【監獄のお姫さま】爆笑ヨーグルト姫事件とは何？ネーミングの意味や内容を調査

「監獄のお姫さま」は、2017年の秋ドラマとして、TBS系列で放送された。宮藤官九郎が本音を許せるスタッフたちと集まって、何を書きたいか自問自答した時に「おばさんのおしゃべりが書きたい」というきっかけで作られたドラマである。

「監獄のお姫さま」は浮気した夫を刺してしまった主人公馬場カヨ（小泉今日子）は刑務所に入り個性的な面々と知り合う。そんな中世間の話題になっていた大手乳業メーカーの令嬢の起こした「爆笑ヨーグルト姫事件」。その犯人とされた江戸川しのぶ（夏帆）が馬場カヨたちの刑務所に入ってくる事がわかった。刑務所で見ることが出来るワイドショーでも話題の「爆笑ヨーグルト姫事件」に他の仲間も興味津々だった。

けれど収監されてきたしのぶは、馬場カヨたちが思うよりも大人しい「爆笑ヨーグルト姫事件」など起こすなんて思えない様な女性だった。馬場カヨは入ってきたばかりのしのぶに刑務所の中の事を教える教育係となった。そばでしのぶを見ているうちに、しのぶが妊娠していることに気が付く。しのぶの妊娠をそれとなく看守のふたば（満島ひかり）にが耳うちするが、馬場カヨが伝えたい意味をふたばは気が付かない。

そのうちしのぶが体調を崩し倒れたことでしのぶの妊娠が発覚する。刑務所の決まりで子供はものごごろの付く1歳半までは刑務所の中で育てることが出来る。馬場カヨたちはしのぶや子供の面倒を見ながら爆笑ヨーグルト姫事件」の真実を聞かされる。真実を知った馬場カヨたちはしのぶの無実を勝ち取るために、板橋吾郎への復讐計画を立てる…。

監獄のお姫さまの脚本は個性的な脚本でファンの多い宮藤官九郎が担当した。たくさんの伏線を張り巡らすその手法は全て伏線の意味が分かるとそのすごさを感じられる作家である。しかし伏線が多すぎて初回が分かりにくく初回で視聴者を逃すとも言われている。

宮藤官九郎は「木更津キャッツアイ」で注目を浴びその後「タイガードラゴン」「ごめんね青春」などがあり、朝ドラ「あまちゃん」は今回主演の小泉今日子の歌う挿入歌「潮騒のメモリー」が大ヒットするなど話題も大きかった。「爆笑ヨーグルト姫事件」の夏帆を今度はろくでなしの落語家の強い女房役にした大河ドラマ「いだてん」も話題になっている。

監獄のお姫さまのタイトルの意味は、老舗有名乳業メーカーのお姫さまと言われていたしのぶが、悪い男に騙されて監獄に入れられたことを意味している。監獄に閉じ込められたお姫様を救うために4人の受刑者のオバサンと看守の1人が立ち上がるスリルとサスペンスとたっぷりの笑いを意味するタイトルになっている。

「爆笑ヨーグルト姫事件」は、江戸川乳業の社長令嬢のしのぶ（夏帆）が婚約者の昔の女に嫉妬して、沖縄に住む外国人男性に依頼して女を殺した嘱託殺人事件である。

「爆笑ヨーグルト姫事件」の時系列を追ってあらすじを確認する。江戸川乳業の3代目社長であるしのぶの父が無くなり4代目社長に誰が付くかが問題になった。同族経営だった江戸川乳業を守ろうとする保守派はしのぶ（夏帆）を選んだ。革新派は副社長である切れ者のの板橋吾郎（伊勢谷友介）を選んだ。板橋吾郎は、しのぶに結婚を申し込み江戸川家に婿養子になることで相続問題は解決したかに見えた。

江戸川乳業を乗っ取るために政略結婚を決めた板橋吾郎だったが、実はつき合っていた恋人がいた。しのぶと吾郎の婚前旅行先まで追いかけてきた吾郎の恋人ユキ（雛形あきこ）が殺された。ユキを殺した実行犯の男は外国人でしのぶからお金をもらってユキを殺したと自白した。

