2018年09月04日公開
2018年09月04日更新
レクイエム・フォー・ドリームのネタバレあらすじと感想は?最強の鬱映画?
『レクイエム・フォー・ドリーム』(Requiem for a Dream)は、2000年に制作されたアメリカ映画です。ごく普通の人々の人生が、ドラッグ依存により崩壊していく過程を描いた衝撃作です。『レクイエム・フォー・ドリーム』の原作はヒューバート・セルビー・ジュニアの小説『夢へのレクイエム』(Requiem for a Dream)で、彼自身が映画の脚本も手がけました。
目次
レクイエム・フォー・ドリームは鬱映画?あらすじや感想をネタバレ!
2000年の映画『レクイエム・フォー・ドリーム』。ドラッグ中毒の罠に陥る人たちを描いた問題作で、イギリスの映画雑誌『エンパイア』の「落ち込む陰鬱な映画30作」で第1位に選ばれるなど世界に衝撃を与えました。”最強の鬱映画”と評される『レクイエム・フォー・ドリーム』、実際はどうなのでしょうか?初めて見る方だけでなく、以前見たことのある方にもなるあらすじ(ネタバレ)から感想までまとめてご紹介します。
レクイエム・フォー・ドリームとは?
『レクイエム・フォー・ドリーム』(Requiem for a Dream)は、2000年に公開されたアメリカ映画です。ごく普通の人々の人生が、ドラッグ中毒により崩壊していく過程を描いた衝撃作です。『レクイエム・フォー・ドリーム』の原作はヒューバート・セルビー・ジュニアの同名小説で、彼自身が脚本も手がけています。『レスラー』や『ブラックスワン』で有名なダーレン・アロノフスキー監督がメガホンを取りました。
登場人物(キャスト)
『レクイエム・フォー・ドリーム』の登場人物(キャスト)をご紹介します。未亡人でダイエットのため薬物中毒に陥り、鬱と幻覚に苦しむサラをエレン・バースティンが、彼女の息子で薬物中毒になった上、薬物販売にも手を染めるハリーをジャレッド・レトが演じています。
『レクイエム・フォー・ドリーム』の助演陣をご紹介します。ハリーの恋人でデザイナーのマリオンをジェニファー・コネリーが、ハリーの親友で共に薬物密売に始め、警察に逮捕されるタイロンをマーロン・ウェイアンズが演じています。
受賞
公開当時、世界に衝撃を与えた米映画『レクイエム・フォー・ドリーム』。ここで、『レクイエム・フォー・ドリーム』の受賞・ノミネートをご紹介します。主演のエレン・バースティンがインディペンデント・スピリット賞主演女優賞受賞、アカデミー主演女優賞にノミネートされた他、ジェニファー・コネリーがインディペンデント・スピリット賞助演女優賞にノミネートされました。
レクイエム・フォー・ドリームのあらすじをネタバレ解説!
それでは、さっそく気になる映画『レクイエム・フォー・ドリーム』のあらすじを、登場人物の行状を含めてたどって参りましょう。衝撃的なストーリー展開が肝ともいえる『レクイエム・フォー・ドリーム』。この映画のネタバレがありますので初見の方は要注意です。
未亡人サラの孤独な生活
『レクイエム・フォー・ドリーム』のヒロイン、サラ。最愛の夫を亡くし、テレビを見ることにしか興味を示さなくなった孤独な未亡人。ある日、視聴者参加番組で当選しテレビ出演の機会を得ます。思い出のドレスでの出演を夢見ますが、運動不足で太った身体では着ることができません。そこでダイエットを決意、専門医を訪れダイエットピルを処方してもらいます。
(ネタバレのあらすじ注意)ところが、処方された薬がなんと覚せい剤だったのです。やがて薬物中毒に陥ったサラは、半ば強制的に精神病院に入院させられます。電気ショックなど過酷な治療を受け、髪は真っ白、廃人同様になってしまいます。
そんな状況でも愛する息子とのテレビ共演を夢見るけなげなサラ。ドラッグ摂取の自覚もないままに薬漬けにされてしまうサラ。最後は床に臥したままの生活を送ることになってしまうサラ。とても悲しいです。これだけでも『レクイエム・フォー・ドリーム』の鬱度・”救われない度”が半端ではないことがおわかりいただけるのではないでしょうか?
