【天国大魔境】医者迫田の正体は高原学園の猿渡先生？目的をネタバレ解説

文明崩壊後の世界にて、数少ない医者として頼りにされてきた迫田。作中では、キルコの脳移殖を行った医者として登場し、後にその正体は高原学園の猿渡先生と示唆されました。果たして迫田と猿渡先生は同一人物なのか、人体実験も示唆された彼の目的な何だったのでしょうか。以下では、「天国大魔境」の医者迫田の正体や猿渡先生との共通点のネタバレ、人食いヒルコの研究や人体実験の目的などをネタバレ考察しました。

アニメ化もされた漫画「天国大魔境」は、石黒正数先生によるSF作品です。2018年から「月刊アフタヌーン」で連載され、単行本は2023年6月時点で計9巻が刊行されています。

文明が崩壊した日本を舞台に、外の世界から隔離されて育った少年少女の旅を描いた「天国大魔境」。壮大な世界観と謎を解き要素の多さが人気に火をつけ、「このマンガがすごい！2019」のオトコ編第1位に選ばれました。

未曾有の大災害に見舞われた日本では文明が崩壊し、人々は人食いヒルコの脅威に怯えながら日々を過ごしていました。そんな廃墟と化した日本を舞台に、ある任務を任された少年少女が旅を続けていました。少年はマル、少女はキルコといい、日本のどこかにある天国を目指します。天国にはマルと同じ顔をした人物が待っており、その者に注射を打つために日本中を旅します。

大災害に見舞われた日本にて、数少ない医者として頼りにされていた迫田照彦。浅草に生活拠点を構え、レーサーの怪我の治療に当たっていました。一方で、人体実験や人食いヒルコの研究を行っているとの噂も立つも、真相は誰にも分かりません。そのため、迫田とは何者だったのか、彼の正体や目的を知る者は誰もいませんでした。作中では、6巻32話にて名前が判明し、稲崎露敏（ロビン）が調査を行っています。

キルコは、マルを「天国」に届ける任務を与えられた少女でしたが、脳は竹早春希という少年のものを移殖したものでした。作中の5年前、人食いヒルコに襲われて下半身を失った春希。弟を救うべく、姉の桐子は無事だった弟の脳を自身の頭部に移殖することを決断します。そして、桐子と春希姉弟の脳移殖を行ったのが、謎多き医者の迫田でした。

移殖手術を終え、無事に目覚めた春希。しかし、彼は脳移殖されたこと等、何も知らない状態にありました。どのような経緯で脳移殖が行われたのか、手術を行った医師の名前など、何も分かりません。その後、春希はキルコと名を改め、便利屋を営みながら医師の行方を探します。そして、同じ施設で育った兄貴分・稲崎露敏（ロビン）との再会を果たし、手術を施した医師の名が迫田照彦と突き止めました。

少年・マルと旅を続けながら、最初の目的であった露敏との再会を果たしたキルコ。実は、露敏も迫田の正体について調査していました。しかし、迫田は脳移殖の手術後、浅草から行方をくらませており、現在もどこにいるのか分かりません。また、迫田の消息を知る者もおらず、生存の有無も分からない状況にありました。

「天国大魔境」の謎人物であり、キルコとの関係が示唆された医者迫田。その正体は、かつて高原学園で保険医として勤務していた猿渡先生と言われています。作中では、2人が同一人物である伏線が複数張られ、迫田＝猿渡説は間違いでしょう。以下では、「天国大魔境」の迫田の正体についてネタバレ考察しました。その他、迫田の正体が確定したシーンや猿渡先生との共通点も、ネタバレを交えながらまとめました。

「天国大魔境」では、キルコに脳移殖を施した医者として登場した迫田照彦。後に、その正体は高原学園の保険医として勤務していた猿渡先生こと猿渡照彦と判明しました。中学時代から引きこもり生活を送っていた猿渡先生。そんなある日、高原学園の上仲詩乃園長から声をかけられました。学園では好きなことに没頭でき、それらが社会の役に立つ日が来ると聞かされ、学園への興味を示します。

学園入りした猿渡先生は、自身の得意分野である科学医療の研究に没頭します。やがて、倫理的な観点からタブー視されている、脳移殖やクローンの技術を成功させました。2024年時点で、医療の常識を超える技術を開発・習得した猿渡先生。その目的は、来たる日にそなえて、上仲園長の脳を園内の子供に移殖させるためと考えられます。

