2018年10月17日公開
2018年10月17日更新
あゝ、荒野・後編のあらすじと結末は?感想や衝撃的なラストをネタバレ
『あゝ、荒野』は、1966年に刊行された寺山修司の長編小説が原作の、2017年に前編・後編の2部作で公開されたボクシング映画です。最も旬な日本人俳優の1人菅田将暉と、『息もできない』で有名な韓国人俳優ヤン・イクチュンの共演が話題となりました。本記事では映画『あゝ、荒野・後編』の、ネタバレ込みのあらすじやそれぞれのキャラクターを演じたキャストや作品の感想についてもご紹介します。是非最後までご覧ください。
目次
あゝ、荒野・後編のあらすじ・結末をネタバレ!
2017年に公開された映画『あゝ、荒野・後編』のあらすじや感想をご紹介します。映画『あゝ、荒野・前編』公開から2週間しか経たずしてこの映画『あゝ、荒野・後編』は公開され、公開期間も2週間の限定公開でした。近隣の劇場で公開していなかった、公開時期に鑑賞できなかったという映画ファンやキャストファンもとても多かったでしょう。あらすじや結末・感想をご紹介しますので、ネタバレを気にする方は、ご注意ください。
あゝ、荒野・後編とは?
2017年に公開された映画『あゝ、荒野・前編』に続き、映画『あゝ、荒野・後編』が2週間後に公開されました。前編・後編の両作とも期間限定公開で話題となり、劇場には多くの映画ファンやキャストファンが足を運びました。菅田将暉・ヤン・イクチュンの主演2人やその他のキャストも変わらず続投し、『二重生活』を監督した岸善幸が渾身の思いを込めて完結させた作品が、この映画『あゝ、荒野・後編』です。
あゝ、荒野・後編のキャスト一覧
映画『あゝ、荒野・後編』キャスト:沢村新次、新宿新次役/菅田将暉
新次は、幼少期に自衛隊員であった父親が自殺、母は新次を置き去りにして家を出てしまいます。大人になった彼は、兄貴分と慕う劉輝や裕二らと振り込め詐欺をしていたのですが、ある時仲間割れにより、新次と劉輝は裕二のグループに裏切られ、その際の暴力事件で少年院に収容され、出院しました。性格は真っ正直で単細胞的だけれども、狂暴すぎるぐらい手が出るのが早いタイプです。
映画『あゝ、荒野・後編』で新次を演じた菅田将暉は、特撮ヒーロードラマ『仮面ライダーW』の主演にシリーズ最年少の16歳で抜てきされ、注目されます。2013年公開の主演映画『共喰い』での演技が高く評価され、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後俳優としてのキャリアを積み上げていきます。
『銀魂』や『火花』などの話題作にも出演し、幅広い演技で映画やドラマにひっぱりだこです。この映画『あゝ、荒野』では日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞しました。
映画『あゝ、荒野・後編』キャスト:二木建二、バリカン建二役/ヤン・イクチュン
自衛隊隊長の父と韓国人の母の間に生まれた建二は、幼少期を韓国で暮らしていました。幼いころに母が亡くなり、その後父とともに日本にやって来ます。父の厳しくて強圧的な性格と日本の生活に馴染めなかったのか、吃音の上赤面対人恐怖症で気持ちを言葉で伝えることが不得意です。性格はおどおどしたところがあります。ボクシングでもその性格が出ますが、一発が重く相手に与えるダメージが大きいことが高く評価されています。
ヤン・イクチュンは韓国出身の俳優です。2009年長編映画デビュー作『息もできない』で、監督・製作・脚本・主演・編集を自ら手がけ一躍国際的な注目を集めます。日本ではこの作品で、第10回東京フィルメックスで史上初の最優秀作品賞・観客賞のダブル受賞を果たすほど、高い評価を得ています。日本作品でも数々の作品に出演し、西川美和監督作『夢売るふたり』や、宮藤官九郎監督作『中学生円山』などにも出演しています。
映画『あゝ、荒野・後編』キャスト:曽根芳子役/木下あかり
