2019年05月06日公開
2019年05月06日更新
【ガンダムUC】フル・フロンタルの正体はシャアのクローン?名言や最期も紹介
アニメ界に革命を起こした「機動戦士ガンダム」は以降、様々な「ガンダム」の派生作品が展開しています。「Zガンダム」「ガンダムZZ」と続く「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の3年後が舞台となる「機動戦士ガンダムUC」に、シャアを彷彿させる正体不明の謎の男フル・フロンタルという男が登場しています。声優もシャアと同じ池田秀一さんが演じているフル・フロンタルの正体や名言、そして壮絶な最期について紹介していきます。
フル・フロンタルとは?
ガンダムUCの作品情報
ガンダムUCの概要
福井晴敏さん原作小説「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」は、「ガンダムエース」で2007年2月号〜2009年8月号まで連載され、この小説を原作としたアニメと漫画も制作されています。アニメ版は全国イベント上映とBlu-ray先行販売の組合せの他、インターネット有料配信、Blu-rayとDVDの一般販売という形式を展開しています。地上波全国ネットのテレビアニメとして、2016年4月〜9月まで全22話が放送されています。
「ガンダム」の生みの親の一人である安彦良和さんが、角川コミック・エースの小説「機動戦士ガンダムUC」のキャラクターデザインと表紙のキャラクターイラストと、1巻〜3巻までの挿絵も担当しています。4巻〜10巻(最終巻)の挿絵は虎哉孝征さんが担当し、メカニックデザインと表紙のモビルスーツのイラストはカトキハジメさん、原作者の福井晴敏さんはプロデューサー的立場も兼任しています。
漫画版「機動戦士ガンダムUC」は、原作小説とアニメ版を合わせたような内容となっており、「機動戦士ガンダムUC バンデシネ」というタイトルで作画・大森倖三さんが担当し、2010年3月号〜2017年2月号まで「ガンダムエース」で連載されています。アニメ版でカットされた小説版のエピソードや設定を織り込まれており、単行本は角川コミック・エースより全17巻が出ています。
「機動戦士ガンダムUC」は、宇宙世紀0079年から始まる「機動戦士ガンダム」から続く「機動戦士Ζガンダム」「機動戦士ガンダムΖΖ」、劇場版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」から3年後の宇宙世紀0096年が舞台となっています。スペースコロニー時代の幕開けとなる宇宙世紀元年が発端となり、「ガンダムシリーズ」のテーマとなる宇宙時代に適応する人類の姿ニュータイプに纏わる「ラプラス箱」を巡る人間ドラマとなっています。
ガンダムUCのあらすじ
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」で描かれた第二次ネオ・ジオン抗争終結から3年後の宇宙世紀0096年。本作の主人公アナハイム工専の学生バナージ・リンクスは、正体不明の少女オードリー・バーンという少女と出会います。オードリーはジオンの姫ミネバ・ラオ・ザビという正体を隠して、単身でビスト財団が所有している「ラプラスの箱」がネオ・ジオン残党軍へ引渡されるのを何とか阻止しようとしていたのです。
ビスト財団は、地球連邦政府が転覆すると噂される「ラプラスの箱」を盾に、長きに亘り地球連邦政府の便宜を受け続けていたようです。ビスト財団とネオ・ジオン残党軍の取引に地球連邦軍が軍事介入することとなり、バナージは否応なしに「ラプラスの箱」を巡る紛争に巻き込まれていきます。UCガンダムのパイロットとなったバナージは、オードリーと共に「ラプラスの箱」の真実へ導かれていきます。
