女は二度決断するのネタバレあらすじ!結末の内容や感想・評価は?

ドイツの名匠ファティ・アキン監督がダイアン・クルーガーを主演に制作した2017年の映画『女は二度決断する』。突然の悲劇で夫と息子を亡くした主人公が失意の中で下す決断を描いたドラマ映画です。欧米でも高く評価され、ゴールデングローブ賞外国語作品賞に輝いたほか、主演ダイアン・クルーガーがカンヌ国際映画祭女優賞を獲得しました。この注目の映画『女は二度決断する』のネタバレあらすじや結末、感想をまとめてお届けします。ぜひご覧ください!

女は二度決断するのネタバレあらすじ!結末の内容や感想・評価は?のイメージ

目次

  1. 女は二度決断するのあらすじや結末が知りたい!
  2. 女は二度決断するとは?
  3. 女は二度決断するの登場人物紹介
  4. 女は二度決断するのあらすじネタバレ
  5. 女は二度決断するのラスト結末をネタバレ
  6. 女は二度決断するは実話から着想を得た?
  7. 女は二度決断するの感想や評価は?
  8. 女は二度決断するのあらすじ結末まとめ

女は二度決断するのあらすじや結末が知りたい!

ドイツの名匠ファティ・アキン監督と4か国語を自在に操る才媛ダイアン・クルーガーがタッグを組んだサスペンス映画『女は二度決断する』。トルコ系移民と結婚し普通の家庭を築いた主人公が、人種差別主義者によるテロと目される事件に巻き込まれ一瞬にしてかけがえのない幸せな日常を失ってしまいます…。そこから始まる息もつかせぬ攻防、緊迫に満ちたシーンの連続。

こんな話題の映画ですから、あらすじや結末が知りたいという方も多いことでしょう。そんなあなたのために、これから『女は二度決断する』のネタバレあらすじから結末の内容、感想・評価に至るまでまとめてご紹介します。ぜひご覧ください!

女は二度決断するとは?

『女は二度決断する』は、ドイツの名匠ファティ・アキン監督がダイアン・クルーガーを主演に迎え制作した2017年の映画です。突然の悲劇で夫と息子を亡くした主人公が失意の中で下す2度の決断とは?公開後世界で高く評価され、ゴールデングローブ賞外国語作品賞に輝いたほか、主演ダイアン・クルーガーがカンヌ国際映画祭女優賞を獲得しました。それでは、さっそくこの話題の映画について詳しく見ていきましょう。

監督はドイツの名匠ファティ・アキン

映画『女は二度決断する』でメガホンを取ったのは、ドイツの映画監督で、脚本家、プロデューサーのファティ・アキンです。彼は1973年ドイツ・ハンブルクでトルコ移民の二世として生まれました。1993年ハンブルクの映画プロダクションで脚本家や俳優、監督として経歴をスタートさせます。

2004年、『愛より強く』でベルリン国際映画祭金熊賞、ヨーロッパ映画賞作品賞を受賞。2007年には『そして、私たちは愛に帰る』によりカンヌ国際映画祭で脚本賞と観客賞を受賞。2009年にはコメディ映画『ソウル・キッチン』でヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞を受賞。以上のように若干36歳にして世界3大映画祭で受賞の栄誉を受けており、世界の映画界での評価や期待の高さが垣間見えます。

主演はダイアン・クルーガー

主人公カティアを演じるのは、1976年ドイツ・ヒルデスハイム生まれのダイアン・クルーガーです。彼女は、最初モデルとして活躍した後、女優活動を開始します。2002年に『MONIDOLE』で映画デビューを果たし2003年の『ミシェル・ヴァイヨン』で注目を集め、2004年の『ナショナル・トレジャー』で大ブレークしました。本作『女は二度決断する』では、カンヌ国際映画祭女優賞をはじめ、欧米でさまざまな賞に輝いています。

『女は二度決断する』簡単なあらすじ

舞台はドイツのハンブルグ。トルコ系移民ヌーリと結婚した主人公カティアは、幸せな人生を歩み出していましたが、爆発事件により最愛の夫と息子ロッコを失います。当初トルコ人同士の抗争とされていた事件が、実は人種差別主義者のドイツ人によるテロであったことが判明。愛する家族を殺されたカティアは、憎しみと絶望のなか復讐を誓います。

女は二度決断するの登場人物紹介

カティヤ・シェケルジ(ダイアン・クルーガー)

