2018年10月16日公開
2018年10月16日更新
64ロクヨンは実話で実際にあった事件?功明ちゃん誘拐殺人事件の犯人と真相は?
64(ロクヨン)は2012年10月に出版されて、2016年には映画化もされた横山秀夫の推理小説です。しかしこの64(ロクヨン)は実話をもとに製作されていることはあまり知られていません。その事件は昭和最後の未解決誘拐事件として言われている『功明ちゃん誘拐殺人事件』です。今回は実話をもとに作られた作品である64(ロクヨン)とモチーフである昭和最後の大事件である『功明ちゃん誘拐殺人事件』について見ていきましょう。
目次
64ロクヨンは実話?事件の真相や原作についても紹介!
2016年に公開された映画『64(ロクヨン)』は実際に起こった事件をモチーフに作られたことはあまり知られていません。原作者の横山秀夫は事件記者をしていたことがあり、実話をもとに作品を制作することも多い小説家として知られています。『64(ロクヨン)』は昭和64年という昭和最後の年に起こった誘拐事件が作品の軸になっており、この事件が実際に起こった『功明ちゃん誘拐殺人事件』がモデルとなっています。
『功明ちゃん誘拐殺人事件』は昭和最後の未解決事件といわれており、その真相は『64(ロクヨン)』同様に謎に包まれています。原作と映画ともに大ヒットを記録しており、この誘拐事件にも注目が集まっています。実話が元になっていることもあり、作中に出てくる『翔子ちゃん誘拐事件』は実際に起こった誘拐事件と類似点が多くあります。
ここからは映画『64(ロクヨン)』やモデルとなった『功明ちゃん誘拐殺人事件』の真相などについて調べてみましたので、原作や映画を見る参考にして見てください。映画『64(ロクヨン)』のネタバレなども多少含まれているので、そういった点も注意して見てください。
64ロクヨンとは?映画には原作小説がある!
2016年に数々の映画賞を受賞し、2016年を代表する映画となった『64(ロクヨン)』ですが、原作小説『64(ロクヨン)』も高い評価を得ています。原作者は数多くのヒット小説を発表している横山秀夫が10年以上の構想を経て発表した上下巻ある大作小説となっています。ここでは様々なメディア展開がされている『64(ロクヨン)』の映画と原作について簡単に見ていきましょう。
実話を基にした原作は100万部以上の売り上げを誇る大ヒット小説
原作は『臨場』や『クライマーズハイ』の作者として知られる横山秀夫で、人気シリーズである「D県警シリーズ」の第4作目のシリーズ初の長編作品です。本格ミステリーでありながら、警察内部の人間関係に物語の主軸が置かれており濃厚な人間ドラマとなっています。2013年度の「このミステリーがすごい!」では第1位に選出されるなど高い評価を得た作品です。
横山秀夫は事件記者出身の実話をモチーフにすることも多い作家
出典: https://eiga.com
横山秀夫はミステリー小説『半落ち』で一躍脚光を浴び、その後も様々なヒット作を発表し続けるなど日本を代表する作家として知られています。横山秀夫の作風は新聞記者時代の経験や高い取材力に裏打ちされたリアルな人間模様を描くことであり、『64(ロクヨン)』もこうしたリアルな人間関係が評価されている作品です。『64(ロクヨン)』は横山秀夫の最高傑作という評価もある作品です。
横山秀夫さんはモチーフに自身の体験や経験、実際に起きた事件や実話を組み込むことの多い作家としても知られています。新聞記者としての豊富な経験や知識が作風に大きな影響を与えている作家として評価が高い小説家です。
映画『64(ロクヨン)』も実話も組み込まれた大ヒット作
多くの作品が映画化されていて著作の映像化率が95パーセント以上という驚異的な数字を誇る横山秀夫ですが、この『64(ロクヨン)』も映画化されている作品です。近年では珍しい2部作品で大ヒットしており、『第40回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞』をはじめ多くの映画賞を獲得した2016年を代表する映画となっています。
64ロクヨンの原作小説は実話?実際にあった事件の真相を調査!
