2018年12月07日公開
2018年12月07日更新
あなたには帰る家があるの原作小説を紹介!怖いあらすじやネタバレ結末まとめ
2018年4月から6月まで放映されたTBSドラマ『あなたには帰る家がある』(全11作)。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。このドラマの原作が今回ご紹介する、直木賞作家、山本文緒の同名小説です。倦怠期を迎えたごく普通の夫婦が、夫の軽率な行動をきっかけに夫婦関係は崩壊、とんでもない修羅場へと向かっていく山本ワールド全開のお話です!この原作小説『あなたには帰る家がある』の全体あらすじにネタバレ結末、さらにはドラマとの違いまで詳しくお届けします。この機会にぜひご覧ください!
目次
あなたには帰る家があるの原作小説を徹底調査!
2018年4月からTBSで放送されたのドラマ『あなたには帰る家がある』。その原作小説が今回紹介する山本文緒の同名小説です。身の毛がよだつほど怖い結末が話題となったドラマの原作のあらすじは?そしてドラマとの違いとは?気になる情報を徹底調査しお届けします。
あなたには帰る家があるの原作小説の基本情報や作者を紹介!
ドラマの原作となった小説とは?
原作小説『あなたには帰る家がある』は、直木賞作家・山本文緒(やまもと ふみお)による長編恋愛小説です。1994年に集英社から単行本が刊行された後、1998年には集英社から文庫版が、2013年には角川文庫版が相次いで出版されています。これだけ多数の出版社が発行しているのは、それだけこの小説のストーリーに普遍性があり、読者の心を惹きつける魅力があるからでしょう。
ちなみに、この原作小説『あなたには帰る家がある』は、山本文緒にとって20冊目となる作品です。1994年の初版では連絡手段として「ポケベル」が登場しますが、2013年角川版では「携帯電話」に変わっているのが時代の変化を感じさせて面白いところです。また映像化としては、2003年BSフジで、2018年TBSでそれぞれテレビドラマが制作されています。2017年にはワーサルシアターで舞台上映もされた原作として有名です。
原作者は?
原作小説『あなたには帰る家がある』の作者山本 文緒は、1962年横浜市生まれの女性小説家です。神奈川大学卒業で、大学時代は落語研究会に所属していたといいます。卒業後数年の会社勤めを経て、1987年『プレミアム・プールの日々』でコバルト・ノベル大賞佳作を受賞。少女小説家としてデビューします。その後の1992年『パイナップルの彼方』から少女小説作家から一般小説作家へと転身します。
1999年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年には『プラナリア』で直木賞を受賞しました。2003年40歳で鬱病を発症、治療に専念するため執筆活動を中断します。6年にわたる闘病生活の後、エッセイ『再婚生活』で文壇復帰をはたします。小説にとどまらず、エッセイ、アンソロジー、さらにはオーディオ本まで幅広く手掛け、またいくつかの作品はテレビドラマや映画、アニメ、舞台上演されるなど現代売れっ子作家の1人です。
原作ストーリーを簡単に紹介!
ここで、原作『あなたには帰る家がある』のあらすじを簡単に解説します。主人公真弓は結婚して1年半、1歳になる娘・麗奈と年下の夫・秀明と暮らしています。結婚生活には概ね満足していたものの、結婚退職したことは後悔していました。しだいに仕事の願望が強くなり、保険外交員のパートを始めます。夫、秀明は住宅会社の営業マン。真弓の料理の不味さに辟易していましたが、ケンカになるのを恐れ胸にしまっていました。
真弓が仕事をするようになると、一転、家事を押し付け合って互いに不満がつのっていきます。ある日、新居を探していた茄子田一家が秀明のモデルハウスにやって来ます。秀明は横柄な茄子田家主人、太郎に手を焼きますが、真弓とは正反対の家庭的な妻・綾子に惹かれます。綾子の方も、優しい秀明に心ときめかせます。そんな2人が成り行きで関係を持ってしまうのも時間の問題でした。
ますます仕事にのめり込む真弓でしたが、ある日、秀明の浮気に気づきます。お互い不満を抱えていた2人は大げんかの末、3か月という期限を切りある約束をします。その約束とは、3か月の収入が下回った方が仕事を辞め専業主婦(夫)になるというものでした。一方真弓は、保険の勧誘に訪れた中学校で太郎と知りあいます。秀明の顧客だと気づくと、家の購入よりも保険契約をと勧めるのでした。
真弓は、茄子田家の妻・綾子が秀明の浮気相手であることを秀明の元同僚・森永から知らされます。また、綾子の置手紙によって、夫・太郎も秀明と綾子の関係を知り、秀明に暴力を振るい大怪我をさせてしまいます。秀明は真弓に離婚を求めますが、結末は約束通り秀明が会社を辞めて主夫になり、真弓はフルタイムで働くようになります。そして、真弓と秀明は、これからの生活についてそれぞれに違った思いを馳せるのでした。
あなたには帰る家があるの原作小説のあらすじをネタバレ!