大手企業の社長令嬢が起こした事件はワイドショーで何度も報じられた。しのぶと吾郎の婚前旅行の際にパラセーリングをする映像が何度も流れ、その時爆笑しているしのぶの顔から「爆笑ヨーグルト姫事件」とこの事件は広く社会に広まった。「爆笑ヨーグルト姫事件」は江戸川乳業のイメージを著しく下げてしまい、江戸川乳業は「爆笑ヨーグルト姫事件」によって倒産の危機に追い込まれた。

倒産の危機を救ったのは板橋吾郎だった。「爆笑ヨーグルト姫事件」は自分が二股をかけていたことが原因だと潔く謝り、会社名もEDOミルクと改名して会社のイメージ一新のために動いた。見た目にも自信のある板橋吾郎は、商品を売り込むためにバラエティやCMにも出まくり業績はあっという間に上昇した。

事件から数年後、板橋吾郎の罪を認めさせて「爆笑ヨーグルト姫事件」の裁判をやり直しさせたい馬場カヨたち5人が出所したのをきっかけに行動し始めた。最初はしのぶが産んだ勇介を誘拐して返す代わりに板橋吾郎に罪の告白を促すがうまく行かなかった。その為今度は板橋吾郎を直接誘拐した。

馬場カヨたちが動いている一方で「爆笑ヨーグルト姫事件」に興味を持った検事の長谷川は事件のあった沖縄に飛んだ。ワイドショーで繰り返し流れた画像から、しのぶのヘルメットにカメラが付いていることに気が付く。板橋吾郎を写した映像に証拠がないか、パラセーリングを請け負う業者の元に行って探す。しのぶのカメラには証拠はなかったが、板橋吾郎のカメラに吾郎が犯人という証拠があった。

板橋吾郎がしのぶに依頼されたと言った外国人男性に「しのぶに頼まれたといえ」と言っている動画が発見され、板橋吾郎は裁判にかけられる。その中で板橋吾郎が昔は江戸川乳業の子会社の小さな牛乳屋の息子だった板橋吾郎の過去が語られる。関係者の家族から選ばれた江戸川乳業のチビ社長としてCMに出た過去やCMソングを歌った華やかな時代もあった板橋吾郎。

江戸川乳業の乗っ取りは不況になった時に真っ先に江戸川乳業から事業契約を切られ失意のままに死んで行った父の復讐でもあった。更にこの「爆笑ヨーグルト姫事件」は板橋吾郎が依頼した事件ではなく、板橋吾郎自らが手を下した事件だった事がわかる。板橋吾郎は無期懲役となり事件名も「微笑チビ社長事件」となった。

「爆笑ヨーグルト姫事件」のヨーグルトが意味するのは江戸川乳業の主力商品がヨーグルトだったから。姫が意味するのは、この当時社会的に有名になった「ナッツリターン事件」の社長令嬢が姫と呼ばれていることに由来すると言われている。

後継者争いでもめていた江戸川乳業の社長令嬢のしのぶ（夏帆）に近付きしのぶと婚約し江戸川乳業の社長の座を手に入れた男。野心的でギラギラした所のある切れ者である。仕事もできるが女性との交際も盛んにいろいろな女性に手を出すイケメン。割り切った付き合いのできる千夏（菅野美穂）とも関係がある。副社長の座まで上り詰めていたことからしのぶの事を利用し結婚まで持ち込んだ。

付きまとう邪魔な女を沖縄に呼び出して殺し、しのぶに濡れ衣をきせた。江戸川乳業を乗っ取りEDOミルクと殺人事件のイメージを払しょくするために改名し会社の業績をあげている。板橋吾郎を演じた伊勢谷友介は、子供の頃から英語を学び、東京藝術大学美術学部デザイン科を卒業の経歴を持つ。大学4年のときにはニューヨーク大学に短期留学をしていた。

