ポケモンのタケシは初代ジムリーダー！年齢・声優やタケシとの別れの理由は？

アニメポケモンに登場するキャラクター・タケシをご存知でしょうか？アニメシリーズの放送が始まった21年前の第5話から登場し、原作となったゲーム「ポケットモンスター 赤・緑」発売日から数えると22年もの長い時間を、ポケモンファンと共に歩んできたキャラクターです。長い間出演を重ねたキャラクターだけに、その細かい設定を忘れてしまった、もしくはそもそも詳しく知らない、という方もいるのではないでしょうか。

ここでは、アニメ「ポケモン」で主人公一行を長年支え続けた縁の下の力持ち・タケシの年齢・職業・家族構成、担当した声優などの情報を一挙にまとめ、その魅力をご紹介します。タケシと「あのポケモン」が同じ声優？なぜサトシとの旅をやめたのか？この記事を読めば、タケシについて詳しくなるだけではなく、なぜこれほど長い間「ポケモン」が世代を超えて愛されてきたのか、その秘密が垣間見えることでしょう。

アニメ「ポケモン」は、1996年に発売され、記録的大ヒット作となったゲームボーイ用ソフト「ポケットモンスター赤・緑」を原作とし、1997年から放送されているテレビアニメシリーズです。放送開始から21年を超え、現在放送している「ポケットモンスター サン＆ムーン」はシリーズ6作目で、テレビ東京のアニメ番組としては最長寿シリーズとなりました。

作中の世界に生息する不思議な生き物・ポケットモンスター（通称ポケモン）。この世界では、ポケモンをモンスターボールという捕獲用の道具で捕まえ、育て、互いの手持ちポケモン同士で戦わせる「ポケモンバトル」によって互いのトレーナーとしての腕を磨き、競い合います。アニメの世界ではトレーナーには年齢制限があり、10歳の誕生日からトレーナーになることができます。

傷ついたポケモンを治癒する専門機関「ポケモンセンター」やそこに勤務するジョーイさんや、ブリーダーにドクターと、ポケモンにまつわる職業も数多く存在し、それどころか中にはポケモンの力を借りる仕事や生活習慣もあり、現実世界の「ペット」と「飼い主」という関係性には留まらない特殊な世界であると言えます。

さらに、より優秀なトレーナーを目指す者の登竜門として「ポケモンリーグ」などの公式大会、各地で集めることでそこへの参加権を得ることができる「ポケモンバッジ」、各地のポケモンジムを経営・統括し、倒すことで認定ポケモンバッジを手に入れることができる「ジムリーダー」などがあり、これらはゲームだけでなくアニメにも踏襲されているシステムです。

原作であるゲームは現在7世代18作（同時発売のバージョン違いは数えない）が発売され、登場するポケモンは809匹にものぼります。アニメは前述のとおり現在6シリーズ目で、劇場版も毎年制作・公開されています。海外でも98の国と地域で放送され、今や世界中で愛されるアニメコンテンツといえるまでに成長しました。

商業的にも世界的な大成功を収めており、ゲームのシリーズ累計出荷数は2億本を優に超え、アニメなどのポケモン全体の市場規模は6兆円にも上ると言われています。ゲームそのものの面白さもさることながら、アニメポケモンが世界中の子供たちに与えた影響の大きさは、「6兆円」という数字からもうかがい知ることができます。

主人公サトシとともに旅をする仲間は、アニメシリーズごとに移り変わってきました。ごく初期、第5話から出演し続けたタケシは随所でリーダーシップと博識さを見せますが、彼の年齢はご存知でしょうか？実は意外なほど若いのです。その年齢、なんと15歳。ここからは、15歳という年齢を感じさせないタケシを徹底的に解説して参ります。

初登場当時、彼は「ニビシティ」という町でジムリーダーを務めていました。ジムリーダーとは、前述の通り、各地に点在する「ポケモンジム」の責任者であり、ポケモンリーグへの参加に必要な「ジムバッジ」を発行できる非常に重要な存在です。弱冠15歳という年齢でその責務を負っていたタケシでしたが、それには彼の家庭状況が深く関わっていました。