主人公カティアは生粋のドイツ人。大学時代トルコ系移民のヌーリと知り合い、その後結婚します。夫と愛息ロッコに囲まれて幸せな家庭を築きます。ある日、白昼に突然起こった爆発事件で最愛の夫ヌーリと息子のロッコを失うと、カティアの平穏な生活は音を立てて崩壊していきます。彼女は憎しみと絶望の中、破滅を恐れもせずひた走っていきます。

ダニーロ(デニス・モシット)

爆弾事件で被害者遺族カティアにつく弁護士ダニーロ。一審に敗れた後も、上告の手続きを進めるなどカティアを献身的に支えます。

<キャスト紹介>弁護士ダニーロを演じるのは、1977年生まれのドイツの俳優、デニス・モシットです。ドイツ人の父とトルコ系の母の間に生を受けます。1999年『暗い日曜日』で映画デビュー。その後、映画『Chiko』での演技が高く評価され、ドイツ映画賞最優秀主演男優賞にノミネートされました。ファティ・アキン監督の作品では、他に短編『Der Name Murat Kurnaz』にも出演しています。

ハーバーベック(ヨハネス・クリシュ)

ハーバーベックは、爆弾事件の犯人として逮捕された、メラー被告の弁護士です。裁判では熟練した法廷戦術でみごと無罪を勝ち取ります。

<キャスト紹介>弁護士ハーバーベックを演じるのは、1966年オーストリア・ウイーン生まれの俳優ヨハネス・クリシュです。彼は、1989年にウィーン劇場の劇団員としてキャリアをスタートさせます。その後、数々のテレビ番組や映画に出演。とりわけ2011年のイギリス・オーストリア・フランス・ブラジル合作映画『360』でのコールガールの元締めロッコ役で有名です。

ビルギット(サミア・シャンクラン)

主人公カティアの友人ビルギット。ある日、カティアと一緒にスパに出かけます。車で出かけるのに反対するカティアの夫ヌーリに息子のロッコが「ビルギットは妊婦だからいたわらなきゃダメ」と言います。母親カティアと「バイバイ」と言って車で出発します。それが永遠の別れになることなどつゆとも思わずに…。

<キャスト紹介>カティアの友人ビルギットを演じるのは、1983年ドイツ・ミュンヘン生まれの女優兼監督サミア・シャンクランです。彼女はシュトゥットガルト、ベルリンなどの舞台女優として経歴をスタートさせ、その後テレビドラマや映画でも活躍するようになりました。

ヌーリ・シェケルジ(ヌーマン・アチャル)

ヌーリ・シェケルジは、トルコ系移民。学生時代にドイツ人カティアと出会います。一時期麻薬密売に手を染め逮捕・実刑が下り刑務所に収監されます。出所後となりの教会でカティアと結婚。息子ヌーリが生まれるとすっかり子煩悩になります。トルコ人街で在住外国人相手にコンサルタント会社をはじめ、一家の大黒柱としてまじめに働いていました。

<キャスト紹介>ヌーリ・シェケルジを演じるのは、1974年トルコ生まれで1982年にドイツに移住した俳優、映画プロデューサーのヌーマン・アチャルです。アメリカの人気TVドラマ「ホームランド」や「プリズン・ブレイク」に相次いで出演。他にもアメリカ、ドイツで数々のTVや映画に出演する彼は、トルコ語・ドイツ語・英語のほかスペイン語を流暢に話し、クルド語・アゼルバイジャン語・アラビア語にも精通しています。    

女は二度決断するのあらすじネタバレ

あらすじネタバレ①夫ヌーリとの出会い

ドイツ北部に位置しエルベ川によって北海とつながる港湾都市、ハンブルク。数多くの運河が縦横に流れる、緑豊かな美しい地が映画の舞台です。主人公カティアはドイツ人、学生時代にトルコ系移民のヌーリと出会います。ヌーリには麻薬密売の前科がありましたが、刑務所出所後カティアと結婚、まじめに生きる決意をします。息子ロッコが産まれると、安定した収入を得るため在住外国人相手にコンサルタント会社を始めます。
 