その為俳優・映画監督などの一面を持ちながら美術家・実業家としての面を持つ板橋吾郎並みの切れ者である。モデルとして活躍し、その後俳優としていろいろな映画に出た後、NHKの2009年の連続ドラマ「白洲次郎」で得意な英語を生かし、見た目の良さも併せて一気に人気に火が付いた。父親が何度も結婚していたテーラーで、親子ほど年の離れた山本寛斎は母親違いの兄弟である。

老舗の有名乳業メーカーの江戸川乳業の社長令嬢のしのぶ（夏帆）。交際していた板橋吾郎と婚前旅行に沖縄旅行に出かけた時今回の「爆笑ヨーグルト姫事件」を起こしたとされ、収監させられる。テレビのワイドショーなどで流れた沖縄旅行での爆笑しているシーンから「爆笑ヨーグルト姫」と呼ばれるようになった。

しのぶを演じた夏帆は本名非公開の女優。夏帆は小学5年のときに原宿でスカウトされCMモデルやピチレモンのモデルからデビューした。夏帆の映画主演は2007年の映画「天然コケッコー」の演技では多くの新人賞を受賞した。その後も「東京少女」「砂時計」などの透明感ある夏帆の個性を生かした映画に主演する。2015年「海街diary」で夏帆は日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した。

夏帆のドラマデビューは2004年「彼女が死んじゃった」で映画より先に脇役で出演した。漫画が大好きで、夏帆の初めての映画である「天然コケッコー」は単行本を全巻購入して読破した。静かなイメージのある夏帆だが、共演した星野源によると「夏帆は男らしい女性」と格好いいイメージがあると言っていた。

板橋吾郎が社長になってからEDOミルクの江戸っ子ヨーグルトのCMに出ていたタレント。板橋吾郎と結婚してしのぶの産んだ勇介を慈しみ育てる。

乙葉は1981年生まれのタレント。アイドル時代は歌手・モデル・女優として活躍していた。その後お笑いタレントの藤井隆と結婚後、自分のペースで仕事を続けている。藤井隆との夫婦としての好感度も高く夫婦でのCM出演をしている。女優としても「逃げるは恥だが役に立つ」で藤井隆の妻役でゲスト出演している。

「監獄のお姫さま」の主人公である馬場カヨは浮気夫を刺したことで懲役5年の実刑判決を受け刑務所へはいる。良妻賢母で勤務していた銀行では営業成績も一番だった。その割に抜けているところがあり凡ミスが多い。しのぶの秘密を知り板橋吾郎への復讐計画を立てる。自分の事件の担当検事の長谷川になぜか愛されてしまい結婚を申し込まれている。

小泉今日子はスター誕生というオーディション番組から「私の16才」で歌手デビューした花の82年組と言われるアイドルだった。アイドル歌手としても人気だったが、女優としても映画・ドラマに出演し評価を得ている。田村正和と親子役の「パパとなっちゃん」での主題歌「あなたにあえてよかった」では作詞も手掛け自身初のミリオンセラーとなった。今は主に女優として活躍している。

馬場カヨが夫を刺した事件を担当した検事。馬場カヨに夫を殺す動機がなかったのに、本来は傷害事件として裁くべきところを殺人未遂として裁いたことで馬場カヨの罪が重くなってしまった。自責の念から馬場カヨの家族からの言葉を何度も伝えに来ているうちに馬場カヨに恋をする。初めは長谷川が来なければ「夫や息子が面会に来るはずなのに」と怒っていた馬場カヨだったが、しのぶの件で相談するうちに…。

塚本高史は1983年生まれの俳優で宮藤官九郎作品には「木更津キャッツアイ」「タイガードラゴン」などに出ている。劇中で10歳以上年上の馬場カヨに恋をする役だが現実でも7歳年上の女性と結婚している。

