【名探偵コナン】漆黒の追跡者のアイリッシュとは？殺された理由や担当声優も紹介

映画「名探偵コナン 漆黒の追跡者」は、複数の県で発生した連続殺人事件とコナン・黒の組織の対決を描いた作品です。以下では、映画のキーパーソンである黒の組織・アイリッシュはなぜ殺されたのか、組織ならではの理由や、アイリッシュの強さや能力・性格、コナン・ベルモット・ジンとの関係、アニメ声優などを考察を交えながら紹介します。

映画「名探偵コナン 漆黒の追跡者」は、2009年4月に公開された劇場版コナンシリーズの第13作目です。本作品は、第5作「天国へのカウントダウン」以来となるコナンと黒の組織の対立を題材とし、両者の頭脳戦を描いたシリアスな展開が特徴です。

「名探偵コナン 漆黒の追跡者」の映画タイトルには、物語のキーパーソンとなる黒の組織、ジンとアイリッシュの対立を意味していると考察できます。まず、映画タイトル「漆黒の追跡者」を英語に訳すと「The Raven Chaser」となります。「The Raven」は、漆黒の、または大型のワタリガラスを意味し、黒に関連する大柄の人物から、黒の組織のアイリッシュを指していると考えられます。

一方、「Chaser」は、直訳すると追うものを意味しますが、強いお酒による悪酔いを和らげるために飲む水にも使用され、この2つの単語からアイリッシュによるジンの失脚が浮き上がるでしょう。また、黒の組織のコードネームになったお酒のアルコール度数は、ジンの約40~50%に対して、ウィスキーに分類されるアイリッシュは約20%と低く、強いお酒（ジン）を水で割る（アイリッシュ）構図もタイトルに込められているでしょう。

連続殺人事件の犯人を突き止めるべく、コナンは毛利小五郎と共に警視庁に出向きます。そして、捜査会義終了後、山村警部のプッシュ音から黒の組織・ベルモットが潜んでいると察したコナンは、捜索を開始します。その後、ベルモットと対峙したコナンは、組織が狙うメモリーカードや、アイリッシュと呼ばれる人物が捜査本部に紛れていると知り、その行方を追います。

「名探偵コナン 漆黒の追跡者」の主題歌は、倉木麻衣さんの「PUZZLE」が起用されました。また、倉木さんは、黒の組織が本格的に登場した映画「天国へのカウントダウン」をはじめ、コナン映画の主題歌を歌っており、アニメ本編でもOP・ED主題歌に起用され、アニメコナンではお馴染みの歌手です。

黒の組織のNOCリストが内蔵されたメモリーカードは、アイリッシュが獲得したものの、黒の組織はメモリーカードごと撃ち抜く決断を下し、味方を死に追いやりました。以下では、「名探偵コナン 漆黒の追跡者」にて、なぜアイリッシュが殺されたのか、その理由を考察しました。

コナンを追い詰めた数少ない敵キャラとして注目されたアイリッシュは、その能力の高さからベルモットら幹部クラスと同等の地位にあると推測される一方、ジンより立場は低いと考えられます。アイリッシュを失うことは、組織にとって大きな痛手にも関わらず、なぜジンは有能な人材の射殺を命じたのか、ジンの決断に多くの疑問が生じました。

水谷浩介からメモリーカードを奪取することに成功したアイリッシュでしたが、ヘリコプターで追跡していた黒の組織の手で、メモリーカードと共に撃ち抜かれてしまいます。そして、死が間近に迫る中、アイリッシュは、コナンに向かって「工藤新一…どこまでも追い続けるがいい…」と言い残し息を引き取りました。

アイリッシュは、独自の調査で江戸川コナン・工藤新一が同一人物であることを突き止めていました。同時に、過去の出来事からジンに恨みを持つアイリッシュは、コナンを工藤新一として「あの方」に合わせることで、ジンの失態を明るみにさせ、組織内での失脚を計画していました。しかし、アイリッシュの計画は失敗に終わり、コナンの正体が組織に知れ渡ることはありませんでした。

黒の組織メンバーでは異色の存在であったアイリッシュは、アニメ本編に登場した黒の組織の幹部・ピスコを父親のように慕っていました。ピスコは、長年あの方に仕えてきた古参メンバーの1人で、ジンですら手出しすることは危険と言われる、黒の組織の重鎮です。一方、表世界では、大手自動車メーカー会長・枡山憲三として活動し、「経済界の大物」と称されています。

