アリーキャットの感想と評価は？映画あらすじをネタバレ【窪塚洋介・降谷建志】

窪塚洋介さん、降谷建志さんがW主演を務め話題となった映画『アリーキャット』。二人のカリスマの共演に「興奮した」「二人の醸し出す雰囲気がとても良かった」という感想が飛び交うこのアリーキャットは、どのようなあらすじの映画なのでしょうか？

今回は、アリーキャットに出演してるキャストや映画のあらすじをネタバレ紹介していきます。また、映画を観た人の感想やアリーキャットの監督についてもまとめていますので、あわせてお楽しみください！

アリーキャットは2017年7月に公開された映画です。俳優の窪塚洋介さん、ロックバンド「Dragon Ash」のボーカル降谷建志さんという90年代から00年代を牽引したカリスマ二人がW主演を務めたことで大きく注目さを集めました。また、どこか影があり過去に謎の多いシングルマザーを市川由衣さんが身体を張って演技していることも話題を呼んでいます。

タイトルの『アリーキャット』は「野良猫」という意味です。このタイトルが示すように、窪塚さん演じる「朝秀晃」と降谷さん演じる「梅津郁巳」は野良猫のように街の片隅でひっそりと生きる不器用な男たち。二人は一匹の猫をきっかけに出会うことになります。やがて意気投合し、お互いを「マル」「リリィ」と呼び合うようになる二人は、一人の女性を守るため共に長い道のりを旅することになります。

ある事情を抱えた男たちの姿を描いたロードムービーであり、二人の掛け合いも楽しめるバディムービーの側面もあるこのアリーキャット。初共演となった主役の二人は、撮影に入るまでは身構えていた部分もあったそうですが、2週間という短い期間での撮影を通し気持ちを一つにできたそうです。窪塚さんはインタビューで"役者じゃない男(降谷さん)から「役者として」刺激をもらいました"と感想を述べています。

アリーキャットの監督は榊英雄(さかき ひでお)さんです。榊さんは元々俳優として活動しており、1995年に『この窓は君のもの』でデビューしました。『科捜研の女』や『特命戦隊ゴーバスターズ』などのテレビドラマの他、『あずみ』『探偵はBARにいる』などの映画にも多数出演しています。

2000年頃からは映画監督としても活動を始め、今作『アリーキャット』や『銭ゲバ』で知られるジョージ秋山さん原作の映画『捨てがたき人々』で監督を務めました。この『捨てがたき人々』は東京国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされています。榊さんは短編映画から成人映画など様々なジャンルを手掛け注目を集めています。

『誘拐ラプソディー』の監督を務めた際には公開前に出演俳優が逮捕されるという事件が起こり、映画はお蔵入りの危機に陥ってしまいます。しかし、榊監督自らその俳優の代役を務め、延期となったものの無事映画は公開されました。これは自身が俳優としても活動している榊さんならではのエピソードと言えます。

アリーキャットの劇中音楽を手掛けるのは、榊監督の妻でもある榊いずみさんです。榊いずみさんは兵庫県出身のシンガーソングライターで、1992年にアルバム『君なら大丈夫だよ』で歌手デビューしました。1993年に発表したシングル『失格』で女性ロックシンガーとして広く知られるようになり、以降も多数のシングル・アルバムを発表しています。

自身で歌うドラマや映画の主題歌の他、俳優や歌手へ楽曲提供をするなど数多くの楽曲を世に送り出している榊いずみさん。アリーキャットでは主題歌『Lost and Found』と映画の劇伴を担当しています。

人気の俳優のみならず、ミュージシャンやお笑い芸人が出演しており、異彩を放っているアリーキャット。アリーキャットのあらすじや感想をネタバレ紹介する前に、まずはこの映画に出演しているキャストをネタバレ紹介します。

「朝秀晃」は、ボクシングの元東洋チャンピオンです。現役中頭に怪我を負ってしまい、引退後は後遺症に悩まされながらも警備員の仕事をして暮らしています。そんな朝秀晃のささやかな楽しみは、「マル」と名付けた野良猫の世話をすること。この猫が後に郁巳との出会いのきっかけとなります。

