2018年09月20日公開
2018年09月20日更新
ガンダムの漫画をまとめて紹介!宇宙世紀シリーズの補完におすすめ作品は?
アニメなど様々なコンテンツで大活躍のガンダムシリーズですが、「漫画」もアニメやゲームに次ぐ人気産業の1つです。これまで多くの作品が世に出たガンダム漫画は、映画など映像化された人気作からあまり知られていないマイナーなものまでたくさんの作品が存在します。この記事ではそんな数あるガンダム漫画を厳選して紹介するほか、ガンダムシリーズで最も人気のある宇宙世紀シリーズの物語を補完するのにおすすめの作品や、ちょっとおかしい演出の酷いガンダム漫画を紹介していきます。
目次
ガンダムの漫画をまとめて徹底調査!
ロボットアニメの中でも一番作品数が多いガンダムシリーズは、アニメ以外にもゲーム・小説・漫画など様々なメディアミックスで展開して数多くの作品が誕生しました。その中からこの記事では漫画に絞って紹介、宇宙世紀の補完におすすめの作品などガンダム漫画についての情報を掲載しています。
ガンダムとは?
サンライズ制作の、搭乗型ロボットと戦争を題材にしたリアルロボットアニメの金字塔。近未来の地球と宇宙を舞台に、モビルスーツ(一部名前に例外あり)と呼ばれるロボットに搭乗した人類同士の戦争を描いたアニメ作品です。多くの作品の主人公は民間人の少年のパターンが多く、大人たちの都合によって戦争に巻き込まれた主人公が憎しみや悲しみなどと向き合いながら成長する姿を描いています。
今でこそ人気作品ですが、実は1979年に第1作目『機動戦士ガンダム』が放送開始されるも視聴率が振るわず放送回数を減らされて打ち切りになってしまった経緯があります。
しかし打ち切り決定後から徐々に人気が高まり、放送終了後に発売されたガンダムのプラモデル通称「ガンプラ」が大ヒット。81~82年に各地域で再放送されたアニメが高視聴率を叩き出し、同年には劇場版3部作も制作されました。
その後、85年に放送された『機動戦士Ζガンダム』を皮切りにガンダムシリーズはTVアニメを中心に様々なメディアミックスで展開され、『新機動戦記ガンダムW』(1995年)、『機動戦士ガンダムSEED』(2002年)、『機動戦士ガンダムUC』(小説2007年、映像化2010年)など、それぞれの時代でヒット作を生み出している幅広い世代から愛されている人気シリーズです。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
2001年から2011年まで連載された安彦良和さんの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(全24巻、愛蔵版全12巻)は、ガンダムシリーズの原点『機動戦士ガンダム』をベースにシナリオ・設定が再構築されてTVアニメ版とは違った演出で物語が展開します。当時の設定が大幅に見直されているので、アニメを視聴した方にも新たな作品として楽しめるほか、初代ガンダムは知ってるけどアニメを見たことがない世代にもおすすめです。
元々この「THE ORIGIN」を連載するために『ガンダムエース』が創刊されたこともあって、連載するやいなや人気を博して『ガンダムエース』を代表する看板作品になり、シリーズ累計1000万部以上を超える大ヒット作となりました。
2015~2018年には映画化もされ、通常版9〜12巻で描かれているシャア&セイラ兄妹の幼少期から1年戦争開幕までを描いたエピソードを4部、ルウム戦没を前後編2部の全6部構成で上映されました。
この「THE ORIGIN」作者の安彦良和さんは、アニメーター時代『宇宙戦艦ヤマト』『勇者ライディーン』など数々のアニメに関わっており、『機動戦士ガンダム』ではキャラクターデザイン・作画監督を務められた凄い方。劇場版「THE ORIGIN」では25年ぶりにアニメ制作に復帰したことでも話題になりました。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム サンダーボルト』
2012年に連載開始した太田垣康男さんの『機動戦士ガンダム サンダーボルト』(2018年9月時点で既刊12巻)は、『機動戦士ガンダム』の一年戦争末期を舞台にした作品で、連邦軍側の主人公イオ・フレミングとジオン軍側の主人公ダリル・ローレンツ、相対する軍に所属する二人のパイロットを軸に物語が展開するW主人公方式で物語が展開していきます。
本作は戦争の恐ろしさをリアルに描かいた大人のためのガンダム漫画といった作品で、残酷でグロテスクな描写が苦手な方や未成年には少しおすすめしづらいです(雑誌が大人向け漫画雑誌というのもあります)。モビルスーツなどのメカデザインは作者独自のアレンジが加えられており、自身の作品『MOONLIGHT MILE』に登場するメカのデザインを本作に反映させた格好いいモビルスーツが出るのも人気の1つです。
現在は1年戦争終結から七ヶ月後を描いた第2部が好評連載中(2018年9月時点)。また2015年~2017年にかけて原作第1部をベースに1st、2nd各4話構成でネット配信によるアニメ化。2016と2017年には1st、2ndに新規シーンを追加した劇場版2作品が2週間限定で上映され話題を集めました。
2015年には、ホビー誌との連動企画が発端となった太田垣康男によるフルカラー漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト外伝』を小学館の無料漫画サイト『eBigComic4』にて連載。一年戦争やサンダーボルトの裏側で行われた連邦軍とジオン軍の様々な人物の物語をオムニバス形式で描いてます。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』
2007年から2010年まで連載されていたArk Performanceさんの『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』(全4巻)は、一年戦争末期のジオン総帥ギレン・ザビは暗殺計画が存在したという設定に基づいて様々な証言や資料を元に制作されたドキュメント番組「一年戦争終戦20週年特別番組 ギレン暗殺計画 〜ジオン最後の一週間〜」の映像を描いた異色作。
番組の放送は宇宙世紀0100年の放送ですが、舞台となる物語は宇宙世紀0079年に連続爆破テロ事件の操作を行っていたジオン国家公安部捜査官レオポルドを軸に展開。ジオン総帥府勤務の幼馴染から渡されたメモリーディスクに爆破テロ事件の計画と暗殺実行済みリストのデータが入っており、その暗殺済みリストの中にはジオン公国総帥ギレン・ザビの名前も含まれていたというところから物語は始まります。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー』
