鉄腕アトム最終回のネタバレあらすじと感想！救いがない衝撃の最後・結末とは？

「鉄腕アトム」は1952年から1968年まで光文社の「少年」で連載されていた、手塚治虫さん原作の漫画作品です。複数のアニメシリーズや漫画、映画など派生作品も多く存在します。「鉄腕アトム」という言葉は、作品自体を指すこともあれば主人公のアトム自身を指すこともあり、またテレビアニメで使用された主題歌の曲名を指すこともあります。今回は日本の国民的アニメである鉄腕アトムのあらすじや結末ネタバレを紹介します。

鉄腕アトムの原作者は手塚治虫さんです。1928年に大阪府で生まれた手塚治虫さんは、1989年に胃がんで亡くなりました。5歳から住んでいた兵庫県宝塚市の名誉市民となっています。戦前の宝塚市は田園風景の中に新興住宅地や行楽施設が点在する不思議な空間を作り出していたようで、その風景が手塚治虫さんの作品の世界観にも影響していると言われています。また、宝塚少女歌劇団との接点も多かったようです。

小学生の頃から漫画を書いていたという手塚治虫さんは徐々に戦火に巻き込まれていき、漫画を書いていることを学校の教官に咎められることがあったそうです。その後遭遇した大阪大空襲で焼夷弾を投下され九死に一生を得た手塚治虫さんは、家にこもり漫画に力を注ぐようになります。終戦後1946年に「少国民新聞」での4コマ漫画「マアチャンの日記帳」でデビューした手塚治虫さんは、1947年に長編漫画「新寶島」を発表します。

1950年の「タイガー博士の珍旅行」の雑誌連載を皮切りに、「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「火の鳥」など長編漫画作品が掲載されます。幼い頃からディズニー映画に触れていた手塚治虫さんは、アニメーション制作に関わる事にも憧れを持っていました。1961年にアニメーション制作担当の動画部を手塚プロ内に設立、1962年に虫プロダクションと改名し「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」のアニメを制作します。

1988年に胃がんが発見された手塚治虫さんでしたが、当時の慣習で本人に告知されませんでした。しかし病床でも死の直前まで漫画を書き続け、遺作のひとつ「ネオ・ファウスト」では、主要人物が周囲から胃がんであるであることを隠されているものの、本人はその事実に気づいた上で死んでいくという描写があります。手塚治虫さんの「生命の尊厳」をテーマにした作風は、後世の漫画やアニメに多大な影響を与えたと言われています。

手塚治虫さん原作の鉄腕アトムの漫画は、光文社の月刊漫画雑誌「少年」で1952年から1968年まで連載されていました。鉄腕アトムは1951年から1952年まで連載されていた「アトム大使」の登場人物であったアトムを主人公としており、「ロボット法」が定められた21世紀を舞台に繰り広げられる、人間と科学技術の在り方を問うSF漫画です。1963年から1966年にかけ日本初の30分テレビアニメシリーズとして放映されました。

平均視聴率27.4％を記録した鉄腕アトムのアニメ版1作目はその後リメイクされ、1980年にはカラー版の鉄腕アトム（アニメ版2作目）、2003年に2回目のリメイク「ASTRO BOY 鉄腕アトム」（アニメ版3作目）が放映されました。手塚治虫さんによる外伝や後日譚ではアニメ最終回のその後が描かれています。また浦沢直樹さんの漫画「PLUTO」や2016年にアニメ化された「アトム・ザ・ビギニング」など派生作品も多数存在します。

鉄腕アトムのあらすじネタバレを紹介します。科学省長官の天馬博士の息子・天馬飛雄が、父から与えられた車の玩具で遊んでいる最中に交通事故で死亡してしまいます。息子を失い悲しみに暮れるうちに正気を失っていった天馬博士は、死んだ息子にそっくりのロボット「トビオ」を作り上げます。人間と同等の感情や「7つの威力」を持つ精巧なトビオでしたが、天馬博士はトビオが成長しないただのロボットであることに気づきます。

天馬博士は、いつまでたっても子供の姿のままであるトビオをロボットサーカス団に売り飛ばし、行方をくらませてしまいます。ロボットサーカス団に売られたトビオは、過酷で辛い日々を過ごしていました。その後、ロボットの権利や地位をロボットに保証し、かつロボットが守るべき義務を定めた「ロボット法」が制定されます。天馬博士の後任で科学省の長官に就いたお茶の水博士は、ロボットサーカスで見かけたトビオを引き取ります。

