砂の器のあらすじと結末をネタバレ!映画の感想も紹介【松本清張原作】

1974年、映画「砂の器」が公開されました。「砂の器」の原作は、松本清張によって書かれた長編小説です。人気作家の作品を原作をあらすじとした映画というのもありますが、現在ではもう聞かなくなった「ハンセン病」という病気があらすじの背景になっていることも、大きな話題を呼びました。「砂の器」のあらすじには、それによりあまりに辛い宿命を負ってしまった親子と、その親子を助けようと奮闘したある人物の悲しい最後が描かれています。映画「砂の器」のネタバレあらすじやキャストなど、ご覧ください!

砂の器のあらすじと結末をネタバレ!映画の感想も紹介【松本清張原作】のイメージ

目次

  1. 砂の器の映画あらすじが気になる!
  2. 砂の器の原作は?
  3. 砂の器の映画あらすじをネタバレ!
  4. 砂の器の映画結末をネタバレ!
  5. 砂の器のキャストを紹介!
  6. 砂の器の映画を観た感想とは?
  7. 砂の器の映画あらすじネタバレまとめ!

砂の器の映画あらすじが気になる!

40年以上前に公開された、映画「砂の器」。あの松本清張の長編小説を原作として、ドラマにも映画にもなった人気の作品です。「砂の器」のあらすじの背景には、現代ではほとんど聞くことのない「ハンセン病」という病気があります。そして、その病気によりある親子が背負ってしまった「宿命」。それについて惜しみなくネタバレしながら、映画「砂の器」のあらすじ、キャストなどをご紹介していきます。

砂の器の原作は?

映画「砂の器」の原作は、松本清張による同名の長編小説です。1960年から61年にかけて読売新聞に掲載され、同じ年の1961年に本として出版されました。多数の作品を世に送り出している松本清張。その代表作の1つとも言われるのがこの原作「砂の器」です。

砂の器の映画あらすじをネタバレ!

いよいよ、映画「砂の器」のあらすじを、ネタバレ有りで紹介していきます。あらすじに隠された、やるせなさすら感じる社会の偏見や、それに翻弄されるある親子。その親子を救おうとした、ある1人の人物のあまりにむごい結末から、この物語は始まっていきます。原作と映画では少々違うところもあるので、「砂の器」の原作は読んだけど映画は観てない、という方には新鮮かもしれません。

あらすじ① 身元不明の遺体

昭和46年6月24日の早朝、東京蒲田にある国鉄の操車場で、無残な姿の男性の遺体が発見されます。頭や顔面を固いもので殴られ、死後に車に轢かれたかのように装われており、残酷なものでした。身元がわかるものを何一つ持っておらず、唯一つ手がかりになりそうだったのは、あるバーのマッチ。そのバーの店員への聞き込みから捜査が始まります。

あらすじ② 「カメダ」の謎

担当捜査員となったのは、今西警部補と吉村巡査。被害者の所持品のマッチに書いてあったバーの店員に話を聞きます。店員によると、若い男に熱心に話をしていた被害者は、東北弁のような方言で「カメダがどうした、カメダは変わらない…」などと話していた様子。掴めた鍵は東北弁と謎の「カメダ」という言葉だけでした。捜査本部では東北在住の「カメダ」という人物を探る方向に進みますが、今西がある提案をします。

あらすじ③ 秋田へ

今西は、「カメダとは地名なのでは?」と提案しました。そのため、今西と吉村は秋田県の「羽後亀田(うごかめだ)」に向かいます。結果は、空振りでした。不審な人物の情報は得られるものの、まったく手ごたえが掴めないのです。2人は仕方なく帰京することに。

その帰り、電車の女子スタッフがある人物にサインを求めたり色めき立っている様子が。偶然その電車には、作曲家の「和賀英良(わがえいりょう)」が乗っていました。

あらすじ④ 白いものをばら撒く女

秋田での空振りの後、偶然吉村が新聞を読んでいる中で、興味深いエッセイを見つけました。電車から、女が白い何かをばら撒いている様子が描かれていたのです。吉村がその新聞社に話を聞いたところ、たまたま乗り合わせた記者が、女の様子を記事にしたようでした。その記者の紹介で、吉村はその女に会いにあるクラブに行きます。女の撒いた白いものは、もしかすると今警察が必死に探しているものかもしれませんでした。

女の名前は高木理恵子と言いました。吉村が「電車に乗っていたか」と尋ねると、理恵子は全く認めず、店の奥に引っ込んだかと思ったらそのまま行方不明に。理恵子が店を出たことを知らず、吉村は別のホステスと喋りながら理恵子を待ちます。その間、店に新たな客が。あの和賀英良でした。その傍らには元大蔵大臣田所重喜の娘の姿も。おしゃべりなホステスによると、和賀は「宿命」という曲を発表するとのことでした。

