王翦はキングダム最強の武将？性格や能力は？史実上の人物像を比較考察

王翦は『キングダム』最強の将軍と言われるほどの人物。なぜ王翦がそれほどまで強いと言われるのか、それには能力ももちろんのこと、性格までもが起因しているようです。ここでは、キングダムの作品情報をはじめ、王翦の強さを性格や能力、史実での活躍を紹介していきながら強さの理由を引き出していきます。さらに、王翦が残した名言まで交えて紹介していますので、ぜひご覧ください。

『キングダム』は「週刊少年ジャンプ」にて2009年6号から連載された歴史漫画です。単行本は現在(2019年10月時点)までで39巻が発行されており、2012年6月からNHKプレミアムにてテレビアニメ1期(全38話)が放送されています。そして、2013年6月からは2期が全39話で放送されました。

テレビアニメ1期の放送を記念し、1087人もの人数で製作された「ソーシャルキングダム」では、「史上最多人数で描きあげた漫画」としてギネス世界記録に認定されています。作者オリジナルの用語が多く、ダイナミックで綿密な作画や怒涛のストーリー展開などが人気を博しています。2018年には実写映画が決定、これは2018年4月のコミックス第50巻達成を記念したものとなります。

ここでは、『キングダム』の簡単なあらすじを紹介します。500年の争乱が続く春秋戦国時代。そこでは中華西方にある秦の片田舎に二人の戦争孤児・信と漂がいました。二人は奴隷の身分で、今後将来の人生すらも期待できない立場ですが、いつか武功をあげて天下一の武将になるということを夢みて修行に明け暮れていました。ある日、いつも通り修行をしていた二人を見ていた人物がいました。偶然にも修行の場を通った秦国の大臣だったのです。

二人を見ていた大臣は二人の修行を見て興味を示しており、ついに漂が大臣に認められて官位を与えられ、大臣に仕えることになりました。しかし、それほど時を経ることなく漂は信の元に衰弱した状態で戻ってきます。漂は信にある紙を渡すため、漂は信に紙を託すとほどなく死んでしまいます。これを託された信は大胆な行動を起こし、それによって大将軍を目指す少年信と、のちの始皇帝となる秦王・嬴政の運命の歯車が動き出します…

王翦は戦の天才です。それは季牧をも凌駕するかもしれないといえるほどの軍略家であり、麃公(ひょうこう)と同じように本能型の策も使えることができる人物でもあるのです。まさに中華で最強と言える武将でしょう。

王翦は野望を持っており、自分でも自分の領内(くに)という言葉を用いることから、自分自身が王になりたがっていると噂されています。季牧には「私と一緒に来い」とまで言っており、さらに廉頗(れんぱ)四天王の部下である蒙恬(もうてん)や姜燕(きょうえん)すらも仲間にしたがっていました。自分のことを怪物だと称するくらいです。これらのことから、王翦は中華最強の国を作る自信があることがうかがえます。

王翦将軍と秦王政の関係は史実によると、秦王政は60万人の兵を王翦将軍に預けており、『キングダム』ではその史実通りの関係が進んでいくと考えられます。なぜなら、この部分を変更してしまえば、秦国が滅亡する可能性が出てくるからです。楚軍との戦いでは20万人を投入したものの、秦王政は大敗してしまいます。そのため、信頼を寄せていた王翦将軍に60万人を託すことになりました。

亜光(あこう)は王翦軍の武将です。王翦に最も頼りにされる武将で、王翦の技もいくつか使えるほどの強さを誇ります。彼の強さは鉄壁の守備で、これには王責も「あれには隙がない」というほどです。

田里弥の兵士たちは個々の戦闘能力がずば抜けて高く、個々の力にも圧倒的な強さを誇ります。また数々の戦術を持ち、さまざまな相手の動きに対応できる強さまでも持ち合わせています。季牧兵には苦戦を強いられていますが、そんな戦況であっても一旦退いて考えることができる冷静さを持った武将です。