2007年から2010年まで不定期連載されていたArk Performanceさんの『機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー』(全1巻)は、『機動戦士ガンダム』の最終決戦の舞台であるア・バオア・クーに参加した連邦・ジオン両軍の関係者からのインタビュー証言から一年戦争最終決戦の情勢を紐解くドキュメンタリー風作品。アムロとシャアのア・バオア・クーの戦いの舞台裏を一般兵の視点で描いています。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ』
2012年から2017年まで連載されていた虎哉孝征さんの『機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ』(全9巻)は、『ガンダムエース』の人気企画、MSV(メカニックデザイン企画)の続編「MSV-R」を題材にした作品。MSVを代表するジオン公国軍エースパイロットのシン・マツナガが一年戦争でどのような功績を残して活躍したのか?を描いたシン・マツナガの一年戦争時代の軌跡を辿ります。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』
2016年に連載開始した、おおのじゅんじさんの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』(2018年9月時点で既刊3巻)は、『ガンダムエース』創刊15周年を記念した作品で、アニメ『機動戦士ガンダム』第15話「ククルス・ドアンの島」で1話だけ登場したジオンの脱走兵ククルス・ドアン、彼が隊長を務めていたY-02小隊にスポットを当てた「THE ORIGIN」のスピンオフ漫画です。
数話かけて描かれる各エピソードには、ヴァシリー・ボッシュ伍長など元Y-02小隊所属の隊員が対峙したガンダムの恐ろしさや、仲間を捨てて逃げたククルス・ドアンのことを思い返しつつ戦い抜く姿を描いています。アニメでは1話のみの登場で、旧・劇場版や「THE ORIGIN」では省略されてしまった『機動戦士ガンダム』の捨て回キャラ、ククルス・ドアンについて詳しく知りたい方におすすめです。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム』
2003年から2006年まで連載されていた飯田馬之介さんの『機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム』(全4巻)は、「一年戦争」の端緒となった「ブリティッシュ作戦」を描いた作品。この頃の連邦軍はモビルスーツ開発前ということもあってモビルスーツ同士の戦いは一切なく、どちらかというと白兵戦による戦いなどがメインのSF要素を取り入れた戦争漫画に近い印象の異色となるガンダム漫画です。
ちなみに作者の飯田馬之介さんは数々のアニメ制作に携わっており、ガンダム作品では「第08MS小隊」の後期監督を務められていた方。漫画には士官候補生時代のシロー・アマダも登場しています。飯田馬之介さんはその後「第08MS小隊」を再構築した『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 U.C.0079+α』を手掛けますが、コミックスの売上が振るわず打ち切りになり、2010年には肺がんのため49歳という若さでお亡くなりになります。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『GUNDAM LEGACY』
2004年から2009年まで連載されていた夏元雅人さんの『GUNDAM LEGACY』(全3巻)は、一年戦争を中心とした宇宙世紀の出来事を描いたオムニバス作品。『機動戦士ガンダム』のレビル将軍視点で展開するルウム戦没のエピソードやガデムの過去などのほか、「THE BLUE DESTINY」や「ジオニックフロント 」などのゲームオリジナルの登場人物をメインにしたエピソードも多く収録しています。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム カタナ』
2009年から2013年まで連載されていた曽野由大さんの『機動戦士ガンダム カタナ』(全7巻)は、宇宙世紀0084年のティターンズ結成時の時代を舞台にしたオリジナル外伝作品。対破壊工作特殊任務旅団「BGST」の隊長である主人公イットウ・ツルギを中心に物語は展開。アーケードゲーム「戦場の絆」と連動した機体やマイナーな機体、本作だけのアレンジが加えられた既存の機体が活躍するのも見どころです。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』
2013年から連載開始した夏元雅人さんの『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』(2018年9月時点で既刊11巻)は、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』を再構築した作品で、士官学校在学中のコウ・ウラキのエピソードなどアニメでは描かれなかったストーリーが大幅に追加されているほか、試作1号機の追加装備や漫画オリジナルの機体など登場しているなどアニメを見た方も十分楽しめる作品となっています。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル 天空の学校』
2001年から連載開始した美樹本晴彦さんの『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル 天空の学校』(2018年9月時点で既刊12巻)は、一年戦争終結以降の宇宙世紀0085年、連邦のモビルスーツパイロット養成学校エコールとニュータイプ研究所の陰謀に巻き込まれてしまったサイド3出身の少女アスナを中心に展開。当初6話完結予定だったのが人気を博して連載継続となり、0085年~グリプス戦没までの3部構成として今に至ります。
作者の美樹本晴彦さんは、「マクロス」「メガゾーン」「トップをねらえ」のほか、ガンダム作品だと「ポケットの中の戦争」など数々の名作アニメのキャラクターデザインに関わった方。「エコール・デュ・シエル」は「THE ORIGIN」と並び『ガンダムエース』の看板作品になります。しかし、別雑誌でマクロス関連の漫画も手掛けてることもあり、本作は長い期間休載中となっています(2018年9月記事執筆時点)。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』
2001から2009年まで連載されていた北爪宏幸さんの『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』(全14巻)は、シャア・アズナブルのこれまで明かされなかった一年戦争終結からグリプス戦没の空白の7年間を描いた作品。ほかの宇宙世紀作品(0083~逆襲のシャア)のキャラのほか、作者が手がける別作品のキャラも登場。シャアと、まだ14歳だった頃のハマーンの出会いを描いてるなど、シャアやハマーン好きの方におすすめです。
