2018年11月15日公開
2018年11月15日更新
半沢直樹シリーズは池井戸潤の人気銀行小説!原作を読む順番のおすすめは?
異例の視聴率を記録したドラマ「半沢直樹」。続編を求める熱い声が多い作品です。今回はその原作である池井戸潤の半沢直樹シリーズにスポットを当てます。そして、半沢直樹シリーズ4作のあらすじやドラマと原作の違いを踏まえて、おすすめの読む順番をご紹介。池井戸潤のプロフィール、半沢直樹シリーズ以外のおすすめ小説もまとめました。話題作が盛りだくさんの池井戸潤のミステリ小説をぜひお楽しみ下さい。
目次
半沢直樹シリーズの原作小説を読む順番が気になる!
2013年に放送され、社会現象にもなったドラマ「半沢直樹」。「やられたらやり返す、倍返しだ!」というセリフは流行語にもなり、若者のテレビ離れが言われる昨今において、幅広い年齢から支持される伝説的なドラマとなりました。その原作がこれからご紹介する「オレたちバブル入行組」から始まる池井戸潤の小説「半沢直樹シリーズ」です。
原作小説は「別冊文藝春秋」連載当時より人気を博していましたが、ドラマ放送時からベストセラーとなり、ドラマ開始50日で150万部以上という異例の増刷をすることになりました。ドラマとは少し違う原作小説の魅力と原作小説を読む順番、半沢直樹シリーズの他の池井戸潤作品についても徹底的にまとめます。
半沢直樹シリーズの原作小説を読む順番のおすすめは?
半沢直樹シリーズは「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」の順番で時系列に沿って出版されています。ドラマ「半沢直樹」は、原作小説の「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」をドラマ化したものです。
原作はこの後「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」の順番で続いていくのですが、ドラマを見ていた人は「ロスジェネの逆襲」から読んでも大丈夫なのでしょうか。原作との違いを含めておすすめの順番をご紹介します。
早くドラマの続きが知りたい!半沢直樹シリーズを「ロスジェネの逆襲」から読むのはアリ?
ドラマ「半沢直樹」の衝撃的な最終回を見て、すぐに本屋に走って小説「ロスジェネの逆襲」を買い求めたという人が放送後に続出しました。事実、Amazonレビューの数が圧倒的に多いのが「ロスジェネの逆襲」です。内容はあとからご紹介しますが、ドラマの最終回で感じた衝撃やモヤモヤをスッキリさせてくれる素晴らしい一冊になっています。
「ロスジェネの逆襲」から読むと原作の順番は飛ばしてしまいますが、ストーリーとしてはドラマから大きな変更箇所もなく、つづきとして自然に読むことができます。しかしドラマが終わってそのまま「ロスジェネの逆襲」を読んだ人の中には「あれ?」と違和感を感じたと言う人もいました。というのも、原作では半沢の性格や他の登場人物がドラマとは少し違ったものになっているのです。
半沢直樹はドラマと原作で内容や設定が少し違っている!
例えば、流行になった「やられたらやり返す、倍返しだ!」というセリフ。半沢直樹といえばこれ!というくらいの代名詞とも言えるセリフですが、原作ではほとんど出て来ません。ドラマでは情に厚く、熱血的だった半沢直樹の性格も原作ではクールな印象が強く押し出されています。
さらに香川照之さんの迫真の演技で多くの人の記憶に残った「大和田常務の土下座シーン」。ドラマの中で一番の名シーンという声も多いこのシーンですが、原作ではなんと大和田常務は土下座せずに場面が終わります。
原作の設定も知りたい人はシリーズの最初から順番に読むのがオススメ!
このように原作はドラマとは違う部分があるので、ドラマを見たままの印象で原作の順番を飛ばして「ロスジェネの逆襲」を読むと違和感を感じる可能性があります。上記以外にも半沢の妻の花さんの性格や半沢の過去もドラマとは少し設定が違っているので、原作シリーズの世界にどっぷり浸かって「ロスジェネの逆襲」を読みたい人は「オレたちバブル入行組」からスタートして、出版された順番に沿って読み始めることをおすすめします。
半沢直樹シリーズの原作小説のあらすじをネタバレ!
