2019年10月15日公開
2019年10月15日更新
月に囚われた男をネタバレ解説!映画のあらすじ・結末や感想をまとめて紹介
2009年に公開された映画『月に囚われた男』は、予想もつかない展開と結末が待っているユニークな設定のSFスリラー映画です。サスペンスタッチの展開の中に、感動的で切ないヒューマンドラマも盛り込んだこれまでにない魅力の作品でもあります。この記事では、キャスト陣の名演技が光る映画『月に囚われた男』のあらすじネタバレや結末ネタバレ、実際に干渉した人たちの感想などをご紹介します。
目次
映画月に囚われた男とは?
意外な展開と結末、斬新な設定と洗練された映像美が魅力の映画『月に囚われた男』は2009年公開の作品です。SFサスペンス・スリラーでありながらヒューマンドラマの要素もあるという非常に見どころいっぱいの作品でもあります。
月に囚われた男の作品情報
2009年に公開された映画『月に囚われた男』は、ダンカン・ジョーンズ監督のデビュー作のSF作品です。ロック・ミュージシャンのデヴィット・ボウイは彼の父で、ボウイ自身も『地球に落ちて来た男』というSF映画でメインキャストを務めていました。
ダンカン・ジョーンズ監督はSF映画マニアとしても知られ、今作にも70年代・80年代の名作SF映画のエッセンスがふんだんに散りばめられています。その当時に青春時代を過ごした層からは懐かしさを感じるとの感想も上がっていました。
映画『月に囚われた男』のあらすじ
仕事上の契約で3年間月に住まなければいけなくなった主人公のサム。彼が所属しているルナ社は、新しい燃料「ヘリウム3」の採掘と開発を行っています。その現場作業員としてサムが月に派遣されたのでした。3年近い月日が流れ、あと少しで地球に帰れるといった時にサムは激しい頭痛に襲われ、さらに悪いことに事故を起こしてしまいました。
意識を回復したサムが現場へ戻ると、そこには意識を失っているとみられる男性の姿が。基地で彼を介抱しましたが、何とその男性は自分自身だったのです。
月に囚われた男の予告編
『月に囚われた男』の予告編では、主人公の宇宙飛行士・サムが月に派遣され、一人で3年間任務を遂行しながら生活している様子が描かれています。人工知能のガーティーだけが彼の話し相手ですが、ある日倒れている男を発見し、それが自分だという事に気づいた時から彼の心の中は猜疑心でいっぱいに。
この予告編を見るだけでサムの置かれている状況の孤独さと不可解さ、そしてサムの緊迫した心理が伝わってきます。
月に囚われた男のあらすじネタバレ
映画の冒頭から予測のできないじんわりとした怖さがある『月に囚われた男』。次々と起こる不可解な出来事には一体どのような真実が隠されているのでしょうか。気になる『月に囚われた男』のあらすじネタバレを詳しくご紹介します。
あらすじネタバレ①月の裏側
近未来では地球上の燃料はすでに枯渇し、人々はさまざまな惑星で燃料を採掘していました。ルナ社では月の裏側に基地を設け、そこで新しい燃料「ヘリウム3」の採掘を行っています。現場には宇宙飛行士の作業員が一人向かう事になっており、契約期間は3年です。
現在現地での作業を担当しているのはサム・ベルで、彼はルナ社から提供された人工知能のカーディーと生活しています。あと2週間で期間満了、やっと地球に帰れるという時に、サムは体調不良に悩まされ始めます。激しい頭痛や幻覚が続き、その影響からかサムは勤務中に事故を起こしてしまいました。
気づいたら基地の中で、ガーティの看病の甲斐があってか、サムは順調に回復します。しかし、ガーティはルナ社と頻繁に連絡を取り合い、サムには何かを隠している様子です。これまでとは異なる行動を見せ始めるガーティの様子を不信に思い、サムは不安が募っていくのです。
あらすじネタバレ②2人のサム
かなり危険な事故であったのか、なかなか現場復帰が許されないサムは、しびれを切らしてガーティの目を盗んで採掘場へと向かいました。そこには一人の男性が倒れており、慌てて基地へ連れ帰ったサムでしたが、その男はどう見ても自分にそっくりなのです。
ガーティに状況を話すも平然とした様子でその男性は『サム・ベルだ』と応えました。基地の中にはガーティと2人のサムがいるという異様な光景。当然二人とも自分自身が本物のサムだと譲らず、ついには激しい口論となってしまいます。もう一人のサムはかなり気性が荒い性格のようで、言い争いが激しくなると暴力まで振るい始めました。