カティアも会社勤めを始め、3人はささやかながらも幸せで平穏な日々を送っていました。ある日、カティアはヌーリが経営する事務所に息子ロッコを預け、友人とスパに出かけます。これから起こる悲劇など知る由(よし)もなく、夫と息子にバイバイとしばしの別れを告げ事務所を後にします。自転車に鍵をかけずに立ち去る女性を見かけると、「鍵をかけないと盗まれるわよ」と声をかけるいつもの優しいカティアでした。

あらすじネタバレ②夫と息子を同時に失うカティア

カティアはゆったりと温泉につかりながら、友人に脇腹の「侍」というタトゥーを見せながら、ヌーリが嫌がっているからタトゥーを入れるのはこれが最後と言います。スパで友人と別れると、息子ロッコの待つヌーリの事務所に向かいます。日は暮れかかりあたりは薄暗くなっていました。事務所に近づくと多くの人だかりができていました。警察の規制線が引かれ、パトカーが何台も止まっています。

カティアは「何があったの!」と叫びながら野次馬をかき分け進みます。1人の警察官が来て言います、「爆発事故です」。急いで近寄ったカティアの目に入ったのは、焼け落ちたヌーリの事務所の残骸でした。2人の安否が気になり居てもたってもいられないカティア。警官に案内され爆破事件にあった人たちのいる避難所を探しますが、どこにも夫と息子の姿はありません。

そんなカティアに、無情にも死亡した男性と子供がいることが伝えられます。しかし、彼女はどうしてもそれが夫と息子だと考えることはできません。彼女は事件の捜査をする刑事とともに自宅へと急行します。DNA鑑定をするため、洗面所から夫ヌーリと息子ロッコの歯ブラシを取ってくると刑事に差し出します。

やがて、刑事がDNA鑑定の結果を携えて戻ると告げました。「悪いお知らせですが犠牲者はご主人と息子さんでした」。否定しようのない現実を前にしてカティアは泣き崩れ、心配してやってきた家族や友人にもなすすべはありませんでした。

あらすじネタバレ⓷カティアを苦しめる捜査

突然襲ってきた不幸に茫然自失するカティアでしたが、刑事は事件の真相にせまる情報がないかと彼女に聴取を続けます。彼女は泣き叫びたい気持ちを抑えて、できる限り警察の捜査に協力しようとします。しかし、刑事の質問は傷ついた彼女の気持ちを考えない、デリカシーのかけらもないものでした。

「ご主人は熱心なイスラム教徒だったのか」とか「クルド人?政治活動をしていなかったか?」さらには「ご主人を憎んでいる人はいなかったか?」と夫ヌーリがまるで犯罪者か何かのような取り調べをします。刑事はヌーリに薬物販売の前科があり刑務所に服役したとの情報を得ており、彼が犯罪組織と関係があり対抗組織との抗争から狙われたと見て捜査をしていたのでした。

そんな捜査に嫌気がさしたカティアは、最愛の2人を殺したテロリストについて「犯人はネオナチだ」と言い出します。カティアは事件が起きる少し前に目撃した「女が自転車を事件現場のすぐ前に停めていた」こと、鍵をかけていなかったので注意したときに「自転車の荷台に何かが入ったボックスが載ってるのを見た」ことを伝えます。しかし、刑事はその情報には反応せず聞き流してしまいます。

あくる日、カティアは知リ合いの弁護士ダニーロの事務所を訪ね、夫ヌーリは恨みを買っていたのではなく、ネオナチによるテロ事件だと事件の真相を訴えます。ダニーロはカティアの悲しみが少しでも癒えればと協力することを約束します。カティアは自宅に戻ると、最愛の夫ヌーリと息子ロッコがいなくなった悲しみと寂しさを紛らわせるため薬物に手を出してしまいました。

あらすじネタバレ⓸強制捜査と自殺未遂

突然、カティアの自宅に捜査令状を持った刑事たちが押しかけてきます。薬物がらみの事件というシナリオを実証するため、死亡したヌーリが薬物を持っていた証拠を押収するのが目的でした。刑事は部屋で薬物を見つけます。カティアは、発見された薬物はヌーリのものではなく自分が使ったものだと自供します。捜査の様子を見守っていた母親が、「ヌーリのものだと言えばよかったのに」と言うと、カティアは不満な顔を見せます。

カティアは、温かいバスタブのお湯に浸かっていました。その様子はくつろいでいるようにも見えました。が、突然両手首から鮮血がほとばしります。彼女は手首を切り自殺を図ったのです。すると、時を同じくして携帯電話が鳴り響きます。うつろな表情をしたカティアが出ると、電話は警察からで、爆破事件の容疑者を逮捕したとのことでした。

