2018年11月12日公開
2018年11月12日更新
ハゲタカのモデルとなった人物と企業を調査!鷲津・芝野や三葉銀行の元ネタは?
綾野剛さん主演で2018年夏に放送されたドラマ「ハゲタカ」は、真山仁氏の経済小説「ハゲタカ」が原作で、その内容はリアリティがあると好評です。その理由は、モデルとなった実在の企業や人物、出来事があるからだと言われています。モデルと言われる企業はどこ?でしょうか?また、鷲津や芝野のモデルとされる人物はいったい誰なのでしょうか?今回はドラマ「ハゲタカ」の簡単なあらすじやキャストを紹介し、「ハゲタカ」のモデルと言われている企業や人物、出来事についてみていきます。
目次
ハゲタカのモデルとなった人物と企業を徹底調査!
ドラマ「ハゲタカ」は真山仁氏の経済小説「ハゲタカ」が原作となっています。その小説やドラマの内容はリアリティがあると評判で、モデルとなった企業や人物、出来事があると言われています。今回は、綾野剛さん主演のドラマ「ハゲタカ」のあらすじやキャスト、「ハゲタカ」のモデルとなった企業や人物、出来事を徹底調査していきます。
ハゲタカの原作小説とは?
ここでは、ドラマ「ハゲタカ」の原作小説をご紹介します。原作小説は「ハゲタカ」上下巻と「ハゲタカⅡ」上下巻の合計4冊です。原作者は真山仁さんで「ハゲタカ」シリーズの他にも経済を題材にした小説を多く執筆されています。中でも「ハゲタカ」シリーズは、サラリーマンを中心に大ヒットした真山氏の代表作で、「ハゲタカ」シリーズは累計230万部を突破しました。
さらに「ハゲタカ」は、綾野剛さん主演の2018年テレ朝系夏ドラマ以前にも実写化されています。2007年にNHKで、大森南朋さん主演ドラマが放送され、2009年には続編の映画「ハゲタカ」が公開されました。そして今回の2018年綾野剛さん主演「ハゲタカ」は、ドラマ化も映画化もされた作品のリメイクドラマが始まるということで話題になりました。
綾野剛さん主演の2018年版「ハゲタカ」では、原作小説にも前回のドラマや映画にはない話、つまり、新たに真山氏が今回のドラマのため書き下ろした、2018年現在の鷲津の活躍も描かれているそうです。
ハゲタカのあらすじをネタバレ!
ここまで、ドラマ「ハゲタカ」の原作小説についてみてきました。ここからは、ドラマ「ハゲタカ」のあらすじを簡単にご紹介していきます。
第1部:1~3話あらすじ
バブル崩壊後、三葉銀行は不良債権を多く抱え、困っていました。そこで、回収困難な不良債権を投資ファンドにまとめ買いしてもらう「バルクセール」という手段をとることにしました。三葉銀行の負債は投資ファンド「ホライズンジャパン・パートナーズ」の代表取締役・鷲津政彦(綾野剛)が買い取ります。その後、鷲津は三葉銀行の経営に口出しして、お荷物になっている事業の、リストラと小会社化を進めていきます。
次に、鷲津が狙ったのは「みやびホテル」です。ホライズンジャパン・パートナーズは、貴子(沢尻エリカ)が社長となったみやびホテルの株式を30%以上手に入れ、経営に口を出し始めます。鷲津はここでも企業価値を上げるために利益の出ない事業でリストラを行います。その後も鷲津は数々の経営不振の企業を買収し、再建に取り組み、企業価値を高めてから売却するのを繰り返し、利益を回収していきます。
第2部:4~6話あらすじ