作者の北爪宏幸さんは、アニメ「Zガンダム」「ZZガンダム」「逆襲のシャア」の作画とキャラクターデザインに関わっていた方で、同じくガンダムアニメに関わった安彦良和さん、美樹本晴彦さんの作品同様『ガンダムエース』を代表する人気作品となりました。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士Ζガンダム Define』
2011年に連載開始した北爪宏幸さんの『機動戦士Ζガンダム Define』(2018年9月時点で既刊13巻)は、アニメ「Zガンダム」作画監督であった北爪宏幸さんが手掛けた『機動戦士Ζガンダム』を再構築した作品。前作「若き彗星の肖像」の設定を引き継いでクワトロの視点で物語が展開し、「若き彗星の肖像」のキャラも引き続き登場するほか、クワトロやアムロが乗る本作オリジナルの機体も登場します。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』
2005年から2007年まで連載されてた、ことぶきつかささんの『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』(全2巻)は、劇場版『機動戦士Ζガンダム』に基づいた外伝作品で、グリプス戦没を舞台にカイ・シデンがジャーナリストの視点で、毎回異なるゲストと会話を交えながら「Zガンダム」の舞台裏を描いています。
2009~2012年には続編『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのメモリーより―』を連載(全2巻)。宇宙世紀0105年サイド3「一年戦争記念館」で開催されるイベントにゲストとして呼ばれたホワイトベース隊元クルーのカイ・シデン。彼から展示物に関するアドバイザーとして当時の一年戦争のエピソードをカイの視点による回想で展開していきます。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』
2007年から2008年まで連載されていた森田崇さんの『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』(全2巻)は、『機動戦士ガンダムZZ』と同じ宇宙世紀0088年を舞台にした外伝作品。自身の目的のためハマーンを利用しようとしているネオジオン所属の兵士フェアトン・ラーフ・アルギスが主人公。ZZや他ガンダム作品のマイナーな設定や機体を深く掘り下げて盛り込んだマニアックなネタ満載なのも見どころです。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』
1990年に連載されていた長谷川裕一さんの『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』(全1巻)は、富野由悠季監督の代表作『機動戦士ガンダム』と『伝説の巨神イデオン』をクロスオーバーさせた作品。時間軸的には「ガンダムZZ」と「逆襲のシャア」の間の宇宙世紀0091年に、木星圏を拠点に活動していたジュドーの元に、木星へと訪れたアムロから巨大なモビルスーツらしき機体の調査を依頼されたことから始まります。
この学習研究社から出版された同タイトル名のコミックは現在絶版されており、角川書店から同作者が手掛けた『機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス』(旧タイトルは機動戦士Vガンダム外伝)に収録されているので、そちらの作品で読むことができます。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』
2010年に連載開始したArk Performanceさんの『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』(2018年9月時点で既刊16巻)は、『ガンダムエース』で連載中の大河原邦男さんによるメカニックデザイン企画「MSV-R」を題材にしており、MSVを代表するジオン軍エースパイロットのジョニー・ライデンをテーマとした外伝作品です。
「逆襲のシャア」の約3年前の宇宙世紀0090年を舞台に、消息不明の元ジオン軍エースパイロット ジョニー・ライデンの行方と彼が所属していたキマイラ隊との遺産をめぐる争いに巻き込まれてしまったFSS(一年戦争の情報や資料を収集編纂する組織)に所属する、ジョニー・ライデンと似た容姿のパイロット、レッド・ウェイラインを中心に物語が展開していきます。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』
2014年から連載開始した。さびしうろあき・柳瀬敬之さんの『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(2018年9月時点で既刊7巻)は、富野由悠季監督の小説「逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」の漫画版。この作品は「逆襲のシャア」が公開される前の初期シナリオ(修正前)がベースとなっており、劇場版とは異なる点がいくつもあるプロト版のような作品です。
パイロットの亡くなるタイミングや搭乗する機体など劇場版とは色々と違っており、特に注目したいのがベルトーチカがアムロとの子供を妊娠して「逆襲のシャア」に登場しているということ。これによりチェーン・アギが漫画版(小説)には登場していないという大きな違いがあります。またゲーム作品でよく目にする「Hi-νガンダム」「ナイチンゲール」などは、この作品(小説版)から誕生した機体になります。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男』
2013年に連載されていた葛木ヒヨンさんの『機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男』(全1巻)は、「逆襲のシャア」でアムロが消息不明になったその後を舞台とし、ブライト・ノアの視点で展開して「ガンダムUC」へと繋がっていく作品。ブライトが国家騒乱罪の容疑で査問会議に召喚されて尋問を受ける最中、「一年戦争」から「逆襲のシャア」までをブライト視点で振り返りながら物語が進んでいきます。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム ANAHEIM RECORD』
2014年から2017年まで連載されてた近藤和久さんの『機動戦士ガンダム ANAHEIM RECORD』(全4巻)は、宇宙世紀0080年代にモビルスーツの開発へと乗り出し、グリプス戦没以降から数々のモビルスーツを戦場へと送り出してきたアナハイム社の開発者たちに焦点をあてた作品。新兵器に対する開発者たちの苦悩や駆け引きなど開発舞台裏が明かされるほか、物語後半では「ガンダムUC」に繋がるエピソードも収録されています。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』
