【チ。-地球の運動について-】最終回のあらすじ・結末をネタバレ！感想は賛否両論？

地動説に魅入られた人々の奮闘を描いた漫画「チ。」は、読者の知的好奇心もくすぐる作風が話題を呼び、人気を集めました。一方、最終回に対する評価は分かれており、賛否両論が飛び交っています。以下では、漫画「チ。-地球の運動について-」の最終回あらすじ・結末の解説や感想などをネタバレ解説しました。

魚豊先生の漫画「チ。-地球の運動について-」は、2020年～2022年にかけて「ビックコミックスピリッツ」にて連載された作品です。物語は、15世紀のヨーロッパにて、地動説の研究に命をかけた人々の信念や生き様を描いたフィクションです。「手塚治文化賞・マンガ大賞」など数々の賞にノミネートされ、漫画界からも高く評価されています。

「チ。-地球の運動について-」のアニメ化は2022年6月に発表され、制作にはマッドハウスが起用されました。一方、アニメ放送の開始時期は、2023年7月時点で未定です。

以下では、賛否両論が飛び交った漫画「チ。-地球の運動について-」の最終回あらすじ・結末をネタバレ解説しました。

何とか教会にたどり着いたドゥラカは、本の出版を利用した儲け話でアントニ司教に近づき、利益の8割をアントニがもらうことを条件に取引を成立させます。一方、ノヴァクも教会に到着し、ここで驚くべき事実が判明します。一定の地区で起きた地動説に対する弾圧は、アントニの父親が挫折した天文学に対する憧憬と劣等感からでした。

弾圧の経緯を知ったノヴァクは、自分が勘違いをしたために娘を死なせたと気が付きます。娘は何のために死んだのかと自暴自棄になり、アントニを殺害しました。司教殺しの罪を地動説主義者に擦り付け、教会に火を放ったノヴァク。ドゥラカは彼と胸を刺し違えるも、自力で教会を脱出します。ノヴァクは、かつて自分が死に追いやったラファウの幻影と対面しました。そして、回収したボスの手がヨレンタのものと悟ります。

そして、自らの人生を懺悔すると同時に、娘が天国に行けることを祈って絶命しました。一方、ドゥラカも、ヨレンタから託された手紙を伝書鳩に託するとその場に倒れ込みました。そして、物語は1468年のポーランド王国に移ります。パン店で働くアルベルト青年は、賢さを見込まれて大学入学を勧められます。しかし、過去の出来事から、アルベルトは進学に乗り気ではありません。

父親が存命だった頃、アルベルトの元へ家庭教師・ラファウがやってきます。己の真理を追究するラファウの考えに感化されるアルベルト。しかし、真理の追究は父親の殺害という思わぬ結果を招きました。殺人を犯したラファウは連行され、彼とは二度と会うことがありませんでした。一度は、大学進学を取り下げたアルベルトでしたが、告解室での出来事を受けて考えを改めます。

その頃、「地球の運動について」の本が刊行され、アルベルトの好奇心を刺激します。大学で天文学を専攻した彼は、クラクフ大学にて数学と自然哲学を教えるようになります。また、天動説一般に対する疑念を示した講義も展開し、後に天文学の教科書への注釈書を書くまでになりました。アルベルトの注釈書はコペルニクスの手にもわたり、地動説が普及することになりました。

やや難解な最終回となった漫画「チ。」は、様々に解釈することができます。しかし、一部の読者からは意味不明との感想も見られ、世界線の変更が理由にあげられます。最終回では、アルベルトの視点に切り替わり、ラファウ青年が登場しました。青年は1巻のラファウ本人なのか、前の世界線と繋がりがあるのか、多くの疑問が生じたでしょう。

以下では、地動説に人生を捧げた人々の奮闘が目を引く、「チ。-地球の運動について-」の漫画あらすじをネタバレ解説します。

15世紀のヨーロッパのP王国では、C教の教えにより「天動説」が主流となっていました。研究者の中には、「地動説」を唱える者もいたものの、それはC教の教義を揺るがしかねない思想でした。天動説を否定する者は「異端者」として摘発され、拷問や火刑で悲惨な最期を遂げています。ある日、P王国に暮らす少年・ラファウの家にフベルトがやってきます。彼は、父親の元教え子であり、P王国が考える異端者でもありました。

フベルトに脅されて彼の研究を手伝うようになったラファウでしたが、次第に地動説に魅了されます。フベルトは地動説の研究を理由に処刑されるも、連行される直前、ラファウに研究資料を託します。地動説は危険な思想と知りながらも、隠れて研究を始めたラファウ。しかし、同じく地動説を唱える父親が、己の保身のために息子を異端尋問官に差し出しました。

