2018年10月23日公開
2018年10月23日更新
雨あがるの映画あらすじとキャストは?感動の名作の名言・名セリフも紹介
映画「雨あがる」は、2000年に公開された映画です。故黒沢明が山本周五郎の短編小説を原作に書いた遺稿脚本を、黒沢組のスタッフが映画化したものです。この記事では、現代に失われつつある「優しさ」を見事に表現した、心が晴れ晴れとする温かい感動作と言われている、この映画「雨あがる」のネタバレを含んだあらすじとキャスト、映画あらすじに出てくる名言や名セリフなどを紹介していきます。
目次
雨あがるの映画あらすじとキャストが気になる!
映画「雨あがる」は、2000年1月に公開された映画です。原作は山本周五郎の同名の短編小説です。1951年7月にサンデー毎日増刊号に掲載され、単行本「おごそかな渇き」に収録されています。1964年に「道場破り」のタイトルで映画化、1976年にフジテレビの時代劇「夫婦旅日記 さらば浪人」の原作にもなっています。
映画「雨あがる」の監督は小泉堯史。脚本を書いていた黒沢明は脚本を完成させることなくこの世を去ってしまい、助監督として脚本の制作を手伝っていた小泉堯史監督が、黒沢明から聞いていた構想や残されたノートをもとに補完してつくりあげたと言われています。小泉監督はこの「雨あがる」で、黒澤明の映像テクニックを再現し「まるで黒澤が監督しているようだ」と高い評価を受けています。
映画「雨あがる」は、第24回日本アカデミー賞の最優秀作品賞をはじめ、最優秀脚本賞(黒澤明)、最優秀音楽賞、最優秀撮影賞、優秀監督賞(小泉堯史)などを多数受賞しました。また第56回ヴェネツィア国際映画祭の緑の獅子賞も受賞しています。この記事では、映画「雨あがる」のネタバレを含んだあらすじとキャスト、映画あらすじに出てくる名言や名セリフなどを紹介していきます。
雨あがるの映画キャストを紹介!
以下は、映画「雨あがる」の主要キャストを紹介していきます。内容によってはネタバレやあらすじが含まれますのでご了承ください。
キャスト:三沢伊兵衛/寺尾聰
映画「雨あがる」で、武芸の達人でありながら、人の好さが災いして仕官がかなわない三沢伊兵衛を演じたのは寺尾聰です。1947年5月18日生まれ、東京都出身。父親は俳優で演出家の宇野重吉。1964年にフォーク・グループ「ザ・サベージ」を結成し、1966年に「いつまでもいつまでも」でレコードデビューを果たします。1981年に発表した「ルビーの指環」は数々の賞を受賞し、大ヒットしました。
一方で、1968年には、石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」で俳優デビュー。1980年代後半から黒澤明が監督した「乱」「夢」「まあだだよ」に続けて出演します。この映画「雨あがる」では日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞しています。2005年にも「半落ち」で同賞の2度目の受賞を果たしました。他、ドラマ「西部警察」「優しい時間」「陸王」など数多くのドラマに出演しています。
キャスト:三沢たよ/宮崎美子
映画「雨あがる」で三沢伊兵衛に静かに寄り添う妻・三沢たよを演じたのは宮崎美子です。1958年12月11日生まれ、熊本県出身。CM・グラビアモデルとしてデビュー。1980年テレビ小説「元気です!」で女優デビュー。その後「2年B組仙八先生」などに出演し、ドラマ、映画、舞台とその活躍の幅を広げていきました。最近ではクイズバラエティー番組などでも多く活躍しています。
映画「雨あがる」での演技は高く評価され、日本アカデミー賞優秀主演女優賞、第43回ブルーリボン賞優秀主演女優賞を受賞しています。
キャスト:永井和泉守重明/三船史郎
映画「雨あがる」で、三沢伊兵衛が雨で足止めされていた土地の藩主・永井和泉守重明を演じたのは三船史郎です。1950年11月27日生まれ、東京都出身。父は俳優・三船敏郎。1970年「そのひとは女教師」に出演し、「蜩ノ記」などの映画に出演しています。現在は三船プロダクション代表取締役社長を務める傍ら、俳優としての活動も再開しています。映画「雨あがる」では日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞しています。
キャスト:榊原権之丞(近習頭)/吉岡秀隆
出典: https://eiga.com
映画「雨あがる」で、永井和泉守重明の近習頭・榊原権之丞を演じたのは吉岡秀隆です。1970年8月12日生まれ、埼玉県出身。5歳で「大江戸捜査網」でデビュー。1976年に「山口さんちのツトム君」の童謡を歌っています。その後「北の国から」シリーズの黒板純役として有名になり、「男はつらいよ」シリーズでも第27作から出演しています。他、「Dr.コトー診療所」シリーズ、「三丁目の夕日」シリーズなどで活躍しています。
キャスト:おきん(夜鷹)/原田美枝子
映画「雨あがる」で、三沢伊兵衛たちが泊まっていた宿と同じ宿に泊まっている夜鷹・おきんを演じたのは原田美枝子です。1958年12月26日生まれ、東京都出身。1974年「恋は緑の風の中」に出演しデビュー。その他代表作に「大地の子守歌」「青春の殺人者」「あゝ野麦峠」など多数あります。この映画「雨あがる」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞し、優秀賞も含めると通算6度受賞したことになります。
雨あがるの映画あらすじをネタバレ!
