2019年06月29日公開
2019年06月29日更新
【ゴールデンカムイ】鈴川聖弘の変装術がすごい!天才詐欺師の最後とモデルは?
「週刊ヤングジャンプ」で2014年8月より連載されている野田サトルの漫画「ゴールデンカムイ」。明治末期の北海道・樺太を舞台に、一攫千金を狙い金塊を探すサバイバルバトルが展開されます。主要登場人物の一人である鈴川聖弘は、変装術に長けた天才詐欺師です。本記事ではこの鈴川聖弘に焦点を当て、彼の抜きんでた変装術の極意や詐欺師としての経歴、さらにはそんな天才詐欺師の辿った最後やモデルとされる実在の結婚詐欺師の情報までまとめて解説します!
目次
鈴川聖弘はゴールデンカムイの刺青囚人の一人
ゴールデンカムイの作品情報
ゴールデンカムイは、2006年にちばてつや賞ヤング部門大賞を受賞した野田サトルによる漫画です。2014年8月に「週刊ヤングジャンプ」で連載が開始されました。物語では脱獄囚の体に残された刺青を頼りに、隠された金塊を探すサバイバルバトルが展開されていきます。
コミックスでは第19巻発刊の時点で1000万部を突破し、「マンガ大賞2016」で 1位を受賞しています。アニメ化もされTOKYO MX、読売テレビなどの放送局で2018年4月に第1期が、同年10月に第2期の放映が開始されました。
ゴールデンカムイの概要
ゴールデンカムイは明治末期の北海道・樺太地方を舞台にした漫画です。アイヌ人が残した八万円(現在の貨幣価値で約8億円)の金塊を巡り、金の亡者たちのグループに自然の猛威や野獣たちまで加わり、金塊のありかを記したタトゥーを入れた脱獄囚との間でサバイバルバトルが展開されます。
また、ゴールデンカムイは基本的にはサバイバル漫画ですが、一方でグルメ漫画としての見所もあります。ヒロイン・アシリパがアイヌに伝わるゲテモノ料理を披露すると、背に腹は代えられないと主人公の杉元佐一が気味悪そうに食べるシーンがあり、読者の間で評判になりました。さらには様々な変態描写が飛び出すと、読者は一斉にドン引きしてしまうのですが、それを売りにしているようなところもあります。
ゴールデンカムイのあらすじ
明治末期、日露戦争が終わり戦地から戻った主人公の杉元佐一。差し迫った事情から大金が必要になり、当時砂金が採れた北海道・樺太の地を訪れます。結局目的の砂金は見つからなかったのですが、杉元はアイヌ人が残した金塊の情報を耳にします。現在は網走刑務所に服役している受刑者”のっぺらぼう”が奪って隠したということでした。
金塊の隠し場所は、”のっぺらぼう”が刑務所を脱獄した囚人たちにタトゥーとして残したとされていました。早速杉元は金塊が奪われた時に父を殺されたアイヌの少女・アシリパの助けを借りて、囚人たちに彫られたタトゥーの絵柄を集め始めます。
ところが、この情報は杉元同様に金塊を狙う他のグループにも既に広まっていました。こうして過酷な自然に囲まれた日本最北の地を舞台に、壮絶な金塊争奪サバイバル・バトルの火蓋が切って落とされたのでした。
鈴川聖弘は詐欺師
次に本記事の主役・鈴川聖弘について解説します。鈴川聖弘は金塊の在りかを握っているタトゥーを入れた脱獄囚の一人です。刑務所に収監されることになったのは複数件の結婚詐欺。米軍の大佐などになりすまして、結婚願望の強い女性を騙しは金を貢がせていました。
変装技術に関しては天才的、見分けがつかないくらいに化けることが可能でした。また、人を巧みに信用させる話術にも長けており、詐欺師としての腕前は超一流の域に達していました。網走刑務所を脱獄後は政府高官になりすまして、樺戸刑務所の囚人たちの脱獄に手を貸します。そして囚人たちと共に月形近くのアイヌのコタンを占領し、今度はアイヌ人に成りすまします。
鈴川聖弘の変装術がすごい
鈴川聖弘には本当の姿が無い
鈴川聖弘は、強盗などとは違い暴力に訴えることなく人を騙すことによって金品を奪う詐欺師です。心底詐欺師としての性分が染みついていた鈴川は、その時々の状況に応じて人物を演じ分けてきました。