例え異端で捕まっても、地動説の資料を燃やして改心を宣言すれば釈放される見込みはありました。しかし、ラファウは裁判で地動説を信じると宣言し、自分の意思を貫くために服毒自殺しました。

ラファウの死から10年後、代闘士のオクジーと仲間のグラスは、異端者を輸送する際の警護を任されます。そこには、かつてラファウを異端者として摘発した尋問官・ノヴァクの姿もありました。天動説を信じるオクジーは、グラスの火星観測から自身の考えに疑問を持ち始めます。保身のために天動説を肯定する道もあったものの、オクジーは自分に嘘をつくことができません。

オクジーとグラスは死を覚悟して地動説を支持する側につきます。ノヴァクの手下に追われながら、地動説の研修資料が保管された木箱を発見した2人。しかし、彼らは文字が読めないため、内容が分かりません。そこで、異端者として左遷された修道士を頼るべく、旅に出ました。その修道士はバデーニといい、禁書を読んだことで目を焼かれ、村へ追いやられていました。

そして、デバーニと出会ったオクジーはさっそく、グラスの火星の観測日誌と発見した資料を見てもらいます。2つの資料から宇宙が変わると予感したバデー二。オクジーは彼の仮説に半信半疑でしたが、彼に協力することに決めます。

地動説の資料を集めるべく、町の掲示板に目を付けたバデー二。天文学の問題を貼り付け、地動説に理解があり、かつ安全な人物を探そうと目論見ます。そこへ、1人の女性が問題を解き始めます。彼女の名はヨレンタ、女性という理由で天文の研究に参加させてもらえないことに不満を持っていました。一方、ヨレンタに興味を持ったバデー二達は、彼女が安全な人物が見極めるべく地動説の話をします。

ヨレンタはピャスト伯に仕えており、彼女が協力を申し出たことで伯爵と対面します。亡くなった叔父の意思を受け継ぎ、天文学の研究を続けてきたピャスト伯。しかし、かつての鋭眼も今ではぼやけて何も見えません。そこで、バデー二達の仮説の否定するべく、満ちた火星の観測を実行します。観測結果はバデー二達の仮説通りとなり、ピャスト伯は資料の共有を許可します。

ピャスト伯の資料を基に検証を重ねるバデー二。その過程で惑星は楕円運動をしているのではとひらめきます。また、物乞いにお金を恵み、その見返りとして彼らの頭にあることを施します。一方、異端尋問官では新人2人が配属され、ノヴァクが実習を担いました。さっそく異端者の拷問に参加させられるも、ノヴァクの強引なやり方に疑問を抱きます。

バデー二の地動説が完成し、オクジーとヨレンタと飲んでいると、そこへノヴァクが現れます。研究のことを勘づかれて異端尋問官も迫る中、オクジーはバデー二を逃がすべく、囮になる覚悟を決めます。

戦いの末、ノヴァクを後一歩まで追い詰めたオクジーでしたが、増援部隊の矢に倒れました。しかし、異端尋問官所内の医務室で治療を受け、一命を取り留めます。その目的は地動説の資料を見つけるためであり、逃れたはずのバデーニも捕らえられていました。その後、バデーニは拷問にかけられ、ついに資料を隠し場所を白状します。そして、バデーニとオクジーは絞首刑に処され、遺体は火葬されました。

場面はヨレンタに変わり、異端者として捕まり、官所を脱走した罪で処刑されました。ノヴァクを陥れるべく、彼の娘を異端尋問にかけたアントニでしたが、ヨレンタの死は偽装と判明します。実は、ヨレンタの尋問を担当した人物は、かつてノヴァクの拷問に参加した新人2人であり、その1人の手引きによって脱走しました。脱走を手引きした1人は、ヨレンタの身代わりとなって焼死体となり、ノヴァクの前に引き出されました。

バデーニがいた村の教会でも、彼が異端者として処刑された噂が広まり、修道士仲間だったクラボフスキの耳にも入ります。道に落ちていた本を偶然拾い、その内容が異端思想のため通報をしたクラボフスキ。バデーニの死はそれが原因かもしれないと考えたクラボフスキは、彼からの手紙を読み返します。その内容は、貧民たちが村にきたら応対してほしいというものでした。

その頃、貧民たちもパンの施しがなくなって1か月が経ったタイミングで、バデーニに教えられた村に向かいます。そして、クラボフスキと対面すると、彼らは髪をそり上げて頭の刺青をみせます。1人1項、計60項分の文字が彫られ、クラボフスキは自分の使命を感じ取りました。

