2018年11月24日公開
2018年11月24日更新
氷壁(NHKドラマ)の最終回あらすじと感想まとめ!原作は井上靖の小説
氷壁とは井上靖によって描かれた長編小説となっています。この氷壁は1956年から「朝日新聞」の紙面にて連載されていました。そして、1957年に新潮社の方で小説化、単行本になりました。この氷壁では現実に起きたナイロンザイル切断事件がモデルになっていると言われている小説となります。今回はそんな氷壁の作者である井上靖の紹介と、NHKの方で放送されたドラマ版氷壁の全話のあらすじをネタバレを控えまとめます。
氷壁の最終回あらすじや感想が気になる!
新鋭登山家として有望視されている魚津恭太は、昭和30年の年末から翌年の正月にかけて、親友で同じく登坂家の小坂乙彦と共に穂高岳東壁の冬季初登頂に挑戦するべく計画します。しかし、その山行の直前に魚津は小坂の思いがけない秘密を知るという始まりをする氷壁。実話をモデルにしていることもあり、かなり生々しい表現が取り入れられている氷壁。今回はそんな氷壁を執筆した作者の情報やドラマの各話のあらすじをまとめます。
氷壁の原作は井上靖の小説
ここでこの氷壁を書いた作者である井上靖についてまとめていきます。井上靖は1907年北海道上川郡旭川町、現在だと旭川市てに出生します。幼い頃から学問に対して積極的であり、学ぶことが大好きだったと言われています。中学生の頃には主席で卒業しておりかなりの秀才の井上靖。最終的に京都帝国大学を卒業します。その後は少しずつ本を書くことに集中しており「サンデー毎日」の懸賞小説に入選するなどしていきます。
入賞したことにより、大阪にある毎日新聞の大阪本社の入社を決め、学芸部という部署に配属されます。丁度その頃日中戦争が勃発していたこともあり一度召集され出征しますが、翌年に病気を患ってしまい除隊され学芸部に復帰します。その後は学芸部で活動していき、徐々に経験と功績を積んでいったことにより学芸部副部長の座まで上り詰めます。当時の井上靖の仕事と言えば、囲碁や将棋の名人戦の運営などに携わっていました。
そして、自身で執筆した小説「闘牛」で初の芥川賞を受賞します。執筆活動をこの頃から本格的にするようになり1年経った1951年に毎日新聞の退社が決まり、以降は本格的に執筆活動や取材講演に力を入れて活動をしていきます。その後は短編を出版したり日本芸術院の会員になったりと幅広く活動や公園をしていきます。そんな井上靖は1991年に急性肺炎のためでこの世を去ってしまいます。井上靖は小説の他にも活躍していたのです。
井上靖の作風の特徴
井上靖の作風の特徴として、猟銃や今回注目している氷壁といったその時代に起きた出来事をモデルにして小説にするのが特徴となっています。他にも代表作としてあすなろ物語や自伝のような色彩の作品も手掛けることが多いと言われています。さらに、風林火山や淀どの日記などといった歴史に纏わる小説も多く手掛けているのも特徴です。自身で取材を行った経験を活かして風情や情緒豊か表現などを巧みに操って描かれています。
氷壁の主なドラマキャスト・登場人物紹介
氷壁に登場する人物とそれを演じるキャスト達をまとめます。主人公を演じたのが玉木宏です。中学3年生の頃に放送されていたテレビドラマ「若者のすべて」に感銘を受け芸能界に夢を見ていました。そんな夢を背負って玉木宏はオーディションを受けますが、その時は残念な結果に終わります。そんなある日、高校2年生になった玉木宏が愛知県にある地下街「サカエチカ」でアオイコーポレーションの社長自らスカウトを受けます。
そして、1998年に放送されたテレビドラマ「せつない」で芸能界、俳優デビューを果たします。しかし、そこから俳優として役がなくなってしまいアルバイトやコンビニバイトなどをして生計を立てていたのです。アルバイトをしながらおーでじしょんを受ける日々を送っていました。そして2003年に公開された人気映画「ウォーターボーイズ」に出演する機会を得て、素晴らしい演技を見せ注目や人気度を一気に集めていきます。
氷壁のヒロイン
八代美那子を演じた鶴田真由。本名を中山美由で旧姓を鶴田と言いそちらを芸名にしています。高校生の頃に従兄が勤務している広告代理店のコマーシャルを鶴田真由が担当し、芸能界に足を踏み込みます。そこから芸能界で活動するためにあらゆる努力をし、1988年に放送されたドラマ「あぶない少年Ⅱ」で女優として初出演を果たし銃としての道を歩んでいきます。ドラマで多くの知名度を獲得しコマーシャルやドラマに出演します。
氷壁のもう1人の主人公