朝秀晃を演じるのは神奈川県出身の俳優、窪塚洋介さんです。窪塚さんは1995年の『金田一少年の事件簿』で俳優としてデビューし、1998年に菊池善人役で『GTO』に出演。そして2000年に放送された『池袋ウエストゲートパーク』で演じた安藤タカシ(キング)役で一気に注目を集め、翌年公開された主演映画『GO』では日本アカデミー賞の新人賞・最優秀主演男優賞をW受賞しています。

その後も『ピンポン』『狂気の桜』『魔界転生』など映画を中心に出演し、強烈な個性をもった登場人物たちを見事に演じて、俳優として独自の地位を確立。そんな中、2004年には自宅マンションの9階から転落し重傷を負いますが奇跡的に命を取り留めます。復帰後は「卍LINE」名義でレゲェミュージシャンとして音楽活動も始めました。他にも舞台俳優やミュージックビデオの監督を務めるなど、多彩なジャンルで活躍しています。

野良猫「マル」がきっかけで朝秀晃と出会うことになるのが、自動車整備工の仕事をしながら自由気ままに生きる「梅津郁巳」です。そんな郁巳を演じるのは、大人気ロックバンド「Dragon Ash」のボーカルを務め、「Kj」名義でも知られる降谷建志さんです。1996年にDragon Ashを結成、翌年にはビクターエンタテインメントからメジャーデビューを果たし、以降フロントマンとしてバンドを牽引し続けています。

Dragon Ashとして1999年に発売された3rdアルバム『Viva La Revolution』は約180万枚を売り上げオリコンチャート1位を獲得。続く5枚目、6枚目のアルバムでもオリコンチャート1位になるなど、Dragon Ashは唯一無二の音楽とパフォーマンスで観客を沸かせ、90年代から00年代を代表するロックバンドとして記録を残し、多くのファンを獲得しました。

降谷さんは2011年に多発性出血性胃潰瘍を患いますが、同年8月には震災復興支援イベントで復帰します。このイベントはDragon Ashが主体となって発起したもので、2013年の福島県を舞台にした大河ドラマ『八重の桜』への出演を決意したきっかけも東日本大震災だったといいます。プライベートでは2008年にタレントのMEGUMIさんと結婚し、長男も誕生しています。また、父はベテラン俳優の古谷一行さんです。

2週間という短期でハードなスケジュールの中、その間ずっと一緒に過ごしていたという窪塚さんと降谷さん。お互いアーティスト活動をやっている二人は共に過ごした時間で刺激を与えあい、それが役作りにもつながっていったそうです。アリーキャットは、このような類まれなる二人の佇まいが楽しめる映画にもなっています。

「土屋冴子」はシングルマザーであり、元恋人からストーカー被害を受けているため秀晃にボディーガードをしてもらうよう話を持ち掛けます。しかし冴子を追っているのはストーカーの元彼だけではなく、周囲には言えないような秘密も持っているようです。

物語のカギを握る秘密を持ったヒロイン・冴子を演じるのは市川由衣さんです。市川さんは東京都出身で小学生の頃から読者モデルとして活動し、その後スカウトされ芸能界デビューを果たしました。2003年には『呪怨』で女優デビュー。続くシリーズ2作目の『呪怨2』にも出演しており、物語を繋ぐキーパーソンを演じています。

同じく2003年に森高千里の『雨』をカバーし、歌手としてCDを発表。シングル4枚とアルバム1枚をリリースしますが、その後は女優業に専念しています。2006年には人気ゲーム「SIRENシリーズ」の劇場版『サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜』で映画初主演を果たしました。アリーキャットでは憧れの存在である窪塚さん、降谷さん両名と共演し、思い入れの深い作品となったようです。

冴子を執念深くストーカーする元恋人「玉木敏郎」は建設現場で働くサラリーマンです。玉木を演じた品川佑さんは、撮影場所が自宅の近くだったということもあり撮影の合間に手作りの料理を差し入れするなど良い雰囲気で映画作りに参加できたようです。そんな品川さんは、相方の庄司智春さんとともに「品川庄司」というお笑いコンビを組んで長年活動しています。

お笑い芸人としての仕事の他に知られているのが、映画監督としての活動です。2008年、自身の過去をモデルにして執筆した小説を元に、自ら監督・脚本を務めた映画『ドロップ』が公開されました。この『ドロップ』は『クローズ』で知られる高橋ヒロシさんによって漫画化もされています。さらに2011年には同じく自身が原作・脚本・監督を担当した映画『漫才ギャング』が公開され大ヒット映画となりました。

