2018年10月09日公開
2018年10月09日更新
恋人たちの魅力をネタバレ紹介!映画のあらすじと感想は?【橋口亮輔監督】
『ぐるりのこと。』『ハッシュ!』を手がけた橋口亮輔監督の7年ぶりのオリジナル長編映画の最新作『恋人たち』。不条理を描いたこの作品。どんなことがあっても、それでも人は生き続けるをテーマに描かれた人間ドラマ。主演は「ゼンタイ」の篠原篤、成嶋瞳子、『ghostdanceゴースト・ダンス』の池田良。『恋人たち』の魅力をあらすじとネタバレ、感想を交えて紹介していきます。
目次
恋人たちの魅力とは?映画あらすじや感想もネタバレ紹介!
3年前の通り魔殺人事件で亡くした妻のことを思い、犯人に極刑を下すことだけを考えている橋梁点検士のアツシ。健康保険料も払えないほど、家計も苦しく、弁護士にも見捨てられ、精神的にも追い詰められたアツシは薬物に手を出そうとしますが失敗します。生きる希望を失い、命を絶とうと考えますが未遂で終わり、何もできない自分に無力さを覚えるのでした。
夫と姑の3人暮らしの瞳子はお弁当屋に勤め、毎日の家事をこなす平凡な毎日を送っていました。日課は皇室参詣で撮影された友人とのビデオをみること。皇室に憧れ、いつか自分も王子様が迎えに来てくれないかと夢を見て、趣味である小説にしたためます。そんな瞳子の前に一人の男が現れ、深い関係になり、彼の夢に誘われ、最初は戸惑うものの、彼についていことを決意します。
弁護士の四ノ宮は同性愛者で学生の頃から好きだった彼とは友人関係を続けています。ある時、彼の妻に四ノ宮が息子を変な目で見ていると疑われ、誤解を解こうとするのですが、彼からは距離を置かれ、その時にいた恋人にも別れを告げられ、四ノ宮は愛を失います。
一見、共通点のない3人ですが、見えないところで繋がっていて、それぞれの人間模様が詳細に描かれ、映画『恋人たち』の魅力の一つとなっています。映画のあらすじ、ネタバレ感想を交えて、さらに映画『恋人たち』の魅力に迫ります!
恋人たちとは?
『恋人たち』は1995年に橋口亮輔脚本・監督による長編映画ヒューマンドラマです。脚本の執筆には約8ヶ月費やされ、『恋人たち』の主演の3名、篠原篤、成嶋瞳子、池田良は橋口亮輔監督主催のワークショップで選出されました。他の出演者に安藤玉恵、 黒田大輔、山中崇、 内田慈、山中聡、リリー・フランキー、木野花、光石研らがいます。
橋口亮輔監督プロフィール
高校生の頃から自主制作で映画を撮り始め、大阪芸術大学を経て1985年に映画監督・脚本家として活動を開始。『ヒュルル…1985』(1985年)をはじめ、多数の短編・長編映画を手がけ、初期の頃には自身も映画に出演するなど幅広い活躍をしています。受賞作品は『夕辺の秘密』(1989年)『渚のシンドバッド』(1995年)『ハッシュ!』(2001年)『ぐるりのこと。』(2008年)『恋人たち』(2015年)があります。
篠原篤プロフィール
24歳の頃、九州から上京し、2015年、橋口亮輔監督主催のワークショップで監督の目に止まり、映画『恋人たち』の主演に抜擢されます。作品は第89回キネマ旬報ベスト・テンをはじめ多くの賞を受賞し、篠原自身も多くの新人賞を受賞します。それから現在も映画やドラマなどで活躍の場を広げています。他の出演作品に『ゼンタイ』(2013年、橋口亮輔監督)『彼女の人生は間違いじゃない』(2017年、廣木隆一監督)等が上げられます。
成嶋瞳子プロフィール
山口県出身の女優。橋口亮輔監督作品『ゼンタイ』(2013)にもレジ店員として出演しています。橋口監督主催のワークショップで『恋人たち』の主演の高橋瞳子に抜擢されました。第30回高崎映画祭・優秀新進俳優賞を受賞しています。
池田良プロフィール
慶應大学法学部法律学科卒業後、外資系企業にてコンサルタントを経て役者に転進します。2010年から2年間、演技を学びに渡米。吉田光希監督作品『三つの光』では主演を演じ、ベルリン国際映画祭に正式出品されました。『恋人たち』では第30回高崎映画祭・優秀新進俳優賞を受賞。舞台、CM、映画、ドラマと幅広く活躍され、『相棒』『99.9』などにも出演し、映画監督も絶賛するほどの実力派俳優といわれています。
恋人たちの映画あらすじをネタバレ紹介!
