雲のむこう、約束の場所のあらすじネタバレ!ヒロキとサユリのその後は?

「雲のむこう、約束の場所」は、2016年に「君の名は。」で一躍有名となった大人気アニメーション映画監督・新海誠の2作目となる2014年に公開された長編アニメーション映画作品です。今回は、「雲のむこう、約束の場所」のあらすじやネタバレを紹介しながら、物語の結末のその後、主人公たちはどうなってしまったのか等、解釈の難しいエンディングについてもネタバレありで詳しく解説していきます。

雲のむこう、約束の場所のあらすじネタバレ!ヒロキとサユリのその後は?のイメージ

目次

  1. 雲のむこう、約束の場所のあらすじや結末が知りたい!
  2. 雲のむこう、約束の場所とは?
  3. 雲のむこう、約束の場所の登場人物
  4. 雲のむこう、約束の場所のあらすじをネタバレ紹介!
  5. 雲のむこう、約束の場所の結末は?
  6. 雲のむこう、約束の場所のヒロキとサユリのその後は?
  7. 雲のむこう、約束の場所の評価や感想は?
  8. 雲のむこう、約束の場所のあらすじや結末まとめ

雲のむこう、約束の場所のあらすじや結末が知りたい!

「雲のむこう、約束の場所」は人気アニメーション監督・新海誠の初期の長編作品です。新海誠と言えば2016年夏に公開されたアニメーション映画「君の名は。」で有名ですが、その前にも何本も素敵な作品を作っています。今回は、そんな作品の中の一つである「雲のむこう、約束の場所」のあらすじやネタバレを紹介します。

また、あらすじ・ネタバレだけではなく、SF要素が盛り沢山なためなかなか物語を完全に把握するのが難しく、また特に結末の解釈が難しいと言われている新海誠作品の物語のその後、主人公たちはどうなってしまったのか等も丁寧にネタバレありで解説していきます。

雲のむこう、約束の場所とは?

「雲のむこう、約束の場所」は、2016年に大ヒットしたアニメーション作品「君の名は。」の監督である新海誠の第2作目の長編アニメーション作品で2004年11月20日に公開されました。新海誠は2016年に公開され大ヒットとなったアニメーション映画「君の名は。」の監督として有名ですが、それまでに数多くの努力をしてきたことでも有名だそうです。

新海誠は長野県生まれで、子供の頃から宇宙についてやSFの物語が大好きだったそうで、それが今彼が作る作品に色濃く影響していると言われています。宇宙についての本を数多く読み、さらに当時はまだ珍しかったパソコンで遊んでいたそうです。

高校を卒業したその後は上京し中央大学で文学を学びます。大学卒業後は在学中からアルバイトをしていたゲーム会社・日本ファルコムで働き始めます。そこでは、RPGのパッケージを製作したり、ビジュアル作成やキャッチコピーを決めたりしていたそうです。

会社員生活を送る中、「何かを自分自身で作り上げたい」という強い思いから仕事の傍ら自主制作アニメーションを作り始めます。夜中に帰宅した後、午前3時までアニメーションを製作して、その翌朝6時に仕事へ出かけるというハードな生活を送っていたそうですが、その後2001年にゲーム会社を退社し、アニメーション製作に専念する決断をします。

その後の翌年2002年に初の劇場作品となるアニメーション「ほしのこえ」を発表しました。監督から脚本、演出、作画、美術等、声優以外のほぼ全ての製作を彼自身で行い口コミで広がったほか、第7回アニメーション神戸・第6回文化庁メディア芸術祭特別賞や第34回星雲賞メディア部門など、数々のアニメーションの賞を受賞してアニメーション界で一躍有名となります。

第2作目である「雲のむこう、約束の場所」は、前作「ほしのこえ」よりも一段とパワーアップした作画や美術、また音楽も高い評価を受け、第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞をスタジオジブリ・宮崎駿監督作品である「ハウルの動く城」を抑えて受賞する快挙を成し遂げます。

その後も「秒速5センチメートル」や「星を追う子ども」「言の葉の庭」など、切なくも美しい恋物語をいくつも発表し、「君の名は。」を公開した後は世間にも広くその名が知れ渡るようになりました。今では今後の日本のアニメーション界を担う一人として注目を集めています。