玉木宏ともう一人の主人公役を登場するのが山本太郎です。1990年に放送された箕面自由学園高等学校在学中「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」のコーナーである「ダンス甲子園」での出場がきっかけとなり芸能界入りを果たします。バラエティ番組向けのタレントであった山本太郎。しかし、トークが下手であったなどから一発屋で芸能界から消えると言われていた山本太郎でしたが映画デビューをしたことで再度注目されます。
ドラマ氷壁のあらすじ一覧
ここからは簡単にドラマ氷壁のあらすじをネタバレ無しで一覧にしてまとめます。氷壁の大まかなストーリーとしては、世界的トップ・クライマーとして有名な玉木宏演じる奥寺。その奥寺が次に挑戦するのが世界最高峰で最難関として有名な鷹峰K2に挑むというのが本題となっています。そのザイルパートナーとして長年相棒を友情だけで務めあげてきた北沢が担当します。スポーツメーカー全面協力の元、2人は挑戦を開始します。
2人はK2に登っている最中、様々なことを話し、晒していきました。北沢の妹・ゆかりが奥寺のことを好きだということ。さらには北沢はスポーツメーカーヤシロのオーナーの妻・美那子に思いを問いただされていたのです。2人はK2から帰ったらお互いに気持ちを伝えようと決心しようと誓いあいました。そして登り詰めて4日が経ち、2人の体力はかなり消耗していましたが標高8000mの地点まで到達していましたが、ここで事件が…。
その8000mの地点はマジックラインの核心・トラバース区間という地点でありかなり低酸素な上視界が不良、さらには強く吹雪いていることもあって2人はかなり危険なところまで体力を削られます。そして次の日には急峻な岩溝で有名な地点「三日月のガリー」に到達しさらなるピンチに陥る2人。目の前に聳え立つのは垂直に70mの高さはある巨大な氷壁でした。無理だと直感的に感じた奥寺は連絡をとりますが提案のためできません。
登頂は失敗に終わり、とりあえず帰還することを第1に考える奥寺達。しかし、北沢が雪崩に見舞われ足を骨折させてしまいます「三日月のガリー」は雪崩が多発する地帯でもあったのです。奥寺達は一旦氷壁を登り切りノーマルルートを使って下山しようとします。そして、北沢を先行させ登っていると北沢が滑落してしまい死んでしまうのでした。奥寺はいまだに信じられず1人で下山しますが何故北沢が滑落して死んだのか分かりません。
北沢の死をめぐって闘う奥寺達
奥寺が日本に戻ってきた丁度、スポーツメーカーヤシロが記者会見を開いていました。そこで北沢の死因は操作ミスが原因だとヤシロの代表である智之が会見します。奥寺はその断定を否定し、ヤシロ製のカラビナが原因だと対抗します。社長の八代もその発言を聞いて黙ってはおられず名誉棄損で奥寺を訴えると言います。奥寺は屈せず、堂々と法廷で真実を明かそうと北沢達の家族と手を組む真っ向から挑むのでした。
氷壁のあらすじ
ここからは氷壁のあらすじをストーリーの続きから簡単にまとめます。裁判を起こすことになった奥寺。北沢の葬式に出席した八代と妻の美那子。そこで北沢のクライマーの中から非難が集中しますがカラビナ設計を担当した工藤は社長の八代に「カラビナの不具合はありえない」と断言したのです。そして八代は奥寺に発言の撤回を要求しますが奥寺は全く引く気はなく、双方は裁判で決着をつけようとしますが…。
奥寺が美那子宛てに綴っていた手紙を隠していたことが不利になる材料であったため奥寺の心象は悪くなってしまいます。しかし、奥寺は美那子に対して思いを抑えられなかったのです。さらに奥寺は氷壁を登ったのは、北沢を救助するためであることを知っているはずの森脇が急に寝返り証言を放棄したのです。畳みかけるように北沢が美那子あてのメールを突き止めた智之が法廷で明かし、奥寺はかなりの窮地に追い込まれてしまいます。
奥寺は、裁判で敵側として立っている八代の妻・美那子とデートをすることに。北沢についての思い出を話すうちに2人は思いを寄せ合い、唇を重ねる。その後、八代が病で倒れ息子の智之は何故そばにいなかったのか美那子を責めたてます。さらにデートを知った北沢秋子たちも奥寺から離れていきます。そして、鑑定実験でカラビナは壊れなかったため奥寺は窮地に。そんな中、ついに美那子が証言台に立つことに物語は最終回へ
氷壁の最終回あらすじ
氷壁の最終回のあらすじをまとめます。最終回では遂に北沢の死因や奥寺が美那子と生活していく場面が描かれます。奥寺は美那子と生活するために登山道具を全て森脇に売りさばき生活費の足しにしていました。そして、八代の息子で智之は父で社長の八代に離婚を進言しますが八代は離婚する気がないと拒否します。そんな中、奥寺の元に願ってもない情報が飛び込んできます。それはK2で北沢の遺体と遺書が見つかったと言われます。
北沢の死因は一体…?
