2018年03月12日公開
2018年08月29日更新
キングダムの嬴政を史実と共に比較紹介!中華統一までの展開は?
キングダム主人公・信と並ぶ、もう一人の主人公・政について、史実を基にその素顔に迫ります!キングダムので描かれる政は史実ではどんな人物だったのでしょうか?また、政は今後どうやって天下統一を成し遂げるのか?歴史を紐解きつつ解説していきます。
目次
キングダムで描かれる秦始皇帝:嬴政(えいせい)
キングダムで描かれている秦王・政は、王としての器を持った人物として作中に登場しています。キングダム作中での合従軍編では、政自ら蕞(さい)に赴き、蕞の住民を元気づけて回るなど、民を大切にする人物として描かれています。また、呂不韋との政治闘争では政治力、決断力に優れた人物として描かれています。理想の王として描かれるキングダムの政ですが、史実上の嬴政(えいせい)とは実際はどんな人物だったのでしょうか?
【キングダム】史実上の政の姿とは?
史実上の嬴政とはどのような人物だったのでしょうか?司馬遷(しばせん)が残した「秦始皇帝本記」では、嬴政の姿について、「鼻は高く尖り、目は切れ長、胸は鷲のように膨らみ、その声は山犬の用であった」と表現されています。キングダムの政も鼻が高く、目が鋭い部分は同じと言えるかもしれません。また、嬴政は49歳で死去しますが、その間には天下統一、数々の事業の完成など、様々な偉業を残しています。
キングダム作中とは全く逆?暴虐の王として名を残す嬴政(えいせい)
嬴政は、キングダム作中で描かれている民に優しい王としてではなく、「暴虐の王」、「残忍な王」としての記録が多く残っています。こういった記録は、始皇帝となった嬴政が万里の長城や秦始皇帝陵の建設などで、多くの人民に犠牲を出したことに起因しています。天下統一後のことなので、キングダムでは描かれない部分かも知れません。
嬴政は、人民に数多くの被害を出したことで、後世にその悪名を残していますが、それだけでなくその政治の辣腕ぶりでも知られています。嬴政は封建制から郡県制への移行や貨幣、軽量単位の統一、交通規則の制定など、政治の面でもその活躍が目を引きます。キングダムの政の優秀な部分は史実上でも証明されているようです。
【キングダム】嬴政の幼少時代と出生
【キングダム】嬴政の出生
嬴政はキングダム作中でも描かれたとおり、最初から秦にいた人物ではありません。嬴政の父・子楚(しそ)は二十人以上兄弟のいる公子であり、趙に人質として送られていました。子楚は趙にいる間に、呂不韋の妾・趙姫を譲り受け、嬴政が生まれました。キングダム内では趙姫は、美姫と呂不韋から呼ばれています。
また、キングダムでは特に触れられていませんが、政の出生についても史実では諸説あります。漢時代に書かれた史記「呂不韋列伝」では、政は子楚の実子ではなく、呂不韋との子であるとも記載されています。この説については、様々な見解がなされ、現代では呂不韋父親説を否定する意見が多く提示されています。
【キングダム】嬴政の幼少時代
嬴政の父・子楚は昭襄王が何度も趙との協定を破り侵攻を続けていた為、趙から冷遇を受けていました。度重なる秦からの侵攻を受け、趙は人質である子楚の処刑を決めましたが、子楚は番人を買収し、秦へと脱出します。その時、趙姫と嬴政は趙に置き去りとされ、趙の兵士に追われることとなりました。キングダム作中でも子楚と呂不韋の関係は描かれています。
趙の兵士に追われる立場になった趙姫と嬴政の逃亡生活は、子楚が太子となるまで続きました。その後、趙は太子となった子楚に国際信義上やむなく、趙姫と嬴政を咸陽(かんよう)へと返します。キングダムでは紫夏と共に逃げるドラマチックな展開で描かれています。このとき政は十歳でした。嬴政の怜悧(れいり)な観察力は、このときの逃亡生活で身につけられたと推察されています。
【キングダム】呂不韋と嬴政の関係
史実上の政と呂不韋との関係は、キングダムとほぼ同じと言っていいでしょう。政は、政の父・子楚が王位についたものの在位三年で死去し、13歳という若さで王位を継ぐこととなります。キングダムでも描かれていたとおり、政はその若さゆえ、政治を呂不韋に任せることとなり、呂不韋は権力を大きくしていきました。
キングダム作中であったとおり、呂不韋は政の母・趙姫と密通しており、そのことが露呈することを危惧していました。呂不韋は嫪あい(ろうあい)を宦官と偽装し宮廷に送り込みます。不義密通の身代わりとなった嫪あいですが、趙姫の関係が政に発覚してしまいます。嫪あいと趙姫は状況を打開するため、政への謀反を起こしますが、これは失敗に終わります。
呂不韋はこの謀反の煽りを受け、蟄居を命じられます。蟄居後も権威を誇っていた呂不韋ですが、後年、政に反乱を危惧され島流しとなります。島流しとなった呂不韋は自らの末路を悟り、服毒しこの世を去ります。現在のところキングダムでの呂不韋と政の関係が史実に沿って描かれているのが分かります。特に嫪あいと趙姫の謀反のエピソードはキングダムのストーリーが史実に忠実であることを示しています。
