打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の原作は小説?ドラマ?あらすじまとめ

2017年の8月、夏の終わりにアニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は公開されました。実写ドラマや映画の監督として活躍する大根仁さんの脚本、アニメ総監督は新房昭之さんが手がけました。「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」には、小説などの原作はあるのでしょうか?アニメ映画化前の原作についてと、物語のあらすじを紹介しながらまとめてみました。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の原作は小説?ドラマ?あらすじまとめのイメージ

目次

  1. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の原作について迫る!
  2. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のあらすじについて
  3. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の原作は何?
  4. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のドラマと映画の違いについて
  5. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の感想や評価は?
  6. 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の原作についてまとめ

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の原作について迫る!

2017年に公開された「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の制作会社はシャフトで、ドラマ作品のほか、「モテキ」「SUNNY強い気持ち・強い愛」など実写映画を手掛ける大根仁さんの脚本と、「魔法少女まどか☆マギカ」「3月のライオン」などのアニメを手掛けた新房昭之さんが総監督という事で話題になりました。

また、主人公の及川なずな(おいかわ なずな)を女優の広瀬すずさん、島田典道(しまだ のりみち)を俳優の菅田将暉さん、典道の友人の安曇祐介(あずみ ゆうすけ)を人気声優の宮野真守さんが演じました。その他の登場人物も、浅沼晋太郎さん、梶裕貴さん、豊永利行さん、花沢香菜さん、櫻井孝宏さん等実力派の豪華声優陣が固めています。他にも豪華なキャストが参加しています。

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のアニメ映画は映像と音楽が美しいものの、ストーリーは難解であるとか、スッキリしないラストシーンであるという意見もみられましたが、逆に考察の余地があり、何度も繰り返し見たくなるとも言われています。「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」アニメ映画には実は原作がありますが、それについては後半にまとめます。先にあらすじを紹介していきます。

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のあらすじについて

STORY.A

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のアニメ映画版のあらすじを紹介します。中学校の夏休みの登校日、8月1日のこと。典道は祐介たちと合流しながら、学校へ向かいます。途中、海辺で見かけたなずなに、典道は目を奪われました。しかし教室では、うかない表情のなずな。思わず目が離せずにいると、典道は祐介から「なずなに告りてぇ」と話しかけられます。

夏の空

ホームルームのあと、なずなは担任に母親から預かった手紙を渡します。中には、「母親の再婚に伴い、夏休み中に転校する」という事が書いてありました。プールの掃除当番の典道と祐介は、水着に着替えてプールに向かいました。すると、誰もいないはずのプールサイドに、水着姿のなずながいました。そこで急にトイレに向かう祐介。横になったなずなの隣で、一人で典道は掃除をはじめました。

「部活?」と話しかけると「違うよ」と答えるなずな。「泳ぐの?」と聞いても「泳がない」、「じゃぁなんで?」と尋ねても「なんででしょう?」となずなは言います。典道がなずなの頬に止まったトンボのことを指摘すると、「とって」と言うので、ドキドキしながら手を伸ばします。しかしトンボは飛んで行ってしまいました。ふと、なずなが持っている不思議な玉に気づいて、目を奪われていると、そこに戻ってきた祐介。

プールの台

掃除をしながら、50m競争しようぜと祐介は持ちかけてきます。勝ったらなずなに告白するという祐介。しかし「冗談だよ、なずなをとられたくねぇんだろ」と続けました。プールの反対側にいたなずなが、2人の勝負に気づいて私も、と参加してきました。「あたしが勝ったら、なんでも言う事聞いて」結果、水泳部のなずなが一位に。典道は、なずなに気を取られてターンに失敗し、足を打ってしまいます。結果、祐介が勝ちました。

水から上がった祐介に、なずなは「花火大会に行こう」と誘います。動揺して「なんで?」と聞く祐介に、「好きだからよ」というなずな。「5時に迎えに行くから家にいてね」そこに遅れてゴールする典道。まだ2人の約束のことは知りません。教室に戻ると、純一、稔、和弘が花火は横から見たら丸いのか、平べったいのか、と議論を交わしています。どこか上の空な祐介も、「茂下灯台で真横からみよう」という提案にのってきます。