トビオの可能性に注目していたお茶の水博士は、トビオに「アトム」という新しい名前と共に家やロボットの家族を与え、小学校に通わせます。ロボットと人間との関係性や差別に戸惑ったり悩んだりするアトムでしたが、アトムは与えられた7つの威力を駆使しながらお茶の水博士のもとで数々の事件に立ち向かっていきます。苦労して市民権を得たアトムは、最後まで地球のために尽力するのでした。

鉄腕アトムのあらすじネタバレを紹介しました。ここからは1966年の大晦日に放映された、鉄腕アトムのアニメ版1作目の最終回「地球最大の冒険」のあらすじネタバレを紹介していきます。結末のネタバレを知りたくない方はご注意ください。太陽黒点の異常な活動により、太陽の核分裂が進みこのままではアトムたちの地球が滅んでしまうことが発覚します。地球にいる動物は異常気象を察知し、北極や南極へ逃げていきました。

人間も地球から逃げるため、アトムたちロボットだけを地球に残し自分たちはロケットで宇宙に避難します。ロボット大統領が人間不在の地球を守っていましたが、人間たちがいない隙に地球を乗っ取ろうと目論む、脳以外が全身ロボットの独裁者・ナポリタンがロボット大統領を破壊してしまいます。死に瀕したロボット大統領は、傍らに寄り添うアトムに自分の代わりに地球を守ってほしいと伝え、アトムは地球を任されます。

アトムはひとつひとつ問題を解決していきますが、ナポリタンに家族を人質に取られてしまいます。なんとかナポリタンを倒したアトムでしたが、実はナポリタンは脳も機械化されていました。自分の負けを認めたナポリタンは、アトムの前で自殺してしまいます。そして死の直前、アトムはナポリタンから太陽の爆発を抑える物質を受け取っていました。アトムは助け出した家族に別れを告げ、地球を守るために太陽へ向かいます。

ロケットに乗り込み太陽へ向かったアトムでしたが、途中で隕石にぶつかり壊れてしまいます。そこでアトムは、ナポリタンから受け取った太陽の爆発を抑える物質の入ったカプセルにまたがり、自分もろとも太陽に向かって行き地球を助けることにします。そして太陽に突っ込む直前、アトムは地球を振り返り「地球はきれいだなあ」とつぶやくのでした。そして地球は救われ、人間たちは地球でまた同じ生活に戻ることができたのでした。

鉄腕アトムのアニメ版1作目のあらすじと結末ネタバレを紹介しました。当時人気アニメとなっていた鉄腕アトムの最終回「地球最大の冒険」は、アトムが自分を犠牲に地球を救う姿が感動的だったという声が多く挙がっていたようです。鉄腕アトムの平均視聴率は27％前後、最高瞬間視聴率は40％を超えるなど人気を博していましたが、スポンサーの意向や、海外でカラーアニメが主流になっていたことが最終回を迎えた理由だそうです。

鉄腕アトムのスポンサーは明治製菓で、長期に渡るアニメ放映の内容によりアトムの商品イメージに限界があるという意向だったようです。また、アニメ輸出先のアメリカでは既にカラーテレビが主流になりつつあり、モノクロ放送であった鉄腕アトムを売り込むのが難しいという判断も合わせ、アニメ放送が終了することになりました。概ね好評な最終回でしたが、続編を望む声が殺到したということです。

ここからはアニメ版1作目最終回の後日譚である「アトムの最後」についてネタバレ紹介していきます。「アトムの最後」は別冊マガジンの1970年7月号に掲載された漫画作品で、鉄腕アトムアニメ版1作目の後日譚とされています。「誰も幸せになることがなくあまりに救いがない」と賛否両論を巻き起こした「アトムの最後」の内容は、評価が別れた作品です。手塚治虫さん自身も「陰湿で嫌な気持ちになる」と記していたそうです。

「アトムの最後」のあらすじや結末ネタバレを紹介します。あらすじを知りたくない方はご注意ください。アトムが活躍していた時代から時が流れた近未来の地球が舞台です。主人公の丈夫は、幼馴染のジュリーと共に、幼い頃に首吊りごっこをして遊んでいました。幼さと無邪気さがなせる残酷な遊びで重症を負ってしまったジュリーは、家出をし丈夫の前から姿を消してしまいます。丈夫はジュリーを見つけ出すために夜の街を彷徨います。