サラのひとり息子、優しかったハリーは…
『レクイエム・フォー・ドリーム』ヒロイン、サラの一人息子ハリー。本来は母親を気づかう優しい性格のハリーでしたが、そんな彼を変えてしまったのがドラッグでした。
ある日些細なことから母サラと口論になります。怒ったハリーは、母親の唯一の楽しみ、テレビを売り払いドラッグを手に入れます。さらに友人タイロンを呼んでドラッグを吸引、ハイになっては悦楽に溺れる日々を過ごします。
(ネタバレのあらすじ注意)ハリーには、デザイナーをしているマリオンという恋人がいました。マリオンのため洋品店を開こうと、出店資金を稼ぐため親友タイロンとドラッグ密売に手を染めていきます。これが転落人生の始まりとなるのでした。
ハリーは母サラの家を訪れます。母とのケンカを謝罪したハリーは、母サラに「幸せになって」と語ります。その後、ハリーは、母サラのもとを訪れケンカを謝罪しえ上で、母に「幸せになって」と語ります。
ハリーはサラの様子がおかしいことに気づき、ダイエットピルを使用していると言うサラに、危険だからやめるように忠告します。自分はドラックにはまっていても母の健康を心配するハリー。しかし、サラはその忠告を聞こうとしません。この一連の流れから結末が予想できるだけに、見ているほうは歯がゆくてなりません。
やがて、ハリーもマリオンもそしてタイロンもドラッグ中毒になってしまいます。そして、ドラックが切れるとマリオンと口論し家をでてしまうハリー。最後には、ドラッグの打ちすぎで腕が壊死し意識を失います。病院のベッドで目を覚ましたハリーは、自分の腕が切断されているのに気づきます。『レクイエム・フォー・ドリーム』の中でもひときわ悲惨なシーンです。
ヘロインの密売
『レクイエム・フォー・ドリーム』のトピックスのひとつがヘロインの密売。高校卒業後も定職に就かず、不規則な生活を送るハリー。はじめは、興味本位からヘロインを吸引したハリーでしたが、やがて親友タイロンとともにヘロインに溺れ、薬物中毒の泥沼にはまっていきます。
出典: https://note.mu
(ネタバレあらすじ注意)ハリーとタイロンは、大金目当てに(マリオンのための出店資金稼ぎが発端)薬物の密売に手を染めます。最初こそ順調であったこの”商売”も、イタリアン・マフィアの台頭により陰りが見え始めます。イタリアン・マフィアとの抗争を引き起こし、タイロンが逮捕されてしまいます。その保釈金にあてるため、稼ぎをすべて使ってしまうのでした。『レクイエム・フォー・ドリーム』バッドエンドの始まりです。
ハリーの恋人マリオンの行状
『レクイエム・フォー・ドリーム』を彩る主要人物のひとり、ハリーの恋人で、デザイナーをしているマリオン。いずれ自分の洋品店を開くという夢をいだいた魅力的な女性です。ところが、この夢が思いもよらぬ結末をもたすことになるのでした。
(ネタバレのあらすじ注意)ハリーとともにヘロインに溺れていくマリオン。ハリーはマリオンの夢をかなえるべくドラッグ密売に手を染めます。ある日、ヘロイン入手をめぐって、マリオンはハリーと口論をしてしまいます。怒ったハリーは、「ヘロインぐらい自分で手に入れろ」と捨て台詞を残してアパートを出て行きます。
最初こそヘロインに抵抗を感じていたマリオンでしたが、薬物中毒の禁断症状には勝てません。みずから薬物を入手するため、体を売ってお金を工面するようになります。ここにも『レクイエム・フォー・ドリーム』に脈々と流れる人の弱さと結末の悲惨さ、といったモティーフを垣間見ることができます。
ハリーを取り巻く皆が薬物中毒に!悲惨な結末
(ネタバレあらすじ)『レクイエム・フォー・ドリーム』主人公サラは、覚せい剤とも知らずダイエットのために処方されたピルを飲み続けます。異様に痩せ身体は衰弱していきます。ついには幻覚を見るようになり、精神病院に強制入院させられます。覚せい剤は心身をボロボロにしていくのでした。責めを負うような悪いことは何もしていないサラ、そんな彼女の辿るあまりにも悲惨な状況が、見る者の心を痛いほどに締めつけるのでした。
ドラッグ服用・密売にかかわった人たちは皆、大変な苦悶の末に絶望の淵へと突き落とされていきます。まわりの人の影響で、あるいは思うようにいかない日常への不満から等々、さまざまな理由で安易に始めてしまうドラッグ。『レクイエム・フォー・ドリーム』では、悲惨な結末を容赦ないアングルでとらえることにより、見ているものの脳裏にドラッグの恐怖を強烈なインパクトで刻み込むのです。
レクイエム・フォー・ドリームは鬱映画?見た人の感想は?
