2018年11月10日公開
2018年11月10日更新
センス8は打ち切りだった?その理由や最終話までのあらすじ・キャスト解説
センス8とは、マトリックスなどの対策映画を手がけた映画監督であるウォシャウスキー姉妹、そしてデレビ・プロデューサーであるJ・マイケル・ストラジンスキーが手がけるNetflixのオリジナルドラマ作品です。ドラマ・センス8は打ち切りになってしまいましたが、そのあらすじはどのようなないようなのでしょうか?幻のセンス8の最終話とは?その謎について、詳しく迫っていきましょう。
目次
センス8が打ち切りとなった理由とは?あらすじや最終話を徹底解説!
センス8とは、マトリクスなどを手がけた映画監督であるウォシャウスキー姉妹、そしてデレビ・プロデューサーJ・マイケル・ストラジンスキーが手がけるNetflixのオリジナル作品です。『君の名は。』のように、キャラクターが入れ替わるドラマですが、本作は8人のキャラがふんだんに入れ替わり、チームとなって敵と戦うという展開です。2015年から2018年にかけて、2シーズン23話とフィナーレ版で構成される、海外ドラマのなかでは中規模のシリーズになっています。
2015年から2018年にかけて、2シーズン23話とフィナーレ版で構成され、海外ドラマのなかでは中規模の展開といえるでしょう。ご存じの方もいるかもしれませんが、じつはこの作品、当初は5シーズン、10年にも渡る壮大な計画だったのです。つまり、半分ほどで打ち切りとなってしまったのです。
なぜ、打ち切らなければならなかったのでしょうか?半分のスケールに落ち着いた『センス8』、今もNetflixで観ることはできますが、観る価値はあるのでしょうか? まずは、『センス8』という作品についてご紹介します。また、幻の最終話と呼ばれるストーリーとは一体何なのでしょうか?
センス8とは?
『センス8』の監督・脚本を手がけたのは映画『マトリクス』シリーズで頭角を現したウォシャウスキー姉妹です。『マトリクス』シリーズのほか、日本のアニメ『マッハGoGoGo』を実写化した『スピード・レーサー』、SFと輪廻の世界を描いた『クラウドアトラス』など、革新的な映像表現とスケールの大きなストーリー展開で知られる映画監督です。
ちなみに、ウォシャウスキー姉妹は、二人とも、男性から女性へと性転換している「トランスジェンダー」であります。
これまでに多くの人気作品を生み出したウォシャウスキー姉妹が手がける大作ですから、並の作品ではないことは確かです。『センス』とは?『8』とは?思わせぶりなタイトルにも意味があるのでしょうか。そんな『センス8』がどんな作品なのか、まずは最終話の前にあらすじからご紹介しましょう。
センス8のあらすじを解説!
センス8のあらすじ①舞台は地球の様々な都市
舞台となるのは、宇宙空間でも未来でもない、ベルリン、 サンフランシスコ、シカゴ、 ロンドン、 メキシコシティ、ムンバイ、ケニア、レイキャビク、ソウルなど、現在の地球の都市です。主人公はケニア在住のカフィアス、韓国在住のサン、アメリカのノミ(サンフランシスコ)とウィル(ロス)、インドのカーラ、イギリスのライリー、ドイツのヴォルフガング、メキシコのリト……。それぞれの国に住む、あらゆる人種、さまざまな職につく8人の若者達です。
さまざまな境遇のなかに生きる彼らは、それぞれに何者かに追われ、危機的な状況に見舞われるようになります。そして、自分達にふりかかる事件について知ろうと考えますが、同時に、離れた場所で暮らしている「感応者」たちと交流するという不思議な現象を体験するようになります。
センス8のあらすじ②ウィスパーズ
