ウルトラセブン「狙われた街」はシリーズ屈指の神回！有名なちゃぶ台シーンとは？

『ウルトラセブン』は子供向け特撮ヒーロー物でありながら、大人の人気が高い『ウルトラマン』シリーズであることが知られています。その作風は『勧善懲悪』のヒーロー物に留まらず社会風刺や社会問題などを題材にしたものも多く、深いメッセージ性が込められているエピソードも多く存在します。

『ウルトラセブン』は、1967年10月1日から1968年9月8日まででTBS系で放送された円谷プロダクション制作の特撮テレビ番組です。全49話制作されており、『ウルトラQ』、『ウルトラマン』、『キャプテンウルトラ』に続く4作目の『ウルトラ』シリーズとなっています。世界観は『ウルトラマン』と同じだと見なされており、のちにウルトラマンとウルトラセブンは『ウルトラ六兄弟』の一員であることが明かされています。

『ウルトラセブン』1960年代の作品ですが、時代設定は1987年とされています。そのため宇宙開発や海洋開発などは当時の時代よりも進歩しており、住宅や高層ビルなども近未来的な描写がされています。SF作品なのでテクノロジーが近未来のものである必要があったというのが理由であり、作中の風俗や社会問題などは1960年代の物となっています。

こうした現実の社会問題と近未来のテクノロジーなのも複数の時代設定が混在している点は『ウルトラマン』にも共通しています。

宇宙の侵略者から地球を守るウルトラ警備隊とウルトラ警備隊の一員であり、ヒーロー・ウルトラセブンの『モロボシダン』の活躍を描いた物語となっています。『ウルトラマン』が怪獣との戦いであったのに対して、『ウルトラセブン』では宇宙人である知的生命体との対立に物語の焦点が置かれています。

『ウルトラセブン』は『ウルトラマンセブン』と誤記されることも多く、大人の中にも『ウルトラマンセブン』と覚えている人も多くいます。これは『ウルトラセブン』以外は全てタイトルに『ウルトラマン』と入っていることが原因となっています。『ウルトラセブン』までは『ウルトラ』シリーズとされており、巨大化するヒーローという設定は共通したものではありませんでした。

『ウルトラQ』では怪獣は出ますが、ヒーローは出ません。『ウルトラセブン』は『ウルトラマン』のヒットを受けて制作された特撮ヒーロー物てあり、現在では『ウルトラマン』シリーズの二作目とされています。

『ウルトラマン』は1966年7月17日から1967年4月9日までTBS系で放送された円谷プロダクション制作の特撮テレビ番組です。『ウルトラ』シリーズの第2作目であり、『ウルトラマン』シリーズの一作目であるため『初代ウルトラマン』とよばれることもあります。『ウルトラマン』がヒットしたことで後に『ウルトラマン』シリーズとされる特撮ヒーローたちが産み出され、その系譜は現在まで続いています。

ウルトラセブンは全49話あり、数々の名作を生み出している作品として知られています。その中でも『最高傑作』と言われる『狙われた街』は『ウルトラセブン』ファンの中でも神回と言われることもある名作中の名作となっています。

『狙われた街』は現代社会にも通じる普遍性の高いテーマとメッセージが込められており、『メトロン星人』とモロボシダンのシリアスでシニカル、そしてコミカルなやり取りが話題となっている異色作として知られています。ここからは『狙われた街』の脚本や監督、詳しいあらすじなどについて紹介していきます。

金城哲夫は『ウルトラ』シリーズを企画し、多くの脚本を担当した作家として知られる『ウルトラ』シリーズを語る上では欠かせない存在として知られます。『狙われた街』も金城哲夫の脚本を担当しており、『ウルトラ』シリーズの裏テーマとも言える『社会風刺』を表現しています。

幼少期から沖縄で過し、玉川大学時代の恩師である上原輝男の紹介で円谷英二と出会い1963年に円谷プロダクションへ入社します。入社後は企画文芸部の主任を務め、円谷プロダクションの代表作である『ウルトラQ』や『ウルトラマン』、『快獣ブースカ』、『ウルトラセブン』などを企画し、脚本なども担当しました。37歳と若くして亡くなっており、その才能は後世に語り継がれています。

