2018年09月24日公開
2018年09月24日更新
スパイダーマン東映版(日本)はどんな作品?巨大ロボ・レオパルドンとは?
世界各国に存在するスパイダーマン。その中でも知る人ぞ知るメイド・イン・ジャパンの幻と言われている東映製作のスパイダーマン。後のハリウッド版スパイダーマンの製作に「どのくらいの衝撃を与えたのか?」「何故に幻と言われ続けているのか?」など、その驚きの内容と真実、放送当時のマーチャンダイジングの成功や東映と言えば、現在も続いているスーパー戦隊。その礎となった「巨大ロボ・レオパルドンとは?」一体何だったのかをたっぷり紹介。
目次
スパイダーマン東映版(日本)はどんな作品?巨大ロボ・レオパルドンも紹介
東映の十八番と持ち味をフルに活かした完全日本向け作品。マーベルコミック版を知らなければ全く新しい東映ヒーローだと思っていたお友達は多数(自分 含)。何より画期的だったのは巨大ロボ・レオパルドンに乗って戦うというのが、今までの東映ヒーローと違うカッコよさで、等身大のヒーローと巨大ロボの2つの戦いが観る事ができるというのが大ウケし、平均視聴率は14%を稼いだ人気番組だった。
スパイダーマンには東映版(日本)が存在していた?
スパイダーマン東映版(日本)が放送されたのはいつ?
1978年5月17日から1979年3月14日まで毎週水曜日19:30から20:00という今では到底無理なゴールデンタイムに 東京12チャンネル(現 テレビ東京)で放送された。エピソードは全41話。この画像は当時の台本で初期と後期ではロゴデザインが違う。
ちなみに放送されていたエリアは
同時ネット局はなく、遅れて放送されていたのが北海道文化放送、東北放送、秋田テレビ、新潟放送、信越放送、北陸放送、静岡放送、中部日本放送、関西テレビ放送、山陽放送、中国放送、テレビ西日本、瀬戸内海放送の13局のみ。放送されていないエリアでも人気があったのは当時の子供向け雑誌との連動が好評だったから。ちなみにこの画像は当時の子供向け雑誌に掲載されたもの。
スパイダーマン東映版(日本)はどういう経緯で製作された?
原作はもちろんマーベルコミック版のスパイダーマン(この画像がマーベルコミック版)当時、東映とマーベルコミック社との間で「お互いのキャラクターを3年間自由に使用して良い」という契約から生まれたのがスパイダーマン東映版。しかし、原作のままでは日本向きの話しにならず、契約上「自由に」という点から、スパイダーマン以外のキャラクターやストーリー、設定など東映の独創で製作する事になった。
音楽もメイド・イン・ジャパン
オープニングテーマは「駆けろ!スパイダーマン」作詞は八手三郎、作曲は渡辺宙明。歌唱はヒデ夕樹でという当時のヒーローものにおけるゴールデントリオが担当。曲間に入っているセリフは外国人が担当したが、なぜかフランス人が録音現場に来てしまい、発音がままならず(レオパルドンが何回やってもリオパルドンになってしまう)録音が難航するという逸話を残している。
サントラ盤はクオリティが高く、ファン多数
2001年にCD化された際にはボーナストラック(オープニングテーマ曲のメロディインスト版、レコード盤には未収録だったBGM等)を収録。サントラも渡辺宙明(当初はウルトラセブンで有名な冬木透の予定だった)が担当しパーカッションを多用した組曲風の楽曲は今、聴いてもクオリティが高いのでファンが多い。やはり権利関係上、ジャケットにスパイダーマンの姿はない。
スパイダーマン東映版(日本)の衝撃的な内容とレオパルドンとは?