2010年から2017年まで連載されていた大森倖三さんの『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』(全17巻)は、「逆襲のシャア」から3年後の宇宙世紀0096年、「ラプラスの箱」をめぐる争いに巻き込まれてしまった少年バナージ・リンクスの戦いを描いた物語。『機動戦士ガンダムUC』をベースとした再構築作品ですが、アニメ未収録のシーンや小説にはないネタも加えられており、小説やアニメを見た方も楽しめる作品となっています。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!その『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う』
201から2014年まで連載されていた白石琴似さんの『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う』(全2巻)は、「ガンダムUC」を舞台にネオジオンサイドから描いたオムニバス作品。袖付き(ネオ・ジオン残党軍)のパイロットたちが主な主人公となっており、パイロットたちの活躍や葛藤など、小説・アニメでは知りえなかったネオジオンサイドの「ガンダムUC」舞台裏が描かれています。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』
2010年から2014年まで連載されていた森田崇、石口 十(メカニック作画)の『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』(全2巻)は、「ガンダムUC」を舞台に連邦軍サイドから描いたオムニバス作品で、こちらは連邦軍のパイロットたちの本編裏側で起こった出来事を描いています。白石琴似さんが描く「袖付きの機付長は詩詠う」と同時進行で展開した作品なので、片方だけでなく両作品を読むことをおすすめします。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』
1993から1994年まで連載されていた松浦まさふみさんの『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』(再刊版全2巻)は、宇宙世紀0099年を舞台とした独自解釈によるオリジナル作品。「逆襲のシャア」から3年後を舞台に、Zシリーズの流れをくむ後継機「Ζプルトニウス」のパイロット地球連邦軍タクナ・S・アンダースン准尉とネオ・ジオン・ヌーベルエゥーゴ共同軍との戦いを描いています。
同作者の作品『アウターガンダム』(91~92年に連載、再刊版全1巻)のキャラが登場したり、カミーユやジュドーのその後が描かれているほか、オリジナルの機体やストーリーが好評を博したのですが、「ガンダムUC」がアニメ化されて公式となったため(サンライズによる公式条件はアニメ化)、UCの設定と矛盾が生まれてしまう本作は今後アニメ化されることがなくなり残念がるファンも多い人気作品でもあります。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士クロスボーン・ガンダム』
1994年から1997年まで連載されていた長谷川裕一さんの『機動戦士クロスボーン・ガンダム』(全6巻)は、機動戦士ガンダムF91』の続編として『月刊少年エース』創刊時に連載開始した作品。宇宙世紀0133年、宇宙海賊クロスボーン・バンガードと木星帝国との戦いに巻き込まれてしまった少年トビア・アロナクスを中心に物語が展開し、「ガンダムF91」の主要人物たちも本作に深く関わってきます。
連載終了後以降にゲームの参戦やプラモなどの関連商品の販売による人気再燃で、『ガンダムエース』にて2002から2004年にかけて散発的に読み切りが掲載。「クロスボーン」のその後を描いた短編物語で、サイドストーリーを含む発表された5エピソード(最後は前後編で合計6話)を収録した単行本『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』(読み切り時はクロスボーンガンダム外伝)が2005年に発売されました。
2006から2007年には、前作から3年後を舞台にトビアと木星帝国との最後の戦いを描いた『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』(全3巻)が連載。木星軍から保護した木星帝国総統ドゥガチの後妻エウロペから聞かされたのは、新たな木星帝国総統の恐るべき計画。かつての敵が仲間になる熱い展開や、「Vガンダム」に登場するキャラクターや技術が関わってくるのも見どころです。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』
2012年から2016年まで連載されていた長谷川裕一さんの『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』(全12巻)は、宇宙世紀0153年(Vガンダムと同じ)ネットでザンスカール帝国の軍事機密を閲覧してしまったことで追われる身になった主人公フォント・ボーと、逃走中に出会った謎の少女ベル、全て破壊されて現存しないはずのクロスボーンに搭乗する盲目のパイロット、カーティス・ロスコを中心に展開していく続編作品です。
2016年にはさらなる続編『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』(既刊5巻/2018年9月時点)が連載。「ゴースト」の戦いから16年後の宇宙世紀0169年、地球連邦政府の勢力の低下によってコロニー間の争いや窃盗団が横行が続き、モビルスーツの技術も劣化の一途を辿る混沌の宇宙戦国時代。そんな時代を変えるべく、無敵運送のアッシュ・キングたちが奮闘する「Vガンダム」以降の宇宙世紀を描いています。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT』
1997年から1998年まで連載されていた、ときた洸一さんの『新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT』(全3巻)は、プラモデル企画と連動した『新機動戦記ガンダムW』を題材にした外伝作品。資源衛星MO-Vのパイロット、アディン・バーネットとロームフェラ財団直属のOZ独立部隊「OZプライズ」との戦いを描いており、「ガンダムW」主人公のヒイロたちとは異なるタイプの熱血漢あふれる主人公や展開が特徴です。