バデーニとオクジーの死から25年後。私腹を肥やす教会は腐敗の一途を辿り、異端解放戦線による尋問所の襲撃が起きていました。場面は変わり、貧しい村に暮らすドゥラカは、ひょんなことから大量の本を発見します。その内容は異端とされている地動説に関するものでした。この本でお金を儲けることを思いついたドゥラカは、さっそく本を読み漁り、内容を全て暗記します。

実は、この本は異端解放戦線の1人であり、自然主義を掲げるシュミットによって収集されたものでした。収集の目的は本を流通させることで、社会の解放を試みるためです。一方、ドゥラカもこの刺激的な内容は売れると予感していました。両者の動機こそ異なるものの、この本を世の中に出すという共通の目的があります。

シュミットと手を組み、一派のボスと対面することになったドゥラカ。彼らのボスの正体は、25年前、異端尋問所から逃がされたヨレンタでした。

かつてノヴァクの部下だったダミアンは司教に出世し、異端者を拷問して排除するやり方に疑問を持っていました。また、異端解放戦線が回収した本の多くに「ポツトキに寄付しろ」との文言があったことを知り、かつて尋問に携わったラファウ少年を思い出します。彼の研究はバデーニとオクジーに引き継がれるも、彼らはすでに死んでいました。そこで詳細を調べるため、元尋問官のノヴァクを訪ねます。

娘を異端尋問で失い、酒浸りの生活を送ってきたノヴァク。地動説の本が盗まれている事実を知り、娘の仇討ちとして地動説の抹消するべく、捜査に協力します。ボスである謎の女性を追いながら、活版印刷に関わりそうなルートを探します。その頃、ヨレンタ達は本の出版まであと一歩に迫っていました。しかし、ヨレンタは自分の運命を悟り、後のことをドゥラカに託します。

そして、自ら囮となり、迫ってきた異端尋問を巻き込むように納屋を爆発させました。一方、シュミット達は印刷所に到着します。本は、ヨレンタを発行人に「地球の運動について」のタイトルがつけられました。しかし、ここで裏切り者が出てしまい、彼らは窮地に立たされます。騎士団にも通報されて一刻の猶予もない中、シュミット達はドゥラカを生かす選択をし、自らは囮になる決断を下しました。

以下では、知的好奇心を刺激する展開が読者を夢中にさせた、「チ。-地球の運動について-」の謎を考察を交えながらネタバレ解説します。

漫画「チ。」の最終回では、ラファウに似た青年が登場し、ラファウは生きていたとも考えられました。しかし、ラファウが1巻時点で生き延びたと仮定した場合、年齢が合いません。また、ラファウの死後、遺体は燃やされたことが示唆されているため、現実的にもあり得ないでしょう。なぜ、年齢の違う2人のラファウを登場させたのでしょうか。

まず、ラファウ少年は、真理を追い求めたために、神を信仰する者の手で間接的に殺されています。一方、ラファウ青年は、知的好奇心で人を殺めています。この2つのシーンは対比しており、人間の本質は簡単な善悪では説明できないことを表現しているでしょう。

漫画7巻の表紙を飾り、8巻にて登場を果たしたアルベルト・ブルゼフスキ。作中では数少ない実在の人物であり、数学と天文学を専門とする大学教授でした。教え子にはコペルニクスがおり、後に地動説を立証する偉業を成し遂げています。アルベルトとラファウの出会いはフィクションですが、「チ。」と現実世界をつなげる重要なシーンとなりました。

告解室にてアルベルトの懺悔を聞いていた司祭は、自身の過去の過ちを語りました。その中には、ヨレンタを逃がした尋問官が処刑になったことも言及しています。このセリフから、司祭の正体はヨレンタの身代わりとなった尋問官の同僚だったと推測されます。

死が間近くに迫ったドゥラカでしたが、最期に日の出の美しさに感動しました。自身の死を予感したことで、父親の死を受け入れることができたドゥラカ。日の出は地球の運動をもっとも感じられる現象であり、太陽の光は彼女の人生を肯定する光となったでしょう。

奇抜なタイトルが目を引く漫画「チ。」ですが、「チ」には3つの意味が込められています。1つ目は、地動説の「地」、2つ目は知性の「知」、3つめは暴力で流れ出た「血」です。地動説を巡る、知性と暴力を描いた漫画が「チ。」でしょう。また、漫画のタイトルからは2つの意味に解釈できます。

1つ目は天動説であり、「チ」を「地球」に見立て、句点「。」は地球を軸に回る天体をあらわしていると解釈されています。2つ目は地動説であり、句点を地球に見立てて、チを周回するとの見方もできます。

漫画「チ。」といえば、イニシャル表記の多さも特徴にあげられます。例えば、物語の舞台はP王国、宗教はC教と表記されています。「C教」はキリスト教であり、作中で起きた「H戦争」は、カトリックとフス派による抗争・フス戦争がモチーフとなったでしょう。フス派は後のプロテスタントであり、カトリックへの敗北をきっかけに宗教改革を起こしました。