そんな鈴川の人生は、最後には鈴川聖弘としてのアイデンティティーすら失ってしまいます。常に誰かに変装しているような状態で、もはや自分の本当の姿というものが存在しなくなっていたのです。
変装のポイント
鈴川聖弘の言葉を借りれば、ある人物に成りすます変装のポイントは「その人と似ていない部分を減らしていくこと」だと言います。つまり超一流詐欺師の変装は、無理やり似せることではなく他人が見たときの「違和感を減らしていく」ということになります。
鈴川聖弘という天才詐欺師の最後
完璧な犬童を演じていた
ここからは天才詐欺師・鈴川聖弘の最後について解説していきます。釧路にいる脱獄囚・姉畑支遁の情報と引き換えに命を助けられた鈴川は、第七師団に捕まって白石救出に詐欺師としてのスキルを使うことになります。敵陣に潜入するための変装として鈴川が選んだのは、網走刑務所に収監されている犬童典獄でした。
鈴川は変装の極意に従って似ていない部分を減らしていき、威厳に満ちた犬童の顔つきを手に入れました。計画通り第七師団の淀川中佐に面会した鈴川は、贋札や世界情勢の知識を駆使した話術で淀川中佐を信用させ、意図する方向へ導いていったのです。
白石奪還にむけて順調に事を進めていた鈴川聖弘の前に手ごわい相手が立ちはだかります。それは鶴見が派遣した鯉登少尉という男でした。鈴川を疑いのまなざしで見る鯉登は、犬童が流暢に使いこなしていた薩摩弁で話しかけてみます。普通の人間ならここで取り乱し平常心を失ってしまうものですが、天才詐欺師・鈴川は違いました。
彼は鯉登の質問に対し、淀みなく薩摩弁で答えてみせました。犬童が薩摩弁を使うことを知った鈴川は、短期間に薩摩弁を覚え、自然に淀みなく話せるようになっていたのです。鈴川を天才詐欺師たらしめている所以は、見た目だけでなく対象者の背景まで調べ上げて成りすます周到さにありました。この時は誰も鈴川の最後を予感する者はいませんでした。
致命的なミスとは
方言の中でも一際難解とされる薩摩弁を立て板に水の如く話し、完璧に犬童になり切っていた鈴川でしたが、致命的なミスを犯してしまいます。それが彼の悲惨な最後を招くことになってしまうのです。鯉登との会話を薩摩弁で交わしている最中、「相当な飲兵衛だと聞いた」と言う鯉登に「近頃は弱くなった」と鈴川聖弘は答えました。
鯉登の発砲で即死
鶴見から犬童は酒が全く飲めない下戸だと聞いていた鯉登は、この言葉を聞いた瞬間迷わず鈴川に向けて発砲します。鯉登の発射した銃弾は天才詐欺師鈴川聖弘の体を撃ち抜きました。こうして鈴川聖弘は呆気なく最後を遂げてしまったのです。
鈴川聖弘のモデルは?
鈴川聖弘のモデルはクヒオ大佐?
漫画ゴールデンカムイに登場する天才的な詐欺師、鈴川聖弘は実在の人物をモデルとしていると言われています。その人物とはいったい誰なのでしょうか?
クヒオ大佐のプロフィール
「ゴールデンカムイ」の鈴川聖弘のモデルになったとされるのは、1980年代に世間を賑わせた結婚詐欺師の”クヒオ大佐”と言われています。次に、伝説の詐欺師、クヒオ大佐のプロフィールを紹介します。
- 名前:プリンス・ジョナ・クヒオ
- 職業:アメリカ空軍パイロット
- 父親:ハワイのカメハメハ大王の子孫
- 母親:エリザベス女王の双子の妹
- 母国語:日本語
- 出身:日系二世で日本で育った
- 年齢:実年齢マイナス20歳
似ている名前
この世紀の詐欺師クヒオ大佐は、本名を鈴木和弘と言いました。本記事の主役、ゴールデンカムイの鈴川聖弘によく似た名前です。名字の「鈴」と名前の「弘」が同じです。
詐欺事件が同じ
米軍の大佐に化けて裕福な家の女性に結婚詐欺を繰り返した罪で網走監獄へ収監されたが
ゴールデンカムイ第88話では鈴川聖弘の経歴について下のように解説しています。「米軍の大佐に化けて結婚詐欺を繰り返した」という詐欺事件がクヒオ大佐と同じなのです。ここまで一致すると鈴川聖弘のモデルはクヒオ大佐と言うことになるのではないでしょうか?