「雲のむこう、約束の場所」は新海誠の作品の特徴であるSF要素、また切ないラブストーリーがとても強く反映されている作品の一つで、今まで誰も思いついたことのないような物語の設定が話題を呼んだそうです。

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雲のむこう、約束の場所の登場人物

「雲のむこう、約束の場所」は宇宙や新しい国家など、複雑で難解な要素で構成されています。ここでは、「雲のむこう、約束の場所」のネタバレ、あらすじ、また登場人物についてだけでなく、劇中に出てくる重要な単語の説明もしていきます。

藤沢浩紀(ふじさわ ひろき)

本作の主人公で、性格はやや子供っぽいところがありムキになって張り合ったり自分の意見を通そうとしたりします。サユリがいきなりいなくなってしまったことにより塔を見ることを避け続け、中学を卒業してからは地元の青森を離れて東京の高校に進学します。サユリの影響を受けてバイオリンを練習し始めて、数年後にタクヤと再会した際にはバイオリンで演奏ができるようにまでなります。

白川拓也(しらかわ たくや)

ヒロキの良い親友ですが、性格はヒロキと正反対で非常に論理的で大人びています。中学を卒業してからは地元・津軽半島の高校に進学します。その知的さから物理学に関心があり、登場人物の一人である岡部の紹介により富澤教授のユニオンの塔についての研究に参加することとなります。

沢渡佐由理(さわたり さゆり)

この物語のヒロインで、ヒロキ、タクヤの二人ともが密かに想いを寄せているクラスメートです。非常に明るい性格の持ち主ですが、どこか儚げなところがあります。飛行機・ヴェラシーラに乗ってユニオンの塔へ行くことを主人公たちと楽しみにしていましたが、その後中学3年生の夏に原因不明の眠り病を発症し東京の病院で入院することになり、二人の前からいきなり姿を消すこととなります。

岡部

飛行機・ヴェラシーラを作る際に必要な資金を稼ぐためにヒロキとタクヤがアルバイトをする蝦夷製作所の社長で、アメリカ軍の下請けでミサイルの部品を組み立てたりしています。富澤教授とは昔から知っている仲です。ネタバレになりますが、南北分断が起こった時に妻と別れているという過去を持っています。

富澤教授

青森アーミーカレッジで働いており、また、研究所の室長でもあります。タクヤが参加することとなるユニオンの塔についての研究の第一人者で、塔の重大な秘密を突き止めます。これについては、あらすじの欄でネタバレを含め詳しく紹介しています。

ユニオン

ユニオンとは、日本の蝦夷、つまり北海道を占領している共産国家の名前です。塔が作られたのは戦後直後である1974年と劇中で説明がありますが、どのような理由で戦後南北が分断されたりしたのかなどの説明はありません。しかし、後に出版された小説の中には「1956年に、ユーラシア大陸を統治するユニオン圏に統合され、1975年に南との国交を断った」という記述があります。

ユニオンの塔

南北の国交を断った後に蝦夷に建設された巨大な白い塔。建設目的は不明で、誰にも明かされていません。人々にとって塔は誰の手にも届かない、変えることのできないもの、定め、という象徴として見られています。富澤教授やタクヤはなぜこの塔が建設されたのかや塔の構造について研究を進め、塔の秘密を突き止めていきます。

雲のむこう、約束の場所のあらすじをネタバレ紹介!

ここではそんなアニメ映画「雲のむこう、約束の場所」のあらすじをネタバレありで詳しく紹介していきます。あらすじの始まり、「雲のむこう、約束の場所」の舞台は、現実ではないもう一つの戦後の世界で、1996年の日本が南北に分断されている世界となっています。

世界の半分を覆っていた共産国家群「ユニオン」は北海道がモデルとなっている「エゾ」と呼ばれる組織を配下に従えて、島の真ん中にとても高い純白の塔を建造していましたが、なぜそれを建設しているのかは誰にも分かりません。

主人公たちである中学3年生の青森県の津軽半島に住むヒロキ(藤沢浩紀)とタクヤ(白川拓也)の二人は、その不思議で大きな塔に憧れて、飛行機で津軽海峡を渡り塔まで行く計画を立てます。二人はそのための飛行機を用意するべく、廃駅の格納庫で密かに飛行機製作を進めています。国家に反するこの行動のことはもちろん誰にも言いませんが、ある時ヒロキが口を滑らせて、クラスメートの沢渡佐由理(サユリ)にばれてしまいます。