あらすじネタバレ⑤犯人逮捕も…。

ハッと我にかえったカティアは、血が滴る手首をタオルで圧迫し電話に残されたメッセージを再確認します。再生された声は、たしかに犯人を捕まえたことを知らせていました。

事件の容疑者として逮捕されたのは、エダとアンドレ・メラーというネオナチの夫婦でした。法廷でも仲むつまじく振舞う2人を睨みつける遺族カティア。彼女の横には弁護士ダニーロも同席しています。裁判冒頭から被告の弁護士ハーバーベックが、裁判を有利に進めるため権謀術数の限りを尽くします。

あらすじネタバレ⑥心の傷をえぐる裁判

裁判では、被告側弁護士ハーバーベックが、事前に情報を知っていたカティアが証人では公正な審議が行われないと主張し、彼女を退廷させようとします。しかし、カティアの弁護士ダニーロが強く審議妨害だと抗議し、裁判官からカティアが遺族として裁判に立会う権利を引き出します。

証人として被告アンドレの父ユルゲンが出廷します。ユンゲルは、爆弾の材料に使われたものと同じ肥料や釘などが自宅ガレージにあったので、息子アンドレの犯行だと考えて警察に通報したと証言しました。しかし、被告側の弁護士ハーバーベックは、ガレージの戸締りやカギの保管場所についての問題点を突きます。被告以外の第三者がガレージに入った可能性を指摘したのです。

それでもなお被告の父ユンゲルは、息子アンドレの犯行だと確信していました。彼は証言を終えカティアの方を振り返りと、被害者と遺族である彼女に息子の過ちを深く謝罪しました。その後、今度は爆破事件を捜査する刑事が証言に立ちます。その証言からガレージから押収した肥料や釘に特定できない指紋がもう一つ発見されたことが明らかになります。弁護士ハーバーベックは、被告以外の第三者の犯行の可能性を強く主張します。

爆弾事件の裁判は、その後も回を重ねていきました。ある日の裁判で出廷した証人が、被告のメラー夫妻が事件当日にギリシャのホテルに宿泊していたと証言します。そして、メラー夫妻のサインがある宿泊台帳を証拠物件として提出しました。

あらすじネタバレ⑦思いもよらぬ判決!

弁護士ダニーロは、証人のホテル支配人がギリシャの極右政党のメンバーと確認できる画像を証拠として提出します。さらにメラー夫妻がSNSで証人が極右の旗を掲げる写真に、”いいね”と同意を示していたことを指摘し、彼らは結託してアリバイ工作をしていると証言しました。完璧なまでの論証に被害者遺族の関係者から歓声と拍手が起こります。被告側弁護士ハーバーベックは、苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべていました。

いよいよカティアが法廷で証言台に立つ日がやってきました。被告側弁護士ハーバーベックはカティアの証言をひっくり返すため攻勢を強めます。かつて、亡き夫ヌーリが薬物密売に関わり服役したことを指摘した上で、カティアの証言の信ぴょう性は疑わしいと主張します。さらにカティアに薬物検査をするよう要求します。薬物依存のカティアの目撃証言は幻覚であり、薬物常習者に見られる虚言も疑われると裁判官に訴えたのです。

カティアの弁護士ダニーロは、被告側弁護士ハーバーベックは審議対象をカティアの問題にすり替えており、遺族を容疑者のように扱う行為は許されないと抗議します。カティアの薬物検査も拒否してしまいます。やがて判決の日がやってきました。カティアの目撃証言は薬物検査が行われなかったことを理由に、信ぴょう性が低いと結論付けられてしまいます。被告メラー夫婦には証拠不十分で無罪が言い渡され、裁判は終了しました。

あらすじネタバレ⑧犯人追跡と壮絶な最期

あらすじネタバレ解説も、いよいよ最終コーナーです。カティアは、釈放されたメラー夫妻がSNSにアップした写真に極右団体のメンバーを見つけ、夫婦の所在の手掛かりをつかむためギリシャへと向かいます。裁判で証人として出廷した支配人のホテルを訪ねたカティアは、従業員から彼の証言が嘘であったという裏付けを得ます。支配人を尾行した結果、メラー夫妻がモーテル代わりに使っているキャンピングカーを発見しました。