恋人たちの映画の登場人物
『恋人たち』の映画のあらすじを人物紹介と共にネタバレ紹介します。どの登場人物も人間味のある個性豊かな人物たちばかりです。中にはちょっと笑ってしまいたくなるような人物もいるかも?『恋人たち』に登場する人物がどんな人物たちなのか、ネタバレしていきます。
篠塚アツシ (篠原篤)
ハンマーでコンクリートをたたき、音の響きで破損場所を探し当てます。機械よりも正確な優れた聴力を持つ橋梁点検士。3年前に通り魔殺人事件で愛妻を亡くし、健康保険料も支払えないほど貧しい生活を送っています。犯人を極刑にしようと弁護士を訪ね歩きますが、力になってくれる者はいません。妻がいなくなったことで、世の中に絶望しか感じていないアツシは、ついに堕落の道を歩もうとするのです。
高橋瞳子 (成嶋瞳子)
普段は弁当屋に勤め、日々率なく家事をこなし、不平不満は言わないものの姑や口数少ない夫との平凡な生活に飽き飽きしていました。皇室の雅子妃に憧れ、皇居参観のビデオをみるのが日課。趣味で恋愛小説を書き、いつか王子様が来て自分をマンネリ化した生活から救ってくれると少女のような夢をみています。一緒になろうといってくれる肉屋の弘も現れますが、結局はダメ男。今の夫が一番いいと気づくのでした。
四ノ宮 (池田良)
同性愛者で弁護士の四ノ宮は、夫を結婚詐欺で訴えようとする女子アナの相談に乗った帰り道、何者かに背中を押され、階段から落ち、足を骨折し入院。学生時から思いを寄せていた友人の聡が妻子を連れて見舞いに訪れたことに歓喜します。しかし、四ノ宮が向ける息子への視線に聡の妻が不審がり、聡は四ノ宮から距離を置きます。入院中、見舞いに訪れた恋人も四ノ宮が聡に好意があると気づき、別れを告げ、四ノ宮は愛を失うのでした。
藤田弘 (光石研)
瞳子の職場の取引先の肉屋、弘は瞳子に、晴美が経営するスナックで美女水という高価な水を売りつけ、後日、美女水を持った弘は瞳子の家を訪れます。2人は関係を持ち、弘は親しくなった瞳子を養鶏場へ連れて行き、自分の夢は養鶏場で稼ぐことと語り、一緒にやろう、起業のために出資してくれと頼みます。王子様は弘だと感じた瞳子は彼に従う決意をしますが、彼を訪ねてみるとそこにいたのは薬漬けでぼろぼろになった弘の姿でした。
吉田晴美 (安藤玉恵)
スナックを経営している晴美は自称、準ミスと名乗り、美女水という水道水を入れただけのものを美肌効果があると偽って売りつける詐欺師でした。同棲していた薬漬けでぼろぼろの弘を置いて家を出ます。金儲けばかり考えていた晴美はある時の瞳子との会話で「遠い親戚が宮内庁で働いているといったら周りの目が変わった」という話をもとに自らを華族と名乗り、結婚披露宴を開き、友人知人からご祝儀を騙し取った罪で逮捕されます。
敬子 (木野花)
瞳子の姑。趣味はゲートボール。瞳子には余り関心がない様子が伺えます。再利用できるようにサランラップをタイル壁に貼り、少しでも節約しようとしています。粘着性のないサランラップでおかずに蓋をしている姿が印象的です。瞳子が新しいサランラップを使おうとするものなら「もったいない」と妨害します。
黒田大輔 (黒田大輔)
無気力状態で無断欠勤を続けているアツシを心配した職場の先輩、黒田は、アツシから頼まれていた給料の前借分と差し入れのお弁当を持ってアツシの家を訪れます。なにかとアツシを心配し寄り添う黒田。アツシが「犯人をこの手で殺してやりたい!」と息巻くのを優しくなだめ、「人を殺したら、こうして会話することもできない」と語りかけます。