以下は、、静かに心に響く作品と評価された映画「雨あがる」のあらすじをネタバレを含めて紹介していきます。ネタバレを多く含む内容になりますのでご了承ください。
やまない雨
長い大雨で川を渡ることが出来ず、ある宿場町に足止めされることになった浪人武士・三沢伊兵衛とその妻・たよ。この夫婦が泊まっている安宿から物語がはじまります。川渡しの人足たちがぼやく通り、この長雨で儲かるのは宿屋だけで、伊兵衛たちの泊まっている宿にも、雨上がりを待つ多くの人々が泊まっていました。長雨で鬱々とした気分が溜まってちょっとした諍いも起こります。
伊兵衛は、そんな彼らの気分を和ませようと、どこからか酒や食べ物をたくさん調達してきて、長雨の縁起直しだと言って皆に振る舞います。三味線に歌、踊りも始まって場が和む中、一人静かに部屋に入っていくたよの姿がありました。中座してその姿を追う伊兵衛。開口一番、伊兵衛はたよに謝ります。実は伊兵衛は賭け試合をして得たお金で宴会の費用を賄っていました。2人の間では賭け試合はしないという約束になっていたのです。
不器用に謝罪を続け、下から何度も顔を覗き込むような伊兵衛に、たよはついに笑ってしまいます。宴会で長雨が上がるのを待つ人々の心も晴々とし、そして次の朝、雨は上がっていました。
永井和泉守との出会い
雨が上がったとはいえ、川が増水しているのでまだ川を渡れない伊兵衛は、山道に入って剣を振るい体をならしていました。するとそこで若侍同士の果たし合いに遭遇します。伊兵衛はそれをあっという間に仲裁してしまいます。そこへたまたま野駆けで通りかかったこの土地の藩主・永井和泉守重明(三船史郎)が、伊兵衛の剣の腕前に目を付けました。
次の日、釣りから帰った伊兵衛の元に、重明の近習(吉岡秀隆)が訪ねてきます。たよが用意した裃をつけて城にやってきた伊兵衛に、重明は藩の剣術指南番の話を持ちかけます。過去にも何度か他藩の剣術指南番を務めてきたが「どうにもうまくいかなかった」という伊兵衛。頭の固い城の家老たちは伊兵衛の登用に猛反対します。それならと、ひとまず数日後に御前試合を行って判断を下すことになりました。
土産ももらって上機嫌で帰った伊兵衛は、たよに剣術指南番に決まったようなものだと話します。しかしたよは土産を前に、ただ一人不安そうに考え込むのでした。
御前試合
御前試合の日。伊兵衛の相手をするはずだった町道場の師範たちが城に現れません。先日の伊兵衛との賭け試合を恨みに思ってのことでした。藩の侍との試合もあっさり伊兵衛の勝ちで終わってしまい、重明は自ら伊兵衛の相手をすると言い出します。槍を持ち出した重明を、伊兵衛はこれまたあっさりと池に落としてしまうという大失態をしてしまいます。落ち込みながら帰途に就く伊兵衛。
その夜、重明は奥方に今日の出来事を話して聞かせます。池に落とされたことはともかく、勝った伊兵衛があまりにも丁重に謝るので腹が立ったと言う重明。本当に強い方は、どんなに善良に生まれついても誰かしらの恨みをかってしまうので大変ですね、という奥方の言葉に深く頷いて納得する重明。
たよの決心
次の日、増水していた川も元に戻り、宿に泊まっていた人たちも次々と旅立っていく中、一人伊兵は落ち着かない様子で表の様子を気にしています。剣術指南番に登用するという知らせがあるとしたら今日のはずなのです。やがてやって来た家老は、伊兵衛が先日賭け試合をしたので登用はしない、という返事を持ってきました。かわりにと言って今後の旅費を渡されて、固辞する伊兵衛。
しかし横からたよが現れ「ありがたく頂戴いたします」と言います。そして自分が伊兵衛に賭け試合はやめてくれと言っていたのは間違いでした、と話します。「何をしたかではなく、何のためにしたかということではございませんか?」。真っすぐ前を向いてそう話すたよの目には、ひとつの迷いもありませんでした。
雨あがる
伊平とたよは、宿の人たちに温かく見送られて川を渡ります。気もちのいい晴天の中、山道を歩く2人。しかし伊兵衛の歩みは遅れがちで、少しばかり未練が見えました。このままではだめだと思い林の中で素振りをして未練を切って捨てた伊兵衛。そして再び歩き出した2人の目の前には、美しく雄大な景色が広がります。その後方には、2人を追って懸命に馬を駆る重明の姿があるのでした。
雨あがるの名言や名セリフを紹介!