幸いなことに、サユリは飛行機「ヴェラシーラ」に強い興味を持ち、計画に参加してくれることになります。ヒロキとサユリは「ヴェルシーラが完成したら、サユリを塔まで連れて行く」という約束をします。飛行機「ヴェラシーラ」の製作も着々と進み、飛行機の完成が近づくにつれて3人の絆も深まりますが、突然サユリはヴェラシーラの完成を目前に控えていなくなってしまいます。

サユリがいなくなってしまい、ヒロキとタクヤはヴェラシーラの製作を止めてしまいます。彼らにとってヴェラシーラを作って塔に行くのはサユリのためでもあったのでした。

そして舞台は時間が経った3年後の1999年。タクヤは塔を破壊しようとする反「ユニオン」組織の「ウェルタ解放戦線」と呼ばれる組織に内通していて、在日米軍のアーミーカレッジで塔の握る秘密を必死に探っていました。タクヤの指導教官である富澤教授は、塔の重大な秘密を突き止めます。

ネタバレになりますが、その秘密とは、塔は未来を予測するために建てられたもので、塔の周りはそれにより平行宇宙に侵食されて危険な状態であること、また、塔の設計者・エクスン・ツキノエには孫娘がいて、彼女が原因不明の病で3年間も眠り続けている、ということでした。

タクヤが塔について研究している一方、ヒロキはサユリがいなくなったことに大きなショックを受けて青森から東京に移り住んでいました。ヒロキは、サユリが荒れ果てた世界を一人さまよい、ヒロキの名前を呼んでいるという奇妙な夢を見ます。夢の中でどうすることもできず苦しむヒロキの元に、ある時突然サユリが3年前に書いた手紙が届きます。

その手紙には、サユリは原因不明の眠り病にかかってしまい、東京の病院に入院したと書いてありました。その事実を知ったヒロキは急いで病院に向かいますが、サユリは既に他の病院に転院していました。しかし、ヒロキはサユリの入院していた病室で再び不思議な白昼夢を見ます。そこで、サユリを助けるためには昔交わした約束を果たさないといけないと悟ります。

実は富澤教授はサユリを塔と何か繋がりのある人物だと確信しており、東京から青森の病院に転院させてサユリを監視していました。ヒロキがサユリについての白昼夢を見た瞬間、サユリの意識レベルが急上昇し、平行宇宙の侵食がさらに拡大したのを発見します。サユリがこの眠りから覚めると何が起こるか分からないと考えた富澤教授は、サユリとタクヤを会わせます。

富澤教授はタクヤに「サユリはもうすぐアメリカに移送される」と告げます。国家ユニオンとアメリカの関係は緊張状態にあり今すぐ戦争が起きてもおかしくない状況で、サユリをアメリカに移送するのは貴重な研究のサンプルをその戦火から守るための決断でした。

そんな中、ヒロキは青森に戻ったときにタクヤと再会を果たします。そしてヒロキはタクヤに、ヴェラシーラにサユリを乗せて塔に連れていき、昔の約束を果たしたならきっとサユリは目を覚ますはずだと伝えます。タクヤはサユリが目覚めたらこの世界が消滅してしまうことを知っていたので最初はヒロキのこの考えに強く反対しますが、最終的にヒロキと共に昔の約束を果たすことを決意します。

タクヤはサユリを軍の病院から連れ出すことに成功し、タクヤとヒロキは未完成である飛行機・ヴェラシーラの完成を急ぎます。ヒロキはサユリを後部座席に乗せて、ついに塔へと向かいます。サユリは夢を見ていて、その夢の中でもうすぐ自分が目覚めるということに気づいていました。

サユリが目覚めてしまうと、夢の中で気づいたヒロキへの恋心も忘れてしまうのです。それだけは忘れたくないと強く願いますが、目が覚めるとそのこともすっかり忘れているのでした。サユリが目覚めて、平行宇宙の侵食は急速に進み、現実世界を暗闇が包んでいきます。ヒロキは、塔に爆弾を落とし破壊して、平行宇宙の侵食を止めます。

それから長い時が経って、大人になったヒロキは津軽半島に向かっていました。思い出の廃れた駅はそこにありましたが、昔存在していた塔はそこになく、そのヒロキの隣には誰もいませんでした。

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雲のむこう、約束の場所の結末は?

