映画「デビル」のあらすじや結末感想ネタバレ！デビル(悪魔)の表す意味とは

映画「デビル」は、1997年に公開されたアメリカ映画で、日本でも知名度の高いハリウッド俳優ブラッド・ピットとハリソン・フォードの新旧映画スター共演で話題となったサスペンスアクション作品です。今回は、映画「デビル」のネタバレを含めたあらすじ・出演キャストに加え、タイトルが示す「デビル」の正体やアイルランド人の問題について考察を交えて紹介します。

イギリスとアイルランドの抗争を背景にストーリー構成がなされた映画「デビル」は、主演に進旧の映画スターを起用したことで話題を呼んだ映画作品として知られています。本作品は、アイルランド系同士の友情と数奇な運命を軸にストーリー展開がなされ、出演キャスト陣には多くのアイルランド人またはアイルランド系の俳優が起用されるなど、アイルランドを色濃く映した映画作品でしょう。

映画「デビル」の監督アラン・J・パクラは、ニューヨーク生まれのポーランド系ユダヤ人であり、ワーナー・ブラザーズのアニメ部門を経て、1969年に「くちづけ」で映画監督デビューを果たします。サスペンス映画を得意としており、1977年公開の映画「デビル」は、アラン・J・パクラ監督の最後の作品にあたります。

映画「デビル」は、ブラッド・ピット演じるIRA（アイルランド共和国）の実行隊長・フランキーとハリソン・フォード演じるニューヨーク市警・トムの数奇な対決を描いたサスペンス・アクション映画です。以下では、映画「デビル」のネタバレを含めたあらすじを結末直前まで紹介します。

1970年代のイギリス、アイルランド共和軍（以下IRA）によるアイルランド紛争が激しさを増す中、過激派組織IRAのシンパを務める者が殺害される事件が起き、当時8歳だったシンパの息子・フランキー少年が目撃します。それから20年後、成人したフランシス・マグワイヤー（ブラッド・ピット）は、IRAベルファスト旅団の実行隊長として日々戦いに明け暮れ、イギリス政府の要人や軍人、警察官らを次々と暗殺していきます。

IRA活動家の中心人物として名を馳せていたフランキー達は、やがてSI5（英国秘密検査局）に目星をつけられてしまいます。SI5の執拗な追っ手により仲間の多くが命を落とし、辛うじて逃げ切ることができたフランキーは、政府に対する反撃のために必要な武器と資金を調達するべく、「ローリー・ディバニー」という偽名と偽造のパスポートを片手にニューヨークへ渡ります。

ニューヨークに着いたローリー（フランキー）は、現地の協力者フィッツシモズ判事の手引きにより、ニューヨーク市警に勤務する定年間近の警察官トム・オミ―ラ（ハリソン・フォード）の家を紹介されます。トムの家に向かったローリーは、トムを始めとする彼の家族から温かい歓迎を受け、彼も素朴な田舎青年を演じながら、トムの家族に溶け込んでいきます。

フランキーは、トム達の前では、建設現場で働いていると話していました。しかし、IRA活動に必要な武器と資金の調達にニューヨークを訪れたフランキーは、相棒・ショーンと共にアイルランドまで武器を運ぶのに必要な船の改修を行ないながら、裏社会の武器商人・バーグの元で小型携帯用ミサイル購入の交渉を行い、秘密裡に計画実行の準備に追われていました。

ニューヨークの街で暗躍するローリーでしたが、IRAの一員で亡くなった仲間の妹・メーガンとの出会いを果たし、たちまち恋に落ちます。そして、ミサイル発注に携わるビリーからお金を催促されたローリーは、状況が落ち着くまでお金は渡せないと言い張り、ビリーは気分を害します。

その頃、車強盗に遭遇したトムは、犯人逮捕に尽力するも、相棒・ディアスが丸腰の犯人を射殺する事故を起こします。ディアスを庇って虚偽の報告をしたものの、罪悪感に悩まされたトムは、次第に酒に溺れ始めます。すると、そこへトムを迎えに来たローリーが現れ、自身の父親の死について話ます。ローリーの話を聞いたトムは、真実を話すと同時に警官を辞める決意を固めます。