この北沢の死因が氷壁の物語の根幹をなす部分であり見どころと言われています。そのあらすじをまとめましたが北沢は一体どのような目に遭ってしまったのでしょうか。それは奥寺を守るために自身のカラビナのネジを外したのでした。その理由は1つ「奥寺を守るため」だったのです。北沢の遺体と遺書にはそのように綴られていたのです。奥寺は自分のしてきたことの虚しさと奥寺と北沢を結んでいた友情の深さを物語っていました。
奥寺・美那子の選択
北沢の真相を知ってしまった2人。特に奥寺は動揺を隠しきれませんでした。奥寺が何故裁判で戦っていたのか、それは自身のためではなく北沢の名誉のためだったからです。そこで名誉を守ったとしても北沢は奥寺の命を守るために行った行動だったからであり、奥寺は複雑かつ虚しい想いをいっぱいにしてしまいます。さらに奥寺は死ぬ寸前まで愛した美那子を奥寺は生きて親友の北沢を騙していることに気づき後悔します。
2人の決断
そんな北沢の真相を知った2人は自然と答えを導き出していました。奥寺は北沢に罪悪感を感じてしまいこれ以上美那子といるわけにはいかなくなります。美那子はそんな奥寺のことを考え、気遣い自ら別れを告げます。美那子は彼女の帰りを待っている八代の元へ、そして様々なことを考えた奥寺は再び山男になります。そして、再度K2を登り、親友はそこで何を思って何を感じたのかを確かめに行く奥寺の氷壁は幕を閉じます。
氷壁を観た感想や評価は?
ここで実際にドラマ氷壁を見た人の感想をまとめていきます。まずこの氷壁というドラマはあらすじの通り「クライマーパート」と「裁判パート」に分かれて構成されています。原作である小説を未読の方は最初、広大なるK2に挑戦する親友の2人が力を合わせて世界最高峰の山に挑戦するという話で氷山が中心になって物語が進んでいくと考えていた方が多かったようです。しかし、突然親友である北沢が滑落し死亡という急展開になります。
このドラマ氷壁は原作である小説版氷壁とは大違いのストーリーと言われており6話だけで展開していくのは無理があったという感想が多く目立ちました。原作では自分の信念を突き通す主人公が描かれていましたがドラマではかなり身勝手で右往左往している主人公に変わっていたのが気に入らなかったという辛口な感想が目立ちました。原作を読んだ方が観るには少し物足りないストーリーの構成であったという評価が付けられていました。
サスペンスドラマと銘打ってあるドラマでしたが、裁判のシーンも少し物足りない展開をしており批判されています。しかし、原作を読んでない方などは豪華キャストで構成されたこともあり非常に楽しめたという感想も多く見受けられました。K2が舞台で親友を守るために命を落とす北沢の男気や親友のために自身の社会的地位をかけて名誉を守ろうとする奥寺の覚悟、どちらも輝いている何かを持っており、それを視聴者に魅せつけます。
氷壁の最終回あらすじや感想まとめ
ここまで、ドラマ氷壁のあらすじや感想、小説の氷壁の情報などをまとめましたが井上靖が書いた小説ともあり、かなり人気の作品と支持されている氷壁。ドラマの方は賛否両論ありますが原作では読みづらい部分もあるため氷壁の雰囲気を感じるには丁度いいドラマと言われています。奥寺や北沢の美那子に対する想いや葛藤、そして二人が織りなす熱い友情など見どころがたくさん詰まっている作品となっている氷壁。
サスペンスドラマですが、かなり見やすく仕上がっているドラマと謳われていますので、気になった方はドラマや小説などを読んで井上靖の世界をぜひ味わってみてください。