カティアはホームセンターで材料を購入して爆弾を作ります。そして、夫や息子が味わった恐怖と苦痛を与えてやるため夫婦がいなくなるのを待ってからキャンピングカーに爆弾を仕掛けました。ところが、カティアはどういうわけか仕掛けた爆弾を撤去してしまいます。しかし、弁護士ダニーロから裁判の上告期限が迫っていると連絡を受け後がないカティアは、気持ちを新たに夫と息子の復讐を誓います。

翌日、爆弾入りのリュックサックを背負ったカティアは、夫妻がキャンピングカーに戻って来るのを待ち構えて車に乗り込みました。次の瞬間、キャンピングカーは爆音とともに炎上しました。カティアは最愛の家族のリベンジのため、最後の手段として自爆を選んだのです。

女は二度決断するのラスト結末をネタバレ

これまで映画『女は二度決断する』のネタバレあらすじを順を追って紹介してきました。ここからは、この映画の見どころとなっているラスト結末を、今一度詳しく見てまいります。

結末ネタバレ①カティアの追跡開始

『女は二度決断する』結末ネタバレ最初は「カティアの追跡開始」です。爆弾事件の裁判にからくも勝訴し、自由の身となったメラー夫妻は、裁判で得た補償金でバカンスを楽しんでいる様子をSNSにアップします。アップされた画像には、重要証人ギリシャのホテル支配人も一緒に写っています。カティアのつらい気持ちをあざ笑うような夫婦の軽率な行動。彼らの居場所を突き止めようと、カティアはギリシャにむけ出発します。

ギリシャに着いてホテルにチェックインしたカティアは、証言をしたギリシャ人の支配人が勤めているホテルを探します。それらしきホテルをインターネットで探し当てると、カティアはホテルの住所をカーナビに登録します。しかし、カティアはなかなかホテルに踏み込むことができません。いざとなると気持ちが萎えてしまい、覚悟を決めることができません。

ホテルが一望できるところでしばらく張っていると、例の支配人が車に乗ってホテルから出ていくのを目にします。カティアは意を決してホテル内に侵入しました。そのときフロントの奥にいた女性従業員に見つかってしまいます。声をかけられたカティアは、質問には答えず逆にホテルのお客に友人のドイツ人がいないか尋ねると、メラー夫妻の写真を見せます。しかし、彼女はホテルはギリシャ人しか利用していないと答えました。

カティアはその場を後にしますが、女性従業員は後を追ってきてカティアに電話番号と名前を教えて欲しいと言います。カティアは戸惑いながらも偽名と嘘の電話番号を伝えます。女性従業員は抜け目なくカティアが伝えた番号に電話をします。もちろん、カティアのスマートフォンが鳴るはずもありません。その時、突然、例のギリシャ人支配人が車から降り近づいてきます。手にはバールを持っており、カティアに襲いかかってきました。

結末ネタバレ②危機一髪から反転攻勢

結末ネタバレ解説は続きます。必死で車のアクセルを踏み込み逃げ切ろうとするカティア。なんとか追跡車を巻いたカティアは、街の路地で車を止めます。売店に立ち寄り気持ちを落ち着かせるためにタバコを買い求めました。ちょうどその後ろをホテル支配人の車が通り過ぎていきました。カティアはなんとか無事危機を脱しました。

その後もカティアは支配人の車の尾行を続け、ようやくキャンピングカーで人目を避けた生活をしているメラー夫妻を発見しました。カティアは愛する夫や息子の無念を晴らすため、メラー夫婦へのリベンジの誓いを新たにします。

結末ネタバレ⓷爆弾製造するが計画中止に!

結末ネタバレ解説、次はリベンジ計画の行方についてです。カティアは夫婦が作った爆弾を参考にしようと、パソコンから裁判記録のファイルを見つけ出します。それからカティアは、ホームセンターへ出かけると爆破事件で使われた材料を購入します。夜になりましたが、愛する息子ロッコと遊んだラジコンカーの無線機能を活用し、材料である圧力鍋に肥料や釘を入れ、遠距離からでも爆破できる爆弾の製造に成功しました。

翌日、カティアは完成した爆弾をリュックサックに入れ、メラー夫妻が寝起きしているキャンピングカーに向かいます。2人がジョギングに出かけ不在になった隙に、車の下にリュックサックを仕掛けます。しかし、草陰に隠れ夫婦が戻ってくるのを待っていたカティアは、心境に変化が起こったのか理由は不明でしたが、復讐の計画を中止してしまいます。

結末ネタバレ⓸ダニーロの想いはカティアを動かすか?