鷲津が「あけぼの」の買収に夢中の頃、鷲津は本社の役員から、会社の代表取締役を解雇され、アラン(池内博之)がその後釜に納まりました。佐伯(杉本哲太)と中延(光石研)はアランに反発し、辞職。鷲津についていきました。鷲津は佐伯と中延と新たに「サムライファンド」という会社を興します。鷲津たちは「あけぼの」の株の暴落やライバル会社の重役の妨害など紆余曲折あって、ようやく「あけぼの」の買収にこぎつけました。
第3部:7~8話あらすじ
2018年、帝都重工という会社のデータ改ざんが発覚し、メディアで大きく取り上げられました。鷲津は芝野に呼び出され、帝都重工の社長に会いに行きました。飯島(小林薫)は鷲津に帝都重工の買収を勧めますが、鷲津はそれを断り、自らが帝都重工の社長になります。そして、サムライファンドの社長を佐伯に譲り、芝野を帝都重工に入れます。鷲津は社長就任会見を開き、1カ月以内に帝都重工に革命を起こす、と宣言するのでした。
鷲津は、アジア重工連会議の場で、帝都重工がこれまで行ってきた不正の証拠を晒します。当然、帝都重工の株価が急落し、そこで佐伯に任せたサムライファンドが、安くなった株をまとめ買いします。そうして、鷲津は帝都重工の筆頭株主になり、芝野を帝都重工の新しい社長に据えます。こうして、帝都重工は再スタートします。鷲津は帝都重工から手を引き、ラストで空港の国際線に向かい、新たな何かを追いかけるのでした。
ハゲタカのドラマ主要キャストを紹介!
ここまでドラマ「ハゲタカ」の簡単なあらすじについてみてきました。次に、ドラマ「ハゲタカ」の主演の綾野剛さんなど、主要キャストをご紹介します。
綾野剛(鷲津政彦役)
2018年ドラマ「ハゲタカ」で綾野剛さんが演じたのは、鷲津政彦です。鷲津政彦は投資ファンド「ホライズンジャパン·パートナーズ」の代表取締役です。この投資ファンドは経営体力の衰えた企業を買収し、経営に口を出して利益の出る事業を優先させ、企業価値が高まったところで売却し、利益の回収を図ります。弱った企業をターゲットにするところが鳥のハゲタカに似ていることから「ハゲタカファンド」と言われています。
鷲津政彦はニューヨーク留学中に買収ビジネスと出会い、企業買収を多く経験していきます。そのうちに、人々に恐れられ「ゴールデンイーグル」と言われるようになります。日本に帰国後投資ファンド「ホライズンジャパン・パートナーズ」を立ち上げ、多くの企業を買収し、多額の利益を生み出し「ハゲタカ」だと非難されます。
綾野剛さんは「ハゲタカ」の鷲津政彦役がテレ朝系連ドラで初の主な主演となりました。鷲津を演じた綾野剛さんは1982年生まれ、岐阜県出身です。綾野剛さんの主な出演作品は次の通りです。
- 朝ドラ「カーネーション」周防龍一役
- 「ルパン三世」石川五ェ門役
- 「コウノドリ」シリーズで主演の鴻鳥サクラ役
- 「新宿スワン」シリーズで主演の白鳥龍彦役
- 「フランケンシュタインの恋」で主演の怪物役
渡部篤郎(芝野健夫役)
2018年ドラマ「ハゲタカ」で渡部篤郎さんが演じた芝野健夫は、三葉銀行に所属し資産流動化開発室の室長を任されていました。芝野健夫を演じた渡部篤郎さんは1968年生まれ、東京都出身です。渡部篤郎さんの主な出演作品は次の通りです。
- 「ケイゾク」シリーズで真山徹役
- 「下町ロケット」財前道生役
- 「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」橡脇孝一郎役
