2019年06月17日公開
2019年06月17日更新
【機動戦士ガンダム】ギレン・ザビの名言と演説全文を紹介!声優や最後・死因は?
「あえて言おう、カスであると!」をはじめとする機動戦士ガンダムのラスボス、ギレン・ザビの名言や演説全文、そしてギレン・ザビの最後などについて紹介しています。ガンダムシリーズにおいて屈指の悪役として名高いジオン公国の実質的指導者ギレン・ザビですが、どうしてそのように言われるのか、その思想や考え方、声優の銀河万丈さんの名演技にも触れながら、たっぷりと解説していきます。
目次
ギレン・ザビとは
機動戦士ガンダムの作品情報
ギレン・ザビが登場する機動戦士ガンダムとは、1979年に放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、これまでのロボットアニメのような主人公がロボットに乗って敵を倒すという1話完結型の内容ではなく、2つの勢力の利害が対立し、それぞれの正義を持った人間同士の戦争を描いています。
機動戦士ガンダムの概要
ここで登場するガンダムはヒーローシンボル的な扱いではなくあくまでもただの兵器であり、量産型もあれば試作機もあるという極めてリアルを意識した設定となっています。今でこそ当たり前とも言われる設定ですが、アニメ放映当時は非常に珍しく、斬新な試みであったと言われています。それまでのロボットアニメにあった必殺技や決めポーズなども廃し、なるべく現実の戦争に近づけた画面作りがなされていました。
また戦い自体よりも主人公をはじめとする各キャラクターを深く掘り下げたストーリー構成となっており、主人公をはじめとする仲間たちは戦争に巻き込まれた民間人で、誰もが皆戦いに積極的ではなく、むしろ戦いを嫌っている状況の中戦いに巻き込まれていき、その中で人間的に成長していく様が見られます。
30年以上経ってもまだ新しいシリーズは作り続けられ、また初期の機動戦士ガンダムの時代を様々な角度から見たスピンオフ的な作品も発表されるほど根強く愛されており、広くファンを獲得しているコンテンツと言えます。
機動戦士ガンダムのあらすじ
増えすぎた人口が宇宙に移民するようになって半世紀以上が過ぎた頃、移民先のコロニーの1つで起こった独立運動を機にジオン公国が誕生、地球連邦政府に対して独立戦争を起こします。そのような中、ひょんなことから連邦軍が秘密裏に開発していたガンダムに搭乗することとなった主人公のアムロ・レイは、仲間たちとともに多くの激戦地区を転戦しながら、様々な出会いや戦いの中で成長していきます。
ギレン・ザビのプロフィール
ジオン公国を実質的に掌握している齢若干35歳のジオン軍総帥です。かつてジオン公国が共和制を取っていた頃、20歳にも届かないうちから父であるデギン・ソド・ザビについて政治活動をはじめ、その頭角を現してきたと言います。そしてもともとはコロニーをまとめるための方便でしかなかった公王制を実質的なものに、かつ強力な軍事国家としてまとめあげてきました。
ギレン・ザビは天才
ギレン・ザビはIQが240とされています。上述の通り卓越した政治手腕とカリスマでジオン公国を軍事国家としてまとめ上げ、国民だけではなく軍においても圧倒的に高い支持を得ていましたし、戦争のさらに先、ただ地球圏を掌握し管理運営するだけでなく、人類という種としての存続と発展のための管理というところまで考えていたと言われています。
一族や国家だけでなく人類そのものの発展まで考えを及ぼしてしまうあたり、ある意味常人の一線を超えたぶっ飛んだ思考の持ち主であったわけですが、それこそまさに天才と言われる所以なのでしょう。
ギレン・ザビの「あえて言おう」など名言を紹介
名言①「あえて言おう、カスであると!」
連邦軍とジオン軍の戦争において、ジオン公国のあるサイド3までの最終防衛ラインであるア・バオア・クーへと侵入した連邦軍は、ジオン軍の巨大レーザー兵器であるコロニーレーザーによって艦隊の約1/3と総大将のレビル将軍を失ってしまいます。そして生き残った艦隊とジオン軍の艦隊の最後の戦い火蓋が切って落とされるまさにその時の、ギレン・ザビの演説で飛び出た名言です。
正義であるジオン軍を前にして、「艦隊を半数近く消滅することとなった連邦軍など形骸でしかない」と強く訴えるこの「あえて言おう、カスであると!」はインパクトも強く、また様々な場面にて冗談半分で引用できたり、「あえて言おう」から始まる大喜利にも使えることから非常に知名度が高く、今やギレン・ザビを代表する名言と言えるでしょう。
