名探偵コナン「探偵たちの鎮魂歌」の犯人は？あらすじ・ネタバレまとめ

劇場版名探偵コナン「探偵たちの鎮魂歌」は劇場版名探偵コナンシリーズ10作品目です。10周年記念作品ということもあり、全レギュラーメンバー勢ぞろいのオールスター作品となっています。オールスター作品になったのは原作者青山剛昌先生の希望です。「探偵たちの鎮魂歌」のあらすじ、犯人の使ったトリックなどをネタバレありで紹介していきます。

調査依頼を受けた探偵の毛利小五郎は娘の蘭、コナン、少年探偵団を連れて横浜に出来た「ミラクルランド」を訪れました。敷地内のホテルに案内された一行はミラクルランドの腕時計型フリーパスIDを受け取ります。コナンと小五郎以外は遊園地に向かい、残った二人は顔を隠した依頼人と画面越しに会いました。

依頼内容は「私が出すヒントを元に、今から12時間以内にある事件を解決してもらいたい」出来ないと蘭達のつけているフリーパスIDに仕込まれた時限爆弾を爆破するという脅しつきでした。ミラクルランドの中に一度入るとエリアから出たら爆発し、無理に外そうとしても爆発します。遊園地内の「スーパースネーク」だけ一部だけエリア外を出るのでコナンから詳細を聞いた灰原が乗らないようにみんなを誘導します。

ヒントの一つ目は「TAKA3-8」でTAKAを町名の高島町、3-8を番地と考え「3ひく8は-5」つまり3-8-5番地、高島町3-8-5と推理して現地に向かいますが、3丁目が存在しません。再開発で町名が変わった為、昔の地図で住所を再度確認して向かうと潰れたホテルにたどり着きます。中は荒れ果てていましたが、中の部屋からホームレスが出てきて、根城にしている男から情報を集めました。

でっかいワシのようなものが飛んできたとか、4月4日に朝から変な車が停車し、不動産屋が地下室を閉めたり、滅多に来ないのに朝から黒のセダンが止まり、夕方には白い乗用車になっていたなど、情報がたくさん出てきます。コナン達は建物の探索中、鍵のしまった地下室に入る為、ドア上部の通気口から体の小さいコナンが入り、地下室が開かれます。

地下室に入ると棚があり、そこからボストンバッグが見つかり、拳銃と変装グッズが出てきました。中から領収書が出てきて4月4日と書かれていました。4月4日に何があったか調べる為外に向かうと拳銃を持った男達が5人、ホームレスの男から話を聞いていました。バッグを取り返しに来たのかもと警戒しましたが、男達は警察官でした。

空を舞って現れた怪盗キッドを見た刑事達は小五郎を仲間と勘違いして連行してしまいます。依頼人に警察に助けを求められたと勘違いされては困ると思っていたら連絡を受けた目暮と中森がきました。小五郎の解放を待っていると依頼人から電話がきます。コナンを新一だとわかっている依頼人から第二のヒントが提示されます。

「夜のカフェテラスへ行ってくれ」というヒントを得たコナンは阿笠博士からスケボーを受け取り、ヒントが提示した場所へ向かいます。「夜のカフェテラス」ゴッホの絵画でガス灯と馬車道が描かれています。そこから導き出されるのは「日本で最初にガス灯がつけられた馬車道」になります。

一方、コナンから蘭達の事を託されていた灰原は外に出さないよう裏で画策していましたが、ホテルの記念パーティーに招待されていた園子が合流し、ホテルで行われるパーティーに参加しないかと誘いに来ます。ホテルはミラクルランドのエリア外にある為、IDをつけている蘭達が外に出てしまうと爆発してしまいます。迷っている蘭ですが、灰原は厳しい表情で彼女の答えを待ちます。

その頃、ヒントの場所にたどり着いたコナンは服部と再会します。彼も同じように幼なじみの和葉を人質に取られてしまい、捜査をしていた所でした。遊園地にいた和葉は蘭と園子と合流し、園子の誘いでホテルのケーキバイキングに行くことになりました。彼女達の後ろをつけていた灰原は厳しい顔で立っています。コナンと服部は自分達の状況をお互いに話します。その時、横切った車を見て、コナン達は現金輸送車襲撃事件を連想します。

現金輸送車が入った近くにいた占い師に話を聞きます。彼女は4月4日にあった現金輸送車襲撃事件を見ていた目撃者でした。襲撃事件の際、犯人は追いかけようとした警備員を拳銃で撃ち、逃走しました。当時の事を聞き終えたコナン達の所に警察から解放された小五郎が合流します。そこに目暮達も現れると、依頼人から電話がきます。警察と仲良くしてはダメだと警告し、近くの人形を爆破しました。

