ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）で流れた曲は？使用されたクラシック一覧

ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）は、SF漫画を得意とする田村由美によるミステリー漫画作品です。2016年小学館の「月刊flowers」に読み切り作品として掲載された後、同じ作者の作品「7SEEDS」と入れ替わりで連載がスタートしました。

ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）は、連載開始からたちまち人気作品となり、単行本の累計発行部数は2021年6月現在800万部を超えるまでになりました。さらに、2022年には菅田将暉主演によるテレビドラマが制作され、フジテレビの月9枠にて1月10日から3月28日まで放送されました（全12話）。

ある日大学生・久能整の下宿先アパートに刑事が訪ねてきます。高校の同級生で大学でも同期の寒河江健が殺されたというのです。任意同行を求められた久能は警察署で取り調べを受けることになります。事件前日の夜、寒河江が久能に似た人物と言い争っているのを目撃されていたことから、警察では久能に嫌疑をかけていました。断固とした態度で犯行を否定する久能でしたが、任意の事情聴取はその後も毎日のように続きました。

ここからは、この記事のメインテーマであるドラマ「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」で使われていたクラシック音楽の話題に移っていきます。第1回が放送されるとSNSではドラマで流れた数多くのクラシック音楽について話題となりました。クラシック音楽がドラマの雰囲気に合っているという肯定的な意見から、ひっきりなしに流れる音楽に少しうるさいのでは？という意見もあったようです。

最初に紹介するクラシック曲の名前は、モーツァルトの「ピアノソナタ15番一楽章」です。この曲は、ピアノ・ソナチネアルバムにも第14番として収められており、ピアノ初級者向けの楽曲ともなっています。

このピアノ曲は、ドラマ「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」では、久能がカレーを作るシーンで使われています。大好きなカレーの香りに高揚する久能の気持ちと、モーツァルトの軽やかな曲想がよくマッチしていると言われています。

続いて紹介するミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）のクラシック曲の名前一覧は、チャイコフスキーの3大バレエ音楽の1つ「くるみ割り人形」からの1曲です。コンサートでよく演奏されるのは、チャイコフスキー自身がこの楽曲の中から8曲を選んで再構成した組曲版「くるみ割り人形」です。「行進曲」はその2番目に登場する曲です。

「くるみ割り人形：行進曲」は、久能整の家に刑事が訪ねてきた時に流れていた曲になりますが、「くるみ割り人形」からは他にも後述する「金平糖の姓の踊り」が使われています。

警察署で久能整が取り調べを受ける時に流れていた曲の名前は、イギリスの作曲家エルガーの代表作の1つ「威風堂々」です。尋問する刑事に対し、「自分は犯人ではない」と反駁する久能。臆することなく自説を饒舌に語り続ける久能に刑事の青砥の目は不気味に輝きます。

任意での取り調べを終えた久能が警察署を後にするときのBGMの名前は、大バッハことヨハン・セバスチャン・バッハの「無伴奏チェロ組曲」です。第6番まである「無伴奏チェロ組曲」の中で最も有名な第1番の最初の曲「プレリュード」になります。ピアノなどの伴奏なしで奏でられるチェロの深い音色に癒される方も多いことでしょう。

続いては、2番目に紹介したチャイコフスキー「くるみ割り人形」から「葦笛の踊り」です。8曲からなる組曲版では7番目に演奏されます。この曲は、久能が警察署で刑事の風呂光聖子から指紋を採取される時に流れていました。

ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）の曲の名前一覧、6番目は再びバッハの登場となります。冠婚葬祭など厳粛な場面でBGMとして使われることも多い、ヴァイオリンの名曲「G線上のアリア」です。

この曲は、刑事の風呂光が愛猫の死を語るシーンで使われていました。久能のかけた優しい言葉に風呂光の傷ついた心は救われます。この出来事があってから、風呂光は久能犯行説に疑念を抱くようになります。

ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）に使われているクラシック名曲の名前一覧、続いてはオッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」序曲です。作中では、捜査令状が出されて久能が動揺するシーンや刑事の池本が久能の家を訪問するシーン、そして妻の愚痴を言う池本に向かって久能が家事（ゴミ捨て）の大変さを説くシーンで使われています。家事で忙しくドタバタする光景を思い浮かぶのではないでしょうか？

久能が藪の取り調べに激しく反駁するシーンなどで登場するのが、モーツァルトの「トルコ行進曲」です。ピアノソナタ第11番イ長調K.331の第3楽章の楽曲ですが、単独でピアノのコンサートピースとして演奏されることも多くあります。

ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）作中では、ピアノ曲トルコ行進曲の軽快さと久能の畳みかけるようなセリフのテンポがよく合っていると言われています。

凶器の果物ナイフから久能の指紋が見つかったことから、藪は整のアパートへ家宅捜索へ向かいます。取り調べ室に残った青砥は、整に藪の奥さんと子供がひき逃げに遭って亡くなったことを話します。

その時流れていた曲の名前は、バッハの「トッカータとフーガ ニ短調」です。静寂を突き破るかのようなパイプオルガンの響きが、人の運命を左右する出来事が起きるのを暗示しているとも言われています。

久能が刑事の青砥に向かって「真実は1つではないが事実は1つ」と説く場面で使われた曲の名前は、チェコの作曲家スメタナの名曲「モルダウ」です。整の言葉をきっかけに、青砥は8年前の未解決殺人事件に向き合う決心をします。

第5話で久能が病院に担ぎ込まれるシーンなどで使われた曲の名前は、ブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」です。弦楽の力強い響きが緊急事態の慌ただしさを表現するのに好適なのではないでしょうか？

第2話では、美術館に行くため久能が乗ったバスがジャックされます。トイレに行きたいと訴える客の要求にこたえて、犯人の犬堂は公園前でバスを止めます。トイレに駆け込んだ久能は、バスジャックを知らせるメモを書きトイレに残します。この時BGMとして流れていたのが、ロシア民謡「コロブチカ」でした。小学校の運動会などで使われることが多い曲なので、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか？

こちらもバスジャックの犯人・犬堂と久能の絡みのシーンで流れる音楽です。ヴィヴァルディの「四季」より終曲の「冬」第1楽章。かつてトヨタのCMでも使われていましたが、弦楽器の刻むリズムが徐々にテンポを上げていき、差し迫った脅威を表すのに一役買っているのではないでしょうか？

ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）のBGM紹介、最後はシューベルトのピアノ曲「楽興の時」です。楽興の時は、31歳で夭折したシューベルトが26歳の頃に作曲した6曲からなるピアノ曲集ですが、本作第2話で使われたのは最も有名な第3番。バスジャック犯・石堂の家に拉致された久能と露木リラの会話のシーンで流れていました。

SNSでは賛否両論渦巻くドラマ「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」のBGM。高評価が寄せられる一方、番組のストーリーに集中できなくなるなどのネガな意見も見受けられます。クラシックの名曲をあえて使った番組の音楽担当者とは誰なのでしょうか？

ドラマ「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」で音楽を担当したのは、ミュージシャンで音楽プロデューサー・DJという肩書を持つKen Araiです。

Ken Araiは、2003年Kaori Okanoと「transluv」というユニットを組みデビューを飾ります。その後は、西野カナやKAT-TUNほかへの楽曲提供や編曲、プロデュースなど活動の幅を広げていきます。

また、ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）と同じくドラマの音楽を担当することも多く、過去には東京リトル・ラブ、失恋ショコラティエ（以上フジテレビ）やトドメの接吻（日本テレビ）、卒業タイムリミット（NHK）などの音楽を手掛けています。

ここからは、ドラマ「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」のキャストを一覧で紹介します。最初は主人公・久能整役の俳優・菅田将暉（すだ・まさき）からになります。

俳優そして歌手として活躍する菅田は、1993年2月21日大阪府箕面市に生まれました。2008年に応募した第21回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで最終選考に残ったことで芸能事務所トップコートよりスカウトされ芸能界入りを果たします。

2009年にテレビ朝日の「仮面ライダーＷ」でテレビドラマ初主演を飾ると、2014年には前年に公開された初主演映画「共食い」で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。

女性刑事・風呂光聖子役には、1994年5月4日千葉県生まれの女優・伊藤沙莉（いとう・さいり）が抜擢されました。2003年9歳の時にドラマ「14ヶ月〜妻が子供に還っていく〜」でデビューした伊藤紗莉ですが、現在はテレビドラマをはじめ映画、舞台と幅広く活躍しています。また、お笑いコンビ「オズワルド」の伊藤俊介の実妹としても有名です。

夫婦間のトラブルを久能に相談する池本刑事を演じたのは、歌舞伎役者の尾上松也（おのえ・まつや）です。

尾上松也は、六代目・尾上松助を父に、元新派女優の河合盛恵を母に1985年1月30日東京都中央区に生まれました。歌舞伎の舞台をはじめ、1995年のNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」など数々のテレビドラマに出演しています。