そもそもの設定が
まずは、この画像を見ていただこう。山城拓也(スパイダーマンの正体)は宇宙科学者である父の研究成果の悪用をしようと企む異星人モンスター教授により殺された。そのモンスター教授を追って、故郷スパイダー星を滅ぼされたスパイダー星人のガリアからクモの能力を与えられて、スパイダーマンとなり父とガリアの敵討ちの為にモンスター教授率いる鉄十字団と戦うという内容。東映の十八番設定なので日本人には馴染み深い。
今までにない斬新な変身方法
「回転して変身」「特殊カプセルに入り変身」ではなく、左手首に装着している「スパイダーブレスレット」のメインスイッチを押すと、スパイダーマンのスーツである「スパイダープロテクター」が射出され、己で着用するという今までにない斬新な変身方法。いろんな意味で人に見られたくない変身方法である。ちなみにスパイダープロテクターは特別な繊維で作られており、小さくたためるのでスパイダーブレスレット内に収納可能という優れもの。
これがスパイダーブレスレットだ!
この画像を見ていただきたい。ブレスレット内にスパイダープロテクターが収納されている。ミサイルまで発射できちゃう危険なブレスレットである。モニターも完備されているが、チューニングはダイヤル式というのがアナログ感覚でなお良し。
スパイダープロテクター射出!
ちゃんと着用しやすいように目の前に現れてくれる配慮に感謝。後のハリウッド版よりはスピーディーな変身で、世界各国で作られているスパイダーマンの中では1番の着用の速さ!この画像がスパイダーブレスレットから射出されたまるで抜け殻のようなスパイダープロテクターである。しかし、このスパイダープロテクターは銃弾を弾き、数千度の高熱にも耐える防護服となっている。
ひとりでできるもん
わかりづらい画像だが、「スパイダープロテクター」背中の部分である。サイズが違っていたり、破れていたりしたらどうしよう?という心配は不要。だって、特別な繊維でできているから!最後にちゃんと背中のジッパーは自分で閉める事。
CGを使わない捨て身のアクション!
当時CGなど無かった時代。撮影に使用しているスパイダーマンのスーツの胸や腹には穴が開いてある。この穴にワイヤーやロープを通し、ロープが常に見えないようにロープを持ったスタッフと一緒に移動し。 カメラが追いながら撮影する。 合成やトリックを使わない演者、スタッフ、カメラマンの呼吸が合わないとできないアクションはマーベル側にも衝撃を与えた。
スパイダーマンは巨大ロボ・レオパルドンに乗って戦う!
レオパルドンの能力が一目でわかる画像である。巨大化した敵は等身大ヒーローではとてもじゃないが太刀打ちできない!そんな敵にはレオパルドン。全長60メートル、重量2万5千トンの巨大ロボ。毎回レオパルドンで最後に敵を倒してしまうので、スパイダーマン自身が敵を倒すという描写は皆無に等しい。東映の巨大ロボの中で最も最速で敵を倒してしまうのがレオパルドン。
母艦・マーベラーについて
レオパルドンの前にマーベラーを召喚しないと始まらない。マーベラーでの戦いというのもあるが、ほぼ直ぐにレオパルドンに可変してしまうので、この画像が一番マーベラーに関してわかりやすい。「エジプトの古代文明はスパイダー星人が創ったもの」という設定もあり、スフィンクスがモチーフとなっている。
その前に愛車のスーパーカーに乗ろう!
マーベラー召喚前に重要なのが愛車「スパイダーマシンGP-7」でかっ跳ぶ事(最高時速500km、空中はマッハ5で飛べる)スパイダーブレスレットで母艦・マーベラーを召喚してGP-7をドッキングさせる。スパイダーマシンにはミサイルランチャーが装備されていて、巨大化した敵にはそこそこ有効打なのだが、ジャブ程度なので、レオパルドンを登場させない訳にはいけない。
母艦・マーベラーとドッキングしたスパイダーマシンはコックピットとなり、”マーベラー、チェンジ!レオパルドン!!”の一声でマーベラーは巨大ロボ・レオパルドンに変身。巨大化した敵を多彩な武器を使用して撃破するのであった。このレオパルドンの登場で「等身大ヒーロー戦と巨大ロボ戦」という一粒で二度おいしい仕組みが確立され、スーパー戦隊シリーズ3作目である「バトルフィーバーJ」から巨大ロボが登場した。
スパイダーマン東映版(日本)を見た人の感想とは?