アニメでは、ピスコが黒の組織と関わりを持つ吞口重彦を暗殺するべく、ホテルのシャンデリアを落下させることで、事故死を装いました。その後、灰原哀を目撃したピスコは、彼女の正体がシェリーであることを確信し射殺を試みるも、コナンの介入や火災により、2人に逃げられてしまいます。同時に、吞口議員の殺害現場を何者かに撮影され、翌日の朝刊に載せられる失態を犯してしまいます。

この出来事からピスコは、あの方の命令によりジンの手で殺害され、彼の自宅は証拠隠蔽のため、跡形もなく焼き払われました。ピスコの粛清は、あの方の了承を得た上での行動のため、ジンの組織での立場は危ぶまれることはありませんでした。しかし、ピスコの死は、アイリッシュの組織への忠誠心を失せることにつながり、同時にジンへの憎悪を生み出すきっかけとなりました。

東都タワーを舞台に、コナン・蘭と壮絶な戦いを繰り広げたアイリッシュは、何とかメモリーカードを回収することができ、味方のヘリコプターに向けてその事を知らせました。しかし、黒の組織は、アイリッシュとメモリーごと撃ち抜きやすいように誘導させ、ジンの命令で狙撃されてしまいます。組織の行動に、コナンも「なぜ？」と思いはじめ、敵であるはずのアイリッシュの救出を試みました。

なぜアイリッシュが殺されたのか、その理由は、警察に漏れることを恐れた口封じと考えられます。コナンとアイリッシュが戦っている間、山奥で監視されていた本物の松本管理官が発見され、東都タワーの周囲には警察が集まっていました。この状況から、いずれ組織の存在が明るみになることは避けられず、メモリーカードも警察の手に渡る危険性もありました。

そして、なぜアイリッシュを口封じする必要があったのか、その理由はジンに対する恨みから組織を裏切る可能性を察したと考察できます。コナン（工藤新一）の正体を知る者は、組織では、ベルモット・アイリッシュだけであり、この情報はジンにとって不都合なものでした。そして、アイリッシュを生かしておくことは、ジンの組織内の立場を危うくしかねないことに繋がります。

そして、独自の調査でコナンを正体を見破ったアイリッシュの能力なら、ジンの過去の失態も調べ上げることは容易なことで、ジンの失脚も時間の問題でした。一方、ジンもピスコを殺害したことから、アイリッシュに恨まれていることを自覚していると思われます。よって、アイリッシュの殺害は、ジンとって不利な情報を持つ人間を口封じする意味も込めて、狙撃を命じたとも考えられます。

事件後、阿笠博士・灰原哀と共に松本管理官が監禁されていた建物に向かったコナンは、黒の組織との戦いを振り返るなか、アイリッシュが自分の正体を黒の組織に明かさなかったことを思い出します。アイリッシュは、父親同然に慕っていたピスコの死により、ジンだけでなく、組織そのものに恨みを持っていたと考えられます。

そして、劇中でコナンの正体を探っていた理由は、工藤新一の殺害未遂や、コナンと新一が同一人物であることに気が付ていないジンを失脚させることで、組織の内部崩壊を目論んでいたことでしょう。しかし、コナンの人柄を知ったアイリッシュは、最後はコナンを庇うようにして亡くなり、工藤新一に後を託しました。それは、自分が成し遂げることが出来なかった、組織の崩壊と考えられます。

映画「名探偵コナン 漆黒の追跡者」は、スペシャルゲスト声優が初めて起用された作品であり、後のコナン映画のお決まりとなりました。以下では、「漆黒の追跡者」のアイリッシュや、その他キャラの声優を紹介します。

アイリッシュの担当声優・幹本雄之さんは、1948年新潟県出身の声優・俳優で、1970年代から芸能活動を行なっています。これまでに演じてきたキャラクターは、戦士やギャク要素の強いキャラが多くみられます。また、アニメーション監督・今川泰宏さんの作品への出演も多数出演しています。

声優・幹本雄之さんの主な出演作品は、「シティーハンター」の荻野俊一役や、「キン肉マン キン肉星王位争奪戦編」のラーメンマン役、「SLAM DUNK」の野間忠一郎役等です。また、海外作品にも出演しており、映画「エイリアン2・3」、「ダーティーハリー2」、「007は二度死ぬ」、「ホームアローン」をはじめ、数多くの作品を担当しています。