クヒオ大佐の詐欺の手段
クヒオ大佐が鈴川聖弘のモデルということなら、クヒオ大佐の詐欺の手段が気になるところです。彼が詐欺の標的としていたのは結婚を考えている女性でした。
そんな女性に「アナタと結婚すればイギリス王室から3億円さしあげマース」と出し抜けにこんな言葉を投げかけます。その後、「アメリカ空軍の資金に手を付けてしまい返済に困ってマース。〇百万円貸して欲しいデース。」
女性たちは、きっとこれには深い理由があるに違いないと自分に都合よく解釈して騙されてしまったようです。
クヒオ大佐の映画と小説
このクヒオ大佐を主人公にした映画が2009年10月に公開されています。主人公クヒオ役は堺雅人、被害者の弁当店を営む女性は松雪泰子が演じました。映画化までされた詐欺師は他に例がなく、世間に与えた衝撃の大きさがよくわかると言われています。
また、この映画の原作となったのが吉田和正の小説「結婚詐欺師クヒオ大佐」です。この小説では、クヒオ大佐のプロフィールなどは事実に基づいていますが、それ以外のストーリーは専らフィクションになっています。とりわけ本人への取材ができなかったようで、クヒオ大佐のセリフは全てフィクションという事のようです。
それでは小説「結婚詐欺師クヒオ大佐」からさわりの部分を紹介します。
- 詐欺罪で服役、出所後に被害者宅を訪れると「米軍に復帰いたしました」と挨拶
- エジンバラ宮殿にて叔母のエリザベス女王と写っている記念写真がある
- 遊園地のジェットコースターで顔面蒼白となる
- 英国MI-5か米国CIAが結婚相手の調査に来ると公言
- ハワイ出身のアメリカ人なのになぜか漬け物が大好物
ハワイのクヒオ王子とは別人
クヒオという名前はハワイでは一般的な男性名のようです。現にハワイにはプリンス・ジョナ・クヒオ・カラニアナオレという王子が実在していました。彼は第一王位継承者でしたが、1893年ハワイ王朝は廃絶し国王になる道は閉ざされてしまいました。
クヒオ王子はハワイ準州のアメリカ下院議員となり、ハワイ人へ土地を戻す法律を作るなどハワイ州に多大な貢献をしました。ちなみに彼の誕生日3月26日はアメリカ合衆国の祝日になっています。
鈴川聖弘の収監から逃亡まで
アメリカ軍大佐になりすます
鈴川聖弘の詐欺の手口は次の通りです。まずアメリカ軍の大佐に成りすまし、富裕層の女性に目を付けると巧みに声を掛けます。次に米国空軍大佐であるとか英国王室の血縁といった肩書きを利用して女性たちを盲目的に信じ込ませるのです。
結婚詐欺で捕まる
稀代の天才詐欺師、変装と巧みな話術で獲物を術中に収める鈴川聖弘でしたが、結局結婚詐欺のかどで御用となります。そして有罪判決が下り収監されたのは、日本北端の地・北海道の網走監獄でした。
のっぺらぼうと出会う
ところが、網走監獄に収監されたことで鈴川聖弘のその後の運命が変わります。刑務所で”のっぺらぼう”と出会ったのです。
網走監獄を脱獄
その後、のっぺらぼうに金塊の在りかを示す暗号のタトゥーを彫られて、仲間と共に網走監獄を脱獄することになりました。
囚人を脱獄させる
網走監獄を脱獄した鈴川聖弘は、次に樺戸監獄にいる囚人たちを脱獄させます。鈴川は政府高官に成りすまして監獄内部に潜入。詐欺師の面目躍如というべき巧妙な手口で牢屋の鍵を開けると、囚人たちを難なく塀の外に送り出しました。
アイヌ村の乗っ取り
鈴川聖弘は樺戸監獄から脱獄した囚人たちを率いてアイヌコタンに潜入します。鈴川一行は、村の男たちを全員殺すと何と村を乗っ取ってしまいました。旅人がやってくると正体がバレるのを恐れ、客人の寝込みを襲って殺害します。
杉元一行との遭遇
アイヌに成りすまして、何食わぬ顔で過ごしていた鈴川聖弘たちの生活もある日突然終焉を迎えます。杉元一行が村に来訪したのです。その中にはアイヌのアシリパや何にでも疑ってかかる尾形が含まれていました。案の定、彼らが鈴川たちの言動を不審に思ったため、瞬く間の間に鈴川たちの正体が露呈してしまいました。
夫を殺された女たちの怒りが爆発したことも手伝い、鈴川聖弘らは窮地に陥ります。さらに熊送りの儀のため確保していたヒグマが飛び出してきたことで辺りは修羅場と化してしまいます。ヒグマに食い殺されていく偽アイヌたちの悲鳴が、村中に響き渡りました。
命拾い