この現象は、ある世界的組織に属する「ウィスパーズ」という男から逃れるため、アンジェリカという女性が自殺する直前に生みだした超常現象的な作用がきっかけとなって起こったものでした。彼らは離れていても物理的な空間を超え、まるですぐそばに居るかのように意識を通わせ、精神的な繋がりを果たすことができるようになったのです。
そうした現象が繰り返されるなか、ロンドンで女性DJとして活躍するライリーとシカゴで警官として働くウィル、許嫁との結婚を間近にひかえたムンバイのカーラとベルリンで金庫破りの名手であるヴォルフガングは惹かれあい、物理的には離れた状態で愛し合うようになります。さらに、彼らの交流はコミュニケーションだけではありませんでした。
センス8のあらすじ③次々に入れかわる
地元のマフィアに囲まれたカフィアスには拳法使いであるサンの意識が入れ替わって相手を打ちのめし、組織に負われたリトには警官だったウィルが入れ替わり、相手を叩きのめす。あるいは、俳優であるリトが誰かに乗り移って一芝居打って危機を脱し、バスのドライバーであるカフィアスは空間を超えてカーチェイスを繰り広げるなど、それぞれがそれぞれのスキルを駆使して危機を乗り越えていきます。
こうしてお互いの存在を実感した8名は「感応者」として日常的に協力しあうようになります。アンジェリカという女性が自殺するシーンは冒頭で描かれるのですが、その後もアンジェリカは姿を見せます。そして、ジョナスというアンジェリカと関係がある人物が現れます。表向き、テロリストとして登場しますが、彼もじつは「感応者」であり、8人を狙う世界的組織BPOから助けようとします。
センス8のあらすじ④アクションシーンも魅力的
アクションシーンとしては『クラウドアトラス』や『ジュピター』に登場していたペ・ドゥナが演じるサンの格闘シーンが秀逸です。汚職により姉を売った弟の刺客を倒して収監されていた刑務所を脱出するシーンは圧巻。さらに、他の「感応者」が襲われた時も乗り移って救いだします。
そして、おそらく『センス8』の一番のメッセージになっているのが、8人の「感応者」たちの恋模様です。サンフランシスコに暮らすノミは元の名前をマイケルというトランスジェンダーであり、アマニタというドレッドが似合う女性の恋人がいます。また、メキシコのリトはホモセクシャルであり、エルナンドという恋人がいます。
センス8のあらすじ⑤複雑なテーマも
つまり、セクシャリティ、ジェンダーというテーマに真正面から向き合い、セクシーなシーンにおいても、トランスジェンダーとホモセクシャルのキスシーン、セックスシーンがしっかりと描かれています。
それも、エピソード毎に必ず挿入されていますが、ウォシャウスキー姉妹のこだわりからか、卑猥な印象ではなく美しい愛のシーンとして描かれています。さらには、彼らは離れていても、触れていなくても、感情や感覚の共有ができることから、リトと彼の恋人とのセックスの感触を皆が共有するというコミカルなシーンもあり、驚かされます。
センス8のあらすじ⑥様々な境遇のキャラクター
また、犯罪組織にも手をそめるドイツ人のヴォルフガングと敬虔なヒンズー教で富豪と結婚するカーラ、警官のウィルとDJでありジャンキーであるライリーなど、さまざまな境遇に生き、問題を抱える彼らの日常もしっかりと描かれています。ジェンダーや貧困、犯罪、宗教や家族関係に悩みながら生きる人々の姿も『センス8』の見どころの一つ、ウォシャウスキー姉妹からの大きなメッセージでもあるのです。
シーズン2になると、8名の「感応者」たちは気心もしれ、チームワークもとれ、お互いが掛け替えのない存在となります。また、BPOがいかにして生まれ、何を目的に8名を狙ってくるのかも明らかになります。さらには、「感応者」たちはアンジェリカが生みだした主人公達だけではなく、他にも存在することがわかります。