フル・フロンタルのプロフィール
「赤い彗星」のシャアの再来と噂される正体不明のフル・フロンタル大佐は、地球連邦軍と「ラプラスの箱」を巡る争奪戦を繰り広げます。仮面を外した素顔や、声・口調までもがシャアを彷彿させるフル・フロンタルの額には、一年戦争の最終決戦の地でシャアがアムロとの決闘で負傷した同様の傷痕があります。酸素がない宇宙のMS戦でのフル・フロンタルは、軍服でシナンジュに搭乗し圧倒的なMS操縦技術で敵を迎撃します。
平常時は穏やかさを醸し出しているフル・フロンタルですが、組織を束ねるリーダーとして冷静沈着な行動力でネオ・ジオン残党軍を率いています。そんなフル・フロンタルは、外見だけでなく、戦闘技術や習慣までもがシャアを彷彿させるものがあります。とは言うものの、シャアと比べると体格は大柄でカリスマ性も異なり、よく観察すれば別人と判断できます。
フル・フロンタルの搭乗機体
MSN-06S シナンジュ
フル・フロンタルの専用MSシナンジュは、「赤い彗星」のシャアの赤をパーソナルカラーとしています。改良前にはシナンジュ・スタントと呼称されていたシナンジュは、元々は地球連邦軍によるユニコーン計画の試験機であり、UCガンダムの兄弟機と言えるのかもしれません。その後、ネオ・ジオン残党軍の手に渡り、フル・フロンタル専用MSとして改良されています。
パイロットの脳波に反応するニュータイプ専用機シナンジュは。技術進歩よりサイコミュの小型化が可能となり、サザビーなどと比べ機体サイズのスリム化を成功させています。パイロットであるフル・フロンタルの卓越した操縦技術に合わせた改良や強化が続けられた結果、シナンジュはUCガンダムと互角以上の性能を発揮しています。
NZ-999 ネオ・ジオング
本作のアニメ版の最終決戦で登場しネオ・ジオングは、シナンジュをコア・ユニットとする脚部を排除した巨大モビルアーマーです。一年戦争の最終決戦で、シャアが搭乗したジオングの名称と機体コンセプトをベースにしており、パーソナルカラーも赤となっています。ネオ・ジオングから、「機動戦士ガンダム」で最終決戦を控えたシャアと整備士とのジオングについてのやり取りを連想するファンもいることでしょう。
フル・フロンタルの名前の意味
出典: https://festy.jp
フル・フロンタル(full frontal)の和訳は、 「全裸」「丸裸」「あけっぴろげの」「隠すものがない」です。何も隠すことのないフル・フロンタルの主義主張や行動は、違和感があるものの他を圧倒するものがあります。
フル・フロンタルの正体
フル・フロンタルの正体①シャアのクローン?
アムロ・レイの公私のライバルであるシャア・アズナブルの正体は、キャスバル・レム・ダイクンで父ジオン・ズム・ダイクンの意思を受け継ぎ「ジオニズム」の実現に人生を捧げています。地球に亡命した際はエドワゥ・マスと名乗り、「機動戦士Zガンダム」ではクワトロ・バジーナと名乗っています。アムロとシャアの最期の闘いを描いた「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」で、シャアはアムロと共に生死不明となっています。
それから3年後、「機動戦士ガンダムUC」に「赤い彗星」のシャアの再来と噂される正体不明のフル・フロンタルの登場に、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の最期で生死不明となっていたシャアは生きていたのかと驚いたファンもいるでしょう。フル・フロンタルの正体については、アニメ版より小説版の方がシャアのDNAで作られたクローンだという表現しているくだりがあります。
フル・フロンタルの正体②内面にシャアの思念が?