- 「ST 警視庁科学特捜班」シリーズで三枝俊郎役
- 「銭の戦争」赤松大介役
沢尻エリカ(松平貴子役)
2018年ドラマ「ハゲタカ」で沢尻エリカさんが演じた松平貴子は、日光みやびホテルの社長の娘で、「クラウンセンチュリーホテル」でフロントマネージャーとして働いていました。松平貴子を演じた沢尻エリカさんは1986年生まれ、東京都出身です。沢尻エリカさんの主な出演作品は次の通りです。
- 「ヘルタースケルター」で主演のりりこ役
- 「新宿スワン」アゲハ役
- 「ファーストクラス」で主演の吉成ちなみ役
- 「ようこそわが家へ」神取明日香役
- 「不能犯」多田友子役
池内博之(アラン・フジタ役)
2018年ドラマ「ハゲタカ」で池内博之さんが演じたアラン・フジタは、綾野剛さん演じる鷲津が社長を務める「ホライズンジャパン・パートナーズ」の社員でした。鷲津を「ホライズンジャパン・パートナーズ」から追い出し、自分が社長の座に就きました。アラン・フジタを演じた池内博之さんは1976年生まれ、茨木県出身です。池内博之さんの主な出演作品は次の通りです。
- 「チームバチスタの栄光」鳴海涼役
- 「八重の桜」梶原平馬役
- 「スイートハート・チョコレート」で主演の木場総一郎役」
- 「S-最後の警官-」古橋誠二朗役
- 「マンハント」酒井宏役
杉本哲太(佐伯宗徳役)
2018年ドラマ「ハゲタカ」で杉本哲太さんが演じた佐伯宗徳は、鷲津が社長を務める「ホライズンジャパン・パートナーズ」の社員でした。鷲津を追い出したアラン・フジタに反発してホライズンジャパン・パートナーズを辞め、鷲津のもとへ。佐伯宗徳を演じた杉本哲太さんは1965年生まれ、神奈川県出身です。杉本哲太さんの主な出演作品は次の通りです。
- 「龍馬伝」坂本権平役
- 「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」西城章役
- 「あまちゃん」大向大吉役
- 「HERO 第2シリーズ」田村雅史役
- 「おんな城主 直虎」井伊直盛役
- 「相棒16」最終話~ 衣笠藤治役
光石研(中延五郎役)
2018年ドラマ「ハゲタカ」で光石研さんが演じた中延五郎も、鷲津が社長を務める「ホライズンジャパン・パートナーズ」の社員でした。しかし、佐伯と同じく鷲津を追い出したアラン・フジタに反発してホライズンジャパン・パートナーズを辞め、鷲津のもとへ。中延五郎を演じた光石研さんは1961年生まれ、福岡県出身です。光石研さんの主な出演作品は次の通りです。
- 「アウトレイジ」シリーズで五味英二郎役
- 「恋人たち」藤田弘役
- 「おんな城主直虎」明智光秀役
- 「ひよっこ」福田五郎役
- 「陸王」有村融役
小林薫(飯島亮介役)
2018年ドラマ「ハゲタカ」で小林薫さんが演じた飯島亮介は、三洋銀行の常務取締役です。昔、鷲津の父を自殺に追い込み、それを芝野のせいにする工作までしましたが、鷲津政彦にすべて暴かれて失脚してしまいました。飯島亮介を演じた小林薫さんは1951年生まれ、京都府出身です。小林薫さんの主な出演作品は次の通りです。
- 「ナニワ金融道」シリーズで桑田澄男役
- 「深夜食堂」シリーズで主演のマスター役
- 朝ドラ「カーネーション」小原善作役
- 「天皇の料理番」(2015年版)宇佐美鎌市役
- 大河ドラマ「おんな城主直虎」南渓和尚役
ハゲタカのモデルとなった企業とは?
