や出演者の演技は傑作という感想が多く好評です。本記事のあらすじや結末、感想のご紹介が少しでも参考になれば幸いです!映画『共喰い』をぜひご覧ください!