「雲のむこう、約束の場所」のあらすじをネタバレありで紹介してきましたが、結末、そして登場人物たちのその後などは、謎が多く残されたまま映画が終わってしまいます。ここでは、そんな難解な結末に関わるネタバレを含めて詳しくタクヤたちのその後を説明していきます。

拓也は銃撃から助かる

ヒロキは銃撃に巻き込まれてしまいますが、運良く銃撃から一命を取り留めます。そしてサユリは飛行機・ヴェラシーラに乗って、ユニオンの塔の近くまで行きます。並行宇宙を食い止めるためにユニオンの塔を破壊し、それと同時にサユリは深い眠りから目を覚まします。

約束の場所についてサユリは、「タクヤのことを忘れませんように」と懸命に祈ります。しかし、その祈りも届くことはなく、サユリが目覚めた直後にタクヤは「サユリ」と呼んだのに対して、サユリはタクヤのことを「藤沢くん」と名字で呼びます。夢の中では「ヒロキくん」と呼んでいたことから、夢の中で考えていたサユリの想いは全て忘れられたと考えられます。

夢の中で育んでいたサユリとタクヤの関係はなくなってしまい、サユリは「伝えたかった大事な何かを忘れてしまった」と泣いてタクヤに言います。タクヤは「約束の場所がなくなったこの世界でも、僕たちは生きていく」と力強い言葉を残して映画は終わりますが、そのタクヤの願いさえも叶わなかったのかもしれません。

あらすじだけ見てみると、ハッピーエンドのような結末だと思わせておいて実は、オープニングのシーンを思い出してみると、タクヤが一人で青森を訪れていたのを思い出し、バッドエンドだと気付かされます。つまり、もうサユリとタクヤは一緒にいないのでした。

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雲のむこう、約束の場所のヒロキとサユリのその後は?

「雲のむこう、約束の場所」は結末が曖昧なので、キャラクターたちのその後がどうなってしまったのかいくつかの考察が挙げられます。結末の考え方を観客に委ねるこの手法は、新海誠監督はよく好んで行うものです。結末をあえて詳しく描かないことで、観客がキャラクターたちのその後を自由に想像することができます。まず、一つ目は、サユリが帰らぬ人となってしまったという案です。

ヴェラシーラにサユリを乗せて、ユニオンの塔の近くまで行くと、サユリは長い夢の世界から目覚めます。その後、何らかの原因でサユリの容態が悪化し、サユリが亡くなってしまうという考察です。サユリは目覚める直前に「一瞬でもいいから、今の想いを伝えたい」と言い残しています。サユリは意識が戻ったとしても、自分の体がそう長くは持たないことをぼんやりと感じ取っていたのかも知れません。

ユニオンの塔や並行宇宙と深い関係を持つサユリは、塔が完全に破壊された後に身体の調子が悪くなるということも否定できません。また、長い間眠っていたこともあるので、上手く自分の身体をコントロールできないという可能性もあります。また、そもそも、映画で登場するサユリの回想シーンは「精神世界」「夢の中」「並行宇宙」「死後の世界」とどの世界とも取れるような非常に曖昧なものです。

二つ目のサユリのその後の考察は、サユリが再び深い眠りについてしまうというものです。あらすじでもあったようにサユリの意識と深く関係していたユニオンの塔ですが、そのユニオンの塔が墓逸されてしまったので、サユリの身体に異変がまた起こってしまう可能性は十分に有り得ると言われています。

そして三つ目のサユリの結末についての考察は、「ヒロキと別れて全く別の人生を歩んでいく」という結末です。映画「雲のむこう、約束の場所」の結末的には、最終的にヒロキと一緒に生きていくのか?と思わせるような終わり方でもありましたが、その後、サユリはこの物語に関するどの人とも関わることなく別の人生を歩んでいく、という結末も考えられているようです。

サユリは、深い眠りの中でヒロキを想っていましたが、並行宇宙の侵略を止めるためにユニオンの塔が破壊されるのと共に、その夢から目覚めてしまいます。そしてサユリは、その夢の中で見ていたもの、想っていたことなど、全てを起きた瞬間に綺麗さっぱり忘れてしまうのです。つまり、夢のなかでタクヤに対して抱いていた「好き」という感情も完全に失ってしまうのです。