ここまで、ドラマ「ハゲタカ」の綾野剛さん主演バージョンのあらすじやキャストについてみてきました。ここでは、「ホライズンジャパン・パートナーズ」を始めとする、ドラマ「ハゲタカ」に登場する企業のモデルと言われる実在の企業について、ご紹介していきます。
ホライズンジャパン・パートナーズのモデル企業①KKR
KKRは原作で鷲津が代表取締役を務めていた「ホライズン・キャピタル」、ドラマでは「ホライズンジャパン・パートナーズ」のモデルと言われています。ニューヨークが拠点の投資ファンド、KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)。KKRはLBOという独自の買収の方法を持ちます。LBOとは、買収したしたいときに手持ちの資金が足らなくても、将来の利益を担保にして買収することを可能にするという買収方法です。
ホライズンジャパン・パートナーズのモデル企業②ユニゾン・キャピタル
ドラマ「ハゲタカ」で鷲津が代表取締役をしていた投資ファンド「ホライズンジャパン・パートナーズ」は、企業の買収を繰り返す「ハゲタカファンド」という設定です。そのモデルと言われる企業を先に1つご紹介してきましたが「ホライズンジャパン・パートナーズ」のモデル企業として本命視されている企業が「ユニゾン・キャピタル」という投資ファンドだと言われています。
「ユニゾン・キャピタル」は、世界で指折りの金融グループと言われる「ゴールドマン・サックス」出身の日本人たちに発足されました。こちらの投資ファンドも、実在の「ハゲタカファンド」として恐れられています。「ユニゾン・キャピタル」は本格的なものとしては日本初大型のバイアウトファンドと言われています。
バイアウトファンドは、経営体力が弱っている企業を買収し、経営や事業内容に口出しをして企業価値を高めます。そして、企業の高まったところで売却し、利益を回収することを目指す投資ファンドのことです。
「ユニゾン・キャピタル」が「ハゲタカ」の鷲津が代表取締役をしていた「ホライズンジャパン・パートナーズ」のモデル企業と言われる理由は次の3点だと言われています。
- 海外の金融グループ出身者が会社をつくったこと
- ハゲタカファンドと言われていること
- 原作小説で鷲津が社長を務める企業名が「ホライズン・キャピタル」と名前が類似していること
プラザグループのモデル企業
ドラマで登場する「プラザグループ」のモデルは、カーライル・グループだと言われています。カーライル・グループはワシントンDCを拠点としている投資ファンドです。しかし、カーライル・グループは日本にも進出していて、日本のオフィスでは日本人社員を雇っています。さらに日本のオフィスでは、企業・不動産に投資した利益をだいたい3~5年で回収するという日本で主流の投資方法を用いているそうです。
三葉銀行のモデル企業
鷲津のライバル、芝野健夫が勤める「三葉銀行」は、当時の大蔵省(現在の財務省)公認のバルクセールを初めて行った都市銀行で、のちに東亜信託銀行と中日銀行と合併して「UTBフィナンシャルグループ」になったという設定です。この三葉銀行のモデルは2001年まで、実際にあった「三和銀行」だそうです。三和銀行は2001年東海銀行、東洋信託銀行と合併して「UFJホールディングス」になりました。
「三和銀行」が「ハゲタカ」の三葉銀行とモデル企業と言われる理由は次の2点です。
- 実在の「三和銀行」の合併の一連の流れ
- 架空の「三葉銀行」と「三和銀行」の名前がそっくり
日光みやびホテルのモデル企業
沢尻エリカさん演じる松平貴子が社長の「日光みやびホテル」の実在するモデル企業は、どこでしょうか?それは「金谷ホテル」と言われています。「金谷ホテル」は、伝統ある現存最古のリゾートホテルで、日光と中禅寺にホテルを立地しています。「金谷ホテル」が「日光みやびホテル」のモデル企業と言われる理由は次の2点だと言われています。
- 現存最古のリゾートホテルであること
- 日光中禅寺にホテルを持つこと
作中に登場する企業のモデル企業を一覧まとめ
- 「ハゲタカ」内の企業:モデルとされる実在の企業
- ホライズンジャパン・パートナーズ:ユニゾン・キャピタル
- 三葉銀行:三和銀行
- ミカドホテル:金谷ホテル
- 足助銀行:足利銀行
- 太陽製菓:東ハト
- 鈴紡:カネボウ
- 月華:花王
- シャイン:キャノン
- 曙電気:パナソニック,ソニー,SHAPE,NEC,富士通,日立,東芝,三菱