芳子は福島県出身で、母親は売春をして生計を立てていました。震災が起き、母と避難場所で暮らしていましたが、やがて大人になり故郷を離れ、ひとり東京・新宿で、必死に生きようともがいています。彼女はラーメン屋で働きながら、母親同様売春と置き引きを繰り返していました。
たまたま喫茶店で出逢った新次と意気投合し、ホテルで一夜を明かしますが、新次の所持金を盗むためでした。後日働いているラーメン屋に偶然新次が来店し、その後新次と付き合うことになります。
出典: https://eiga.com
木下あかりは熊本出身で、福岡で演技を学んでいる頃にスカウトされ、TVドラマ『スイッチガール!!』で女優デビューしました。2012年、短編映画『ヤギ、おまえのせいだ』で初主演を務め、以降オムニバス映画『ヴァージン』や、第8回田辺・弁慶映画祭のグランプリ等を受賞した短編映画『ひとまずすすめ』、NHK連続テレビ小説『花子とアン』などに出演するなど、今後の活躍に期待がかかる女優です。
映画『あゝ、荒野・後編』キャスト:堀口、片目役/ユースケ・サンタマリア
ボクシングで片目を失い、ホストをやりながら今は落ちぶれたジム「海洋拳闘クラブ」を任されている堀口は、会員募集のビラ配りをしてる最中に偶然出逢った新次と建二にボクシングをやらないかと誘います。行き場所の無い二人をジムに住まわせ、住み込みで特訓を行う二人のトレーナーとして温かく見守り、二人の才能を見抜きます。お店で働く曽根芳子の母に魅力を感じ、彼女と恋仲になります。
ユースケ・サンタマリアはラテンロックバンド「BINGO BONGO」のボーカル&司会としてデビューし、バンド解散後は大ヒットドラマ『踊る大捜査線』に出演し、一躍有名になります。同シリーズのスピンオフ映画『交渉人 真下正義』で主演を務め、日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞しました。その後も数多くの話題作に出演し、この映画『あゝ、荒野』でブルーリボン賞助演男優賞を受賞しています。
映画『あゝ、荒野・後編』キャスト:山田裕二役/山田裕貴
新次が復讐を心に誓った相手であり、元々は新次と振り込め詐欺を行っていた仲間でした。新次とその兄貴分の劉輝を裏切り暴力事件を起こし、その後は新次と関係を断ち、ボクシングの世界で実力を発揮していました。
ジムにいきなり乗り込んできた新次をパンチ一発で返り討ちにし、それがきっかけで新次をボクシングの世界に引き込みます。実は新次の知らないところで劉輝とはすでに和解しており、それが新次をさらに刺激しています。新次とはまた真逆な性格をしています。
山田裕貴は特撮ヒーロードラマ『海賊戦隊ゴーカイジャー』のゴーカイブルー/ジョー・ギブケン役で俳優デビューし、その後数多くのドラマや映画に出演します。2017年には、映画12本、TVドラマ5本に出演し今最も旬な俳優の1人と言われています。「EXILE TRIBE」の総合エンタテインメントプロジェクト「HiGH&LOW」シリーズでは、主要キャラクターの村山良樹を演じており、話題となりました。
映画『あゝ、荒野・後編』キャスト:西口恵子役/今野杏南
近親者を自殺で亡くした学生たちで結成された「自殺防止サークル」のメンバーで、メンバーの1人との間に子どもを身ごもります。しかし、働いてる書店で破水してしまい、その子どもを流産してしまいます。その時に助けてもらった建二とその後繋がり、彼に恋心を抱きホテルで一夜を共にしようと誘います。
今野杏南はグラビアアイドルとして数々の雑誌で表紙を飾るなど人気を集めます。2013年にはTVドラマ『みんな!エスパーだよ!』や『フレネミー どぶねずみの街』などに出演し、2014年には官能小説『撮られたい』を出版したほか、武井咲主演の『クローバー』で映画に初出演しました。今作では女優としては初めての濡れ場にも挑んでいます。
あゝ、荒野・後編のあらすじをネタバレ解説!