丈夫は捜索の過程でジュリーの母親を誤射してしまい、ジュリーの母親がロボットだということを知ります。しかし丈夫はその事実を、自分の胸の内だけにしまいます。成長した丈夫は、その後同じく成長したジュリーと再会します。美しい女性となったジュリーと丈夫はやがて恋人同士となり、愛を育んでいきます。しかし丈夫は偶然、自分の両親もロボットで、自分たちはロボットたちの娯楽の道具として育てられていたことを知ります。

丈夫とジュリーが成長した2055年の地球では、人間とロボットの立場が逆転していました。ロボットは保存されていた人間の精子と卵子を人工子宮で培養し、生まれた人間の子供はロボットの親に育てられ、ある年齢に達すると同じように育てられた人間同士で殺し合いをさせられるという、ロボットたちへの見世物のために使われていたのでした。事実を知った丈夫はジュリーを連れ、ロボットたちの元から逃げ出します。

ロボット博物館に逃げ込んだ丈夫とジュリーは、役目を終え博物館の中に展示されていたアトムを見つけます。アトムにエネルギーを与えた丈夫は、起動したアトムに事情を話し助けを求めます。丈夫とジュリーの話を聞き2人に協力することにしたアトムは「僕の時代では人間とロボットとの関係はうまくいっていたのに、未来ではこんな風になってしまうなんて…でも君たちはそうじゃなくてよかった」と言い残し、追手を倒しに行きます。

なんとジュリーは、人間ではなくロボットでした。衝撃の事実に驚き、ジュリーに裏切られたことを嘆いた丈夫は、人間もロボットも変わらないと訴えるジュリーを怒りに任せ殺してしまいます。そして追手のロボットから、丈夫は更に衝撃的な事実を聞かされます。丈夫とジュリーは将来の殺し相手として育てられていましたが、ジュリーは首吊りごっこの遊びの結果死亡していました。そしてその後ロボットにすり替えられていたのです。

ジュリーを二度も殺してしまったことを知った丈夫は、真実を知った直後に追手のロボットの手により射殺されてしまいます。事の運びを知らないアトムも、同じく追手のロボットにあっけなく破壊されてしまうのでした。以上が「アトムの最後」のあらすじネタバレです。

鉄腕アトムには「アトムの最後」の他にも「アトム今昔物語」という漫画の最終回が存在します。さらに「アトム今昔物語」もサンケイ新聞掲載時のストーリーと、ゴールデンコミックス単行本版のストーリーがあります。どちらの漫画でも、アニメ版1作目の最終回で死んだと思われたアトムは宇宙人のオハラとスカラによって助けられ修復されていました。しかし宇宙船で帰る途中、アトムは1960年代にタイムスリップしてしまいます。

産経新聞版では、過去に飛ばされたアトムは若き日の天馬博士に会いますが、天馬博士がアトムを製作したためタイムパラドックスが起きてしまいます。自分の存在が新たなアトム起動の障害になっていると気づいたアトムは、新たなアトムの起動の際に発生したエネルギー波に自ら飛び込み自殺することで、タイムパラドックスを回避します。しかし新たなアトムはその後、天馬博士によりロボットサーカス団に売られてしまうのでした。

一方ゴールデンコミックス単行本版では、アトムが若き日の天馬博士に出会うエピソードは削除されています。お茶の水博士の助手になったアトムでしたが、当時の時代と技術ではアトムを起動し続けさせるエネルギーの確保が難しく、同時に修理も難しい状況にありました。自分の死を悟ったアトムはお茶の水博士の元を離れ、山奥でひとり朽ち果てていきます。その場所は、後にアトムの家が建てられることになる場所でした。

鉄腕アトムの誕生日は、原作の公式設定で2003年4月7日とされています。鉄腕アトムの漫画原作「ミーバの巻」の中で語られており、アトムの誕生日である4月7日は鉄腕アトムが初連載された「少年」の発売日でもあります。また、現実の2003年4月7日にはアトムは手塚プロのアニメ制作スタジオがある埼玉県新座市の特別住民票を交付されました。アニメの登場人物としては初めての交付で、お茶の水博士が世帯主となっています。