ハゲタカのモデルとなった出来事を一覧まとめ
バブル崩壊後、日本経済は低迷し「失われた10年」と言われました。そして、大きな銀行であっても経営体力が衰え、次々に吸収・合併が相次ぎました。中でも、ここでは、「あおぞら銀行」「新生銀行」「UFJホールディングス」の発足、「カネボウ」と「花王」の事業統合など「ハゲタカ」のモデルとなった出来事を一覧でご紹介します。
- 1998年 日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が、金融再生法で一時的に国有化。
- 1999年 東京相和銀行の経営が行き詰まり破綻する。
- 2000年 国有化された日本長期信用銀行が投資組合に買収され「新生銀行」に。
- 2001年 国有された日本債券信用銀行も投資組合に買収され「あおぞら銀行」に。
- 2001年 三和銀行と東海銀行、東洋信託銀行の合併で「UFJホールディングス」に。
- 2003年 東ハトがバブル期に手を広げたゴルフ場開発のせいで経営不振に陥り倒産。
- 2003年 りそな銀行に国が、公的資金を投入する資本投入を行う。
- 2003年 カネボウが化粧品事業を切り離し、花王の完全小会社に。事業統合。
ハゲタカのモデルとなった人物を調査!鷲津の元ネタは?
ここまで、ドラマ「ハゲタカ」のモデルと言われている企業や実際の出来事について紹介してきました。次に鷲津や芝野のモデルと言われる人物についてご紹介していきます。
鷲津にモデルとなった人物は?
まず、鷲津のモデルと噂される人物は、主に次の3人、堀江貴文氏、村上世彰氏、佐山展生氏です。その中でも特に本命視されるのが佐山展生氏なのですが、以下ではこの3人を順番にみていきましょう。
鷲津のモデルとなった人物、諸説①元ライブドア社長、堀江貴文?
諸説ある鷲津政彦のモデルとなった人物として、ご紹介する一人目は元ライブドアの社長、ホリエモンこと、堀江貴文氏です。原作小説「ハゲタカ」が出版された2004年に、企業買収を繰り返し、事業を大きくして時代の風雲児だった堀江貴文氏がモデルではないか?という噂があります。
堀江貴文氏は1996年に友人らと有限会社「オン・ザ・エッヂ」を立ち上げ、2002年にはすでに経営破綻していたライブドア社を買い、社名を「ライブドア」としました。2004年に東北でプロ野球球団を新しく設立(現在の東北楽天ゴールデンイーグルス)において、ライブドアが交渉に入るも、楽天の参入が決定し、競合した楽天に敗れる結果となりました。
2005年にはニッポン放送の買収を図るも失敗したり、2005年には衆議院選に出馬するも落選したり、失敗を恐れず様々なことに挑戦し、世間の注目を集めました。しかし、2006年1月俗にいう「ライブドア事件」で逮捕され、逮捕後は、2005年から参入していた宇宙開発に深く携わり、現在は北海道に住民票を移し、ロケット開発に励んでいるそうです。
鷲津のモデルとなった人物、諸説②村上ファンドの村上世彰氏?
また、村上ファンドの村上世彰氏も鷲津政彦のモデルではないか?と言われています。原作小説「ハゲタカ」が初めて世に出たの2004年だと先程もご紹介しましたが、その2年前の2002年頃前に小説のタイトルと同じく「ハゲタカ」と呼ばれた企業がありました。それが「村上ファンド」です。作中に登場するハゲタカ鷲津の投資ファンドと村上ファンドは事業内容が似ているとも言われています。
金儲けは悪いことですか。それ何が悪いんだろう。儲けることが。僕にはよくわからない。
また、作中で鷲津が発した言葉「お金を稼ぐことはいけないことでしょうか」が、村上ファンドの村上世彰の言葉を連想されると言われています。上の引用が村上世彰氏の言葉です。
村上世彰氏は、1983年に大学を卒業して通産省(経済産業省)に入ります。1999年、40歳目前で通産省を辞めてファンドを設立します。なぜ、村上世彰氏がファンドを設立したのか?については、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の重要性を痛感したためだと言われています。
彼は、投資した企業の利益のある事業を優先させ、株主価値向上を推進しました。この投資スタイルはそれまでの「物言わぬ株主」から「物言う株主」への変換を促し、世間から注目されることになりました。しかし、2006年6月にインサイダー取引容疑で逮捕されました。
鷲津のモデルとなった人物、諸説③鷲津のモデル本命は佐山展生氏?