「オレたちバブル入行組」
バブル期に大手銀行の東京中央銀行に入行した半沢直樹は、大阪西支店の融資課長として活躍していました。ある時、支店長である浅野の支店表彰欲しさの強引な命令により、「西大阪スチール」へ無担保で5億の融資をすることになります。しかし、その融資の直後に西大阪スチールは倒産し、貸し付けた5億も回収不能となってしまいます。
半沢は西大阪スチールの経理課長である波野の居場所を突き止め、帳簿を調べると粉飾をしたような痕跡が見つかりました。それを手に西大阪スチールの社長の東田を問いただしますが、東田は粉飾決算を開きなおり、行方をくらまします。融資した5億が回収できないと分かると、銀行員としての経歴に傷をつけたく無い浅野は、すべての責任を半沢へ負わせようとします。責任を負えば子会社への出向も免れません。
半沢は5億の回収に乗り出し、倒産した西大阪スチールを徹底的に調べ始めます。同じく東田を調べていた国税局の動向から、半沢は東田が計画倒産をしたのではないかと疑い始めます。そして、浅野の嫌がらせや浅野と結託した東京本店幹部たちの陰険な事情聴取をかいくぐり、半沢はついに東田の計画倒産の真相に辿りつきます。そこには銀行の信用をも覆すような重要な事実があったのです。
オレたち花のバブル組
東京中央銀行の営業第二部次長の地位を勝ち取った半沢。そこに銀行のトップである頭取から命令があり、莫大な損失を出した「伊勢島ホテル」の再建をする事になります。伊勢島ホテルはしばらく前に120億の損失を出していたのですが、東京中央銀行はそれに気づかずに200億もの融資をしてしまったのです。不可解なことに、東京中央銀行が把握していなかったこの情報をライバル銀行はなぜか把握しており、融資を回避していました。
そんな中、主任検査官の黒崎による金融庁調査が行われるという通知が来ます。金融庁調査で伊勢島ホテルの再建計画がうまくいかず、債権の回収ができないと判断されると、融資をした東京中央銀行の判断責任が問われ、ひいては経営に関わる信用問題になります。下手をすれば頭取の首も危ぶまれるこの事態を収拾するには、伊勢島ホテルの再建を成功させるしかありません。その重要な使命を頭取は半沢に託したのでした。
伊勢島ホテルの湯浅社長と話し合った半沢は、ホテルがまだ再建できるということを確信します。そして湯浅社長と共に協力してホテルを再建していくことを誓い合いました。しかし、ホテル経営において大きな権力を持つ羽根専務は再建に協力的ではありません。実は羽根専務はこの事態の責任を社長に取らせ、自らが社長になろうと画策していたのです。
一方、半沢の同期である近藤は電機メーカーの「タミヤ電機」へと出向していました。タミヤ電機は資金に困っており、近藤は融資を頼みに毎日東京中央銀行京橋支店へと行かされていました。しかし京橋支店の古里は融資の話を通してくれません。さらにタミヤ電機社長の田宮には執拗にいびられ、近藤は両者の板挟みに苦しんでいたのでした。そしてある時、近藤はタミヤ電機の不正な裏帳簿を見つけ、田宮社長に立ち向かっていきます。
その頃、半沢は湯浅社長と経営方針を今までと全く違うやり方へと変える再建策を立てていました。そして伊勢島ホテルを徹底的に調べ上げた結果、200億の融資をする前に東京中央銀行側がホテルの莫大な損失を知っていたことを突き止めます。さらに京橋支店が以前、田宮社長に用途不明の3000万の貸し付けを行っていたことも判明します。
田宮社長に貸し付けられた3000万の行方、伊勢島ホテルの損失、様々な謎がつながった時、そこには東京中央銀行の上層部の影がありました。半沢はその真実を暴きつつホテルの再建計画を完成し、ついに金融庁検査の日を迎えます。
ロスジェネの逆襲
東京中央銀行の系列子会社である東京セントラル証券に出向になった半沢直樹は、営業企画部長として務めていました。そこに訪れたのが一流IT企業である電脳雑技集団の平山社長夫妻です。平山社長はライバルIT企業の東京スパイラルを買収しようと考えており、その上で東京セントラル証券にアドバイザーになってもらいたいと持ちかけてきました。
電脳のライバルである東京スパイラルが簡単に買収を受け入れないことは明白です。敵対買収に関して東京セントラル証券はまだ経験値もなく、大きな企業を買収するだけのノウハウも持っていなかったため半沢は乗り気ではありません。
しかし半沢の部下の諸田は、懸念する半沢をよそに強引に部下たちに買収計画を立てさせます。この買収が成功すれば東京セントラル証券に莫大な利益が見込まれたためです。その過程で元々電脳の営業担当だった森山は担当を外され、諸田に反発します。
そして半沢が懸念していた通り、諸田の部下たちによる買収計画はいつまでたってもまとまりません。ついに計画が完成した頃には時すでに遅く、平山社長から買収に関する契約を全て破棄されてしまいました。部下たちの代わりに頭をさげる半沢。しかしその後、親会社である東京中央銀行の証券部長が電脳雑技集団と買収契約を結んだことを知ります。
突然の横槍に違和感を感じた半沢は今回の買収について調べ始めます。すると、買収計画のことを東京中央銀行にリークし、手柄を東京中央銀行に渡そうとした者が内部にいることが分かりました。そして半沢をリークの犯人と疑う森山を説得し、共に犯人を突き止める約束をします。ふたりは一連の買収劇の真相を徐々に暴いていくことになるのです。
銀翼のイカロス
出向先の東京セントラル証券から無事、東京中央銀行本店への復帰を果たした半沢直樹。そこに銀行トップの頭取から命令があり、業績悪化によって経営破綻寸前の帝国航空を再建する大仕事を任されます。半沢は帝国航空と協力しながら、再建計画を取りまとめていきます。しかし時同じくして政界では政権交代があり、新任の国土交通大臣の白井亜希子は自身のイメージ戦略のために半沢の再建案を取り下げてしまいます。
そして白井は「帝国航空再生タスクフォース」を立ち上げます。このタスクフォースによって東京中央銀行は、帝国航空に対する500億もの債権を破棄するように迫られてしまいます。しかし半沢はこれを真っ向から拒否します。そして政治家とタスクフォース、金融庁、さらに銀行内部の派閥争いも絡んで500億の債権を巡る戦いが繰り広げられていきます。
半沢直樹シリーズの原作者の池井戸潤とは?その他おすすめ小説も紹介!
