【キングダム】李斯は秦の天才法律家！過去・性格や悲惨な最期を考察

キングダムに登場する李斯(りし)は、真面目で才能のある法律家です。李斯は呂不韋(りょふい)に仕える四柱の1人であり、秦において重要な地位にある人物でした。法律家として多くの功績を残しつつも、最期は趙高(ちょうこう)の罠にはまり、悲惨な死を遂げた李斯。この記事ではそんな天才法律家李斯の過去や性格、趙高との関係や胡亥が権力者になった後の悲惨な最期について、史実を含めて解説していきます！

漫画「キングダム」は週刊ヤングジャンプで2006年9月号より連載されている、原泰久さんが描く漫画です。中国の春秋戦国時代を舞台にするキングダムは、現在コミックスが55巻まで出ています。2012年6月にはキングダムの第1期アニメが、NHKBSプレミアムで全38エピソード放送されました。

2013年にはキングダムのテレビアニメ第2期が始まり、全39エピソードが放送されました。キングダムは漫画史上最も多い人数で描かれた漫画だと、ギネス世界記録に認められています。漫画のキングダムは秦の始皇帝が最高権力者になった後の、混迷期の時代にフォーカスして描かれています。

漫画キングダムの舞台は紀元前の中国で、春秋戦国時代にあたります。この時期の中国は500年間も戦争が続いていました。当時の中国の西にあった秦には、戦争により両親を失った戦争孤児の、信と漂がいました。

信と漂は当時奴隷として働かされてましたが、いつかは中国を支配する君主になりたいと願っていました。信と漂はその後、秦の大臣と会ったことで運命が変わります。漂はやがて秦の始皇帝になり、信は偉大な将軍を目指して人生を歩み始めました。

キングダムに登場する李斯は才能のかたまりといえるキャラクターです。李斯は「法の番人」と呼ばれており、史実でも非常に頭が良い人物でした。なぜなら李斯は子供のころから、法に関する勉強を受けていたからです。李斯に法律の才能があったのは、幼いころから法を学べた環境の影響が大きかったようです。

李斯は秦国で宰相の立場にあり、秦の政治や経済のために働きました。有能な李斯は秦の始皇帝が中華全土を治め、中央集権体制を施すことを助けました。また李斯は秦の採用制度にも関係しています。能力があれば外国人でも雇う、秦の伝統的な採用法を李斯が後押ししました。このため能力のある外国人が秦で働くこととなり、秦が全国支配をする大きな力となりました。

また李斯は秦に郡県制を持ち込んでいます。頭の良い李斯ですが、邪魔な人物は殺す冷酷さも持っています。秦が中国全土を統一するとき、李牧という人物が邪魔になったことがありました。そのとき李斯は秦の天下統一のために、李牧を暗殺しています。

また李斯は荀子の弟子でもありました。荀子とは人間は本質的に悪であるという「性悪説」を説いた思想家です。同じ荀子の弟子に、韓の国の王の血筋を持つ、韓非(かんぴ)がいます。韓非は帝王学の「韓非子」という本を書いた、有名な人物です。諸葛孔明が劉禅に韓非子の本を教えたくらい、重要な書物とされています。李斯は、中国の歴史で有名な韓非子と肩を並べるような人物です。

キングダムで李斯は呂不韋の4名の部下として、秦のために働きました。李斯は呂不韋の策謀のコマとして使われましたが、やがてチャンスを手にします。呂不韋のおかげで、始皇帝の側近に昇格できる機会に恵まれました。しかし秦の側近に選ばれたのは李斯ではなく、昌文君でした。

キングダムで始皇9年になると「咸陽攻防戦」が始まります。このとき咸陽の守りを緩くした罪で、投獄された李斯。咸陽の守りを弱めた理由は、政を殺させるためでした。秦の始皇帝は法によって国を動かしたいと思っていたので、法に詳しい李斯を大切にしました。やがて昌文君の願いもあり、李斯は政治の場で活躍できるようになります。