「漆黒の追跡者」の水谷浩介は、連続殺人事件の犯人と思われていた人物でしたが、後の捜査で犯人の身代わりとなり、自らも命を断とうと計画したことが判明します。水谷浩介役の担当声優は、歌手・タレントとして活動するDAIGOさんです。ロックバンド・BREAKERZとして活動するDAIGOさんは、2016年に女優・北川恵子さんと結婚、2020年9月には待望の第一子が誕生し、大きな話題を呼びました。

吉井リサは、トロピカルランドで傷害事件を起こした深瀬稔の恋人で、犯人の逃亡を手助けしたため警察からマークされているホステスです。吉井リサ役の担当声優・水樹奈々さんは、愛媛県出身の声優・歌手で、2019年からはアニメ「ワンピース」の光月日和/小紫役を担当しています。

映画「名探偵コナン 漆黒の追跡者」は、江戸川コナン役の高山みなみさんや、毛利蘭役の山崎和佳奈さんをはじめ、アニメ本編でもお馴染みの声優陣が一同に集結しました。一方、「漆黒の追跡者」は、毛利小五郎の初代声優・神谷明さんの最後のコナン映画となり、2009年9月26日のアニメ放送を持って、コナンを降板しました。

ベルモットに次ぐ変装能力の高さや、コナンの正体を知った上で頭脳戦で追い詰めていく様子から、アイリッシュは組織屈指の切れ者とも称されています。一方で、なぜ有能な彼が粛清の対象になったのか、その理由について多くの考察が飛び交っています。以下では、漆黒の追跡者のアイリッシュの能力や強さ・性格を考察を交えながら紹介します。

コナンを頭脳戦で追い詰めたアイリッシュは、コナンシリーズ屈指の最強の敵キャラである一方、その能力の高さや強さ、コナンに思いを託した志など、人間味あふれる姿が人気に火を付けました。また、アイリッシュは、頭脳だけでなく、身体能力も優れており、大柄な体型を生かしたパワフルな格闘シーンも見どころです。

劇中では、大柄な体型を活かして松本管理官に変装していたアイリッシュでしたが、彼の変装は見た目だけでなく、本物に劣らない統率力の高さも完璧に仕上がっています。警視庁に乗りこんだ理由は、メモリーカードを回収するためであり、それらは事件の被害者となった組織の工作員が所持していました。そのため、カードの回収には、事件の解決が必須となります。

東京と周辺の県で起きた連続殺人事件は、警視庁・各県警の刑事と合同で進められ、そのまとめ役として松本管理官が台頭します。一方、松本管理官に成りすましたアイリッシュは、最後まで目暮警部らに怪しまれることなく事件を解決に導いており、彼の実力を伺い知れる一幕でしょう。

「漆黒の追跡者」での活躍で判明したアイリッシュの能力は、洞察力や推理力にも優れており、頭脳戦ではコナンを追い詰めることができた数少ない切れ者です。また、コナンの機転から彼の存在を怪しみ、警視庁のサイトや新一・コナンの指紋を照合させることで、2人が同一人物であることを突き止めています。

一方、コナンの正体を知る人物の多くは、コナン本人から打ち明けられたことや、前情報を元に独自に調べ上げています。しかし、コナンの様子から疑いをかけ、僅かな情報と証拠だけでコナンの正体を見破った人物は、アイリッシュ1人だけであり、その頭脳の高さをうかがい知れるでしょう。

また、アイリッシュは格闘スキルも非常に高く、暗がりの不意打ちにも関わらず、警察官・7名を一気に気絶させるほどの腕前を持っています。映画終盤の対コナン・蘭戦では、関東大会優勝者である空手の達人・蘭と互角に戦い、コナンのキック力増強シューズによるシュートにも耐えきるなど、並み外れた体力を発揮しています。

一方、アイリッシュは拳銃の扱いにも長けており、連続殺人犯のナイフを銃弾で弾き飛ばす、コナンのベルトとシューズを銃撃で破壊するなど、的中力の高さも見せつけています。アイリッシュの使用拳銃は、「SIG SAUER P226」と判明しています。

コナンの宿敵・黒の組織のメンバーでありながら、コナンファンから高い人気をの誇るアイリッシュの性格は、真っすぐで不屈の精神の持ち主と呼べるでしょう。本来ならば、抹殺対象であるはずのコナンの存在を、組織へは一切明かすことなく、銃撃に晒されるコナンを身を挺して守り抜きました。その背景には、コナンこと工藤新一の強さを認めていたからでしょう。