結末ネタバレ続いては、弁護士ダニーロの想いがカティアの心を動かすのかについてです。カティアは仕掛けたリュックサックを車の下から取り上げると、宿泊先のホテルに向かいます。その途中、車の中で弁護士ダニーロからの電話に出ます。実は彼からこれまで何度もかかってきたのですが、爆弾の準備で忙しく出ることができませんでした。

ダニーロは、カティアに「どこにいるんだ」と心配して聞きます。さらに、上告の期限が明日に迫っているので提出書類を作成しなければならないこと、そしてもう一度容疑者と闘おう、とカティアを鼓舞します。さらに彼は、明朝8時に一緒においしいパンでも食べた後、上告書類を作成しようと提案します。カティアはダニーロに深く感謝を伝えて電話を切りました。

結末ネタバレ⑤それでも爆弾を抱えるカティア

結末ネタバレも最終コーナー。カティアが最悪の結末へ突き進んでいくさまを追います。その夜ベッドに入ったカティアは、スマートフォンに保存されていた夫ヌーリと息子ロッコと一緒に、バカンスに海へ行ったときに撮った動画を見ました。ヌーリとロッコは楽しそうに海に入って遊んでいます。ロッコは「ママも来て!」とビデオに向かって言っていました。

メラー夫婦が日課のジョギングを終え、キャンピングカーに戻ってきました。夫アンドレが先に車内に入り、妻のエドはしばらくの間、外で海を眺めています。少ししてエドもキャンピングカーに入ると、それを待ち構えていたかのように林の中からカティアが姿を現わしました。彼女は、爆弾の入ったリュックサックを抱え込み、手にはラジコンカーのリモコンを握りしめキャンピングカーの中に侵入します。

結末ネタバレ⑥壮絶な最期

結末ネタバレいよいよ最後の最後です。カティアがリモコンのスイッチを押すと、次の瞬間すさまじい爆音が起こり、黒い煙と炎が舞い上がりました。すぐにまた静寂が訪れると、ただ海の波だけが、無情にも繰り返し浜辺に打ち寄せていました。

女は二度決断するは実話から着想を得た?

実話を基にしている部分も多くある

映画『女は二度決断する』の物語はあくまでフィクションです。ところが、アキン監督の来日時のインタビューなどによると、部分的には実話をもとにしていたり、実話から着想を得ているところもあるようです。それでは具体的に見ていくことにしましょう。

「女は二度決断する」には実話を基にしているところもあります。ハンブルクなどで2000年〜2007年に起きたトルコ系など外国人が爆弾テロで相次ぎ死傷した事件がベースになっていると言います。実行犯は「国家社会主義地下運動( NSU)」というネオナチ極右集団でした。ところが、2011年に真相が判明するまで、トルコ系の犯罪組織の内部抗争」との先入観で捜査が行われ、メディアもただそれに追随するだけでした。

監督の実体験に基づいている!

アキン監督の説明では『女は二度決断する』の着想を得たのはこの事件だけではなく、1992年にまでさかのぼると言います。東西ドイツ統一以降、ネオナチの台頭やトルコ系などの移民への攻撃といった社会問題が起きました。そのとき、これをテーマにして映画を撮りたいと考えていたそうです。「NSU」の連続テロでは、アキン監督の兄の友人も殺されています。

また、トルコ系移民を両親に持つアキン監督には決して他人事ではなく、自らのアイデンティティーにつながる問題なのだろうと容易に想像がつきます。「連続テロ発生から10年ほどはメディアも捜査当局も、トルコ系同士の抗争だと言い続け、移民を責める時期が長く続いた。殺害そのもの以上に無実の人たちが責められたことが問題だ」と監督は語ります。

まるで実話のように怖いまでのリアリティにあふれた映画『女は二度決断する』。しかしそれは決してテロリストにスポットライトを当てたアクション映画ではなく、被害者遺族に寄り添うような社会派・人間ドラマになっています。

女は二度決断するの感想や評価は?

最後に、『女は二度決断する』を観て皆さんが抱く感想や評価をご紹介していきます。先にご紹介した監督の想いが観る人に届いているのか気になるところです。では早速観た人の感想を紹介してまいりましょう。

感想①ダイアン・クルーガーの演技が圧巻!