あらすじ⑤ 遺体の身元判明

事件から2か月程経った8月9日、遺体の身元が判明します。岡山から被害者の息子が上京してきました。そしてわかったのは、被害者の名前は三木謙一、65歳。お伊勢参りついでの気ままな関西旅行に1人で出かけたものの帰ってこず、家族が捜索願を出していたようでした。息子彰吉によると、謙一は東京に行く予定はなかったはずで、しかも「カメダ」という言葉に全く心当たりはないようでした。

また、三木謙一は元警察官で、最後は島根県で20年ほど赴任。退職後は、地元岡山で雑貨屋を開き、今は彰吉夫婦が継いでいます。東北弁についても、三木は東北弁を使うことはなく、おそらく行ったこともないとのこと。三木が誰かに恨みを買ってなかったについても、「父は実に立派な人間で、誰からも恨みは買わない」と彰吉はきっぱり言います。「東北弁」と「カメダ」が未だ謎です。

あらすじ⑥ 「カメダ」の正体

今西は国立国語研究所の専門家から、有力な情報を得ます。東北弁はいわゆるズーズー弁で、島根県出雲地方でも似た方言を使うとのこと。三木は島根県で警察官として働いていました。そこで今西は、出雲に絞って「カメダ」の地名を探します。

すると、「亀嵩(かめだけ)」という所を発見。ズーズー弁は語尾がはっきりしないのが特徴のため、「かめだけ」を「かめだ」と三木が言っても不思議はありません。しかも三木は島根に赴任中、まさにこの亀嵩を中心に20年以上巡査をしていたことが島根県警の協力でわかります。今西はすぐ亀嵩に向かいます。

あらすじ⑦ 三木の人柄

今西は亀嵩(かめだけ)にある村で、三木の人柄について話を聞きます。誰かの恨みを買ってないかを期待して聞いたのに、「仏のような、真面目で本当にいい人」という話しか聞けません。桐原という老人からは、「父子の乞食が村に来た時は、父親が病気だったため病院に送り、その子どもの面倒を三木夫婦がみた」というエピソードまで聞きました。また空振りかもしれません。

あらすじ⑧ 白いものの正体

一方吉村巡査は、女が電車から撒いた白いものを、線路沿いでしらみつぶしに探します。すると、赤い色が付いたいくつかの白い布の破片が見つかりました。その布切れを科学研究所に持ち込みます。すると布についていた赤色は血液と判明し、血液型はO型。三木謙一もO型でした。本格的に高木理恵子の捜索が開始されます。

あらすじ⑨ 伊勢へ

三木謙一がなぜ東京に行ったのか。それがまだわかりません。旅行の最終目的地であった伊勢に着いたことは、息子彰吉に送られた絵はがきでわかります。そこで、今西は伊勢に向かいました。そこでの聞き込みで、三木が滞在中、2日続けて同じ映画館に行ったことがわかりました。その映画館で、今西はある重要な写真を発見します。

あらすじ⑩ 桐原老人からの手紙

今西は亀嵩から帰った後、三木が面倒をみたと言われる父子の乞食が気になり、桐原老人に手紙を送り情報を頼みました。すると返信が届き、その乞食の父親の方は本浦千代吉という名前で、しかもその生家の住所まで記されていました。今西はすぐその住所にある石川県上沼へ向かいます。

住所を訪ねると、千代吉の義理の姉から話を聞けました。本浦千代吉は、妻ふさとの間に、秀夫という息子がいました。しかしその秀夫が3歳の時、千代吉は病気にかかってしまい、妻ふさが家を出ていきます。その後千代吉も秀夫とともに村を去ってしまうのでした。昭和17年の夏のことでした。

あらすじ⑪ 高木理恵子の死

行方不明の高木理恵子ですが、実は彼女は和賀英良の愛人。英良には婚約者がおり、それが元大蔵大臣田所重喜の娘です。しかし理恵子は、英良の子供を身ごもりました。結婚は望まないから子供だけはと英良に言うものの、英良は断固として受け入れません。間もなく理恵子は運悪く流産し、出血多量でそのまま死亡してしまうのでした。

あらすじ⑫ 大阪へ

今西は石川から大阪へ、ある男の戸籍調査に向かいます。その男とは、和賀英良のこと。調べてみると、昭和20年3月の大阪の空襲で、英良の両親は亡くなっていました。しかし、実はその空襲で法務局も被災。そこにあった戸籍を消失した場合は、「本人の申し出を元に戸籍を再び作る」とのこと。その後、今西は英良が住んでいたとされる場所の付近を尋ねました。しかしその時、「和賀夫婦に子供はいなかった」ことを知ります。

あらすじ⑬ 和賀英良逮捕

和賀英良の渾身の大作、「宿命」のコンサート日。演奏しながら英良は昔を回想します。その舞台袖で、和賀英良の逮捕状を持った今西と吉村が、英良の姿を見つめています。その時吉村に、今西は「今彼は父親に会っている。彼にはもう音楽の中でしか父親に会えないんだ」と語るのでした。
 

砂の器の映画結末をネタバレ!