あめのぬぼこ以降に訪れる世界が、自分が思い描いた世界なのかを確かめたいと思っていた上仲園長。しかし、すでに高齢のため、その時を訪れる前に寿命が尽きることを予感しました。そこで、猿渡先生の手で自身の脳を子供に移殖させ、その光景を見届けようと考えます。そして、あめのぬぼこ前に、園長は施設で育った子供の中から三倉まなか（ナタ）を選び、自身の脳を移殖させました。

「天国大魔境」の魔境編にて浮上した迫田。単行本8巻にて、その正体が猿渡先生だと判明しました。脳移殖をして三倉まなか（ナタ）として生きる上仲園長。PCで園長権限を取り戻す際、AIみーなから暗号を求められます。このシーンにて、迫田と猿渡先生が同一人物だったことが確定します。また、学園時代は父親と折り合いが悪かったために、母方の猿渡姓を名乗っていました。

迫田と猿渡先生は共に医者であり、脳移殖の技術を持っているという共通点がありました。どちらも脳移殖を望む者の意見を尊重したうえで手術を決行しており、医者としての良心があったと読み取れます。一方、2人の共通点は医者としての技術だけでなく、額の傷も指摘されています。作中では、迫田を映した写真が描かれおり、迫田の額には大きな傷跡がありました。

一方、猿渡先生にも額の傷があり、学園のテロ事件をきっかけに自衛隊の襲撃を受けた際に負傷し、傷跡になってしまいました。また、猿渡先生の傷跡は迫田のものと瓜二つであり、2人が同一人物であることを示す伏線と考えられています。

「天国大魔境」の医者迫田の正体が猿渡先生であることは確定したものの、迫田にはまだ謎が残されていました。それは、浅草で噂されていた人食いヒルコの研究や人体実験です。どのような経緯で危険な行為に手を染めたのか、迫田こと猿渡先生の目的も気になるでしょう。以下では、「天国大魔境」から迫田が行っていたと噂される人食いヒルコの研究内容のネタバレや、迫田の目的についてネタバレ考察しました。

大災害後、浅草を拠点に医者として活動していた迫田。一方で、人間の脅威である人食いヒルコの研究を行っていたと噂されていました。また、人体実験の噂もささやかれれ、危険人物とみなされていたでしょう。しかし、研究内容や目的は言及されておらず、憶測の域にすぎません。

作中で判明した、迫田による人食いヒルコの研究は、表面的に捉えれば非常に危険な行為に思えるでしょう。しかし、迫田が行っていた研究は、巷で噂されているような危険な内容ではないと推測されています。医者という立場から、ヒルコに襲われた人々の治療に当たっていたと思われる迫田。どうすればヒルコによる被害を抑えられるか、ヒルコの動きを封じ込める方法はないかと、対策を模索していました。

「天国大魔境」の原作漫画52話にて、人食いヒルコの正体が高原学園の生徒だったことが判明しました。この情報から、迫田こと猿渡先生の目的は、人食いヒルコになった生徒たちを救うことだと推測されます。しかし、なぜ学園の生徒だけがヒルコ化したのか、原因は分かっていません。もしかしたら、生徒のヒルコ化の謎も、迫田の研究目的に含まれていた可能性も高いでしょう。

大切に思っていた生徒が人食いヒルコとなり、人に襲いかかる光景は迫田にとっても耐え難いことです。しかし、自分の意志に関係なく、人食いヒルコになってしまった生徒を見捨てることも出来ません。そこで、ヒルコ化した生徒や周辺の人々の命を守るために、ヒルコの研究を始めたでしょう。同時に、ヒルコが人間を襲わない方法はないか模索していたことも考えられます。

しかし、迫田の素性を知らない者から見れば、彼の研究は非常に危険で気味悪さすら覚えるでしょう。そして、周囲の憶測が悪い噂を生み出し、露敏たちが調査に乗り出したと考えられます。人食いヒルコの正体を知っているからこそ、ヒルコの研究に取り掛かった迫田。その目的は、ヒルコとなった生徒たちを救うため、ヒルコを人食いにさせないためだったと推測されます。

天国大魔境の天国編では、高原学園の保険医として勤務していた迫田こと猿渡先生。学園の崩壊後も敷地内に留まり、残された子供たちの面倒を見ていました。しかし、大災害後から浅草に生活拠点を移すまでの経緯は空白の期間となっています。その間、迫田はどのような生活を送り、行動を共にしていた子供たちはどうなったのでしょうか。以下では、「天国大魔境」の迫田の謎について、ネタバレを交えながら考察しました。