麻鉱は攻撃力の強さだけでなく、策士の才能も持ち合わせている武将です。趙の別動隊として出陣した季牧にはあっさりと負けてしまいますが、朱海平原の戦いにおいては趙の紀彗を波状攻撃で翻弄させるなど、優れた攻撃をおこなうことができます。

倉央は「しくじりという言葉には無縁」と断言するほどの自信家です。王翦の動きに対して臨機応変に対応することができるので、このことから武勇と視野の広さを兼ねそろえた人物であるということがわかります。

王翦が仲間に信頼されない理由として「自分勝手」な性格が挙げられます。魏攻略戦で廉頗が「あくまでも自分本位を貫き、副将の立場をわきまえない」と言っていました。王翦は目の周りをマスクで覆い、普段から表情が見えません。これは、自分の本意を相手に読ませまいとしているからこその行いで、裏を返せば自分の周囲に気を許せる人間がいないということであり、また相手の内心を把握しようとする行為でもあるということです。

王翦は序列を無視し、事前に通告もなく勝手な戦略の変更をおこないます。たとえ味方であっても、王翦が何を考えているのかが分かりません。戦略の変更を躊躇なく実行するということから、他人の気持ちや立場を考慮するなく判断するといえるので、冷静で合理的な判断ができるといえるでしょう。

王翦は思慮深い性格をしています。少しでも実力に曇りが見えてきた武将に対して、秦王政は粛清してきましたが、彼はこのことを知り尽くしていました。そのため、秦王政へクーデターを起こすつもりはなく、褒美だけしか気にしないという手紙を何度も送ってアピールしています。この手紙によって楚を打ち破ったあとも秦王政からは疑われていません。

戦国の世にあって数々の功績をあげていることから、王翦は「冷酷」であるといえます。河了貂(かりょうてん)によれば、王翦の目が味方を不安にさせるものだと言われています。人を寄せ付けない冷たい光を放っているといえます。

王翦は「気遣い」というのがありません。王翦は自分の領土を国と呼んでおり、敵将であっても能力がある人物は執拗に勧誘する点もこの理由に含まれます。たとえば、廉頗の配下で弓の名手である姜燕(きょうえん)もスカウトされていました。そのため王翦は実力がありながら、昭襄王(しょうじょうおう)の時代から敬遠され、日陰者と呼ばれています。

王翦は「防御」こそが最強の攻撃であることをよく理解しており、守りに関しての能力はけた違いに長けています。利己的な人物であり、「我が王にふさわしい」と考えていたことが周囲に気付かれ、重職にこそ付くことができませんでしたが、それでも強さは高く評価されています。

若手の将軍たちを指導する立場についていましたが、老齢を理由にして一旦は引退しています。これは秦王政が実力主義であるということを理解しており、自分が役立たずと思われないための策略だと言えるでしょう。

王翦は時には大将軍の副官という立場にありながら、攻撃的な戦術をとるのではなく、「心理操作」を織り交ぜた複雑で重厚な戦術が得意です。戦闘は将軍や通常の軍師などの常識を根本から覆すほどのレベルで展開されます。誰よりも知力に優れており、事細かに作戦を練ることができるので、知力の高い武将という点も含め、カリスマ性をも兼ねそろえた武将と言えるかもしれません。

王翦は軍略家として最強だけでなく、本能型の策も使えると触れていました。六国から攻められた合従軍戦においては、禍燐(かりん)が函谷関へ別動隊を走らせたことを読んでおり、この時に王翦が函谷関へ向かっていなければ秦は滅んでいたことでしょう。王翦は戦の先を見通す力がずば抜けて優れており、常人の域を超えているといえます。

王翦の強さは「項燕との戦い」からうかがえます。この戦いは秦王政が楚を滅ぼすために計画されたものですが、この時に兵力量を王翦と王翦以外の武将に尋ねました。二人の武将は20万人、王翦は二人よりも3倍の60万人が戦に勝つためには必要だと回答しています。しかし、王翦が老齢のために判断が鈍っていると判断し、二人の武将の意見を採用しました。

