セッションの映画あらすじと評価は?ラスト9分19秒について考察

ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』などで知られるデミアン・チャゼルの出世作となった映画『セッション』。ジャズの音楽院を舞台に、鬼教師とミュージシャンを目指す青年の対立や共感が描かれたあらすじです。従来の音楽映画とは異なるあらすじの展開と、ラストの演奏シーンが非常に高い評価を受けて話題となりました。この記事ではそんな映画『セッション』のあらすじや、ラストシーンの考察、高い評価の理由などをまとめて解説しています。

セッションの映画あらすじと評価は?ラスト9分19秒について考察のイメージ

目次

  1. セッションの映画のあらすじや評価が気になる!
  2. セッションの監督について
  3. セッションの映画登場人物紹介
  4. セッションの映画あらすじをネタバレ
  5. セッションの映画ラストの9分19秒について考察
  6. セッションの映画で使用された曲を紹介!
  7. セッションの映画を観た評価や感想は?
  8. セッションの映画のあらすじや評価まとめ

セッションの映画のあらすじや評価が気になる!

制作当時は20代の若手監督であり、後に『ラ・ラ・ランド』などでも高い評価を受けるデミアン・チャゼルの監督作品『セッション』。監督の実体験をもとになったあらすじは、それまでの音楽を題材にした映画のあらすじを破壊しながらも極めて高い水準の映画に仕上がっていると絶賛されています。この記事では映画『セッション』のラストまでのあらすじや、評価の高い理由やラストの考察などを詳しく解説しました。

映画『セッション』公式サイト

セッションの監督について

セッションの監督はデミアン・チャゼル

映画『セッション』の監督を務めたのはデミアン・チャゼルです。デミアン・チャゼルは1985年1月19日にアメリカで生まれました。高校時代にミュージシャンを目指してドラムに打ち込んでいたデミアン・チャゼルは、ジャズバンドの中の激しい競争に恐怖したと語っています。当時の経験や、音楽教師の厳しい指導などが、映画『セッション』の制作に大きく役立ったと明言されました。

20代の監督でありながら、非常に高い評価を得たデミアン・チャゼルは次回作の映画の資金を得ました。そうして作られたのが2016年のミュージカル・ロマンティック映画『ラ・ラ・ランド』です。第89回アカデミー賞では『タイタニック』や『イヴの総て』に並ぶ14の項目にノミネートされ、6部門を受賞する快挙を成し遂げました。

そんな、デミアン・チャゼルの最新作は2018年公開(日本では2019年公開予定)の『ファースト・マン』です。実在の宇宙飛行士ニール・アームストロングを主役とした実話を基にしたあらすじです。主演は『ラ・ラ・ランド』にも出演したライアン・ゴズリング。日本での公開は遅れていますが、すでに海外のレビューサイトなどでは高い評価が下されている作品です。

セッションの映画登場人物紹介

アンドリュー・ニーマン役のマイルズ・テラー

映画『セッション』の主人公、アンドリュー・ニーマンはシェイファー音楽院の1年生の生徒です。たまたま自主練をしていたところをフレッチャーに見つかり、そこからフレッチャーとの因縁が始まります。あらすじの前半では、フレッチャーの指導に耐えかねて泣き出すこともありましたが、次第にフレッチャーに真っ向から反抗するほど、音楽に執りつかれていく人物です。ニーマンについては天才ではないという考察もされています。

そんなアンドリュー・ニーマンのキャストを務めたのはマイルズ・テラーです。マイルズ・テラーは1987年2月20日にアメリカで生まれました。2014年からの『ダイバージェント』シリーズに継続して出演している他、2015年の『ファンタスティック・フォー』では主要キャストのひとりです。現在制作中の『トップガン: マーヴェリック』にもクレジットされており、2020年公開予定となっています。

アンドリュー・ニーマンの日本語吹き替え版のキャストを務めたのは内田夕夜です。内田夕夜は1963年12月3日に埼玉県で生まれました。数多くの洋画や海外ドラマの吹き替えを担当しており、よく吹き替えをする俳優にはレオナルド・ディカプリオや、ライアン・ゴズリングなどがいます。アニメなどにも出演しており、『ソウルイーター』のフランケン・シュタイン博士役や、『七つの大罪』のヘンドリクセン役で知られます。