続いては映画『あゝ、荒野・後編』のあらすじをネタバレ込みでご紹介します。新次と建二はこれからどういう道を歩んでいくのか、二人の拳の行方はどうなるのか、最後まで目が離せません。あらすじにネタバレ内容を含みますので、未視聴の方やネタバレを気にする方はご注意ください。
映画『あゝ、荒野・後編』のあらすじは2022年から始まります。新次と建二はボクシングのプロデビュー戦を終えて、毎日トレーニングに励みます。宿敵である裕二との因縁の対戦に闘志を燃やす新次。新次に少しでも近づきたいと思い懸命に追いつこうとする建二。二人は切磋琢磨し腕を磨いていきます。どれだけ相手を憎めるかを考える新次と、優しすぎる故に相手を憎めない建二は、次第に距離が離れていきます。
そしていよいよ新次vs裕二の因縁の対決が始まります。新次は倒すというよりかは殺すつもりで試合に臨みます。この試合のために今まで苦しい特訓を積み重ねてきたので、ここで全力を出し尽くすつもりでした。殴っては殴られ、殴られては殴りの繰り返しで、新次と裕二は壮絶な闘いを繰り広げました。新次は憎しみを拳に込め、死ぬまで殴ってやると思うほどでした。
3Rから4Rの中盤以降は壮絶な打ち合いになり、お互いの意地同士がぶつかり合う展開となりました。ボロボロになりながらも、結果は8Rまでのフルラウンド判定で2-0で新次の勝ちで試合は終わりました。憎き相手に勝利をしたにもかかわらず、新次の心は満たされておりませんでした。そして建二は、近づきたいと願っていた新次の側を離れ、新次と拳を交えて繋がりたいと願い始めます。
離れる決心をした建二は、ジムからの立ち退きを狙っているジムの家主にその才能を認められ、大手ジムに移籍し試合を重ね、次第に頭角を現していきます。また偶然立ち寄った書店で、建二は仕事中に流産した書店員を助けて病院に付き添いましたが、残念ながら女性は助りましたが胎児は死んでしまいます。何か共通点を感じた二人は、やがて心を通わせて行きますが、建二は新次と拳で繋がることを強く願うのです。
あゝ、荒野・後編の結末をネタバレ解説!
映画『あゝ、荒野・後編』も、いよいよ物語のラストスパートです。新次と建二の闘いは避けては通れぬ道となってしまいました。彼らの闘いのあらすじと結末をネタバレを含めてご紹介します。未鑑賞の方や、ネタバレを気にする方はご注意ください。
憎き裕二を倒したことでも心が満たされず、そして兄弟のように慕っていた建二もジムにいなくなり、新次は虚無感に包まれます。そんな中でも唯一の存在が曽根芳子でした。今までの人生で一番欠けていた「愛」と持つことができたたった一人の存在なのでした。
虚無感から脱し、建二との対戦を決意した新次は、また特訓の日々に戻ります。だらけてしまった体を元に戻し、鈍った感を取り戻すために、堀口と汗を流す日々を過ごし、対戦に臨むのです。
そして新次と建二の宿命の対決もついに開催されることとなりました。愛を知らず、孤独に生きてきた二人は、ボクシングを通して繋がり、その繋がりを確かめるために拳を交わします。その会場にはもちろん新次の彼女である曽根芳子の他に、新次を幼少期に置き去りにした母の姿もあったのです。
そして会場にはもう一人いました。建二を厳しく、高圧的に育てた父親の姿もあったのです。彼は病によって死が近づいており、最後に一目でも息子の戦う姿を目にしたかったのです。新次と建二と繋がる人たちが見守る中、二人はお互いのみを捉え、試合に臨むのです。
新次と建二の試合がついに始まりました。新次と繋がりたいと思う建二にひたすらに応えようと、必死に顔やボディに打ち込むと、それに耐えながらもどこか嬉しそうにする建二の姿は、二人だけの独特な世界を生んでいるようでした。そして突然建二が一方的にパンチを打たれはじめ、次第に一方的な試合になってしまうのです。
新次と建二の壮絶な打ち合いは終わり、この試合で残念ながら命を落としてしまう者が出てしまいます。それは建二なのか、建二の父が病でついに亡くなってしまったのかは定かではありません。孤独同士が、拳を交えることで初めて孤独感から解放されたようでした。
あゝ、荒野・後編の感想をネタバレ紹介!
