【千と千尋の神隠し】お母さんが冷たい理由はなぜ？豚として描かれた真意や声優は？

こちらの記事では、『千と千尋の神隠し』に登場する、千尋のお母さんが冷たい理由について、考察を交えて紹介していきます。千と千尋の神隠しの作中では、お母さんが千尋に冷たいセリフを口にしたり、冷たい態度をとっています。なぜお母さんが千尋に冷たいのか気になっている人は『千と千尋の神隠しのお母さんが千尋に冷たい理由』や『千と千尋の神隠しのお母さんのセリフの意味を考察』の項目のをチェックしてみてください。

また、千尋のお母さんとお父さんが豚になった理由や、お父さんの職業の考察、千と千尋の神隠しでお母さんの声を演じた声優についても紹介しています。まずは、下記の項目で千と千尋の神隠しの作品概要と物語のあらすじを紹介しています。千と千尋の神隠しの作品情報をおさらいしたい人は、そちらの項目から目を通してみてください。

千と千尋の神隠しは、2001年7月20日に公開された日本のアニメ映画作品です。千と千尋の神隠しはスタジオジブリによって制作され、宮崎駿先生が脚本や監督を務めました。スタジオジブリの作品のなかでも、千と千尋の神隠しは特に人気の高い作品として知られています。興行収入は316億円を突破し、スタジオジブリと宮崎駿の代表作となりました。

第52回ベルリン国際映画祭や第75回アカデミー賞など、多くの映画賞にノミネートされ、栄誉ある賞を受賞しています。またスタジオジブリ作品は、作中では明言されていないメッセージや設定が隠されていることでも知られており「千と千尋の神隠しにもそのような設定があるのではないか？」と話題となっています。

10歳の少女・千尋は、お父さんとお母さんと共に引っ越し先の家へと向かっていました。しかし、お父さんが運転する車が木々の生い茂る場所へと迷い込んでしまいます。車を降り、古びたトンネルを見つけたお父さんとお母さんは、好奇心からその先へと進んでいってしまいます。2人についていった千尋は、そこで現代日本とは異なる、不思議な雰囲気の街並みを目の当たりにします。

千と千尋の神隠しの主人公・千尋のお母さんには名前があります。作中では「お母さん」と呼ばれているため、本当の名前は登場しませんが、公式では「荻野悠子」と設定されています。年齢は35歳で、千尋と顔が似ていることから千尋の母親であることが一目で分かります。

千と千尋の神隠しの作中では娘の千尋に冷たいセリフを口にしたり、冷たい態度をとっているように見えることから「千尋と親子仲が良くないのでは？」と考察されることも多い人物です。また、千と千尋の神隠しの序盤で街に置いてあった食べ物を勝手に食べてしまったことから、罰としてお父さんと共に豚の姿に変えられてしまいます。

その後、千と千尋の神隠しのラストシーンになるまで豚の姿で生活していました。千尋が湯婆婆に「この豚たちの中から自分のお父さんとお母さんを探し出せ」という問題を出され、千尋が「この豚たちのなかにはいない」と正解を口にしたことで、豚の姿から人間の姿に戻ることができました。

こちらの項目からは、千と千尋の神隠しの作中でお母さんが千尋に冷たいセリフを口にしたり、冷たい態度を取っていた理由を、考察を交えて紹介します。お母さんが千と千尋の神隠しの作中で、娘の千尋に冷たいセリフを口にしたり、冷たい態度をとっていた理由として考えられるのは、千尋のお母さんが現代の母親像として描かれていたからです。

公式設定では、千尋のお母さんについて「子供の母親でありつつも、女性としても見てほしい」という気持ちを持っている女性だと明かしています。そのような性格の人物であるため、子供とべったりした関係ではなく、ある程度の距離を持って接しているのではないかと考えられます。

お母さんたちは、トンネルを抜けて街に出ると店に並べてあった料理を勝手に食べ始めます。千尋が不安そうにしている様子を気にもかけず、自分勝手な行動をとり豚にされてしまったお母さんたちは、バブル時代に対する皮肉として描かれているのではないかと考えられます。自分の快楽を優先する人物というキャラクターを描くため、娘に冷たいセリフを吐いたり、他人の物に手を出すといった行動をとっているのではないでしょうか？