横山秀夫の原作小説『64』は実話をもとにした小説となっています。原作に登場する誘拐事件は昭和の終わりに実際に起きた『功明ちゃん誘拐殺人事件』がモデルになっており、原作、映画ともにこの設定を採用しています。
実話も未解決の謎多き事件
この事件の真相はいまだに謎のままで、横山秀夫もこうした事件の背景を探ろうと模索した作品でもあります。ここではいまだに謎の多い未解決事件『功明ちゃん誘拐殺人事件』を詳しく見ていきましょう。
64ロクヨンのモデルは功明ちゃん誘拐殺人事件
『64(ロクヨン)』に出てくる誘拐事件のモデルとなっているのは1987年9月14日に群馬県高崎市筑縄町で起こった通称『功明ちゃん誘拐殺人事件』です。事件の簡単な概要は高崎中央消防署員・荻原光則さんの長男である功明ちゃん(5歳)が自宅前の神社から突如姿を消しました。
そしてその日の夜に男から身代金を要求する電話がありました。犯人グループと何度かやり取りがあり、16日午後に市内の川で功明ちゃんが遺体となって見つかってしまいました。警察は懸命の捜査をしましたが、2002年に時効を迎えました。ここからはこの事件を詳しく見ていきましょう。
「滑り台に遊びに行く」と言って姿を消す
事件は1987年9月14日に起こります。午後2時30頃に功明ちゃんは迎えに来た父親である光則さんと一緒に幼稚園から帰宅しています。荻原家の前には神社があり、功明ちゃんは普段からここを遊び場にして事件当時も「(神社の)滑り台に遊びに行く」と1人で家を出ました。10分後、神社の前を通りかかった功明ちゃんの祖母が功明ちゃんの姿が見えないことに気づきました。
そのため家族や親類らが近隣を数時間探し回りましたが、功明ちゃんは見つかりませんでした。捜索開始から数時間が経った午後6時半頃に高崎署に捜索願を出しました。事件が動くのはその直後の事でした。
午後6時42分、萩原家に電話が入る
荻原家が警察に捜索願を出した直後の午後6時42分頃に萩原家に一本の電話が入りました。その声は男の声で「子どもを預かっている。2000万ぐらいならあると子どもが言っている。2000万円よこせ、よこさなければ殺す」というものでした。荻原さんによるとそ中年と思われる声だったと公表されています。
その際電話の男は「警察へ連絡したのか」と尋ねたため、父親である光則さんは警察に捜索願を出したことを正直に伝えました。すると「(捜索届を)届けたことを取り消して、2000万持って来い」と犯人は言いました。
翌朝まで13回以上の電話
その後午後7時47分に犯人から2度目の電話がかかってきました。その際電話に出たのは光則さんの弟で現職警察官の正規さんでした。男は2000万円を要求しましたが、男は翌日が「敬老の日」で休日だということ知らず、金は下せないと伝えると電話は切られました。そして午後8時3分に3度目の電話がかかってきました。この時、初めて功明ちゃんが電話に出て父親と会話をしています。
その際、功明ちゃんは『もうすぐ帰る』と言っており、しばらく短い会話をした後に電話は切れました。この後深夜から翌朝までベルを1~3度鳴らして切るという電話が13回も続いています。その目的はいまでも不明となっています。
16日午前7時50分頃、4回目の会話
敬老の日が開けた16日午前7時50分頃に4回目の電話がかかってきます。犯人の男は「今日の夕方までに1000万円用意しろ」と要求し、光則さんが「もう1度お願いします」というと「また電話する」といって電話を切ってしまいました。その後、男からの連絡は途絶え、荻原家は1000万円をなんとか集め、犯人からの電話を待っていました。しかしその後、この事件は最悪の結末を迎えてしまいます。
寺沢川で遺体が発見
16日午後、荻原家から5km離れた寺沢川で男児の遺体が発見されました。司法解剖の結果、功明ちゃんであると判明し、事件は最悪の形で終わりを迎えました。その後犯人グループからに連絡は途絶え、捜査は行き詰まっていくことになります。
生きたまま橋から投げ落とされた