ここまで、「ハゲタカ」の鷲津のモデルとなった人物を2人紹介してきました。ここでは、鷲津のモデルとして本命視される3人目の、佐山展生氏についてみていきます。佐山展生氏は前述のバイアウトファンド「ユニゾン・キャピタル」を友人らと設立した人物です。
ドラマ内で太陽製菓(モデルは東ハト)が経営破綻し、それを買収するという話があります。モデルとされる佐山展生氏も実際、「東ハト」製菓事業部門を買収しました。有名な製菓メーカー「東ハト」は、バブル期に手を広げすぎたゴルフ場開発に足を引っ張られて経営不振になっただけで、製菓事業部門は好調だったそうです。
佐山展生氏は買収した「東ハト」を立て直すために、執行役員に元サッカー日本代表中田英寿さんを迎え、外資金融に勝つために自らのありとあらゆる人脈を使って様々な手法を振るい当時話題になったそうです。この人脈こそが佐山展生氏の武器であり、買収した企業の価値を高めるために現場の人間とのコミュニケーションも欠かさず行い、企業全体の意識も改革していったそうです。
さらに、原作小説「ハゲタカ」の経済考証を佐山展生氏が担当しているという話があることも、鷲津のモデルは佐山展生氏なのでは?と有力視される理由の一つとなっています。
佐山展生氏の経歴
ここで、佐山展生氏のプロフィールをみていきます。
- 1953年12月、京都府生まれ
- 経営者であり経営学者
- 専門:M&A(合併と買収),バイアウト,事業再生,企業倒産など
- 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授
- 京都大学経営管理大学院客員教授
- スカイマーク代表取締役会長
- インテグラル株式会社代表取締役会長、などを掛け持ち。
佐山展生氏は京都市で生まれ育ち、洛星高校時代は野球部に所属し、京都大学工学部高分子化学科に入学し、そこでも野球部に入ります。大学卒業後は帝人という繊維メーカーに就職し、ポリエステルの研究開発に従事します。帝人時代の佐山展生氏は、上の指示に忠実でまじめに仕事するサラリーマンの鏡のような人物だったそうです。しかし、三井銀行の中途採用の広告を見て銀行の仕事に興味を持ち始め、30歳で転職を考え始めます。
そして当時の司法試験を勉強し始め、三井銀行の面接を受けて採用され、帝人を辞めます。三井銀行に入った佐山展生氏はM&Aに携わります。その後、ユニゾン・キャピタルを共同で立ち上げ、代表取締役パートナーになります。現在は一橋大学大学院の教授、京都大学の客員教授、インテグラル株式会社の代表取締役、スカイマークの代表取締役を兼任しています。
出典: https://doda.jp
他にも2006年の「阪急・阪神経営統合」の際に交渉役や、阪急サイドの財務アドバイザーを務めたそうです。さらに、2004年から始まったカネボウの再建や、2005年アパレルメーカー「ワールド」のMBO(自社株式取得)を手助けし、「楽天によるTBS敵対買収事件」の際のアドバイザーもしていたそうです。また、一世を風靡した村上ファンドの獲物となった多くの企業のアドバイザーとしても活躍したそうです。
次に佐山展生氏の経歴を一覧で紹介します。
- 1976年 京都大学工学部を卒業し、帝人(繊維メーカー)に就職
- 1987年 三井銀行(現在の三井住友銀行)に入行
- 1994年 ニューヨーク大学大学院ビジネススクールでMBAを取得
- 1999年 東京工業大学大学院社会理工学部研究科で博士課程後期を修了し、経営工学の博士号を取得
