【シン・エヴァンゲリオン】アディショナル・インパクトとは？発生条件と目的を考察

「シンエヴァ」の終盤で登場したアディショナル・インパクトとは、虚構と現実と同一化させ、理想の世界を創造することを意味します。以下では、「シン・エヴァンゲリオン」から、アディショナル・インパクトの発生条件や阻止方法、アディショナル・インパクトの目的、フォースやアナザー・インパクトとの違い、アディショナル・インパクトが阻止されたその後や結末について考察しました。

2021年3月8日に公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は、「新劇場版シリーズ」の4作目に当たります。「新劇場版シリーズ」は、1995年にテレビ放送された「新世紀エヴァンゲリオン」及び旧劇場版を再構築したリメイク作品です。新劇場版シリーズは、2007年に「序」、2009年に「破」、2012年に「Q」が公開されました。

そして、新劇場版の最終作として、2020年6月に「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開予定でしたが、同年2月に感染が確認された新型コロナウイルスの流行により、他の上映予定の作品と同様、公開延期を余儀なくされました。その後、1年近くにわたる延期期間を経て、2021年3月8日に「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の上映が開始され、エヴァシリーズ最大のヒットを記録しました。

前作「Q」で起きた出来事から、心に傷を負ったシンジは、アスカ・レイに伴われながら第三村に身を寄せます。始めは、村人に心を閉ざしていたシンジでしたが、レイ達との交流を通じて次第に立ち直っていきます。その後、ミサト率いるヴィレと合流したシンジは、人類の未来を救うために、父・ゲンドウとの最後の戦いと人類補完計画の阻止を目指します。

「シンエヴァ」の終盤で登場したアディショナル・インパクトは、これまでに登場したインパクトと違い、発生条件の多さや、世界そのものを変えてしまうとてつもないパワーを秘めています。以下では、「シン・エヴァンゲリオン」から、碇ゲンドウによって引き起こされたアディショナル・インパクトの発生条件や、アディショナル・インパクトの阻止方法について考察しました。

アディショナル・インパクトは、碇ゲンドウが最愛の女性・ユイとの再会を実現するための最終目的にあたり、新劇場版「Q」の終盤で発生したフォースインパクトは、アディショナル・インパクトを発生させるための準備段階と考えられます。フォースインパクトの発生は、「シン・エヴァ」でも確認でき、人ならざる存在となったゲンドウが、ヴィレのミサト・リツコと対峙した時点で、すでに発生していたと推測されます。

そして、フォースインパクトと同時に、全ての魂をエヴァインフィニティに同化させる現象・生命のコモディティ化も開始され、ゲンドウはこれら一連の行為を「魂の浄化」と呼びました。一方、フォースインパクトの先に位置するアディショナル・インパクトは、マイナス宇宙に存在する「ゴルゴダオブジェクト」でしか、発生することが出来ません。

また、マイナス宇宙に入るには、覚醒を果たし神に近い存在となった、ゲンドウの第13号機・シンジの初号機が必要となります。そして、マイナス宇宙のゴルゴダオブジェクトに到達し、ロンギヌス（絶望）の槍と、カシウス（希望）の槍で、エヴァンゲリオンイマジナリ―に突き刺すことで、アディショナル・インパクトを起こします。

アディショナル・インパクトの発生により、ゲンドウ・シンジのいる世界は、虚構と現実が曖昧になった不可思議な光景を次々と生み出し、父子の最後の戦いが繰り広げられました。2人の戦いは、ゲンドウが有利に進めていましたが、ある出来事がきっかけで、ゲンドウの計画は失敗に終わる事となります。

アディショナルインパクトは発生しましたが、それを阻止するためにミサトとマリがヴンダーでマイナス宇宙へ突進し、ヴィレが人間の知恵で作り上げた希望の槍「ガイウスの槍」をシンジに届けました。

アディショナル・インパクトの発生により、ゲンドウが目指す理想の世界への書き換えが進行する中、マイナス宇宙の外側から、シンジへあるものが届けられます。それは、人間の知恵が生み出したヴィレの希望の槍・ガイウスの槍であり、マリを主機としてマイナス宇宙に運び込んだミサトは、戦艦ヴィンダーと共に壮絶な最期を迎えました。