半沢直樹シリーズの他にも数々のヒット作を連発し、その多くがドラマ化されている池井戸潤。今一番注目されている作家の一人である池井戸潤のプロフィールとドラマ化された話題の小説も含むおすすめの小説をご紹介します。
半沢直樹シリーズの原作者の池井戸潤とは?
1963年に岐阜県に生まれ、慶應義塾大学を卒業した池井戸潤。その後三菱銀行に就職し、エリートの道を歩みますが、32歳で退職してコンサル業と共にビジネス書などの執筆をします。執筆業をこなしているうちに、将来の不安もありテーマの限られているビジネス書ではなく小説を書くことを決意します。
幼い頃は標高500mほどの田舎に住んでおり、本好きの父によって家には壁一面の本棚があったそうです。その影響もあって本好きに育ち、自分で書いた散文詩を応募し賞をとるなど作家の才能が垣間見える少年でした。ある時「トム・ソーヤーの冒険」を読み、主人公に共感したことをきっかけに図書館に通うようになります。
もっぱらシューベルトやベートーベンの伝記を読むのに熱中していた少年時代、同じくらい熱中して読んでいたのが江戸川乱歩の作品だったそうです。国内外のミステリー小説も全て読み漁っていましたが、江戸川乱歩は特に池井戸潤を引きつけていました。そしてこれが池井戸潤の作る小説の原点となっていくのです。
池井戸潤のおすすめの小説!
最初は「銀行ミステリ作家」として有名になった池井戸潤ですが、半沢直樹シリーズの他にも多くの作品が映像化されています。難しい印象のある経済や経営をテーマに、それを面白く読めるのが彼の作品の特徴と言われています。ここでは映像化された中でも特におすすめの小説をご紹介します。
野球と経営をつなげた斬新なストーリー「ルーズヴェルト・ゲーム」
ドラマ化され、人気を博した作品です。不況とライバル企業によって業績が伸び悩む電子部品メーカーの青島製作所。同じくそれを象徴するかのように過去の栄光も虚しく、ほとんどの試合で負けてしまう同社の野球部。そこに追い打ちをかけるように、監督と主力選手がライバル企業のミツワ電機へと寝返ってしまいます。
経営の危機ということもあり、青島製作所の野球部は廃止されそうになってしまいます。果たして青島製作所は野球部の廃止と経営危機を乗り越えることができるのか、生き残りをかけた企業同士の戦いに目が離せないと評判です。
大企業の隠蔽と戦う中小企業!「空飛ぶタイヤ」
この作品はTOKIOの長瀬智也さんによって映画化された作品です。走っていたトレーラーからタイヤが外れ、近くにいた子供と母親に向かっていき、母親が亡くなってしまうという痛ましい事故がおきます。タイヤが外れた原因は整備不良なのか他の要因なのか、容疑者にされた運送会社の社長が究明に乗り出します。力を持たない中小企業の経営の難しさ、大企業の自動車会社の隠蔽体質が対照的に描かれています。
半沢直樹シリーズはドラマだけではなく原作小説も楽しもう!
ドラマの続編を希望する熱い声が多いドラマ「半沢直樹」を紹介しましたがいかがだったでしょうか?そして原作小説シリーズもドラマとは違う魅力がたくさん秘められています。
原作を最初から読むのもいいですし、ドラマの続きでまだ映像化していない「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」からキャストを思い浮かべながら読むのも楽しみ方の一つです。半沢直樹シリーズの他の作品もチェックしながら池井戸潤の熱く爽快なミステリの世界を楽しんでみて下さい。