つまりその後タクヤとサユリが一緒に暮らしたとしても、夢の中で抱いていたような感情が生まれない、という可能性も十分にありえる、ということが言えます。また、映画の中で破壊されてしまうユニオンの塔が、「離れ離れだったときもずっと心で繋がっていたことの象徴の崩壊」を表しているようで、彼らの別れを暗示しているとも言えそうです。

「雲のむこう、約束の場所」でのオープニングシーンは、タクヤたちが大人になっているシーンから始まります。タクヤは自分の故郷である青森を一人で訪れますが、その時タクヤはもしかしたら、壮絶な中学時代を懐かしむために青森を訪れていたのかもしれません。そして、思い出の中にだけ鮮やかに残り続けるサユリを想っていたのかもしれません。

エンディングまで見なければ、このオープニングシーンは疑問ばかり感じると思いますが、最後まで見た時にオープニングの意味が分かるというのはとても粋な演出だと言われています。2016年に公開された新海誠監督の最新作「君の名は。」でも、オープニングシーンは、この物語の最重要な彗星が落ちるシーンから始まっています。このような観客に謎を振りまいていく演出法は、新海誠の好きな演出の一つなのかもしれません。

小説版に後日談がある

実は、映画「雲のむこう、約束の場所」には小説も存在しています。しかしこれは原作者かつ監督の新海誠ではなく別の作家が書いたものなので、映画とは違う要素もちらほらとあります。しかし、小説と映画で大きく違うのは、サユリとタクヤのその後を小説版ではしっかりと説明しているというところです。

小説では、「サユリはタクヤと一緒にいるとタクヤに頼りすぎてしまう。サユリは、きちんと一人の人間として自立するためにタクヤのもとを離れていった」という風に書かれています。夢の中であんなに二人とも想い合っていたのに意外、という声もありますが、あくまでこれは新海誠ではなく別の作家さんが書いたものなので、このような解釈の仕方もある、という風に受け止めたほうがいいかもしれません。

このように様々な主人公たちの結末が考えられる「雲のむこう、約束の場所」は、ハッピーエンドというよりどこか寂しげな切ないエンディングの映画として知られているようです。新海誠作品でよく出てくるキーワード「寝て、起きたら忘れてしまう」というコンセプトがふんだんに使われている作品となっています。

雲のむこう、約束の場所の評価や感想は?

これまでネタバレありであらすじを説明してきましたが、映画「雲のむこう、約束の場所」には、感動した!という良い評価から内容が複雑でよく分からなかったというものまで様々です。ここでは、あらすじやネタバレではなく、観客による「雲のむこう、約束の場所」についての評価や感想をを紹介していきます。

「雲のむこう、約束の場所」は悲しい物語ではありますが、一方で中学生たちの青春や恋愛模様を赤裸々に描いた青春映画としてとらえることもできます。自分の昔の体験と重ね合わせてこの映画を見てしまう観客の方も多かったのではないでしょうか。多くの中学生時代の恋愛が遠距離や進路などいろんな障害に遮られて最終的には淡い青春の1ページとなってしまうのをよく描いていると言われています。

タクヤとサユリが飛行機・ヴェラシーラやバイオリンを通じて仲を深めていく様子を見た後にいきなりサユリが姿を消してしまってからのタクヤの様子を見て、さらに意味深なラストシーンを見るといろんな感情がわきあがってくるようです。美しい青森の風景と切ない恋物語がマッチして、とても美しい詩のような作品に仕上がっているので、それに感動する人も多いようです。

しかし中には、この方のように「雲のむこう、約束の場所」の世界観に上手く入り込めなかった人も多数いたようです。SFファンの中でも、世界の設定が複雑だと見せかけておいて、実はあまり繊細には考え込まれていないので稚拙だという意見も目立ちました。それが、この世界観に上手く入りこめない人がいる原因の一つなのかもしれません。そもそもSF自体が苦手という人もいるので、難しいところです。

中には、「長時間見るのさえも苦痛」とまで思う人もいるくらいなので、この世界観が合うか合わないかは個人差があるようです。「雲のむこう、約束の場所」では、主人公のサユリが夢のなかで想っていたタクヤへの気持ちを忘れてしまう、ということをSFの物語と絡めているストーリー構成になっていますが、SFの部分を除くと謎な部分はなくなり逆に味気なくシンプルだということが分かります。