テレンス・フレッチャー役のJ・K・シモンズ

映画『セッション』のテレンス・フレッチャーはシェイファー音楽院で教鞭を取るスキンヘッドの教師です。苛烈な指導で何人もの生徒が挫折しており、時には暴力も厭わない一方、コンテストなどでは実績を残しています。特に技術的な指導に厳格であり、ニーマンはフレッチャーの要求するテンポを演奏できずに何度も苦しみました。そんなフレッチャーですが、実は指導者として際立っているわけではないという考察もされています。

テレンス・フレッチャーのキャストを務めたのはJ・K・シモンズです。J・K・シモンズは1955年1月9日にアメリカで生まれました。ブロードウェイミュージカルの舞台やオペラの経験もありますが、映画賞の獲得で注目されたのは映画『セッション』でした。初のアカデミー賞ノミネートに加え、助演男優賞を受賞しています。近年の出演作には2017年の『ジャスティス・リーグ』などがあります。

テレンス・フレッチャーの日本語吹き替え版のキャストを務めたのは壤晴彦です。壤晴彦は1948年1月25日に京都で生まれました。演劇倶楽部『座』を主宰しており、蜷川幸雄演出の舞台などに多数出演しています。声優としては洋画吹き替えを中心に活躍しており、担当している俳優には『パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ』や『英国王のスピーチ』で知られるジェフリー・ラッシュがいます。

セッションの映画あらすじをネタバレ

ここからは映画『セッション』のあらすじをラストまでネタバレ紹介します。『セッション』の簡単なネタバレあらすじは「ドラム演奏に情熱を注ぐ学生が、苛烈な指導を繰り返す指揮者と衝突しながらも、狂信的に音楽にのめり込んでいく」というものです。反発を繰り返しながらも互いを理解するようになるあらすじですが、よくあるあらすじとは違っています。ふたりの関係が表現されたラストシーンが凄まじいと評判です。

フレッチャーとの出会い

まずはオープニングのネタバレあらすじの紹介です。主人公のアンドリュー・ニーマンは19歳のジャズドラマーです。アメリカ最高峰の音楽学院と言われるシェイファー音楽院に在籍していましたが、特に注目を集めるほどの天才ドラマーというわけでもありません。ある日、ニーマンが自主練をしているところへ、シェイファー音楽院最高の指導者とされるテレンス・フレッチャーが訪れます。

フレッチャーは新しいバンドメンバーを探していました。そのことを知っていたニーマンは緊張しながら、フレッチャーの前で演奏します。細かい指示を出すフレッチャーでしたが、ニーマンが必死に指示に応えようとする間にさっさと立ち去ってしまいました。

フレッチャーに誘われるニーマン

続いて、序盤以降のあらすじの紹介です。練習を終えたニーマンは映画館に向かいます。ニーマンは父親と一緒によく映画を観ていました。フレッチャーと会ったことを父親に告げますが、「別の道もある」と父親は言うのでした。いつものようにクラスの授業に参加しているところへ、フレッチャーが訪れます。フレッチャーは生徒たちの演奏を確かめていきます。そして、ニーマンに明日の午前6時にクラスに来いと招きました。

伝説的ドラマー、バディ・リッチに憧れるニーマンはフレッチャーに認められたと思い、喜びます。浮かれたニーマンは映画館の受付嬢ニコルをデートに誘い、約束を取り付けました。何もかもがうまく行っているように感じられたニーマンですが、練習初日に寝坊してしまいます。急いで教室に向かったニーマンですが、室内には誰もいませんでした。人が来るまでひたすら待ちます。

フレッチャーの苛烈な指導

9時前になると、バンドメンバーが続々と集まってきます。和気あいあいとしたムードですが、9時きっかりに教室にフレッチャーが入ると異様な緊張感に包まれました。フレッチャーは簡単にニーマンを紹介して、すぐに指導に入ります。演奏が始まるとフレッチャーの厳しい指導の実態が明らかになります。音程の合っていない、合っていないことに気付かない生徒は暴言を浴びせられ、教室から追い出されました。