今回のテーマとなっている第10話『狙われた街』で監督を務めたのは映画監督の巨匠として知られる実相寺昭雄です。『ウルトラ』シリーズで多くの監督と脚本を担当しており、その際にはウルトラ戦士は光線を使って怪獣を倒させるというお馴染みのパターンを使用することを避ける傾向にあります。そのため普段の『ウルトラ』シリーズとは趣の異なった作品になることが多く、奇作や名作と見なされることが多くなっています。

実相寺昭雄は日本を代表する映画監督であり、晩年には東京藝術大学名誉教授に就任しています。その手腕は国内外で評価されており、デビュー作はロカルノ国際映画祭の最高賞を獲得した唯一の日本人監督としても知られています。早稲田大学卒業後に、外務省やラジオ東京などに勤めた異色の経歴を持っています。作風は日本人特有の民族性・風土をテーマにしており、独特の映像とメッセージ性で熱狂的なファンも多い映画監督です。

実相寺昭雄の代表作に『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』や中編映画『宵闇せまれば』、長編映画『無常』、『姑獲鳥の夏』などがあります。

事件の舞台は北川町という街でした。そこでは住人の人身事故や列車事故などが多発するという不可解な事件が多発していました。何か良からぬことが起こっていると感じたために、フルハシ隊員とソガ隊員は北川町へ向かいます。警戒を続けていたフルハシ隊員とソガ隊員ですが、そこで男が突然ライフルを乱射するという事件が発生します。

ライフルを乱射した男は程なくして拘束されました。その男に事情を聞くと全く覚えがないと証言します。乱射犯は記憶を失っていたのでした。フルハシ隊員とソガ隊員はいったん基地に帰ることにします。しかし、基地に帰ったフルハシ隊員とソガ隊員は様子がおかしく、突然暴れだしてしまいます。北川町の住人と同じ症状が出ているため、北川町に原因があるという結論に達します。

調査した結果、北川町の住人とフルハシ隊員とソガ隊員の共通点があることが分かります。それは北川町駅前の自販機で買ったタバコを吸ったという事でした。このタバコを吸ったせいで異常行動が頻繁していることに気が付いたモロボシダンは北川町に向かいます。タバコを解析した結果、人間を凶暴化させる効果のあるケシと似たような物質が検出されていました。モロボシダンはタバコの補充員に目をつけて尾行することにします。

モロボシダンはタバコの補充員を尾行して潜伏先を突き止めました。大掛かりな組織の犯行だと睨んでいましたが、行きつく先は下町のボロアパートでした。そしてそこでモロボシダンを待っていたのは、極彩色の宇宙人『メトロン星人』でした。彼らがタバコに薬を仕込み、北川町の人々を凶暴化させた犯人だったのです。モロボシダンは部屋に招き入れられてちゃぶ台越しに『メトロン星人』と対話することになりました。

『メトロン星人』はモロボシダンに自身の目的を語りだします。『地球侵略の為には武力はいらない。人間同士の信頼感を無くせば、人間は自滅するのだ』と言い、自ら手を汚さなくても住人同士が信頼関係を失い、疑心暗鬼になり殺し合って自滅するように仕向けていると語るメトロン星人は地球で恐ろしいのはウルトラセブンだけだと告白します。そしてアパートが割れ『メトロン星人』の円盤にモロボシダンは吸い込まれてしまいます。

ウルトラホーク1号の攻撃によってできた隙をつき、ダンはウルトラセブンに変身します。真っ赤な夕焼けの中、対決することになったメトロン星人とウルトラセブンは必殺技・アイスラッガーが炸裂してメトロン星人は真っ二つになってしまいます。あっさりと敗れたメトロン星人を仲間共々全滅させて、地球侵略計画を阻止することに成功しました。

『狙われた街』が後世まで語り継がれるのはこの後のナレーションです。そこでは『人間同士の信頼感を利用するとは、恐ろしい宇宙人です。でもご安心ください、これは遠い遠い未来のお話なのです。え、何故ですって？われわれ人間は今、宇宙人に狙われる程お互いを信頼してはいませんから。』と人間社会における信頼関係の希薄さを指摘する子供向けとは思えないナレーションが『狙われた街』が名作と呼ばれる所以となっています。