ガイスウの槍によってアディショナル・インパクトが阻止されたことを受け、ゲンドウは改めて息子・シンジと向き合い、自身の敗北と息子・シンジの成長を認めながら、電車を降りていきました。ゲンドウの後は渚カヲルに引き継がれ、シンジは、アスカたちを救い、エヴァのいない平穏な世界に書き換えるため、エヴァ初号機ごとガイウスの槍で貫く覚悟を決めます。

その瞬間、シンジの前に碇ユイが現れ、シンジの役目を引き受けたユイは、ゲンドウのエヴァ第13号機ごとガイウスの槍でコアを貫きます。その後、全てのエヴァがガイウスの槍で刺し貫かれる中、シンジの元へマリが迎えにきました。そして、目を覚ますと、そこは駅のホームであり、28歳になったシンジは、マリと共に駅を駆け上がり、その先にはエヴァのいない世界が広がっていました。

アディショナル・インパクトは、これまでに登場したインパクトとは違い、「シン・エヴァンゲリオン」オリジナルの概念であり、それらの意味や発生条件、ゲンドウの目的について様々な考察が飛び交いました。以下では、「シン・エヴァンゲリオン」にて、碇ゲンドウによって発生させられたアディショナル・インパクトの目的や、ゼーレのシナリオとの関係の有無について考察しました。

碇ゲンドウがアディショナル・インパクトを起こした目的は、旧作と同様、初号機と融合したユイとの再会にあり、全ての魂と溶け合わせ、他者の存在をなくすことで差別・争いのない理想の世界の創造を目指していました。また、「シン・エヴァンゲリオン」では、碇ゲンドウの知られざる過去も明かされ、幼い時から人との関わりを恐れ、知識やピアノの世界に入り浸りながら、自分の殻にこもっていました。

孤独な日々を送るゲンドウに光を与えたのが、後に妻となる碇ユイであり、ゲンドウが唯一、心を開くことができた特別な存在でした。それゆえに、ユイを失ったことで、初めて孤独という苦しみに直面したゲンドウは、理想の世界でのユイとの再会を望み、ゼーレの人類補完計画を利用して、自分の願望を実現するべく、アディショナル・インパクトを引き起こしました。

エヴァの世界では、知恵の実を手に入れた人類の未来に2つの選択肢が与えられ、1つは、生命の実を得た使徒に滅ぼされること、もう1つは、使徒との戦いに勝ち、神の子となることでした。そこで、ゼーレのシナリオは、使徒との戦いの勝利と、神の子になる選択を選び、それらを実現するための手段として「人類補完計画」が始まりました。

「人類補完計画」とは、知恵の実を授かるも不完全な状態である人類に、生命の実を与えることで、完全な単一の生命体に進化することを目的とします。人類補完計画が成功すれば、人類は身体と呼ばれる個体を捨て1つの魂となり、争いや差別のない魂が安らげる場所に到達することができます。しかし、人類補完計画に目を付けたゲンドウは、それらを自分の目的のために利用することを思いつきます。

「シン・エヴァンゲリオン」では、ゼーレの人類補完計画に、ゲンドウ独自の計画が盛り込まれたことで、ゼーレのシナリオは大幅に狂わされることになりました。そして、ネブカドネザルの鍵で、人ならざるものへ進化したゲンドウは、自らを器にすることで人類補完計画を実行、ゼーレとヴィレが予想できなかったアディショナルインパクトの発生させます。

ネブカドネザルの鍵は、新劇場版「破」にて、加持リョウジから受け取り、人類を超えた存在に情報を上書きし、人ならざる存在に進化する機能を持ち、「シンエヴァ」でのゲンドウは、目元が十字に割れたような姿に変貌しました。また、アディショナル・インパクトは、シンジとガイウスの槍の登場により、ゲンドウの計画も失敗に終わり、シンジが望むエヴァのいない世界への書き換えに利用されたとも考えられます。

「シンエヴァ」で新たに登場したアディショナル・インパクトや、アナザーインパクトは、それぞれ意味や発動条件が異なります。以下では、シンエヴァこと「シン・エヴァンゲリオン」で登場したアディショナル・インパクトと、フォースインパクトやアナザーインパクトの意味や違いについて考察しました。