元々ニビシティのジムリーダーはタケシの父・ムノーが務めていました。ムノーとその妻ミズホには10人の子供がいて、タケシはその長男として育ちました。先代ジムリーダーである父親はバトルに負けたことで夜逃げ、母親は再婚相手と駆け落ちし、残されたタケシは跡を継いでニビシティジムリーダーに就任し、以降サトシに出会うまで弟たちとジムをひとりで守っていました。

ちなみに、タケシと兄弟たちは全員父親のムノー似。ツンツンした髪型（髪質？）と特徴的な切れ長の細い目は、女の子も含めて10人兄弟全員に遺伝しています。男の子には太い眉毛もしっかり遺伝し、特にタケシとムノーは瓜二つで、髪型・顔・背格好までそっくりです。母親はクルクルと巻かれた明るい茶髪が特徴ですが、誰にも遺伝していないようです。なお、弟たちの年齢は言及されていません。

なお、首藤剛志氏による小説版のポケモンでは、タケシは「8組の双子を含む21人兄弟の長男」という設定になっています。母ミズホがジム運営のために離婚と再婚を9回も繰り返したということになっています。アニメではそこまでは語られていませんが、タケシが旅立った後、いつの間にかミズホは帰宅しており、いつの間にか帰宅していたムノーと仲良く生活しています。

普段は自分のことを「俺」と呼び、頼れる兄貴キャラをさらに強固にしていますが、目上の人や美人と話すときは「自分」と言い、丁寧な対応を見せます。しかし唯一のキャラクターソングである「タケシのパラダイス」の歌詞のみ、一人称が「僕」となります。一見キャラクターがブレているようにも思えますが、本編中に歌いすぎて相手にされず情けない感じとなり、ある意味それもキャラになってしまっています。

なお、「タケシのパラダイス」は無印シリーズの第10期目の放送でエンディングテーマとして放送されました。本編中にも度々歌いますが、「タケシのパラダイス」しか持ちネタがないのか、この一曲を歌い続けています。AGではマサトに「あれしかネタがない」などといじられる始末。お姉さん好きキャラも相まって、いじられキャラとしての一面も完成してしまった格好です。

タケシはジム運営の傍ら幼い兄弟たちの面倒を見続けていたせいか、家事が非常に得意であり、食事シーンでは度々エプロン姿で料理をするタケシが描かれています。その際身に着けるエプロンは「ピンクのフリフリ付きエプロン」で、「頼れる兄貴キャラ」「元ジムリーダーの岩タイプポケモン使い」「山男ルックス」といったタケシのキャラクターとのミスマッチによって、より強力なキャラクター要素となっています。

また、非常に惚れっぽい性格で、女性キャラ、特に年上のお姉さんと出会う度に恋をし、普段の冷静なキャラを捨てて情熱的に求愛し、そして振られています。特に「ジョーイさん」には目がなく、行く先々で各地のポケモンセンターに勤務するジョーイさんに求愛し、サトシやカスミなどによってかなり強引に止められ引き剥がされる姿を度々晒しています。時にはポケモンに止められることも。

しかしお姉さんなら誰でもいいわけではなく、ロケット団のムサシのような敵キャラにはなびかず、美人に変装しててもすぐに気付くことができます。ムサシがジョーイさんに変装した際も、「本物は美しいから偽物」と発言し、一発で見分けることに成功しています。「お姉さんソムリエ」と呼ばれたことすらありました。

放送開始直後から登場し、途中別れを繰り返しながらもサトシと旅を続けたタケシ。放送開始時点での年齢は、サトシが10歳でタケシが15歳でした。現実世界の10歳と15歳なら、平等に話すことも難しい年齢ですが、12年半もの年月を共に旅してきた主人公サトシとタケシは、年齢を超えた友情で結ばれています。

そうは言っても10代における年齢差5歳は大きいものです。タケシの生活スキルが旅生活の役に立っていることは言うまでもありませんが、それ以上に、困ったときに頼りになるのがタケシの最大の魅力といえます。ブリーダーとしての知識はとても広く深く、ポケモンの種類に応じた食べ物の組み合わせなど、かなり専門的な知識をもって窮地を脱したこともたくさんあります。

サトシと、カスミなどの歴代ヒロイン達との喧嘩の際には率先して仲裁したり、大事な決め事でもリーダーシップを発揮するなど、いざという時に頼りになる姿はまるで兄貴分です。さらに、敵の企みをひとり違う目線で見つめて阻止したり、ポケモンへの愛が足りない相手に対しては感情を露わにしたりと、その活躍ぶりは歴代のサトシの仲間たちの中でも群を抜いています。