2人のサムの雰囲気はその後もさらに険悪なものになっていきますが、一方で自分たちの正体やこの月の基地の真実を突き止めようという気持ちが芽生えてきます。
あらすじネタバレ③残酷な現実
ガーティによって衝撃的な真実が語られました。月の燃料「ヘリウム3」の採掘は、コスト削減のためクローンを作業員として使っていたのです。2人のサムは両方ともクローンであり、ビデオレターの中の家族も全てオリジナルの記憶のコピーでした。
採掘作業の契約期間である3年というのはクローンの寿命で、3年ごとに新たなクローンへと交換されるのです。サムが最近体調に異変をきたしていたのはそのためでした。あと少しで地球へ帰れるのではなく、彼の機能が停止してしまうということだったのです。
残酷な真実を知り、愕然とする二人のサムでしたが、新しい方のサムは知恵を回し、自分たち以外にもたくさんのクローンがいるに違いないと言い出しました。
あらすじネタバレ④妻のテス、娘のイヴ
サムは地球にいる家族と通信を試み、何とか娘のイヴと交信することができました。しかし、そこでも衝撃の真実が明らかになります。サムが3年間だと信じていた契約期間はクローンの寿命であったので、地球ではそれ以上の歳月が流れていました。幼かった娘は15歳に成長し、妻のテスはすでに亡くなっていたのです。
地球では、オリジナルのサムと娘のイヴが何事もなかったかのように暮らしていました。自分の存在の虚しさに愕然とするクローンのサム。その間にも彼の体調は悪化し、寿命が尽きる時はすぐそこにまで迫っています。
あらすじネタバレ⑤2人のサムの計画
オリジナルのサムは、このクローン計画をいつから知っていて協力したのでしょう。クローンの自分は、月の基地で再び家族に会う事も許されずもうすぐ寿命が尽きてしまうというのに…。絶望のあまり号泣するサムでしたが、何とか対策を取らなければと、新しい方のサムにも真実を伝えました。
すると、もう一人クローンを蘇生させた後に殺害し、事故死したように見せかけようと言い出したのです。先のサムは一人で地球へと脱出をし、自分はここで3年間作業を続けるという計画を提案しました。しかし、自分たちにはクローンを殺せないことが良く分かっていた先のサムは、もう長くはない自分が残り、新しい方のサムを地球へと向かわせようとします。
月に囚われた男の結末ネタバレ
月の採掘プロジェクトには恐ろしい秘密が隠されていました。その秘密を知ってしまったクローンのサムたちは、一体どうなってしまうのでしょう。映画『月に囚われた男』の気になる結末のネタバレをご紹介します。
結末ネタバレ①:脱出
事故処理の救助隊が近いうちにやってくることを知った2人のサムは、さっそく計画を実行に移すことに決めます。事故現場での2人は、さっきまでの緊迫した雰囲気とは変わり、いつになく穏やかに思い出話などを始めました。やがて先のサムの呼吸はまるで眠っているかのように静かなものになりました。察した新しい方のサムは、事故のあった場所へサムの身体を移動させ、再び基地へと戻ります。
救助隊が来る前に月を離れようとしていた新しい方のサムに、ガーティーが意外なことを言いました。これまでの自分の中の記録を全て消すようにと言うのです。電源を落として再起動するだけで良いとガーティーは言いますが、それは彼の存在が無くなってしまうという事を意味します。驚くサムでしたが、ガーティーの想いを汲み彼の電源をリセットした後、地球へと旅立ちました。
結末ネタバレ②:サムの告発
サムが月を脱出する際の計画通り、基地の地球からの電波を妨害する装置は破壊されました。この後、さらに新しいクローンが蘇生しても、彼らは自分の目で真実を確かめることができるのです。ここでこの映画は結末になるのかと思いきや、最後に大きな展開が残されていました。
地球に着いたサムは、メディアにルナ社のクローン計画の全てを告発します。瞬く間に大騒動になり、ルナ社は世界中からの非難を浴びることとなります。株価が大暴落したと伝えられていますから、もしかしたらそのまま倒産してしまったかもしれません。ここで気になるのはオリジナルのサムのその後です。クローンのサムがオリジナルを訪ねることはないでしょうが、彼は一体どのような心情でクローンの告発を聞いていたのでしょうか。
月に囚われた男のキャスト
あらすじネタバレや結末のネタバレを読んで、ますます『月に囚われた男』の世界に興味を持ってしまった人は、当然作品の中の道場人物を演じるキャストについても気になるところでしょう。この章では、『月に囚われた男』のメインキャラクターを演じたキャスト陣をご紹介します。