聡 (山中聡)
不動産業者の聡は、学生時代からの付き合いの弁護士・四ノ宮に、新たに立ち上げるための弁護士事務所の物件を紹介していました。聡は四ノ宮が同性愛者だと知っていましたが、自分の息子にいたずらされたと妻から聞かされると、「子供を守るのは親だから。」と誤解を解こうとする四ノ宮の話を一切聞こうとせず、四ノ宮と距離を置くようになります。
女子アナ (内田慈)
結婚後、ハネムーンで夫の秘密がわかり、「詐欺よ、離婚よ、成田離婚よ!」と弁護士・四ノ宮の前で訴える女子アナ。四ノ宮が結婚詐欺は相手が相当の利益を得ないことには成立しないと伝えるが、「私という利益を得た、だって私は女子アナなのよ!」と豪語します。絶対に離婚すると言っていた女子アナでしたが、再び四ノ宮の前に現れた時には「離れてみて、かけがえのない人だと分かった」と離婚はしないと涙ぐみながら語ります。
溝口 (山中崇)
役所の職員の溝口は、健康保険料を滞納しているアツシに健康保険証を交付してくれと言われ、次回の未納分の支払時期を約束できなければ渡せないと伝えます。生活が苦しくて今は1万円しか払えない、次回は約束できないというアツシ。溝口はアツシに収入、職場などを聞きますが「通り魔事件で妻を殺された気持ちがわかるか!」と逆切れされ、仕方なく、1週間分の健康保険証を渡すのでした。
アツシの先輩 (リリー・フランキー)
アツシに弁護士・四ノ宮を紹介した人物。通り魔事件のことでアツシに弁護士を紹介しますが、アツシに取り合ってもらえなかったと聞かされると、ばつが悪かったのか、「俺はいつもアツシを応援してるんだから」「いつまでも言ってないで人生設計しなくちゃだめだよ」など説教やリタイア後の話題で話を反らし、アツシを苛立たせます。
恋人たちの映画の魅力とは?
ドキュメンタリーのようなリアル演技!(あらすじ&ネタバレ感想)
『恋人たち』の冒頭はまるでドキュメンタリーのようなリアルにインタビューに応える主人公・アツシのシーンから始まります。3年前に通り魔で妻を亡くしたアツシが妻との一番幸せだった頃の話を確かにそこに幸せがあったと確認するかのように語っている姿が、お話の中の人物ではなく、本当にそこに存在している一人の人間の実体験のように聞こえ、一気に話の中に引き込まれます。
殺人犯は捕まりましたが、自己判断能力が無かったと判決がくだり、罰は受けずにいる犯人に憤りを隠せないアツシ。自ら手を下したいけれども、下せない。妻がいなくなったことでやる気がおきず、健康保険料も払えないほどお金もない、何もできない自分にせめてできることは無いか。アツシはもう一度裁判をすることを決め、5人の弁護士の内、一人だけ裁判ができるかもしれないといった四ノ宮を訪ねます。
しかし、四ノ宮は以前とは打って変わり、これ以上続けても自分のキャリアに傷がつくだけと裁判を断ります。アツシは最後の望みの四ノ宮に何度も懇願しますが、断られ、生きていくことに絶望します。薬をビールで飲んでみたり、薬物にも手を出そうとしますが、騙されカルキを買わされたり、何をやってもうまくいきません。
アツシは何もかも嫌になって自暴自棄になり、剃刀で手首を切ろうと何度も試しますが、出来ず、妻の位牌の前で「お前が死んでから俺は何一つ出来んようになったわ」と泣き崩れるのです。言葉に詰まりながら位牌に語りかけるシーンは見る者の涙を誘います。
記憶に残る名シーンの多さ!(あらすじ&ネタバレ感想)