ネオ・ジオン残党軍を率いるために作られたフル・フロンタルは、悟りを開いた賢者のように組織のリーダーとしての役目を果たしています。表向きはシャアを彷彿させるようなものがありますが、そこには内に秘めたる情熱はなく自我が欠如しています。
「機動戦士ガンダム」でのアムロとララァの思念の共鳴から始まり、そこから登場した人の思念を増幅させる兵器により、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」での最期のアクシズ・ショックで宇宙をさまようシャアの残留思念が、フル・フロンタルという器に受け止めてしまったのかもしれません。
フル・フロンタルの名言集
フル・フロンタルの名言①「見せてもらおうか…」
出典: https://festy.jp
「機動戦士ガンダム」は名言の宝庫だと言われています。なかでも、シャアが初めてガンダム一戦交える時に言ったセリフは、印象に残る名言だと言えます。この名言は「機動戦士ガンダムUC」でも再現されており、初期からのファンは大喜びだったことでしょう。
見せてもらおうか、新しいガンダムの性能とやらを。
フル・フロンタルの名言②「過ちを気に病むことはない…」
出典: https://festy.jp
フル・フロンタルの名言「過ちを気に病むことはない…」を紹介します。至極まともなフル・フロンタルの名言ですが、自分の言葉としてではなくどこか誰かに言わされているとネット上で考察されています。
過ちを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが、大人の特権だ。
フル・フロンタルの名言③「君の言う『みんな』とは何だ…」
出典: https://festy.jp
フル・フロンタルの三つ目の名言「君の言う『みんな』とは何だ…」を紹介します。フル・フロンタルは、父親の意思を継いだシャアが成し得なかった世界を実現する覚悟があるのかもしれません。自我が欠如していると言われるフル・フロンタルは、人間という生き物を誰よりも的確に理解していたのでしょう。
君の言う「みんな」とは何だ。一人の人間がすべての意思の代弁者になることはできない。
フル・フロンタルの最期・終わり方
最期・終わり方①小説版
小説版ではネオ・ジオングは登場せず、最終決戦でシナンジュに搭乗したフル・フロンタルは、怨念と漂わせるオーラを纏い驚異的な強さでUCガンダムとバンシィとジェスタ2機との死闘を繰り広げます。フル・フロンタルの歪んだ思念を込めた死闘の中で、最期にシナンジュはガンダムUCに撃墜されます。
死の間際にフル・フロンタルは、ガンダムUCと一体化し極限までニュータイプの能力を引き出したバナージの行く末に怨念めいた思念をぶつけています。宇宙を漂うシナンジュのコクピットブロックの中にいる空っぽなフル・フロンタルの亡骸は、最期には激戦を生き延びた部下アンジェロによって発見されています。その点はアニメ版と共通しています。
最期・終わり方②映画版
ネオ・ジオングで出撃したフル・フロンタルは、UCガンダムとの死闘の中、拡大するニュータイプ能力で宇宙の記憶を感じます。人類の可能性を信じるバナージと一体化したUCガンダムにより、人類の可能性を否定するフル・フロンタルの思念はネオ・ジオンごとに浄化され、シャアとアムロとララァの魂と共に、バナージに未来を託し宇宙へと消えていきます。そこには、空っぽなフル・フロンタルという器が残されています。
フル・フロンタルの声優
フル・フロンタルの声優は池田秀一
池田秀一のプロフィール
1958年に子役デビューした池田秀一さんは、NHKテレビドラマ「次郎物語」の主役などを経て天才子役としてブレイクしています。数多くの人気テレビドラマに出演と並行して、洋画の吹き替えなどもしていた池田秀一さんは声優業には乗り気でなかったようです。しかし、「機動戦士ガンダム」のシャア役を経て池田秀一さんは、今や声優界の大御所となり、2010年に第4回声優アワードシナジー賞を受賞しています。
「機動戦士ガンダム」のブライト役の声優の故・鈴置洋孝さんは、「次郎物語」の池田秀一さん、「巨人の星」の古谷徹さんとの共演に感激していたそうです。池田秀一さんは、「機動戦士ガンダム」のマチルダ役の女優で声優の戸田恵子さんと結婚していましたが、後に離婚しています。現在の妻は、「クレヨンしんちゃん」の風間くんのママ役の声優の玉川砂記子さんです。
池田秀一の主な出演作
アニメでは、シャアのようなクールなイケメンキャラが多いようですが、優しい父親役や飄々とした役柄もこなしています。主な作品としては、「ONE PIECE」のシャンクスや「名探偵コナン」の赤井秀一などがあります。「名探偵コナン」での赤井秀一は、安室透(声優は古谷徹さん)と共に人気急上昇中キャラとなっています。この二人のキャラは、「機動戦士ガンダム」のアムロとシャアにオマージュを込めています。
吹き替えではコメディー系の二枚目役が多く、チャーリー・シーンやジェット・リーなどを担当しているようです。海外ドラマ「ホワイトカラー」で主人公の相棒のピーター役の吹き替えをしている声優の池田秀一さんと、上司役の吹き替えが「機動戦士ガンダム」のガルマ役の声優の森功至さんであることから、シャア&ガルマの再共演と喜んでいるファンもいたようです。
フル・フロンタルに関する感想や評価は?