高原学園が自衛隊の襲撃を受けた際、一部の生徒は施設の外に出ていくことに成功しました。一方、猿渡先生は学園内に留まり、残された5人の生徒の面倒を見ることにしました。後に合流した上仲永吉の言葉を受け、生徒たちの父親代わりになることを決意した猿渡先生。日に焼けながら畑仕事に精を出し、子供たちの生活のためにも懸命に働きます。

しかし、あめのぬぼこ以降、猿渡先生と子供たちはバラバラになり、猿渡先生は「迫田」と名前を変えて浅草に流れ着きます。両者が別れたいきさつは不明であるものの、共に旅をするククとオーマ、ミチカ一行は自分から離れたと推測されます。一方、赤ん坊を抱えるトキオとコナは、あめのぬぼこ以降も猿渡先生と一緒にいた可能性が高いでしょう。

何かしらの理由で学園に居られなくなり、医者を必要とする浅草のレース場にたどり着いた猿渡先生。一方、浅草までトキオ達と一緒だったかは不明であり、トキオ達のその後の行方は分かっていません。

噂を聞きつけて、迫田のヒルコの研究を調査していた露敏。一方、作中では露敏が出入りしている巨大ろ過装置にて、女性にヒルコをつないだ異様なシーンが描かれています。その光景は、かつて迫田が行っていた人体実験を彷彿させるでしょう。もしかしたら、迫田の調査中に人間とヒルコをつなげる方法を発見したと推測されます。また、その有効性を確かめるために、人体実験を行っていた可能性も考えられるでしょう。

一方、露敏が実験台として連れてきた女性の正体は何者でしょうか。浅草のレース場で迫田を追っていた経緯から、桐子を実験台にしようと目論んでいた露敏。しかし、桐子は春希の脳を移殖し、キルコと名乗って生きています。そのため、露敏が実験台にした女性は、桐子と勘違いされた他人だと推測されます。

迫田の研究は、ヒルコを人食いにさせないことが目的でしたが、露敏の研究目的は何だったのでしょうか。おそらく迫田とは別の目的だった可能性が高いです。もしかしたら、ヒルコの一部を人間に移殖し、不死身の人間をつくる実験を行っていたでしょう。

浅草にいた頃、切り取ったヒルコの一部を人間につないで、ある実験を行っていた猿渡先生。おそらく、ヒルコとなった生徒を救うための研究だったと推測されます。一方、ヒルコに繋がれた人物は、猿渡先生が助けたいと思う者であり、学園の生徒説が濃厚です。そこで浮上するのがトキオとコナの子供、猿渡先生がクローンを生み出した男の子の可能性が高いでしょう。

トキオの子供はまだヒルコになる前、またはなりかけている段階であり、人食いになる前に手を打とうと延命治療を施したと考えられます。または、別の病気にかかり、延命治療をした可能性も否定できないでしょう。このように、猿渡先生は子供の命を救うために治療を施したことに間違いありません。しかし、その方法が非人道的だと思われたことが、人体実験など良からぬ噂へ繋がりました。

また、猿渡先生による延命治療は、誰かが訪れる時を待っているようにも思えます。その人物こそ、キルコと行動を共にするマルと推測されます。ミクラ（上仲園長）から同じ顔を持つ者へ注射を打つように指示されたマル。それは、自分のクローンを助けることを意味するでしょう。また、ミクラも何かしらの経緯でクローンの病気を知り、オリジナルに注射を託したと推測されます。

父親との折り合いが悪くなったことを理由に、学園時代は母方の姓を名乗っていた猿渡先生。レース場のある浅草に住み始め、レーサーたちの怪我の治療に当たっていました。一方で、人食いヒルコなど良からぬ噂もささやかれ、露敏達が調査に乗り出しました。そんなある日、浅草レース場に人食いヒルコが襲撃し、春希が重傷を負います。

その後、桐子の強い希望により、春希の脳を桐子の身体へ移殖する手術を施した迫田。春希が意識を取り戻した時にはすでに浅草を去っていました。また、浅草レース場の襲撃後、迫田はどこへ向かったのか、彼の消息を知る者は誰もいませんでした。

