2018年12月09日公開
2018年12月09日更新
ゴールデンカムイの元ネタがパロディ満載で面白い!登場人物のモデルや歴史を考察
累計発行部数800万部、現在週刊ヤングジャンプに連載中で、第22回手塚治虫マンガ大賞を受賞した、大人気サバイバルバトルマンガ「ゴールデンカムイ」。今回はその「ゴールデンカムイ」の作中で登場し、時折読者を笑いへと誘うパロディの数々をひとつずつ元ネタとともに紹介し、更には作中の登場人物のモデルや元ネタとなった人物やその歴史についても詳しく紹介しながら考察していきます。
目次
ゴールデンカムイの元ネタがパロディ満載だと話題に!
週刊ヤングジャンプに連載中のサバイバルバトル漫画「ゴールデンカムイ」。今回は作中で多く登場するパロディ要素の紹介や、キャラクターの元ネタになった人物、更にその歴史などを詳しく解説していきます。
ゴールデンカムイとは?
ゴールデンカムイとは、週刊ヤングジャンプに連載されている野田サトルさんの漫画で、明治時代末期、日露戦争(1904年~1905年)終結直後の北海道・樺太を舞台とした金塊をめぐるサバイバルバトル漫画です。戊辰戦争、日露戦争、ロシア革命といった歴史要素のほか、狩猟、グルメ要素、アイヌ民族の文化紹介などの要素を併せ持つ漫画です。
2018年4月からはテレビアニメとしてTOKYO MXほかの放送局で全12話が放映され、人気を博しました。また、2018年10月からは第二シーズンが放映されました。
ゴールデンカムイのあらすじ
日露戦争が終結した直後のとある冬、日露戦争の英雄で「不死身の杉元」と呼ばれた元陸軍兵の主人公・杉元佐一は、幼馴染の梅子の眼病の治療費を得るため一攫千金を狙って北海道で砂金を掘っていました。そんなときたまたま知り合った中年の男から、アイヌから奪われた金塊の話を聞きます。最初こそ信じていなかった杉元でしたが、その後起こった事件のせいでにわかにその存在を信じ始めました。
男を追って山に入った杉元は、冬眠明けのヒグマに襲われてしまいます。窮地の杉元を救ったのはアイヌの少女・アシリパでした。アシリパは5年前、自分の父親であるウイルクを殺し金塊を奪った男を追っていました。「目的は違えど、道は同じ」と杉元とアシリパは協力関係を結び、アシリパの仇敵が「のっぺら坊」と呼ばれる顔の無い男であると言うことをつき止めます。
のっぺら坊と呼ばれるその男は網走監獄の獄中におり、そこから外の仲間に金塊の在り処を知らせるため、複数人の囚人達の身体に金塊の隠し場所を表す刺青を掘り、網走監獄から脱獄させていたのでした。そんな杉元とアシリパの元には同じく金塊を狙う陸軍第七師団歩兵第27聯隊や、戊辰戦争で死んだと思われていた土方歳三の一派と熾烈な人皮争奪戦を繰り広げる事になるのでした。
主な登場人物:杉元佐一(すぎもとさいち)
ゴールデンカムイの主人公。元大日本帝国軍一等卒、元第一師団特別支援隊隊員で、顔を縦横断する裂傷傷が特徴的な20代前半の男性です。鬼神のような戦闘力と、持って生まれた強運、凄まじいまでの生への執念、そして重篤な負傷から一日足らずで回復する驚異的な回復力から「不死身の杉元」と呼ばれています。戦死した親友・寅次の妻・梅子の眼病を治すため、一攫千金を夢見て北海道にやってきました。
主な登場人物:アシリパ
ゴールデンカムイのヒロイン。利発で天真爛漫な10代前半のアイヌの少女。外見や年齢に反して、とても理知的で賢く豪胆な性格で信仰や慣例を重んじつつも古い因習に捕らわれず、合理的で柔軟思考を持ち合わせ、自分を「新しい時代のアイヌの女」であると自負しています。弓矢の名手で狩猟も上手く、北海道の気候や動植物、アイヌの文化や風習、料理に精通しています。
主な登場人物:白石由竹(しらいしよしたけ)
刺青を持つ囚人の一人で強盗と度重なる脱獄で収監されていた、通称「脱獄王」。関節を自在に脱臼させることができ、狭い隙間を出入りする事ができます。その身体能力と脱獄のための周到な小細工を作ったり、その施設の特徴や死角をいち早く見抜く優れた観察眼を持っています。杉元が小樽の師団兵舎に監禁された際、金塊の分け前を条件にアシリパに協力し、以後二人と行動を共にするようになります。
主な登場人物:鶴見(つるみ)
主人公:杉元佐一達と人皮争奪戦を繰り広げる歩兵第27聯隊所属の情報将校で小隊長。両目の周囲の皮膚が剥けており、頭には常にホーロー製の額当を付けている異様な姿が特徴的な人物です。日露戦争において大きな戦果を挙げるものの、多くの兵士を失った事で責められ冷遇されたことを背景に、報われなかった戦友や戦死者遺族を救済するため北海道に軍事政権を誕生させるための軍資金を集めています。
主な登場人物:土方歳三(ひじかたとしぞう)
こちらも、主人公・杉元佐一と敵対する事になる元新撰組副長の旧幕府軍志士、土方歳三です。ゴールデンカムイの作中では、1869年(明治2年)の函館戦争に於いて戦死したと思われていましたが、戦況の悪化した函館から秘密裏に脱出しており、その後網走監獄に収監され入れ墨の囚人達の脱獄を主導しました。
かつて志半ばで潰えた攘夷共和国構想を実現するべく行動しています。「のっぺら坊」と深く関わっていた事から敵味方問わず怪しむ人物が多い登場人物です。
ゴールデンカムイはパロディ満載?元ネタをネタバレ紹介!