名言②「わたくしに面と向かってよくおっしゃる。」
連邦艦隊の1/3をも消滅させたコロニーレーザーを建造するにあたり、ギレン・ザビは国民100万人を疎開させる計画を立てます。そんなギレンに対して「100万人もの一般国民を疎開させるなど軍人の無能を示すことだ」とデギン公王が指摘した際にギレンより発せられた名言です。疎開を計画した本人を目の前にして「無能」とはよく言えるものかと避難する言葉にも取れます。
またそもそもギレンの政治的軍事的手腕がなければジオン公国は最後まで戦ってくることができなかったことを考えれば、そんな自分に対してよく言えるものだと鼻で笑う心境とも取れます。自分の能力に自信があり、自分の存在に絶対の価値を疑わないギレンだからこその名言でしょう。「あえて言おう…」に比べればあまり有名ではないものの、ギレンの性格をよく表す名言と言われています。
名言③「それでいい、シャリア・ブル。人の心を…」
ニュータイプであるシャリア・ブルと面談した際に、ギレンは「なぜ私が君をキシリアのもとにやるか分かるか?」と問うた際に、シャリア・ブルは少し間を置いてからこう答えます。「私くしには閣下の深いお考えはわかりません。ただ、わかるよう努力はするつもりです」そこでギレンがこういうのです。「それでいい、シャリア・ブル。人の心を覗きすぎるのは己の身を滅ぼすこととなる」と。
おそらく、シャリア・ブルはニュータイプの能力でギレンの考えを読んでいたでしょう。けれどもシャリア・ブルはそれを表立って口には出さない。そしてそういった謙虚さを持つこと、もっと言えば深く詮索しないで、かつ自分の意のままに動くようにと、シャリア・ブルに対して暗に警告しているのです。この名言はさらにこう続きます。「ただ、私が君をキシリアのもとにやることの意味は考えてくれ」
名言④「ま、勝ってみせますよ…」
ア・バオア・クーの最後の決戦を前にして、完全独裁制を敷きジオン公国をここまで引っ張ってきたギレンを、独裁制を取りながら世界を読みきれず滅んだ「ヒットラーの尻尾」と揶揄するデギン公王。しかしそんなデギン公王に対してギレン・ザビは最後に飄々とこう言うのです。「ま、勝ってみせます。ヒットラーの尻尾の戦いぶり、ご覧ください」
ここまでジオン公国を引っ張ってきた自分に対して、デギン公王はちくちくと非難を浴びせてきます。今回の「ヒットラーの尻尾」の件しかり、その前の「軍人の無能」の件しかり。それが、ギレンには気に入らないのです。あっさりと「勝ってみせますよ」という言葉の裏には、黙って見ていろといった意味が含まれているようにも感じるファンもいました。これもまた「あえて言おう…」よりは知名度は少ないものの、有名なセリフの1つです。
名言⑤「ジィィク!ジオン!」
「あえて言おう…」と同様ギレンを代表する名言の1つで、この言葉自体は、ザビ家の末っ子であり国民のアイドルでもあったガルマ・ザビが戦死した時に、国葬での演説の最後を締める際に発した言葉です。
またこのセリフはギレン・ザビの死後も、ジオン残党軍による連邦政府への反乱にて指導者エギーユ・デラーズが兵士たちを鼓舞する演説の最後に使用したり、様々なスピンオフ作品でも同様に兵士たちの奮起を促す最後の掛け声として定着しました。
名言⑥「せっかく減った人口です。これ以上…」
戦争にて多くの人命が失われたことに対してギレンが放った名言です。「これ以上、増やさずに優良な人種だけを残す…それ以外に人類の永遠の平和は望めません」と、まるで多くの人命が失われたことが良いことであったかのように喋ります。
実のところ、ギレン・ザビは地球の人口はもっと少なくあるべきという考えを持っていました。この戦争で地球圏の全人口の半数が失われたと言われていますが、そもそも戦争を起こした理由の1つとして、「人口そのものを減らす」と言う考えがあったとされています。極限まで人口を減らしたのち、最後には宇宙の優良人種=自分たちが管理するという青地図を描いていたと言います。
ギレン・ザビの演説全文を紹介
演説全文①ガルマ国葬での演説
ギレン・ザビの弟でもあり、北米地方の司令官でもあったガルマ・ザビ大佐がホワイトベースによって殺されてしまった際に、その悲しみを怒りへと変えるべくギレン・ザビは大々的に国葬というイベントに仕立て、演説を行いました。以下、演説の全文となります。
我々は一人の英雄を失った。これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!