実は同時進行で、みずきたつ作画版の同タイトルが『コミックジャパン』で連載されてたのですが、掲載雑誌の休刊により、みずきたつ版「G-UNIT」は書籍化されずじまい。また本作にはオリジナル機体も多数登場してますが、殆どプラモ化されず商業的に失敗に終わります。ただ作品の評価・人気は高く、アニメ化の要望も多い作品なので、『コミックボンボン』連載の少年向け作品ですが気になる方は読んでみてください。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』
2010から2018年まで連載されていた小笠原智史さんの『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』(全14巻)TVアニメ『機動戦士ガンダムW』をベースに他作品のWシリーズの設定や追加エピソードを加えて再構築した作品で、「ガンダムW」のアニメ版や本作のシナリオを担当した隅沢克之さんが執筆した続編『新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop』(小説作品)ともリンクしています。
本作のガンダムのデザインは、大河原邦男さんのTV版デザインではなく、TV版でOZ側の機体デザインを担当したカトキハジメさんがリファインした「Endless Waltz」(OVA&劇場版)仕様。また「Endless Waltz」には登場していないガンダムエピオンが初めて「Endless Waltz」仕様になっているなど、アニメ版を見た方も楽しめる見どころ満載の作品となっています。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』
2002年から2003年まで連載されていた、ときた洸一さんの『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』(全3巻)は、『機動戦士ガンダムSEED』と連動した4誌によるスピンオフ作品。オーブ極秘開発の2機種の「アストレイ」とパーツを目撃したジャンク屋のロウ・ギュール、オーブからアストレイの消去及び目撃者の抹殺依頼を請け負っていた傭兵部隊サーペントテールの叢雲劾、二人の主人公を軸に「アストレイ」を巡る戦いが始まります。
小説版では叢雲劾、漫画版ではロウ・ギュールの視点で物語が展開。漫画版では『ガンダムエース』ときた洸一版のほか、『少年エース』にて戸田泰成さんが作画を手掛けた『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY R』(全4巻)もあります。両作品の違いは、ときた洸一版は小説版主人公の叢雲劾がストーリーに多く絡んでおり、戸田泰成版は作画が豪快かつ濃い目で、ときた洸一版では描かれていないストーリーがあるのが特徴です。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』
2003年から2004年まで連載されていた、ときた洸一さんの『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』(全2巻)は、ときた洸一版「ASTRAY」の最終話直後から始まり、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』の46~47話の裏で起こった2ヶ月間を描いた作品。ちなみに本作「X ASTRAY」の終了後以降の物語は、戸田泰成版「ASTRAY」の17話以降で描かれています。
物語は、MSの修理依頼を終えた前作の主人公ロウの元に、キラ・ヤマトを探す謎のコーディネーターの少年カナードに襲われるところから始まるのですが、今回の主人公はロウたちではなく、このカナードとマルキオ導師の代理人であるナチュラルの少年プレアの二人の視点で描かれています。ちなみに「ASTRAY」と「X ASTRAY」を収録した新装版「Re:Master Edition」(全6巻)もあり、読むのであれば新装版をおすすめします。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY』
2004年から2006年まで連載されていた、ときた洸一さんの『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY』(全4巻)は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』を舞台とした「ASTRAY」の続編。今回は3誌による合同企画で、ときた洸一氏が描く漫画版、千葉智宏氏の通常の小説版、ホビー誌『電撃ホビーマガジン』のジオラマのカットを組み合わせた小説版の3種類で展開しました。
アニメ「SEED」から「SEED DESTINY」までの空白の2年と「SEED DESTINY」本編では描かれなかった裏事情を描いており、モビルスーツ目線で戦場を取材するフォトジャーナリストのジェス・リブルが主人公。ジェネシスαを巡る事件で知り合ったロウから、ロウ自身が組み立てた最新機「アストレイ アウトフレーム」を託されたジェスは、相棒であるフリーの用心棒カイトと共に世界を股に掛けて取材をする物語です。
ときた洸一氏が作画として描くASTRAYシリーズは複数続編が出ており、2006年『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY』(全2巻)、『電撃ホビーマガジン』にて2007年『機動戦士ガンダムSEED FRAME ASTRAYS』(ジオラマシーン付き全2巻or漫画のみ全1巻)、その後は千葉智宏氏による小説の続編が続き、2015年から『ガンダムエース』にて『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 天空の皇女』を連載中(2018年9月時点)。
ガンダムの漫画を順番にまとめて紹介!『機動戦士ガンダム00F』
2007から2009年まで連載されていた、ときた洸一さんの『機動戦士ガンダム00F』(全4巻)は、『機動戦士ガンダム00』を題材にした作品の中で公式外伝に銘打たれた作品の1つ。物語はアニメ版の1stシーズンと同時期を描いた「00F1stシーズン」、アニメ版の1stと2ndシーズンの空白の4年間を描いた「00F2ndシーズン」の2部構成で展開していきます。
ソレスタルビーイングを裏でサポートするガンダムマイスターであり重犯罪者のフォン・スパークを中心に、本編の裏で起こっていたもう一つの戦いが描かれています。千葉智宏さんが手がける小説「00P」「00V」(Pはアニメの過去、Vは未来の話)とも繋がっており、ときた洸一さんが描く「00F」の続編、2009~2010年『機動戦士ガンダム00I』(全3巻)2011年『機動戦士ガンダム00I 2314』(全1巻)が発売しています。
ガンダムの宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品は?
宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』
「THE ORIGIN」はアニメ版を再構築して様々な変更点が加えられたいわゆる完全版。アニメを見ていた世代の中には「THE ORIGIN」のアレンジに不満を持つ方がいるかも知れませんが、TVアニメ版『機動戦士ガンダム』に関わった安彦良和さんが手掛けただけあって完成度が高く、一年戦争を補完するという意味では最高の作品としてファンから評価されています。
宇宙世紀の補完として一番注目したいのが、アニメ化にもなったシャアとセイラのエピソード。デギン・ザビによる父親の暗殺、幽閉されて二度と逢えぬまま病死した母親、ザビ家への復讐、サイド3の潜入とシャア・アズナブルの誕生経緯など、これまでアニメや他作品では殆ど明かされることのなかったキャスバル、アルテイシア兄妹の過去が詳しく描かれています。
ただし「THE ORIGIN」は一年戦争の設定を色々と変更してしまったことで、宇宙世紀世紀を題材にしたガンダムシリーズ(アニメ)と矛盾してしまった設定も多く見受けられます。作品自体は面白く補完できるエピソードもたくさんあるので、矛盾する設定はあまり気にせず読むことをおすすめします。
宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品『機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー』
同作者の「ギレン暗殺」「ジョニー・ライデンの帰還」も読み応えがあって面白いのですが、宇宙世紀の補完でだと「光芒のア・バオア・クー」をおすすめします。両軍の兵士たちからみた一年戦争最後の舞台裏、連邦兵が見た空母ドロスの最後、キシリアによるギレン殺害の現場に立ち会ってしまったエンジニア、アムロのガンダムと対峙して撃ち落とされたゲルググのパイロットなど本編では描かれない物語が明かされます。
もちろん本作を読んだのであれば、「ギレン暗殺」「ジョニー・ライデンの帰還」もおすすめします。本作のエピソードで戦死したと思われていた兵士と同じ顔・同じ名前の人物が「ギレン暗殺」に登場していたり、ジョニー・ライデンが所属していたキマイラに関するネタも登場しているなど、「光芒のア・バオア・クー」は宇宙世紀だけではなくArk Performance作品を補完する作品でもあります。
宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』
補完としてはマニアックすぎるキャラだと思われるかも知れませんが、「THE ORIGIN」のスピンオフ作品だけあって宇宙世紀の補完に値する情報がぎっしり詰まっています。試作機のパイロットであるククルス・ドアンがブグ(プロトタイプザク)に搭乗していた頃のエピソードや元Y-02小隊のヴァシリー・ボッシュ伍長たちが遭遇した局地型や水中型といったガンダムの恐ろしさが作中で描かれています。
当時のドアンの活躍や元部下たちのドアンに対する想いも見どころなのですが、試作段階のザクやドムといった一年戦争初期頃のジオンサイドの内情を知れるので、ガンダムファンならばぜひとも読んでおきたい作品です。
宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品『機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム』
この当時のジオン軍はザクⅠ、連邦軍はモビルスーツ開発前ということもあって派手なモビルスーツのバトル描写はありませんが、一年戦争を語る上で外せない「ブリティッシュ作戦」が描かれている本作は、ファーストガンダムのファンなら読むべき作品の1つです。
宇宙世紀0079年初月に起こったジオン軍によるサイド2第8番コロニー「アイランド・イフィッシュ」の制圧。ジオンの真の目的「コロニー落とし」の計画を知り、ジオンの計画を阻止せんと奮闘する連邦軍兵士の戦い。結末は分かってはいるものの、兵士たちがどんな想いで戦ってきたのか?を知ることができる作品です。
宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』
「0083 STARDUST MEMORY」本編のプロローグ的エピソードなど本作ならではのオリジナルストーリーやオリジナル機体が多く盛り込まれており、アニメの名場面も深く掘り下げています。これらの本作のオリジナル要素が、元々一年戦争とグリプス戦没の空白期間を描いた宇宙世紀の補完作品でもある「0083 STARDUST MEMORY」という作品を洗練させて完全版と言ってもいい完成度へと仕上げています。
中にはアニメとは違うストーリーに不満を持つ方もいるかも知れませんが、本作は数々のガンダム漫画を描いてきた夏元雅人さんが手掛け、「0083 STARDUST MEMORY」の監督を務めた今西隆志さんがコンセプトアドバイザーとして監修を務めているため、アニメとは異なる展開などのシナリオ改変も全く気にならず安心して読むことができるのでおすすめです。
宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』
一年戦争終結(正確には劇場版設定)からグリプス戦没までの7年間をシャア視点で描かれている本作。「Zガンダム」であまり触れられることのなかったハマーンとの出会いと決別のエピソードやクワトロ・バジーナ誕生の経緯など、これまで謎だったシャア・アズナブルのグリプス戦没が始まるまでの空白の7年が知ることができる本作は、シャア好きならずとも読んでおきたい作品です。
宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品『デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより』
カイ・シデンがジャーナリストの視点からグリプス戦没を紐解いており、主にカイとゲストの会話で物語が進むので地味な印象を持たれるかも知れませんが、「Zガンダム」本編(劇場版)の裏側で起きていた出来事や情報をカイが上手く引き出しているので、「Zガンダム」好きならばぜひとも補完として読んでおきたい作品です。
続編の「カイ・シデンのメモリーより」も宇宙世紀(一年戦争)を補完する作品としておすすめします。一年戦争をカイの思い出による視点で描いていて、本編でカイが成長するきっかけとなったミハルとの出会いなど一年戦争とカイの心情を作者なりに上手く表現されている作品なので、ぜひ両作品合わせて読んでみてください。
宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品『機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男』
一年戦争から第二次ネオ・ジオン抗争までの軌跡をブライト・ノアの回想で展開していく本作は、士官候補生ながら艦長として戦い抜いた一年戦争時代、グリプス戦没のカミーユの結末(TV版)に対する自分の不甲斐なさ、チェーンを殺害した息子ハサウェイのことなど各ガンダム作品本編では描かれなかったブライトの心情を知ることができるブライト視点で宇宙世紀を知ることができる作品です。
宇宙世紀シリーズの補完におすすめの作品「番外編」
人気もあってアニメ化もされてる「サンダーボルト」ですが、実は『機動戦士ガンダム』のパラレルワールドの世界で繰り広げられている戦いの1つ。正規のガンダムシリーズと同じ系統ではないので「宇宙世紀の補完」から外しました。そもそも正規のガンダムシリーズ(アニメ)との矛盾が多く、機体性能がオーバースペックすぎる点があるので、あくまでアナザーシリーズ作品と同じ感覚で読んだほうがいいです。
同じく人気の高い「エコール・デュ・シエル」ですが、「宇宙世紀の補完」としては外伝的要素が強いという理由で外しました。「ポケットの中の戦争」「Zガンダム」など様々な作品に関わっている「オーガスタ研究所」絡みの作品とはいえ、ほかの作品に繋がるエピソードが少なく、あくまでも学校と研究所の陰謀とエゥーゴとティターンズの戦いに巻き込まれてしまった主人公アスナの軌跡を描いた作品といった印象です。
ガンダムの漫画にはひどいと言われるものがある?