タケシが所属しジムリーダーを務めたニビシティジムは、岩ポケモンをメインとして使用するポケモンジムです。そのため、タケシが使用したポケモンも岩ポケモンや山で手に入るポケモンが多いです。しかしブリーダーを目指していることからか、だんだんと岩ポケモンだけでなくいろいろなタイプのポケモンを手持ちに加えるようになります。中にはタケシ自身がタマゴから孵したポケモンも。

• イワーク（後にハガネールに進化、以下カッコ内は進化）…タケシ登場時から所持、父親からの誕生日プレゼント
• イシツブテ…タケシ登場時から所持、声優はコジロウ役などと同じ三木眞一郎
• ズバット（後にゴルバット・クロバット）…声優はイシツブテ役と同じ三木眞一郎
• ロコン…ブリーダーとして預かる、声優はゼニガメ役などと同じ愛河里花子
• クヌギダマ（後にフォレトス）…声優はオーキド博士役・イワーク役などと同じ石塚運昇
• ハスボー（後にハスブレロ・ルンパッパ）
• ミズゴロウ（後にヌマクロー）…声優はムサシ役の林原めぐみ
• ウソハチ（後にウソッキー）
• グレッグル
• ピンプク（後にラッキー）…景品のタマゴをタケシが孵した
• ガラガラ

前述のように「お姉さん好き」として知られるタケシですが、15歳という若さで何故「お姉さん」に目覚めてしまったのでしょうか？それには彼の家庭環境が大きく影響しているようです。

タケシは10人兄弟の長男として、そしてジムリーダーとして、15歳まで常に責任ある立場を守り続けてきました。年齢的に思春期真っ盛りのタケシが女性に「包容力」や「母性」を求めるようになっても不思議ではありません。無意識に甘えられる存在を求めているのでしょう。

タケシ役の声優は、ベテランのうえだゆうじが担当し続けています。放送開始時は本名の「上田祐司」で活動していましたが、事務所からの独立などを経てかな表記を使用しています。彼の圧倒的なセンスと演技力は監督や音響監督などのスタッフに絶大な支持を集めており、今までに「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」相良左之助役、「おじゃる丸」キスケ役、「機動戦士ガンダム00」ビリー・カタギリ役などを演じてきました。

また、アニメポケモンにおいては、タケシ役だけでなくポケモンの声も数多く当てており、『ソーーーナンス！』という特徴的な声の「ソーナンス」をはじめ、「ヒノアラシ」「ヒトカゲ」「リザード」「ラッタ」「バリヤード」などのキャラクターを担当しています。アニメポケモンだけを見ても、彼の声優としての技術力を垣間見ることができます。

海外でも人気のあるタケシですが、英語版での名前は「Brock」。ニビシティジムのメインである「岩ポケモン」＝「Block」とかけつつ、実際に存在する人名「Brock」と名づけられたようです。声優は第6シーズンまでがエリク・スチュアートで、その後はビル・ロジャースが担当しました。いずれも日本製アニメの吹替に数多く携わり、中でも「遊戯王」や「HUNTER×HUNTER」などは海外でも人気のアニメとなっています。

余談ですが、タケシの兄弟たちの声優にもうえだ氏同様、他のポケモンの声を担当しながら出演する声優が多くいます。例えば上から6人目で次女のムツコ役にはムサシ役として出演する林原めぐみ、7人目のナナコはピカチュウ役の大谷育江、そしてロケット団のニャース役を務めている犬山イヌコが8人目のヤオキを演じるなど、メインキャラクターとして出演を重ねる有名声優が名を連ねています。

サトシと出会ってジムリーダーを辞めたタケシは、世界一のポケモンブリーダーを目指してサトシたちと行動を共にしていました。そんなタケシですが、「無印」シリーズのオレンジ諸島編で「ウチキド博士」という女性研究者と出会います。

いつも通り一目惚れはするのですが、壊れた研究所の修理や家事全般など、持ち前の家庭的スキルを活かした手伝いなどを経て、ウチキド博士の研究に対し「ブリーダーとして興味をそそられる」と語り、サトシたちと別れて研究所に留まる決意をしました。