休憩時間、フレッチャーはニーマンに話しかけました。ニーマンの家族に音楽家がいないことなどを確認し、次の時間は演奏させるからリラックスして演奏するように、と優しく声を掛けました。ニーマンは気合を入れて演奏します。しかし、フレッチャーは何度も「テンポが違う」と指摘しました。そして、突然イスを投げつけ、ニーマンの頬何度も叩きます。あまりの厳しさにニーマンは泣き出し、うつむいていることしかできません。

フレッチャーの厳しい指導にショックを受けたニーマンでしたが、気を取り直して今まで以上にドラムの練習うに打ち込みました。手のマメが潰れて血だらけになっても絆創膏を貼って練習を続けます。そんな中、ニーマンはニコルとのデートに出かけました。ジャズの流れるニーマンのお気に入りのピザ屋です。ニコルはまだ専攻を決めていないことを話しました。音楽に身を捧げたいニーマンとは対照的です。

コンテストでの活躍

練習を続けても、ニーマンには譜面捲りしか任せられませんでした。ある時、オーバーブルック・ジャズ・コンテストに出場することになったフレッチャーのバンド。当然、優勝を狙っています。しかし、コンテスト当日に主奏者から譜面を預かったニーマンは、譜面を紛失してしまいます。主奏者のタナーには障碍があって、譜面無しでは演奏できません。そこで、暗譜していたニーマンが代わりに演奏することになりました。

コンテストのステージで、ニーマンはしっかりとパフォーマンスを見せました。そして、シェイファー音楽院は見事優勝を勝ち取ります。これ以降、ニーマンはドラムスの主奏者となりました。プロのミュージシャンに近付いている自信を持つニーマンでしたが、親族は誰もニーマンのことを認めようとしません。音楽よりもアメフトで活躍している親戚が褒められて、ニーマンは機嫌を悪くしました。より一層、音楽に打ち込みます。

血まみれのドラムス

ある日の練習後、ニーマンはフレッチャーに呼び止められます。そこに訪れたのはライアン・コノリーでした。新しいドラムス奏者として実力を見るために、ニーマンの演奏と比較します。コノリーの演奏はニーマンからすると下手でしたが、フレッチャーは褒めます。不満を訴えるニーマンをフレッチャーは一喝し、「勝ち取れ」と伝えました。その後、音楽に打ち込むため、ニーマンはニコルに冷たい言葉をぶつけて別れます。

ニコルと別れたことによって、ニーマンの自主練習はより激しくなります。血にまみれた手を氷水に浸しながら練習を続けました。その後、教室に訪れたフレッチャーはいつもと様子が違います。かつての教え子・ショーン・ケイシーの演奏した曲を流しました。ケイシーは事故で死んでいました。フレッチャーは当時の思い出を語り、涙を流します。その後、指導が始まります。

フレッチャーはまず、コノリーに演奏させますが、すぐに止めます。次はニーマンですが、同じくすぐに止められました。そして、タナーが演奏しますがフレッチャーは怒鳴り声を上げます。どの奏者の演奏も気に入らないフレッチャーは他の楽器奏者に休憩を与え、ドラムス3人を徹底的に扱きます。長時間の練習でドラムに血が飛び散るほどでしたが、最終的にはニーマンが主奏者に選ばれました。

ダネレン大会の当日

大会に出場するため、バスで会場に向かっていたニーマンでしたが、運悪くバスがパンクしたためレンタカーを使うことにします。すでに集合時間に遅れていたニーマンは急いで向かいますが、レンタカーの事務所にスティックを忘れていました。遅れて到着したニーマンをフレッチャーは許しません。しかし、なんとしても演奏するつもりのニーマンはフレッチャーに食って掛かりました。

ニーマンは急いで引き返し、スティックを回収しました。しかし、再び会場に向かう途中でトラックと接触事故を起こします。血まみれになったニーマンですが、車から這い出て会場へ向かいました。演奏開始直前に位置についたニーマンはそのままスティックを構えます。止むを得ずフレッチャーは指揮を執りますが、ニーマンはスティックを落とします。

まともな演奏のできないニーマンを見てフレッチャーは演奏を止めさせました。そして、「終わりだ」とニーマンに冷たく言い放ちます。激昂したニーマンはフレッチャーに掴みかかり、罵声を浴びせました。他の奏者に引き離されてステージから締め出されます。