翌日、功明ちゃんの遺体は群馬大学医学部法医学教室に運ばれました。解剖の結果、功明ちゃんは生きたまま橋から投げ落とされたものと断定されました。判明した死因は砂や水を飲み込んだ窒息死とされ、橋の上から落とされたために顎は骨折しており、胃の内容物は何もなかったと公表されています。
功明ちゃんの死亡推定時刻は15日午前10時以前と見られており、このことから犯人は殺害してから身代金を要求する電話をかけていたと判明しました。殺害した理由などはわかってなく、どうして身代金を受け取りに来なかったかも謎のままです。
物証が次々と見つかる
同日には警察は現場周辺を捜査して多くの物証を発見しています。遺体発見現場から1.5mほど離れた市道沿いでは功明ちゃんの履いていたと思われる「パーマン」の絵が描かれたサンダルの片方が発見されています。さらにサンダルの片方は谷津橋近くで発見されています。さらに19日には、事件現場から2kmほど離れた藪の中で功明ちゃんの着ていた半袖シャツやパンツが見つかりました。
さらにその2km先では功明ちゃんのものと思われる半ズボンも発見されています。これらの物証は犯人が功明ちゃんを橋から投げ落とした後に八千代橋方面に向かいながら功明ちゃんの遺品を投げ捨てていたことを意味しています。車から投げ捨てたとみられ、犯人は逃走しながら証拠隠滅を図っていたということを物語っています。
不可解な逆探知の切り上げ
『功明ちゃん誘拐殺人事件』では警察の不可解な捜査も問題視されています。それは十回以上の電話と四回の会話の中で逆探知ができていないという点です。捜査では2回目の電話で背後に車の通過音が入っていることが判明しており、公衆電話からかけた可能性が高いことはわかりました。
しかし、なぜか捜査本部は15日までで逆探知を切り上げ、やめてしまっています。このため16日にかかってきた4回目の電話では27秒の長さがあったにも関わらず、逆探知できないという失態を演じています。この判断は群馬県警のミスであり、誘拐事件の経験の少なさからの判断だったと指摘されています。
犯人は40代の男?
この事件の犯人はいまだに捕まっておらず、その犯人像には様々な憶測が飛んでいます。誘拐犯は電話の声から受ける印象で中年男であると公表されています。さらに身代金の額の決め方や指示も場当たり的であることから計画性に乏しい素人の犯行と推測されています。身代金目的であるのに受け渡し方法は一切指示しないことや15日が金融期間の休みのことも知らなかったことなど幼稚な面もあります。
こういったことから犯人は社会性のない異常性格者による犯行ではないかというのが定説です。さらに3回目の電話で功明ちゃんは「おまわりさんと一緒」と言っており、犯人が警察官の恰好をしていたか、警察と名乗った可能性も指摘されています。
2002年に身代金目的の誘拐殺人で唯一の未解決事件に
群馬県警の捜査本部は県内の6000人が捜査対象となっていたことを発表しています。その中には素行不良者や不良債務者、変質者などが含まれていおり、懸命の捜索を続けていました。しかし進展はなく、2002年に時効成立したことでこの事件の捜査は終わりました。この事件は戦後の冤罪事件を除いて、身代金目的の誘拐殺人で唯一の未解決事件として知られています。
96年の誘拐事件に類似点が?
この事件の謎はまだまだ深まっています。犯人は野放しになっており、1996年に群馬県太田市で起こった横山ゆかりちゃんがパチンコ店から突如姿を消すという事件が起こっており、未解決に終わっています。ネット上などではこの事件との類似点も指摘されるなど、多くの謎を残した事件となっています。
実際にあった事件の真相は?
『功明ちゃん誘拐殺人事件』は昭和から平成に向かう中で起こった誘拐事件であり、昭和の終盤で起こった事件という事で忘れ去られかけていた事件でした。すでに時効も迎えており、この事件の話題を聞くことも少なくなりました。しかし『64(ロクヨン)』でこの事件は再び話題になりました。しかしその真相はいまだに解明されることはありません。
実話と原作はどこが違う?