「羽柴康夫」は、秀晃がボクシングをやっていたときの後援会会長で、現在は裏社会と繋がりを持つ人物です。威圧感のあるこの人物を演じるのは、ベテラン俳優の火野正平さんです。俳優デビューしてからしばらくは本名で活動されていましたが、後に改名。「火野正平」として大河ドラマ『国盗り物語』に羽柴秀吉役で出演し、当たり役となりました。

映画では『終戦のエンペラー』『そこのみにて光輝く』などに出演し、その存在感のある演技は撮影現場の雰囲気を変えてしまうほどだと言われています。数々のテレビドラマや映画、舞台など幅広い分野で活躍する火野さん。実は火野さんは自転車愛好家でもあり、NHKの「にっぽんの縦断 こころ旅」では自転車で旅をして視聴者からのお便りで寄せられた「心の風景」をめぐる姿も見せています。

窪塚さんと降谷さんという大物二人がW主演を務めていることについて長年のファンが喜びの感想をコメントしているアリーキャットですが、どのような物語のあらすじとなっているのでしょうか？ここからは、アリーキャットのあらすじをネタバレ紹介していきます。

元・ボクシングの東洋チャンピオンだった「朝秀晃」は、頭に負った怪我の後遺症に悩まされながらも警備員として働いて過ごしていました。そんな秀晃の日々のささやかな楽しみは、自ら「マル」と名付けた野良猫の世話をすること。しかし、ある日突然マルは秀晃の前から姿を消し行方不明になってしまいます。施設に保護されているかもしれないと考えた秀晃は、保健所を訪れます。

保健所の入り口で、秀晃はマルを抱いて出てきた男と出くわします。無事にマルと再会できた秀晃は駆け寄っていきますが、マルを抱いた男は秀晃を無視して歩きだしました。秀晃が慌てて「それはずっと探していた自分の猫だ」と引き留めようとすると、「リリィだよ」と名前を告げる男。きょとんとする秀晃に、男は「猫は9つの魂を持っていて、こいつの魂はもう「リリィ」なんだよ」と言いながら猫を連れて行ってしまいました。

秀晃は、普段は交通誘導などの警備員の仕事をしていますが、ある時「元ボクサー」ということを見込まれて、警備会社を通して個人警護の仕事を任されることになりました。その内容というのが、ストーカーからシングルマザーの「土屋冴子」を守ること。依頼人の事情を聞くため、秀晃は冴子が務めるクリーニング店へと足を運びました。

冴子によると、一か月前に別れた男がストーカー行為をしてくるため、関係にケリをつけようと喫茶店で話し合いをすることになったとのこと。依頼内容は、「離れたところからその話し合いを見守ってて欲しい」というものでした。ストーカー案件なら警察に対応してもらえばいいのではないかと促す秀晃でしたが、冴子には何か事情があるらしく警察への相談は避けたがっているようです。

そして約束の日になりました。秀晃は依頼の通り店のカウンター席で待機します。すると、同じくカウンター席にやってきたのは先日マルを連れて行った男「梅津郁巳」でした。秀晃を「マル」と呼び、連れて行った猫が食事を摂らない相談をするなど呑気な会話を始める二人。一方、冴子は相手の男「玉木敏郎」に、暴力を振るわれて子供も怖がっているから関係を断ちたいと話しますが、玉木は聞く耳を持ちません。

とうとう強引に冴子を店から連れ出そうとしてしまう玉木を秀晃は止めようと立ち上がりますが、なんと隣にいた郁巳がその様子に憤慨して玉木に手を出してしまったのです。必要以上に暴れてしまった郁巳の様子を見た喫茶店の店主が警察に連絡を入れて、冴子の意図に反して騒ぎが大きくなってしまいました。

喫茶店の騒動が原因で、会社の上司に「最後までしっかり対応しろ」と叱られてしまう秀晃。そして郁巳に殴られた玉木は自分の非を棚上げして冴子に復讐しようと、インターネットの掲示板にリベンジポルノを投稿し始めたのです。やがてそれは冴子の子供が通う保育園にまでばら撒かれてしまい、児童や保護者への影響を懸念した保育園によって児童相談所に連絡が入ってしまいます。