- 1999年 東京工業大学大学院社会理工学研究科で非常勤講師となる
- 1999年 ユニゾン・キャピタルを立ち上げ、代表取締役に就任
- 2001年 東欧大学大学院経営学研究科で客員教授となる
- 2003年 東ハトを買収し、経営に携わり企業価値向上を目指す
続いて佐山展生氏の2004年から2005年までの経歴を一覧で紹介します。
- 2004年 一橋大学大学院国際企業戦略研究科で助教授となる
- 2004年 GCAホールディングス(M&Aのアドバイスをする会社)の代表取締役になる
- 2004年 カネボウの再建のアドバイザーをする
- 2005年 一橋大学大学院国際企業戦略研究科で教授
- 2005年 株式会社メザニンの代表取締役になる
- 2005年 ワールドのMBOのアドバイザーをする
- 2005年-2009年 「楽天によるTBS敵対買収事件」の交渉役をする
- 2000年代 村上ファンドのターゲットになった多くの企業の交渉役をする
続いて佐山展生氏の2008年から現在までの経歴を紹介します。
- 2008年 GCAサヴィアングループの代表取締役になる
- 2008年 インテグラル株式会社の代表取締役になる
- 2010年 京都大学経営管理大学院の客員教授になる
- 2015年 スカイマークの代表取締役会長になる
- 2018年 一橋大学大学院大学院経営管理研究科の客員教授となる
芝野健夫のモデルは?
ここまで、鷲津のモデルと言われる人物、村上世彰氏、堀江貴文氏、佐山展生氏についてご紹介してきました。次に芝野健夫のモデルとなった人物についてみていきます。芝野健夫氏のモデルとなった人物は誰でしょうか?それは、越純一郎氏だと言われています。越純一郎氏は、事業再生ビジネス界のトップを走り続ける人物です。
2003年に産業再生機構という金融再生プログラムが設立(多くの企業の支援を行い、2007年に消滅)され、話題になりました。越純一郎氏もメディアで取り上げられ、それを見た原作小説「ハゲタカ」の作者、真山仁氏が越純一郎氏や彼の周辺の人物に取材し、原作小説「ハゲタカ」執筆の参考にしたそうです。
原作小説内でも、越純一郎氏が取材を受けた雑誌の記事が登場し、それも越純一郎氏が芝野健夫のモデルとなった人物ではないか?と言われる要因の1つだそうです。しかし、ドラマ「ハゲタカ」で描かれている落ち着いた雰囲気の芝野とは違い、越純一郎氏は、カリスマ性とエネルギーに満ち溢れたパワフルな人物なのだそうです。原作小説の芝野健夫の性格は、モデルと言われる越純一郎氏のキャラに寄せていく描き方をしているそうです。
次に越純一郎の経歴をご紹介します。
- 1978年 東京大学法学部を卒業し、日本興業銀行(現在のみずほ銀行)に就職
- 1988年 ニューヨークに転勤になり、12年間ニューヨークで過ごす
- 2000年 日本興業銀行を辞めて、現場型経営者と言われるスタイルになる
ハゲタカのモデルとなった企業や人物まとめ!
いかがでしたか?ドラマ「ハゲタカ」に登場する企業のモデルと言われる、ユニゾン・キャピタルや三和銀行、モデルとされる人物、堀江貴文氏、村上世彰氏、佐山展生氏についてみてきました。なかでも、モデルとされる人物として有力なのが佐山展生氏だということが分かりました。この記事をきっかけに、ドラマ「ハゲタカ」や実在の企業や人物、実際にあった日本経済の出来事について、興味を持って頂ければと幸いです。