ニーマンの密告

ニーマンは大会での騒動を受けてシェイファー音楽院を退学になりました。その後、ニーマンが父親に連れられて面会したのは、ショーン・ケイシーの弁護士でした。実は、ケイシーはフレッチャーの指導によってうつ病となり、自殺したのです。弁護士はニーマンに証言を求めていました。ニーマンは始めフレッチャーをかばいます。しかし、ドラムへの情熱が消えたことや、父親の意見を聞いて弁護士の質問に応じました。

フレッチャーとの再会

数か月後、ニーマンはドラッグストアで働いていました。コロンビア大学で学ぶことを考えています。ある晩、街を歩いているとジャズライブハウスの看板にフレッチャーの名前を見つけました。気になったニーマンは店の中に入ります。そのステージでピアノを演奏していたのは間違いなくフレッチャーでした。演奏を聞いて帰るつもりだったニーマンにフレッチャーが声を掛けました。

フレッチャーはシェイファー音楽院を辞めたことを告げました。フレッチャーは「おそらくケイシーの同期生が密告した」と言い、ニーマンは安堵します。そして、2週間後にプロの演奏を指揮すると言いました。フレッチャーは自分が学院で何を目指してきたか語ります。フレッチャーは皆を期待以上の所まで押し上げたかったと言いました。それは次の優れたミュージシャンを生むために絶対に必要だったと断言します。

フレッチャーはチャーリー・パーカーがシンバルを投げつけられたことで伝説的な奏者になったと言います。そして、もし「Good Job」(上出来だ)と済まされていたら『バード』と呼ばれるような存在にはならなかっただろうと言いました。甘い言葉で才能が開花しないのは悲劇だとフレッチャーは考えるのです。

ニーマンは「一線を超えて次のチャーリー・パーカーを挫折させたのでは?」と問います。しかし、フレッチャーは「次のチャーリー・パーカーは何があろうと挫折しない」と言いました。そして「努力はしたけど、次のチャーリー・パーカーは育てられなかった」と吐露します。店を出ると、フレッチャーはニーマンをバンドに誘いました。その後、ニーマンは久しぶりにドラムに触ります。

ニーマンは久しぶりにニコルに電話を掛けました。それまでの非礼を謝罪します。そして、自身が出演するジャズコンサートに招待しました。しかし、ニコルには新しい彼氏がいました。会場に行けるかわからないと言われます。

JVCフェスティバルの当日

バンドメンバーと共に控室にいると、フレッチャーが現れます。スカウトの目に留まればミュージシャンにとって大きなチャンスとなり、逆に失敗をすれば道は閉ざされると告げました。ニーマンは気を引き締めてステージに上がります。事前にフレッチャーから聞いていたように、シェイファー音楽院で演奏した曲の譜面を準備します。しかし、ニーマンに近付いたフレッチャーは「密告はお前だな」と告げました。

観客に向けて挨拶をするフレッチャーが紹介した楽曲はニーマンの聞いていたものではありませんでした。他のバンドメンバーはきちんと譜面が準備してあります。戸惑いながらも、ニーマンは演奏を始めました。しかし、まともに演奏できるはずもなくまたしても醜態を晒してしまいます。そんなニーマンにフレッチャーは「無能」と言い放ちました。ニーマンは呆然としてステージから去りました。

気落ちしたニーマンを父親が迎え入れ「さあ帰ろう」と言います。その言葉を聞いたニーマンは父親から離れ、ステージに戻りました。そして、フレッチャーが観客に挨拶をしている最中に突然演奏を始めます。フレッチャーはもちろんバンドメンバーも驚きました。しかし、ニーマンは演奏を続け、ステージのメンバーも演奏せざるを得なくなります。

セッションのラスト

フレッチャーもまんざらでは無い様子で「キャラバン」の演奏が終わります。しかし、フレッチャーの指揮に従わず、ニーマンはなおも演奏を続けました。「合図をする」と言ったニーマンにフレッチャーは頷きます。ニーマンは凄まじいドラムソロを演奏し、フレッチャーは倒れかけたシンバル直します。

そして、テンポを一旦抑える指揮をし、ニーマンは従います。その後、再び徐々にテンポを上げる指揮を出し、ニーマンは高速で速度でドラムを叩きました。ソロをやり遂げるとふたりは目を合わせます。フレッチャーがニーマンに何か言うと、ニーマンは笑顔を見せました。そして、フレッチャーの指揮で演奏のラストを迎えます。

セッションの映画ラストの9分19秒について考察

ここでは映画『セッション』のラスト9分19秒についての考察をまとめて紹介します。映画『セッション』のラストではニーマンとフレッチャーの対立のあらすじの結末が、演奏を通じて表現されたと考察されています。極めて評価の高いラストですが、高評価の理由について考察されていることをまとめました。

セッションの9分19秒とは?