人形を爆破された後、目暮達につきまとうなと言った小五郎はコナン、平次を連れてその場を後にします。目暮が掴みかかってきた時に蘭達の状況と保護を頼みたいというメモを目暮に託し、コナン達と別れ、小五郎は独自に調査を始めます。遊園地では外に出ようとしていた蘭と和葉のIDの光が点滅し始めます。出ようとした瞬間、蘭と和葉を呼ぶ放送が入り、二人は医務室へ急ぎます。

医務室では軽い熱中症で倒れた灰原がいました。倒れた演技をして医務室に蘭達を留めておく作戦は見事成功しました。一方、コナンと平次は次のヒント「ユークライ」が何か考えています。アルファベットで「YOU」と「CRY」の単語で「YOU」は横浜海洋大を指しますが、「CRY」がわかりません。移動する二人を車の中で見ている赤いマニキュアの女の存在には気付きませんでした。

海洋大について掲示板を見ながら「CRY」のヒントを探すコナン達に声をかけてきたのは高校生探偵白馬優でした。彼も遊園地で大事な人を人質に取られています。白馬から「CRY」は横浜犯罪研究会の略称だと教えられます。研究会の部室に行くと一人で映る正面顔の額縁がいくつも飾られていました。そこに依頼人から電話があり、ヒントではなくコナン達の探偵としての技量を見ているとだけ言って電話を切りました。

部室に研究会のメンバーがやってきて額縁の写真は歴代の部長だと教えてくれました。額縁の写真の中で三代目の部長だけ外されています。理由は4月4日の強盗犯として三代目部長の伊藤が指名手配され、除名処分になったからでした。伊藤はファー・イースト・オフィスという会社を経営していましたが、そこで殺人事件がありました。調査の為にコナン達は伊藤の経営していた会社に向かいます。

遊園地では目暮を発見した蘭と和葉が挨拶に行き、医務室に飽きた元太はスーパースネークに行ってしまいます。しかし、先回りした目暮によってスーパースネークは乗れず、医務室に戻ろうとした矢先にひったくり事件が発生し、蘭達は犯人を探しにいきます。PM6：30、倒産した伊藤の会社に着いたコナン達は西尾の殺害現場を訪れます。研究会で見た写真で伊藤の隣にいた西尾と清水麗子という女性の三人で立ち上げた会社でした。

西尾殺害事件後の5月15日、西尾の殺害について厳しく尋問された麗子は海に身を投げて自殺していました。西尾が殺害された現場には血痕などが残っています。彼は向かいのビルのトイレから発射されたライフル8発分の内、1発が後頭部に当たり、殺害されました。西尾が倒れた場所には人型のテープがありますが、血痕の少なさに気付きます。しかし、足元には大量の血痕があり、椅子の背もたれにもありました。

更に西尾が座っていた椅子のキャスターが一つ撃ちぬかれているのを見つけて納得顔のコナン達。事件後、西尾の机から現金輸送車襲撃事件の計画書が出てきて書いた伊藤は指名手配されました。何かを掴んだコナン達に依頼人から電話がきます。依頼人の解決してほしい事件がわかったと話をしたら電話が切れ、窓ガラスが派手に割れる音がしました。バイク音も聞こえてきて、部屋を出たコナン達を追いかけてきます。

コナンと白馬、平次の二手に分かれてバイクを振り切ります。しかし、スケボーで逃げていたコナンはタイヤに銃弾をあてられ、バランスを崩して橋から転落、その際、足を強く打ち付けて川に落ちてしまいました。その頃、遊園地では逃げるひったくり犯を蘭達が捕まえようとしましたが、歩美が人質に取られます。歩美を連れて外に出ようとする犯人でしたが、入口を塞いだ犯人を携帯を見ていた園子がマナー違反と突き飛ばします。

突き飛ばされた衝撃で歩美は逃げ出し、高木刑事とデートに来ていた佐藤刑事が偶然居合わせ、犯人を確保しました。川に落ちたコナンは白馬に助けられ、迎えに来た阿笠博士の車で服部と共に依頼人のいるホテルに向かっていました。犯人はわからないままですが、大阪の大滝から情報提供がありました。西尾殺害の日の夜、埠頭で横転した一台の車があり、乗っていたのは伊藤でした。