教室のイメージ

5人で花火を見ることが決まり、夕方5時に茂下神社で待ち合わせると約束をして別れました。典道が家に帰ると、なぜか祐介が勝手に部屋に上がり込み、ゲームをしています。2人でゲームをしながら時間を過ごしていると、祐介は「花火なんて丸いに決まってるじゃん」と言うので、典道は「なんでさっき言わなかったんだよ」と返しました。皆に付き合ってやっただけだよ、とふざける祐介。

約束の時間が迫ってきました。まぁちょっと遅れるくらいでいいだろ、とのんびりしている祐介。家を出るときになって、典道がプールでぶつけた足首の傷をみて、「これは手当てしてもらわないとだめだ、破傷風になるかもしれない」などと祐介は大げさに言いだします。自分の父親に診てもらいに行ったほうがいい、そして「もしかしたらなずなが来てるかもしれないから、行けなくなったって言っておいて」と伝言を頼みます。

包帯

典道が問いただすと、プールでなずなに花火に誘われた事を打ち明けます。好きなんじゃなかったのか、と尋ねても、「そんなわけねーじゃん」とはぐらかして、祐介は待ち合わせへ、典道は仕方なく祐介の家でもある安曇医院へ向かいました。待合室には、浴衣姿のなずながいて、動揺しながら受付をすませ、診察室で手当てをしてもらいました。

待合室に戻ると、なずなに「祐介はこないよ」と伝えます。そう、とつぶやいたなずなは、隣に置いていた大きなキャリーバッグを手に、安曇医院を出ていきます。その頃、神社にいる3人のところに祐介が到着しました。典道が自分の家の病院に行ったことを伝えると、皆で迎えに行くことになります。

プールの水面

典道が病院を出ると、道路の向かいになずなが立っていました。もし典道を誘っていたら、ちゃんと約束を守ってくれたか、と問いかけました。プールで勝負したあの時、クロールで勝ったほうを誘おうと急に思った、典道くんが勝つと思ったのに、なんで負けたの?と責められた典道は、「なずなが速かったから焦って…」と言うと、「私のせいなの?」とさらに詰め寄られて驚きます。

なずなが持っていたキャリーバッグを見て、典道は「なんだよそれ」と聞きます。すると、家出してこの町を出て行くんだと言い出すなずな。マジかよと聞き返すと、マジ、と言ってみたり、冗談だろと言うと、冗談、とはぐらかすので、典道は混乱してきます。「なんで島田くんが勝つと思ったかわかる?」と問われても、典道にわかるはずがありません。

浴衣姿でキャリーバッグを持ち、曲がり角を曲がっていくなずなを見送ることしかできませんでした。その瞬間、なずなを呼ぶ声がしたかと思うと、なずなとなずなの母親がこちらへ走ってきました。すれ違いざま、「典道くん、助けて」と言ったなずなの悲痛な叫びもむなしく、手から離れて散乱した荷物もそのままに、なずなは母親に引きずられるようにして去って行ってしまいました。遅れて後を追いかけるも、なすすべもなかった典道。

そこへ、待ち合わせをしていた祐介たち4人がやってきました。連れ去られていくなずなを目撃して、「母親怖ぇな、あんな姿みたことない」などと、他の3人と一緒に他人事のように話している祐介に腹を立てた典道は、思わず殴りかかります。稔たちが止めますが、「あの時俺が」という思いが膨らんでいきます。その時、なずなが落としていった荷物の中に、プールの時に持っていたあの不思議な玉を見つけます。

その玉をぐっと握りしめ、典道は心の中で強く思います。「もしも、もしもあの時オレが、オレが勝っていたら」。そう願いながら、典道は、思いっきりその玉を投げました。

STORY.Bもしもの世界

ここからはもしもの世界のあらすじです。典道が投げた玉が、Y字路に立つ掲示板の花火大会のポスターにぶつかりそうになったその時。一瞬時が止まり、今日これまでの出来事が巻戻っていきます。そして、時計回りのはずの風車が逆回転を始めます。気がつくと、なずなと祐介と典道、三人で勝負したプールの中でした。典道はスムーズにターンを決めて、祐介よりも先にゴール。