前提として、映画『セッション』は音楽院を舞台とした師弟の「スポ根サクセスストーリー」ではないと考察されています。というのも、フレッチャーのキャラクターが単純な善か悪かで語れないからです。フレッチャーは厳しい指導をしながらも、教え子の死を悲しみ、ジャズライブハウスではニーマンにも誠実な態度を見せていました。そのため、実は良い人と見えますが、そう単純でもないことがラストのステージでわかります。

フレッチャーはニーマンに復讐しました。音楽家としてのニーマンを完全に潰そうとしています。というのも、フレッチャーはライブハウスで語ったように、音楽院で次のチャーリー・パーカーを育てることに情熱を注いでいました。しかし、それはニーマンの密告によって絶たれます。ジャズライブハウスでのニーマンの態度から、密告者であることを見抜いたフレッチャーは復讐を果たそうとしたと考察されています。

一方、フレッチャーを信用していたニーマンは裏切られたことと、大舞台での失敗で音楽家としての道が断たれたことを理解し、舞台から去りました。しかし、父親に優しく抱きしめられたことでステージに戻ります。このシーンの理解に重要なのが、フレッチャーの言葉だと考察されています。

フレッチャーは「上出来だ」と言うことで才能が死ぬと考えています。そして、チャーリー・パーカーは決して挫けないと言っていました。ニーマンが挫け、父親から優しくされて安心すれば、本当に音楽家としては終わりです。だからこそ、ニーマンは父親から離れて再びスティックを握ったと考察されています。ニーマンは1度はフレッチャーに殴りかかりましたが、ラストでは演奏でフレッチャーに抗いました。

演奏開始後のフレッチャーの表情の変化

ニーマンが強引に演奏を始めたことでフレッチャーのスピーチは中断されます。ニーマンの隣のベーシストは戸惑いますが、ニーマンに支持されて「Caravan」の演奏を始めました。やむを得ずフレッチャーも指揮を始めます。始めは不服そうに腕を振り始め、演奏中にニーマンに暴言を吐きますが、ニーマンは意に介しません。しかし、フレッチャーのニーマンへの怒りとは裏腹に、バンドの演奏は高いクオリティを見せました。

やがて、フレッチャーの表情からも険が取れていきます。ニーマンは高い集中力を見せ、バンドの演奏クオリティを押し上げます。フレッチャーは満足そうに微笑み、上機嫌で指揮して「Caravan」はラストを迎えます。この時点で素晴らしい演奏をするという全ての音楽家の共通の目標は達成されていると考察されています。しかし、ニーマンはさらに演奏を続け、本当のラストへ向かいます。

本当のラスト

他の楽器の演奏が終わってもニーマンは演奏を続けると、周囲は暗くなり、奏者や観客が視界に入らなくなります。これは映画『セッション』のオープニング、自主練をしているニーマンとフレッチャーの出会いの場面との対比と考察されています。フレッチャーはニーマンにどういうつもりか尋ねますが、ニーマンは「合図する」と返答します。しかし、これは日本語字幕であり、英語では「Up to you」と発音しています。

「Up to you」は「あなた次第」という意味があります。つまり、ニーマンの独奏のラストをフレッチャーがどう仕上げるか、ニーマンは挑発的ながらもフレッチャーに任せたと考察されていました。その言葉を聞いたフレッチャーは演奏を無理やり止めるようなことはせず、ラストに備えます。ニーマンはこれまで以上の集中力を見せ、奏者としての高みに上り、その姿を見た父親は呆然とします。

激しい演奏でシンバルが傾くと、すぐにフレッチャーが直しました。そして「いいぞ、続けろ」と言わんばかりに真剣な眼差しを向けて頷きます。そして顔を上げたニーマンにテンポの指示を出し、ニーマンは素直にそれに従いました。映画の中で何度も繰り返された「テンポが違う!」という怒声はもうありません。再びテンポアップして高速でドラムを叩くニーマンはフレッチャーの要求に応えて見せました。