『狙われた街』では内容だけでなく『ちゃぶ台シーン』と『メトロン星人』が大きな話題となっています。今でもネタにされることも多い人気キーワード『ちゃぶ台シーン』と『メトロン星人』について見ていきましょう。

タバコに劇物を仕込むという地味なやり口とは異なり、『メトロン星人』は派手な外見の宇宙人として知られています。黄色を基調としたカラフルな風貌で、エビのような長い顔をしています。さらに手はザクザクとした筒のような形状をしています。赤、青、黄色とカラフルに塗り分けられたボディは未来的な宇宙人として今なお人気の高い宇宙人となっています。

メトロン星人とちゃぶ台は現在ではネット上でも知られている組み合わせとして知られています。メトロン星人がちゃぶ台を挟んでモロボシダンと語り合うというシーンは多くのオマージュが作られています。さらに『ウルトラマン』シリーズでも『怪獣とちゃぶ台』という組み合わせが多用されており、続編となるエピソードでもこの組み合わせは使用されています。

『狙われた街』には後日談となる内容の続編が存在しています。それはウルトラマンマックス第24話『狙われない街』です。詳しい内容は後述しますが、この続編でも『メトロン星人』と『ちゃぶ台』が出てきており、内容も続編となっているため往年のファンを喜ばせました。

ここでは『狙われた街』に潜んでいる謎について考察していきます。名作と言われる『狙われた街』には多くの謎が指摘されており、ネット上などでもその内容が考察されています。それでは『狙われた街』の考察を見ていきましょう。

『狙われた街』ではアンヌの叔父が操縦する旅客機の墜落事故が起きてしまいます。その時にアンヌはポインターを使用し、甥である『ヒロシ』を迎えに行くシーンがあります。その時にポインターを操縦していたのは同じ隊員であるモロボシダンでした。一見問題ないシーンのように思えますが、これはウルトラ警備隊の隊員によるポインターを私用使用ではないかという指摘があります。

操縦はモロボシダンが行っていることで組織ぐるみの私的使用である可能性もあり、地球を守るために使うポインターを自身の親族のために使うという事は現代社会では許されないと指摘されています。

その他の謎は『もっと早くタバコが売られている場所を探り出せたなかったのか』という事です。タバコに原因があると判明した時に、タバコの売り場を見つけるのに隊員たちはかなり手こずっていました。タバコを買ったフルハシとソガは眠り続けたために聞き出すことができませんでした。結局はアンヌの甥ヒロシが、父親がタバコを買っていた場所を覚えていたために見つけることができ、解決につながりました。

しかし、ライフル魔を乱射した男が拘留中であり、彼からならもっと早く聞き出せたのではないかと指摘されています。子供の記憶を頼りにするよりは、この男から聞き出したほうが正確で迅速だったのではないかと言われてしまっています。

これらの行為にはモロボシダンの考えがあったのではないかとも指摘されています。タバコのせいでヒロシは父親を失ってしまいました。タバコの中に危険な赤い結晶体を仕込んだ『メトロン星人』はひろしにとって憎い相手となっています。心に傷を抱えてしまったヒロシが事件解決の糸口を思い出したとなれば、ヒロシを含めた遺族の心も救われるとダンは考えたのではないかとも指摘されています。

ここでは『狙われた街』の続編であるウルトラマンマックス第24話「狙われない街」を紹介していきます。『ウルトラセブン』の放送が終了してから約40年近くが経過しており、当時の子供はみな大人になってしまっているという珍しいパターンの続編です。2005年12月10日に放送された脚本を小林雄次が、監督は『狙われた街』の脚本を担当した実相寺昭雄が行っていることでも話題となりました。

かつてセブンと対峙して、アイスラッガーで真っ二つにされて敗北を喫したメトロン星人は実は生きていました。メトロン星人は北川町の住人によって救命されており、密かに生き残っていました。アイスラッガーによって斬られた傷は縫い合わせて直されており、北川町で40年近く潜伏していました。そして密かに人類を滅亡させる計画を立てていました。