登場人物紹介
本題のネタバレあらすじ解説に入る前に、原作小説『あなたには帰る家がある』の登場人物について簡単にふれておきます。
佐藤秀明は、住宅会社の営業マン。以前は映画配給会社の契約社員として働いていましたが、結婚を機に安定した収入を得るため妻・真弓の父から紹介された住宅会社に転職しました。
妻の真弓は結婚前には商社でOLをしていましたが、結婚退職し今は家庭に入っています。結婚前の仕事はやりがいはあったもののその分責任も大きく、やがてプレッシャーから逃れたい気持ちが強くなっていきます。そこで仕事を辞める口実を作るため、秀明との間に子供ができるよう意図的に仕向けたのでした。
茄子田家の主人・太郎は、中学校の教師。家庭第一という彼のことばとは裏腹に、女遊びがひどく教師というのに娼婦を買うのがやめられません。自分勝手で傲慢。みんな嫌ってはいますが、暴君的で誰も逆らえません。実家が古くなってきたため、家の新築を検討しています。
太郎の妻・綾子は、太郎に口答えひとつするでもなく、良き妻を務め家事や育児を一身に担います。はた目にも、理想的な妻に見える綾子がなぜ太郎のような男と一緒になったのか、不思議に感じられるほどでした。
ネタバレあらすじ①真弓が働きに出るところから物語は始まる
原作小説『あなたには帰る家がある』最初のネタバレあらすじです。佐藤秀明と真弓は結婚2年目を迎えた夫婦です。1人娘の麗奈は、もうすぐ1歳になります。秀明は、住宅販売会社に勤める営業マン。結婚を機に映画制作会社の契約社員から、収入の安定した今の会社に転職しました。妻の真弓は丸の内でOLをしていましたが、ずっと専業主婦に憧れていました。妊娠がわかると4年間勤めた商社を退社し、念願の専業主婦に落ち着きます。
結婚1年半を過ぎたあたりから、念願だった専業主婦もそろそろ飽きてきた真弓は、毎日の食事の支度や家事を手伝わない夫に不満を募らせていました。一方秀明は、専業主婦は気楽で自由気ままなものだと考えていました。家事と子育てをこなせば毎月夫からのお金をもらえるし、自由時間も十分あるし、職場の人間関係でストレスを抱えることもありません。
『女っていいよな…。』と秀明の口からつい本音が漏れます。そんなある日、ついに真弓の不満が爆発します。『私、働きに出たいのよ。』泣きながら訴える真弓に、秀明は妻が外で働くことを承諾させられてしまいます。真弓はさっそく保険外交員の求人を見つけ、面接にもすんなりと合格。ようやく専業主婦の退屈な生活からサヨナラすることが叶いました。
ネタバレあらすじ②茄子田一家との出会い
1組の家族が秀明の住宅会社のモデルハウスにやって来ます。教師をしているという茄子田太郎は、高飛車で感じの悪い男でした。偶然にも秀明の後輩、森永祐子と顔見知りだったため、太郎は祐子になれなれしく接します。遠慮なく接近してくる太郎に、祐子は不快感を禁じえませんでした。その後、太郎は行きつけのスナックで酒を飲みながら、祐子を一度デートに誘ってみようと考えるのでした。
秀明は家の契約の件で茄子田家を訪問します。夫の太郎は留守でしたが、夕食に誘われ秀明は茄子田家で夕食をよばれることにします。茄子田家の食事は手が込んでいて、真弓の作るそれとは段違いでした。家族も仲がよさそうで、新築する家の話に花が咲きます。茄子田の妻・綾子は、どうやら秀明にまんざらでもない様子でした。
一方、2か月の研修を終えた真弓は、厳しい現実に直面。得意先からの冷たい仕打ちを身をもって経験し、早くもこころが折れそうになっていました。先輩の樺木に励まされ、なんとか頑張ろうと気を引き締める真弓でした。ある日樺木の紹介で訪問した中学校で、偶然にも茄子田太郎と出会います。茄子田は、セールスレディーの間でも”キモイおやじ”として有名でした。