やり切ったニーマンが顔を上げるとフレッチャーは何かを言います。その言葉を聞いたニーマンは少し引き攣ったような笑顔を見せます。そしてフレッチャーの指揮によって映画『セッション』は本当のラストを迎えました。ラストのフレッチャーのセリフは劇中では明らかにされていませんが、「上出来だ」と言ったと考察されています。

「上出来だ」という言葉が才能を潰すという持論を持つフレッチャーのことを理解していたニーマンからすると、皮肉たっぷりのセリフです。直後のニーマンの微妙な笑顔からも、皮肉を言われたことと、フレッチャーが本心から満足した演奏をしたという喜びがない交ぜになった絶妙な笑顔だと考察されていました。ふたりは歪ながらも師弟関係であり、同時に似た者同士であると考察されています。

以上のように考察されている映画『セッション』のラストですが、主に楽曲の演奏シーンとなっているため、セリフは多くありません。そのため、ニーマンとフレッチャーの心境はふたりの表情などから汲み取ることになります。そのため、ふたりを演じたキャストの演技力は凄まじいと考察されています。演奏だけでなく、ふたりの俳優の演技の凄味があり、特殊な師弟関係を見事に表している9分19秒だと考察されていました。

セッションの映画で使用された曲を紹介!

Whiplash

映画『セッション』で使用された「Whiplash」は『セッション』の原題でもあります。「Whiplash」は「鞭で打つ」という意味があります。映画の中でもニーマンがスティックでドラムを激しく叩くシーンが何度も映されました。監督のデミアン・チャゼルは実際にドラムを殴って壊すほどストレスを感じていた時期があり、当時苦しい思いをさせられたのが、演奏の難しい「Whiplash」だと言われています。

Caravan

映画『セッション』で使用された「Caravan」はアメリカのジャズ音楽家デューク・エリントンの代表曲のひとつと知られています。映画『セッション』ではラストシーンでも演奏されました。

多くのアーティストに演奏されており、日本出身のジャズピアニスト上原ひろみや、ジャズ以外のジャンルとしては東京スカパラダイスオーケストラにも演奏されている楽曲です。

Upswingin’

映画『セッション』で使用された「Upswingin’」は映画音楽作曲家ティム・シモンクに制作された楽曲です。映画『セッション』の中ではラストのフェスティバルのステージで突然演奏することがわかり、譜面も練習もしていないニーマンは狼狽えます。

結局、アドリヴでは演奏仕切れなかったため、一度は舞台を去りますが、そこから真のラストへと繋がっていきました。

セッションの映画を観た評価や感想は?

映画『セッション』を見た人の評価には「ラストの演奏シーンが凄かった」という感想が多くありました。中には「ラストシーンのために作られた映画」という評価もあるほどです。ラストシーンについての考察は前述の通り、演奏、演技、そして師弟のドラマのラストとして素晴らしいと考察されているように、見た人の多くが非常に高い評価を下していました。

映画『セッション』は映画評論家からも高い評価を受けています。主演ふたりの演技は絶賛されており、特にフレッチャーを演じたJ・K・シモンズにとっては当たり役となったと評価されいました。また、演奏シーンのキレのある編集なども評価されており、編集技師のトム・クロスはアカデミー賞で編集賞を受賞しています。その一方で、ジャズ愛好家からは低い評価を下されているという一面もありました。

映画『セッション』ではニーマンが血だらけになって演奏するシーンが多くありますが、こうした練習方法は間違っていると指摘する声がありました。「ジャズが誤解される」という懸念を抱いた人も多いようです。映画ファンからは高い評価されている一方、ジャズファンの中には低い評価が下されているという構図になっているようです。

セッションの映画のあらすじや評価まとめ

映画『セッション』のあらすじや、ラストのシーンの考察、評価をまとめて紹介しました。映画『セッション』はジャズに情熱を注ぐ音楽界の狂気を描いた映画でした。ふたりの緊迫したやり取りや、圧巻のラストシーンなど、見所の多い評価の高い映画です。音楽に打ち込んだ経験がある人はもちろん、ジャズをよく知らないという人でも楽しめると評判です。まだ見ていないという方は、ぜひ一度ご覧ください。

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