インパクトとは、人類補完計画を実現するための浄化の儀式と意味し、最初に発生した「セカンドインパクト」は海の浄化、「サードインパクト」は大地の浄化を目的としています。そして、ゼーレが目指す、人類補完計画の最終段階である「フォースインパクト」は、魂の浄化を目的とし、人類の補完は完了すると言われ、その先にゲンドウのアディショナル・インパクトが位置します。

「シン・エヴァ」では、アディショナル・インパクトを発生させる前段階で登場した、フォースインパクトは、新劇場版「Q」の終盤に起きたインパクトです。フォースインパクトの発生条件は、リリスに刺さった2本の矢を引き抜くことで、Mark.06に取り込まれていた第12使徒の活動を再開させます。次に、エヴァ13号機を第12使徒に取り込ませて、疑似シン化形態・覚醒、ガフの扉が開くことでフォースインパクトが発生します。

一方、エヴァ13号機は、アダムスの生き残りとも称され、ゲンドウの思惑により、カヲルは第1使徒から第13使徒に落とされ、彼がエヴァ13号機にエントリーしたことで、フォースインパクトのトリガーとなりました。また、カヲルはリリスに刺された槍は、ロンギヌスとカシウスだと考えていたものの、実際は同じ槍が2本刺さっている現実に直面します。

そして、カヲルはフォースインパクトを止めるために、リリスを刺していた2本の槍をエヴァ13号機に刺し、DSSチョーカーを発動させ、自ら命を断ちます。しかし、エヴァ第13号機は、ダブルエントリーシステムで、かつシンジは、フォースインパクト継続のための保険として利用されていたため、カヲルの死後も、フォースインパクトは止まることはありませんでした。

フォースインパクトは、マリの手でシンジをエヴァ第13号機から引きずり出したことで停止します。その後、放心状態に陥ったシンジは、アスカに救護され、レイと共にその場を立ち去っていきました。

アディショナル・インパクトと混同されやすいアナザーインパクトとは、「アナザー」は「別の」「もう一つの」を意味し、直訳すると、人為的に引き起こされたもう1つの災害となります。アナザーインパクトに直面したミサト・リツコのセリフから、アナザーインパクトは、ゼーレのシナリオにはない儀式、つまりゲンドウ率いるNERVのシナリオに組まれた、ヴィレ・ゼーレにとって想定外の儀式を意味するでしょう。

これまでのインパクトは異なる意味を持った、アナザーインパクトの目的は、ある1つの願いを叶えるために、フォースインパクト用の槍を生みだし、アディショナル・インパクトが来るその時まで、2本の槍を温存するためと考察できます。また、アナザーインパクトとは、フォースとアディショナルインパクトを合わせた総称も意味し、他のインパクトとの違いが明らかにされています。

これまでに発生したインパクトとは違い、世界そのものを変えてしまう能力を秘めたアディショナル・インパクトは、シンジによって阻止され、結果、碇ゲンドウの計画は失敗に終わりました。以下では、「シンエヴァ」から、アディショナル・インパクトが阻止されたその後の展開や、マリエンドとも呼ばれる、「シンエヴァ」の結末について考察しました。

「シン・エヴァンゲリオン」のラストは、アディショナル・インパクトの阻止と、エヴァのいない世界への書き換えが行われ、シンジ・マリと、アスカ・カヲル・レイと思われる人物のその後が描かれました。このような結末から、「シンエヴァ」のラストでは、エヴァの存在した世界で犠牲になった人々、葛城ミサトや加持リョウジなども、世界のどこかで生き返ったとも考えられています。

しかし、シンジは、ネオンジェネシスを起こした際、世界を過去に戻す、または未来に進めることを望まないセリフを残しており、起ってしまったことは変えられないという意味から、ミサトや加持の蘇生はなかったと考察できます。一方、エヴァの世界で犠牲になった人々の中には、エヴァに取り込まれた綾波レイや、DSSチョーカーで命を落とした渚カヲルも含まれます。

2人が創造後の世界に到達した経緯について、綾波レイは、エヴァの中に取り込まれていたところをシンジが連れ戻した結果とも解釈できます。また、劇中での死亡が明確にされた渚カヲルは、人類を超えた存在と思われる描写から、エヴァのいない世界で生まれ変わったと考えられます。