このようにかっこよく別れを告げたタケシでしたが、わずか30話ほど後に、何故かサトシの実家で再会。これは行き倒れていたタケシをサトシの母親が助けたためですが、肝心のウチキド博士については「聞かないでくれ…」と語るに留まり、恐らくいつも通り振られてしまったであろうことを匂わせています。これはロケット団のニャースにさえ感づかれるほどの有様でした。

その後、サトシはジョートリーグへの挑戦を決めますが、ケンカばかりで成長しないサトシとカスミに「やっぱり俺がいないとダメだな」と言い、ジョート地方への旅に合流するのでした。

サトシたちと合流した後も、実家のジムの様子を見に帰るなど度々別れと再会を繰り返したタケシ。何度目かの合流を経て、ダイアモンドパールシリーズ（以下DP）でのある出来事を最後に旅から離れ、レギュラー出演からも遠のいています。その出来事というのが、シンオウ地方から帰るために乗った船がドククラゲの大群に襲われるという物でした。

船上にいたポケモンは次々と毒状態で倒れ、持っていた回復アイテムでは足りず、救助も来るだけで2時間はかかるという、一刻の猶予もない極限状態に見舞われていました。映像通信で、ポケモンセンターのジョーイさんに「お願いタケシくん、あなたがやるしかないの」と懇願されたタケシは、残された食べ物やポケモンの回復技を駆使してこの窮地を見事に救うことが出来ました。

ポケモンに合わせた解毒・回復薬の選択と調合。これは完全に医師＝ドクターの仕事でした。この出来事を機に、「ポケモンドクターになりたい」という想いが芽生えたタケシは、勉強に専念するためサトシたちと別れて、ニビシティにある実家に帰ることを決意します。その後の本編において、タケシの現在については何も語られていません。

こうして2度目の別れを経験した後、番外編でジョウト地方のポケモンドクター養成学校に通うタケシが描かれています。回想などではその後も出演していますが、いつかポケモンドクターとして再びレギュラー出演する日も来るのでしょうか？

以上がストーリー上の別れの経緯ですが、制作しているのは大人。やはり「大人の事情」というものも多少絡んでいるようです。最初の別れの時は、本格的にポケモンを海外進出させようとしていた時期で、「目が細いキャラクター」＝「東洋人への差別表現」と受け取られる可能性を考慮しての降板でした。

しかし、実は既に海外でも人気のあったタケシは、1年足らずのうちにすんなりとレギュラーへ戻ることとなりました。復帰後も海外人気が落ちることが無かったことは言うまでもありません。なお、同じように海外展開で配慮した事例として、「ルージュラ」というポケモンの肌の色が黒から紫に変更されたことがあります。黒い肌を持つ黒人に配慮して変更したという解釈で間違いないでしょう。

2回目の降板は、新シリーズだった「ベストウィッシュ」が原作であるゲーム「ブラック＆ホワイト」の内容と強い連動制を持っており、そのためゲーム内に登場しないタケシがレギュラーにいるのはおかしいとされ、降板に至りました。しかし上記のように、「人気である」という理由でカムバックを果たしたこともあるため、今後レギュラーに復帰する可能性も残されていると言えます。

いかがでしたでしょうか？サトシの兄貴分であり親友であり、アニメポケモンの縁の下の力持ちでもあるタケシについて、詳しくご紹介してきました。アニメポケモンの作中だけでなく、これほど人間味に溢れたキャラクターはなかなか出会えないのではないでしょうか。失敗を恐れず、常に向上心を持ち、同時に隣を歩く親友への配慮を忘れない。アニメ史に残る名脇役と言えます。

節目ごとの小さな別れ、そして2度の大きな別れを経て、別々の道を歩き始めたタケシとサトシ。現在タケシは残念ながらレギュラー出演はしていませんが、毎年公開されている映画や、時々放送される番外編や特別編の放送、そして過去の復帰劇を鑑みると、今後も出演する可能性はまだまだ残されています。

アニメ放送開始から21年を超え、視聴者も時代と共に移り変わってきています。初期のポケモンを知らない方にも、この作品の歴史を作ってきたタケシの魅力が伝わっていれば幸いです。長い長いアニメポケモンの旅に、これからもご注目ください。