東映版スパイダーマンは、毎回違う名乗り口上もそうだが、名乗りの際に様々な角度から幾度となく色々なポーズを見せつけられるのもウケるw#スパイダーマン pic.twitter.com/8dbFeZa1Az
— サトルさん@昭和60年男 (@fancy19851020) September 12, 2018
名乗り口上は東映の十八番。剣劇、時代劇時代からの名残でもあり、現在でもスーパー戦隊やプリキュアシリーズなどで使われてます。海外からは「何故、敵とすぐ戦わない!?」という声が多いが、日本人を理解していない証拠でもある。
スパイダーマンって言うと 東映版のスパイダーマンを真っ先に思い出すよ(笑
— 保登心愛🌸姉ココア (@Coco__Chino) September 14, 2018
ハリウッドで製作されると聞いた時にはワクワクした半面、レオパルドンが出ない事にショックした人も多数。日本人のDNAには東映版が宿っている。「パシフィック・リム」など巨大ロボの戦いを描いている作品も近年あるので、次回のハリウッド版は東映版をベースにした作品を作れば大ヒット間違いなしと世界中で切に願っている。
スパイダーマン東映版(日本)の方が本家より面白い!
アメコミは一度こじらせるとダメだね。スパイダーマンも東映版に慣れ過ぎたせいでソニーピクチャーズ版に違和感覚えるようになったモン。なんだよレオパルドンもマーベラーもモンスター教授も鉄十字団も出てこないって!そんなのスパイダーマンじゃねぇ!(個人の感想です
— みなもりゅうぞう (@dj_minamo) September 5, 2015
このツウィートの様に中毒性が高いスパイダーマン東映版。しかもアクションはマーベル側を震撼させた、合成やトリックを使用しない完全捨て身のアクション!東映版から入ってしまうと他のスパイダーマンが物足りなくなってしまう。やはり、世界的に足りないのは敵の設定とロボットなのだ!と思っていたらマーベルコミック版に。
本家と違いすぎて別物
原作者であるスタン・リーを筆頭としたるマーベルの製作チームはハイレベルな特撮技術とスパイダーマンというキャラクターが表現されているアクションに高評価。特にスタン・リーは日本版だけは別格と認めている。長年、レオパルドンの追加にマーベル側が激怒したため封印したと言われ続けてきたが、「日本で子供向けビジネスとして成功されるにはレオパルドンが必要!」というのを実は理解されていた。
ついにマーベルコミック版に登場!
マーベルコミックには「マルチバース」という所謂パラレルワールド(並行世界)があり、全世界のスパイダーマンが集結した『スパイダーバース』に東映版もマーベラー、レオパルドンと共に参戦。決め台詞である「俺は地獄からの使者!」もまるっと英訳してくれた、マーベルに感謝感激。という事は実写でも可能性大?
スパイダーマン東映版(日本)のおもちゃは当時大ヒットした!
劇中アクション以上を再現!「スーパーアクション スパイダーマン」
劇中での糸を張って(自分で張らないといけないが)の綱渡り移動はもちろん、「スパイダーマグネット」を使用すると机などにくっつく!「スパイダーバキューム」を使用すればガラス窓にくっつく!など劇中アクションを可能な限り再現。さらに「スパイダーミサイル」という全く劇中に出てこない武器まで付いてくるという内容にお友達のテンションは最高潮!