圧倒的な世界観と謎を秘めたストーリー展開が読者を魅了する「天国大魔境」。2023年4月にはテレビアニメ化され、多くの注目を集めました。以下では、天国大魔境の迫田のアニメ声優・武藤正史さんのプロフィールや出演作品を紹介します。

天国大魔境の迫田のアニメ声優・武藤正史さんは、1970年生まれ、東京都出身の声優です。短期大学を卒業後、2000年代から声優活動を行っています。

声優業では、海外作品の吹き替えを中心に活動する武藤正史さん。近年では、「ファンタスティック・ビーストシリーズ」に登場するクリーデンスの吹き替え声優として知られています。一方、アニメ作品では、「バトルスピリッツ 覇王」大泉マナブ役、「MUSASHI -GUN道-」小早川秀秋役、「内閣権力犯罪強制取締官 財前丈太郎」財前賢次役等を演じています。

登場初期は、脳移殖というワードから危険なイメージが強かった迫田。しかし、その正体は高原学園の崩壊時に子供たちの面倒を見ていた猿渡先生と判明しました。大災害から年月が経ったため、外見はかなり変わってしまったでしょう。しかし、額に残された傷跡が同一人物であることを示す伏線となりました。以下では、「天国大魔境」の迫田（猿渡先生）に関する感想や評価をネタバレ紹介します。

「天国大魔王」の謎であった迫田の正体は、高原学園の猿渡先生と同一人物だったことが確定されています。作中では2人には共通点こそあったものの、決定的な証拠がないために別人だと疑う声も見られました。最終的にはミクラのシーンにて2人の同一人物説が確定しています。迫田が行っていた人食いヒルコの研究や人体実験の目的についても、猿渡先生としての過去を元に考察することで答えが見えてくるでしょう。

学園崩壊後も、残された子供たちの面倒を見ていた猿渡先生。その後、迫田姓を名乗りはじめ、浅草で医者をしていたものの、あめのぬぼこに見舞われた直後や子供たちと別れたいきさつ等は、一切語られていません。ファンからも、子供たちと一緒にいた期間や、別行動をとり始めた理由が気になるとの声も寄せられています。しかし、迫田は物語の途中で亡くなってしまい、その理由を探ることが難しくなりました。

「天国大魔境」の天国編では、残された子供たちの父親代わりとして奮闘した猿渡先生でしたが、中学時代から引きこもり生活を送っていました。しかし、上仲園長の誘いを受けたことで人生が変わり、最後には学園の大黒柱になりました。迫田として送った人生は悲惨だったとも捉えられるも、引きこもりからの脱却は猿渡先生のサクセスストーリーとも呼べ、彼の半生が泣けるとも評されています。

ほんの一端といえど、大災害を引き起こした1人として責任を感じていた猿渡先生。その後の人生は、罪を償うように子供たちの守ることや、人々の命を守ることに人生を捧げました。時には良からぬ噂も立てられるも、少しでもこの世界を変えようと自分なりに頑張ってきたと思えるでしょう。しかし、迫田こと猿渡先生の最後は悲惨であり、幸せな人生だったのかと疑問の声も寄せられています。

ネタバレ考察のように、迫田こと猿渡先生の行った手術や実験は倫理的にタブーとされる内容であり、恐怖を覚えた読者もいるでしょう。一方、SNSでは倫理的な観点に配慮してか、言葉の選び方に気を付けているとの指摘も見られます。「天国大魔境」にて、キルコの脳移殖は「体移殖」、クローンを「双子の兄弟」と表現しており、猿渡先生なりの配慮とも捉えられるでしょう。

物語の謎を紐解くキーパーソンとして注目された迫田こと猿渡先生でしたが、最後はヒルコに取り込まれる形で自爆しました。死ぬ直前の行動からは、すでに死を覚悟していたと推測され、これからというタイミングでの自爆は読者に衝撃を与えましたでしょう。また、猿渡先生として活躍した頃の評価も高く、迫田の死が悲しいとの声も寄せられています。

「天国大魔境」の迫田の正体や猿渡先生との共通点のネタバレ、研究の目的や謎についてネタバレ考察しました。キルコの脳手術を行った医者であり、高原学園との関係も深い迫田こと猿渡先生。巷では良からぬ噂が囁かれるも、実は彼なりの目的があって研究を行っていたでしょう。かつて父親代わりとして子供たちを大切にし、彼らの命を救いたいという目的がありました。