実際に起きた『功明ちゃん誘拐殺人事件』と原作小説『64(ロクヨン)』では異なった点も多く存在します。まずは、『功明ちゃん誘拐殺人事件』は昭和64年に起きてはない点も違います。さらに、被害者も性別も違うなど事件を想起させながら、直接的なつながりを明示していないのは遺族への配慮だと言われています。
64ロクヨン前編の映画あらすじを紹介!
ここからは2016年に『64(ロクヨン)』を原作に製作された映画『64-ロクヨン- 前編/後編』の2部作で構成された『64-ロクヨン- 前編』について見ていきましょう。『64-ロクヨン- 前編』は2016年5月7日に公開され、近年の日本では珍しい二部構成の超大作として話題を集めました。それでは『64-ロクヨン- 前編』のあらすじについて見ていきましょう。
少女誘拐事件発生
昭和64年1月5日に1人の少女が誘拐されました。被害者の名前は当時7歳の雨宮翔子ちゃんが誘拐され、犯人の男からは身代金二千万円が要求されるという事件でした。その場に居合わせた群馬県警のの三上ら捜査グループは被害者宅に張り付き、翔子ちゃんの父親である芳男をサポートしていました。芳男は犯人のいうとおりに町中を車で走り回り、犯人に二千万円を奪われてしまいます。
しかし翔子ちゃんは帰ってくることなく、5日後の1月10日に遺体で発見されました。さらに悪いことに1月7日には昭和天皇が崩御されたことで世間は大騒ぎになり、この事件は大きく扱われることはありませんでした。犯人の足取りを掴めないまま、時が過ぎていきます。
平成14年
時は14年流れて、翔子ちゃんが誘拐された事件は昭和64年に起こった事件という事で県警内では『64(ロクヨン)』と呼ばれていました。平成14年には時効まで1年になっていました。三上は刑事課から広報課に転属されていて、家庭の事情も重なり厳しい状況に置かれていました。時効まで1年を切ったことで県警内は密かに動き始めていました。
警察庁長官視察
群馬県警の上層部は時効間近の『ロクヨン事件』に警察庁長官の視察の話が出ていることを広報室の室長の三上に調整を命じます。そのため遺族との仲介や調整、事件の整理などをするための準備に入っていた三上は『ロクヨン事件』を思い出しながら、自身の娘の問題など様々な問題と向き合っていました。そして三上は翔子ちゃんの遺族である雨宮芳男に会う事を決めます。
雨宮芳男との対面
14年ぶりに雨宮芳男にあった三上は彼の変貌に驚いきました。白髪交じりで、痩せこけて見る影もなくなっていました。三上は長官視察の話を持ち出しますが、拒否されてしまいます。生きる意味さえ見失っている雨宮を見て、三上は『ロクヨン事件』を詳しく調べ直すことを決めます。
幸田メモとは?
三上は当時の捜査関係者と会っていく中で、『ロクヨン事件』には『幸田メモ』という警察上層部がひた隠しにしている者の存在に気づきます。幸田とは三上と同じく事件当時に雨宮家に詰めていた捜査官であり、事件後に退職していることが分かりました。さらに犯人との電話を担当していた日吉という捜査官も退職していることに気づきます。
さらに日吉のもとに向った三上は日吉が退職してから、引きこもり状態になっていることを知ります。よほどの秘密を抱えていると感じた三上は日吉が犯人との会話を録音することに失敗して、犯人を追う証拠をなくしてしまっていたことを突き止めました。この内容を記したものが『幸田メモ』であることを突き止めた三上は『64(ロクヨン)』をもう一度追う事を決意します。
記者クラブとの激闘
長らく記者クラブと被疑者の氏名公表の件について揉めていた三上は、広報室長として上層部と記者クラブとの板挟みになっていました。長官視察に関して記者クラブとは良好な関係を維持しなければならなくなった三上は、誠意を示すために被疑者の実名公表に踏み切ります。これで記者との関係を改善した三上は長官視察の準備を進めていきました。
広報官として奮闘しながらも、家族の問題と向き合う三上
三上は広報官として部下の指導や上層部との仲介、記者クラブとのせめぎ合いをしている三上には家族の問題がありました。「身体醜形障害」という精神疾患を抱えていた娘のあゆみはを巡って三上と対立し、家を出ていってしまいます。娘の安否がわからない中、妻は不安定になっていっていきました。
そんな中三上の家に無言電話がかかり始めて、娘からの電話ではないかと三上は思い始めます。広報官として多忙な中、娘の事も気にしながら『ロクヨン事件』捜査と長官視察事件を同時進行で進めていきます。
庁舎から人がいなくなる
長官視察の準備が着々と進んでいく中で、雨宮と突然連絡が取れなくなってしまいます。そして県警庁舎の様子がおかしいことに気づいた三上は刑事課を覗いてみると、県警の捜査員が姿を消していることが分かりました。何か起こったと感じた三上は隠された捜査本部を突き止め、『ロクヨン事件』を模倣した誘拐事件が起きていることを突き止めます。
64ロクヨン後編の映画あらすじを紹介!
