僕だけがいない街がNetflixでドラマ化！評価・感想や映画版との違いは？

タイムリープを題材にしたミステリー作品という王道ながら独自の世界観で高い人気を集めた僕だけがいない街。過去には実写映画化、アニメ化をされていますが、3度目の映像化として有料動画配信サービスNetflixのオリジナル作品としてドラマ化される事になりました。原作コミックが完結してからは初の映像化という事で原作ファンの期待も高まっていました。

今回は既にNetflixにて公開されているドラマ版僕だけがいない街の評価や感想などを紹介すると共に、同じく実写映像化作品である映画版との違いなども紹介していきます。

ドラマ版の詳しい話をする前にまずは僕だけがいない街という作品全体について、さらにドラマ版の監督など作品の外側の部分などを紹介していきます。

僕だけがいない街はKADOKAWAの発行する漫画雑誌、ヤングエースで連載されたコミックが原作となっています。2012年から連載を開始し、2016年に全9巻で完結しました。連載中にはマンガ大賞やこの漫画がすごいなどの漫画賞に何度もノミネートされ高い人気を集めました。

作者の三部けいさんは僕だけがいない街以前にもミステリー作品ホラー作品を中心に比較的短いペースで多くの作品を連載してきました。僕だけがいない街は三部けいさんにとってもヒット作であり、同作の外伝作品となる「僕だけがいない街Re」を地続きで連載し、本編では物理的に描けなかった場面などを描きました。

僕だけがいない街は連載中から高い人気を誇った事から、今回のNetflixオリジナルドラマとして映像化される前にも既に2度映像化されています。最初に映像化されたのが実写映画、そして続いてアニメ化されています。どちらの作品も連載中に製作された事から完結までの展開が分かっておらず、一方で僕だけがいない街の1つの事件を追う形式の構成から物語として完結させる必要があった事からオリジナル展開がされています。

実写映画化はその展開から成功とは言えない状態でしたが、アニメ版は原作人気にさらに火を付けるなどして一定の効果があったと言えます。一方で既に原作が完結した状態から作られるNetflixオリジナルドラマ版はそのような背景から公開前から特に原作ファンに高い期待をかけられていました。

Netflixオリジナルドラマ版の監督を務めたのが下山天さんです。これまでは映画はもちろん、ドラマ、ミュージックビデオ、Webムービー、ライブビデオなど実に幅広い製作に関わってきた実績を誇っています。しかしそんな下山天さんも当初は日本の製作手法とは大きく異なるNetflixの構成に驚かれたそうです。

Netflixから下山天さんは「1つの映画を作るつもりで作ってくれ」「12話全て出来てからチェックする」と言われたそうです。日本のドラマの現場では1話ずつチェックをするのが当たり前なので、びっくりしたとしながらも「この方がクリエイターのやりたい事を思いっきりやれる」とやりやすさも感じたようです。

ここからは僕だけがいない街のNetflixオリジナルドラマ版に出演したキャストを紹介していきます。過去に実写映画化されている僕だけがいない街ですが、Netflixの「そのキャラクターのイメージに合う人をキャスティングする」という方針もありキャストは一新されています。

僕だけがいない街の主人公藤沼悟は、物語開始時点ではデビューはしているものの売れない漫画家をしながら、それだけでは生計を立てられないのでピザ屋でアルバイトをしながら生活をしていました。悟が自身で「再上映（リバイバル）」と名付けたタイムリープ能力を持っていますが、自発的に発動できるわけではない為に、半ばリバイバルに巻き込まれながら日常生活を送っていました。

そんな悟を演じたのが俳優の古川雄輝さんです。ホリプロの新人発掘オーディションを経て2010年に芸能界デビューを果たすと帰国子女という経歴を生かし日本はもちろん、韓国や中国などの作品にも積極的に出演し、それぞれの国に多数のファンがいる俳優さんです。