ガンダム漫画のひどい作品『機動戦士ガンダム』(冒険王版)
79~80年に秋田書店の漫画雑誌『冒険王』で連載されていた岡崎優さんの『機動戦士ガンダム』(全2巻、復刻版は全1巻)です。この作品が連載されていた頃は「ガンダム」はまだヒットしておらず、リアルロボットという概念もありませんでした。作風はこれまで定番だった「マジンガーZ」のようなスーパーロボットのノリで描かれており、豪快かつ破天荒なガンダムに仕上がっています。
冒険王版の特徴ですが、まずアムロが乱暴な性格です。ザクを撃墜して「ざまあみろ」。命令に対して「くそっしょうがねえな」。ギレンの演説を見て、叫びながらテレビを破壊(一部コミックスで修正)などです。そのほかの一部登場人物も性格が違っており、ランバ・ラルはセイラに命乞いする情けないキャラになっているなど色々とおかしいです。
モビルスーツの設定・演出も凄まじく、水陸両用モビルスーツのズゴックが宇宙で可動していたり、クワメル(戦艦)を一撃で破壊するガンキャノンやガンタンクをぶん回してガンダムに投げつけるシャアザク。特にガンダムの設定がおかしく、ハンマーでグフの首を跳ね飛ばし、ギャロップ(陸上戦艦)をぶん投げたり、「ガンダムゴー」で空を飛ぶといったアニメではまず見れないスーパーロボット並みの活躍が見られます。
なぜこうなったのか?実は岡崎さんは「ダイナミックプロ」出身で、当時「ガンダム」を知らなかった岡崎さんは渡された簡単な資料のみを参考に描いてしまったので、このような演出のガンダムになってしまったんだそうです。ちなみに本作は途中で終わっており、82年に3作目の映画公開に合わせて、完結作品「めぐりあい宇宙編」を掲載。事前に映画を視聴していたため、映画通りのシナリオと演出になりました。
現在入手しづらい秋田書店のサンデーコミックス版(82年)、加筆修正された大都社の復刻版(98年)のほか、秋田書店から大都社をベースにカットされていた6・7・10話を収録したコンビニコミックス(2003年)があります。そしてマンガショップから冒険王連載当時の原稿をほぼ完全再現した『サンライズ・ロボット漫画コレクションシリーズ』(2011年)があるので、読んでみたい方はマンガショップ版をおすすめします。
ガンダム漫画のひどい作品『機動戦士ガンダムF91』(コミックボンボン版)
2つ目に紹介するのが91年に講談社の『コミックボンボン』で連載されていた井上大助さんの『機動戦士ガンダムF91』(全1巻)です。こちらも「冒険王版ガンダム」に負けず劣らずの伝説を残した作品。シナリオは映画と一緒なのですが、主人公シーブック・アノーが原作とは異なる変なキャラに変更されているのが特徴です。
子供向け漫画雑誌なので全体的にギャグ演出が多いのですが、特に注目したいのがシーブックのセリフ回しです。「超スーパーすげェどすばい」「うぬらめが八つ裂きだーッ!!!」「おこっちっちっちーー!!」「そったらてめーー念仏となえろーーッ!!!」「ゲームオーバーだ ド外道ーーッ!!」「セシリーちゃん」「だいじょーV」と本編の真面目な優等生系のシーブックからは想像もできないようなセリフの数々。
純粋なガンダム作品としてはひどいけどネタとして読む分には面白いので、本作に興味ある方は手にとって読んでみてください。現在ボンボン版は入手しづらく、2000年に大都社から池原しげとさんの作品『機動戦士ガンダム0080』がカップリング収録された復刻版、2003年に講談社からボンボン版の廉価版が発売されています。
ガンダム漫画のひどい作品『機動戦士Vガンダム』(コミックボンボン版)
最後に紹介するのが93年に講談社の『コミックボンボン』で連載されていた岩村俊哉さんの『機動戦士Vガンダム』(全2巻)です。この作品も数々の伝説を残した迷作として語り継がれてます。この作品の特徴ですが、主人公のウッソを始めとした登場人物がアニメとは異なる性格なことと、Vガンダムが『機動武闘伝Gガンダム』やスーパーロボットのような必殺技を使用することです。
まずウッソが黒髪になっていて、初登場時に「よォ!オレ ウッソ・エヴィンってゆーーんだ!!ヨロシクな!!」と読者に自己紹介するほか、「そ…そんなーーオレの人生メチャメチャでんがなー」「てめーっオレを殺す気かーっ!?」「きさまは電子レンジにいれられたダイナマイトだ メガ粒子の閉鎖空間のなかで分解されるがいい」といったセリフを言い、アニメとは異なる性格のウッソが少年漫画特有のギャグノリで展開します。
この作品でウッソが編み出した数々の必殺技も注目すべきポイント。V字に切り抜ける斬撃技「ヴィクトリー斬り」、7本のビームサーベルを束ねて地球の直径を超える長さまで達した「ウッソ君の大発明」、V2に乗り換えてからの技で、「真・V字斬」「V字斬乱れ斬り」などがあります。またVガンダムの追加装甲にカミオン隊メカニックのロメロが改造した「騎士Vガンダム」も登場。とにかくツッコミどころ満載の作品となっています。
こちらの作品も2003年に講談社から廉価版(上下巻)が発売されてますが、実はボンボン版も含めて第6話が収録されていません。かなり問題があった内容で、見た目がカプコンの名作『ファイナルファイト』のハガー市長に似たギンザエフ大尉(名前はスト2のザンギエフ、技はエドモンド本田)が登場しています。またVガンダムが繰り出した技もスト2をパクった要素が多かったため未収録となってしまいました。
ガンダムの漫画の感想を紹介!