【ネタバレ注意】キングダム今後の展開は?嬴政による天下統一(韓、趙の滅亡)
キングダムでは呂不韋との政治闘争を終え、いよいよ天下統一に乗り出している嬴政ですが、最初に天下統一の足がかりとされたのは、秦と隣合う4国(趙・魏・韓・楚)の内、最も小さい韓でした。
【ネタバレ注意】韓の滅亡
キングダム作中では毒物を使う将軍・成恢(せいかい)などが、所属する韓ですが、合従軍の戦い以降は特に活躍することも無く滅亡します。というのも、この頃の秦は戦国七雄の中でも軍を抜いて強く、韓は七雄の中でも最弱であったため、韓は呆気なく滅亡することとなります。
韓は秦に鄭国(ていこく)を送り込み、国力を削ぐよう巨大な事業を起こさせていましたが、そのことが発覚し、怒った秦は韓に侵攻します。紀元前230年、韓は首都を失い滅亡します。その四年後、秦への反乱を起こしますが、これもあえなく鎮圧されます。キングダム作中でもあまり目立たない立ち位置の韓ですが、史実上での終わりも実に呆気ないものでした。
【ネタバレ注意】趙の滅亡
キングダムでは大活躍の李牧を抱える趙でした。王翦、羌瘣らが趙に侵攻を始めると、李牧、司馬尚ら防衛戦の指揮をとり、善戦します。しかしながら、趙の防衛は秦の謀略によって、あえなく崩されることとなります。謀略の要となったのは、キングダムでは呂不韋のスパイとして描かれていた趙王の臣・郭開(かくかい)でした。
郭開は「李牧、司馬尚に謀反の疑いがある」と趙王に讒言(ざんげん)を行い、二人を防衛戦の指揮から解任させることに成功します。李牧はこれに逆らい処刑、司馬尚は逃亡します。両将は欠いた趙は三ヵ月後、首都を陥落させられ滅亡します。キングダムでは目下、秦のライバルとして描かれている趙ですが、最後は謀略に嵌り滅亡へと至ります。
【ネタバレ注意】燕と魏の滅亡
【ネタバレ注意】燕の滅亡
キングダム作中ではオルド将軍を抱える燕ですが、韓に継ぐ弱小の国でした。そのため、真っ向から秦と戦わず、嬴政を暗殺しようと企みます。暗殺は半ば順調に進み嬴政に剣を振るうまで成功しますが、逆に嬴政によって暗殺者・荊 軻(けいか)が切られ、失敗に終わります。この暗殺に激怒した嬴政は燕に総攻撃を仕掛け翌年には首都を陥落。燕王はその後も抵抗を続けましたが、戦いに負け続け、燕は滅亡へと至ります。
【ネタバレ注意】魏の滅亡
次に標的とされたのは、キングダムでも秦と何度も戦っている魏でした。しかし、戦国四君一人と呼ばれた傑物・信陵君はすでにこの世を去っており、魏は弱体化していました。魏は徐々に秦に領土を奪われていき、紀元前255年、ついに秦の王賁に攻め込まれ滅亡しました。魏の滅亡は、傑物とされた信陵君の死がもっとも大きな原因とされています。
【ネタバレ注意】楚と済の滅亡
【ネタバレ注意】楚の滅亡
キングダムで秦と並ぶ大国として描かれている楚と全面戦争を始めます。嬴政は李信と蒙恬に20万の兵を与え楚に侵攻させました。このとき、李信は嬴政に、楚を攻めるのに20万の兵がいれば十分だと言いましたが、王翦は嬴政に、60万は必要だと進言したことが記録に残っています。嬴政は李信を頼もしく思い20万の兵を与えた訳ですが、結果的に侵攻は失敗に終わります。
李信達の敗戦を受けて、嬴政は王翦に60万の兵を与え再び楚に侵攻を命じます。このとき王翦は嬴政に謀反の疑いをかけられない様、苦心したと記録に残っています。キングダム作中では不穏な空気を纏う王翦ですが、史実上でも嬴政に謀反を疑われていたようです。王翦は大軍を率いたことで楚を破り、楚は滅亡に至ります。
【ネタバレ注意】斉の滅亡
王建王「合従軍前夜以来よのォ 李牧」 pic.twitter.com/3lQn60tSx9
— キングダムbot (@KINGsss777X) January 28, 2018
六国の内、最後に残った斉ですが、斉は合従軍に参加してないことでも分かるとおり、戦争に消極的な国でした。秦に攻められた斉は戦わず、降伏します。五国を滅ぼした秦とほとんど戦争をしてない斉、戦っても勝ち目はなかったのでしょう。キングダムでは、異様な存在感を放つ王建王でしたが、秦と真っ向からぶつかることはありませんでした。六国を滅ぼした秦は見事、天下統一を果たします。このとき嬴政は39歳でした。
【ネタバレ注意】始皇帝の王朝
天下統一を果たした嬴政は自らを「始皇帝」と称し、天下を治める政治を始めます。始皇帝の成した政治での偉業としては、万里の長城の建設、中央集権制度の採用、漢字書体の統一、始皇帝陵の建設などで知られています。始皇帝は人民に多くを犠牲を出し、さまざまな建設を行った暴虐の王としての一面と、優れた政治を行う名君としての一面を兼ね備えた人物と言えるでしょう。
キングダムと史実の比較
ここまでキングダムでは史実から逸脱することなく物語が進んでいます。しかしながら、政に関してはキングダム独自のストーリーを交えながら、勇敢で優しい王として描かれているのが分かります。史実上の暴虐の王として知られる嬴政ですが、天下統一の展開次第では、キングダムでもその一面が出てくるかもしれません。