事件のあらすじでした。犯人をネタバレしましたが、なぜ和賀英良逮捕?!と思われたのではないでしょうか。ここからは、今西警部補が和賀英良の逮捕状を取るために捜査員に語った、事件あらすじの全貌、そもそもその事件が起こるまでに至った経緯について、ネタバレしていきます。

結末あらすじ① 事件のあらすじを話す今西

今西が捜査員に事件のあらすじを語ります。三木謙一は旅行で伊勢に来て、映画館で偶然、ある写真を見ます。そこには、そこの地元出身の元大蔵大臣とその娘と共に、和賀英良が写っていました。その顔を見て三木は、島根県に駐在していた頃助けた、あの父子の子供、本浦秀夫だとわかりました。その子は謙一の元を突然去ってしまい、行方不明になっていました。三木は急遽東京に向かいます。

三木は、和賀英良、もとい本浦秀夫になんとしても会わなければならない理由がありました。秀夫の父、千代吉が長くないことを伝えるためです。しかし本浦秀夫にとって、三木謙一は絶対に会いたくない人物。過去を知っている人間です。まさかの殺害という手に出てしまうのでした。殺害当時、秀夫は白いシャツを着ていて、返り血を浴びたそのシャツの処分を高木理恵子に命じます。これが、三木謙一殺害事件のあらすじです。

結末あらすじ② 本浦秀夫の旅のあらすじを表現する「宿命」

「宿命」を演奏しながら、本浦秀夫は過去を振り返ります。自身が幼い頃に父の千代吉がかかった病気は、ハンセン病でした。昭和の前半ではまだまだ偏見や差別が根深い病気です。そのため母が去り、父も秀夫を連れて村を出ました。そこからの旅は、困難を極めました。見ず知らずの人間に邪見にされ、食べ物も着るものもままならない。石川県を出た父子は、ボロボロの状態で島根県の亀嵩にたどり着きました。

そして出会ったのが、三木謙一です。父親の千代吉がハンセン病だとわかると、息子秀夫と離れたくないと訴える千代吉を説得し、病院へ入院させます。秀夫のことは自分たち夫婦で育てようとしました。しかし、秀夫は三木夫婦の元を勝手に出てしまいます。父親の元へも行かず、1人大阪にたどり着きました。そこで偶然「和賀自転車店」の和賀夫婦に拾われ、店の手伝いとして過ごすことになります。

しかしその後大阪で空襲が起き、和賀夫婦は死亡。秀夫は戸籍の申時に嘘をつき和賀夫婦を両親とし、自身に「英良」という名前をつけました。本浦秀夫の存在は消えてしまいました。その後成長した秀夫は、作曲家として地位を得ます。ところが、突然現れたのが、三木謙一でした。彼は父親に会うよう、必死に説得してきます。過去を絶対に知られたくない秀夫は、三木を殺害するのでした。

結末あらすじ③ なぜ本浦秀夫は三木謙一を殺したのか

なぜ、秀夫は三木を殺したのでしょうか。映画では、本浦秀夫の口から理由が語られる場面はありません。しかし、原作のあらすじにはない、ある場面が映画「砂の器」にはあります。今西が、施設にいる本浦千代吉に会いに行くシーンです。

本浦千代吉が、今西から映画館で見つけた「和賀英良」の写真を見せられ、今にも会いたい息子だと気づいたはずなのに、「そんな人知らない」と、泣きながら絞り出すように言い張ります。そこには息子を守ろうとする父親の姿と、ハンセン病への差別と偏見の根深さが透けて見えます。

結末あらすじ補足 ハンセン病とは?