秀明は、茄子田夫妻の家の希望をかなえるべく図面を作成し、再度茄子田宅を訪問します。ところが一家の主、太郎と家族の希望する家のイメージは180度違っていました。家族で話し合ってまとめてほしい旨を丁寧にお願いする秀明に対して、太郎は汚い言葉で罵倒しました。秀明が茄子田宅を出ると、妻の綾子が追ってきて太郎の非礼を謝ってくれました。秀明はそのとき綾子の魅力に惹かれている自分に気づきます。
ネタバレあらすじ⓷茄子田太郎と綾子の出会い
ある日仕事が終わり、秀明がモデルハウスから出ようとしたとき突然ドアのチャイムが鳴ります。何とそこには茄子田太郎の姿がありました。太郎は秀明を飲みに誘います。秀明は酒はダメで下戸でしたが、気難しい客の機嫌を損ねるのを恐れてついていきます。2軒目に寄ったスナックで、秀明は茄子田太郎と綾子の出会いについて聞かされることになります。
茄子田夫妻の”馴れ初め”はお見合いの席でした。その後2度目のデートで早くも綾子は妊娠し、結婚するに至ります。秀明は、どうしてこんな男があんなきれいで優しい女性と結婚できたのだろう、怒りにも似た感情を覚え飲めない酒を無理に飲んでしまったのです。
気が付くと秀明は茄子田の家にいました。太郎は酔いつぶれた秀明を自宅まで連れ帰ったのでした。秀明の目の前には綾子の姿がありました。妖しい色っぽさをたたえた綾子を見て、秀明はつい彼女を抱きしめてしまいます。そして「綾子さん、本当に幸せなんですか?」と思わず口にしてしまう秀明。綾子の体から力が抜け、秀明に身を任せるようにもたれかかります。
新たな環境にも慣れ、少しずつ仕事の成果が上がってきた真弓でしたが、今度は家のことをこなすのが難しくなります。今まで通り家事に無関心な秀明に、しだいに不満を募らせていきます。ある時、帰りが遅いのを心配して電話を何度もかけた真弓に、秀明は怒っていました。それは、秀明が綾子と抱き合っていた時のことでした。秀明はずっと不機嫌を通していました。
ネタバレあらすじ⓸佐藤秀明と茄子田綾子
秀明は、太郎の希望に沿って書き直した図面をもって再度茄子田宅を訪問します。しかし、在宅していたのは太郎の母親だけでした。しかたなく帰ろうとする秀明を引きとめ、母親はいろいろ愚痴ともつかぬことを話し始めます。彼女は嫁の綾子を嫌っていました。自分1人では生きていけないから息子に媚を売って頼りきる、そんな生き方が嫌だと母親は話しました。秀明はそれを不快に思いながら聞いていました。
茄子田家をあとにした秀明は、偶然綾子を見かけます。重い買い物袋をぶら下げた綾子を、秀明は車に乗せます。しかしそれは重い荷物を気遣ってのことではありませんでした。「この後お時間ありますか?」、秀明は綾子をドライブに誘っていたのでした。そして気が付くと、2人はホテルのエントランスに立っていました。
ネタバレあらすじ⑤一線を越える秀明
しばらく経ったある日のこと。このところ良い営業成績をあげている真弓を、支店長の愛川が食事に誘います。そこで真弓は、夫に浮気をしている節があると支店長に打ち明けます。それに対する支店長のアドバイスはこうでした。「真弓には仕事がある、夫婦関係を解消したとしてもやっていける」。
成行きでホテルに入ってしまってからというもの、休日になると逢瀬(おうせ)を重ねる秀明と綾子。秀明の激しく高まった気持ちが少しだけ薄らいでくると、綾子は不安そうな表情を見せ秀明を再び妖しくいざないます。お互い家庭に迷惑をかけない関係だったはずが、綾子がしだいに平静を保てなくなってきていると秀明は感じました。
ネタバレあらすじ⑥大げんかの末の約束