ところが、20万人の兵力では到底優勢に立つことができず、結局秦の本拠地まで楚軍が攻めてくるまでに惨敗しています。この戦況を打破するため、秦王政は王翦に60万人の兵士を預け、楚軍との戦いを任せたところ、見事勝利。王翦は全面対決になると敗戦に繋がると読んでいたため、砦からは外に出ることなく、楚軍からの挑発もかたくなにはねのけます。

結局、秦軍が攻めてこないと判断した楚軍は撤退を始めますが、王翦はこの勝機を見逃しませんでした。そのまま追撃を開始し、あっという間に楚軍は全滅。そして、勢いに乗じて楚の本拠地に攻撃をしかけ、楚は全滅することとなります。

王翦は史実でも登場する将軍で、それも秦の名将と言われる白起と並ぶほどの将軍です。史実もそうですが、フィクションが入る漫画『キングダム』でも最強と言われており、これほどの強さを持った武将が『キングダム』でもなかなかいないと言えるでしょう。

まず史実での王翦は難攻不落と言われる「鄴(ぎょう)」を陥落させたことで知られています。『キングダム』でも王翦は「落とせない」と断言している城なのですが、史実においても春秋戦国時代から河川を利用した守りを突破するのは難しいと言われています。400年後の秦は三国志の英雄・曹操(そうそう)が攻めており、鄴の防御力の高さに苦戦を強いられています。これほどの鄴を陥落させた王翦は最強を実証したものだといえるでしょう。

王翦は鄴を陥落させただけではありません。彼は鄴を陥落させる前に自軍を移動させ、閼与(あつよ)を陥落させているのです。閼与は、何十年も前に存在した秦の六代将軍・胡傷(こしょう)が陥落させようとしていますが、趙の旧三大天・趙奢(ちょうしゃ)に撃破され、陥落に失敗した城です。六代将軍といわれる名将ですらも陥落に失敗した城を王翦は軽々とやってのけるので、やはり王翦は圧倒的な強さを誇るといえるでしょう。

また、秦が閼与を陥落させることができれば、咸陽(かんよう)から直接鄴へ食糧補給が可能になります。つまり、閼与を陥落させることができれば、たとえ鄴を奪還されたとしてもいつでも大軍を閼与から送りこみ鄴を包囲することができるというわけです。だからこそ、胡傷は閼与を陥落させようとしていたのです。そのため、王翦が閼与を陥落させたということは、秦が半分にも渡る領域を占領したことに繋がります。

『キングダム』で季牧が鄴の攻略戦に参加しています。しかし、史実では参戦した記録がないようです。あくまでも季牧と王翦との戦いは『キングダム』での演出のようです。では、史実と漫画において季牧と王翦は戦うのでしょうか？推測ですが、季牧はここで死ぬわけではないので、王翦と季牧は戦うと考えられます。

史実によると、この鄴の陥落のあとに季牧が反撃をしており、秦の将軍である桓騎を倒し、同時に趙の領土を国境線まで押し戻す活躍をしているのです。そのため、この鄴攻略戦における勝敗は王翦の勝利に終わり、撤退するといった伏線があったほうが『キングダム』は盛り上がると考えられます。

『キングダム』における立場は、王翦が総大将であり、楊端和(ようたんわ)が副将将軍といった配置になっていました。史実上の鄴攻めでは、王翦と楊端和、桓騎の三名は平等の立場のようです。ただ、王翦が閼与を陥落させた時点で、3軍を1軍にまとめており、弱兵を帰還させて軍を再編して将軍に任命されたと記録されています。そのため、この時には王翦が楊端和と桓騎をまとめる総大将であったと考えられます。

下記の名言は王翦と中華最強と呼ばれる大将軍・廉頗(れんぱ)との対峙において言い放たれたものです。王翦は互角の大軍を率いて絶好の機会で廉頗と対峙していましたが、王翦は躊躇することなく踵をかえして言い放ちました。相手の心理操作と行動の先読みに長けた王翦が、戦況分析に優れていたからこそカッコいいと捉えることができますが、使いどころを間違えると負け犬的な発言になってしまいそうなものだと言えるでしょう。