「砂の器」原作あらすじの背景となったハンセン病。らい菌という細菌による感染症の一種で、らい菌に感染すると、手足の末梢神経障害が起こったり、皮膚が病変することがあります。感染症と言っても感染力は非常に低く、たとえ感染しても、健康体なららい菌は体外に排出されます。海外では、衛生的・経済的にまだ豊かでない地域など中心に、まだ15万人以上の人がハンセン病と戦っていますが、日本では年間0~数人です。

かつて日本では、「らい予防法」という法律で、患者達を隔離施設においやり、「無らい県運動」をしたりしました。それにより正しい知識もないまま、人々はハンセン病患者を差別し、偏見を持つようになります。遺伝病だという勘違いもされ、患者の家族までいわれもない差別を受けました。本浦秀夫は、自身はハンセン病にかかっていないとしても、父親がそうだったとバレると今の地位がどうなるか、と考えたのかもしれません。

砂の器のキャストを紹介!

「砂の器」キャスト① 丹波哲郎/今西栄太郎役

二枚目俳優として人気を誇った、丹波哲郎。1950年から俳優業を始め、2006年に亡くなるまで活躍し続けました。日本だけでなく海外の映画にも出演し、映画「007は二度死ぬ」(1967)により、国際的に有名な俳優となります。生涯にわたって「死後の世界」を研究していたことでも知られており、1989年には、ベストセラーとなった著書を、「丹波哲郎の大霊界」というタイトルで映画化もしています。

「砂の器」キャスト② 森田健作/吉村弘役

2018年現在の千葉県知事です。松田聖子などを輩出し、今や大手芸能事務所であるサンミュージックの、第一号所属タレントでもあります。1968年に高校卒業後に俳優活動を始め、映画「夕陽の恋人」(1969)で、映画初主演。そして芸能活動もしながら、1992年の参議院選挙に立候補します。その後2010年、千葉県知事に初当選しました。現在3期目を務めています。

「砂の器」キャスト③ 加藤剛/和賀英良(本浦秀夫)役

紫綬褒章や、旭日小綬章を受章したことでも知られる加藤剛。2018年6月に80歳で亡くなりました。大学4年生の時から俳優業を始めています。加藤剛といえば「大岡越前」。1970年から約30年、ずっと「大岡越前」を演じました。最後に出演した映画は、綾瀬はるか主演の「今夜、ロマンス劇場で」(2018)。プロデューサーは、「加藤さんに断られたらこの映画は成立しない…そのぐらい重要な方でした」と語っています。

「砂の器」キャスト④ 緒形拳/三木謙一役

俳優としてでなく、書家としても精力的に活動した緒形拳。1960年に俳優デビューしています。デビュー後間もなくNHK大河ドラマで秀吉役や弁慶役を熱演。時代劇での活躍が見られる中、更に人気を高めたのは「必殺仕事人シリーズ」でした。鍼医者であり暗殺仕掛人という面も持った、藤岡梅安役を好演。旭日小綬章を受章した2008年10月5日に亡くなりました。

砂の器の映画を観た感想とは?

すごいのはあらすじだけじゃない

メインキャラクターを演じた4人は紹介しましたが、実はこの「砂の器」は脇役として出演している俳優陣も本当に豪華。「男はつらいよ」シリーズで有名な渥美清が、友情出演しています。しかもあらすじの鍵を握る1人。寅さんのように、なんだか人が好さそうな人物を演じています。他にも2018年8月に亡くなった、菅井きん。日本の誇る名バイプレーヤーの1人です。言葉は少ないですが、こちらもあらすじで重要な役を担っています。

あらすじで既にネタバレしましたが、和賀英良、本名本浦秀夫は、幼い頃に父と生き別れています。以後ずっと必死に生き抜き、有名な音楽家となりました。しかしそのため、ハンセン病患者である父のことは絶対に世間では知られてはならない存在となってしまいます。現代でこそ「なんで病気なくらいで隠すの…」という感覚ですが、公開当時すらある意味注目されてしまうくらい、ハンセン病への偏見・差別は根深いものでした。

これなしではあらすじは語れない

こちらもあらすじ紹介で既にネタバレしていますが、英良は「宿命」という大作をコンサートで発表しています。それをピアノで弾きながら、生まれ育った村を幼い頃に父と共に捨て、困窮を極めた幼少時代を思い出す英良。ボロボロの旅の中である海岸で英良は「砂の器」を作って遊ぶ場面もあります。映画「砂の器」といえばこの曲、という感想が多く見受けられました。

砂の器の映画あらすじネタバレまとめ!

映画「砂の器」をご紹介しました。原作からネタバレ含むあらすじ、キャストや世間の感想の声など、いかがでしたでしょうか。殺害された三木謙一の実直さにより救われた命、しかしそれによって三木謙一自身が命を落とす悲しいそのあらすじ。それほどまでに「偏見・差別」というのは恐ろしいものだという印象を、「砂の器」は世間に与えました。松本清張ミステリーの代表作の1つ、「砂の器」を是非お楽しみください。

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