地球連邦に比べ我がジオンの国力は30分の1以下である。にも関わらず今日まで戦い抜いてこられたのは何故か!諸君!我がジオンの戦争目的が正しいからだ!
一握りのエリートが宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して50余年、宇宙に住む我々が自由を要求して、何度連邦に踏みにじられたかを思い起こすがいい。
ジオン公国の掲げる、人類一人一人の自由のための戦いを、神が見捨てる訳は無い。
私の弟、諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ、何故だ!
戦いはやや落着いた。諸君らはこの戦争を対岸の火と見過ごしているのではないのか?
しかし、それは重大な過ちである。地球連邦は聖なる唯一の地球を汚して生き残ろうとしている。
我々はその愚かしさを地球連邦のエリート共に教えねばならんのだ。
ガルマは、諸君らの甘い考えを目覚めさせるために、死んだ!戦いはこれからである。
我々の軍備はますます復興しつつある。地球連邦軍とてこのままではあるまい。
諸君の父も兄も、連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ。この悲しみも怒りも忘れてはならない!
それをガルマは死を以って我々に示してくれたのだ!
我々は今、この怒りを結集し、連邦軍に叩きつけて初めて真の勝利を得ることが出来る。この勝利こそ、戦死者全てへの最大の慰めとなる。
国民よ立て!悲しみを怒りに変えて、立てよ国民!ジオンは諸君等の力を欲しているのだ。
ジィィク・ジオン!!
こうして改めて読んでみると、ザビ家の末弟を悼むと言うよりも、その死の悲しみをうまくジオン国民の怒りにすり替えていることがよくわかります。ただ劇中では聞こえのいい言葉が並んでいたり、声優の銀河万丈さんの迫力ある声のトーンや口調があまりにもマッチしすぎていることもあったため、素晴らしい演説のように聞こえてしまうのです。
なお、この演説に関しては確かにジオン公国国民の心を奮い立たせ、士気が大いに上がったとされていますが、一部の人たちからは「弟の死を利用しすぎ」「しらじらしい」といった反発の声が上がったことも無視できないでしょう。
演説全文②ア・バオア・クーでの演説
ギレン・ザビの1番の名言「あえて言おう、カスであると!」の名言が出た演説です。最後の決戦の局面で、ジオン軍はもはや本拠地であるサイド3の最終防衛ラインである宇宙要塞ア・バオア・クーの宙域まで追い詰められていました。
敗戦の色濃くなってきた土壇場の状況下で、ジオン軍のコロニーレーザーにより連邦艦隊の1/3が消滅、これまで連邦軍を勝利に導き先頭を切ってきたレビル将軍が戦死したとなれば、ジオン公国の国民も、またその兵士たちも、局面挽回の勝機が頭をよぎることでしょう。そこにうまくつけ込む一番最適なタイミングで、「あえて言おう、カスであると!」と演説したのです。
我が忠勇なるジオン軍兵士達よ。
今や地球連邦軍艦隊の半数が、我がソーラレイによって宇宙に消えた。
この輝きこそ、我等ジオンの正義のあかしである。
決定的打撃を受けた地球連邦軍に、いかほどの戦力が残っていようと、それは既に形骸である!.