そびえたつ風車

水から顔をあげると、なずなは笑顔で、典道を花火大会に誘いました。祐介と典道が教室に戻ると、花火は横からみたら丸いのか、平べったいのか、と純一、稔、和弘の3人が話しています。和弘は丸いと主張し、他の3人は平べったいと言い張り、典道は「わかんねぇ」と答えていると、なずなが教室に入ってきました。そっと視線を意識する2人。気がつくと、5人で灯台に花火を見に行くことが決まっていました。

家に帰った典道は、自分の部屋で小学校時代のアルバムや入学式の写真のなずなを、ルーペでみていました。そこに足音がして慌ててベッドと壁の隙間にそれを隠す典道。祐介が家に勝手に上がり部屋に入ってきました。典道はトイレに籠り、なずなに断りの電話をいれようとシミュレーションをするも、実行に移せません。祐介は、花火は平べったいんだから見に行く必要はない、などと言いだします。

その時ふと窓の外を見ると、なずなが家に近づいて来ているのが見えました。飲み物を買ってくる、と口実をつけて外に出ると、まさにインターフォンを押そうとしていたなずなの手をつかんで止めました。どうしようか、と思っていると今度は祐介が「やっぱり花火行くわ」と窓越しに言うので、焦りながらもなずなを自転車の後ろに乗せ、走り出しました。なずなが「どこに行くの?」と聞いても典道は「わかんねぇ」と答えます。

誰もいない夕方の茂下駅のホーム。東京でも大阪でもいいから、どこかに行きたい、家出じゃなくてかけおちだねとなずな。典道が「2人で死ぬの?」と口にすると「それは心中でしょ」となずなは答えます。トイレのかげに隠れて、なずなは浴衣からワンピースに着替えながら話します。「女の子はどこに行ったって働けると思うの、歳をごまかして、夜の仕事とか。」そんなことをいうなずなに、典道は「無理だろ」と言います。

ホームのイメージ写真

着替えをして、紅をさしたなずな。海で拾ったあの不思議な玉を見せて、典道が勝ったときに家出を決めたから、責任を取ってほしいと話しはじめます。電車が近付くホームで手を取り、「一緒に来てくれる?」そこになずなの母親の声が響きます。母親の再婚相手の男性も一緒に追いかけてきました。なすすべもなく立ちすくしてしまい、無理やり連れ戻されるなずなの悲痛な叫びにも、耳を覆う典道。

ふと、「あの時」母親に連れて行かれてしまったなずなの姿が思い浮かび、典道は走り寄って男性の腕にしがみついて必死で止めます。しかし、殴られて身体ごと飛ばされてしまいます。そのまま、なずなは車に乗せられて走り去ってしまいました。残されたあの不思議な玉を眺めながら、「もしも、あの時」再びそれを投げようとした時、稔たちと祐介がこちらに向かっていました。来なかったことを責められるも、適当にごまかす典道。

踏切

しかし祐介には「お前らつきあってるのか」と聞かれます。「夏休みが終わったらなずなに告白する」と言ってもはっきりしない典道にイライラする祐介。灯台にたどりついて花火を眺めると、それは美しいが平べったい花火でした。丸いはずだと思っていた和弘は「こんなことあるわけがない」と言い、平だと主張していた稔と純一は、単純に喜んでいます。典道はそこで「違う世界」の記憶がフラッシュバックします。

STORY.Cもうひとつのもしも

小さな水しぶき

こんなことあるわけがない、なずなはオレが取り戻す。そう言って典道は「もしも、オレとなずなが電車に乗ったら」と思いを込めて、あの不思議な玉を灯台から投げます。ここからは「もうひとつのもしも」の世界のあらすじです。気づいたらそこは、なずなと一緒にいた電車のホーム。腕にしがみついたあと、殴られそうになるのを交わした典道は、なずなの手を取って電車に乗り込みます。