ゴールデンカムイには多くのパロディが散りばめられています。今回はそのパロディの元ネタをひとつひとつ解説しつつネタバレ紹介していきます。
ドリフのパロディシーンとは?
まずはこちら、ゴールデンカムイ第55話の扉絵です。これはかなりわかり易く、ザ・ドリフターズの大人気お笑いコントバラエティ番組である「ドリフ大爆笑」のオープニングのパロディです。
川口浩の探検隊シリーズのパロディシーンとは?
こちらは、ゴールデンカムイ第104話の扉絵でアリリパさんの顔芸が光ると話題となった扉絵ですが、こちらの元ネタは1977年から1985年にかけて朝日放送(ABC)で放映されていた「川口浩探検シリーズ」のポスター画のパロディになります。
最後の晩餐のパロディシーンとは?
昭和のテレビネタがあったかと思いきや、今度は超有名作品のパロディです。これは、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた、キリスト教の壁画「最後の晩餐」のパロディとなっています。
天使の歌のパロディシーンとは?
続いても、歴史的名画からのパロディです。こちらは、1881年にウィリアム・ブークローと言う有名な画家の描いた「天使の歌」-アヴェ・マリア-という作品のパロディになります。
スナイパー尾形のパロディシーンとは?
作中で「山猫」と呼ばれる尾形百之助の狙撃シーンですが、こちらも元ネタが存在します。これは、1993年公開のアメリカ映画「山猫は眠らないシリーズ」のパロディです。
これは「山猫は眠らない」の劇中で主役のトム・ベレンジャーがシッティング(座射)で構えているところからきたパロディだと言われています。
映画レオンのパロディシーンとは?
こちらのシーンも有名映画からのパロディシーンです。元ネタは1994年公開のアメリカ・フランス合作映画「レオン」からのパロディになります。
フェイズⅣのパロディシーンとは?
こちらは少しわかりにくい元ネタになりますが、ゴールデンカムイ第115話の扉絵です。これは、1974年公開の「フェイズⅣ旋律!昆虫パニック」という映画の映画ポスターが元ネタになります。
ゴールデンカムイの登場人物の元ネタ・モデルや歴史を考察!
さて、ここからは、ゴールデンカムイの登場人物の元ネタやモデルとなった人物、歴史について、深く考察していきます。
ゴールデンカムイの製作背景には作者・野田サトルさんの曽祖父が日露戦争に出兵した屯田兵であったことが大きく関係しています。原型となったのは「北海道を舞台とした猟師の作品」でしたが、野田サトルさんが北海道史の中から興味を惹かれた「熊害(ゆうがい)」、「土方歳三」、「脱獄王」、「埋蔵金伝説」、「アイヌ」といった様々な話題を混ぜ込んでいった事でゴールデンカムイの原型が出来上がったとの事です。
杉元佐一の元ネタは作者の曽祖父?舩坂弘?
まず最初に紹介する登場人物のモデルは、ゴールデンカムイの主人公、「不死身の杉元」と呼ばれる杉元佐一です。これについては、作者自身が作者の曽祖父である杉元佐一氏をモデルにしたと公言されています。杉元佐一氏は日露戦争に参加され、屯田兵として北海道の開拓に尽力された方のようです。
屯田兵とは、明治時代、北海道の警備と開拓に当たった兵士とその部隊の事です。1874年(明治7年)から1904年(明治37年)まで北海道の開拓と警備を行いました。当時北海道の大部分は原生林に覆われ、前人未到の土地でした。そこに家族とともに入植し、日々は農地の開拓などを行い、有事には兵士として戦闘に参加する兵士達のことです。
更にこの杉元佐一のモデルとなったのでは、と言われている歴史上の人物が、舩坂弘(ふなさかひろし)氏です。舩坂弘氏は1920年栃木県生まれの男性で日本陸軍の軍人で、第二次世界大戦中、南方戦線で戦われました。パラオ・アンガウル島の戦いにおいて、左大腿部に酷い裂傷を負い、助けに来た軍医からは自決用の手榴弾を渡されたといいます。しかし、その際にも生き残り、翌日には左足を引き摺りながら歩いていたそうです。
その後、幾度も瀕死クラスの重傷を負うものの、数日で回復するのが常で本人は後に「生まれつき傷が治りやすい体質であったことに助けられたようだ」とその事由を述べている。この事から、実際舩坂をみた他の部隊員たちからは「不死身の分隊長」と呼ばれていたそうです。このような功績から杉元佐一のモデルになったのでは、と言われています。
白石由竹の元ネタは白鳥由栄?