不死身の杉元や凄腕殺し屋・尾形を相手にしたのが運の尽き、脱獄囚たちは全滅、鈴川聖弘が唯1人残りました。しかしその鈴川にも杉元らの鉄槌が下されようとしていたその時、詐欺師・鈴川聖弘の脳はフル回転していました。そして間一髪のところで鈴川にある記憶が蘇ります。それは、釧路にタトゥーをした囚人がいるという情報でした。
鈴川はその情報による取引で何とか殺処分を免れます。杉元たちは鈴川の情報をもとにタトゥーをした囚人、姉畑支遁に会うに出かけるのでした。
監獄長への変装
命拾いした鈴川でしたが、今度は第七師団に潜入し捕まっている白石の救出を命じられます。ここで鈴川の変装術の出番となるわけですが、鈴川が考え出したのは網走監獄の犬童典獄に成りすますことでした。鈴川は変装のセオリーに従い似ていないところを減らしていき、厳つい顔の犬童に化けてしまいました。
薩摩弁を使いこなす鈴川
次に計画に従い第七師団の淀川中佐に面会した鈴川は、お得意の話術で淀川中佐に取り入っていきます。しかしその時、現れたのは鈴川に疑いの目を向ける鯉登少尉でした。鯉登は本物の犬童なら自然に口をついて出てくる薩摩弁で質問をぶつけ様子を伺います。想定外の事態です。しかし百戦錬磨の鈴川が落ち着きを失うことはありませんでした。彼は鯉登の質問に抜かりなく薩摩弁で答えてみせました。
犬童典獄の経歴を調べ上げた鈴川聖弘は、短期間のうちに薩摩弁をマスターしていました。鈴川の詐欺師としての真価は、成りすます人物の背景まで調べ上げてから取り組む用意周到さにあったのです。
鈴川聖弘の変装術に関する感想や評価
人を篭絡する術の王道!
最後に鈴川聖弘の変装術に関する感想や評価を紹介します。初めの感想・評価は、鈴川の人の落とし方に感銘を受けた方の評価です。
今ゴールデンカムイ10巻の、鈴川が淀川を落とすシーンを見てたんだけど、めっちゃうまいな……。
— トウコ⚡️☔️🌊🏊♂️🏊♂️💦 (@tohko_0w0b) May 20, 2019
❶最初に落ち度の指摘や罪悪感を刺激し揺らす
❷揺らしたところで根底を覆し価値観を揺るがす
❸欲を刺激
❹その欲に飛びつく正当な理由を与える
人を篭絡するすべの王道を踏襲してる。
鈴川が淀川を落とすシーンを分析した結果、彼が人を篭絡する術の王道を踏襲してるに気づいたそうです。何事にもセオリーと言うものがあるということでしょうか。
声優の熱演が光る!
ゴールデンカムイ第二期17話
— がくさん (@gac_san) November 7, 2018
この短時間で立てたフラグを綺麗に回収するなんて、白石は流石だ。それまでの杉元とアシリパの感傷的な流れを完全に断ち切ったオチには乾いた笑いしか出てこないよ!
鈴川と鯉登の土佐弁の応酬は、声優の熱演が光っていた。何を言っているか理解が及ばない領域であった。
犬童典獄に変装した鈴川聖弘が、詐欺師としての本領を発揮したシーンに対する評価です。鈴川と鯉登の薩摩弁の応酬シーンで鈴川の凄さが際立つのは、ひとえに声優の熱演があってこそだということでした。
鈴川の死は心が痛む!
別に好きなキャラではなかったけどちゃんと有能なとこ見せ始めたところで容赦なく殺されたゴールデンカムイの鈴川さん物凄く可哀想だった。何を間違えたのかすら分からないまま死んだんだろうなと思うと心が痛む。聴力は生きてたかな
— らいす (@okomeee) April 7, 2018
最後の感想・評価は、抜きんでた変装術の片鱗を見せ始めたところで殺された鈴川聖弘を悼む声です。なぜこうなったのかわからないまま死んだのかと思うと心が痛むということでした。
鈴川聖弘の変装術がすごい!まとめ
ここまで人気漫画「ゴールデンカムイ」の登場人物、鈴川聖弘に焦点を当て、彼の変装術やモデルにしたと考えられる実在の人物の情報などをお届けしてきました。最後に本記事をまとめてみますと以下の通りとなります。
鈴川聖弘は金塊の在りかを示すタトゥーを入れた脱獄囚の一人です。鈴川の詐欺師としての腕前は超一流で、特に変装術に関しては天才的とされ「その人と似ていない部分を減らしていくこと」をモットーにしていました。
犬童典獄を演じた時は、外見だけでなく彼が話す薩摩弁まで完璧にマスターしていました。ところが、鈴川に不信を抱く鯉登の策略に乗ってしまい致命的なミスを犯し命を落とすことになります。また、鈴川聖弘は、1980年代に日本中を震撼させた稀代の結婚詐欺師「クヒオ大佐」をモデルにしていると言われています。そんな犬童典獄の登場するゴールデンカムイをご覧になってみてはいかがでしょうか?