『64-ロクヨン- 後編』は全編公開から一か月後の6月11日に公開されました。原作『64(ロクヨン)』の後半部分を映画化しており、最後の結末は映画オリジナルの結末となっています。
時効が迫る
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『64(ロクヨン)』の時効が迫る中、様々なことが動き出していました。広報官として三上は群馬県警本部の上層部や警察庁長官視察、さらには『64(ロクヨン)』事件も進展を見せていました。事態が一気に動き出したのは、長官視察の前日に誘拐事件が起こったことでした。
視察前日
三上は誘拐事件の発生を突き止めたものの、その詳細な内容は広報室には知る権限がないといわれてしまいます。しかし昔の同僚や上司などから、この誘拐事件が『64(ロクヨン)』と酷似していることを聞き、誘拐事件が起こったことで長官視察は流れてしまいました。そんな中、三上は何とか事件に関わろうと奔走を始めました。
『ロクヨン』事件の模倣事件発生
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誘拐されたのはスポーツ用品店を経営する目崎正人の娘で女子高校生のかすみでした。身代金の受け渡しなどや電話の文言などが『64(ロクヨン)』に酷似していて、14年ぶりにロクヨンの犯人が動きだしたと色めき立つ群馬県警でしたが、この捜査は極秘に進められていきました。
広報課は締め出される
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捜査を極秘に行うために、広報室には情報はおりてこないまま報道協定を結び、記者会見に臨むことになりました。報道協定はマスコミには全ての情報を開示するが、事件解決までは情報を報道しないという警察とマスコミの取り決めで主に誘拐捜査に使われる手法です。三上はほとんど情報が降りてこない異例の状況で記者会見に臨むことになりました。
記者クラブVS広報室
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情報がない中、本部から来た若手のキャリアの刑事とともに会見に臨む広報室ですが、ほとんど情報を開示することができず、記者クラブと東京から来た記者につるし上げられてしまいます。そんな状況が数時間続き、記者会見は平行線を辿っていましたが、業を煮やした三上は捜査本部に乗り込むことを決意します。
刑事部と連携する三上
三上は過去に共に『ロクヨン』事件を捜査した捜査一課長の松岡の捜査班に同行し、二十分遅れで情報を開示できるように交渉しました。その過程で『64(ロクヨン)』の犯人が誘拐事件の被害者の父親である目崎正人であることが濃厚だと捜査班から聞いた三上は、目崎を追い詰めていきます。そして時効間近の14年後に、三上はついに『64(ロクヨン)』の犯人である目崎正人を逮捕しました。
『ロクヨン』事件の真相とは?
『64(ロクヨン)』の犯人を突き止めたのは『64(ロクヨン)』の被害者の父親である雨宮でした。彼は翔子ちゃんが誘拐されたときに聞いた犯人の声を覚えていたので、電話帳の最初から順番に何千、何万回と電話をかけて犯人と同じ男の声を探していたのです。三上の家にかかってきた無言電話も雨宮のものでした。この狂気ともいえる雨宮の行動が『64(ロクヨン)』を解決に導いたのでした。
64ロクヨンのキャストを紹介!