センス8のあらすじ⑦クラスター
実は「感応者」たちはクラスター(群)と呼ばれる単位で存在し、他のクラスターの「感応者」はなりをひそめて生きており、8人にとって敵か味方かさえわからぬ状態。ジョナスはBPOにとらわれながらも、「感応者」としての能力を活かして8名に語りかけを救おうと試みます。
さらに、BPO内でも分裂が起こり、他のクラスターの「感応者」たちも入り乱れての展開となり、シーズン2は決着がつかぬまま終わります。このまま、終わったとしたら、いくらウォシャウスキー姉妹のファンだったとしても落胆せざるをえないでしょう。
『センス8』は、空間を超越したSF作品として、貧困やジェンダーなどのジャーナリスティックな側面が伺えるヒューマンドラマとして、そして、ウォシャウスキー姉妹のポテンシャルが発揮されるアクションドラマとして、多彩な楽しみ方ができることは確かです。さらに、8人の「感応者」を演じるキャスト達を紹介しましょう。
センス8のキャストを紹介
8人の顔ぶれをみて目を惹くのは韓国の俳優ペ・ドゥナです。ウォシャウスキー姉妹の『クラウド・アトラス』『ジュピター』にも出演。是枝裕和監督の『空気人形』にも出演し、『クラウド・アトラス』の頃は少女の面影が残っていたペ・ドゥナですが、『センス8』では負け知らずの拳法使い、殺人マシンとして登場します。
出典: https://eiga.com
ウィル・ゴースキーを演じたのはSFドラマ『スターゲイト』シリーズにも出演しているブライアン・J・スミス。ライリー・ブルーはウォシャウスキー姉妹の『ジュピター』にも出演しているタペンス・ミドルトン。ノミ・マークスは自身もトランスジェンダーを告白してるジェイミー・クレイトン。ある意味、ラナ・ウォシャウスキーの現し身として演じているようです。
ムンバイの薬剤師カーラ・ダンデカーを演じるのはティナ・デサイ、その恋人ヴォルフガングは東ベルリン出身のマックス・リーメルト。セクシーな俳優を演じるリト・ロドリゲスはミゲル・アンヘル・シルベストレが、ナイロビの運転手を演じるカフィアス・オニャンゴ(ヴァン・ダム)はアムル・アミーン、シーズン2はトビー・オンウメールにバトンタッチ。以上が8人のキャストです。
映画の冒頭シーンに登場し、8人を結びつけるアンジェリカですが、この重要人物を演じているのはダリル・ハンナです。リドリー・スコットの『ブレードランナー』でセクサロイドを演じ、タランティーノの『キル・ビル』では殺人ナースを演じた女優といえばわかるでしょうか?
出典: https://miima.jp
また、9人目の「感応者」として登場する謎のイスラム系の人物ジョナスを演じているのは、『ロスト』のサイード役で登場したナヴィーン・アンドリュースです。劇中では、どうみても年上とおぼしき、アンジェリカと恋仲であったことを伝えています。
調べてみると、ジョナス役のナヴィーンは16歳の高校生の頃、教師だった30歳の数学教師と付き合い、18歳になって同棲。23歳の頃に子どもを授かっています。さらに、29歳になると21歳年上の女優と結婚。そうした実生活から、ウォシャウスキー姉妹は彼をジョナス役にキャスティングしたのかもしれません。
センス8が打ち切りになった5個の理由
前途したとおり、『センス8』は、シーズン2が終わり、ウォシャウスキー姉妹がシーズン3の準備を進めている最中に、スポンサーおよび配信元であるNetflixからシリーズの「打ち切り」を告げられてしまいました。ラナ・ウォシャウスキーは「『センス8』ほど必死に働き、自分を注ぎ込んだ作品はなく、だからこそ打ち切りによって叩きのめされた」と告白しています。なぜ、『センス8』は打ち切りになったのでしょう?