久しぶりに家族で遊びに出かけようと、秀明に合わせて休みを取る真弓。秀明は休みの日には綾子と会う予定だったので戸惑いますが、それは伏せておきました。お互い気まずさは隠せませんでしたが、なんとか平静を装っていました。そんなところに近所の奥さんが訪ねて来ます。マンション管理組合の話し合いがあるので出たら?という呼びかけでした。せっかくの休日でしたが、ご近所の助言に従い真弓は話し合いに参加します。
会合が終わったのは午後3時のこと。食事もとっていなかった真弓は、家に帰っても食事が用意されていないのに怒り、今まで溜まっていた不満が一気に爆発。互いに感情的な言い合いに発展。その最中、娘の麗奈がタバコの吸い殻を口に入れてしまいます。真弓は吐き出させ救急車を呼びます。麗奈は無事でしたが、夫婦ゲンカは続きます。ついには、3か月の収入が下回った方が仕事を辞め家事をするという勝負をすることになりました。
ネタバレあらすじ⑦悪戦苦闘の真弓
バスターミナルで真弓は、茄子田太郎に声をかけられます。真弓は売り上げを伸ばさなければならない”例の理由”を思い出し、太郎を保険に加入させようと一緒に喫茶店に入ります。太郎を説得していると、彼が家を新築する計画を立てているのを知ります。しかもその営業担当が夫の秀明だということも。
森永祐子は、突然会社の上司に退職する旨を伝えます。上司は祐子を食事に誘い、辞める理由をいろいろ聞き出そうとします。実はやめる理由の一つとして秀明のことがありました。しばらく前に秀明と一緒にホテルに入っていった女性はきっと奥さん、とてもきれいな人でした。今まで秀明のことが好きで仕事を頑張ってきた祐子は、この一件で緊張の糸が切れてしまったようでした。
そこに二人の女性が入ってきます。真弓と、彼女の勤める保険会社の愛川支店長でした。真弓と面識のある祐子の上司は真弓に声をかけますが、それを見て祐子は驚きます。『あの日ホテルで見たのはこの人ではない。秀明は違う人とホテルに入っていったんだ。』ホテルに入っていった女性が誰なのかもすぐにわかりました。
真弓と愛川支店長は、営業所内のトラブルについて話をしていました。真弓がかつて仕事の助言をした保坂は、その助言を自分勝手に解釈し他の社員の仕事を横取りしていました。結局保坂と彼女ともめた社員がやめることになり、人不足が深刻な状態に。支店長は真弓に営業部員の勧誘を手伝ってほしい頼み、真弓は渋々了承します。
中学校の職員室。弁当箱を開けた茄子田太郎は首をかしげました。最近弁当が手抜きされていることが多くなったと感じたからです。妻の綾子の元気がないことも気にかかります。太郎は、綾子が隠れて泣いていることに気づきましたが、なぜ自分に相談してくれないのか気になっていました。もっと家族を大事にしなければと、一瞬ですが自分を戒めました。
その時真弓が職員室のドアを開けました。彼女は今日こそ契約に漕ぎつけようと意気込んでいます。太郎が家の購入か保険契約かで迷っているのを知り、太郎が買おうとしている住宅会社の業績が思わしくないと嘘をつき、住宅の購入は見送るべきと助言します。太郎は真弓の熱意に負け保険に入ることを承諾しますが、その代価として「デートしてくれたら」と真弓に迫ります。それにはさすがの真弓も言葉を失いました。
ネタバレあらすじ⑧バレてしまう秘め事
真弓同様に秀明も焦っていました。営業成績が芳しくありません。このままでは真弓との勝負に負けてしまうと考え、茄子田宅に向かいます。太郎留守中に訪問し、太郎の父を丸め込んでしまおうと考えていました。ところが、家のことは息子に任せてあると言う父。「この家できちんと働いているのは太郎だけだ」。その後父親から、茄子田家の長男慎吾は太郎の子ではないと知らされ、秀明はショックを受けます。