僕だけがいない街の物語のキーワードであるリバイバルにより悟は小学生時代にまで戻る事になります。当然古川雄輝さんがそのまま小学生を演じるわけにはいかないので子役を立てる形になっています。形上の主演は古川雄輝さんですが、話数によっては全編小学生の姿で描かれ、古川雄輝さんはナレーションのみしかでないという回もあるなど間違いなく登場時間が長いです。

そんな悟の少年期を演じたのは子役の内川蓮生君です。2014年から子役としての活動を開始すると既に映画やドラマ、舞台、CMと多数の作品に出演してきています。特に自身で演じたいとオーディションを受けた舞台黒執事での演技は非常に評価が高く、僕だけがいない街でも子役とは思えない演技力で小学生悟を演じ切りました。

僕だけがいない街はタイムリープをテーマとしている作品ですが、タイムリープをするのは悟だけなのでそれぞれの時代に登場するキャラクターがいるのが1つの特徴です。青年期のヒロインと言えるのが片桐愛梨です。悟がアルバイトをするピザ屋の後輩であり、密かに悟に憧れています。悟が警察に追われる事になってもそんな事するわけないと信じ匿うなど行動力にも溢れています。

そんな愛梨役を演じたのが優希美青さんです。2012年に芸能活動を始めると、翌年放送のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」にてGMT47の東北出身メンバー小野寺薫子を演じ、実際に被災している優希美青さんと重なる形だった事もあって注目を集めました。以降、一度体調不良で活動を休止した事もありましたが、継続的に映画やドラマへの出演を続けています。

青年期のヒロイン愛梨に対して少年期のヒロインと言えるのが雛月加代です。悟が小学生時代までリバイバルした原因が加代が巻き込まれる事になる連続児童誘拐殺人事件に関係していると考えた事により加代を救おうと紛争する事になります。最初は心を閉ざしていましたが、悟の献身によって徐々に心を開いていきました。

そんな加代を演じたのが子役の柿原りんかさんです。2013年に舞台でデビューすると、以降も舞台、テレビ、映画と出演を続けています。

ここからは僕だけがいない街Netflixオリジナルドラマ版のあらすじをネタバレ有りで紹介していきます。

物語は悟の持つタイムリープ能力「リバイバル」を紹介する形から展開されます。悟がバイトのピザ屋の配達の最中にリバイバル能力が発動してしまうのです。リバイバルは間違いなく悟の特異な能力ですが、悟の意志で発動するのではなく、周囲で何か悪い事が起こるとそれに反応して起こるのです。リバイバルを脱出する為にはその悪い事を回避する必要があります。

悟はこのリバイバル能力を使って運転手が急死してしまい暴走するトラックを止める事で小学生を事故から守ります。ここでリバイバルのルールがもう１つ明かされます。リバイバルとは「マイナスをプラマイ０にする能力」であり、同時に「悟自身が不利益を被る事がある」能力なのです。実際にこの事故を防いだ悟は逆に自分が事故に合うという不利益を被る事になりました。

悟が目を覚ますとピザ屋のバイト仲間で高校生の愛梨がお見舞いに来ていました。愛梨いわく悟はまる2日眠っていたようです。しかし大きな事故だったにも関わらず悟には目立った外傷もなかった事から無事に退院できる事になります。

悟が事故で入院したという連絡を受けた事で悟の地元である北海道から母親の佐知子が上京してきます。悟が存外元気にしている事を知ると、佐知子はついでに東京観光をしてから帰るとしてしばらく悟の家に居候する事になります。何気にテレビのニュースから過去に悟の地元で起こった連続児童誘拐殺人事件の話をするなどして以降の展開の伏線が張られていきます。

勝手が分からない佐知子と共にショッピングセンターに買い物に出かける事になる悟。しかし買い物を終えた所で再び悟のリバイバルが発動してしまいます。悪い事が起こる違和感に気付けない悟はそれとなく佐知子に違和感を訪ねます。佐知子はそこで女の子の手を引く不審な男を目撃する事になります。佐知子に見られたと感じた男が逃げた事によりリバイバルは終了します。