トムが自宅に戻ると、強盗が侵入していました。駆けつけたローリーの加勢もあり、強盗を撃退することができたものの、金品目的の強盗でないことにトムは疑いの目を向けます。一方、強盗騒ぎがビリーの仕業だと知ったローリーは、ビリーの元へ向かい始めます。そして、バーグの人質となったショーンを盾に、ローリーは身代金を倉庫まで運ぶように要求されます。

アイルランド系として友情を深めたローリーとトムでしたが、トムの自宅で起こった強盗騒ぎにて、ローリーことフランキーの事実をトムは知ってしまいます。フランキーとトムの数奇な運命とその結末を描いた映画「デビル」の結末をネタバレを交えたあらすじにて紹介します。

ローリーの部屋は、さきほどの強盗に荒らされた形跡が残っており、その中から資金活動費の大金と拳銃を発見されます。ローリー（ブラッド・ピット）は、自らの正体を明かすとトムと彼の相棒・ディアスの手で逮捕されるも、ディアスを射殺するし、その場から逃亡します。

一方、FBIやイギリス当局からローリーに関する情報提供を求められたトム（ハリソン・フォード）は、フランキーの正体を知ると同時に、いずれ彼がイギリス当局の手によって命を奪われることを予感します。しかし、彼の命だけは助けたいと、自らの手で逮捕するべく行動に移ります。

一方、トムの自宅から逃亡中のフランキーは、相棒・ショーンを救うべく、爆薬を詰めたバッグを片手にバーグ一味の元へ向かいます。しかし、フランキーが着いた時には既にショーンが殺害された後でした。そして、フランキーは、バーグ一味を殺害すると、そのままミサイルを奪って再び逃亡します。また、フランキーの行方を追うトムも、彼の協力者であるフィッツシモズ判事を問い詰め、恋人のメーガンから居場所を聞き出します。

メーガンの話によると、フランキーは、ミサイルを船で運び、敵もろとも道連れにしようと企んでいるを聞かされます。そして、メーガンが話していた場所にたどり着いたトムは、フランキーのいる船に乗りこみます。

船に飛び乗ったトムは、フランキーとの銃撃戦が始まります。結果は、トムが肩の負傷だけで済み、フランキーは致命傷を負い倒れてしまいます。フランキーは、そのまま息を引き取り、トムは、船を港の方へと舵を動かします。

映画のタイトルに起用された「デビル」について、デビルは、作中で数々の暗殺を実行してきたテロリストのフランキー、または正義の警察官から映画ラストにて衝撃的な変貌を遂げたトムのどちらかを意味すると議論されています。以下では、デビルの映画での意味を考察しました。

デビルの映画内での意味は、ブラッド・ピット演じるフランキー達IRAとイギリス政府の血なまぐさい抗争を指し、自分たちの祖国・アイルランドの現状を打破するためには、武力で解決する道しか選ぶことができなかった悲劇を表していると考察されます。

一方で、映画のタイトル「デビル」は、ハリソン・フォード演じるトムの変貌を表すとも考察されています。ニューヨーク市警に勤務するトムは、正義感が強いうえに人柄も良い模範的な警察官で、彼は逮捕のために拳銃を用いて犯人を射殺するような経験は一度たりともありませんでした。そして、映画後半にて、ローリーことフランキー逮捕にも、彼を生きたまま逮捕しようと行動に出ます。

しかし、映画ラストの船上での銃撃戦にて、トムはフランキーに致命傷を負わせ、彼を死に追いやってしまいます。警察引退宣言後も、どこかで踏ん切りが付けずにいたトムでしたが、フランキーの死がトムの警察引退に決定打を打ち付けたとも考察されます。

映画「デビル」の主演俳優2人は、日本でも認知度や人気が高いアメリカ人俳優であり、また、映画「デビル」の出演キャストには、アイルランド系の俳優・女優が選ばれています。以下では、映画「デビル」のブラッド・ピットとハリソン・フォードを始めとする出演俳優を紹介します。

