犬神家の一族の足が湖から出てるシーンの秘密をネタバレ！正体はスケキヨ？

「犬神家の一族」とは金田一耕助シリーズの作品の一つです。映像化回数が多く、映画化が3回、ドラマ化が6回もされており、根強い人気を誇っています。「犬神家の一族」の原作小説はキングという雑誌に、1950年から1951年まで掲載されました。

連載当時はそこまで評価されませんでしたが、「犬神家の一族」で使われたトリックへの評価が見直され、現在では金田一耕助シリーズの中でも高い評価を得ています。

「犬神家の一族」の原作者は横溝正史です。横溝正史は1921年年から1981年まで、主に推理小説家として活動していました。小説家として活動し始めた頃は、戦時中のため探偵小説ものが検閲により制限されてしまうこともありました。しかし第二次世界大戦終戦後に推理小説に対する規制がなくなると、次々に長編推理小説を発表するようになります。

その中でも人気の、「本陣殺人事件」は第1回探偵作家クラブ賞の長編賞を受賞しています。その後横溝正史の代表作ともいえる「獄門島」「八つ墓村」「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」などを発表します。それらがヒットすると次々と映像化され、推理小説ファン以外にもその作品が知れ渡り、人気小説家として名を馳せました。

スケキヨ死亡シーンには、実は巧妙に考えられた言葉遊びがありました。ネタバレをすると、実は「犬神家の一族」のあの名シーンである、湖から出てくる足はスケキヨだったのです。「犬神家の一族」では、次々と犬神家の男達が殺害されていきます。殺害されたのは松子の息子である佐清(スケキヨ)、竹子の息子である助武(スケタケ)、梅子の息子である佐智(スケトモ)の3人です。

この3人は犬神家の家宝である「斧(ヨキ)」「琴(コト)」「菊(キク)」に見立てた、見立て殺人という方法で殺されていきます。しかし、スケキヨの殺され方は湖から足を出しており、一見「斧(ヨキ)」に見立てたようには見えません。実はスケキヨの名前を使って「斧(ヨキ)」を表現していたのです。

スケキヨが殺された時、体が逆さにされて足だけが湖から出ていました。これはまず、スケキヨの名前を逆さにすることを表しています。スケキヨの名前を逆に読むと「ヨキケス」になります。さらに下半身(足)を「ヨキ」、上半身を「ケス」に例えます。死体は足だけが湖から出ていたので、名前も同じように下半身(足)部分を読むと「ヨキ」、つまり「斧(ヨキ)」になるというわけです。

足を湖から出した状態で発見されたスケキヨ以外の男たちの殺され方をネタバレすると、最初に殺害された助武(スケタケ)は、菊人形にまぎれて殺されていました。2番目に殺害された佐智(スケトモ)は、琴の糸を使って首を締められて殺されていました。2番目までの殺害方法は言葉遊びを使っておらず、その殺害方法を見ただけで簡単に見立て殺人であると予測出来ます。

1976年版の湖のロケ地は青木湖と木崎湖です。ただ、犬神家の大きな屋敷は青木湖付近には存在していません。おそらくスケキヨが殺害されるロケ地となった青木湖や木崎湖で撮った映像フィルムと、屋敷を撮ったフィルムを合成していたのではないかといわれています。

グーグルマップでロケ地になった青木湖を検索すると、青木湖に「スケキヨ・アップサイド・ダウンフット・ポイント」という地名が登録されています。ロケ地にスケキヨの名前が書かれるほど「犬神家の一族」は人気です。

「犬神家の一族」の原作小説が連載していた当初は、小説評論家の間でもそこまでの評価はされておらず、むしろマイナスの評価がたくさんありました。しかし1976年に「犬神家の一族」が映画化すると、瞬く間に大ヒット作品になりました。その後「犬神家の一族」の評価自体が見直されていきます。特に映画化でスケキヨが殺害されたシーンはブームにもなり、湖から足が出るシーンを真似する人もいました。

「犬神家の一族」の主題歌である「愛のバラード」はとても有名な曲です。大野雄二が音楽を担当したのですが、相場の10倍の額を払って作曲してもらった曲だといわれています。通常、日本の映画の音楽にかかる費用の相場はおよそ50万円です。その10倍ということは、およそ500万円を使って作曲されたということになります。

実は「犬神家の一族」の映画が製作される前に、山崎豊子の「華麗なる一族」がヒットしていました。そのため、日本人が好きな一族ものの流行に乗っかり、横溝正史の「犬神家の一族」が製作されたといわれています。

「犬神家の一族」では、人気俳優を揃えて映画化されました。どの役柄でも主役級が揃っており、注目を集めました。1976年版のキャストには、石坂浩二、島田陽子、あおい輝彦などベテラン俳優が勢揃いしています。

賀来賢人はアミューズに所属する俳優です。2018年版のスケキヨ役に選ばれました。出演作品には「今日から俺は‼」の三橋貴志役、「スーパーサラリーマン佐江内氏」の池杉照士役などがあります。

五代目尾上菊之助は、歌舞伎役者です。2006年版のスケキヨ役に選ばれました。出演作品には「四十七人の刺客」の大石主税役、「怪談」の新吉役などがあります。

西島秀俊はクォータートーンに所属する俳優です。2004年版のスケキヨ役に選ばれました。出演作品には「大奥」の徳川家光役、「ゼロの焦点」の鵜原憲一役などがあります。

椎名桔平はスターダストプロモーションに所属する俳優です。1994年版のスケキヨ役に選ばれました。出演作品には「アウトレイジ」の山王会大友組若頭 水野役、「謎解きはディナーのあとで」の風祭京一郎役などがあります。

石黒賢はソニー・ミュージックアーティスツに所属する俳優です。1990年版のスケキヨ役に選ばれました。出演作品には「3年B組金八先生」の真野明役、「ショムニ」の右京友弘役などがあります。

田村亮はYSTに所属する俳優です。1977年版のスケキヨ役に選ばれました。出演作品には「暴れん坊将軍VIII」の大岡忠相役、「狩矢父娘シリーズ」狩矢警部役などがあります。

あおい輝彦はしまだプロダクションに所属する俳優です。1976年版のスケキヨ役に選ばれました。出演作品には「あしたのジョー」の矢吹丈役、「水戸黄門」の佐々木助三郎役などがあります。

大丸二郎は1970年代に活動していた俳優です。1970年版のスケキヨ役に選ばれました。出演作品には「激動の昭和史　沖縄決戦」の長野作戦参謀役などがあります。

石井一雄は東宝ニューフェイス出身の俳優です。1954年版のスケキヨ役に選ばれました。出演作品には「次郎長三国志」の増川の仙右衛門役、「水戸黄門漫遊記」の大賀三之丞役などがあります。

多くの人が真似をした湖から足を出しているシーンは、斬新な見立てだと評価されています。また、呪術的な意味がある犬神家を題材にしているところが、なんとも不気味だという感想もありました。

「犬神家の一族」は映像化だけでなく、舞台化もされています。「犬神家の一族」の舞台では、映像と違って舞台化ならではの演出を楽しめるようです。

「犬神家の一族」は、それぞれストーリーが若干違う部分があります。そのため、年代別に観てその違いを楽しんでいる方もいました。

「犬神家の一族」の足が湖から出ている有名なシーンは、当時真似する人が続出するほどブームになりました。ロケ地は主に青木湖で撮影されており、グーグルマップにはスケキヨの名前も載っていました。「犬神家の一族」は年代別でキャストやストーリーが変わってくるので、ぜひそれぞれの「犬神家の一族」を楽しんでみて下さい。