最初は最も目についた感想から。『女は二度決断する』で特筆すべきは、ダイアン・クルーガーの圧巻の演技です。心をえぐられるような真に迫った演技でありながら、誰もが「あるある」とか「自分ならどうしただろうか」と思ってしまうほど普通の人を演じているのです。特別なヒロインではなく一般人の代表として存在しているので、観客も自分と重ね合わせて観ることができ惹きつけられるという感想を抱くのではないでしょうか。

『女は二度決断する』の主人公カティアは徹頭徹尾、普通の人。突然ふって湧いたような事件によりヒロインになってしまった人です。だからこそ、観る者は「テロリストに大切な家族を奪われた自分」としてヒロインと自然に同化することが可能で、一緒に苦しみ、怒り、行動を共にしている錯覚に陥ります。これはもちろん演技の妙だけでなく、脚本や演出すべての勝利だと評価されています。

感想②卓越した構成が観る者を惹きつける!

次の『女は二度決断する』の感想は、映画の構成力を称賛する声です。突き刺ささってくる映像なのに見やすい、社会派ドラマなのに娯楽作。それぞれがバランスよく保たれていて本作を極限まで面白くしてくれます。多分、あらすじだけを聞いたら「つらそうだから見ない」という感想を持ってしまう人もいるでしょう。でもそれでは勿体ない、という声もあります。

問題提起を行うために、娯楽性を削り人々に深く考えさせるという映画は多いです。本作にもそういう要素はあります。でも本作がすごいのは、そこで終わらせないところです。お客さんを取りこぼすことがないようにきめ細かく気配りがされています。つまり見せ方とか観客の乗せ方が非常にうまいのだと評価されているのです。

それを踏まえると、冒頭の7・8分が本作の核になっていることがわかります。長すぎず短すぎず、絶妙な尺。それだから観客はヒロインに同化しているという感想を得ることができるのではないでしょうか。きっと、観客の心をそれこそ秒単位で考えて構成しているんだろうな、とファンに思わせます。

無駄が一切ないし残酷な描写もほぼありません。社会派映画でしか得られない重みある感覚を、限りなく軽やかに突きつけてくるという感想があげれられています。

感想⓷単なる復讐劇にしかみえない

『女は二度決断する』の感想には以下のようなものもありました。監督本人がトルコ移民二世だからでしょうか。トルコ系のアイデンティティに関わる物語がほとんどで、描かれる社会もトルコ系コミュニティです。『女は二度決断する』では、偏見や移民差別そのものを描いているわけではありません。ネオナチ団体のドイツ人夫婦がトルコ人を狙った爆弾テロを実行しますが、犯人たちがどんな思想を持っているかは出てきません。
 

ドイツにおいてトルコ人コミュニティのおかれている環境は社会的にどうなのか、ドイツの極右勢力は何をしようとしているのか、ドイツ社会はそのことに対してどうしようとしているのか、それを描けとはいいませんが、その視点が見えてこなければ、仮にその行為がテロに対する行為であっても、このラストは単なる復讐でしかありません。

有名俳優を使い、物語も一般受けする内容になっているという感想です。『女は二度決断する』では、終盤カティアのこころにに迷いが生じます。それを一羽の鳥がとまるカットで表現していましたが、カティアがなぜそうしたのか、不明なまま一旦リベンジの計画を中止します。この映画を薄っぺらく感じるのは、このカティアの気の迷いや2度目の決断の深さや重さが描ききれていないという感想を抱かせるからではないでしょうか。

女は二度決断するのあらすじ結末まとめ

ここまで話題の映画『女は二度決断する』のネタバレあらすじから、結末の内容や感想・評価にいたるまで紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。監督自身がトルコ移民2世のドイツ人だったことは意外だとおっしゃる方もいます。この映画にかける監督の熱い思いもおわかりいただけたのではないでしょうか。

日本は要領よく移民受け入れを回避しているので、この映画の問題は対岸の火事にしか映らないかもしれません。でも今後押し寄せる少子高齢化の波を乗り切るには、外国人受入れ拡大は必須です。そうなったとき彼らと共存できるのか、ドイツのような社会になりはしないか、そんなことを考えさせる映画でもあります。

ぜひこの機会にご覧になってください。あなたの人生に小さくとも転機をもたらしてくれる、貴重な体験になるかも知れません。

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