キングダムに登場する天才法律家の李斯は、どのような過去を歩んだのでしょうか？ここでは秦で重要な地位にまであがった李斯の過去に迫ります。

史実においても、キングダムに登場する李斯は秦のために働きました。しかし李斯が生まれた場所は、秦ではなく楚の上蔡（じょうさい）という場所です。秦の天下統一のための重要人物だった李斯ですが、楚にいたころは出世欲のない普通の市民として働いていました。

史実でもキングダムの李斯は、楚にある小さい県で役人として働いています。楚で役所に勤めていた李斯の地位は不明です。しかし「法の番人」と言われるほどなので、李斯の頭の良さはズバ抜けていました。李斯は幼いころから法の勉強を受けていたので、楚では文官になり徐々に力をつけていきます。

やがて李斯は呂不韋の食客になって、秦の始皇帝に仕えるようになります。こうして役人だった李斯は、秦の重要な人物に昇りつめていきます。

キングダムの李斯は、裕福な家庭で育った子供でした。その証拠に李斯は幼少時代から法の英才教育を受けています。史実においてもキングダムの時代、貧しい家庭では法の教育は受けられませんでした。当時の楚では、李斯が生まれた家庭は裕福だったことが分かります。子供のころに法の勉強ができたことで、後年李斯は天才的な法律家になることができました。

キングダムの李斯は史実でも、ネズミを見て人生の生き方を学んだ人物といわれています。ある日李斯はトイレにいるネズミを発見しました。トイレのネズミは人間の大小便を食べて生きており、人間を怖がって逃げました。しかし李斯が倉庫で見かけたネズミは、米を腹いっぱい食べており、人間を見ても堂々としています。

このネズミの違いを見た李斯は、大切な人生訓を学びました。人間もネズミと一緒で能力ではなく、どんな環境にいるかで未来が決定されると李斯は考えました。そして自分はトイレにいるようなネズミにはならないと誓ったといわれています。

ネズミから人生訓を学んだ李斯は、それまで勤めていた役所をやめました。ネズミから学んだことが正しいか試すため、李斯は荀子の弟子になります。李斯はネズミの生き様を見て、自分の生き方を変えた人物だったのです。

キングダムに登場する李斯の特徴的な性格に、真面目で堅物なところがあります。法の番人と呼ばれるだけあって李斯は頭が固く、融通のきかないところがありました。しかし李斯は真面目で堅物な性格だったから、秦の天下統一を助ける宰相になれたともいえます。

キングダムの李斯はプライドが高いことで有名です。李斯が秦国に来て始皇帝の側近になれたのは、呂不韋のおかげでした。誇り高い李斯ですが、呂不韋の食客という立場にあるので主人には逆らえません。時には呂不韋に振り回されることもあった李斯。プライドが高い李斯は呂不韋が持つ四柱の一人として、主人に忠実に尽くしました。

キングダムの李斯の性格に、冷静沈着なところがあります。李斯は法という政治の重要部分を担当する人物なので、冷静沈着な性格が必要だったともいえます。どんな事態が起ころうと、李斯は冷静沈着に状況を把握し、手際よく問題を片づけていく有能な人物でした。物事に動じない冷静さが、李斯の特徴なのです。

キングダムの李斯は、出世欲が異常に強いキャラクターです。例えば自分より高い地位につきそうな人がいれば、暗殺をしてでも邪魔者を消し、自分が出世しようとしました。李斯は出世欲が強かったので最終的に秦で、高い地位にまで上がれました。大きすぎる出世欲のおかげで、秦の中華統一を助ける宰相になれたといえるでしょう。

キングダムの李斯は冷酷な性格が垣間見られるエピソードがあります。秦の始皇帝は、韓非が書いた韓非子という本がとても好きでした。当時韓非は生きていたので、政は秦に韓非を呼んで働いてもらおうとします。李斯にとって韓非は、ともに荀子の弟子として学んだ同士であり友達でした。

しかし韓非は李斯よりもはるかに才能があります。秦に韓非が来ると、自分の地位が危ないと思った李斯。そのため李斯は裏で手をまわして、韓非を牢屋に入れてしまいます。まもなく李斯は毒を与えて韓非を殺してしまいました。このように李斯は邪魔な人物なら、学友でも殺す冷酷な性格をしています。