映画「デビル」で、イギリス政府と対立するIRAの実行隊長フランキー（偽名ローリー）を演じたブラッド・ピットは、「ブラピ」の愛称で親しまれているアメリカ俳優です。2005年公開の映画「Mr.＆Mrs.スミス」で共演した女優アンジェリーナ・ジョリーと共に、日本での人気や認知度が高く、アカデミー賞には、俳優として3度、映画プロデューサーとして3度のノミネート経験を持ちます。

映画「デビル」にて正義感溢れる警官トムを演じたハリソン・フォードは、日本でも大ヒットしてた映画シリーズの主要キャスト・主演を務めたアメリカ俳優です。日本では、映画「スター・ウォ―ズシリーズ」主要キャラクター・ハン・ソロ役、「ブレードランナー」主演・リック・デッカード役、「インディ・ジョーンズシリーズ」主演・インディ・ジョーンズ役で広く知られています。

映画「デビル」にて、トムの妻シーラを演じたマーガレット・コリンは、ニューヨーク出身のアイルランド系の血を引くアメリカ人女優です。主な出演作品に、「シカゴ・ホープ」や「インデペンデンス・ディ」があり、日本でも人気のある海外ドラマ「ゴシップガール」では、主人公の1人ブレア・ウォルドーフの母親役として知られています。

アイルランド人とアイルランド系アメリカ人の友情と数奇な運命を描いた映画「デビル」には、トムの妻を演じたマーガレット・コリンやフランキーの恋人を演じたナターシャ・マケルホーンのように、アイルランドの血を引く俳優が多く出演しました。以下では、映画「デビル」に登場したアイルランド人について考察します。

サスペンス・アクション映画として知られる「デビル」には、当時のイギリスで勃発していたアイルランドの問題を題材にしており、日本人には馴染みの薄い内容だと思われます。しかし、作中では、イギリス政府とIRAの抗争だけでなく、ブラッド・ピットとハリソン・フォードが演じたフランキー（ローリー）とトムのように、アイルランド人やアイルランド系同士の友情も描かれ、楽しみやすいストーリー展開になっています。

映画「デビル」にも登場したアイルランドの問題とは、17世紀のヨーロッパ時代にまでさかのぼる北アイルランドをイギリスから独立させる一連の抗議運動を指します。映画「デビル」で描かれたアイルランド問題の背景は、北アイルランド問題が激化した1969年をモデルに描かれたと考察されます。

新旧の映画スター、ブラッド・ピットとハリソン・フォードが共演した作品としても知られ、演技力が高く評価された映画「デビル」の感想や評価を以下に紹介します。

映画「デビル」は、ニューヨークに来た過激派組織のアイルランド人ともうすぐ定年を迎えるアイルランド系アメリカ人警官の数奇な友情を描いた作品で、ストーリーに関しては視聴者によって評価が大きく分かれます。

しかし、ストーリー展開はいまいちだったけれど、主演俳優のブラッド・ピットとハリソン・フォードの演技は良かったと、高い評価を得ています。

映画のストーリーに関して、ラストがあっさりしていて納得がいかないなど、否定的な感想が多く寄せられます。

一方、映画冒頭で映し出されたアイルランドの美しい原風景や、フランキーの幼少時代、フランキーとトムの日常を対比させたストーリー展開に好評価を得るなど、観る者を引き込むシリアスな展開も、映画「デビル」のみどころと捉えられています。

作中のデビルが意味するものについて、過激派組織のフランキーや、映画ラストにて驚くべき変貌を遂げたトムのどちらかが挙げられます。

しかし、作中でのフランキーやトムの言動は、どちらも枠から外れることが出来ない歪んだ正義・信念を持ち続けていたという観点から、作中のデビルは、フランキー・トムの両方を指すのではないかとも考察されます。

日本でも知名度や人気の高い俳優ブラッド・ピットとハリソン・フォード共演の映画「デビル」のネタバレを交えたあらすじと結末、デビルの映画内での意味、映画「デビル」に登場したアイルランドの問題等について紹介・考察しました。現在、EU離脱問題で揺れるイギリスと長年に渡って対立を続けるアイルランド問題を題材にした映画「デビル」を一度視聴してみませんか。