真弓は、ハローワークの前で営業部員の候補を探しています。一方住宅会社を辞めた森永祐子は、仕事を求めハローワークに来ていました。真弓と祐子はばったり出会います。真弓は祐子が仕事を辞めたことを知り、勧誘のため喫茶店に誘います。しかし、いっさい自分から話そうとしない祐子。そのうち軽く口論になり、祐子は真弓の夫・秀明が浮気していること、その相手が茄子田の妻・綾子であることを話してしまいます。
秀明は再び茄子田家を訪れます。どんなことをしても契約を取付けようと意気込んでいました。どうしても今月中の契約が必要だったのです。意に反して、太郎は家の新築を見送ろうとしていました。その理由を聞いた秀明は唖然とします。生命保険の話を聞き、しかも保険に加入させようとしているのが妻の真弓だということに気付いてしまったからでした。
秀明は、吐き気を催しその場に倒れ込みました。そこに綾子がやってきます。綾子が持ってきた洗面器に顔を突っ込み、秀明は嘔吐してしまいました。しばらくして落ち着いた秀明は、綾子に問い正します。「慎吾君はいったい誰の子供なんだ?誰の子供なんだ?」。答えがないのに気づくと、今度は頼みがあると言い出しました。「どうしても家の新築の契約が欲しいんだ。助けてほしい」。綾子に懇願する秀明でした。
あなたには帰る家があるの結末をネタバレ!
いよいよ原作小説『あなたには帰る家がある』もクライマックスにさしかかります。ここからネタバレの結末あらすじをお届けします!
結末ネタバレあらすじ①綾子の秘密
茄子田家の長男・慎吾の本当の父親は、綾子の姉の夫でした。家事手伝いをしていた綾子は、時々やってきてご飯を食べていく姉の夫を好きになってしまいました。成り行きで一緒にドライブに行き、砂浜を歩き、海辺のホテルに泊まりました。姉の夫とは一度きりでしたが、妊娠に気付いたのは何と姉の結婚式の翌日という結末でした。
綾子は、見合いの写真の中から一番女性にモテないタイプを選びました。そういった男の方が女性にやさしいとの思い込みからでした。そして選ばれたのが現夫の太郎でした。2度目のデートで妊娠していることを打ち明けます。太郎は話の結末にショックを受けますが、翌日綾子の家を訪ねてきて彼女の両親に言った言葉は「お嬢さんを必ず幸せにします」でした。
綾子は、なぜ秀明が慎吾の父親を知りたがったのか、『どうしても契約が欲しい』と言った真意は?と自問します。そしてはたと思いつきました。『秀明は自分を受け入れてくれるかも知れない。奥さんと離婚するのにお金が必要。契約が取れなければお金に困ってしまう』。綾子は思います。『一緒に暮らせたら楽しいだろう。幸せな結末になるに違いない』。心配そうに覗き込む秀明に彼女は言いました。「私、新しいおうちが欲しい」
結末ネタバレあらすじ②綾子の暴走
秀明が体調を崩して休んでいる日、真弓もまた休みで家にいました。そんな時、家のチャイムが鳴ります。真弓が玄関に出るとそこに綾子がいました。綾子は強引に家の中に入り込むと言いました。「お願いがあってまいりました。秀明さんは私と結婚してくださるそうなので、娘さんも引き取らせていただこうかと。真弓さんは、秀明さんも娘さんもいらないんでしょう?私がもらって差し上げます」。顔には微笑みを浮かべていました。
恐怖を感じた真弓は秀明を呼びます。秀明は目の前の綾子に戸惑います。帰るよう促す秀明に「結婚してくれるって言ったでしょう。おなかにはあなたの子供がいるのよ!」とわめく綾子。異常な結末でした。「秀明さんと一緒に暮らすと夫に置手紙を書いてきた」。その時、再びチャイムが鳴ります。今度は太郎がやってきました。怒り狂った太郎は秀明に殴りかかります。そして保険外交員・真弓が、秀明の妻だったという結末に驚きます。
結末ネタバレあらすじ⓷秀明の災難