あえて言おう、カスであると!
それら軟弱の集団が、このア・バオア・クーを抜くことは出来ないと私は断言する。
人類は、我等選ばれた優良種たるジオン国国民に管理運営されて、初めて永久に生き延びることが出来る。
これ以上戦いつづけては、人類そのものの危機である。
地球連邦の無能なる者どもに思い知らせてやらねばならん。
今こそ、人類は明日の未来に向かって立たねばならぬ時であると!
ギレン・ザビの人心掌握というか、その扇動する能力については、もはや誰もが信じて疑わないものだと言えるでしょう。
ギレン・ザビの声優
ギレン・ザビの声優は銀河万丈
ギレン・ザビの声優は、ベテラン声優の銀河万丈さんです。ギレン・ザビをはじめとする威厳のある悪役の声を得意としている声優と言われていて、事実ギレン・ザビの他にも装甲騎兵ボトムズのジャン・ポール・ロッチナや、ダイの大冒険の獣王クロコダインなど声優でもありました。
また洋画の日本語吹き替えでは大柄な黒人の声を当てることが多いとされていますが、シルベスタ・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーなどの吹き替えも経験している数少ない貴重な声優と言えます。また各種CMやテレビ番組のナレーションの仕事も多く、なんでも鑑定団のナレーションなどでも有名です。
その声は抑揚が少なく冷静な印象を与えながらも、その内に力強さがあり、また威厳と風格を感じさせてくれます。「あえて言おう…」をはじめとする数々の名言がこれほどまでに有名となり、40年近くたった今でも話題に上るのは、単にギレン・ザビのキャラクターだけではなく、声優銀河万丈さんの声があってのことだったでしょう。
銀河万丈の主な出演作
声優銀河万丈さんはキャリアも長く、実に多くの作品に出演しています。代表的なもので言うと、アニメならば北斗の拳のサウザーや装甲騎兵ボトムズ、ジョジョの奇妙な冒険のダニエル・J・ダービー、そしてONE PIECEのモーガンやHUNTER×HUNTERのアイザック=ネテロなどが挙げられます。
また洋画の吹き替えならば、上述のとおりランボーシリーズのシルベスタ・スタローンやゴリラのアーノルド・シュワルツェネッガー。その他インディ・ジョーンズ最後の聖戦のショーン・コネリーや刑事コロンボのピーター・フォークの吹き替えも担当していました。その他数々のテレビ番組のナレーションも担当し、とにかく幅広く、様々な所で活躍している声優なのです。
ギレン・ザビの最後・死因は?
ギレン・ザビ最後・死因は、妹キシリア・ザビによる射殺です。なぜ実の兄妹でもあり、ともにジオン公国を築いてきたキシリア・ザビによって殺されなければいけなかったのでしょうか。
もともと、ギレン・ザビとキシリア・ザビとの間には深い溝があったと言われています。ニュータイプに対する考え方であったり、戦争が終わった後のことであったり、立てる戦略1つにとってみても、ギレン・ザビとキシリア・ザビではその考え方に大きな隔たりがあります。けれども何より決定的に2人の考え方に亀裂が入ったのは、死亡した2人の父デギン公王の最後に関係しています。
父親殺しのギレン・ザビ
戦争の最後の局面であるア・バオア・クーの決戦が始まる前に、デギン公王はギレンに内緒で連邦軍の総大将であるレビルのもとに赴きます。理由は、連邦政府との和平を交渉しに行くことでした。デギン公王は疲れており、また溺愛していたガルマ・ザビが死んでしまったこともあり戦争に倦んでいたのです。けれども戦争によって地球圏掌握を目論んでいたギレン・ザビにとって、和平交渉など邪魔以外の何ものでもありませんでした。
そこで、デギン公王がレビル将軍を訪問したまさにその時を狙って、ギレン・ザビはコロニーレーザーを発射しました。敵の総大将と、和平を結び自分の理想を阻害する父を、敵艦隊もろとも消滅させ、あの有名な「あえて言おう…」の演説を行い、最後の決戦に臨んだのです。そしてキシリア・ザビにとっては、それは許しがたい行為だったのでした。