新海誠作品でいつも特筆すべき点は、背景美術の美しさです。新海誠は、数々のインタビューの中でも「人物の表情を描くのはあまり得意ではなく、それより人々が生活しているその舞台である背景を描く方が好きで得意である」ということを度々話しているようです。そのインタビューでも言っているように、実際に新海誠作品の背景は繊細で感情さえも表しているようで、作品の基盤となっています。

そして、ハッピーエンドが好きな人もいれば新海誠作品のように、結末が曖昧で、なおかつどこか切なさを感じるような終わり方を好む人もいます。わたしたちの生きている人生には楽しいことばかりではないので、そのような人生のリアルさをよく表しているのが人気の秘密でもあるようです。また、キャラクターたちのいろんなその後が観客の想像に任されているのは、世界観に深みを増すよい終わり方の一つなのかもしれません。

感想の中には、「SF感のあるものや壮大な内容を詰め込みすぎて、説明が十分ではなく無理やり時間内に終わらせたという雰囲気を感じる」というものを多く見かけました。時間が少ないため物語はサクサク進むのですが、時折サクサク進みすぎて、大事なことを説明しきれてなかったり、曖昧なまま物語が進んでしまっている、と感じる観客の人も多かったようです。壮大な物語を説明しきれないだけに、物語が浅い、と感じてしまうようです。

また、新海誠作品の中で最大のヒットとなった故に「君の名は。」と「雲のむこう、約束の場所」を比べた感想も多かったのですが、どちらにも共通して言えるのは、特に男性のメインキャラクターが何もすることができないという物語路線だということです。これは、新海誠監督の実際に生きている上で感じたことかもしれないし、好きな物語の構成の仕方なのかもしれません。

「雲のむこう、約束の場所」は、新海誠の初期の作品だということもあり、新海誠が好きな「切なく叶うことのない恋物語」、すれ違いを象徴する「電車」、主人公たちの心理描写も大きく助けている綺麗な「背景美術」など、 新海誠の作品と言えば、というようなモチーフが数多く、ふんだんに使われている作品となっています。なので、新海誠作品が好きな人にとってはとても充実した1作に仕上がっていると言われています。

新海誠は「物語よりも先に描きたいビジュアルが思いつく」とインタビューって言っているそうで、そのビジュアルに物語が後付けされているのが画面に表れてしまうときもあるようです。物語を考えるのは難しいですが、新海誠は物語よりも先にどのような絵を描きたいか、というのを先に思いつくクリエーターのようです。そこが、宮崎駿や細田守など他のアニメーション監督との違いを生み出しているところの一つなのかもしれません。

新海誠監督の作品は、作品ごとに微妙にテーマが違うため、それぞれの作品が繋がっている用に感じる人もいるようです。確かに、2016年に大きくヒットしたアニメーション映画「君の名は。」が今までの新海誠の作品と違うのは、ハッピーエンドかそうではないか、というのが一番大きいのではないかと言われています。やはり、ハッピーエンドだと観客は嬉しい気持ちになれるので、そこが世間的にヒットするかどうかの違いだと言われています。

新海誠の作品を第1作目から制作された順番に見ると、映画の中でもキャラクターが成長していたり、違う世界観の中でも共通した思いやテーマを見ることができて面白いと言われているそうです。「雲のむこう、約束の場所」では約束の場所が失われ、なおかつ主人公たちは結ばれることもなく切ないエンドとなっていますが、「君の名は。」ではまた違った恋物語を見ることができます。

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雲のむこう、約束の場所のあらすじや結末まとめ

「雲のむこう、約束の場所」はネタバレありであらすじを紹介した通り、SFの要素も強く結末が曖昧なまま終わってしまうので、物語自体や主人公たちのその後の解釈が難しいと言われていますが、どこか儚いラブストーリーや、壮大な世界観が美しいと沢山の人から愛されている作品でもあるようです。

新海誠監督の作品は「君の名は。」からも分かるように、物語だけでなくどれも背景が特に美しく、その繊細な美術に惹かれる人も多いそうです。今、新しい作品を製作中とのことで、公開が待ちきれない人が沢山いるようです。まだ今作品の「雲のむこう、約束の場所」を見たことがない人は、是非見てみてはいかがでしょうか?

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