中世ヨーロッパの権威として君臨したカトリックでしたが、15世紀を境に教会の力は衰えていきます。それは、地動説の研究が広まっていった頃であり、漫画の題材として起用されたでしょう。

かつてヨーロッパでは、教会の教えに背く思想は異端とみなされ、弾圧や拷問・処刑が行われていました。このような背景から、漫画「チ。」は史実に基づいた内容とも考えられています。しかし、史実ではコぺルニクスより前の時代に地動説への弾圧が行われた記録はありません。そのため、漫画「チ。」は、史実をモチーフにしたフィクションです。

以下では、地動説に人生を捧げた人々を描いた、「チ。-地球の運動について-」の登場人物をネタバレ解説します。

本作品の主人公であり、漫画「チ。」の物語の始まりの人物です。神父の家に養子として引き取られ、12歳で大学進学を認められた神童です。合理的なモノや事に美しさを感じ、地動説との出会いが彼の運命を変えていきます。

漫画「チ。」の第2章の主人公で、優れた視力を持つ代闘士です。幼い頃に聞いた神父の教えがトラウマとなり、悲観的に物事を考えるようになったオクジー。しかし、地動説との出会いが彼に光をもたらし、それらを本にまとめるべく奔走します。

漫画「チ。」第2章のもう1人の主人公で、優れた頭脳を持つ修道士です。知的好奇心が旺盛で、教会の禁書を読んだ罰として目を焼かれ、田舎に左遷されました。オクジーと共に地動説を完成させるも、異端者として処刑されました。

漫画「チ。」の第2章からの登場人物で、天文研究助手として働く14歳の才女です。ノヴァクの娘であり、アントニの策略で処刑されかけるも、逃げ延びることができました。25年後には異端解放戦線のリーダーとなり、地動説の出版を目指して活動します。

元傭兵の異端尋問官で、ヨレンタの父親です。仕事と割り切り、残酷な拷問も厭わない非情な性格の持ち主です。第3章では娘を失った原因である地動説を恨み、地動説の弾圧を弾圧します。

漫画「チ。」の第3章の登場人物で、異端解放戦線・実行舞台のリーダーを務める、自然主義者（ナチュラリスト）です。「人間のために神はいない」という考えを持ち、地動説を支持しています。

漫画「チ。」の第3章の主人公で、遊牧民として暮らす少女です。異端解放戦線が隠し集めていた本を発見し、その本を出版してお金儲けすることを目論見ます。一度読んだ本の内容を完璧に記憶するなど、非常に頭が良いです。

以下では、難解な内容から最終回について賛否両論が飛び交った「チ。-地球の運動について-」の感想や評価を紹介します。

あらすじ解説のように、「チ。」の漫画は章ごとに主人公が変わっていく作風も特徴にあげられます。次の主人公への受け継がれていく思いや、地動説に見せられた人々の奮闘は、読者の知的好奇心も刺激しました。最終回は突然の世界線変更もあり、混乱した読者も多かったでしょう。しかし、面白い漫画だったとの感想が多くみられ、高く評価されています。

最終回の内容について、一部では意味不明との感想も寄せられたものの、完成度の高い結末に感動したとの声も見られます。あらすじ解説のように、拷問や処刑など過激なシーンの多さも特徴にあげられる「チ。」同時に、人間の本質について問うメッセージ性の強い作風も高く評価されており、漫画が放つ強さを感じたとの感想も見られます。

あらすじ解説のように、「チ。」の漫画は主人公が交代しながらストーリーが進行していきます。また、各章の主人公は、前章での主人公とのつながりを持っており、故人となった彼らの想いを受け継いでいます。ラファウの死から始まった「チ。」は、最後はコペルニクスに繋がり、次の主人公へ受け継がれる想いが熱いとの感想も見られます。

ラファウが地動説に魅了されるところから始まる「チ。」でしたが、ラファウは1巻で自ら命を絶っています。あらすじ解説のように、序盤から主人公が亡くなることは衝撃的な展開だったでしょう。同時にラファウの死は物語の始まりでもありました。また、1巻を読み終えた時点での完成度の高さや衝撃がすごいとの感想もみられ、面白い漫画とも評価されています。

漫画「チ。-地球の運動について-」の最終回あらすじと結末の解説、感想などをネタバレ解説しました。突然の世界線の変更から、評価が大きく分かれる結果となった漫画「チ。」の最終回。やや難解な結末ラストは、地動説は歴史に名を残さなかった人々の存在なしでは立証できなかったことを表現しているでしょう。