メトロン星人は今回は携帯電話のアンテナに細工をすることで、人間を操るという最新のテクノロジーで人類を破滅させようと考えていました。しかし、メトロン星人は焦っていませんでした。40年にも渡って人間を観察した結果、多くのテクノロジーに頼った人間は脳が退化していき、いずれは自滅すると予測していました。その一方で長年住んでいる地球への愛着を見せるなど、40年前とは変わっていることが分かります。

メトロン星人とウルトラマンマックスであるカイトは地球についてちゃぶ台を挟んで話し合っていました。自分の星へ帰れというカイトに対し、メトロン星人は巨大化します。そして地球の変わらない美しさへと想いを馳せます。メトロン星人は自分たちの円盤に乗り込むと自分の星へと帰っていきました。40年間地球に住み、地球の美しさも人間の愚かさも理解したメトロン星人は愛想を尽かして帰ってしまったとマックスは言います。

ここでは『狙われた街』のロケ地を紹介していきましょう。は近未来が舞台の『ウルトラセブン』のエピソード『狙われた街』は街並みが印象的なエピソードでもあります。そのため狙われた街のロケ地も気にされているので見ていきましょう。

上の画像は『メトロン星人』がタバコの自販機を設置していた架空の街の駅『北川町南駅』です。向ヶ丘遊園駅が撮影で使われており、『狙われた街』で重要な役割を果たす場所なために注目されています。

ウルトラセブン「狙われた街」に登場する『メトロン星人』の住んでいるアパートは川崎市川崎区浜町にあると言われています。物語の終盤にモロボシダンと会話する重要なシーンに出てくるため、注目スポットとなっています。

ここでは『ウルトラセブン』の神回と言われる『狙われた街』に対するネット上にある感想や評価などを見ていきましょう。大人にも多くのファンがおり、『狙われた街』も現代社会への強烈なメッセージとなっているため多くの意見がネット上に挙がっています。

多くの名作がある『ウルトラセブン』の中でも人気のエピソード『狙われた街』を好きと公言する人が多くいます。実相寺昭雄好きのファンや深いメッセージ性、コミカルなシーンの多さなどから今でも多くのファンを魅了しているエピソードです。『狙われた街が大好きだ』という声が多く挙がっています。

『ウルトラセブン』は大人でも楽しめる作品であり、特撮ヒーロー物に留まらない人気を獲得しています。その中でも『狙われた街』は最高傑作の呼び声も高く、金城哲夫や実相寺昭雄の魅力がたくさん詰まっているエピソードとなっています。『最高傑作は「狙われた街」』という声や『「狙われた街」は特撮ものとは思えないメッセージ性』という声が多い、最高傑作に選ぶ人も多くあるエピソードです。

『狙われた街』に登場する宇宙人である『メトロン星人』は『ウルトラセブン』を代表する宇宙人として知られています。『メトロン星人』の名前は知らなくても外見を見たことがある人が多く、『ウルトラマン』シリーズの中でも有名な怪獣として知られています。ネット上でも『一番好きな宇宙人は「メトロン星人」』という声も多くフィギュアや着ぐるみも多く売られている怪人です。

『狙われた街』の終盤のモロボシダンとメトロン星人はちゃぶ台を挟んで会話するシーンは今でも語り継がれた名シーンとなっています。深いメッセージ性を込めたストーリーながらも、シュールでコミカルなちゃぶ台シーンで終わるために『ちゃぶ台』の印象が強く残っているファンも多くいます。『ちゃぶ台がシュール』という声もあるなど『ちゃぶ台』は『狙われた街』を代表するキーワードとなっていることが分かります。

今回は『ウルトラセブン』の「狙われた街」に登場するメトロン星人やちゃぶ台シーンの内容などについて紹介してきました。今では伝説ともなっている『狙われた街』は続編も制作され、今でも多くのオマージュが制作されるなど後世に強い影響を与えました。ぜひ『ウルトラセブン』の名作『狙われた街』を一度ご覧ください。