ここからは映画『64-ロクヨン- 前編/後編』の2部作の豪華キャスト陣を見ていきましょう。監督は瀬々敬久、脚本は久松真一・瀬々敬久という近年の映画界で話題になっている制作陣で臨んでいます。主演は名俳優の佐藤浩市で配給は東宝となっています。ここからはキャスト情報を詳しく見ていきましょう。
佐藤浩市/三上義信役
主人公である三上義信は26年間刑事として働いていましたが突然広報室へと異動が決まり、慣れない仕事に四苦八苦しています。14年前の「ロクヨン事件」も担当しており、広報部の仕事の一環で『ロクヨン事件』の捜査を再び始めることになります。さらに家庭問題を抱えており、一人の父親として苦悩しながら遺族へと寄り添っていきます。演じるのは名優の佐藤浩市で、この映画で多くの主演男優賞を受賞しています。
佐藤浩市は横山秀夫作品の常連として知られており、他にもTVドラマ『逆転の夏』、TVドラマ『クライマーズ・ハイ』などの横山秀夫作品に出演しています。今回の映画『64 ロクヨン』が3作目となり、横山秀夫ファンからの信頼も高い俳優として支持されています。
夏川結衣/三上 美那子
三上の妻であり元警察官であった美那子。彼女は娘の問題について多くの苦悩を抱えている女性で、三上を支えながらも苦しんでいる奥さんです。『ロクヨン事件』の再捜査に駆り出されることになり、後半に重要な役割を担っていきます。演じるのは日本アカデミー賞優秀助演女優賞も受賞し、代表作に『結婚できない男』、『孤高のメス』などがある演技派女優である夏川結衣さんです。
芳根京子/三上 あゆみ
三上の娘で現在は家出し行方不明になっています。自分の容姿を異常に醜く感じるという精神疾患を患っており、整形手術を希望したことで父親とは断絶状態になってしまいます。演じているのは朝ドラ『花子とアン』や『べっぴんさん』に出演してブレイクした女優として知られる芳根京子です。ブレイク前の貴重な姿を見ることができます。三上の娘という難役を見事に演じていると高い評価を受けました。
綾野剛/諏訪
諏訪尚人は三上の右腕的存在であり、警務部秘書課所属の係長を務めています。諏訪は三上と記者クラブとの間で仲介役を果たしている広報室の一員です。演じるのは2015年には連続ドラマ『コウノドリ』で単独初主演を果たした人気俳優の綾野剛で、普段のイメージとは違う役柄で高評価を受けています。
榮倉奈々/美雲
広報室のメンバーの紅一点であり、警警務部秘書課に務める美雲志織も重要キャラクターです。三上の部下として記者クラブの懐柔を任されています。三上と記者クラブとの間で揺れ動き、正義の定義に悩む女性として描かれています。演じるのは『余命1ヶ月の花嫁』、『アントキノイノチ』、『図書館戦争シリーズ』などの代表作がある女優の榮倉奈々です。
三浦友和/松岡 勝俊
松岡勝俊は刑事部捜査一課長で「ロクヨン事件」の班長として事件の再捜査を指揮します。三上の理解者として捜査に同行させるなど、器の大きな男として描かれています。演じているのは日本アカデミー賞優秀主演男優賞や紫綬褒章を受賞している三浦友和です。妻は元歌手・女優の山口百恵で長男、次男も芸能人としてデビューしていることが知られています。この作品のキーマンとして重要な役割を果たしています。
吉岡秀隆/幸田 一樹
幸田は元刑事で、『ロクヨン事件』後に辞職したことで三上は『何か知っているのでは?』と推理して、接触を図ります。そうして『ロクヨン事件』を解決する重要人物として物語に関わってきます。演じるのは『北の国からシリーズ』、『Dr.コトー診療所シリーズ』、『ALWAYS 三丁目の夕日シリーズ』などで高い評価を得る俳優の吉岡秀隆です。
窪田正孝/日吉 浩一郎
日吉は元科捜研研究員でロクヨン事件後、辞職し長い間引きこもりとなっています。その原因は『ロクヨン事件』で何かを知ったからだと推理した三上は何とか聞き出そうと苦心します。演じるのは『花子とアン』、『デスノート』への出演で知られ、若手俳優として人気急上昇中の窪田正孝です。『ロクヨン』事件のキーマンとなる人物を見事に演じたと評価されています。