以下は、映画「雨あがる」の中で出てくる名言や名セリフを、登場するシーンと共に紹介していきます。名言の内容によってはあらすじのネタバレになっていますのでご了承下さい。
名言:「いずれ止みますよ。これまでの雨はみんな止みましたからね」
長雨を嘆く人々に伊兵衛が言った言葉です。考えてみるとごく普通のことなのですが、長雨で鬱鬱としていた人々の心を晴らすには十分な言葉でした。いつか雨が上がる、不幸なことはいつか終わる。そんな当たり前のことに改めて気づかされると評判です。
名言:「人は皆悲しいですから」
宴会中に諍いをはじめた老人を宥めるために伊兵衛が言った言葉です。「人には間違いってのもありますから」「仲直りをして下さい」。誰もが皆、色んな悲しみを持ち合わせているものです。生きれば生きるほど、悲しみは必然的に増えていきます。自分だけが辛いとか悲しいなどと思わず、仲良く寄り添って生きましょうという伊兵衛の優しい気持ちが表れていると話題になりました。
名言:「刀は人を斬るためのものではない。自分の馬鹿な心を斬り捨てるために使うものです」
山で若侍同士の果たし合いを止めに入った時の伊兵衛の名言です。自分自身を律する。武士の心であり日本人の心です。戦乱の時代が終わって「道」としての日本の武道は、人を傷つけるためにあるのではなく、自分を律するためにあるという、伊兵衛の武道の達人としての言葉です。
名言:「勝った者の優しい言葉は、負けた者の心を傷つける」
伊兵衛が重明を池に落としてしまった夜、重明が奥方に話して聞かせていた時の言葉です。「大人げない」と自分で言いながらも、勝った者の優しい言葉は揶揄われているようで腹が立つと言う重明。そして、誰だって自尊心が傷付けられるから気の毒に思われるのは嫌だ、と言います。優しさというものは時によって人の心を傷つける、と奥方も言います。人の心の機微の塩梅は案外難しいものなのかもしれません。
名言:「あなたたちのような木偶の坊には、お分かりいただけないでしょうが」
伊兵衛の仕官を断ってきた家老たちに向けて、たよが言った言葉です。普通ならたよの立場でこのような発言は許されないでしょう。しかしこの時すでにたよの心は決まっていました。たとえ仕官などできなくても、伊兵衛には貧しく頼りのない人たちを喜ばせてあげられるということ。優しく大きな器を持った伊兵衛にこれからもついて行こうということ。この言葉は見る目のない者たちへの、たよのささやかな怒りだったのでしょう。
雨あがるの映画を観た感想や評価を紹介!
以下は、映画「雨あがる」を実際に観た人の感想や評価を紹介していきます。内容によってはネタばれやあらすじも含まれますのでご了承ください。
#雨あがる
— アルケミス子22% (@Carrie43132157) January 28, 2018
「人間は皆、その、悲しいんですから」と微笑みながら言える、誰よりも強くて優しい人。どうも組織になじめない。そんな夫を誇りに思い慕う妻。じんわりと広がる温かい気持ち。やっぱり下級武士の話は好き。 pic.twitter.com/bSK7siu5Sd
観終わるとなんか清々しく気持ちいい作品という感想が多くありました。真面目に生きてるのになんだかうまくいかないな、ちゃんと仕事してるのになかなか分かってもらえてないような気がする。そんな時に観たくなるという感想、決して派手な展開は無いのに満足感と清々しさ!という感想、鑑賞後ほんわかとした気持ちにさせる温柔な時代劇映画という評価、人としての本当の強さ、優しさが分かる映画!という感想などがありました。
「雨あがる」という映画を見た。
— 和神こうちゃん (@wajin_kouchan) June 15, 2017
まさか朝から泣くとは思わなかった。非常に美しく洗練された映画だった。なんか心が洗われた。
寺尾さんと宮崎さんの演技がこれまた素敵なのだ。。
セリフも心に沁みました。ちょっと争いに疲れた人にオススメの映画です。#和神こうちゃん#雨あがる pic.twitter.com/dtCzprcm0T
キャストに関しても多くの感想があります。役者の台詞のひとつひとつが重みがあって、しっかりと噛み締めながら鑑賞したという評価、寺尾聡と宮崎美子の芝居からは、腐したり卑屈にならない姿勢が見事に表れていて、ただただ心地良かったという感想、出世欲もなく、腰の低い伊兵衛役の寺尾聡が超はまり役で、この穏やかな微笑みはこの人しかできないんではないかと思いましたという感想などがありました。
雨あがるの映画あらすじとキャストまとめ!
映画「雨あがる」のネタバレを含んだあらすじとキャスト、映画あらすじに出てくる名言や名セリフなどを紹介してみました。観た後に清々しい気持ちになるとの感想が多かったこの映画「雨あがる」。心の雨を晴らしたい時、優しい心に触れてみたい時、一時の雨宿りにこの映画「雨あがる」をご覧になってはいかがでしょうか。