二人きりになり、なずなは母親の事情と自分の事を話し始めます。家出じゃなくて「かけおち」だと主張して、東京で2人で暮らそうと言うなずな。ここで「瑠璃色の地球」を歌い出します。そこからファンタジーの世界へ。そんな夢のような世界の中でも、家出なんかできないし、かけおちなんてできっこないと思うなずな。「でも、今日だけは典道くんと」と願うのです。

続いていく線路

踏切にいた祐介たちが、通過した電車に乗っている典道となずなに気づきます。さらに、並行する道路からなずなの母親が車で追いかけてくるのがみえました。次の駅で降りて、線路を飛び越えて当てもなく逃げるなずなと典道の顔は笑顔でした。もしもなずながいなくなるとしても、「今日だけは一緒にいたい。」灯台に到着した典道となずなは、現実にはありえない形の花火を2人で観ます。

なずなは素敵だと言いますが、典道は「この世界は違う」と戸惑いを隠せません。それでもなずなは「それでもいい、典道くんと一緒にいられるなら」とうれしそうに笑います。追いついた祐介たち4人と、母親と、その再婚相手。もう逃げることはできません。「もし、見つからなかったら2人でいられたのかな?」あの玉を握りしめながら話していると、怒った祐介が飛びついてきました。

繰り返すもしもの世界からクライマックスへ

きらめく花火

そのまま典道となずなは灯台から落ちていきます。気がつくと、今度は電車の中でなずなが歌っています。もしもの世界を繰り返していました。クライマックスにむけてのあらすじです。踏切では祐介や稔に気づかれないように伏せ、母親たちの車に気づかれないように隠れてみていると、なずなは母親が車の中で泣いていることに気がつきます。「次の駅で待ってるはず」しかし、電車は方向を変えて海の中を走り始めていました。

赤くひかる踏切

その中で、あの不思議な玉について典道はなずなに尋ねるのですが、その事をわかってくれません。さらに今日1日を繰り返していることも話して聞かせるのですが、理解してくれません。本当は祐介が勝ったこと。なずなが花火に誘ったのは祐介だったこと。「安曇くんとなんて嫌、ありえない」となずなは言います。こんなこと信じられないよな、と典道は言いますが、なずなは、信じるよ、典道くんの言う事なら、と答えます。

どうせこの町を出ていかなきゃならないなら、「1日だけでも典道くんと…」最後まで言い切らず、電車はいつのまにか茂下駅に到着します。しかし、そこは誰もいない、時が止まってしまったかのような、どう見てもおかしな世界でした。これは典道くんが作った世界なんだね、となずなは言います。元の世界に戻ったら、なずなはいなくなってしまう。それなら、このおかしな世界でいいから、なずなと一緒にいたい、と典道は言います。

夜の東京駅

それには答えず、なずなは泳ごうよ、と典道を誘います。水の中に沈んでいくなずな。驚いてかけよるとなずなが笑って顔をあげました。「なずな」と呼びかけた時、花火師が、あの不思議な玉を打ちあげます。打ち上げられた玉からこぼれる無数の欠片の中には、典道となずなの、そして祐介となずなの、ありえたかもしれない「もしも」の姿が描かれていました。

花火がたくさん打ちあがる、現実ではないその世界のなかで、なずなは「次会えるのは、どんな世界かな。楽しみだね」と言い残し、去って行きました。場面が切り替わり、教室の中で出席を取る三浦先生。50音順に名前を言っていきますが、「及川なずな」は呼ばれません。そしてさ行まで来て、先生は「島田典道くん」と呼びますが、返事はありませんでした。

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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の原作は何?