太郎に殴られた秀明のケガはかなりひどく、入院加療が必要と診断されます。病室のすぐ外にいた真弓のところへ太郎がやってきます。彼は何やら呟きながら泣いていました。『なぜこんな結末になるんだ。綾子は佐藤のどこがいいのか。自分は風俗には通ったが、素人には手を出さない。慎吾が綾子の義理の兄の子供だということも知っていた、綾子だけは愛してくれていると信じていたのに。』延々と独り言は続きます。
病室の秀明に真弓は声をかけました。秀明は、すべて自分が悪かったと反省の弁を口にします。そして、真弓に離婚を持ち掛けました。しかし、真弓は秀明の申し出を拒否します、「卑怯者!私はあなたを許さない。私が働いてお金を稼ぐから、あなたは家で家事と麗奈の面倒を見て」と。「そんな結末で君は幸せなのか?」と訊く秀明に、真弓は踵を返し病室を出ていきました。「私も茄子田さんと寝たよ」とすぐにわかる嘘を言い残して。
結末ネタバレあらすじ⓸夫婦のその後
結末ネタバレもいよいよラストです。佐藤家では、勝負に勝った真弓がフルタイムで働き、秀明は主夫として家事全般を受け持つことになりました。真弓の父に今回の”事件”の結末を報告しますが、理解してもらえませんでした。真弓はそれももっともだと思いました。自分でもよくわからないことが、親にわかるはずがありません。しばらくして夫婦逆転も板についてきましたが、真弓の収入だけで家計を支えるのは大変でした。
秀明も徐々に主夫に慣れていきます。むしろ会社員より楽でした。ある時、茄子田家の近くを通る機会がありましたが、家は取り壊され空き地になっていました。偶然茄子田の次男が通りかかったので訊いてみると、家を新築する事、茄子田家では誰も生命保険に入っていないことをが判明。だとしたら真弓との勝負にあっさり負けを宣言してしまったけど、実際の結末は違っていたかも、と考える秀明でした…。
あなたには帰る家があるの原作小説とドラマの違いとは?
ここで原作小説と比較するドラマ『あなたには帰る家がある』は、2018年4月からTBSで放送された中谷美紀主演のドラマです。他には玉木宏、ユースケ・サンタマリア、木村多江らが出演しています。それでは、さっそく原作小説『あなたには帰る家がある』とドラマ『あなたには帰る家がある』との違いを解説していきます。
原作とドラマでは登場人物の年齢設定が違う
まず、最初に取り上げる『あなたには帰る家がある』原作とドラマの違いは、「登場人物の年齢設定」です。さっそく主要人物4名で年齢の違いを比較してみましょう。名前も漢字が若干違っています。
- 佐藤 真弓 原作 28歳 → ドラマ 41歳(中谷美紀 42歳)※ドラマでは真由美
- 佐藤 秀明 原作 26歳 → ドラマ 39歳(玉木 宏 38歳) 〃 英明
- 茄子田綾子 原作 30~32歳 → ドラマ 43歳 (木村多江 47歳)
- 茄子田太郎 原作 33歳 → ドラマ 47歳(ユースケ・サンタマリア 47歳)
- 佐藤 麗奈 原作 1歳 → ドラマ 12歳(桜田ひより15歳)
真弓が秀明より2つ上という設定は原作もドラマも同じです。また、麗奈がドラマでは12歳と大幅に年齢が上の設定ですが、彼女にも演技の機会が与えられ、茄子田家の子供とのやり取りも生まれています。
ドラマオリジナルキャラが二人いる?
ドラマだけ原作にはないオリジナルキャラが2人います。まず最初は、カレーショップ経営者、三浦圭介です。佐藤真由美(真弓)、英明(秀明)夫妻の知り合いという設定で、ドラマではもっぱら夫婦の愚痴の聞き役という役回りです。
もう1人のオリジナルキャラは、真由美の教育係として登場する小島希望です。真由美より年下ですがしっかりした女性です。原作では、保険会社で真弓とペアを組むのは樺木という年配の女性です。
ドラマでは原作にはない夫婦あるあるネタが満載!