https://t.co/FReCUyUF6E 「機動戦士ガンダムUC」のフル・フロンタルが企んだ「サイド共栄圏」。環境経済学や国際政治の観点からの意外な妥当性とそのリアルな末路について、元日銀マン・鈴木卓実氏が斬りました! #ガンダム #ガンダムUC
— 服部良祐 (@ryowsuke1983) April 25, 2019
ひと昔のアニメは子供向きでしたが、生身の人間が演じるドラマよりリアリティのある「ガンダムシリーズ」は幅広い年代層のハートを鷲掴みしています。人間ドラマに加え政治や社会情勢なども織り込みリアリティを増しているのですが、少々難しすぎる点もあります。
ガンダムUCのフル・フロンタルが喋ってる所をガンダム何も知らない母が見て言った言葉
— てへろ (@shine33sky) February 2, 2019
「オスカルとオペラ座の怪人じゃん」 pic.twitter.com/zBIRcJ9Ob7
「ガンダム」を知らず「ベルばら」「オペラ座の怪人」を知っている人が、フル・フロンタルは見たら「オスカルとオペラ座の怪人」だと言うでしょう。蒼い瞳とボリューム感あるブロンドと赤い軍服はオスカルだし、シャアより手の込んだ仮面はオペラ座の怪人です。大柄な体格のフル・フロンタルは、そのままの風貌で舞台映えしそうです。
ガンダムUCのラスボス、フル・フロンタルは、言ってること正しいから途中まで共感できるんだけど、元のシャアと比べても賢すぎて、人間なんか変えられないって思想に行き着いてしまったのは残念な結果だと思う。バナージのような青少年に否定され滅び去るから意味のある主義主張なんだろうな。
— 志摩 朝海 (@asami_s2016) January 5, 2019
映画「ブラジルから来た少年」は、ヒトラーのクローンを題材にしています。ヒトラーを作り出すために、クローンにヒトラーと同じような道筋を歩ませようとしてます。フル・フロンタルをシャアのクローンにするなら、シャアと同じ環境で生育しないと無理だと言えます。謎多き正体不明のフル・フロンタルが、「機動戦士ガンダムUC」に登場するまでの人生に興味が湧いてきます。
フル・フロンタルの正体まとめ
外伝作品「戦後の戦争」においてフル・フロンタルの正体が、シャアのクローンという明確な表現がされているようです。フル・フロンタルの真の正体は、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」でアムロとの死闘の末に残ったシャアの思念と人間のエゴから作り出されたのかもしれません。フル・フロンタルの最期は小説とアニメでは若干違いますが、残ったのは空っぽなフル・フロンタルという器だけとなっている最期は共通しています。
「機動戦士ガンダムUC」は、本家「機動戦士ガンダム」の系統を継いでいる物語です。「機動戦士ガンダムUC」を知るには本家の知る必要があり大変かもしれませんが、小説・コミック・DVD&Blu-rayなどで手軽に見れますのでお勧めです。本家を知れば、フル・フロンタルの名言に奥深さを感じるかもしれません。