ドラマセンス8が打ち切りになった理由①視聴者が少なかった
Netflix側の発表によると、視聴者数が少ないということが『センス8』の打ち切りの理由とのことでした。たしかに、2017年のNetflixの資料を見ると、世界で最も家族で観られた作品のなかに、『センス8』はランキング入りしています。
ただ、世界で最も抜け駆けウォッチ(イッキ見)された作品 TOP10部門には、『ナルコス』『 13の理由』『 ストレンジャー・シングス 未知の世界』『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』に続く5位にランキングされています。セクシーなシーンが多かったため、ファミリーで鑑賞するのはちょっときつかったというのはあるかもしれません。
ドラマセンス8が打ち切りになった理由②制作費が高かった
『センス8』はスタジオにセットを組むのではなく、ロケを中心に撮影が行われています。そのロケ地は13カ国16都市と世界中に及ぶため、各国を飛び回っての撮影となります。多くのスタッフが大移動し続け、ロケを行うので莫大な費用がかかります。そうした制作費が予算を圧迫したのは確かでしょう。妥協を許さないウォシャウスキー姉妹ですから、予算を軽くオーバーしていた可能性もあります。
ドラマセンス8が打ち切りになった理由③スタッフが疲弊した
情熱的なウォシャウスキー姉妹はともかくスタッフやキャストたちが疲弊していた可能性もあります。なにしろ世界を股にかけての撮影です。スタッフは機材を運び、現地で調達し、ロケの交渉を行い、キャストは時差ぼけのままアクション。これが10年にわたって行われる予定でした。過酷な状況が、作品の仕上がりに表れていたのかもしれません。
ドラマセンス8が打ち切りになった理由④Netflixが打ち切り率を強化した
出典: https://note.mu
Netflixでは、視聴者数を獲得できない番組を早々に切り捨てる方針を打ちだしたようです。『13の理由』のようなヒット番組に予算を投入、クオリティーを高めるのという目的があったとされています。
ドラマセンス8が打ち切りになった理由⑤リリー・ウォシャウスキーの降板
冒頭でウォシャウスキー姉妹を写真で紹介したとき「?」と思われたでしょう。かつてラリーとアンディで「ウォシャウスキー兄弟」として活動していたのですが、じつは、兄のラリーはトランスジェンダーであったことから性別適合手術を行ったのです。
『センス8』のシーズン1が終わった2016年、アンディも性別適合手術を行なったのです。術後の精神的、肉体的な負担が理由か、リリー・ウォシャウスキーは『センス8』を降板、二人は初めて共に仕事をしないことになったのです。周囲のフォローはあったものの、リリーへの負担が大きかったことも状況も打ち切りの一因だったのかもしれません。
センス8が復活?打ち切りとなったはずの最終話とは?
『センス8』最終話が2時間ドラマで復活!
さて、シーズン2で座礁に乗り上げてしまった『センス8』ですが、ファンは黙ってはいませんでした。そこで、Netflixは番組の公式ツイッターで、2時間のスペシャル番組を制作すると発表。ついで、Netflixの広報は『センス8』の相応しいエンディングを提供することにしたとファンに説明したのです。
完結編となる最終話のあらすじは?
最終話の前半はBPOに捕らえられていたヴォルフガングのミルトンとの交換を条件にした救出作戦が描かれます。後半はクラスターを守り敵BPOを永遠に葬り去るため、感応者たちは最後の戦いに挑みます。途中、ヴォルフガングの恋人カーラが撃たれてしまうという悲劇も。そして最後は宿敵ウィスパーズとリラの二人をヘリコプターをロケットランチャーで撃墜。
愛する人、仲間を守るため互いを結ぶきずなが試される展開です。カーラとウォルフガングの再会、そして、ラストではノミとパートナーであったアマニタの結婚式が、アマニタの夢であるエッフェル塔で実現します。
何より、最終話で感動的なのが式場でのノミの誓いの言葉です。ここには、監督の一人、姉のラナ・ウォシャウスキーの実体験が重ね合わされているように見受けられます。少し増長なシーンのように思われますが、8人の感応者とその仲間達とNetflixを通じて交流しつづけた人々にとっては、まるで、その最終話は『センス8』の卒業式のような涙もののシーンだといえるでしょう。
センス8についてまとめてみた
近未来の都市でも、宇宙空間でもない。まして、宇宙人や特撮が映える仮想空間でもない。そんな『センス8』でのアクションシーンは、格闘シーンかガンアクション、そしてカーチェイスが中心です。よって、これまでのウォシャウスキー姉妹の作品にみられるような、ファンタスティックな映像表現を期待することはできません。
しかし、『マトリクス』のように、美と暴力を対比させたような、スタイリッシュな空間での格闘シーンやガンアクションは圧巻です。奇想天外な世界観とストーリー、そこにからまる8人の主人公達の深みのある人間ドラマは、充分観る価値があるといえるでしょう。最終話となる2時間ドラマも含め、ぜひチェックしてみましょう。