廉価版のプラ製もあり
ちょっと判別しづらい画像だが、全てプラ製だが綱渡りアクション可能。飛ばせることはできないがスパイダーカプセルにはプロペラを装着。そもそも劇中にカプセルは登場しないのだが。この時期はスーパー戦隊は製作されておらず、スーパー戦隊2作品目「ジャッカー電撃隊」の強化カプセルを流用したものである。
劇中での可変を再現に感涙!「DELUXE超合金 レオパルドン」
ポピー(現 BANDAI)から発売され、マーベラーからレオパルドンに完全可変!劇中そのままを再現できたのがお友達に大ウケし大ヒット。
主役のおもちゃよりも売れてしまったのが良いのか悪いのかわからないが、結果良ければすべて良し。但し、調子にのって可変させ過ぎると腕の部分のメッキが剥がれてしまうという当時の技術だった。
可変しないスタンダード版もあり
DELUXE版より安価だったため、この可変しないレオパルドンを買い与えられて当時、悔しい思いをしたお友達も多いはず。ちょっと裕福な友達は当然の如くDELUXE版を持っていたので、完熟フレッシュではないが「生まれてくる家、間違えたぁ!」という心の叫び多数。
可変はしないが、デカさが人気!
当時、マジンガーZやグレートマジンガーの大ヒットから誕生した「ジャンボマシンダー シリーズ」全長 約80cmの文字通りジャンボなフィギュア。手にはロケットパンチが付いていて発射可能!レオパルドンも発売され人気ではあったが、可変する超合金には勝てず。画像だけでもレアなのだが、とても希少価値の高い商品で一部のショップでは「未使用完全美品」100万円買取もあり。
愛車スパイダーマシンGP-7も大人気!
当然、フロントからはミサイル発射!6本付属しているがガンガン発射して遊ぶのでミサイルはしょっちゅう紛失してしまう。マーベルキャラクターなので左ハンドルであり、おもちゃでは再現できていないが、タイヤはFireStone(ブリヂストンの米版ネーミング)を装着している。東映のマーベルへの配慮を感じるのであった。
ラジコン版 GP-7もあった
ミサイル発射のギミックやスパイダーマンも乗ってはいないが、操る自分はスパイダーマン気分。左右への操作、停車もできるラジコン版GP-7。「ドラコン」というネーミングは「ドライブコントロール」の略称であり、超合金版と違い、実際に走らせる事ができるというのが人気。残念ながら最高時速500kmは出ないし、マッハ5で空中は飛べない。
大きくなったお友達にはコレ
2006年7月に「超合金魂 レオパルドン&スパイダーマン」が発売。当然、マーベラーからレオパルドンに可変!GP-7は大と小の2台、スパイダーマンも「ソフビ魂」版とGP-7の大に乗せる事ができる2体を同梱した、放送当時を知らなくても欲しくなってしまう内容とクオリティ。
日本独自のコミカライズも見逃さない!
この画像の左から順に「冒険王」に掲載されていた すがやみつる版、「テレビランド」に掲載されていた 斉藤栄一版、「テレビマガジン」に掲載されていた 津原義明版、「たのしい幼稚園」に掲載されていた 森藤よしひろ版の4種類。自由度が高く、テレビ放送とは一切リンクしない。しかもレオパルドンが登場するのは森藤よしひろ版のみ。
忘れちゃいけないコミカライズ版があった
スパイダーマン東映版が製作される前に日本に存在していた池上遼一によるコミカライズ版。マーベルコミック版の翻案漫画として「月刊別冊少年マガジン」に1970年1月号から1971年9月号まで連載されていた。翻案漫画だが主役や場所を日本に移しての設定としたが、話が進む事に独自路線を歩んでしまい、悲惨な結末話やスパイダーマンが登場しない話まである。
本家だけでなくスパイダーマン東映版(日本)も観てみよう!
VHS版(第1話、第31話、劇場版を収録。しかも1巻のみ)は発売されていたものの、権利関係からDVD化は不可能と言われ続けていたが2005年に奇跡のDVD化。しかも限定BOX販売のみでレンタル版はなし。オープニング等はネットで観る事ができる。
2009年3月5日からマーベル公式サイトで英語字幕付(音声は日本語)幕無料配信が開始され、毎週木曜日に新作エピソードが追加されていたが現在は中止している。