サム・ベル/サム・ロックウェル
主人公のサム、そしてのちに現れるもう一人のサムを演じたキャストはサム・ロックウェルです。映画『月に囚われた男』は、月の基地内で話が展開していきます。ほとんど密室でお話が進んで行き、基地の中にいるのはクローン同士なので、ほとんどキャストのサム・ロックゥエルの一人芝居のような状況です。
サム・ロックゥエルは1987年に俳優活動をスタートさせ、2000年に出演した『グリーンマイル』で注目を集めます。2002年には初めての主演を『コンフェッション』で経験し、その後も話題の作品にメインキャストで登場し、演技に高い評価を得ています。
サム・ベル/ロビン・チョーク
このお話ではクローンがテーマになっていますから、クローンの二人のサムを演じるキャストは同じサム・ロックゥエルです。しかしキャストのクレジットにはサム役にロビン・チョークの名がクレジットされています。
映画の中のサムは全てロックゥエルの顔なので不思議に思う人もいたかもしれませんが、ロビン・チョークは、一人が後ろを向いているシーンや、宇宙服姿で顔が見えないシーンなどでサムのボディダブルとして出演していたのであろうと思われます。
ガーティ/声:ケヴィン・スペイシー
出典: https://jisin.jp
男性の声を持つ人工知能のガーティは、月の基地でルナ社の人間とコンタクトを取り、そしてサムの身の回りの世話を行っています。冷静かつ忠実に任務をこなす一面と優しい気遣いを見せる非常に人間的な一面があります。
そんなガーティーの声を演じたキャストは、ケヴィン・スペイシーです。ケヴィンは、1995年公開の『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー賞助演男優賞、1997年の『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞している名俳優です。
不気味な殺人鬼から穏やかな佇まいの紳士、権力を手に入れるためには手段を択ばない男など幅広い演技で知られる彼の新たな一面が見れるのが、この『月に囚われた男』のガーティです。
月に囚われた男の見どころ&考察
映画『月に囚われた男』には、設定やストーリーのあらすじが斬新でおもしろいというだけでなく、随所に深い人間の心の動きが描かれています。その点が『月に囚われた男』と他のSF映画の違うところであり、大きな見どころでもあります。
クローン同士の友情
ある日突然目の前にもう一人の自分が現れたら…。誰もが戸惑い、信じられず、そして自分こそが本物だと敵対心や反発心もつことでしょう。『月に囚われた男』の2人のサムも最初は敵意や反発心をむき出しにしていましたが、自分たちがクローン同士だという事を知り、協力しあっていくうちにいつしか奇妙な友情が芽生えます。
ハイタッチのシーン
自分こそが本物のサムだという思いから反発し、激しい口論を繰り広げていた2人のサムでしたが、ルナ社の陰謀を知り、徐々に仲間意識が生まれ始めます。新しい方のサムはカッとなりやすい性格で先のサムに暴力をふるった事を謝りました。これをきっかけに二人の間のわだかまりは解け、ついにはハイタッチを交わすまでに。
先のサムにとって、新しい方のサムは過去の未熟な自分です。その自分の謝罪を受け入れて許し、ハイタッチを交わすということは、過去の自分の未熟さや欠点を乗り越え克服したことを現わしているのではないでしょうか。
サムの強さと温かさ
サムは月の基地でたった一人で3年間過ごしてきました。身の回りの世話は人工知能のカーディーがやってくれますが、彼は人間ではありませんし、友人でもありません。孤独に耐える強さがなければ月での一人暮らしはまっとうできないはずです。
新しい方のサムは、先のサムと違い短気で暴力的な性格でした。どうやらオリジナルのサムはそのような性格であるのかもしれません。月での暮らしでサムは成長し変わったのでしょう。自分たちクローンの寿命を新しい方のサムには告げず、代わりに地球へ送り出してやるなど温かい一面さえ結末には見せています。
女性の正体
3年のリミットが近づいたサムは、激しい頭痛と幻覚に悩まされます。その幻覚に現れるなぞの女性。彼女の正体は一体何者なのでしょうか。3年も妻と離れて暮らしているのだから、その寂しさや欲求が幻覚となって現れたのかもしれません。