ICUに一ヶ月もいた大怪我をした伊藤は二ヶ月後、面会が出た日に病院から脱走し、行方をくらませています。伊藤の車から西尾殺害に使われたライフルと車の油圧計に細工された跡が見つかっています。現場の足跡から西尾殺害の犯人は伊藤のはずですが、ライフルのスコープからマスカラが付着しているのが見つかり、とてもレアなマスカラを使っていたのが麗子だとわかって警察は麗子を取り調べていたのです。

伊藤が指名手配され、会社は倒産しましたが、それを買い取ったのは美山という男でした。彼は4月4日怪盗キッドが宝石を盗んだ美山美術館のオーナーで、伊藤達と同じサークルのOBでした。美山の宝石を奪い逃走したキッドと現金輸送車の逃走ルートがかちあい、銃撃戦がありました。以来、怪盗キッドは別の場所に盗みに行く度、誰かから命を狙われるようになりました。犯人の顔を見てしまったのが理由だとコナン達は推測します。

阿笠博士は推理に行き詰まるコナン達に小五郎からの伝言を伝えます。西尾が撃たれた時、狙撃場所のトイレからカランという金属音がした後、ゴルフバッグを抱えた伊藤を見たという警備員の証言です。薬莢の音とバッグの中身がライフルだとわかったコナン達ですが、小五郎も謎が解けたらしく、二人より早く依頼人に会いに行っていました。推理が間違っていたらマズいとコナン達はホテルに急いで向かいます。

怪盗キッドは美山美術館に忍び込み、美山と会っていました。キッドは自分の命が美山に狙われているのは知っていたものの、理由がわからずにいました。ようやくわかった理由は現金輸送車の犯人の顔をキッドが見た為、美山は後輩の為にキッドの命を狙っていたのです。バイクで襲ってきた男二人に囲まれたキッドですが、催眠ガスを使い、美山達を警察に引き渡すことに成功しました。

ホテルに到着していた小五郎は自分の推理を話し始めますが、途中で乱入したコナンが麻酔針を打ちますが当たらず、平次が小五郎を殴って気絶させます。依頼人を映していた画面が消え、リモコンを操作するとモニター横の本棚が開きます。中に入って進むと、依頼人の伊藤がいました。無精ひげにサングラスをかけた伊藤は埠頭の事故で体が不自由になっていました。

コナンは新一の声で推理を始めます。西尾殺害の犯人は麗子で、その罪を伊藤に被せて事故に見せかけて殺そうとしたのです。伊藤は自分が殺したと怒鳴りますが、現場の状況は麗子が犯人だと言っていました。伊藤がライフルを撃つ前に麗子が西尾を殺害していました。伊藤は西尾の椅子のキャスターを撃ちぬき倒れたのを見て殺したと勘違いしただけでした。

麗子はトイレから正確に西尾の後頭部を撃って射殺しています。伊藤はライフルを麗子から受け取り、それを使って西尾に向かって発砲し、殺したと思い込んだ伊藤はライフルを持って車で埠頭に向かい、横転事故を起こしました。車に細工したのは麗子で、彼女も現金輸送車襲撃事件のメンバーでした。彼女は奪った金を独占する為に二人の殺害を目論んだのです。警察が麗子を怪しんだのは間違っていませんでした。

信じられない伊藤の元に生きていた麗子が現れます。麗子はトリックを使い、自殺を偽装したのです。コナン達の後をつけていたのも麗子でした。拳銃を発砲する麗子に持ってきていた盾で応戦するコナン。弾が撃ち終わったと同時に服部が攻撃に出ますが、麗子は両利きで隠し持っていた拳銃で腕を撃ちぬかれてしまいました。服部の機転でコナンの蹴ったボールが麗子に当たり、気絶させることに成功しました。

タイムリミットを前に蘭達のIDの解除を伊藤に求めるコナン達ですが、彼は拒みます。伊藤のパソコンで解除しようとしますが、麗子の銃弾が機械を破壊してしまい、解除ができません。蘭達はレストランに集められ、周辺の客と従業員は退避しています。解除しようと手を尽くすコナンですが、時間は刻一刻と迫ります。阿笠博士は「子供たちだけにはしておけない」と爆発の瞬間まで傍にいる事を目暮に伝えました。

一分前に迫り、目暮と白鳥、博士は蘭達の元に戻ります。コナンはIDを解除するためのパスワード入力画面まで辿り着きますが、「あなたが愛する人の名前は？」の質問に「清水麗子」と入力しても解除されません。今までの会話から伊藤の愛する人が自分自身だと気付き、伊藤の名前を打ち込むと解除キーが出てきて、残り1秒で爆弾の解除に成功しました。エリア解除はできなかった為、全員のIDを回収しました。