キシリアの手によって殺される
これまでキシリア・ザビはギレン・ザビと反目し合いながらも、お互いジオン公国の独立と地球圏掌握に向けて互いを認め合い、協力しあってきた節があります。けれども兄であるギレン・ザビが、最後には自身の目的のために父すら謀殺することについては、到底許容できるものではありませんでした。
だから、キシリアは銃を手に取ったのです。ギレン・ザビの居座る司令室へきて早々、キシリア・ザビはギレン・ザビに父デギン存命の確認をします。「グレートデギン(デギン公王の戦艦)、どこに配備されたのですか?」「ほう、デギン公王から調達なさったので?」と回りくどく確認を迫るキシリア・ザビに、ギレン・ザビは和平を結ぼうとするから死なせたという取れる発言をするのです(実際にそうなのですが)。
死因は射殺
ギレン・ザビの言葉で確信を得たキシリア・ザビは、ギレン・ザビの後ろに立ち、銃口を向けます。「死なすことはありませんでしたな、総帥」「ふん、冗談は寄せ」これがギレン・ザビの最後の言葉になります。そのセリフのすぐ後に、ギレン・ザビはキシリア・ザビの銃に頭を撃ち抜かれて殺害されてしまうのです。
高い理想を持ち、あれだけ、「あえて言おう、カスであると!」とジオン公国による人類の管理運営を謳った盛大な演説を行った独裁者ギレン・ザビは、こうしていとも簡単に、その最後を迎えたのでした。
ギレン・ザビの優性人類生存説
ジオン公国の実質的な指導者となったギレン・ザビは1冊の著書を発表します。それが『優生人類生存説』です。ここではギレン・ザビの著書『優生人類生存説』について解説します。
優性人類生存説の内容とは
優生人類生存説の内容は、スペースノイド(宇宙に住む人たち)こそ選ばれし民で、さらにジオンの国民はその中でも優性種であり、故に世界はジオン公国が管理・運営することで、人類という種が存続・発展するものという説でした。もはや完全なる選民思考です。だからこそ、連邦軍の艦隊を「あえて言おう、カスであると!」と言い切ってしまえるのでしょう。
ジオン公国国民から熱烈に支持される
植民地からの解放とか、自治の確立だけならまだしも、自分たちが本来の支配者であるという思想など危険そのもので、実際にサイド3以外の地球に住む人々や、宇宙に住む人々ですら、賛同する人はほとんどいなかったと言います。しかし、サイド3の住民たちからは熱烈な支持を受けました。それまで地球に居座る連邦政府の支配を受け続け反感を覚えてきたサイド3の住民にとって、これはまさに希望の光だったのでしょう。
ギレンの思想「コロニー落とし」
この優性人類生存説は、側から見ればサイド3をまとめ上げる方便のようなものだったでしょう。デギン公王や他の兄弟たち、はたまたジオン公国の側近でも、そう考える人は少なくなかったでしょう。ギレン・ザビの政治的手腕の1つであると。けれどもギレン・ザビ自身はさらに恐ろしいことを本気で考えていました。もっと本格的に人口を減らし、可能であれば紀元前後程度まで地球人口を減らす目論見を立てていました。
それだけ人を減らし、その分徹底的に人類を『種』として管理することで、種の保存と進化発展が見られるという考えです。だからこそ、コロニー落としという手段が取れるのです。コロニー落としとは、2000万人もの人類が住むことができる巨大な質量のコロニーを弾頭に見立てて地球に落下させ攻撃するというもので、核兵器以上の破壊力を有しています。
コロニーを落とすと、コロニーが落ちたところの被害のみならず、地震や津波などの様々な天災や異常気象などにより甚大な被害が出ることになります。しかしギレン・ザビにとってみれば、そうやって人類を減らすこと自体が、この戦争の目的の1つでした。「あえて言おう…」というまでもなく、ギレン・ザビにとってみれば、地球に住む人類など命を敬う必要もないカス同然だったのです。
ギレン・ザビに関する感想や評価
そろそろ「尊敬する人物は?」「ギレン総帥です!私は彼に憧れてこの道に入りました!」って政治家が登場してもいい頃