妻のテスは、オリジナルのサムの短気で暴力的な性格を気に病んでいました。それが原因でしばらく実家に帰ることもあり、夫に自分を見つめ直してほしいという思いから月での採掘作業に反対しなかったのです。クローンのサムは妻のそのような想いは知らないわけですが、オリジナルのサムの心のどこかに、離れていた間の寂しさや妻に対する申し訳ないという気持ちがあり、それが女性の幻影となって現れたのではないかと考えられます。
相棒のガーティ
一人で月の基地で生活しているサムですが、彼の身の回りの世話は人工知能のガーティがやってくれています。天井からコンピューターがぶら下がっているような形状をしており、モニターにはスマイルマークのイラストが表示され、その表情で感情を表しています。
無機質な風景の月面基地内で、ガーティの優しい声とこの素朴なスマイルマークは、サムだけでなく鑑賞者の心も癒してくれます。映画『月に囚われた男』を見た人から「ガーティーがかわいい」という多くの感想が寄せられているほどです。
人の心を持ったAI
人工知能と言っても機械的に日々の仕事をこなしているわけではないカーディー。サムの体調や心情を気遣い、ちょっとした様子の変化も見逃しません。ルナ社に管理されているにも関わらず常にサムの気持ちに寄り添い、結末にはサムをかばって助けようとさえします。
月に囚われた男を見た人の感想や評価
映画『月に囚われた男』を実際に見た人はどのような感想を持っているのでしょう。Twitterに投稿されていた『月に囚われた男』の感想や評価をご紹介します。
[月に囚われた男]感想(10月レンタル)。デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズ監督のSFサスペンスな1作目。この全編に漂う味わい深さはなんなんだろう?SFがホント好きなんすね、きっと。ラストは蛇足?と思いつつ、監督自身承知で狙ってのある種の半端さなのかな?と。 #eiga
— 1001 (@00oo00oo00oo) November 22, 2011
全体的に高い評価を得ている『月に囚われた男』ですが、ラストシーンには賛否両論あるようです。サムが月からの脱出に成功した時点でエンドにしておいた方が感動的な余韻があり良かったのではないかという感想や意見も多く出ています。しかし、このTwitterでの感想のようにラストのシーンでサムの告発を知らせたのは、作者の明確な狙いがあるのでは?とみる人も多いようです。
映画『月に囚われた男』の感想・レビュー [7922件] | Filmarks #Filmarks #映画 星新一とか藤子不二雄の短編みたいな雰囲気のすごい好きなタイプのSF。ネタバレは読まずに観て欲しい、とても演出がいい映画だった。不思議な友情物語。 https://t.co/82mSUPc0sp
— トニヲ (@tonio_sabaneco) February 3, 2018
斬新な発想と予想もつかない展開の中にどこか懐かしさを感じさせる映画『月に囚われた男』を見て、往年の名作SFを思い出す人は多いようで、Twitterでもたくさんの感想が上がっていました。
月に囚われた男
— あさ🐰映画❤️海外俳優❤️ (@asanne444) September 20, 2019
3年間たった1人で月で働く男の話。
スケールは割とチープでアナログな
近未来作品です。同じジャンルでは
『ガタカ』が有名ですが、ラストの絶望の
中に見える小さな希望も儚く未知のもの。
いつまでも続く余韻から抜け出せない
ような後引く感覚。
このモヤモヤがたまらない。 pic.twitter.com/klkzXQXawt
また、主役のサムを演じたキャストのサム・ロックゥエルの演技が素晴らしいという感想や、彼の演技の巧みさによって主人公のサムの孤独や絶望感がひしひしと伝わってくるという感想が上がっていました。
月に囚われた男のネタバレまとめ
映画『月に囚われた男』のあらすじ、結末ネタバレ、そして感想はいかがでしたでしょうか?一見、ありきたりなSF映画かと思ってしまいがちな作品でもある『月に囚われた男』ですが、ストーリーが進むにつれ、その独特の世界観と斬新な設定、そして一人の男性の内面の深い部分が描かれる様にいつしかどっぷりとハマってしまっている不思議な作品です。まだ未視聴の方はぜひ『月に囚われた男』に触れてみてください。