映画「名探偵コナン 漆黒の追跡者」で命を落としたアイリッシュは、アニメ本編で描かれることはありませんでした。しかし、その不屈の精神は多くのコナンファンの共感を呼び、黒の組織の他のメンバーとは異なる雰囲気を醸しています。

黒の追跡者のアイリッシュの死は、「なぜ？」と多くのファンに疑問を生じさせると共に、劇中の登場人物たちとの関係にも注目が集まっています。以下では、「名探偵コナン 漆黒の追跡者」のアイリッシュと、コナン・ベルモット・ジンとの関係を考察しました。

アイリッシュとコナンは、お互いの正体を探り合い、対立し合う関係にあり、「漆黒の追跡者」に込められたもう1つの意味とも考察できます。お互いの知らないところで、その正体を調べ上げてるなど、コナンと互角に戦える数少ない敵キャラでしょう。

上空から狙撃されるコナンを庇ったアイリッシュは、その銃撃により瀕死の重傷を負ってしまいます。しかし、危険を顧みずに救出を試みるコナンを目の当たりにしたアイリッシュは、ここでベルモットのコナンに対する感情を示唆しました。ベルモットもコナンの正体を知る人物ですが、組織にはその事実を隠し、コナンに危険が及ばないように暗躍しています。

一方、アイリッシュのセリフからは、過去にベルモットから工藤新一のことを聞かされていた可能性が高く、ベルモットが新一（コナン）に惚れている理由を身を持って知ります。また、アイリッシュとベルモットは、組織に対する考えも似ているとも推測でき、死の間際、アイリッシュがコナンに後を託す展開につながったでしょう。

組織に忠実なジンは、裏切り行為が発覚したメンバーの粛清を担っており、シェリーこと灰原哀の親族や、ピスコを死に追いやっています。そして、「漆黒の追跡者」でのアイリッシュ殺害も、自分の流儀に従うジンの判断でした。また、アイリッシュとジンは、ピスコの死を原因とする確執が生じており、両者の対立も浮き彫りにされています。

ジンは、自分が殺害した相手を覚えない主義であり、それは工藤新一も例外ではありませんでした。この事実は、アイリッシュの憎悪を掻き立てる結果となり、彼の危険を察したジンによって粛清されました。もし、アイリッシュの企てが成功していたら、ジンの最期はかなり残酷な結末が予想されるでしょう。

黒の組織でありながら、味方に殺害されたアイリッシュの死は、ファンから「なぜ？」と多くの疑問が寄せられています。以下では、映画「名探偵コナン 漆黒の追跡者」のアイリッシュに関する感想や評価を紹介します。

アイリッシュはコナンの宿敵でありながら、「なぜ？」と思ってしまうくらい、多くのコナンファンに愛されています。その理由は、本来は敵であるはずのコナンを命がけで守り抜くカッコよさと言われており、黒の組織らしからぬ志が支持されています。また、アイリッシュの死もファンに惜しまれ、コナンの味方になって欲しかったとの声も寄せられています。

緻密な世界観や、「なぜ？」と思ってしまう展開の多さが特徴の劇場版コナンは、老若男女問わず楽しめる映画シリーズであり、黒の組織との直接対決を描いた「漆黒の追跡者」は、根強い人気を誇っています。映画では、ベルモット等キャラの登場頻度が少なかったものの、新キャラ・アイリッシュの登場と、なぜ組織に殺害されたのか、最後まで目が離せない怒涛の展開が支持されています。

コナン映画と言えば、爆破シーンやカーチェイスなど派手な演出が多い中、「漆黒の追跡者」は、映画お馴染みの展開がなく、最後までシリアスな雰囲気に包まれました。アクション好きには物足りないと思いきや、「なぜ？」と問いかけてしまう謎解き要素の多さや、コナンを追い詰める敵キャラの登場など、独特の展開が面白いと評されています。

映画「名探偵コナン 漆黒の追跡者」の黒の組織・アイリッシュがなぜ殺害されたのか、その理由やピスコとの関係、コナンに託した思い、アイリッシュの能力や強さ・性格、担当声優、コナン・ベルモット・ジンとの関係などを考察しました。自力でコナンの正体を突き止めた能力の高さや、人間味あふれる人柄が評価されたアイリッシュは、多くのコナンファンに支持される愛されキャラクターの1人です。