馬場カヨに協力してしのぶの恨みを晴らすメンバーを紹介する。馬場カヨが銀行員時代トレーダーとして人気だった千夏（菅野美穂）は脱税・所得隠しで捕まり、通称財テクと呼ばれている。極道の妻だった明美は夫の罪をかぶって薬物所持で捕まり通称「姉御」。洋子は2.5次元俳優の追っかけをしていてその費用稼ぎで結婚詐欺と横領で捕まっていた。人を演技で騙していたので通称は「女優」。

4人の受刑者が板橋吾郎に復讐計画を立てていることを馬場カヨの落とした復讐ノートで知り、父と同じ看守の道を歩んでいたのにあっさり辞めて協力したふたば。刑務所で美容師の資格を取る指導をしていたので「先生」と呼ばれている。馬場カヨ以外はあだ名があるが、馬場カヨだけはフルネームで呼ばれている。馬場カヨは離婚して榎木カヨになったが、それでもずっと馬場カヨと呼ばれている。

「監獄のお姫さま」の主題歌は安室奈美恵の「Showtime」が選ばれた。「Showtime」のMVを見ると安室奈美恵が監獄に収監された囚人風のかわいい衣装で踊る様子が見られる。「監獄のお姫さま」を助けるために動く女たちの奮闘をショーと例えて楽しんでいるような作りになっている。この主題歌はシングルとしてではなくアルバム「Finally」に収録されている。

「監獄のお姫さま」の中には印象に残る挿入歌がある。刑務所の朝ご飯・お昼ご飯・夜ご飯のときに流れる歌で実はこの曲は「爆笑ヨーグルト姫事件」の真犯人だった板橋吾郎が子供の頃CMキャラクターとして歌っている曲でオバサンと言われる年齢の馬場カヨたちには懐かしいCMソングである。ざんげ体操第二は所長のオリジナルである。

江戸川乳業の江戸っ子ヨーグルトのCMソングなので、最後に商品名がながれるけれど、刑務所の食事に常にヨーグルトが出ているわけではない。この歌には伏線があり、板橋吾郎が子供の頃この歌を歌っていなければ「爆笑ヨーグルト姫事件」は起きなかったかもしれない。

朝の親子3人で食事をする風景を歌っている。基本的に1番から3番まである歌の1番が朝の風景を歌っているのだが、ひとりだけずっと同じことをしている人がいる。

昼ごはんの時間、パパは会社でお弁当、僕は学校で給食を食べている。ママはお昼も野菜を刻んでいる。離れていても親子は仲がいいと家族の絆を表現している歌詞。

夜ごはんの時間にパパは一足先に晩酌、僕は宿題をしていてみんなを待たせている。ママは相変わらず野菜を刻んでいるという家族の風景を感じられる曲になっている。

会社などで行うラジオ体操のように受刑者たちが自分の犯した罪を懺悔する形の体操なのだが、本気で懺悔しているのか怪しいレベルの歌詞である。作ったのはこの刑務所の所長らしい。

監獄にとらわれた爆笑ヨーグルト姫を助けるために立ち上がったおばさんたち。ここでおばさんという言葉は誉め言葉である。個性的なおばさんたちのキュートでかわいくてクールな行動が笑いを誘ったり、涙を誘ったりするのもこの作品の魅力である。

「監獄のお姫さま」の始まる少し前、某国の有名企業のお嬢さまがたかがピーナッツの事で飛行機の運航を変えた事件があり、爆笑ヨーグルト姫というネーミングはそれから由来していると言われている。

事件のネーミングセンスに注目された点を取り上げている。「爆笑ヨーグルト姫事件」から、かつて板橋吾郎が呼ばれていた「チビ社長」を使った事件のタイトルに宮藤官九郎のネーミングセンスも光った。

「監獄のお姫さま」の中の事件である「爆笑ヨーグルト姫事件」を中心にそのあらすじ・意味をまとめた。「爆笑ヨーグルト姫事件」の裏にある板橋吾郎の哀れな過去・それを原動力にのし上がってきた姿に同情する声もあった。「監獄のお姫さま」は爆笑場面もたくさんある。けれどそこに挟み込むように混ぜられた人間の弱さが感じられる評判の作品、気になる人はチェックしてみては？