翌日、アパートで1人でいた佐知子は前日に見た不審な男が自分の知っている人物だという事に気付きますが、同時にその男によって殺されてしまいます。何も知らずに帰宅する悟の目の前には血まみれで倒れる佐知子の姿がありました。しかも犯人の巧みな誘導により、周囲には悟が犯人に見えるような状況を作られてしまっていました。それに気付いた悟は警察に追い込まれる事になります。

あわや警察に逮捕されそうになる悟でしたが、そこでまたリバイバルが発動します。気が付くと悟は小学生時代に戻っていました。これまでの数分間を戻るリバイバルと違い大きく時間を戻った事、そして母の死に悟は混乱しますが、家に戻るとおにぎりなどが置かれていた事で母が生きている事を確信できた悟は一旦落ち着きを取り戻します。

冷静になった悟は小学生時代にまでリバイバルしてしまった理由を考えます。するとそこで結びついたのが小学生の頃にも起こっていた連続児童誘拐殺人事件でした。そしてこの時間軸はまだその事件が起きる前である事、その事件の最初の被害者であるクラスメイトの加代がまだ生きている事を知ります。悟は加代を事件から守る事がリバイバルを終えるきっかけになると考えます。

一方で悟はクラスメイトである加代の事をあまり知りませんでした。なんとか加代に近づこうとする悟ですが、加代自身に冷たくあしらわれてしまいます。それでも食い下がり徐々に心を開いていく加代。誘拐事件が起こった日付をおおよそ検討つけた悟はその日が悟と加代の誕生日だという事を知り、加代を誕生日会に招く事で守ろうとします。そして実際に加代や友人らと誕生日会を行った事で加代を守ったと確信します。

しかし加代は翌日から学校に来なくなりました。そして加代の次の被害者も殺され、何も変わっていない事に落胆します。そしてリバイバルが起こり青年期に戻ってきてしまいました。自宅のアパートの前には警察がおり、何も変わっていない事を確信する悟の前に愛梨が現れます。愛梨は佐知子の事件の事を知っていながら悟がそんな事をするはずないと自宅に匿う事を提案します。

愛梨の協力により事件の情報を徐々に掴んでいく悟でしたが、同時に愛梨も佐知子殺しの共犯者として警察にマークされる事になってしまいます。しかも犯人により愛梨がアパートの2階から突き落とされてしまうなど愛梨も巻き込まれていきます。なんとか悟を助けようとする愛梨でしたが、警察に尾行されており、悟の居場所を知らせる事になってしまいました。悟は警察に逮捕されてしまいますがそこで再度リバイバルするのです。

ここからは以前に実写化された映画版とNetflixオリジナルドラマ版の違いについて紹介していきます。

映画版のキャストは有名どころが多く、どうしてもそれぞれのキャストのイメージが強くなってしまいました。しかしNetflixオリジナルドラマ版はNetflix側の意向もあってキャラクターに合うキャストをイメージして選ばれた事で良い意味で没個性されており、それぞれのキャストのイメージに縛られる事が無くそれぞれのキャラクターとして自然な演技がなされていました。

その裏にはそれぞれのキャストの演技力の高さもあります。特に頭は大人である悟の少年時代を演じた子役の内川蓮生君と心を閉ざした加代を演じた柿原りんかさんはそれぞれに演じる事が難しいキャラクターを見事に演じ切り、高い演技力を証明する事に繋がっています。

僕だけがいない街は原作では一応場所は公開されていませんが、背景などから少年時代の舞台のモデルは作者の三部けいさんの地元である北海道苫小牧がモデルになっている事は周知の事実でした。三部けいさん自身もバレる事を認めています。これは映画版が作られる時点で分かっている事でした。しかし映画版は北海道苫小牧でロケを行わず長野県でロケを行っています。