原作小説『あなたには帰る家がある』からのドラマ化にあたって、制作スタッフが100人の実際の妻たちに取材を行い「夫婦あるあるネタ」や「妻のホンネ」をリサーチしたそうです。原作『あなたには帰る家がある』にはなかった、思わず笑みがこぼれる「夫婦あるあるネタ」満載です。
具体的に例を挙げますと、真弓が夫は楽でいいな、と娘に言うシーン。「パパは楽だよね。仕事から帰ってくればご飯はできてるし、仕事だけしてればいいんだから」。『会社で働くだけだから楽』というくだりは、主婦であれば誰もが一度は口にしたことのあるフレーズではないでしょうか。ドラマには、こうしたエピソードがたくさん出てきます。
あなたには帰る家があるの原作小説を読んだ感想を紹介!
隣の芝生は青い?
原作小説『あなたには帰る家がある』を読んだ感想、最初は「隣の芝生は青い」です。隣の芝生が青いとは、他人のものは何でもよく見えることをいいますが、この原作小説『あなたには帰る家がある』の主人公真弓もそのひとりです。比べても意味のないことはわかっているけど、やめられないのです。真弓だけでなく、みんな現状に不満があって隣の芝生が魅力的に見えてしまう様子が描かれています。
2組の夫婦が繰り広げる微妙なすれ違い。どこでボタンを掛け違えたのか。隣の芝生は青く見えるというがまさにそれをドラマにしたようなお話で面白かったです。自分自身を見直すいいきっかけになりました。
この原作『あなたには帰る家がある』は、基本的には二組の夫婦が互いに交錯するドタバタ愛憎劇です。しかしそれだけに止まらず、育児や家事を一手に引き受ける女性の不満と嘆きが感じられて、まるで隣りの庭の真実を覗き見たようなストーリーでした、という感想が多く見られました。
ずいぶん前の小説なのに古臭くない!
次の原作『あなたには帰る家がある』の感想は、「ずいぶん前の作品なのにちっとも古臭くない」です。よくある不倫ものかと思ったら、男女の家庭に対する考え方の違いや出生率が上がらないこと、女性の働き方、家族間の確執など、最近の話じゃなかろうかと思える内容に驚く読者も多かったようです。
これ20年前に書かれた小説と知ってビックリ。古臭くない。現代にも掃いて捨てるほどある夫婦の家族の問題。
夫婦の家族の問題。真弓の自分本意な性格、秀明の責任感のなさ、太郎の傲慢さ、そして綾子の幼さと狂気。どれをとっても、いつの時代にも掃いて捨てるほどある話、永遠のテーマなのです。また、ずいぶん前の作品なのに古臭さがないのは、男と女の問題なんてそんなに変わらないってことなのかという感想を持った方も多かったようです。
人間の汚い部分をえぐり出す作品!
最後に紹介する原作小説『あなたには帰る家がある』の感想は、「人間の汚い部分をえぐり出す」作家山本文緒の本領発揮!というものです。OLに飽き飽きして専業主婦に憧れて、妊娠するよう小細工をして秀明をハメた真弓が、家事育児に嫌気がさすと今度は、勝負をして負けたほうが主婦(夫)になると勝手な提案をします。
「あなたには帰る家がある」ドラマ化されてるのね。
— 時雨 (@shigrain) April 27, 2018
胸くそ悪くて最高という感想ツイを見かけましたが、山本文緒さんですよ、人間の汚い部分をこれでもかと抉り出す作家ですよ…私も何冊か小説持ってますけど、体力と気力が少しでも足りない時は読めません。
また、家事育児に精を出す妻がいながら、それに感謝を示すこともせずお客様の奥さんに手を出す責任感ゼロのダメ亭主秀明。茄子田家も同様で、人間らしいと言えばその通りなのですが、人間の醜さ全開のストーリー展開でした。ただし、気力・体力充実した時でないと読み切るのは困難、との感想もありましたので要注意です。
あなたには帰る家があるの原作小説のネタバレまとめ!
ここまで原作小説『あなたには帰る家がある』のネタバレあらすじからドラマとの違い、感想まで紹介!と題してお届けしてきました。いかがでしたでしょうか。いつの世にも通じる男女、夫婦、人間の抱える問題を筆鋒鋭く描く、山本文緒の魅力の一端でもお伝えできたなら幸いです。ぜひ一度、あなた自身でこの山本文緒ワールドを堪能してみてください!