柄本佑/落合
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刑事部捜査二課長の落合はキャリア組の新人刑事で捜査本部からは捨て駒のように扱われてしまいます。記者クラブからリンチのような目にあってしまい、極限まで追い込まれてしまいます。作品中盤での重要な役割を果たしています。演じるのは『まほろ駅前多田便利軒』、『横道世之介』、映画『ピースオブケイク』などに出演する若手俳優として評価の高い柄本佑です。
永瀬正敏/雨宮 芳男
物語の軸となっている『ロクヨン事件』で犠牲になった翔子ちゃんの父親。事件後は白髪だらけで事件当時とは風貌が変わってしまい、事件で最も人生を狂わされた人物です。三上も彼との出会いで、自身の問題と向き合っていくことになります。演じるのは『隠し剣 鬼の爪』、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』、『あん』に出演し高い評価を受ける俳優の永瀬正敏です。この作品の最重要人物としての演技が評価されています。
平田風果/雨宮 翔子
『ロクヨン事件』で犠牲となり、多くの人物を苦しめている翔子ちゃんです。彼女を演じるのは『サムライ先生』『二重生活』に子役として出演している平田風果で、物語の最重要人物といっても過言ではない役柄を見事に演じています。
緒形直人/目崎 正人
目崎正人は物語の中盤で起こる誘拐事件で娘を誘拐されることになる父親です。この事件をきっかけに『ロクヨン事件』の捜査が進展し、事件は一気に核心に迫っていくことになります。演じるのは『予備校ブギ』、『100億の男』などの代表作がある名優・緒形拳の息子である緒方直人で、難しい役どころを見事に演じ切ったとファンから高評価を受けました。
瑛太/秋川
秋川は群馬県警広報課と対立する記者クラブ『東洋新聞』キャップで、日ごろは三上たちと反目しながらも東京の記者に劣等感を抱く複雑な役どころとなっています。演じるのは『ラストフレンズ』、『最高の離婚』、『まほろ駅前多田便利軒』など多くの代表作があり、日本アカデミー賞優秀助演男優賞も受賞している若手俳優の瑛太です。
64ロクヨンの映画を観た人の感想や評価を紹介!
ここでは映画『64(ロクヨン)』を見た人の感想を集めてみました。原作の小説が高い評価を得ていることもあって、映画も厳しい目で見られています。多くの意見が出ている作品でもあり、いい意見も悪い意見も両方出ています。
不評な感想を紹介
不評な感想で多かった意見は『結末が原作と違う』というものでした。映画では結末は小説の先のストーリも描いており、賛否が分かれるポイントとなっています。さらに原作が濃厚な人間関係を描いているために、四時間の超大作でも描き切れていない部分も多く、『薄っぺらい作品になった』といった意見や『登場人物が多すぎて分かりづらい』という意見も出ています。
好評な感想を紹介
好評な意見としては『豪華なキャスト』というものがあります。たしかに主演の佐藤浩市をはじめ、主役級がズラリと並ぶ豪華なキャストとなっています。さらに近年の日本映画にはない地味な構成にも高評価の声が上がっています。爆発シーンや派手な演出は少なく、濃厚な人間ドラマを描いた社会はドラマとして好印象を与えました。
64ロクヨンは実際にあった事件を基にした実話だった!
今回は原作、映画どちらも大ヒットを記録して日本ミステリー史と日本映画史に残る作品となった『64(ロクヨン)』について見てきました。その濃厚な人間ドラマの裏には実話をもとにした設定と作者である横山秀夫の高い取材力にあります。こうした『功明ちゃん誘拐殺人事件』をモデルに、その周辺の人間模様を描いた『64(ロクヨン)』はミステリーの枠に収まらない傑作として評価されています。
この作品はエンターテインメント作品だけでなく、社会的なメッセージや多くの社会問題に着目した作品として多くの人の心を動かしています。『64(ロクヨン)』は原作、映画共に必見の作品となっています。