千尋のお母さんが冷たいセリフを口にしたり、冷たい態度をとるのは、千と千尋の神隠しのメインキャラクターである湯婆婆のキャラを際立たせるためという可能性もあります。湯婆婆は、娘に冷たい千尋のお母さんとは反対に、息子の坊をとても甘やかしています。しかし、坊以外の人物には利己的で冷たい人物でもあります。

そのような湯婆婆と、娘に冷たい千尋のお母さんを並べることで、湯婆婆に「他人には冷たいけれど、身内や家族は大切にする人物」というイメージがつきます。始めは冷たい人物という印象を持たせ、ストーリーが進むにつれて優しい一面を見せることで、湯婆婆というキャラクターに深みを持たせたのではないでしょうか？

冷たい態度をとるということは、時に「気が強い人物」と印象づけることができます。千尋のお母さんをそのように気が強い人物に仕立てあげることで、千尋の気の弱さを描こうとした可能性が考えられます。千尋は、物語の最後に豚になったお母さんとお父さんを自分の力で助け出し、一回り成長して街を出て行きます。そのラストシーンの成長を際立たせるため、物語の始めに「気の弱い少女」という印象を持たせたのではないでしょうか？

育児にはステージがあり、いつまでも甘やかしてばかりではいられません。湯婆婆のように子供を甘やかしてばかりいると、坊のようにわがままな人物に育ってしまう可能性もあるでしょう。そのため、親の立場にある人は「社会性を身に着けさせるため、少し厳しく接したほうがいいかしら？」と悩むこともあるのではないでしょうか？千尋のお母さんが冷たいセリフや態度をとるのは、そのように自立を促しているからだと予想できます。

「千と千尋の神隠しは子供が楽しめる作品として作った」と宮崎駿監督が語っています。そのため「子供に共感される世界」を意識して作られていると予想されます。「この子のために」と思って注意したことが、上手く伝わらず、子供を落ち込ませてしまっただけという人も多いのではないでしょうか？そのような経験を重ねた子供にとって、大人というのは千尋のお母さんのような冷たい存在なのだと描きたかったのかもしれません。

千尋は湯婆婆に「甘ったれ」と指摘されています。それは、一番近くで千尋に接しているお母さんも感じていたことでしょう。その甘えんぼうな性格を改善するため、あえて厳しく接していたのではないでしょうか？お母さんやお父さんがいつまでも手を貸していれば、いつまでも千尋は甘えたままです。そのため、引っ越しを機に娘との接し方を変えた可能性もあるでしょう。

千尋のお母さんの服装やメイクを見てみると、鮮やかな口紅や大ぶりのアクセサリーが目に止まります。忙しい引っ越し当日にも、そのようなきっちりとした服装をしているところを見ると、千尋のお母さんが都会的な人物だということが分かります。

「やっぱり田舎ね」というセリフからは、田舎に住むことを待ち望んでいたようには見えません。そのため、お母さんは田舎暮らしを始めることに不満があり、そのストレスによって千尋に冷たくあたってしまった可能性があるでしょう。

ジブリファンの考察では「ジブリ作品には、風俗産業を思わせる描写や伏線が多い」という意見が見られています。千と千尋の神隠しに登場する油屋についても「ソープランドの暗喩なのではないか？」と考察する人がいます。そのような暗喩を強調するため、不貞行為や不倫をしそうな女性として描きたかったのではないでしょうか？

「千尋のお母さんが冷たい」という意見に対して「愛想がないだけではないか？」という声も寄せられています。千尋のお母さんは子煩悩ではありませんが、豚になるきっかけとなった料理を食べた際には、千尋にも食べるように促しています。また、千尋が自分から離れたときには、気に掛ける様子も見せています。口にするセリフは冷たい印象があるものの、行動を見るとしっかりと千尋を気に掛けていることが分かります。

鑑賞者のなかには「母親よりも妻としての思いが強いタイプなのではないか？」と予想している人もいます。千尋のお母さんは、母親でもあり、お父さんの妻でもあります。家族関係は家庭によってさまざまですが、千尋のお母さんは、子供との関係よりも夫との関係に重点をおくタイプなのではないでしょうか？そのため、千尋への気遣いや関係が希薄になってしまっているのかもしれません。