エヴァ新劇場版シリーズからの登場人物、真希波・マリ・イラストリアスは、NERVユーロ支部出身のパイロットで、碇ゲンドウ・ユイの大学時代の同級生、冬月の教え子でもありました。エヴァの謎に数えられるマリは、冬月から「イスカリオテのマリア」と呼ばれ、キリスト教の裏切り者・イスカリオテのユダに由来することから、ゼーレやNERVにとっての裏切り者を意味するでしょう。

また、マリの名前もキリスト教に由来すると考えられ、生母マリア、キリストの妻・マグダラのマリアが浮かび上がります。そして、マリアの息子・夫であるキリストは、聖書における救世主であり、「シンエヴァ」に当てはめると、エヴァのいない世界を創造したシンジが、救世主・キリストになります。

「イスカリオテのマリア」の元ネタや名前の由来から、マリの存在はシンジを支える立場を示すと考えられます。そしてシンジとマリが手を取り合って、駅を駆け上がるマリエンドにつながったのでしょう。

「シン・エヴァンゲリオン」にて、碇ゲンドウによって引き起こされたアディショナル・インパクトは、シンジによって阻止されましたが、同時に、シンジが望む理想の世界への創造のきっかけにもなりました。以下では、「シン・エヴァンゲリオン」から、発動条件や他のインパクトとの違いについて、様々な考察が飛び交う、アディショナル・インパクトに関する感想や評価を紹介します。

「シン・エヴァンゲリオン」のアディショナル・インパクトは、劇中では断片的な情報しか提示されなかったことから、その意味や発生条件、他のインパクトの違いなどが分からないとの感想が多く見られます。また、SNS上では、「アディショナルインパクト」を使用したツイートも多く投稿され、「シンエヴァ」を見たことがない方が謎ツイートをしています。

「シン・エヴァ」では、新たなインパクトが次々と発生し、ファンの中には、他のインパクトとの違いや発動条件を理解するのが難しいとの感想が寄せられています。アナザー・アディショナルインパクトは、どちらもゼーレのシナリオにはない新たなインパクトであり、それぞれの違いを区別するために、アナザーとアディショナルの呼称が付けられたと考察する投稿も見られます。

シリーズ完結作となった「シン・エヴァンゲリオン」では数多くの名言・名シーンが誕生し、多くの感動を呼びました。「シン・エヴァンゲリオン」の名シーンには、アディショナル・インパクトの発生シーンからも挙げられ、ゲンドウの姿を見て微笑む綾波ユイの笑顔のシーンは、多くのファンの涙を誘い、「シンエヴァ」で一番好きなシーンとして支持されています。

「シン・エヴァンゲリオン」の結末ラストは、大人になったシンジが駅の外に出て、実写画面に切替わったところで締めくくられました。「シンエヴァ」に関する考察の中には、結末ラストにて、マリに導かれ駅を駆け上がるシーンは、シンジが現実世界に戻ることを意味し、アディショナル・インパクトの一環ではないかとも、考察されています。

「シン・エヴァンゲリオン」の難解ワードとも呼べるアディショナル・インパクトは、登場キャラのセリフや動向など、断片的な情報しかないため、インパクトの発生条件や目的、これまでに登場した他のインパクトとの違いが分からないとの感想が見られました。一方、アディショナル・インパクトの意味を理解できて感動したとの声も見られ、エヴァシリーズでもっとも理解が難しい用語でしょう。

「シンエヴァ」を見たファンの中には、東京五輪のサッカー実況で聞こえる「アディショナルタイム」から、エヴァのアディショナル・インパクトを連想したとの感想も寄せています。また、SNSでは、アディショナルタイムを聞くたびにアディショナル・インパクトが頭に浮かんだけど、何の作品で見聞きしたのか、思い出せないという声も多数寄せられています。

「シンエヴァ」のアディショナル・インパクトの発生条件や阻止方法、アディショナル・インパクトの目的や、フォース・アナザーインパクトとの違いなどを考察しました。「シンエヴァ」にて、ゲンドウの最終目的となったアディショナルインパクトは、発動条件の難しさやその能力から、他のインパクトの違いが明確にされ、エヴァの世界最大のインパクトとなりました。