問題が解決するまで子供を施設に預けなければいけなくなってしまった冴子に、秀晃はせめてものお詫びに二人を福祉施設まで送り届けることを申し出ます。しかし、そうは言ったものの車も免許も持っていない秀晃。このような事態になった原因でもある郁巳に協力をしてもらい、車を運転してもらうことになりました。

福祉施設に子供を送り届けた秀晃が、今後どうするのか冴子に尋ねます。すると冴子はコンサルタント業をしている「柿崎」という男を頼るため東京に行くと答えました。冴子を放っておけない様子の秀晃は、乗りかかった船とばかりに、今度は冴子を東京まで送り届けることを決めました。もちろん、運転係の郁巳も一緒です。

長旅になるから、とトイレのため郁巳と秀晃が席を外した隙を見計らって、居場所を探し当てた玉木が冴子を強引に連れて行こうと襲い掛かりました。秀晃がそれを発見すると玉木は逃げ出そうとしますが、郁巳と共にすんでのところで捕まえて冴子のところに戻ります。すると今度は別のスーツを着た男2人が冴子を連れて行こうとしているところでした。

スーツの男たちは「自分たちは警察で、冴子を保護しに来た」と言い、冴子も素直に応じています。そんな様子に、秀晃たちは捕まえた玉木を引き渡すことにしました。しかし二人を同じ車に乗せる様子を見て、郁巳が本当に警察なのか疑い始めます。スーツの男の拳銃を奪い冴子を助け出した二人は、元の計画通り車に乗り三人で東京に向かうのでした。こうして秀晃と郁巳は、冴子の過去にまつわる事件に巻き込まれていくことになります。

ここまでアリーキャットの登場人物やあらすじをネタバレ紹介してきましたが、実際に映画を観た人はどのような感想をコメントしているのでしょうか？ここでは、映画を観た人の感想をご紹介します。核心に触れたネタバレはないのでご安心ください。

やはり、主演の窪塚さんと降谷さんについての感想が多く見られました。並んで画面に映っているだけでもストーリーが生まれるような雰囲気を持つ二人。元ボクサーの栄光から転落してしまった秀晃と、気ままに生きる郁巳の役を自然体で演じ好評を得ています。後半に登場する羽柴康夫役の火野正平さんも、少ない出番の中で圧倒的な存在感を見せつけています。

また、ヒロイン役の市川由衣さんの儚げな美しさや身体を張った演技を称賛する感想もありました。しつこく陰湿に冴子をつけ狙う玉木を演じた品川さんの怪演は「怖い」「胸糞悪い」とまで言われ、とてもリアルなストーカーの姿を表現しており、ある意味絶賛されています。ベテランの俳優だけではなく、ミュージシャンやお笑い芸人も重要な登場人物として起用されたアリーキャット。全員が難しい役を見事に演じ切っています。

クールな秀晃とお茶目な郁巳の、男同士ならではの掛け合いが「面白くてずっと見ていたい」という感想もあります。撮影期間中ずっと一緒に過ごしていたという窪塚さんと降谷さん。その中の良さが演技にも良い影響を与えたのかもしれません。そして野良猫「マル」をめぐるほのぼのとしたやり取りがある一方で冴子の過去にまつわる社会の闇も描かれており、緊迫したシーンもあるようです。

また、ロードムービーには欠かせないのが車。ポスタービジュアルにも使用されている古いセドリックは、郁巳が働く自動車整備工場の社長のものという設定になっています。レトロな車を乗りこなす郁巳と秀晃の姿も見られるアリーキャットは、現代のお洒落なバディムービーとして高く評価しているファンも多くいます。

アリーキャットのあらすじや登場人物をネタバレ紹介してきましたが、いかがでしたか？窪塚さんと降谷さんが演じる「不器用だけどかっこいい」男たちの人間ドラマは、この二人だからこそ作り出せる空気感によって生み出されています。あらすじをネタバレ紹介した部分の先では、冴子の過去や闇社会に生きる人間たちの姿も描かれています。

個性的でありながらも実力派として長年俳優活動を行ってきた窪塚さんのみならず、ほぼ「新人俳優」として出演した降谷さんの自然体な演技も折り紙つきです。野良猫のような二人の男が出会い、急加速していく物語。一人の女を守るため陰謀に巻き込まれながらも自分の筋を貫き通す姿をぜひご覧ください！