キングダムに登場する李斯は、史実で悲惨な最期を迎えるキャラクターです。史実で李斯の最期につながる出来事は、始皇帝の死から始まりました。史実で紀元前210年に、始皇帝は旅行をしている最中に亡くなってしまいます。この時点で始皇帝は次の後継者を扶蘇（ふそ）にすると決めていました。しかし始皇帝のもとで秘書をしていた趙高（ちょうこう）は、始皇帝の遺言を無視してしまいます。

始皇帝は後継者として扶蘇を選びましたが、趙高は別の後継者を持ち出しました。史実で趙高が後継者にしようとしたのが、胡亥（こがい）です。胡亥は扶蘇よりも出来の良くない息子で、末っ子にあたります。趙高は自分が権力者になるために、胡亥を後継者にしようとしました。

李斯も胡亥を後継者にすることに賛成しました。キングダムに登場する李斯は、胡亥を2代目皇帝にするために邪魔者を殺しにかかります。まず李斯は、長男の扶蘇を暗殺しました。その後扶蘇の元で仕えていた蒙武の子供である蒙恬や、蒙恬の弟まで殺しました。

こうして邪魔者は消えたので、胡亥が2代目皇帝になることができました。後継者になった胡亥を支える役についたのが趙高です。胡亥は公の場に出ないので、趙高を通じて取次ぎを行うしかありません。こうして趙高は実質的に秦の権力を握ることができました。そんな趙高のやり方に対して、李斯は納得がいきませんでした。

キングダムに登場する李斯は、趙高の罠にはまってしまいました。胡亥を2代目皇帝にしたのは、趙高が権力者になるためだったことを李斯は理解します。趙高が権力を握るようになってから、秦の治安は悪くなりました。史実でも、ときには市民の反乱が起こることがありました。

しかし趙高は胡亥を裏で遊ばせておいて、政治の実権は自分が握っています。やがて李斯は趙高のやり方をとがめるようになります。趙高は李斯の存在が、だんだん邪魔に感じられてきました。李斯は胡亥に状況を説明することもできないので、手の打ちようがありません。こうして李斯はまんまと趙高の罠にはまってしまったのです。

キングダムに登場する李斯は、趙高によって冤罪による処刑を受けました。李斯が邪魔になった趙高は、胡亥に李斯を貶める噂を流しています。嘘の罪をなすりつけられた李斯は、牢屋に入れられています。李斯は自分にかけられた嘘の罪状を否定しました。

しかし李斯は拷問にかけられてしまい、最終的に嘘の罪状を認めてしまいます。こうして李斯は息子と一緒に腰切りの刑に処されました。腰切りの刑とは、刃物で腰から真っ二つに切られる悲惨な処刑です。秦国で重要人物に昇りつめた李斯でしたが、最期は趙高の罠にかかって悲惨な結末をむかえてしまったのです。

キングダムは中国の春秋戦国時代の史実を元に描かれた漫画なので、李斯も実際に存在した人物です。史実で李斯は秦のために働きましたが、悲惨な最期をとげています。ここでは史実に登場する李斯の人物像に迫ります。

キングダムの李斯は史実上でもネズミをみて、人生が変わるような発見をしました。李斯はトイレにいるネズミと米倉にいるネズミとでは、態度が違うことを知りました。生まれた環境で、ネズミの態度に大きな違いがあったことに李斯は驚きました。

そしてネズミと同じように、人間も生まれ育った環境に影響されると考えるようになります。ネズミをみたことから人生を感じた李斯は、自分も倉にいるようなネズミになろうと決心します。こうして李斯は楚で勤めていた役所をやめてしまいました。李斯はネズミをみて感じた自分の思いを確かめるために、荀子の弟子になることにします。

史実で登場する李斯は荀子の弟子になったあと、学問を学びます。李斯は史実で、儒家を学んだとされています。儒家は学ぶ範囲が広い学問です。そのため李斯は荀子のもとで、色々な勉強をしたことになります。

キングダムの李斯は史実で、呂不韋の食客になるために秦へ行きました。そして始皇帝に仕える位の高い側近になりました。李斯は始皇帝のために、離間（りかん）をしています。離間とは、国における権力者と将軍との仲を破壊することをいいます。秦は離間して弱った国へ攻めるなどして、領土を広げていきました。離間に成功した李斯は、始皇帝から評価されて、大臣になることができました。