続いて、紹介する登場人物は、「愛され脱獄王」こと、白石由竹のモデルについてです。こちらの元ネタとなった歴史上の人物は、比較的有名かもしれまんせんが、「昭和の脱獄王」と呼ばれた白鳥由栄(しらとりよしえ)であると言われています。
1907年青森県の生まれで、1933年に仲間とともに強盗殺人を犯し投獄され、その際投獄先の刑務所の環境が劣悪で抗議したところ過酷な懲罰を受けた事から、26年間に及ぶ服役期間中に4度も脱獄を行いました。
第七師団は実在していた?
続いて紹介する登場人物は、杉元達一行を追い詰める鶴見や尾形百之助が所属している第七師団です。これの歴史上のモデルはずばり日本帝国陸軍の北方部隊、北海道に置かれた第7師団が元ネタとなっています。部隊の歴史は古く、1896年に屯田兵を母体として創設された部隊で北海道を4つの連隊に分け警備任務に当たっていました。その後、1940年に編成が改変され歩兵第25連隊が樺太混成旅団に加わっています。
牛山辰馬の元ネタは牛島辰熊?
次に紹介する登場人物は作中で「不敗の柔道王」「不敗の牛山」と呼ばれる、牛山辰馬(うしやまたつうま)です。入れ墨の囚人の一人で額にはんぺんを貼り付けたような四角いタコと柔道耳が特徴的な巨漢です。
この牛山辰馬のモデルとなったと言われている歴史上の人物が、柔道家として有名な牛島辰熊という人物で、その圧倒的な強さから「鬼の牛島」と呼ばれました。
家長カノの元ネタはH・H・ホームズ?
最後に紹介する登場人物は、作中で「殺人ホテルの支配人」と呼ばれる家長カノです。この家長カノも入れ墨の囚人の一人で、一見女性のような風貌ですが、じつは女装した天才外科医の老人男性です。この家長カノの元ネタと思われる歴史上の人物がハーマン・ウエブスター・マジェット、通称H・H・ホームズと言われています。
H・H・ホームズは、開業医でドラックストアの経営で財をなし、大金持ちになったのち、ホテルを経営した実業家ですが、そのホテルではしばしば行方不明者が出ます。ホームズのホテルには地下に拷問室があり、ホテルのあちらこちらから地下室に落ちる仕掛けがしてありました。ホームズは逮捕後、殺害の自供を行いましたが、その数と行方不明者の数がまったく合わず、現在でも彼が何人殺害したのかは不明のままという人物です。
ゴールデンカムイを読んだ感想や評価を紹介!
ゴロゴロしながらマンガいろいろ試し読みしてるんだけどゴールデンカムイめちゃめちゃおもしろい…
— 🛠ヘルニアつら美🛠 (@herniasan) December 8, 2018
SNS上ではゴールデンカムイを読んだ人の「おもしろい」といった感想が多く発信されています。
今さらだけど..
— まろまゆ (@_necoota_) December 8, 2018
ゴールデンカムイおもしろい😳🌟
アシリパさんもシライシもかわいいし..✨
どのキャラも楽しくて✨さすが豪華声優さん達の凄みを感じる..🌟#ゴールデンカムイ pic.twitter.com/3wrxhMJ5B6
また、ゴールデンカムイのアニメ版についても、「おもしろいから見たほうがいい」といった声が多く発信されているようです。
テレビで放送してるゴールデンカムイは、あまりに変態すぎる部分は相当カットされてるらしいけど、それでも変態エピソード多くておもしろい
— いっこε (@ikko1niko2) December 8, 2018
他には、「変態すぎて、おもしろい」や「変態部分はカットされてるみたいだけどそれでもおもしろい」といったアニメへの評価も多く投稿されていました。
ゴールデンカムイの元ネタについてまとめ!
このように、漫画「ゴールデンカムイ」には、多くのパロディ要素が散りばめられ、読者に楽しんでもらおうという作者・野田サトルさんの遊び心が満載だと話題になっています。また、原作ファンのみならず、アニメ版を見た視聴者からの「おもしろい」と言った評価や、「アニメ版も見れば良かった」といった声も多かった事から、アニメ版もおもしろいと話題になっています。
このまとめ記事を読んで興味が湧いたのであれば、原作漫画、そしてアニメ版1期2期を見直してみてはいかがでしょうか? ここでは紹介しきれなかったパロディやモデル、歴史を発見できるかもしれません。もちろん今後の原作展開、さらにはアニメ3期にも期待できるといえるでしょう。