原作はテレビドラマ作品

いよいよ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の原作について詳しく紹介していきます。原作は、小説などではなく、実は1993年に制作されたテレビドラマでした。岩井俊二監督で、オムニバステレビドラマ「Ifもしも」の一作として放送されました。当時岩井監督はまだ若手でしたが、この作品で一気に名前を知られることとなりました。

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のドラマは一話のみで、45分と短いものでしたが、多くのファンがつき、1995年には内容はそのままで再構成され、映画として劇場公開されました。おおまかなあらすじはドラマ版とアニメ映画版とで似ていますが、違う部分も多くあります。のちほどあらすじの違いなどについては紹介します。

原作ドラマのキャストについて

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?原作ドラマの主なキャストを紹介します。

  • 島田典道(しまだ のりみち):山崎裕太
  • 及川なずな(おいかわ なずな):奥菜恵
  • 安曇祐介(あずみ ゆうすけ):反田孝幸
  • 和弘:ランディ・ヘブンス
  • 純一:小橋賢児
  • 稔:桜木研仁
  • 三浦晴子(担任教師):麻木久仁子
  • 同僚教師:光石研

ドラマ放送当時、山崎裕太さんは当時12歳の中学一年生、奥菜惠さんは14歳の中学二年生でした。アニメ版では三浦先生の恋人となった同僚教師は、実写版で教師を演じた光石研さんの名前から「光石」という名字が与えられています。

関連の小説について

「少年たちは花火を横から見たかった」は原作のドラマ版「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」監督の岩井俊二さんの小説ですが、これはドラマ版制作当時の原案の中で、映像化されなかったものを元にアニメ公開に合わせて書き下ろされたものです。2017年に出版されました。原作と言うよりは原点と言える小説となっています。

実は、原作ドラマのタイトルも当初は「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」ではなく、「少年たちは花火を横から見たかった」でした。「if」シリーズの制作側からの要望で「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」へと変更になったそうです。アニメともドラマとも違う展開ですが、間もなくこの町からいなくなってしまうなずなと、典道や同級生たちのひと夏の友情と初恋を描いた小説です。

岩井俊二さんの角川文庫版とほぼ同じ内容の小説ですが、小学中級向けに再構成し、挿絵を加えた「少年たちは花火を横から見たかった」角川つばさ文庫版の小説も刊行されています。小学生でも読みやすいように、ふりがなをふり、一部表現が変わっている部分もありますが、内容は一緒です。小説版を購入する際はその点に気をつける必要があります。

岩井俊二監督の小説のほかに、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」アニメ版脚本の大根仁さんが自ら書き下ろした、アニメ原作小説も出版されています。あらすじは一緒ですが、映像とは違う描写もあり、映画をより深く解釈できる小説となっています。

こちらも角川文庫版の他に挿絵を入れてふりがなをふった小学生向けの「角川つばさ文庫版」、イラストが満載のティーンズ向け「角川スニーカー文庫版」が出版されていますので、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」大根仁版原作小説を購入の際は確認して購入する必要があります。

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』原作&関連書籍サイト|KADOKAWA

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のドラマと映画の違いについて

先に「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」アニメ映画版のあらすじを紹介しましたが、原作ドラマ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」との違いを確認していきます。原作の実写ドラマ、アニメ映画はどういった点に違いがあるのでしょうか?

主人公の年齢に違いがある

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の原作とドラマと映画の大きな違いは、主人公たちの年齢です。ドラマでは小学生でしたが、アニメ映画版では中学1年生に設定を変えています。ただし、ストーリーのあらすじは変わっていません。ラストシーンに大きな違いがあります。

なずなのセリフに違いがある

アニメ版あらすじを踏まえて紹介します。アニメ版の登校日のプールサイドで、横になっているなずなの頬に止まるのはトンボでしたが、原作の実写版では胸元に蟻が歩いています。なずなは私服のままで、勝負をするのは典道と祐介だけで、なずなは「審判やってあげよっか」とだけ言います。

実写版のなずなは、病院を出た後、「もし君を誘ってたら裏切らないで来てくれた?」と典道に聞きます。典道は「裏切らない」と答えますが、「裏切るよ、きっと」と言い残して角を曲がります。母親に追いかけられて戻ってきますが、このシーンはアニメでも原作に忠実に再現されています。

もしもの世界の表現の違い

典道が勝負に負ける世界を「Aパート」とすると、典道が祐介を殴るまではアニメ版のあらすじとほとんど同じです。典道が「あの時俺が勝っていれば」と後悔していると、そのまま「もしも」の世界へ切り替わります。「Bパート」はプールの中からスタートし、典道は勝負に勝ってなずなに「花火大会に二人で行こう」と笑顔で誘われます。