多くのアニメには、見た人に伝えたいメッセージが込められています。特にジブリ作品はその傾向が強く、多くの鑑賞者から考察されています。千と千尋の神隠しは、甘えん坊だった少女・千尋の成長が描かれており、親の接し方がそのような性格となった原因の1つだと伝えたかったのではないでしょうか？また、千尋のお母さんだけではなく、息子を甘やかす湯婆婆の態度も「親の躾」を考えさせるきっかけとなっています。

ネットの噂では、千と千尋の神隠しのアフレコの際に、宮崎駿が千尋のお母さんの声を演じた声優・沢口靖子さんに「見ている人に冷たい印象を与えるように」と指示したといわれています。監督自ら声優に指示をしたということは、特別な意図があったのでしょう。一見するとありがちな親子間のセリフですが、声優が意図して冷たく演じることで、鑑賞者の印象に残ったのではないでしょうか？

千と千尋の神隠しには、いくつかの都市伝説があります。そのうちの1つである「ハクが千尋の兄」という説が事実の場合、お母さんが千尋に冷たい理由が説明できます。ハクは作中で自分の正体を「ニギハヤミコハクヌシ」だと言っています。このニギハヤミコハクヌシとは、千尋が幼い頃に溺れた川の神様だと考察されています。

しかし、都市伝説では「川の神様ではなく、川で溺れた千尋を助けようとして亡くなってしまった兄なのではないか？」と予想されています。川で溺れ最後を迎えたため、トンネルの向こうに渡った後も川のイメージが強く残り、自分のことを川の神様だと思っているという説です。もしその仮説が事実だった場合、意図的ではなかったにしろ、愛する息子を死に追いやった千尋に対して、お母さんは複雑な思いを抱くことでしょう。

作中の登場キャラクターの心情や行動から、可能性が高いと予想される理由として、お母さんの妊娠があります。お母さんたちが豚にされる前に、道を歩いている時にお父さんが「足元に気をつけて」と促すシーンがあります。「10歳の子供がいる夫婦のセリフにしては、気を使っているな」と感じた人もいるのではないでしょうか？

このセリフについて、お父さんが気配りに長けている人物だという可能性も考えられますが、お母さんが妊娠していた場合、腑に落ちるセリフです。引っ越しも、新しい家族が増えるため、大きな家に引っ越したと考えられます。また、お母さんが妊娠したことで、両親の話題が新しく生まれてくる子供の話ばかりになっていたのではないでしょうか？

これまで自分だけに向けられていた両親の愛情が、まだ見ぬ弟もしくは妹に向かってしまい、気をひこうとして千尋が「甘えん坊」と呼ばれる行為を両親に繰り返していた可能性もあるでしょう。そのような環境の変化や娘・千尋のわがまま、そして妊娠のホルモンバランスの乱れによる情緒不安によって、千尋にきつい言葉をかけてしまった可能性が考えられます。

千尋の両親は、トンネルを抜けた先の店で、勝手に料理を食べてしまいます。神様たちの料理を食べた千尋の両親は、豚の姿にされてしまいました。この時、なぜ「豚」にされたのかについて、鑑賞者から考察されています。

一例では「バブル時代を謳歌した若者たちの成れの果を、皮肉として表現したのではないか？」と考察されています。バブル時代に好き勝手な振る舞いをした者たちの精神が、そのままぶくぶくと豚のように肥えてゆき、醜い姿になった様子を描いていると予想されています。

千と千尋の神隠しを最後まで見た人のなかには「なぜ千尋は本物の両親を見分けることができたの？」と疑問に思った人も多いのではないでしょうか？この疑問について、SNSで「スタジオジブリから解説の手紙を送ってもらった」という人が現れました。その手紙には「10歳の女の子が危機を乗り越え"生きる力"を獲得したから」と書かれていたそうです。

この「生きる力」がどのようなものなのかは語られていませんが、千と千尋の神隠しが「少女の成長」を描いていることから、社会を生き抜く力という意味だと考えられます。これまでに積み重ねた経験や知識、「こういう時にはこのようなことが起こる」といったパターンを蓄積し、物事の本質を見抜く力がついたということなのかもしれません。