画力が好評の作品
まず画力で挙げられるのが太田垣康男さんの『機動戦士ガンダム サンダーボルト』です。物語の評価も高いのですが、それ以上に画力を褒める方が多く、「かなりの書き込み具合で凄い絵の迫力」「メカの表現がたまらない」「太田垣先生の新解釈によるメカニックもカッコいい」など絶賛の声が上がっています。その一方で「キャラ立ちが弱い」「絵の密度が濃く、かえって読みづらい」という声もあります。
サンダーボルト人気あるので読んでみたけど面白い❕
— マグナス@DQX (@Magnus_dqx) August 8, 2018
ストーリーやキャラも勿論良いんだけどMSの画力が凄いねこの作品 pic.twitter.com/tkSFbGR2A8
「エコール・デュ・シエル」を手掛けた美樹本さんは、「マクロス」「ポケ戦」など数々の名作アニメのキャラデザに関わっていただけあって人物画が好評で、「絵が綺麗」「可愛い」といった感想が多く挙げられています。
ロボットのマンガってハードル高いよね、そもそも。エコール・デュ・シエル位かなぁ、すごいなーと思うの。あれも人物の描写が優れてるだけでロボの動きの描写はうーんって感じだし。あの人の画力でも無理なら、多分根本的に無理なんだろうな
— しーむと (@SHMT_) April 1, 2012
しかし中には「絵が上手いだけでは漫画家にはなれない」「戦闘描写にスピード感が無い」「機体が動いてる描写が分かりにくい」といったストーリーとモビルスーツの戦闘描写に関して酷評される方もいました。
セリフの評価が高い作品
Ark Performance作品「ジョニー・ライデンの帰還」ですが、メカデザインやシナリオなど全体的に高く評価されており、特に「思わず真似したくなるようなセリフ」「ヤザンやゴップが格好いい」「池田さんの声でシャアのセリフを聞きたい」というセリフに対して称賛の声が多かったです。
機動戦士ガンダムMSV-Rジョニー·ライデンの帰還16巻読んだ。すげー面白い。シャアは流石にだけど、ヤザンの「声が聞こえてくる台詞」の漫画とか素晴らしい。アニメ化してくれないかなぁ?(*´ω`*)
— かりぷそ (@calypsotelltale) March 25, 2018
ヤザンやゴップのことを格好いいと言わせるArk Performanceさんのキャラのセリフ回し・見せ方は流石だとファンからは評価されています。
シナリオが好評の作品
「THE ORIGIN」ですが、ファーストに関わった安彦良和さんだけあって「リニューアルされていて納得の内容」「エピソートを丁寧に描かれていて読み応えがあった」「設定や展開が見直されていて、読みやすくて面白い」と全体的に評価が高く、特にシナリオ関連の支持が多かったです。その一方で、逆にシナリオの改変に不満を持つ方、絵柄の古さを指摘したりモビルスーツの描写がイマイチといった酷評もありました。
以外と漫画版"機動戦士ガンダム THE ORIGIN"未読の人多いのかな?
— 平岡憲@写真撮り🌈 (@hirafarcalm) July 15, 2015
安彦良和先生によるファーストの再構築は読み応えありなので是非読んで欲しいですね。http://t.co/MgsD4SNeW0
夏元雅人さんは過去に手がけた作品が軒並み高評価を得ており、夏元作品の中で最も新しい(2018年9月時点)「0083 REBELLION」も全ての面で好評を博しています。
夏本雅人『機動戦士ガンダム0083REBELLION』2巻読了。ガンダム強奪までこんな濃かったっけ。視点の変わり方も見せ方も面白いじゃないか。
— AKIBA Masayuki (@aki_ms) November 8, 2017
特にシナリオに対して評価する方が多く、「理想のコミカライズ!絵は上手いし話の構成も良い。」「原作よりもコウに親しみが持てる」「新たな解釈を含めて補完しつつ、丁寧に描かれている」と読んだ方から好評で、作品に対する批判も殆ど見受けられませんでした。
ガンダムの漫画まとめ!
2019年で40周年を迎える(迎えた)、長きに渡りファンから愛され続けてきたガンダム。漫画作品もアニメと同じ頃から親しまれ、数多の作家から名作~迷作まで多くの作品が生まれました。もちろん今回の記事で紹介したのは数ある中のごく一部で、ガンダム漫画はまだまだたくさんあります。アニメやゲームで楽しむのもいいですが、漫画も面白くてハマれる作品が多いので、記事を読んで気になった方はぜひ読んでみてください。