典道の家になずなが訪ねてきたあと、アニメでは2人で自転車で移動しますが、ドラマではバスに乗り込みます。その中で、花火に行くはずだったのに、どこに行くのかと聞くと「典道くんの好きなところに行こう」と言います。バスは駅に到着しました。「あと30分だって」と言って、そのあとホームのトイレのかげで着替えを始める場面は原作とアニメと同じシーンです。

「私が養ってあげるから安心してよ」と典道に言うなずな。切符を買わなきゃ、とここまでは本気のようでした。しかし、ここでなずなの態度は一変。電車が来るのを見て、典道が切符を買わないのかと聞いても「なんのこと?」とはぐらかします。そこにちょうど来たバスをみて、「帰ろう」と言うので、典道は戸惑いながら、自宅方面へ戻るバスに一緒に乗り込みました。

ラストシーンの違い

原作である実写ドラマ版のクライマックスは、2人で学校のプールに忍び込みます。真っ暗なプールで水遊びをした後、「花火って横から見ると平べったいのかな?」と疑問を口にするなずな。「今度会えるの2学期だね。楽しみだね」となずなは叶わないと知っている約束をして、そっと去って行きました。その頃、祐介達は灯台に到着したけれど、花火は終わっていました。

典道は祭りで彼氏を連れた三浦先生に会います。そこで、花火は丸いのか平べったいのかと聞くと、彼氏の知り合いである花火師を紹介してもらい、あまり玉の花火を一発打ちあげてもらうことになりました。その花火を、典道は下から、祐介達は横から花火を見ることができ、ラストシーンとなります。

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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の感想や評価は?

小説の感想や評価

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」映画を見てから小説を読んだ方の感想です。あらすじは一緒ですが、映画とは違う小説の部分を、映画と合わせてより楽しめるということが言われています。

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の映画版は、原作では小学生ですが、少し上の中学生という成長期の繊細な時期を描いています。淡い恋心と青春を描いた小説は、映画の描写のように楽しむことができるという感想です。

ドラマの感想や評価

ドラマ放送は1993年ですが、今観ても味わい深い作品であることが伝わってくる感想です。原作はドラマであり、のちに短編映画として公開されていますが、短いながらも充実した内容と言われています。アニメではあらすじはそのままで、90分の映画作品に膨らませています。

当時の岩井監督の原作実写版の演出についての感想です。プールでのシーンと、そのまま別れていく場面も印象的で綺麗だと言われています。

映画の感想や評価

実写版にはない、もしもの世界でのファンタジーの世界、もしも玉の使い方、そしてクライマックスでちらばる欠片のシーン、それらはアニメならではの演出ですが、そこが実写にはない魅力であるとの感想もみられます。

小学生から中学生に設定を変えたことを疑問視する声もありましたが、中学1年生も、まだうまく好きな女の子への態度をうまく示せない年頃だという事を言われています。脚本の大根さんも、精神年齢はあまり変わりないとビジュアルブックで述べています。

大ヒットした「君の名は。」と比較されてしまう事が多かった今作ですが、二つの作品についての違いを漫画にしている感想です。レビューでは当初酷評も多かったですが、好きな人にとってはとても印象に残る作品だったといわれています。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の原作についてまとめ

あらすじと共に紹介してきた、アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の原作は、1993年に放送されたテレビドラマでした。その後も1995年に映画化されたほか、1999年には「少年たちは花火を横から見たかった」というタイトルで、岩井監督自ら企画し、キャストが再度顔を合わせ、ロケ地をめぐるなどのドキュメンタリーも制作されています。

そしてさらに時が過ぎ、最初のドラマ放送から24年の時を経てアニメ化となり、根強い人気があることがうかがえます。アニメ化に合わせて出版された小説も、読み手に合わせて種類が多く出ています。あらすじを把握したところで小説版を読んでみたり、アニメとドラマの美しい映像に青春時代のひと夏を感じながら、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のアニメ版、原作ドラマ版の違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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