瞳子は皇室の雅子妃に憧れ、テレビを見てニヤリとにしてしまうことからも憧れ度が伺えます。結婚後も、王子様が自分を迎えに来てくれると少女のような純粋な心で、趣味の少女漫画のような恋愛小説を書き、その小説にも姫と出てくるので皇室にかなりの夢をもっているのでしょう。その一方で家事はしっかりこなし、姑と同居で多少の不満はあるものの、逆らうことなく、よく動き働くというのが印象的でした。
いつか王子様が迎えに来て私を連れ出してくれる、そんな夢を抱く瞳子の前に職場の取引先の肉屋の弘が現れ、親しい間柄になり、ある時、弘に養鶏場に連れていかれ、「俺と一緒に養鶏場をやらないか、ただ頭金が必要なんだいくら出せる?」と言われます。この言葉から瞳子を騙そうとしている様子が感じられますが、瞳子はマンネリ化した生活から抜け出したい気持ちがあったので戸惑いながらも満更ではない様子です。
ある時、お風呂掃除をしていて誤ってシャワーを捻り、水を被ってしまい、寝室で着替えていたところ、鏡に映った自分のなんとも野暮ったい姿に愕然とします。鏡を見ているときの瞳子の表情が覇気がなく、このままじゃだめだとそう語っているようでした。瞳子は弘について行くことを決意し、身仕度を整えて彼のもとに向かいます。
マンションに行くと注射器で覚せい剤を使用しようとしている薬物依存の見るも無残な弘がいました。弘と同棲していたスナック経営の晴美に「この人こうなったらもう駄目だから。養鶏場連れていかれたでしょ?あれ全部嘘だから。」そう言い残しされ、瞳子は自分が置かれている状況に思考が停止状態。弘に自分の夢はね、と語ろうとする姿が、瞳子の中で夢がガタガタと崩れさっていくのがわかり、印象的な場面です。
弁護士の四ノ宮は、学生の頃から好きだった聡のことが今でも好きで、入院中の四ノ宮を見舞いに来た恋人は、四ノ宮の聡に送る視線からそれに気づき、耐えられないと別れを告げます。四ノ宮が別れを告げられても、さらりと「いいわよ」というところから、そこまで今の恋人に執着、未練がなかったということが分かります。
聡は妻子を連れて四ノ宮の見舞いに来るのですが、その時の四ノ宮の息子を見る目がおかしいとの妻の訴えから、聡は四ノ宮から距離を置くようになります。聡の登場シーンから四ノ宮に対してよそよそしい感じがあり、病院の一見だけではなかったのでは?と想像力が働きます。四ノ宮は、聡の息子が弁護士に興味があるというので「今度、事務所に遊びに来る?」と親切心で普通に会話しているだけのつもりでした。
独立をするための弁護士事務所を探すため、不動産業の聡に物件を依頼します。その内覧中、聡のよそよそしい感じや、聡の息子の話をしようとするとはぐらすのに違和感を覚えた四ノ宮でした。会話を続ける中、四ノ宮は、聡が「四ノ宮は自分の息子にいたずらをしている」と誤解していることに気づきます。何度、誤解だといっても聡は聞く耳を持ちません。
四ノ宮は後日、改めて聡に誤解だと説明しようとしますが、「子供を守るのは親だから。」と一方的に切られてしまい、まったく相手にされませんでした。携帯を耳に当てたまま、繋がっていない電話に四ノ宮はひとり、語り掛けます。
「私は学生の頃からあなたが好きだった、あなたは知らないけれど。同性愛者だっていいって言ったじゃない。旅行だって普通にしてたじゃない。今までのことはなんだったの?」聡との関係が恋人どころか、友人としてさえもいられなくなってしまい、今まで築いてきた関係が、こんなにあっさり終わってしまうものなのか?四ノ宮の言葉にはできない、大切な人がいなくなる悲しさが伝わってきます。
恋人たちの映画を観た人の感想を紹介!