下記の名言は合従軍との戦いで言い放たれました。この戦いでは燕(えん)の将軍であるオルドとの交戦となり、自軍を函谷関と山中へ向かう軍とに分け、敵を揺さぶりました。そして、結果的に燕軍は城に攻め入ることができず、さらに別働隊である禍燐(かりん)の猛攻撃すらも防ぎます。この時は味方すらもこの作戦を知らされておらず、巧みな心理戦をやってのけました。

下記の名言は趙国を攻め落とすべく進軍した王翦と桓騎、楊端和の連合軍が趙国を落とす際に言い放たれました。王翦が独自に放っていた間者からの急報が届きます。その急報は、趙軍が対秦で西に軍を固めすぎたところにつけ込み、オルドが趙軍への侵攻を進めていたというものでした。そこで、王翦はこれを好機とみて全軍に行軍を伝え、ついに秦連合軍は進路変更地である金安城の姿を目視できるところまで行くことになりました。

下記の名言は、魏の山陽戦で言い放たれた名言です。王翦の戦略によって、廉頗四大天の1人である姜燕を窮地に追い込みますが、その瞬間に元趙廉頗の廉頗が援軍に来ています。その時に廉頗は戦闘へと誘いこんでいますが、王翦は客観的に戦力を分析、そして冷静に状況を把握して自分が有利な展開にならないと判断したため、名言を放つことになりました。

下記の名言は三陽を迎えた各所での戦いで言い放たれました。この時の王翦は、函谷関左の山岳地帯を護っていましたが、攻めいるオルドは類なる”山読み”の才能を遺憾なく発揮して函谷関の裏ルートを塞ぎ、主攻隊が心臓部ともいえる場所を襲います。そして、号令をかけて函谷関へ攻めいらんとする絶壁を駆け上るオルド達を見て、王翦は目を光らせていました。

下記の名言は進路変更地の金安城への到着前に言い放たれました。急報を受け取った王翦は、進路変更の旨を全軍に伝えますが、その理由を明かしていません。しかし、壁は「我々は黒山に向かい、そこから西部攻略へ入るのではないのですか！？」と驚きます。これはそれに対しする名言となりますが、その時にもたつく小隊があればその上に立つ者の首を容赦なくはねると言っていました。

王翦が最強の頭脳を人間性と引き換えに手にしていると言われています。王翦の性格と能力を比較すると、確かに人間性を捨てて功績を残すために必要な部分をとっているような状態だと言えるでしょう。またAIにも似ているともいわれているので、最終的に暴走するのか、王翦の今後をこのような観点から見てみるのも面白いかもしれません。

天才は2つのパターンから成り立っており、心配性とブッシュクラフト型だと言われています。その中で心配性に該当するのが、王翦のようで、心配するがゆえに可能な限りのリスクを想定し、それに備える完璧主義なところがあるようです。しかし、王翦は「起こり」に気付きました。そのため、王翦の場合は高い柔軟性と発想力を持つブッシュクラフト型までも兼ねそろえているということから、最強だと言われています。

こちらの感想も王翦が最強だと言われています。あとの結果を見る限り、秦はもちろんのこと、中華歴史レベルで最強だと評されているので、王翦がどれほどすごい人物なのか感想からうかがえます。

王翦がどれほどの強さを誇るのか、性格や能力、史実と漫画との違いから追及してきましたが、いかがでしたか？感想では「人間性と引き換えに最強の頭脳を手に入れた」と言われていますが、まさにその通りの人物だということが分かります。その秘訣はやはり「守り」を重視していることにあると言えるでしょう。

性格としては心配性なゆえに英雄からはかけ離れた人物だといえますが、虚栄心すらも考慮しないからこそ合理的な判断に優れており、ただ勝つことのみを考えることができるのかもしれません。「私は絶対に勝つ戦しか興味はない！」と言っているのも彼の性格から生じ、最終的には最強と呼ばれる実力までも身に着けたとも言えます。この機会にぜひ王翦の強さの秘訣を別の視点からも考察してみてはいかがでしょうか？