アトムには弟のコバルトと妹のウランという兄弟が2人います。コバルトはアトムが行方不明になった際に、お茶の水博士が急遽制作したアトムの同型機です。コバルトは原作漫画ではアトムの弟でしたが、アニメ版ではアトムの先行機であるためアトムの兄という設定になっています。アトムの妹・ウランはアトムの誕生日プレゼントとして送られたロボットです。ウランはお転婆でありながらも、兄思いな一面もあります。

また、作中を通してアトムのライバルとなるアトラスは、原作漫画・アニメ版1作目では兄弟関係はありません。しかしアニメ版2作目ではアトラスはアトムと同じ設計図から作られており、兄弟であるとされています。アトラスは元々は少年の姿をしていましたが、姉代わりだったロボットが破壊され怒ったことがきっかけで青年の姿になりました。その後、成長したアトラスはアトムから「兄さん」と呼ばれるシーンが登場します。

JR高田馬場駅の発車メロディには、鉄腕アトムのテーマ曲が採用されています。一度は耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか？高田馬場は手塚プロダクションの本社所在地であることや、アトムの育ての親・お茶の水博士が漫画の中で所属していた科学省が高田馬場にあったことが縁となり、アトムが生まれた2003年から高田馬場駅では鉄腕アトムのテーマ曲を発車メロディとして流しています。

高田馬場駅の発車メロディに鉄腕アトムのテーマを使ってほしいと高田馬場西商店街振興協会が提案し、要望を受けたJR東日本は当初は期間限定で鉄腕アトムのテーマを採用する予定でした。しかし実現した後に鉄腕アトムのテーマ曲を採用したことが駅の利用者から大きな反響を呼び、逆にJRから今後も継続したいという申し入れがあったそうです。そして現在も高田馬場駅では発車メロディに鉄腕アトムのテーマが使用されているそうです。

鉄腕アトムの漫画を見ていない方でも、「アトム＝正義のヒーロー」という印象を持っている方は多いのではないでしょうか？しかし原作者の手塚治虫さんは「アトムは正義のヒーローではない」と考えていたようで、世間のイメージや感想との間にズレがあるようです。漫画の原作は科学技術をただ評価するのではなく、数多くの問題提起もなされています。そのため漫画のテーマとずれていくアニメの制作に苦痛を感じていたそうです。

科学技術は人々の生活を便利にし、人々の生活をよりよくするためのものと考えられています。しかし手塚治虫さんは鉄腕アトムの漫画の中で「科学技術は暴走すると人間の脅威にもなりうる」というテーマを一貫して描いていました。鉄腕アトムの中で繰り返し手塚治虫が警鐘を鳴らしていた思いは、人々からの差別に苦しむアトムを通して描かれていましたが、世間とのイメージのズレがあるという悲しい現実もあるようです。

ここからは、鉄腕アトムの漫画やアニメの最終回・最後を観た人の感想をネタバレ紹介していきます。まず1つ目の感想は、鉄腕アトムの原作漫画は救いのない最終回のストーリーや内容が意外とアングラだという評価です。あらすじネタバレで紹介した通り、原作と同様にアニメ1作目の最終回も賛否両論の感想があるようです。

紹介する2つ目の感想は、鉄腕アトムの漫画原作の最終回とされている「アトムの最後」のストーリーが、あまりに救いがなさすぎて見事だという感想です。「アトムの最後」では、主人公も主人公に頼まれ戦ったアトムも最後にはあっけなく死んでしまうという結末でした。また、鉄腕アトムのアニメの最終回として書かれた別の漫画や、セルフパロディの漫画も、同じくハッピーエンドとは言い難いという感想があるようです。

3つ目の感想は「アトムの最後」のあまりの救いのない最終回の内容に、絶望したという評価です。あらすじネタバレを紹介したアニメ版1作目や「アトムの最後」以外にも、鉄腕アトムは複数のアニメシリーズや映画、漫画があるため、最終回や最後の描かれ方もいくつか存在します。しかしその最後は「アトムの最後」のような終わり方や、アトムが悪者として描かれるパターンなど、ハッピーエンドと言われる最後は少ないようです。

鉄腕アトムのあらすじや最終回・最後の内容をネタバレしました。国民的アニメとも言われる鉄腕アトムですが、アニメ版の最終回やその後を描いた「アトムの最後」はネタバレ紹介した通り、衝撃的な結末を迎え賛否両論の感想が飛び交っていたようです。絶望的な内容と、社会への問題提起が面白いという感想も多く聞かれる鉄腕アトムを是非、一度ご覧になってはいかがでしょうか？