一方でNetflixオリジナルドラマ版は下山天監督が実際に苫小牧を訪れ、原作で描かれた風景などとの一致具合を確認した事で「ここで撮らないとダメだ」となったそうで、小学生時代のロケは全て実際に北海道苫小牧で行われています。もちろん全ての場所が完全に一致した場所というわけではありませんが、北海道で撮る必要のない室内のシーンなども全て北海道で撮影が行われています。

映画版はドラマにすると約30分12話で描く物語を2時間で描いている事から改変やカットなどが多用され、また特に後半は製作当時まだ原作が完結していなかった事もあって完全にオリジナルの展開になっています。一方でNetflixオリジナルドラマ版は既に原作が完結している事、ドラマという時間的なゆとりのある形を取る事で、原作とほぼ差異のないストーリーが展開されています。

アニメ版も映画版とはまた違う展開ながら、こちらも原作が完結する前だった事もあって11話の後半からオリジナルの展開になっています。そういった意味で映像化作品の中ではNetflixオリジナルドラマ版が最も原作に近い形で展開された作品と言えます。

ここからはNetflixオリジナルドラマ版僕だけがいない街を実際に視聴した人の評価や感想を紹介していきます。どうしても先に公開されている映画版やアニメ版との比較も多くなっています。

高評価とする感想の中でも最も多い意見が原作ファンによる差異の無さから来る評価です。僕だけがいない街に限らず原作コミックを持つ映像化作品は製作の都合上どうしても改変が行われる事が多いです。事実僕だけがいないの映画版は大きく改変された事で原作ファンに大きな落胆を生む事になりました。アニメ版は一応納得できる内容にはなっていたものの、映画版の落胆を払拭できる程ではありませんでした。

それがNetflixオリジナルドラマ版はそのような製作の都合による改変などはほぼ行われていません。同じ12話のアニメ版ではカットされた部分まで網羅している事で原作ファンからも非常に高い評価を集める事になっています。完結してから作られたという強みを完全に生かしきった結果だとする感想もあります。

また上記でも少し触れたようにキャスティングに関しても高評価を付ける感想が多くなっています。有名どころを起用しない事でそのキャストの持つイメージに引っ張られる事なく視聴できるというのは非常に大きく、良い意味で没個性されており、演技に見えないとする評価も多いです。

同時に原作を忠実に再現する事で、映画版やアニメ版ではどうしても薄れてしまっていた連続児童誘拐殺人事件の犯人が判明してからの展開の意外さと決着という展開にも面白味が生まれています。双方の思想が複雑に混ざり合った決着は原作を知らない人にとっても納得できるという感想が多くなっています。

公開された順番や時間差もあってNetflixオリジナルドラマ版僕だけがいない街の視聴者には既に映画版やアニメ版を視聴している人も多く、どうしてもそれらと比較して高評価とする感想が多いです。一方で数は少ないですが低評価とする感想も見られます。その代表的な感想が僕だけがいない街独特のセリフ回しです。

僕だけがいない街では多数のキャラクターが様々な名言を生んでいます。確かに原作コミックやアニメ版で見ればこの名言は非常に盛り上がる物ですが、実写作品であるドラマで見るとどうしてもセリフが非現実的であるように感じる人も生まれる結果になっています。

今回は有料動画配信サービスNetflixにて現在も配信されているオリジナルドラマ版の僕だけがいない街のあらすじや感想などを紹介しました。何度も映像化されている僕だけがいない街ですが、作られた時期の経緯、Netflixという土台もあって映像化作品の中ではダントツに高い評価を集めています。

もちろんこのドラマ版の高い評価は原作コミックの高い評価の影響もあります。緻密に練り上げられた物語をしっかりと展開し、伏線を徐々に回収しながら向かっていくラストは非常に気持ちの良い展開です。この展開をそのまま映像化したドラマ版が低評価になるわけがありません。

ドラマ版僕だけがいない街はNetflixオリジナルドラマなので今後もずっとNetflixで視聴する事ができます。まだ僕だけがいない街を見た事がないという人はぜひ完成度の高いドラマ版から僕だけがいない街の世界に触れる事をおすすめします。