遊園地に戻り、故障中だったスーパースネークが乗れるようになったのでみんなで乗りに行きました。警察ではIDをすべて回収し、数もそろっているとのことで爆発物処理班に渡しに行きます。しかし、乗っていた元太が両手を挙げた時、IDがついたままなのを見つけたコナン、平次、灰原は血相を変えます。

元太の後ろにいた灰原はIDを外すことに成功しますが、急降下した為、灰原の手から離れ、平次の元へいきます。しかし、平次の手からもなくなり、後部座席に引っかかってしまいました。コナンがバーを破壊しようとしますが、全ての席と連動している事に気付いた灰原が止めにかかり、なす術なくエリア外に出ようとした瞬間、ハンググライダーで現れたキッドが引っかかったIDを取って飛び去っていきます。

キッドがいた事に不思議がる平次にコナンは「捜査中からずっと一緒にいた」と答えました。元太のIDはエリア外で爆発し、みんなのものも回収され、無事に事件は解決しました。

今回の依頼人伊藤は最初から最後までコナンを新一だと見抜いていました。それはなぜだったのでしょうか？新一だとわかったトリックはなんだったのでしょうか？薬で小さくなったことを知っているのか、黒の組織に気付かれたのか、と心配になる方もいたでしょう。伊藤が仕掛けたトリックは最初にコナン達を座らせた椅子のひじ掛けに指紋認証システムを組み込んでいました。指紋でコナンを新一だと見抜いたのです。

コナンが小さい姿で現れても伊藤は新一だと思い続けていました。それが何故かというと伊藤は事故で目を悪くしていたからです。コナンが小さな体で現れても新一として推理出来たのは伊藤の目があったからです。伊藤も最後まで小さくなったコナンを新一だと思って話していました。

西尾殺害の厳しい取り調べの最中、崖から海に身を投げて死んだと思わせていた麗子ですが、どうやって助かったのかは詳細に明かされませんでした。しかし、警察の目を欺く為の演技だったのは丸わかりです。自殺を偽装した後、研究会OBの美山を頼り、現金輸送車襲撃事件の際、顔を見たキッドの殺害を頼んだのも麗子です。伊藤の動きを察知し、自分の罪を被ってくれるならと様子を見ていた麗子。

コナン達を襲撃するよう指示し、美山の元に身を隠していた麗子ですが、美山がキッドにしてやられたとわかると、彼を見捨てて伊藤を殺しに来ます。美山が管理していた伊藤の財産を自分で使えるようにしてもらうなど、劇場版名探偵コナン史上、最低の悪女と言えるでしょう。伊藤の裏で麗子が暗躍していました。

キッドはタイミングよく現れ、元太のIDを持ち去っていきましたが、キッドはどこにいたのでしょうか？彼のトリックに気付きましたか？キッドは白馬に変装して捜査していたのです。園子はIDをなくしたと劇中で言っていました。しかし、レストランで鞄の中を見た時、彼女のIDはあったのです。IDには黄色いペンキがついていました。どこでついたのでしょうか？

それはキッドが白馬に変装してコナン達と捜査をしていた時についたものです。キッドは自分の命が狙われている理由を調べる為、捜査中のコナン達に同行しました。園子のIDを掠め取ったトリックはわかりませんが、遊園地で暇つぶしをしている彼女に近づいてIDをとったのでしょう。園子のVIPIDには爆弾はありませんので安全です。その証拠に伊藤のGPS表示には二人分しかありませんでした。IDが偽物だとわかるシーンでもあります。

コナン達がIDの解除に成功し、千葉刑事がレストランで爆弾付きのIDを回収しました。その時、数を数えて合っている事を目暮に報告しています。では、何故元太のIDの回収漏れが発生したのか、そのトリックというか、うっかりは実に簡単にわかります。キッドが園子に返したID分です。千葉は園子のIDを回収した為、トイレから帰ってきた元太の服の裾に隠れたIDに気付かず、数が合ってしまったので回収漏れが出てしまったのです。

白馬に変装していたキッドは美山を警察に任せた後、コナン達の様子を見に来て異変に気付き、手助けをしたのでしょう。コナン達のおかげで自分の命が狙われる理由がわかった為、恩返し、というより借りを返したということなのだと思います。元太のID回収漏れはトリックではなく、不慮の出来事でした。

「探偵たちの鎮魂歌」は10周年記念作品でレギュラーメンバーがほぼ全員出てきました。とても豪華な作品になっています。12時間以内に事件を解かないと蘭達が爆破されるというスリルもあります。とてもハラハラドキドキするストーリーです。「探偵たちの鎮魂歌」を観て、スリル満点さを味わってみてください。