史実で紀元前237年に、秦では外国人に対する追放令がでました。秦の国で外国人が悪さをしたために、始皇帝によってとられた措置でした。外国人追放令が出たことで、李斯は驚きます。李斯は楚からやってきた外国人だったからです。

李斯は外国人追放令をやめてもらうために、始皇帝に追放令の撤回を手紙で求めました。李斯が書いた手紙は文選という本に記されています。李斯の手紙を読んだ始皇帝は感動し、外国人の追放令を取りやめています。史実においても李斯は、外国人の追放令を撤回させた名誉があったのです。

李斯と韓非は、荀子のもとで学問を学んだ友人のような関係にありました。しかし李斯は、学友の韓非を殺してしまいます。秦は、韓非が住んでいる国を併合しようと計画していました。韓非は秦に国を取られるのを防ぐために、秦までやってきます。

韓非は吃音を持つ人物でしたが、文章を書く才能がありました。始皇帝は韓非の書いた韓非子という本に感動しています。始皇帝は韓非に会えるなら死んでもいいとまで思うようになり、秦に韓非を呼んでいます。有能な韓非が秦に来たら、自分の地位が危ないと李斯は思いました。

李斯は自分の地位を守るために、韓非を暗殺しようとします。李斯は始皇帝に韓非はスパイだと伝えました。まもなく韓非は牢屋に入れられてしまいます。李斯は韓非に脱獄されては困るので、すぐに毒を使って殺してしまいました。

李斯が宰相として尽くしたことで、史実の紀元前221年に秦は中華全域を支配下におくようになりました。その後李斯たちは、秦に郡県制をおいて支配を強めています。しかし史実で紀元前210年、始皇帝が突然亡くなってしまいました。始皇帝は巡幸している旅の途中で、死んでしまったのです。始皇帝が死んだことで、李斯は悲惨な最期にむかっていきます。

キングダムに登場する李斯は史実で、自分の首を絞めるような失敗を犯し、悲惨な最期をとげました。李斯が犯した失敗とは、2代目皇帝を胡亥にしようとする趙高に力を貸したことにあります。趙高が権力の座を握った後、秦の政治は乱れました。

趙高は自分のやり方に対立する、李斯が邪魔になりました。趙高は嘘の罪状を李斯に押しつけ、投獄します。そして李斯は最期、息子と腰切りの刑にあって亡くなりました。趙高に力を貸したことにより、自分の首を絞めた李斯は、悲惨な最期をむかえることになったのです。

ここではキングダムの李斯に関するツイッターでの感想や評価について書いていきます。李斯が言う名言「法は願い」が、PSYCHO-PASSの「人々の思いの積み重ねが法」という言葉と同じ意味だと思ったというつぶやきがありました。PSYCHO-PASSの言葉をまねしたのではなく、偶然同じようなことを言ったと思われたようです。うまいこと言うなと感想があるので、心に響く李斯の名言だったといえます。

李斯が言った「法とは願い」が、本来の法であるという感想もありました。人の解釈によって法の願いの叶え方が変わるという意見が出てます。李斯の名言は、人を考えさせる深みがあるようです。李斯の上の名言が、現時点のキングダムで一番好きなシーンだという感想となっています。

また「法とは願い」という李斯の名言があまりにもかっこよすぎて好きだという感想がありました。李斯には惚れないと思っていたけど、上の名言で惚れてしまったという感想です。キングダムの李斯は「法は願い」の名言がウケているようで、多くの方が良い感想をつぶやいていました。

ここまでキングダムに登場する李斯の過去や性格、悲惨な最期などを史実を含めて解説してきました。李斯は裕福な家庭で育ち、幼いころから法を学んでいた天才法律家です。やがて始皇帝の側近となった李斯は、秦が中華を統一するために力を尽くしてくれました。

しかし始皇帝の死後に、李斯の運命は変転します。趙高の罠にかかり、胡亥を後継者にしてしまった李斯。これによって李斯は悲惨な最期を迎えることになりました。漫画キングダムで、李斯が史実のような最期をたどるかは分かりません。今後のキングダムで李斯の活躍を注目していましょう！