好評な感想を紹介!(あらすじ&ネタバレ)
時々思い出す映画 #恋人たち
— シエンタ (@1300dash) February 24, 2018
とても評判が良くてわざわざ観に行ったときは普通だった。映画館に忘れた手袋を取りに行きついでに2度目の鑑賞。今度はしっかり体に染み渡ってきて帰りの新宿の雑踏が違って見えた。ラストシーンが凄く好き。#1日1本オススメ映画 #映画の思い出 pic.twitter.com/ZTP66S35mW
映画『恋人たち』は一度だけでは分からない、二度、三度みることで、あのシーンはこういうことだったのか、とより話の理解が深まり気づくことが多そうです。主人公たちが「実は今が一番いいのかな」と微かな希望を見出すようなラストが印象的です。他にも感想があがっています。
配役もお芝居も演出も完璧でノンストレス。言い出したらキリないけど例えばこの伝票を切るシーン。ボールペンを差し出す業者を遮って自らサインする店主や控えをめくるときに指を舐める業者の仕草のひとつひとつ…なんたる淀みのなさ。少なく見積もってあと50回は観る。笑#恋人たち #光石研 pic.twitter.com/Goviga3jRH
— 光る石を研ぐ (@Swagsuke_Japan) October 14, 2017
『恋人たち』のあるワンシーンです。このシーンは瞳子が注文したお肉が間違えて配達されてしまうシーンで、弘のぼやき方も見事にリアルですが、瞳子が女将さんにちゃんと頼んだのかと詰め寄られ、もじもじしながら応える様が仕事が出来ない人というのを窺わせ、リアルさを感じさせます。『恋人たち』の数ある名シーンの中の1つです。
不評な感想を紹介!(あらすじ&ネタバレ)
#恋人たち #橋口亮輔監督
— たつぼうα (@junklandZ) June 7, 2018
2015年キネ旬一位。だがはっきり言って琴線に触れない。見たいという衝動が起きないのである。でも世間では賞を取りまくってる映画。自分がアホなのかと思っていまうが、最後まで楽しくも、面白くも、ドキドキもなかった。もう一回見たいと思わないので多分見ることはない pic.twitter.com/uz7ZeHexKT
映画『恋人たち』をご覧になった方で、最後まで楽しめなかったという感想も上がっているようです。人間臭さが巧妙に描かれており、好き嫌いの好みが分かれやすい内容なのかもしれません。
恋人たちの魅力や映画あらすじについてまとめ!
ここまで、映画『恋人たち』のあらすじとネタバレ、感想を含め、ご紹介をしてきました。『恋人たち』の素晴らしいところは人間の心理が細かく描かれ、一つ一つに意味があり、また丁寧に演じられることで名シーンが生まれ、ドキュメンタリーを見ていると錯覚するような自然に伝わってくるリアルな芝居が魅力の一つなのではないでしょうか?
『恋人たち』にでてくる恋人たちの形は、アツシのように死別してしまったり、瞳子のように口数少ない夫と平凡な生活を送っていたり、同性愛者の四ノ宮のようにただ好きな人と一緒にいたいと考えていたり様々です。他にも恋人たちのシーンでは浮気が発覚し大喧嘩になる夫婦、何をするにしても常に一緒にくっついて離れないカップルなどが出てきます。普通じゃないと感じる恋人たちもいるかもしれませんが、それもこの映画を楽しむスパイスとなっています。
『恋人たち』に登場してくる人物は自分の身の回りにいそうな人たちばかりで、不条理が描かれた群像劇の中に、橋口亮輔監督が「人間の感情をちゃんと描きたい。」とコメントされているように、人の感情が丁寧に描かれ、どこか笑えてくる、人間らしさを感じさせてくれる映画です。映画『恋人たち』、ぜひ一度、ご覧になってみてはいかがでしょうか?