映画『あゝ、荒野・後編』を見た人はどのような感想を抱いているのでしょうか?twitterなどからネタバレを含めた感想をご紹介します。感想を見て気になった方は是非ご鑑賞ください。
ストーリーに感動したという感想が集まってます。
映画『あゝ、荒野』後編。いやあ、映画館でハンカチが必要なほど泣いたのは久しぶりである。前編を観て覚悟してたはずなのに、その覚悟を超えて来た感じ。自分としてはかなりショッキングなラストのはずなのに、どこかすんなり納得してる自分もいるのが不思議なんだよなあ。
— キホーテくん (@dqjote) December 3, 2017
前編に引き続き、男臭くて暑苦しいですが、その分重厚感があって観ている観客も熱くなれます。「泣けた」、「胸が熱くなった」、「二人の友情が素敵だった」という感想が多く寄せられていました。特にボクシングのシーンはリアルさがありますので、このシーンが印象的だったという感想も多かったです。
出演者の演技が絶賛されています。
『あゝ、荒野』観終えた〜
— @ 理 沙 (@risakko_o) October 11, 2018
ぴゅあっぴゅあじゃないけど大人な青春で、羨ましくて、新次と健二の二人をずっとみていたくて、完全版だから長かったけど苦じゃなかった。
ヤン・イクチュンさんが良い空気感作り出しててすき。
あとボクシングシーンと濡れ場での菅田くんの美しさが凄い。
この作品の感想の中では菅田将暉ファンからの感想が非常に多く寄せられていました。彼はこの作品で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞していますし、もう1人の主人公を演じたヤン・イクチュンも自身の監督・主演作で高い評価を受けています。各出演者の高い演技力が、この作品の評価をより高めたという感想も非常に多かったです。
主題歌も映画にマッチしてました。
#寺山修司 原作の映画 #あゝ荒野 公開から数日ですが非常に評価が高いようです。最後に映画の余韻をグッと心に焼き付けてくれる #BRAHMAN 担当の主題歌「今夜」も好評価! という事で、寺山修司の言葉をご紹介したいと思います。https://t.co/jA4SkcMxIl pic.twitter.com/TdOWE1ogO9
— NO MUSIC, NO LIFE. (@TOWER_NMNL) October 9, 2017
作品の評価も高いながら、主題歌を歌うBRAHMAN の「今夜」はこの作品の世界観にピッタリな曲だと紹介されています。映画のエンディングにこの曲が流れると、新宿の街をさすらう新次と建二の姿が想像できます。
あゝ、荒野・後編を是非ご覧あれ!
出典: https://eiga.com
映画『あゝ、荒野・後編』のあらすじやネタバレ・感想を含めたあらすじ、結末はいかがでしたか?嵐の松本潤が主演で舞台化もされているこの作品は評価されており、多くの人の胸を熱くさせています。また原作者の寺山修司は「言葉の錬金術師」と呼ばれるほど才能のある人でもあります。この記事を読んで興味を持った方は、是非映画や原作をご鑑賞ください。