千尋のお母さんは、声優の演技力もあり冷たい人物として印象づけられました。お声優にキャスティングされた沢口靖子さんが演じたセリフで「千尋は車の中でまってなさい」というものがあります。声優の演技力もあり、一見冷たく感じるこのセリフですが、見方によっては「安全かわからない場所に子供を連れて行きたくない」という優しさも感じられます。また、夫と一緒に未知なものに踏み込む、好奇心旺盛な性格も表れています。

沢口靖子さんが声優として演じた、冷たく感じるお母さんのセリフ2つ目は「そんなにくっつかないでよ」です。不思議なトンネルを歩いていると、千尋が怖がってお母さんにくっつきます。怖がる子供を突き放すような冷たいセリフですが、お母さんが妊娠している説が事実の場合、このセリフはお腹の子を案じて転ばないように注意した可能性が浮上します。

お母さんの冷たいセリフとして取り上げられる「はやくしなさい」という言葉ですが、このセリフに関しては多くの人が親から1度は言われたことがあるのではないでしょうか？このセリフは、トンネルを抜けた先にある岩場のシーンで登場しています。千尋は「車の中で待ってなさい」と言われたにもかかわらず、独断で車を飛び出しついていったため、お母さんがイライラして口をついてしまったのではないでしょうか？

また、甘えん坊な千尋の性格を考え、自立させるためにあえて突き放した言い回しをしたのかもしれません。日常生活で親から言われることも多いセリフのため、人によっては特別に冷たいと感じることはないのではないでしょうか？

千と千尋の神隠しで、千尋のお母さんの声優にキャスティングされたのは、沢口靖子さんです。千と千尋の神隠しで声優として活躍された沢口靖子は、主に女優として活躍されています。これまでに、第9回日本アカデミー賞新人俳優賞や第13回クラリーノ美脚大賞・特別賞などを受賞されています。声優活動は、千と千尋の神隠しのお母さんの声優にキャストされたほか、クレヨンしんちゃんの榊マリコ役の声優として出演されています。

千と千尋の神隠しでは、千尋のお母さんの声優として出演された沢口靖子ですが、普段はテレビや映画の女優として活躍されています。これまでに女優として演じた役には『科捜研の女』の榊マリコ、『ホテルウーマン』の神尾柊子、『ゴジラ』の奥村尚子などがあります。

千尋のお父さんの職業は、千と千尋の神隠しの作中では明言されていませんが、映画の絵コンテでは建築業であると公開されています。トンネルの材質を「モルタル製か」と判別していることから、それとなく気づいた人もいるかもしれません。

千尋のお父さんの明確なモデルはいないとされていますが、千と千尋の神隠しの設定や絵コンテが記載されている『The art of Spirited away―千と千尋の神隠し』では、宮崎駿監督の知人である日本テレビのプロデューサー・奥田誠治をイメージして作られたキャラであることが明かされています。

千と千尋の神隠しに登場する千尋のお母さんは、千尋に対して冷たいセリフや態度をとっていることから、作品を見た人から「嫌い」と言われることが少なくありません。しかし、お母さんが妊娠している説を知った人からは「妊娠中なら仕方ないかも」という声もあがっています。

こちらの方は、千尋のお母さんの声優が、女優の沢口靖子さんだと知って驚かれています。沢口靖子さんはテレビドラマ・科捜研の女で主人公の榊マリコを演じています。榊マリコの役のようなクールなイメージが千尋のお母さんにもあるため、沢口靖子さんが演じていることに納得されています。

千尋のお母さんは、娘の千尋に対して冷たいセリフや態度をとっています。宮崎駿監督は、お母さんの声を演じた沢口靖子さんに「見ている人に冷たい印象を与えるように」という指示を出していました。その思惑通り、鑑賞者からは「おかあさんが千尋に冷たかったのが気になる」という感想があげられています。

以上、千尋のお母さんが冷たい理由について、考察を交えながら紹介しました。千尋のお母さんが冷たいのは「母親だけれど女性としても生きたいタイプだから」「甘えん坊の千尋が自立できるよう、あえて冷たくしている」「妊娠中で情緒が安定していないから」といった理由が考えられます。また、作中で豚になった理由は「バブル時代に好き勝手していた者への皮肉」だと予想されます。声優は女優の沢口靖子さんが担当しています。