『レクイエム・フォー・ドリーム』は、巷(ちまた)で評されているような単なる「鬱映画」なのでしょうか?監督の経歴やコメント、そして見た人の感想から『レクイエム・フォー・ドリーム』の実像に迫ります。
期待を裏切らないアロノフスキー節!
ダーレン・アノロフスキーはアメリカの映画監督で脚本家。代表作には、この『レクイエム・フォー・ドリーム』のほか、『レスラー』(2008年公開、第65回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞)『ブラック・スワン』(2010年公開、アカデミー監督賞にノミネート)があります。彼は、『レクイエム・フォー・ドリーム』について次のように語っています。
「ハリー、タイロン、マリオンの話は伝統的なヘロインの話だが、それはサラの話の脇に置いた。我々は突然『なんてことだ、ドラッグとはなんだ?』と言う。これと同じモノローグが、薬、タバコでもやめようとする時、または20ポンド痩せられるから食べないようにしようとする時に頭をよぎるというこのアイデアは、私を本当に魅惑した」。
また、『ブラック・スワン』では、バレリーナであるニナの精神が崩壊していく様を描いています。ニナは過酷な練習とプレッシャーから幻覚や妄想に悩まされるようになります。それでも、舞台本番では鬼気迫る演技を披露し、劇場全体に割れんばかりの拍手が響き渡ります。しかし、その直後、ニナはその場に崩れ落ち、最悪で救いようのない結末を迎えます。そうしたアンハッピーな結末は、姉妹編『レスラー』でも同様でした。
見た人のレビュー
つづいて、すでに見た方も気になる映画『レクイエム・フォー・ドリーム』の感想をご紹介します。映画フリークの皆さんは、この作品の本質をついていて「さすが」と感じます。
もう二度とは見たくない良作。違法薬物への依存からひたすら転がり落ちていく救いのない映画。
希望や夢も束の間に消えて、いつしか普通の生活には後戻りできなくなっています。映画見終わった後にこの先の展開も観たいなと思う事は多々あるけど、この映画に限ってはこの先が見たくありません。
ついに観てしまった、、ほんとに救いがないです。死さえ救いと思えるほど救いがないのです。純粋さが苦しい、けど自業自得感があるのでダンサーインザダークほど鬱じゃなかったです。
どうでしょうか?『レクイエム・フォー・ドリーム』を見て、評論家ではない普通の映画ファンがどう感じたのか、その一端がご理解いただけたのではないでしょうか?
もちろん悪い評価もあります。でも、ハッピーエンドで終わらないこの映画に不満を感じながらも、斬新なカメラワーク、人間の弱さ・愚かさをシリアスに描く監督の慧眼(けいがん)に対して共感を覚えざるを得ない、ということが共通した感想のようです。最後の感想の方の『ダンサーインザダーク』との比較が、『レクイエム・フォー・ドリーム』の鬱の度合いや質をはかる尺度としてわかりやすいようです。
レクイエム・フォー・ドリームを是非ご覧あれ!
『レクイエム・フォー・ドリーム』のあらすじから、監督のコメント、そして映画ファンの感想までご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?もし少しでもこの映画に興味をもっていただけたのなら、ぜひご覧になってみてください。
「2度と見たくない」と思う人でも「傑作」であることは認めざるを得ない『レクイエム・フォー・ドリーム』。単なる「鬱映画」に終わらず、見る者に人間の弱さ・愚かさを思い起こさせ、改めて普通の生活の幸せ、それを失った時の恐怖を映像をとおして疑似体験させてくれる心に響く映画だといわれています。