— 小橋はこ@ (@hako584) April 7, 2010
「あえて言おう…」「立てよ国民」などの名言から、多くの人がギレン・ザビを有能な政治家やリーダーとして認識しているところがあるでしょう。実際に世代的にもギレン・ザビをリアルで見ていた人たちは、今ちょうど企業でも行政でも、中枢を担う人材になっている頃合いです。政治家に限らずですが、あの頃のギレン・ザビに憧れを抱いていて大人になっている人がいないとも限らないでしょう。
ギレン・ザビってガンダム恒例の主人公と政治的主張をぶつけながらのドッグファイトをしなかったせいもあり、最期まで人間らしい弱みとか狼狽を見せなかったしシリーズ史上最高の悪役かもしれんね
— BWTT (@BoyWithTheThorn) December 10, 2013
多くのガンダム作品では、主人公は最後のボスと政治的主張をぶつけ合いながら戦うシーンがあります。けれどもこの機動戦士ガンダムでは、主人公アムロ・レイと最後のボスであるギレン・ザビは一切交わることはありません。まったく顔も合わせないまま、ギレン・ザビは死亡するのです。ですがそれがかえって、この物語をリアルさを与えたとも言われています。
選民思想の元にホロコーストを行うという20世紀で既に失敗した政略をとった上に自分たちの故郷であるスペースコロニーを武器として何度も使おうとしたギレンの自分は失敗しないだろうという傲慢さは政治家としては優秀だけど戦略家としてはダメな部分がまさにヒトラーの尻尾感ある。
— 自動装弾所 (@Sp_Fh) April 23, 2013
「ヒットラーの尻尾」というデギン公王のギレン・ザビに対する評価ですが、まさに的を得ていると、その界隈では広く共感を得られています。ギレン・ザビは優秀で、ある1面では非常にその手腕を評価されていますが、また別な側面では無能さをさらけ出しているとも言われています。まさにその2面性について言及されているのです。
そう考えると、「ガルマの死」一つを見ても、国威発揚のため政治利用する異母兄ギレン、「守りきれなかった」と、あれだけ見込んでいたシャアを左遷させた実兄ドズル。ガルマの死の真相を知って、シャアが黒幕だったと知りながら、彼を腹心に加え昇進させた異母姉キシリアと、反応の差が見て取れます。 pic.twitter.com/DuFnasnJFQ
— SOW@新刊発売中 (@sow_LIBRA11) June 3, 2019
ギレン・ザビは、キシリアによって「父殺しの大逆を誅するため」殺されたわけですが、そもそもキシリアもまたジオン公国の実権をギレンより奪い取ることを考えていたとされる説があり、これもまた非常に有名な話です。
ギレン・ザビ演説 ~ガルマ国葬~ 銀河万丈さんの生アフレコがカッコいい♪ https://t.co/AMq2RBkbrI @YouTubeさんから
— たけごろう (@sfqrk275) June 28, 2018
ギレン・ザビをここまでカリスマ性のある世紀の悪役として出世した背景には、やはり声優の銀河万丈さんの力が非常に大きいでしょう。声優銀河万丈さんがガルマ国葬の演説を再度話す機会があったわけですが、ネットにアップされてから非常に大きな反響を呼びました。できることならば、「あえて言おう、カスであると!」の演説も聞きたいという声も多くありました。
ギレン・ザビの名言と演説全文まとめ
ここまで、機動戦士ガンダムの概要からギレン・ザビという男のプロフィール、「あえて言おう、カスであると!」をはじめとする名言や演説全文、そしてその最後や死因、思想などについて紹介してきました。またここれだけカリスマのある悪役が完成した背景に、声優である銀河万丈さんの力も大きいことも合わせて述べてまいりました。
もう何十年も前のアニメではありますが、今現在も愛され、またこれからも発展し展開していくであろうガンダムの歴史の1ページに、このギレン・ザビという悪役があったことを決して忘れてはいけないでしょう。