8年前の冤罪事件を引きずる警部・青砥成昭を演じたのは俳優の筒井道隆（つつい ・みちたか）です。1971年3月31日東京都調布市に生まれた筒井は、高校卒業後芸能界入りするとすぐさま映画「バタアシ金魚」の主役に抜擢されます（1990年）。その後は、「あすなろ白書」などのトレンディドラマで主役を務めたり、三谷幸喜作品「王様のレストラン」でコメディ作品にも挑戦し活躍の場を拡げています。

ドラマ「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」で大隣警察署の佐橋謙介を演じたのは、俳優であり劇作家・脚本家・演出家という顔を持つ三島ゆたか（みしま・ゆたか）です。1968年3月21日東京都立川市に生まれた三島は、ラップバンド「おにぎりスキッパーズ」を主催するかたわら、1996年の映画「嗚呼!!花の応援団」に出演するなど俳優としても活動しています。

佐橋謙介の同僚・入江を演じたのは、1981年9月20日福岡県生まれの俳優・古河耕史（ふるかわ・こうじ）です。文学座養成所出身で2008年舞台作品「オットーと呼ばれる日本人」でデビューを飾ります。舞台を中心にテレビドラマ・映画と幅広く活躍しています。

バスジャック事件の影の首謀者・犬堂我路。ドラマ「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」で犬堂を演じたのは、1982年12月13日新潟県生まれの俳優・永山瑛太（ながやま・えいた）です。

モデルとして芸能界入りした永山ですが、2001年にはフジテレビのドラマ「さよなら、小津先生」で俳優デビューを飾ります。2002年から2003年にかけては「瑛太」という芸名で出演していました。第33回日本アカデミー賞優秀助演男優賞をはじめ数々の映画賞を受賞しています。

我路の従兄弟で乙矢の兄・犬堂甲矢、バスジャック犯の1人です。ドラマでは、俳優で演出家でもある久保田悠来（くぼた・ゆうき）が演じました。久保田は1981年6月15日神奈川県平塚市に生まれ、雑誌モデルを経て俳優デビューを飾ります。2007年「switch」倉林春役で初舞台を踏み、2010年には映画「ガチンコ喧嘩上等」で初主演を果たしています。

バスジャック犯の一味で甲矢の弟・犬堂乙矢。乙矢を演じたのは、ジャニーズ事務所所属の歌手でタレント・俳優としても活躍する阿部亮平（あべ・りょうへい）です。1993年11月27日千葉県生まれの阿部は、ジャニーズきっての知性派タレントとして数々のクイズ番組でも引っ張りダコとなっています。

ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）の実写キャスト一覧の最後は、犬堂我路の姉・愛珠を演じた女優でタレント、ファッションモデル、そしてYouTuberとしても活躍する白石麻衣（しらいし・まい）です。

1992年8月20日群馬県生まれで、乃木坂46の元メンバーの白石麻衣。現在は俳優として映画「嘘喰い」などに出演するほか、バラエティー番組「ウラ撮れちゃいました」では初MCに挑戦しています。

ここまでドラマ「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」に使用されたクラシックの名曲について特集してきましたが、最後に「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」の曲に関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介する感想・評価は、ドラマ「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）」に流れてくるクラシック曲に聴き入ってしまい、ドラマの内容が頭に入らないというものです。こうした感想は多数寄せられていました。

続いて紹介する感想・評価は、ドラマで流れてくるクラシックの曲名に関するツイートからです。聴いたことのあるメロディなのに名前が出てこなくてモヤモヤしていたところ、ようやくスメタナのモルダウだとわかりスッキリしたようです。

最後に紹介するのは、ドラマのクラシック曲を聴きながら原作漫画を読んでいるという方のツイートからです。漫画を読むというごく普通の行為でも、創意工夫により至福のひと時を味わうことができたようです。

ここまで「ミステリと言う勿れ（ミステリというなかれ）で流れた曲は？」と題してドラマ「ミステリと言う勿れ」で使用されたクラシック名曲の名前と使われていたシーンの解説、そして出演していた俳優を紹介してきました。いかがでしたでしょうか？

ドラマ「ミステリと言う勿れ」では、16世紀のバロック音楽から19世紀ロマン派の作品まで多くのクラシックの名曲が使われていました。今回改めてそれぞれの曲想と使われていたシーンを並べてみたことで、音楽担当者の意図や狙った効果がよくわかったのではないでしょうか？